説明

情報入力装置および情報処理方法

【課題】情報入力装置において、入力情報を入力する速度を測定した結果に対応してその後に実行する機能を自動的に選択し、利用者の入力操作の負担を軽減することを課題とする。
【解決手段】文字を含む入力情報を入力する入力部と、前記入力情報に関連するコンテンツ情報と、前記入力情報の入力速度の判定基準と、前記入力速度の判定基準に関係づけられた機能を選択するための機能選択リストとを予め記憶した記憶部と、前記入力情報を入力する速度を測定する入力速度測定部と、前記測定された入力速度と、前記記憶部に記憶された入力速度の判定基準とを比較し、測定された入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、前記機能選択リストから選択する機能選択部と、前記入力情報とコンテンツ情報とを用いて、前記機能選択部によって選択された機能を実行する制御部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報入力装置に関し、特に、手書きにより文字等の情報を入力する機能を有する装置であって、利用者が手書きで情報を入力する速度に基づいて、入力後に実行すべき機能を選択する情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙の上に鉛筆で文字や図形を書くのと同じように、入力パネル表面に電子ペンで文字等を書くことにより、その手書き文字を画像として記憶し、表示装置に再表示させる電子機器が開発されている。
また、英和辞書や和英辞書などの電子辞書コンテンツを記憶した電子辞書でも、手書き入力により見出し語を入力するとその見出し後に対応した意味などの辞書情報が表示されるものが開発されている。
さらに、電子辞書などにおいて、表示画面に表示される情報を見やすくするために、表示されている文字のサイズを拡大または縮小する機能を有するものがある。
【0003】
表示文字サイズの拡大または縮小は、利用者が手書き文字等を入力した後に、拡大用の専用キーや縮小用の専用キーを押すなどの所定の選択操作を行うことにより実現されている。
あるいは、多数の辞書を予め搭載した電子辞書では、見出し語の入力を行う前に、利用者が予め所定の選択操作をすることにより、利用する辞書を決定する必要があった。
また、特許文献1には、ペンの停止時間や入力速度を検出することにより、そのペンの近辺にすでに手書き入力された文字や図面等を拡大表示することのできる文書作成装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、書きやすい大きさの文字で手書き入力した後、所定のコマンド入力や設定時間の経過を条件としてすでに手書き入力された文字データを縮小することにより、表示画面に表示する情報量を多くする手書き入力装置が提案されている。
【特許文献1】特開平8−77148号公報
【特許文献2】特開平10−91346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の装置では、入力した文字等の表示を拡大したり縮小したりするために、文字等の入力操作とは別に特定の選択操作をする必要があり、操作が面倒であり、入力操作性の向上が望まれていた。
また、多数の辞書が搭載されている場合には、利用者が自らの意思で利用する辞書を予め選択しておく必要があるため、辞書の選択操作が面倒な場合もあり、また、ある辞書を利用中に他の辞書を利用したい場合には辞書を選択し直す操作をする必要があった。
【0006】
また、特許文献1や2に記載のものでは、手書き入力の速度や設定時間の経過を検出することにより、すでに入力されていた文字等に対する処理(拡大表示、または縮小表示)を実行することができるが、手書き入力後に別の所望の機能を実行させるためには、利用者が自らの意思でその機能に対応した選択操作をする必要があった。
【0007】
さらに、手書き入力操作、特にその入力速度の違いに対応してその後に実行すべき機能を自動的に選択することのできるものはなかった。
たとえば、従来の装置では、手書き文字等を入力するペンの入力速度に対応して、利用する辞書をその入力後に利用者の選択操作をすることなく選択することはできず、入力速度の違いによって表示される情報の内容を異ならせることもできなかった。
【0008】
また、英単語を手書き入力する場合において、利用者はその英単語のスペルを正確に書く自信がない場合は、一般的にゆっくり入力する傾向がある。このようにゆっくり入力した場合には、利用者が入力した英単語(たとえば、week)のスペルは、その利用者が意図した英単語(たとえば、weak)のスペルと異なる場合もあると考えられるので、手書き入力後にいきなり入力された単語(week)の意味を表示するのではなく、類似するスペルの英単語(week,weak,…)をいくつか表示するようにすれば、利用者が意図した英単語(weak)を確定するのに便利な場合もある。
すなわち、手書き入力操作の入力速度に対応して、その後に実行する機能を自動的に決定することができれば、利用者の入力負担を軽減でき、入力操作の利便性をより向上させることができる。
【0009】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、利用者の入力操作の入力速度に注目し、利用者が入力後に実行すべき機能を選択するための特定の入力操作を行わなくても、手書き文字等を入力する入力速度に対応させて、入力操作後に実行されるべき適切な機能を自動的に選択することが可能な情報入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、文字を含む入力情報を入力する入力部と、前記入力情報に関連するコンテンツ情報と、前記入力情報の入力速度の判定基準と、前記入力速度の判定基準に関係づけられた機能を選択するための機能選択リストとを予め記憶した記憶部と、前記入力情報を入力する速度を測定する入力速度測定部と、前記測定された入力速度と、前記記憶部に記憶された入力速度の判定基準とを比較し、測定された入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、前記機能選択リストから選択する機能選択部と、前記機能選択部によって選択された機能を実行する制御部とを備えたことを特徴とする情報入力装置を提供するものである。
これによれば、測定された入力速度に対応して実行すべき機能が選択されるので、利用者が実行すべき機能を選択するための特定の入力操作をする必要はなく、情報を入力した後に実行されるべき機能を自動的に選択することができる。
【0011】
また、前記機能選択リストは、複数個の前記入力速度の判定基準に関係づけられた複数の機能項目を有し、前記機能選択部は、前記複数の機能項目の中から、前記測定された入力速度に対応する機能項目を選択することを特徴とする。
たとえば、後述する図12の具体例5では、4つの機能項目(処理A〜D)の中から、いずれか1つの機能項目が選択される。
これによれば、複数個の機能項目の中から測定された入力速度に対応した機能項目が1つ選択されるので、利用者は情報入力の操作以外に、機能選択のための特定の操作をする必要はなく、操作負担が軽減される。
【0012】
さらに、前記機能選択リストは、前記測定された入力速度が前記入力速度の判定基準に予め定められた基準値よりも遅い場合に選択される第1機能項目と、前記測定された入力速度が前記基準値よりも速い場合に選択される第2機能項目とを含み、前記機能選択部は、前記測定された入力速度に基づいて、前記第1機能項目または第2機能項目のいずれかを選択することを特徴とする。
これによれば、測定された入力速度と基準値との大小関係により2つの機能項目のいずれかが選択されるので、利用者は、情報入力操作以外に、2つの機能項目のいずれかを選択するための操作をする必要がない。
ここで、機能項目とは、制御部によって実行される機能の処理内容を意味し、具体的には後述する図6に示した選択処理内容に相当する。たとえば、後述する図7の具体例1では、測定された入力速度が描画入力速度(V1)に相当し、基準値が基準速度(SP0)に相当し、第1機能項目が処理A−3、第2機能項目が処理B−3に相当する。
【0013】
また、本願発明は、前記入力部により入力される入力情報は、手書き入力による文字入力と、キーボードによる文字入力と、音声による文字入力とを含むことを特徴とする。たとえば、前記入力部がタッチパネルとペンとを備えた場合、入力情報は、ペンによってタッチパネル上に描かれた手書き情報である。この場合、手書き情報の入力速度が測定される。
【0014】
また、この他に、入力部としては、種々の情報入力機器が用いられ、ローマ字やかな文字などをキーを用いて入力するキーボードや、利用者の発声した音声を入力するマイクを備えてもよい。
キーボードによるキー入力の場合は、キーを打つ速さが入力情報の入力速度に相当し、音声入力の場合は、利用者の発声の速さが入力速度に相当する。
【0015】
また、本願発明は、前記制御部が、前記入力情報に含まれた文字を認識する文字認識部と、前記記憶部に記憶されたコンテンツ情報を検索して、前記文字認識部によって認識された文字に関連する情報を抽出する検索部と、前記検索部によって抽出された文字に関連する情報を出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
これによれば、たとえばコンテンツ情報の1つである辞書の中から、認識された文字に関連する情報を抽出して出力することにより、選択された機能を実行することができる。
ここで、文字に関連する情報とは、入力された文字と関係づけられて記憶されている情報を意味し、たとえば、コンテンツ情報の一つである辞書の中に、入力文字と一致する見出語を見つけ出した後、その見出語と関係づけられて記憶されている意味内容,読み,形態,画数,用例,発音などの情報をいう。
【0016】
また、前記検索部は、前記機能選択部によって選択された機能に基づいて、その機能を実行するのに必要な前記文字に関連する情報を、前記コンテンツ情報から抽出することを特徴とする。
これによれば、選択された機能ごとに、機能を実行する上で必要な情報が自動的に収集される。
ここで、機能を実行するのに必要な情報とは、たとえば、後述するように入力文字の意味内容を詳細表示するという機能(具体例3の処理B)が選択された場合には、入力文字に対応づけられて辞書に予め記憶された意味内容や用例をいう。あるいは、入力文字の形態に関する情報を表示するという機能(具体例3の処理C)が選択された場合は、入力文字の形態そのものや、形態を特定する画数や、発音,読み,書き順,その他の文字形態情報をいう。
【0017】
また、辞書の中から入力文字を含む見出語をリスト表示するという機能(具体例3の処理A)が選択された場合は、入力文字と同一の見出語に加えて、その入力文字を一部分として含む見出語をいう。
したがって、機能を実行するのに必要な情報は、選択された機能ごとに異なり、各機能と対応づけられて設定される。
【0018】
また、前記選択された機能が、前記認識された文字に関連する情報のうち意味内容を表示することである場合、前記検索部は、その機能を実行するのに必要な文字に関連する情報として前記コンテンツ情報から前記認識された文字の意味内容を抽出し、前記選択された機能が、前記認識された文字の形態を確認することである場合、前記検索部は、その機能を実行するのに必要な文字に関連する情報として前記認識された文字の形態に関する情報を抽出することを特徴とする。
これによれば、検索部は選択された機能に予め対応づけられた処理を実行するので、利用者は、文字の入力後に改めて、実行すべき機能を選択する操作をする必要がない。
【0019】
また、前記入力速度測定部は、前記入力情報が手書き文字であった場合は、前記入力部にペンダウンしてからペンアップするまでの1ストロークの時間、あるいは1文字の入力開始から入力終了までの時間のいずれかを、前記入力速度として測定することを特徴とする。
ここで、ペンダウンしてからペンアップするまでの時間は、後述する図6の実施例のペンの描画入力速度を測定するための情報であり、一文字の入力開始から入力終了までの時間は、後述する一文字の入力時間に相当する。
【0020】
また、この発明の前記入力速度測定部は、前記入力情報がキーボードによる文字入力であった場合は、語句の入力開始から入力終了までの時間か、1つまたは複数の文章の入力開始から入力終了までのいずれかの時間を、前記入力速度として測定することを特徴とする。
さらに、前記入力速度測定部は、前記入力情報が音声入力による文字入力であった場合は、語句の音声入力開始から音声入力終了までの時間か、1つまたは複数の文章の音声入力開始から音声入力終了までのいずれかの時間を、前記入力速度として測定することを特徴とする。
【0021】
また、前記制御部は、前記選択された機能を実行する前に、選択された機能の内容を表示部に表示させて、前記機能選択部により選択された機能を実行することを特徴とする。
【0022】
また、この発明は、入力部と、記憶部と、入力速度測定部と、機能選択部と、制御部とを備えた情報入力装置の情報処理方法であって、入力部によって文字を含む入力情報を入力し、前記入力速度測定部が前記入力情報を入力する速度を測定し、前記機能選択部が、前記測定された入力速度と、前記記憶部に記憶された入力速度の判定基準とを比較し、測定された入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、前記記憶部に記憶された機能選択リストの中から選択し、前記制御部が、前記入力情報と前記記憶部に予め記憶されたコンテンツ情報とを用いて、選択された機能を実行することを特徴とする情報入力装置の情報処理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、入力情報の入力速度を測定し、測定された入力速度に基づき、その入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、実行すべき機能として選択するので、利用者は、情報を入力した後に実行すべき機能を選択するための特定の入力操作を行わなくても、情報を入力する速度を異ならせるだけで、利用者の意図する機能を選択し、実行させることができ、機能選択に関する利用者の入力操作の負担を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<情報入力装置の構成の実施例>
以下、図に示す実施例に基づいて本発明を詳述する。なお、本発明はこれによって限定されるものではない。
図1に、この発明の情報入力装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
この発明の情報入力装置は、主として、制御部11,入力部21,出力部31,入力速度測定部41,機能選択部51,記憶部61とから構成される。
また、情報入力装置は、単なる独立した1つの入力装置としてではなく、パソコンやPDA,電子辞書などの携帯型の情報処理装置の一機能として実現することができる。
【0025】
入力部21は利用者が情報を入力する部分であり、従来から利用されている種々の入力装置を用いることができる。たとえば、利用者が手書きにより文字や図形等を入力するタッチパネル22や,入力する文字や機能が予め設定されているキーボード23が利用される。また、タッチパネルに文字等を入力するのにペンが用いられる。さらに、音声により文字を入力する場合は、マイク(音声入力部24)が用いられ、マイクから入力された音声は、音声認識をすることにより文字情報に変換される。
入力される情報としては、文字,図形,記号,画像,音声など種々の情報があるが、実行される機能として辞書検索処理がある場合は、少なくとも文字を含む情報が入力される。また、ペンを用いて情報を入力する場合は、タッチパネル上に描かれた手書き情報が入力情報に含まれる。
【0026】
タッチパネル22とペンを用いた手書き入力機能を有する場合は、ペンをタッチパネル上に降ろした時の時間と降ろした位置に関する情報(ペンダウン情報)が、タッチパネル22から出力され、制御部11に与えられる。
また、ペンをタッチパネル上から離した時の時間と離した位置に関する情報(ペンアップ情報)や、ペンをタッチパネル上を連続的に移動させたときの時間と位置に関する情報(描画情報)が、タッチパネル22から出力される。
【0027】
出力部31は、利用者に必要な情報を知らせる部分であり、たとえば、視覚的に情報を出力する表示部32と、聴覚的に情報を出力する音声出力部33とを用いることができる。表示部32には、たとえば、LCDや有機ELなどが用いられる。音声出力部33には、スピーカが用いられる。
【0028】
入力速度測定部41は、入力部21から入力された情報のうち、タッチパネル22から出力された情報を用いて、手書き入力される文字等の入力情報を入力する速度を測定する部分である。
たとえば、ペンがタッチパネル上に降ろされた時から次にペンがタッチパネルから離される時までの時間(T)と、ペンの移動距離(L)の情報から、入力速度(V=L/T)を算出する。この入力速度(V)は、利用者がタッチパネル上に描く1つの線分の描画速度を測定したものであり、後述する図6のペンの描画入力速度に相当する。
【0029】
あるいは、タッチパネルに対するペンダウンとペンアップを繰り返して入力されたいくつかの描画線の軌跡を、1つの文字の入力とみなし、一文字あたりの入力速度を算出するようにしてもよい。すなわち、1文字の入力開始から入力終了までの時間から、入力速度を測定する。
たとえば、「文」という文字が手書き入力される場合、この文字は4画の文字であるため、原則として4回のペンダウンとペンアップが繰り返され、4つの線分が描画されたときに一文字の入力が終了する。「文」という1つの文字の入力が終了したことは、たとえば「入力確定」操作や、ペンアップ後の未操作・未入力時間が一定時間を超えたことなどによって検出することができる。
また、「文」という文字が入力されたことは、いわゆる文字認識の技術により、描画線の軌跡を解析することにより検出できる。
【0030】
一文字あたりの入力速度は、一文字を手書き入力する時間を意味する。たとえば、「書」という文字を手書き入力するのにかかった時間が5秒であったとすると、「書」という文字の一文字あたりの入力速度は、5秒/文字である。
この発明では、このような手書き情報の入力速度の測定結果をもとに、その後に実行すべき機能が選択されることを特徴とする。
【0031】
機能選択部51は、上記したように入力速度測定部41によって測定された入力速度に基づいて、その後に実行すべき機能を選択する部分である。実行可能な候補として、複数の機能がある場合は、測定された入力速度に対応する唯一の機能が選択される。
たとえば、「書」という文字を手書き入力するのにかかった時間(入力速度)が5秒以下のとき(高速入力時)は、国語事典に記録された「書」という文字の意味内容のみを表示し(第1機能項目:処理A)、5秒よりも遅いとき(低速入力時)は、「書」という文字に関するすべての情報(総画数,読み,部首,意味などを含む)を表示させる(第2機能項目:処理B)という条件が、予め設定されていた場合において、実際に手書き入力された「書」という一文字の手書き入力速度が7秒であったとすると、機能選択部51は、上記条件を参照して、「書」という文字の手書き入力は低速入力であると判断し、その後に実行すべき機能として、処理Bを選択する。上記入力速度の条件が、後述する入力速度の判定基準に相当する。
【0032】
すなわち、上記具体例の場合、「書」という文字の手書き入力速度が所定の基準値(5秒)よりも遅かった場合は、その後、入力された「書」という文字に関するすべての情報が、表示部32に表示される。
詳細は後述するが、利用者が意図的に「書」という文字を入力する時間を速くしたり遅くしたりすることにより、「書」という文字を手書き入力する以外に、他の特別な入力操作をすることなく、その後に実行される処理を自動的に変更することもできる。たとえば、利用者が、「書」という文字の意味内容を知りたい場合は、意図的に5秒以内で速く入力し、「書」という文字の読みを知りたい場合は、5秒以上の時間をかけてゆっくり入力すればよい。
【0033】
記憶部61は、この発明の情報入力装置で利用する種々の情報を記憶する部分であり、ROM,RAM,フラッシュメモリなどの半導体メモリや、ハードディスクなどが用いられる。
記憶部61には、たとえば、入力データ62,機能選択リスト63,速度判定基準(入力速度の判定基準)64,辞書65などが記憶される。
入力データ62とは、入力部21から入力された情報であり、たとえば、キーボード23から入力された英数かななどの文字データや、タッチパネル22から入力された手書き情報(文字,図形,画像)である。
たとえば、「字」という文字が手書き入力された場合、描かれた線画データとして記憶され、制御部11による文字認識処理により文字として認識された後は文字データとして記憶される。
【0034】
機能選択リスト63は、複数個の入力速度の判定基準に関係づけられた複数個の機能項目を有し、測定された入力速度と、手書き情報の入力後に実行されるべき機能とを対応づけて記憶した情報のリストである。
たとえば、測定された入力速度(V1)が所定の基準入力速度(V0)よりも速いときに、辞書を検索して入力された文字の意味のみを表示する機能(処理A)をすることに予め設定されている場合、速度判定基準(V1≧V0)と、実行すべき機能項目=処理Aとが対応づけられて、機能選択リスト63に記憶される。
図6に、機能選択リスト63の一実施例を示す。機能選択リストは出荷前に予め設定されるか、あるいは、利用者が自ら設定できるようにすることが好ましい。その内容は後述する。
【0035】
速度判定基準64は、測定された入力速度(V1)と比較するための基準値(V0)によって規定される。機能選択部51は、入力速度測定部41によって測定された入力速度(V1)と、速度判定基準となる基準値(V0)とを比較し、測定された入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、機能選択リスト63から実行すべき処理として選択する。
この速度判定基準64は、この装置を使用する前に予め設定しておく必要があるが、一つの標準値として出荷前にデフォルト値を設定しておくことが好ましい。
【0036】
また、利用者によって、入力速度に個人差があるので、利用者が自ら速度判定基準64の数値を設定入力できるようにすることが好ましい。あるいは、手書き入力のテストモードのような機能を設け、この装置を初めて使用するときなどに利用者に所定の文字を手書き入力させることにより、利用者の入力速度を測定し、利用者固有の速度判定基準64を自動的に決定するようにしてもよい。
また、この入力速度の判定基準64の基準値は1つでなくてもよい。後述する機能選択リストの各入力モードごとに、2つの処理(A,B)を決定する入力速度の判定基準64を別々に設定してもよい。
【0037】
また、速度判定基準64を1つだけ設定した場合、その基準値(V0)を中心として、測定された入力速度(V1)が、基準値(V0)以上の場合に実行する処理Aと、基準値を下回る場合に実行する処理Bの2つの処理が設定される。
ただし、速度判定をこのような1つの基準値のみに基づいて行うのではなく、複数個の基準値(V01,V02…)を予め設定してもよい。たとえば、3つの基準値(0<V01<V02<V03)を設けた場合、測定された入力速度(V1)と、これらの基準値との大小関係によって、4通りの処理が設定される。
このとき、0<V1≦V01のとき、V01<V1≦V02のとき、V02<V1≦V03のとき、V03<V1のときの4通りにより、それぞれ利用する辞書を異ならせる4つの検索処理(A,B,C,D)を実行させるようにすることができる。
【0038】
辞書65は、いわゆる見出し語と、その見出し語に関係する情報(読み,意味,用例など)とを対応づけたコンテンツ情報であり、国語事典、英和辞典、和英辞典など、市販されているあらゆる電子的なコンテンツ情報に相当する。電子辞書は、1つでも複数個でもよい。
また、たとえば同じ種類の英和辞典でも、中学生が使用する初級者用の英和辞典や、大学生や一般人が使用する上級者用の英和辞典など、その内容(コンテンツ)が異なる英和辞典を複数個記憶してもよい。
機能選択リスト63に示された各選択処理によってどの辞書が利用されるかは、予め初期設定しておくことが好ましい。あるいは、利用者が自ら設定しておくことが好ましい。
【0039】
制御部11は、図1に示した各機能ブロックの動作を制御する部分であり、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマーなどからなるマイクロコンピュータにより実現される。各機能ブロックの機能は、ハードディスクやROM等に記録された制御プログラムに基づいて、CPUが各種ハードウェアを有機的に動作させることにより実現される。
特に、入力速度測定部41と機能選択部51は、CPUが入力部21から入力された情報を用いて、特定のプログラムを実行させることにより、その機能がCPU内部の論理素子を用いてソフトウェア的に実現される。
【0040】
また、制御部11は、図1に示した機能ブロックの動作を制御するだけでなく、この情報入力装置に実装される他の必要な機能も実行する。たとえば、手書き入力された線画が文字や記号である場合には、その手書き文字等を認識して文字データとして記憶する文字認識処理を実行する。この処理では、一般的な辞書検索モードにおいて、ペンで「書」という文字が手書き入力された場合、その文字の入力速度が測定されるとともに、文字認識処理を実行させてペンの線画の軌跡を解析することにより、手書き入力された線画が「書」という文字であることが認識される。
【0041】
また、制御部は、記憶部のコンテンツ情報(辞書65)を検索して、文字認識によって認識された文字に関連する情報を、抽出する検索処理を実行する部分でもある。さらに、機能選択部によって選択された機能の内容を表示部に表示させて、利用者にその機能の実行の承認を求める機能確定確認処理を実行する部分でもある。
したがって、制御部は、文字認識部,検索部および機能確定確認部に相当する機能ブロックを備えたものである。
【0042】
なお、検索部は、主としていわゆる辞書検索機能を実行する部分であるが、この発明では、機能選択部によって選択された機能に基づいて、その機能を実行するのに必要な前記文字に関連する情報を、コンテンツ情報から抽出する。
すなわち、コンテンツ情報が辞書である場合に、手書き入力された文字に関連する情報として辞書に記憶されているすべての情報を常に抽出するのではなく、選択された機能に基づいて、その機能に関係が深く予め設定された一部分の情報のみを、辞書から抽出する。
【0043】
<機能選択リストの説明>
図6に示した機能選択リストの一実施例について説明する。
ここでは、入力速度測定部41によって測定される入力速度の情報として3つの例を示している。
1つ目は、ペンのアップダウンの時間と位置の情報から求めたペンの描画入力速度(V1)であり、これに対する5つの入力モードの具体例(1〜5)を示している。
2つ目は、一文字を書き終わるまでの時間(入力時間:T1)、すなわち一文字当たりの入力速度であり、一文字の入力時間が早いか遅いかによって異なる機能を選択する2つの入力モードの具体例(6,7)を示している。
3つ目は、ペンの描画入力速度と一文字当たりの入力速度の両方を用い、さらに手書き入力の開始から、すべての文字の入力が終了するまでの時間(入力確定時間:Ta)を測定する具体例を示している。この場合、ペンのアップダウンの合計回数を、機能選択の判断基準に加えてもよい。
【0044】
図6では、入力確定時間(Ta)を利用して異なる機能を選択する入力モードの具体例8を示している。
このような描画入力速度V1、一文字の入力時間T1、あるいは入力確定時間Taと、これらと比較される速度判定基準64とが、機能選択部51で実行される機能選択の判断処理で用いられる。
機能選択部51は、測定された入力速度などと速度判定基準64とを比較し、図6の機能選択リスト63を参照して予め設定された入力モードに対応づけられた2つの処理(AまたはB)のいずれかを選択する。
【0045】
図6の「入力モード」は、利用者が手書き文字を入力する前に予め設定されるモードを意味し、手書き文字の入力速度に対応して切り替えたい機能をどれにするかを、利用者が予め設定するためのモードである。
たとえば、利用者は、今から入力する手書き文字の入力速度によって表示される文字のサイズを異ならせたい場合は、入力モードとして、表示サイズの変更モード(入力モード1)を予め選択する操作をする。
この入力モードの選択操作は、たとえば、入力モードの選択用表示画面を表示部に表示させて、キーボードのカーソルキーや特定のキーの入力か、あるいは表示画面上でタッチパネルの所望の位置をタッチすることにより行えばよい。
【0046】
表示サイズの変更モード(入力モード1)が選択された場合は、その後に入力される手書き文字の入力速度によって、図6に示した処理A−1かまたは処理B−1のどちらかの機能が選択されることになる。
また、出力付加機能変更モード(入力モード4)が選択された場合は、その後に入力される手書き文字の入力速度によって、処理A−4かまたは処理B−4のどちらかの機能が選択される。
【0047】
次に、図6の各入力モードの選択処理について説明する。
まず、入力モード1は、「表示サイズの変更モード」であり、機能選択部51は、ペンの描画入力速度(V1)を確認して、この入力速度V1が速度判定基準64の基準値よりも速いか遅いかを判断する。
【0048】
入力速度V1が基準値よりも速い場合は、利用者は手書き文字を速く書いたので、その文字の意味内容を知りたいと考え、処理A−1を選択する。
処理A−1は、手書き入力された文字を文字認識して、その認識された文字データに対応して辞書65に記録されている意味内容等を表示する処理である。このとき、意味内容等をできるだけ表示画面に多く表示させるために、表示する文字のサイズを縮小して表示する。表示する文字のサイズは縮小表示用に予め設定されたサイズでもよいし、意味内容がすべて表示画面内に表示されるようなサイズに自動調整してもよい。
【0049】
一方、入力速度V1が基準値よりも遅い場合は、利用者は手書き文字をゆっくり書いたので、入力文字のスペルに自信がないと考え、その入力文字の確認表示をさせるための処理B−1を選択する。
処理B−1では、手書き入力された文字を、その文字サイズをできるだけ大きく拡大して表示させる。すなわち、入力された文字を手書きされた線画そのままの形態で、表示部に表示させる。これにより、入力文字を拡大して表示させるので、利用者は、自ら入力した文字が意図したものかを容易に確認できる。
【0050】
このとき、表示を見て入力した文字が意図したとおり正しく入力したものであると利用者が判断した場合は、所定の入力操作をすることにより、たとえば文字認識や辞書検索の処理をすることができる。逆に表示された入力文字が意図したものとちがうと考える場合は、辞書検索等の処理を実行せずに、再度手書き文字を入力し直すようにしてもよい。
【0051】
次に、入力モード2は、「辞書検索モード」であり、ペンの描画入力速度(V1)の速さに対応して、検索に利用する辞書を異ならせるモードである。
ここで、入力速度V1が所定の基準値よりも速い場合は、辞書の検索に習熟した利用者の入力であると考え、処理A−2を選択する。処理A−2では、上級者用の辞書を用いて、入力された文字に対する検索を行い、その文字に対応づけて記録されていた上級者用辞書のコンテンツ(多数の意味,詳細な用例を含む)を表示部に表示する。この場合、利用者は、手書き文字をできるだけ速く入力することにより、その入力文字に関する多数の意味内容や詳細な用例などを、表示画面上で確認することができる。
【0052】
一方、入力速度V1が所定の基準値よりも遅い場合は、辞書の検索に習熟していない初級者の入力であると考え、処理B−2を選択する。処理B−2では、初級者用の辞書を用いて、入力された文字に対する検索を行い、その文字に対応づけて記録されていた初級者用辞書のコンテンツを表示部に表示する。この場合、利用者は手書き文字をゆっくり入力することにより、初級者用辞書に記録されているその入力文字に関する頻度の高い意味内容や最もよく使われる用例のみを、表示画面上で確認することができる。
【0053】
入力モード3は、「意味あるいは文字の確認モード」であり、ペンの描画入力速度(V1)の速さに対応して、意味内容を表示するか、あるいは、手書き入力された文字を確認する表示をするかを選択するモードである。
ここで、入力速度V1が所定の基準値よりも速い場合は、利用者は入力文字あるいは単語などの意味内容を知りたいと考え、処理A−3を選択する。処理A−3では、所定の辞書を用いて入力された文字に対する検索を行い、その入力文字に対応づけて記録されていたコンテンツを表示部に表示させる。
【0054】
一方、入力速度V1が所定の基準値よりも遅い場合は、利用者は入力した文字のスペルを確認したいと考え、処理B−3を選択する。処理B−3では、入力された文字あるいは単語の文字認識を行い、入力した文字の認識結果を表示部に表示させる。あるいは、文字認識によって、入力文字を1つには特定できず、入力された文字に近似する候補が複数個ある場合は、その近似する候補を一覧表示してもよい。
【0055】
たとえば、「skate」という文字列を、利用者が速度判定基準の基準値を越えるゆっくりした速度で手書き入力したとすると、処理B−3が選択される。そして、処理B−3では、入力された「skate」を文字認識し、認識された結果、「skate」のスペルに近似する他の単語候補(たとえば、skirt,scootなど)も、同時に表示させる。このとき、単語候補の見出しだけでなく、代表的な意味内容も同時に表示してもよい。
この後、利用者がリスト表示された複数個の単語候補を見て、入力したかった目的の単語のスペルが存在する場合は、その目的の単語を選択する操作をして、その目的の単語の意味などを表示するようにしてもよい。これにより、入力文字に近似する単語候補をリスト表示するので、利用者は、スペルに自信のなかった単語の正しいスペルを探し出すことができる。
【0056】
入力モード4は、「出力付加機能変更モード」であり、ペンの描画入力速度(V1)の速さに対応して、出力する機能を異ならせるモードである。
ここで、入力速度V1が所定の基準値よりも速い場合は、習熟した利用者の入力であると考え、処理A−4を選択し、所定の辞書検索を行って、入力された文字の意味内容のみを表示部に表示させる。
一方、入力速度V1が所定の基準値よりも遅い場合は、初級レベルの利用者の入力であると考え、入力された文字を確認するために処理B−4を選択する。処理B−4では、たとえば、文字認識処理をした後、認識された入力文字のスペルを表示するとともに、その認識された文字の読みを、スピーカから音声出力する。
【0057】
これにより、単語のスペルに自信のない初級者が、その単語をゆっくり入力した場合には、入力した単語のスペルを表示画面上で確認するとともに、その発音も確認することができる。
また、利用者が単語のスペルはわかっているが、発音を知りたい場合に、そのスペルのわかっている単語を利用者が意図的にゆっくり入力することにより、自動的に処理B−4が実行され、発音を聞くための別の入力操作をしなくてもその単語の発音を聞くことができる。
【0058】
入力モード5は、「表示内容の変更モード」であり、ペンの描画入力速度(V1)の速さに対応して、入力文字の類似文字を一覧表示するか、あるいは認識した入力文字に対するコンテンツの詳細表示をするかを選択するモードである。
ここで、入力速度V1が所定の基準値よりも速い場合は、処理A−5を選択する。処理A−5では、利用者は入力文字に関係する文字の概要を調べたいと考えて、入力文字と、その入力文字に類似する他の文字候補を、リストとして表示させる。
【0059】
一方、入力速度V1が所定の基準値よりも遅い場合は、処理B−5を選択する。処理B−5では、利用者は入力文字に関するコンテンツの詳細を知りたいと考え、その入力文字の詳細表示をさせる。たとえば、入力文字についての辞書に含まれる情報のすべて、たとえば読み,画数,意味内容,用例などを表示させる。
【0060】
図6の5つの入力モード(1〜5)では、測定されたペンの描画入力速度(V1)が、判定基準の基準値よりも速いか遅いかで、2つの処理(A,B)を選択しているが、測定された入力速度(V1)が基準値に等しいときは、2つの処理(A,B)のうち、予めどちらの処理をするかを設定しておけばよい。
【0061】
また、文字の入力速度は利用者の特性(習熟度,年令など)によって異なるので、利用者が速く入力したつもりでも速度判定の基準値よりも遅いと判定され、予期しない処理が選択される場合もある。したがって、速度判定の基準値は一意的に固定した数値を利用するのではなく、利用者の特性に適合した数値を、利用者自ら設定できるようにすることが好ましく、また各入力モードごとに異なる基準値を設定できるようにしてもよい。
さらに、2つの処理(A,B)のうち、利用者が予期しない処理が実行されてしまった場合は、キーボードの特定のキー入力操作をすることにより、他方の処理が実行されるようにしてもよい。
【0062】
次に、入力モード6は、「表示内容の変更モード」であり、入力された一文字の入力時間(T1)に対応して、表示部に表示させる内容を異ならせるモードである。
たとえば、「文」のような画数の少ない文字は、その文字を入力し終わるまでにかかる時間が短いので、そのような入力が簡単な文字の場合は、処理A−6を選択し、その意味内容のみを表示するようにする。
【0063】
一方、「書」や「機」などのように画数が比較的多く、入力し終わるまでに入力判定基準の基準値よりも長い時間がかかる場合は、処理B−6を選択する。
処理B−6では、利用者はその複雑な文字の形態を確認するためにゆっくり入力したと考え、その文字の意味内容に加えて、その文字の書き順を示す表示をさせる。これによれば、利用者は文字の意味だけでなく、書き順を知ることができる。
【0064】
入力モード7は、「意味または文字の確認モード」であり、入力モード6と同様に、入力された一文字の入力時間(T1)に対応して、表示部に表示させる内容を異ならせるモードである。ここでも、画数が少なく入力し終わるまでにかかる時間の短い文字の場合は、処理A−7を選択する。
すなわち、処理A−7では、その入力文字の意味内容のみを表示する。
【0065】
一方、画数が多く入力し終わるまでに時間が長い文字の場合は、処理B−7を選択する。処理B−7では、利用者が複雑な文字の形態を画面上で確認するためにゆっくり入力したと考え、文字認識をした後、その文字の意味内容を表示するのに加えて、文字の形態を見やすくするためにその文字を拡大して表示部に表示させる。
これによれば、入力文字の意味内容とともに、文字そのものの形態を表示画面上で確認できる。
【0066】
次に、入力モード8は、「文字の処理選択モード」であり、入力確定時間(Ta)の長短によって、その後に実行する処理を選択する。この場合、手書き入力が開示されたときに、タイマーを起動させ、入力確定を意味するキー入力操作が行われたときまでの時間を測定する。
【0067】
たとえば、「book」と手書き入力した後、入力確定を意味する特定のキー入力をした場合、この入力確定時間Taが、所定の基準値よりも短かったとすると、処理A−8を選択する。処理A−8では、入力された一連の文字列「b o o k」の文字認識を行い、認識された単語「book」を文字データとして記憶し、入力された単語「book」を見出し語として辞書検索を行い、その単語の意味内容を表示させる。
一方、たとえばメモ書きのような一連の文章を手書き入力した後、入力確定を意味する特定のキー入力をした場合、手書き入力を開始した後入力確定までにかかった時間が所定の基準値よりも長かったとすると、処理B−8を選択する。
【0068】
処理B−8では、入力した一連の文章を一つの画像データとして記憶し、その画像データのまま表示部に表示させる。この場合、利用者が入力確定を意味するキー入力をしたときに、利用者が処理A−8あるいは処理B−8のどちらの処理をするべきかを示す操作を新たにすることはなく、手書き入力にかかった時間が自動的に判定されて、次に実行すべき処理(A−8またはB−8)が選択される。
【0069】
また、入力モード8において、入力確定時間の代わりに、ペンのアップダウンの回数をカウントし、このアップダウンの回数の多少によって、実行する処理(A−8またはB−8)を選択してもよい。
また、上記説明では、入力確定を意味する特定のキー入力をすることにより入力確定時間を測定するものとしたが、手書き入力が開始された後、一旦手書き入力が中止され、一定時間(たとえば、3秒間)経過しても新たな手書き入力が行われなかった場合には、その一定時間が経過する前に入力が確定していたものとみなし、入力確定時間を特定するようにすれば、入力確定を意味する特定のキー入力を省略することができる。
【0070】
図6に、8つの入力モードに対応する機能選択リストの一実施例を示したが、手書き入力の入力速度を判定条件として、2種類の機能(AまたはB)のどちらかを選択することを示す具体例を示したものであって、入力モードの種類や、選択によって実行される機能の処理内容は、これに限定されるものではない。
一組の初期設定として、図6のリストが予め記憶部に記憶されていたとしても、利用者の利用形態に応じて、実際に処理Aまたは処理Bとして実行される処理の内容を、利用者の意図するものに変更できるようにしてもよい。これによれば、選択される処理内容を利用者が自ら意図したものとすることができるので、利用者が意図的に手書き文字の入力速度を調整することにより、入力操作を省略することができるとともに、利用者の意図した適格な処理を実行させることができる。
【0071】
なお、入力情報の一つの例である手書き入力された文字等の入力速度に基づく判定条件を示したが、他の入力手段を用いて入力された文字等の入力速度に基づいて、自動的に機能を選択するようにしてもよい。
たとえば、他の入力手段としては、前記したように、キーボードやマイクがあり、キーボードから入力される文字等の入力速度やマイクから入力される音声の入力速度に基づいて、機能を選択するようにしてもよい。
【0072】
キーボードによる文字の入力速度は、利用者が所望の語句や文章をキーで打ちはじめてから終了するまでの時間と考えることができ、図6に示した一文字の入力時間や入力の確定時間に相当する情報として測定される。
また、音声の入力速度も、所望の語句や文章について利用者が発声を開始してから終了するまでの時間と考えることができ、この場合も、図6の一文字の入力時間や入力の確定時間に相当する情報として測定される。
【0073】
たとえば、キーボードを用いて語句(単語)を入力する場合、その単語を入力しはじめてからその入力が終了するまでの時間が所定の基準時間よりも短いとき、すなわち、キーボードによる入力速度が速いとき、図6の処理A−1から処理A−5の5つの処理のうちいずれかの処理を実行するようにすればよい。
また、単語を入力しはじめてからその入力が終了するまでの時間が所定の基準時間よりも長いとき、すなわちキーボードによる入力速度が遅いとき、図6の処理B−1から処理B−5の5つの処理のうちいずれかの処理を実行するようにすればよい。
【0074】
また、キーボードにより、文章が入力される場合、入力された文字列の中にスペース等の区切り文字があることを確認したときに文章が入力されていると判断し、その一連の文字列の入力開始から入力終了までにかかる時間が所定の基準時間よりも短いとき(入力速度が速いとき)、たとえば文章全体の翻訳処理をして、その翻訳文を表示する機能を選択するようにする。
一方、その文章に相当する一連の文字列の入力開始から入力終了までにかかる時間が所定の基準時間よりも長いとき(入力速度が遅いとき)、文章中の各単語の意味あるいは読み等の情報を表示する機能を選択するようにすればよい。
【0075】
また、音声で語句または文章を入力する場合も、同様にその入力速度によって、選択する機能を異ならせることができる。
たとえば、利用者が音声で語句の入力をしようとする場合、まず語句を音声で入力することをキーボード等を使って入力し、その後、その語句を音声でマイクに向かって発声する。
この発声の開始から終了までの時間を測定し、所定の基準時間よりも短いとき(入力速度が速いとき)、図6の処理A−1からA−5までの5つの処理のうちいずれかの処理を実行し、所定の基準時間よりも長いとき(入力速度が遅いとき)、図6の処理B−1からB−5までの5つの処理のうちいずれかの処理を実行するようにすればよい。
このとき、入力された音声は、音声認識処理により文字に変換して、確認のために、変換後の文字の表示およびその文字に対する音声をスピーカから出力してもよい。
【0076】
また、利用者が音声で文章を入力しようとする場合、文章を音声で入力することをキーボード等を使って入力し、その後、その文章を音声でマイクに向かって発声する。
この発声の開始から終了までの時間を測定し、所定の基準時間よりも短いとき(入力速度が速いとき)、たとえば、入力された文章の音声を音声認識して文字列に変換した後、その文字列からなる文章全体を翻訳し、翻訳文を表示すればよい。
一方、発声の開始から終了までの時間が所定の基準時間よりも長いとき(入力速度が遅いとき)、音声認識した後、その文章中の各単語の意味あるいは読みの情報を表示するようにしてもよい。
【0077】
以下の実施例では、主として手書き入力される文字等の情報の入力速度や入力時間に基づく処理を記載しているが、キーボードや音声を用いて入力される文字等の入力速度や入力時間に基づくものに読み替えることができる。
また、音声で語句または文章を入力する場合も、同様にその入力速度や入力時間によって、選択する機能を異ならせることができる。
【0078】
<情報入力装置の機能説明>
図2に、この発明の情報入力装置の主要機能の一実施例の概略フローチャートを示す。
このフローチャートでは、手書き入力操作によって実現されるこの発明の特徴的な機能の部分のみを示している。
まず、ステップS1において、入力モードの選択処理を行う。
ここでは、制御部11が、所定の入力モード選択画面を表示部32に表示させ、利用者によって入力モードが入力されるのを待つ。
【0079】
ここで、たとえば、図6に示したような8つの入力モードの項目名を表示部32に表示させる。そして、利用者は、表示された項目名の部分をペンでタッチ入力するか、または、入力モードの番号をキーボードから入力する。
このような入力モードが選択入力されることにより、図6に示したように、以後の手書き入力処理をしたときに利用される判断機能と選択処理が決定される。
たとえば、「入力モード」として、番号2が入力されたとすると、図6の入力モード2の「辞書検索モード」が選択され、その後の手書き文字の入力速度によって、処理A−2かまたは処理B−2のいずれかが選択されることになる。
【0080】
次に、ステップS2において、利用者によって文字などの手書き入力が行われたとすると、タッチパネル22からの情報が、制御部11を経由して、入力速度測定部41に送られ、手書き文字の入力が始まったことが検出され、その入力速度SPが測定される。
このステップS2の具体的な処理の2つの実施例を、図4と図5のフローチャートに示す。入力モード1〜5の場合は図4のフローチャートにより測定が実施され、入力モード6と7の場合は図5のフローチャートにより測定が行われる。詳細は後述する。
たとえば、入力モード2の場合は、図4のフローチャートに従ってペンの描画入力速度(V1)が測定される。なお、手書き入力された文字などは、入力データ62として記憶部61に記憶される。
【0081】
次に、ステップS3において、機能選択部51が、測定された入力速度を判定する。
入力速度の判定は、測定された入力速度(V1)と、記憶部61に予め記憶されている速度判定基準64との比較によって行われる。この判定基準64の基準値が1つの場合は、入力速度が基準値より速いか遅いかが判断される。
ステップS4において、機能選択部51が、上記判定に基づいて、実行する機能を選択する。図6の場合は、入力速度(V1)が基準値より速いか遅いかによって予め定められていた2つの処理(A,B)のうち、上記判定結果に対応した処理を選択する。
たとえば、入力モード2の場合において、入力速度V1が基準値よりも速いと判断された場合は、図6のリストにおいて対応する処理A−2が選択される。この後、制御部11は、ステップS4で選択された処理A−2の処理内容を、所定のプログラムに基づいて実行する。
【0082】
図3は、図2のフローチャートを、図6の入力モード2に対応づけて記述したものである。
図3において、ステップS1とS2は、図2と同一である。
図3のステップS3は、図2のステップS3に対応するものであり、ペンの描画入力速度V1と、速度判定基準64の基準値(基準速度SP0)と比較している。
【0083】
ステップS3において、入力速度V1>基準速度SP0の場合、その入力速度V1は高速であると判定され、ステップS4−1へ進み、図6に示された処理A−2を選択する。このとき、上級者用の辞書を選択して、辞書検索が行われる。
一方、入力速度V1≦基準速度SP0の場合、その入力速度は低速であると判定され、ステップS4−2へ進み、図6に示された処理B−2を選択する。このとき、初級者用辞書が選択され、辞書検索が行われる。
【0084】
図4は、図2のステップS2の詳細な処理の一実施例のフローチャートである。
この処理は、図6の入力モード1〜5で用いられるペンの描画入力速度V1を測定することに対応する。
ステップS11において、制御部11が、ペンがタッチパネル上に降ろされたか否か(ペンダウン)をチェックする。ペンダウンされたことが検出されると、ステップS12へ進む。
【0085】
ペンがタッチパネル上に降ろされたか否かは、タッチパネルから送られてくるペンダウンされた位置を示す信号をチェックすることにより確認できる。
ステップS12において、ペンダウンが検出されたので、その検出された時間を記憶し、タイマーを起動させて、ペン入力時間T1の測定を開始する。
【0086】
ステップS13において、ペンがタッチパネル上に降ろされた位置(X,Y座標)を特定し、その位置情報をペン移動の始点として記憶する。そして、ペンの移動距離L1の測定を開始する。
ステップS14において、ペンがタッチパネルから離されたか否か、チェックする。タッチパネルからペンアップを示す信号を受信するかあるいは、ペンがタッチパネルに接触している位置を示す信号が受信されなくなったとき、ペンがタッチパネルから離されたと判断する。
【0087】
フローチャートには示していないが、ステップS14で、ペンアップが検出されるまでに、ペンがタッチパネル上を移動させられたとすると、タッチパネルから移動した位置を示す信号が一定時間間隔で送信され、記憶部に記憶される。ペンアップが検出されるまでに受信された複数個の位置信号を確認することにより、ペンの軌跡と移動距離がわかる。
【0088】
ステップS15において、ペンアップされた時間を記憶し、ペンの入力時間T1の測定を終了する。ペンダウンによって測定を開始した時間と、ペンアップされた時間の差が、ペンダウンからペンアップまでの1ストローク当たりのペンの入力時間T1となる。
ステップS16において、ペンアップされた位置を示す信号から、ペンアップされた位置を特定し、ペンの移動距離L1の測定を終了する。このとき、ステップS13でペンダウンによって測定を開始したときの位置を示す信号と、ペンの移動時に取得された位置を示す信号と、ステップS16で取得されたペンアップのときの位置を示す信号とから、1ストローク当たりのペンの移動距離L1が求められる。
【0089】
ステップS17において、ペンダウンからペンアップまでの1ストローク当たりの入力速度SP1を算出し、記憶部に記憶する。
この入力速度SP1は、ステップS15とS16で求めた入力時間T1と移動距離L1とから、SP1=L1/T1によって、算出される。
【0090】
ステップS18において、手書き文字の入力が終了したか否かチェックする。
文字の入力が終了したか否かは、たとえば、ペンアップ後の未操作・未入力時間が一定時間を超えた場合や、「入力確定」操作によってチェックすることができる。
文字の入力がまだ継続している場合は、ステップS11へ戻り、再度ステップS11からS17までの処理を実行し、次のペンダウンからペンアップまでのストロークについて、入力速度を算出する。
このように、文字の入力が終了するまで、ステップS11からS17までの処理を繰り返し、各ストロークごとの入力速度SP1を測定し、記憶する。
【0091】
ステップS18において、文字入力の終了が確認されると、ステップS19へ進み、各ストロークごとに測定した入力速度SP1を用いて、入力した一文字当たりの入力速度V1を算出し、記憶する。たとえば、一文字当たりの入力速度V1は、複数個の入力速度SP1を平均することにより求められる。
以上により図6に示したペンの描画入力速度(V1)が求められる。
【0092】
図5は、図2のステップS2の文字入力速度の測定の他の実施例のフローチャートである。ここでは、図6の入力モード6と7で用いる一文字の入力時間T1を測定することに対応する。
ステップS21において、手書き文字の入力が開始されたことを検出する。文字入力が開始されたか否かは、たとえば、ペンダウンを確認することによって、開始されたと判断することができる。
【0093】
ステップS22において、入力開始からその一文字を入力し終わるまでの時間を示す文字入力時間T1の測定を開始する。たとえば、タイマーを起動させる。
ステップS23において、一文字の入力が終了したか否かをチェックする。入力の終了は、たとえば、ペンアップ後の未操作・未入力時間が一定時間を超えた場合や、「入力確定」操作をすることにより判断できる。文字の入力がまだ続いているときは、ステップS23を繰り返す。文字の入力が終了したと判断した場合は、ステップS24へ進む。
【0094】
ステップS24において、一文字の入力が終了したので、文字入力時間T1の測定を終了し、ステップS25において、その終了時点のタイマーの値を一文字当たりの入力時間T1として記憶する。
この一文字当たりの入力時間T1が、一文字当たりの入力速度(秒/文字)に相当する。
以上により、図6に示した一文字当たりの入力時間T1が求められる。
【0095】
<手書き入力に基づく機能選択の具体例>
以下に、上記したような本願の手書き入力の入力速度を測定することによって、その後に実行される機能の選択処理についての具体例を、いくつか説明する。
【0096】
<具体例1>
ここでは、図6に示した入力モード3(意味/文字の確認モード)の場合の機能選択処理について示す。一つの実施例として、「skate」という単語を手書き入力する場合を説明する。
入力モード3の速度判定基準として、たとえば「5mm/秒」を入力速度の基準値SP0に予め設定していたとする。入力モード3の状態で、利用者が、「skate」という単語の意味を調べたいと考え、ペンで「skate」という文字列を手書き入力したとする。
このとき、「skate」という文字列を書き終わるまでにかかった時間T1が「3秒」で、この文字列を描いた軌跡の移動距離L1が「21mm」であったとすると、描画の入力速度V1は、21/3=7(mm/s)となる。すなわち、実際の測定された入力速度V1は7(mm/s)であり、速度判定基準の基準値SP0(5mm/s)よりも速い。
【0097】
この場合は、利用者は手書き入力された文字列の意味を調べるために速く入力したと考えられ、図6の入力モード3の条件から、処理A−3が選択される。そして処理A−3が実行されると、まず、入力された文字列の文字認識が行われ、「skate」という文字データが生成され、この文字データを見出し語として、辞書検索が行われる。
その結果、図7に示すように、「skate」という見出し語に対応づけられて英和辞典に記憶されている意味内容が表示される。
【0098】
一方、利用者が「skate」という文字列をゆっくり入力したため、「skate」という文字列の入力速度が基準値SP0(5mm/s)よりも遅かった場合は、図6の入力モード3の処理B−3が選択される。
この場合、利用者は「skate」という単語のスペルに自信がないのでゆっくり入力したと考えられるので、図7に示したように、入力した文字列のスペルを確認するとともに、入力した文字列のスペルに近似する文字列の候補をリストとして表示させる。
【0099】
図7では、入力した文字列を文字認識した結果、該当する単語と、その単語のスペルに近似するスペルを持つ単語をいくつか表示している。
この後、利用者が、表示された複数個の単語の中から、所望のいずれかの単語を選択する操作をすれば、その単語の意味内容を表示するようにしてもよい。
【0100】
<具体例2>
ここでは、図6に示した入力モード2(辞書検索モード)の機能選択処理について示す。
「入力モード2」が選択された後、「skate」という単語が手書き入力される場合について説明する。具体例1と同様に、速度判定基準として、「5mm/秒」が基準値SP0として予め設定されていたとする。
「skate」という文字列を手書き入力するのにかかった入力時間T1が3秒で、文字列を描いた軌跡の移動距離L1が21mmであったとすると、描画の入力速度V1は、21/3=7(mm/s)となる。このとき、実際に測定された入力速度V1(=7mm/s)は、速度判定基準の基準値SP0よりも速いので、図6の入力モード2の条件から、処理A−2が選択される。
処理A−2が実行されると、入力文字「skate」を文字認識した後、上級者用の辞書を用いて、見出し語「skate」の辞書検索が行われる。すなわち、手書き文字の入力速度が速いので、習熟した利用者の入力であったと考え、図8に示すようにできるだけ多くの意味内容や用例などのコンテンツ情報を表示させる。
【0101】
一方、利用者が「skate」という文字列をゆっくり入力したため、その文字列の入力速度V1が基準値SP0よりも遅かった場合は、図6の入力モード2の処理B−2が選択される。この場合、入力速度が遅いことから初級者が入力したものと考え、検索対象の辞書として初級者用の辞書を選択し、その辞書に含まれている見出し語「skate」に対応する意味内容を表示させる。
もし初級者用辞書に発音が含まれていたとすると、図8に示すように、その発音も表示する。
【0102】
<具体例3>
ここでは、入力速度の判断基準として、2つの基準値(L1,L2)を設け、測定された入力速度を3つに分類して、予め設定された3つの処理(A,B,C)のいずれかを実行する場合について説明する。
たとえば、入力速度の判断基準として、基準値L1(5mm/s)と、基準値L2(2mm/s)を設けたとする。
また、機能選択部51は、測定された入力速度V1がV1>L1(高速)のとき処理Aを選択し、入力速度V1がL2<V1≦L1(中速)のとき処理Bを選択し、入力速度V1がV1≦L2のとき処理Cを選択するものとする。
【0103】
処理Aは、手書き入力が高速(V1>5mm/s)のときに実行する処理(見出語表示)であり、国語辞典を選択し、手書き入力された文字を含む見出し語のみを列挙して表示するものとする。
処理Bは、手書き入力が中速(2〜5mm/s)のときに実行する処理(詳細内容表示)であり、国語辞典を選択し、手書き入力された文字そのものを見出し語として辞書検索をし、その意味内容を詳細表示するものとする。
処理Cは、手書き入力が低速(2mm/s以下)のときに実行する処理であり、漢和辞典を選択し、手書き入力された文字の形態に関する情報(総画数,部首,読みなど)と、意味内容とを表示するものとする。
【0104】
図9に、「書」という文字を手書き入力した場合のこの具体例3の処理選択の実施例の説明図を示す。
図9において、「書」という文字を高速で入力した場合は、処理Aが選択され、「書」という文字について、国語辞典を検索し、「書」の他に、「書」を含む他の見出し語(書きなぐるなど)を列挙して表示させる。
この後、利用者はこのリスト表示された見出し語を見て、たとえば、所望の見出し語を選択する操作をした場合には、選択された見出し語に対応づけられた意味内容を表示するようにすればよい。
利用者が高速で文字を入力すれば、その文字を含む見出し語のリストが表示されることを知っている場合には、意図的に所定の基準値L1以上の入力速度で文字を入力することにより、手書き入力以外の他の特別な入力操作をすることなく、所望の見出し語リストを表示させることができる。
【0105】
また、図9において、「書」という文字を中速で入力した場合は、処理Bが選択され、「書」という文字そのものについて国語辞典を検索し、「書」という文字に対応づけられて記憶されていた意味内容を表示させる。
このように、入力速度所定の基準値の範囲内で文字を手書き入力した場合には、意味内容を表示させるための特別な入力操作をすることなく、その文字の意味内容を確認することができる。
また、図9の具体例では、「書」という一文字について示しているが、これに限るものではなく、たとえば、「書き改める」という文字列を2つの所定の基準値の範囲の入力速度(中速)で入力した場合には、「書き改める」という見出し語に対する意味内容を表示するようにしてもよい。
【0106】
また、図9において、「書」という文字を低速で入力した場合は、処理Cが選択され、検索対象として漢和辞典を選択して、「書」を見出し語として検索する。そして、図9に示すように、「書」の文字形態を表示し、その形態に関する情報と、意味内容とを表示させる。
このように、利用者は「書」という文字を入力速度の基準値L2よりも遅く書くことにより、「書」という漢字についての形態を含む詳細な情報を確認することができる。
【0107】
具体例3では、入力速度の2つの基準値を設けて、予め設定された3つの機能のうちいずれかを選択する実施例を示したが、これと同様の考え方をすれば基準値を3つ以上設けて、予め設定された4つ以上の機能のうちいずれかを選択するようにしてもよい。
ただし、多数の基準値を設け選択する機能が増えた場合は、利用者がどの速度で手書き入力すればどの処理が実行されるかがわからなくなるおそれがあるので、利用者の操作容易性の観点からは選択する処理は少ない方が好ましい。また、選択可能な機能が多数の場合は、選択された機能を実際に実行する前に、今から実行しようとする機能の内容を表示して、利用者に確認してもらい、承認を受けた後に、利用者が意図した機能である場合に実行するようにしてもよい。これは、上記した機能確定確認部の処理に対応する。
【0108】
図10に、具体例3の機能選択処理の一実施例のフローチャートを示す。
まず、ステップS31において、入力モードの選択と、利用する辞書の選択を行う。この選択は、表示部に所定の選択画面を表示させて、利用者がキーやペン等を用いて所望の入力モードと使用する辞書とを選択する操作を行うことにより実行する。たとえば、図9に示した実施例では、国語辞典と漢和辞典とを使用する辞書として選択する。
【0109】
ステップS32において、現在、入力速度の測定を行って自動的に機能選択を行わせるモードに設定されているか否かを、チェックする。このモードであるか否かを判断するためのフラグFを予め用意し、このフラグFの値によってこのモードであるか否かをチェックすればよい。たとえば、このフラグFが設定値「0」であれば入力速度を測定しないモードとし、このフラグFが設定値「1」の場合は入力速度を測定してその入力測定に基づいて所定の機能を選択するモードとする。
この発明の特徴とする入力速度の測定をする場合は、フラグFを「1」に予め設定しておく。
【0110】
したがって、ステップS32において、たとえばフラグFが「0」のとき入力速度の測定を行わないモードであるので、ステップS41へ進む。
ステップS41において、手書き入力された文字の検出を行う。
次に、ステップS42において、予め設定されていたデフォルト機能を選択し、その機能として予め設定されている処理を実行する。たとえば、図9の処理Bがデフォルト機能として予め設定されていたとすると、検出された文字について国語辞典を用いた辞書検索を行い、詳細な意味内容の表示を行う。
【0111】
一方、ステップS32において、フラグFが「1」のとき、入力速度を測定するモードであるので、ステップS33へ進む。
ステップS33において、図2のステップS2と同様に、手書き文字の入力の検出と、その入力速度V1の測定を行う。
ステップS34において、ステップS3と同様に、測定された入力速度の判定を行う。ここでは、測定された入力速度V1と、具体例3で示した2つの基準値(L1,L2)との大小関係をチェックする。
ステップS35において、ステップS4と同様に、上記入力速度の判定結果に基づいて、実行すべき機能を選択する。具体例3の場合は、入力速度の判定結果に基づいて、図9に示した3つの処理(A,B,C)のいずれかを選択する。
【0112】
ステップS36において、確定確認モードが有効となっているか否かチェックする。
ここで、確定確認モードとは、ステップS35で選択された機能が、利用者が意図した機能であるか否かを利用者に確認してもらうモードを意味する。確定確認モードが有効(YES)の場合、ステップS38へ進み、無効(NO)の場合はステップS37へ進む。
確定確認モードについても、フラグを予め設定しておき、そのフラグの値により確定確認モードか否かを判断すればよい。
確定確認モードが無効(NO)の場合は、ステップS35で選択された機能が利用者の確認なしで自動的に採用され、ステップS37において、選択された機能に予め対応づけられた処理が実行される。たとえば、手書き文字の入力速度が遅く、処理Cが選択されたとすると、利用者の確認なしに、処理Cが自動的に実行される。
【0113】
一方、確定確認モードが有効(YES)となっている場合は、ステップS38において利用者に確認を求めるために、ステップS35で選択された機能の内容を表示部に表示し、利用者の選択承認キーの入力を待つ。
たとえば、ステップS35で処理Aが選択された場合、「入力文字「書」を含む見出し語のリストを表示してもよいか」という旨のメッセージを表示部に表示させる。
【0114】
ステップS38において、利用者が表示部を見て、実行しようとしている機能内容を確認し、その機能を実行してもよい場合は、選択承認キーを入力する。選択承認キーとしては、たとえば「Enter」キーを用いればよい。一方、表示された機能内容が利用者の意図した機能ではない場合は、承認しないことを意味するキーの入力を行う。承認しないことを意味するキーとしては、たとえば、右カーソルキーの入力や、タッチパネル上の「否承認」あるいは「次」を示す表示部分をタッチすればよい。
【0115】
ステップS38において、選択承認キーが入力された場合は、ステップS37へ進み、選択された機能の処理内容を実行する。
一方、選択を承認しないことを意味するキーが入力された場合は、ステップS39へ進む。ステップS39へ進んだ場合は、入力速度の判定によって選択された機能は利用者が意図した機能とは異なるものであったので、予め用意されていた他の処理を選択する。
【0116】
ステップS39において、他の機能を選択するために、まだ選択されていない他の機能があるか否かチェックする。残っている場合は、ステップS40へ進み、他に選択すべき機能がない場合は、ステップS42へ進む。
ステップS40においては、次の優先順位の機能を選択して、その機能の内容を表示させる。
【0117】
図9の具体例3の場合において、入力速度の判定によって選択された機能が処理Bであったとすると、他の機能として処理Aと処理Cとがまだ残っている。
ここで、自動選択のための優先順位が、処理A,処理B,処理Cの順序に予め設定されていたとすると、ステップS40において、現在選択されている処理Bの次の優先順位である処理Cが選択される。
そして、次の処理として処理Cが選択されることを示す表示をし、ステップS38へ戻って、新たに選択される処理Cを実行してもよいか否かについて、利用者に確認を求める。以後、利用者に選択された処理が承認されない場合は、他の選択可能な処理がなくなるまで、ステップS38からS40までの処理を繰り返す。
【0118】
一方、ステップS39において他に選択すべき処理がない場合は、ステップS42へ進み、予め初期設定されていたデフォルト機能を選択して実行する。
このように入力速度によって選択されるべき機能が多数存在する場合は、選択された機能を実行してよいか否かの確定確認の判断を、利用者に求めることにより、利用者の意図した適切な処理を実行させることができる。
また、利用者が手書き文字の入力速度によって機能を選択するモードを何度も利用し慣れてきた場合には、利用者はどれくらいの速度で手書き入力すればどの機能が選択されるかが予測できるようになる場合もあるので、利用者が手書き文字の入力速度を意図的に調整することにより、機能選択のための特別な入力操作をすることなく、意図した機能を実行させることができる。
【0119】
<具体例4>
ここでは、図6の入力モード8の場合について説明する。
図11に、具体例4の処理選択の実施例の説明図を示す。
手書き入力された文字列の入力確定時間(Ta)が所定の基準値Toよりも短い場合は、図6の処理A−8を選択する。
処理A−8では、処理A−3などと同様に手書き入力された文字の文字認識を行って文字データとして記憶し、その文字データを見出し語として辞書検索を行い、たとえば入力文字の意味内容を表示させる。
【0120】
一方、図11に示すように、手書き入力された文字列が手書きメモであり、手書き入力に所定の基準値Toよりもかなり長い時間かかっている場合は、処理B−8を選択する。
処理B−8では、図11に示したような手書き入力された情報を、そのまま画像データとして記憶し、表示部に表示させる。
これにより、入力モード8に設定されている場合は、手書き入力にかかった時間によって、辞書検索処理(処理A−8)か、あるいは画像データとしての表示処理(処理B−8)のどちらか一方が自動的に選択されて実行される。
【0121】
<具体例5>
図12に、具体例5の処理選択の実施例の説明図を示す。
具体例5は、手書き文字の入力速度によって4種類の処理を選択する場合を示しており、具体例3と具体例4とを結合したような選択処理を行うものである。
すなわち、入力速度の判定基準として、図9に示した具体例3の2つの基準値(L1,L2)に加えて、それらよりも遅い基準値L3を設ける。また、具体例3の3つの処理(A,B,C)に加えて、基準値L3よりも入力速度V1が遅かった場合に選択する処理Dを設ける。処理Dとしては、具体例4の処理B−8に相当する表示処理を行う。
【0122】
この具体例5の場合、手書き文字の入力速度V1と、3つの基準値(L1,L2,L3)と比較することにより、4つの処理(A,B,C,D)のいずれかの処理を選択する。
たとえば、入力速度V1が基準値L3よりも遅い場合、処理Dを選択し、手書き入力された内容を画像データとして記憶し、表示部に表示させる。
【0123】
この具体例5の場合も、選択する処理が多いので、具体例3で説明したように、選択した処理をすぐに実行するのではなく、選択した処理内容を表示させて利用者の確認と承認を受けた後に、実行することが好ましい。
このように、予め設定された実行可能な機能が4つある場合に、利用者が実行したい機能を予め選択する操作をすることなく、手書き入力の速度を適切に変更することにより、4つの機能のうちいずれかを選択することができる。
また、4つの処理と入力速度との関係は予め固定的に設定してもよいが、利用者個人の利便性の向上のために、4つの処理内容を利用者が自らよく利用する機能に設定変更できるようにしてもよく、また、入力速度を判定する基準値の数値を利用者が設定変更できるようにしてもよい。
【0124】
<具体例6>
図13に、具体例6の処理選択の実施例の説明図を示す。
ここでは、キーボードによる入力の速度によって、選択する処理を異ならせる例を示す。
キーボードの入力速度とは、たとえば、N文字からなる単語をキーで入力するとき、最初の文字をキー入力してから、最後のN番目の文字を入力するまでにかかった時間を、文字数Nで割った平均時間(時間/文字)と定義する。この場合、図13に示す“skate”をキーで入力する場合、“s”を入力してから“e”を入力し終わるまでの時間を、文字数(=5)で割ったものが、入力速度である。
【0125】
また、文字数にかかわらず、1つの単語を入力し終わるまでの時間(時間/単語)を入力速度と定義してもよい。このとき、文字数ごとに、その文字数の単語を入力するのにかかる基準速度を予め設定しておき、文字数Nの単語を実際に入力するのにかかった時間(入力速度)が、同じ文字数Nについて設定された基準速度よりも速いか遅いかで、選択する処理を決定する。
【0126】
図13の場合、“skate”をキー入力するとき、入力する文字数は5なので、たとえば、5文字の単語を入力するのにかかる基準速度を5(秒/単語)と予め設定しておく。S,K,A,T,Eの5つのキーを入力するのに実際にかかった時間が4(秒/単語)であったとすると、キー入力速度は基準速度より速いので、処理A−3を実行する。
キー入力速度が速い場合は、キー入力した単語の意味内容を調べるモード(意味の確認モード)が選択され、入力した単語の意味内容が表示される。
【0127】
一方、5つのキー入力にかかった時間が7(秒/単語)であったとすると、キー入力速度が基準速度より遅いので、処理B−3を実行する。このように利用者がゆっくり入力した場合は、入力した単語のスペルがあいまいで正しくない場合もあると考え、複数個の文字列の候補(近似する単語)をリスト表示させる。
図13の具体例では、処理A−3,処理B−3は、図7に示したものと同じであるが、これに限るものではない。
【0128】
<具体例7>
図14に、具体例7の処理選択の実施例の説明図を示す。
ここでは、マイク(音声入力部24)を用いて、文字列(単語)を音声で入力し、その音声の入力速度によって選択する処理を異ならせる例を示す。
入力したい単語を一文字ごとに分けて、順に発音して入力する。音声の入力速度とは、たとえば、単語の最初の文字(たとえばアルファベット)から最後の文字までを発音するのにかかる時間(時間/単語)と定義する。
【0129】
図14の文字列“skate”の場合、5文字に分けて、「エス,ケイ,エイ,ティー,イー」の順に発音し、最初の「エス」から最後の「イー」までの発声にかかった時間を測定し、これを入力速度(時間/単語)とする。
また、入力した文字が何であるかを一文字ごとに認識し、その後、認識した複数個の文字データを組み合わせて、1つの文字列データを生成する。そして、この文字列データを用いて選択された処理の辞書検索などが行われる。
【0130】
この具体例7では、1つの単語を構成する文字数ごとに、予め基準速度(時間/単語)を設定しておき、その単語を実際に音声で入力するのにかかった時間(入力速度)と比較して、処理を選択する。
図14において、“skate”を音声入力するのにかかった時間が、文字数が5の基準速度よりも速い場合、処理A−2を実行する。このとき、入力された単語に対して、上級者用の辞書を用いた検索を行い、意味内容や用例などを含めた詳細情報を表示させる。
【0131】
あるいは、“skate”を音声入力するのにかかった時間が、文字数が5の基準速度よりも遅い場合、処理B−2を実行する。
このように、単語をゆっくり発音して入力した場合、入力した者は初級者であると考え、初級者用の辞書を用いて検索を行い、入力された単語の発音情報や意味内容を表示させる。
図14の具体例7において、処理A−2,処理B−2は、図8に示したものと同じであるが、これに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】この発明の情報入力装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図2】この発明の入力速度に基づく機能選択処理の概略フローチャートである。
【図3】この発明の入力速度に基づく機能選択処理の一実施例のフローチャートである。
【図4】この発明の文字入力速度の測定処理の一実施例のフローチャートである。
【図5】この発明の文字入力速度の測定処理の一実施例のフローチャートである。
【図6】この発明の機能選択リストの一実施例である。
【図7】この発明の具体例1の機能選択の説明図である。
【図8】この発明の具体例2の機能選択の説明図である。
【図9】この発明の具体例3の機能選択の説明図である。
【図10】この発明の具体例3の機能選択処理のフローチャートである。
【図11】この発明の具体例4の機能選択の説明図である。
【図12】この発明の具体例5の機能選択の説明図である。
【図13】この発明の具体例6の機能選択の説明図である。
【図14】この発明の具体例7の機能選択の説明図である。
【符号の説明】
【0133】
11 制御部
21 入力部
22 タッチパネル
23 キーボード
24 音声入力部
31 出力部
32 表示部
33 音声出力部
41 入力速度測定部
51 機能選択部
61 記憶部
62 入力データ
63 機能選択リスト
64 速度判定基準
65 辞書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を含む入力情報を入力する入力部と、
前記入力情報に関連するコンテンツ情報と、前記入力情報の入力速度の判定基準と、前記入力速度の判定基準に関係づけられた機能を選択するための機能選択リストとを予め記憶した記憶部と、
前記入力情報を入力する速度を測定する入力速度測定部と、
前記測定された入力速度と、前記記憶部に記憶された入力速度の判定基準とを比較し、
測定された入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、前記機能選択リストから選択する機能選択部と、
前記入力情報とコンテンツ情報とを用いて、前記機能選択部によって選択された機能を実行する制御部とを備えたことを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記機能選択リストは、複数個の前記入力速度の判定基準に関係づけられた複数の機能項目を有し、前記機能選択部は、前記複数の機能項目の中から、前記測定された入力速度に対応する機能項目を選択することを特徴とする請求項1の情報入力装置。
【請求項3】
前記機能選択リストは、前記測定された入力速度が前記入力速度の判定基準に予め定められた基準値よりも遅い場合に選択される第1機能項目と、前記測定された入力速度が前記基準値よりも速い場合に選択される第2機能項目とを含み、前記機能選択部は、前記測定された入力速度に基づいて、前記第1機能項目または第2機能項目のいずれかを選択することを特徴とする請求項2の情報入力装置。
【請求項4】
前記入力部により入力される入力情報は、手書き入力による文字入力と、キーボードによる文字入力と、音声による文字入力とを含むことを特徴とする請求項1の情報入力装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記入力情報に含まれた文字を認識する文字認識部と、前記記憶部に記憶されたコンテンツ情報を検索して、前記文字認識部によって認識された文字に関連する情報を抽出する検索部と、前記検索部によって抽出された文字に関連する情報を出力する出力部とを備えたことを特徴とする請求項4の情報入力装置。
【請求項6】
前記検索部は、前記機能選択部によって選択された機能に基づいて、その機能を実行するのに必要な前記文字に関連する情報を、前記コンテンツ情報から抽出することを特徴とする請求項5の情報入力装置。
【請求項7】
前記選択された機能が、前記認識された文字に関連する情報のうち意味内容を表示することである場合、前記検索部は、その機能を実行するのに必要な文字に関連する情報として前記コンテンツ情報から前記認識された文字の意味内容を抽出し、
前記選択された機能が、前記認識された文字の形態を確認することである場合、前記検索部は、その機能を実行するのに必要な文字に関連する情報として前記認識された文字の形態に関する情報を抽出することを特徴とする請求項6の情報入力装置。
【請求項8】
前記入力速度測定部は、前記入力情報が手書き文字であった場合は、前記入力部にペンダウンしてからペンアップするまでの1ストロークの時間、あるいは1文字の入力開始から入力終了までの時間のいずれかを、前記入力速度として測定することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の情報入力装置。
【請求項9】
前記入力速度測定部は、前記入力情報がキーボードによる文字入力であった場合は、語句の入力開始から入力終了までの時間か、1つまたは複数の文章の入力開始から入力終了までのいずれかの時間を、前記入力速度として測定することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の情報入力装置。
【請求項10】
前記入力速度測定部は、前記入力情報が音声入力による文字入力であった場合は、語句の音声入力開始から音声入力終了までの時間か、1つまたは複数の文章の音声入力開始から音声入力終了までのいずれかの時間を、前記入力速度として測定することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の情報入力装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記選択された機能を実行する前に、選択された機能の内容を表示部に表示させて、前記機能選択部により選択された機能を実行することを特徴とする請求項1の情報入力装置。
【請求項12】
入力部と、記憶部と、入力速度測定部と、機能選択部と、制御部とを備えた情報入力装置の情報処理方法であって、
入力部によって文字を含む入力情報を入力し、前記入力速度測定部が前記入力情報を入力する速度を測定し、前記機能選択部が、前記測定された入力速度と、前記記憶部に記憶された入力速度の判定基準とを比較し、測定された入力速度に対応する判定基準に関係づけられた機能を、前記記憶部に記憶された機能選択リストの中から選択し、前記制御部が、前記入力情報と前記記憶部に予め記憶されたコンテンツ情報とを用いて、選択された機能を実行することを特徴とする情報入力装置の情報処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate