説明

情報入力装置及び画像形成装置

【課題】項目の選択を誤った場合における取り消しを、優れた操作性をもって実現する。
【解決手段】処理対象となる項目を表示するための表示パネル部53と、表示パネル部53に重ねて設けられ、操作者の接触位置を検知するためのタッチパネル部55と、を備えて構成される情報入力装置であって、タッチパネル部55によって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する表示パネル部53上の項目に係る領域に併せて、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域を、表示パネル部53上に表示させる制御を行うコントローラ部11を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルにタッチパネルを重ねて構成された表示入力部を有する情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報を表示するための表示パネルと、操作者の指等が触れた位置を検出するタッチパネルと、を重ねて構成された表示入力部を有する情報入力装置が、例えば画像形成装置や鉄道の発券機等、多様な機器で採用されている。かかる機器では、処理対象となる項目が表示パネル上に一覧表示されるとともに、操作者の指等が触れたタッチパネルの位置に対応する表示パネル上の項目に係る処理が実行されることになる(例えば、特許文献1参照)。かかる従来技術において、処理すべき項目の選択を誤った場合における取消手順としては、例えば、項目のないところまで指等をスライド移動させた後に接触状態を解く操作を行うようにしたものが知られている。
【0003】
しかしながら、上記した項目の選択取り消し手順では、表示パネル上に多数の項目が密集して配置されている場合には、各項目の表示エリアは必然的に小さくならざるを得ず、項目のないところめがけて指等をスライド移動させようと試みても、誤って隣接する他の項目に触れてしまうなど、項目の選択取り消しに係る操作が煩雑であった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−296028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、項目の選択を誤った場合における取り消しに係る操作性に難があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に着目し、項目の選択を誤った場合における取り消しを、優れた操作性をもって実現することを目的として、処理対象となる項目を表示するための表示パネルと、前記表示パネルに重ねて設けられ、操作者の接触位置を検知するためのタッチパネルと、を備えて構成される情報入力装置であって、前記タッチパネルによって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する前記表示パネル上の項目に係る領域に併せて、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域を、前記表示パネル上に表示させる制御を行う表示制御手段を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る情報入力装置によれば、表示制御手段は、タッチパネルによって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する表示パネル上の項目に係る領域に併せて、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域を、表示パネル上に表示させる制御を行うので、操作者によって選択操作された項目に係る領域と、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域が、表示パネル上に同時表示される結果として、項目の選択を誤った場合における取り消しを、優れた操作性をもって実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
項目の選択を誤った場合における取り消しを、優れた操作性をもって実現するといった目的を、タッチパネルによって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する表示パネル上の項目に係る領域に併せて、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域を、表示パネル上に表示させる制御を行う表示制御手段により実現した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明に係る情報入力装置について、同情報入力装置を搭載した画像形成装置を例示して、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
[情報入力装置を搭載した画像形成装置]
図1は、本発明に係る情報入力装置を搭載した画像形成装置の概略構成を示すブロック図、図2は、同画像形成装置における表示入力部の外観図である。
【0011】
画像形成装置は、印刷出力、ファックス送信、メール送信、又はデータ送信のうち少なくとも一つの機能が利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成されるコントローラ部11(本発明の「表示制御手段」に相当)によって制御される。このコントローラ部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、画像形成装置は、スキャナ部21、画像処理部31、エンジン部41、表示入力部51、ファクシミリ通信部81、ネットワークI/F(インタフェース)部83、並びに、HDD(ハードディスクドライブ)85を備える。
【0012】
コントローラ部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、装置全体の動作を統括制御する。
【0013】
スキャナ部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサー25を含む。スキャナ部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0014】
画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、スキャナ部21で読み取られた画像データを必要に応じて補正部33及び画像加工部35により処理し、処理された画像データを画像メモリ37に記憶したり、エンジン部41、ファクシミリ通信部81等へ出力する。補正部33は、スキャナ部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、Y補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0015】
エンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、スキャナ部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部83を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信された画像データ、ファクシミリ通信部81を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて画像を用紙に印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0016】
表示入力部51は、図1及び図2に示すように、処理対象となる項目を表示するための表示パネル部53と、表示パネル53に重ねて設けられ、操作者の接触位置を検知するためのタッチパネル55と、テンキー56やスタートキー57等が配設された操作キー部59と、を備えている。表示入力部51は、本実施例において諸機能を選択的に入力操作する際に用いられるものであり、操作者がスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、操作者による操作意図等をコントローラ部11に与える。
【0017】
操作キー部59は、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能など諸機能のなかから、所要機能のキー入力操作を操作者が選択的に実行する際に用いられるとともに、操作者が複写部数やコピー実行指令などを操作入力する際に用いられる。このため、表示入力部51上における左側方部には、コピー機能のキー入力操作を操作者が選択的に実行するために用いられるコピー機能選択キー61と、プリンタ機能のキー入力操作を操作者が選択的に実行するために用いられるプリンタ機能選択キー63と、スキャナ機能のキー入力操作を操作者が選択的に実行するために用いられるスキャナ機能選択キー65と、ファクシミリ機能のキー入力操作を操作者が選択的に実行するために用いられるファクシミリ機能選択キー67と、が備えられている。また、表示入力部51上におけるタッチパネル部53に隣接する位置に、印刷状態表示部71、送信状態表示部73、受信状態表示部75、メモリ空き状態表示部77、及びエラー状態表示部79が設けてある。さらに、表示入力部51上における右側方部には、本体がどの省電力モードで動作中であるかを表示するための省電力モード表示部80が設けてある。そして、これら各部におけるLEDの点灯又は消灯若しくは点滅状態によって、該当機能の状態等を表示するように構成されている。
【0018】
ファクシミリ通信部81は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部81は、スキャナ部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0019】
ネットワークI/F部83は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等に対する種々のデータの送受信を制御し、例えば、クライアントPC等から送信されてきた印刷データ等を受信する。
【0020】
HDD(ハードディスクドライブ)85は、スキャナ部21によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDDに記憶されている画像データは、画像形成装置内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部83を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される。
【0021】
上記のように、本発明に係る情報入力装置を搭載した画像形成装置は、操作者の操作意図に従って、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能、ワープロ機能、メール送信機能、並びにデータ送信機能等の種々の機能を実行可能なように構成されている。
【0022】
[画像形成装置に搭載された情報入力装置の動作]
次に、上述のように構成された、画像形成装置に搭載された情報入力装置の動作について、図3〜図5を参照して説明する。図3は、画像形成装置に搭載された情報入力装置の動作フローチャート図、図4乃至図5は、同情報入力装置の動作説明に供する図である。
【0023】
図3に示すように、コントローラ部11は、表示入力部51から送られてくるデータを監視することで、操作者による機能項目の選択操作が行われたか否かを判定する(ステップS11)。なお、操作者による機能項目の選択操作が行われたか否かに係る判定は、操作者が、表示パネル部53上における複数配置されている機能項目ボタンのうち、いずれかの機能項目ボタンに触れたか否かを、タッチパネル部55によって検知することを通じて実行される。また、ステップS11の判定は、操作者による機能項目の選択操作が行われるまで繰り返し行われる。
【0024】
ステップS11の判定の結果、操作者がいずれかの機能項目ボタンに触れたこと、換言すれば、操作者による機能項目の選択操作が行われた旨の判定が下されると、コントローラ部11は、当該接触位置に対応する表示パネル部53上の項目に係る領域に併せて、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域を、表示パネル部53上に表示させる制御を行う(ステップS12)。
【0025】
コントローラ部11は、表示入力部51から送られてくるデータを監視することで、機能項目の選択を取り消すための操作が操作者によって行われたか否かを判定する(ステップS13)。なお、機能項目の選択を取り消すための操作が操作者によって行われたか否かに係る判定は、操作者が触れた機能項目に併せて表示されるキャンセルボタンに、操作者が触れたか否かを、タッチパネル部55によって検知することを通じて実行される。また、ステップS13の判定では、例えば、操作者がいずれかの機能項目ボタンに接触した後、その接触状態を解いた時のタッチパネル部55上の位置が、キャンセルボタンに対応する場合に、キャンセルを受け付ける。
【0026】
ステップS13の判定の結果、操作者がいずれかの機能項目ボタンに触れた後、その接触状態を解いた時のタッチパネル部55上の位置が、当該機能項目ボタンに対応する場合、換言すれば、操作者による機能項目の選択操作が明示的に行われた旨の判定が下されると、コントローラ部11は、当該機能項目に係る処理を実行する(ステップS14)。
【0027】
一方、ステップS13の判定の結果、操作者がいずれかの機能項目ボタンに触れた後、その接触状態を解いた時のタッチパネル部55上の位置が、キャンセルボタンに対応する場合、換言すれば、操作者による機能項目の選択取り消し操作が明示的に行われた旨の判定が下されると、コントローラ部11は、当該機能項目に係る処理をキャンセルする(ステップS15)。
【0028】
上述の実施例について、図4の例に基づいてさらに詳細に説明する。操作者が図4(1)の「機能A」(例えばコピー機能)ボタンに触れると、図4(2)に示すように、「機能A」ボタンに隣接する位置に、「機能A」の選択取り消しを受け付ける「キャンセル」ボタンの領域が表示される。このとき、操作者が「機能A」ボタンの領域上で手指を離せば「機能A」の処理が実行される一方、「機能A」ボタンの領域上から「キャンセル」ボタンの領域上に手指をスライド移動させた後に離せば「機能A」の処理がキャンセルされることになる。
【0029】
[実施例の効果]
以上説明したように、本発明に係る情報入力装置によれば、操作者によって選択操作された項目に係る領域と、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域が、表示パネル上に同時表示されるので、従って、項目の選択を誤った場合における取り消しを、優れた操作性をもって実現することができる。
【0030】
[他の実施例]
次に、本発明に係る他の実施例について、図5を参照して説明する。図5は、本発明の他の実施例に係る情報入力装置の動作説明に供する図を示す。
【0031】
他の実施例では、図5に示すように、操作者が図5の「機能A」(例えばコピー機能)ボタンに触れると、「機能A」ボタンに隣接する位置に、「機能A」の選択取り消しを受け付ける「キャンセル」ボタンが拡大表示される。この場合、操作者がキャンセル操作を行う際において、「機能A」ボタンの領域上から、拡大表示された「キャンセル」ボタンの領域上に手指をスライド移動させた後に離せば「機能A」の処理がキャンセルされるので、キャンセルに係る操作性を向上することができる。
【0032】
また、図5に示す例において、操作者が「機能A」ボタンの領域に触れると、この「機能A」ボタンの領域を拡大表示するように構成してもよい。さらには、図5に示す例に代えて、操作者が「機能A」ボタンの領域上に触れると、「機能A」ボタンの領域に代えて、「キャンセル」ボタンの領域を反転表示させるように構成してもよい。この場合、操作者が「機能A」の処理実行を希望する際において、「キャンセル」ボタンの領域上から、「機能A」ボタンの領域上に手指をスライド移動させた後に離せば「機能A」の処理が実行されることになる。従って、操作者の明示的な確認操作を経た後に処理すべき機能(例えば、データを削除してしまう場合など)を選択する際に適用して好ましい情報入力装置を得ることができる。
【0033】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う省電力モード表示方法及び省電力モード表示装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0034】
すなわち、本発明に係る情報入力装置は、画像形成装置への適用に限定されることなく、表示パネルにタッチパネルを重ねて構成された表示入力部を有する、あらゆる機器に適用することが可能である。特に、携帯情報端末のように、多数の処理対象項目が要請され、かつ、入力操作も複雑になりがちな機器に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る情報入力装置を搭載した画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る情報入力装置を搭載した画像形成装置における表示入力部の外観図である。
【図3】画像形成装置に搭載された情報入力装置の動作フローチャート図である。
【図4】同情報入力装置の動作説明に供する図である。
【図5】同情報入力装置の動作説明に供する図である。
【符号の説明】
【0036】
11 コントローラ部(表示制御手段)
41 エンジン部
51 表示入力部
53 表示パネル部
55 タッチパネル部
80 省電力モード表示部
81 ファクシミリ通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる項目を表示するための表示パネルと、前記表示パネルに重ねて設けられ、操作者の接触位置を検知するためのタッチパネルと、を備えて構成される情報入力装置であって、
前記タッチパネルによって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する前記表示パネル上の項目に係る領域に併せて、当該項目の選択を取り消すためのキャンセル領域を、前記表示パネル上に表示させる制御を行う表示制御手段を備えた
ことを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報入力装置であって、
前記キャンセル領域は、前記表示パネル上の項目に係る領域に隣接した位置に表示される
ことを特徴とする情報入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報入力装置であって、
前記キャンセル領域は、前記表示パネル上の項目に係る領域に隣接した位置に拡大表示される
ことを特徴とする情報入力装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれかに記載の情報入力装置であって、
前記表示制御手段は、
前記タッチパネルによって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する前記表示パネル上の項目に係る領域を、前記表示パネル上に拡大表示させる
ことを特徴とする情報入力装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれかに記載の情報入力装置であって、
前記表示制御手段は、
前記タッチパネルによって、いずれかの項目に対応する位置に操作者が触れたことが検知されたとき、当該接触位置に対応する前記表示パネル上の項目に係る領域に代えて、前記キャンセル領域を、前記表示パネル上に反転表示させる
ことを特徴とする情報入力装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれかに記載の情報入力装置を備え、同情報入力装置から入力される操作指示情報に基づいて画像形成動作が制御されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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