説明

情報入手システム

【課題】煩雑な操作を必要とせず、情報を入手可能な情報入手システムを提供する。
【解決手段】ポスター3の裏面などに、人体を通信経路とする人体通信用の電極41,42を配置し、送受信器6が人体通信により詳細情報を送信する。これにより、人体通信機能を有するユーザ端末2を保持するユーザ1は、そのポスター3に接触するだけで詳細情報の入手が可能となるため、URL入力、バーコード認識といった入力の煩わしさがなくなる。また、ポスター3の前面に提示された簡易な情報に対応させて電極41,42を配置する。これにより、ユーザ1は、提示された情報の内、さらに詳細な情報を希望するものを選択して接触することで、ユーザが求める詳細情報を得ることができ、一方的な情報の配信とならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を通信経路とする人体通信により情報を収集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
広告する方法の1つとしてポスターなど紙媒体を用いる方法がある。ポスターを大きなサイズのものとすることで、通りがかりの人の目に付き易く、瞬間的にその内容を認知してもらえる。近年ではポスターに表示されたURL、2次元バーコードからインターネットの対象サイトへと誘導し、さらに詳細な情報の入手を促す方法もとられている。また、大画面ディスプレイを設置し、動画情報を含めた詳細な広告情報を流すといった方法もとられるようにもなってきている。
【0003】
他方、利用者が受信装置を装着し、所定の案内板の接点に触れて案内板に関連して設けられたデータ送信装置からデータを受信するデータ送受信システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−144661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紙媒体では時間を経ても人に提供する情報の内容が変わらず、さらに、詳細情報を多く伝えることができないという問題がある。URL、2次元バーコードを利用した詳細情報入手では、URL入力、2次元バーコードの認識にユーザの手間がかかるという問題がある。
【0006】
大画面ディスプレイを利用する広告では、ユーザが所望する詳細情報の入手までその場に留まって広告を見続ける必要があり、ユーザが自ら選択して詳細情報を取得することができない。特に、大画面ディスプレイを利用する広告は、設置コストがかかるという問題がある。
【0007】
また、上述したデータ送受信システムで複数のポスターを構成した場合、複数のデータ送信装置が必要になり、設置コストがかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、煩雑な操作を必要とせず、情報を入手可能な情報入手システムを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報入手システムは、人体を通信経路とする人体通信を行う携帯端末と情報提供端末を有する情報入手システムであって、携帯端末は、人体通信により情報取得要求を送信して情報を受信する送受信手段を有し、情報提供端末は、複数の情報を提示する提示手段と、複数の情報のそれぞれに対応させて配置した複数の電極と、複数の電極のそれぞれに対応させて詳細情報を格納した蓄積手段と、複数の電極の中から1つの電極を選択する切替手段と、切替手段により選択された電極を介して情報取得要求を受信したときに、選択された電極に対応する詳細情報を蓄積手段から取得し、当該詳細情報を送信する送受信手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記情報入手システムにおいて、切替手段は、時分割的に複数の電極の中から1つの電極を選択することを特徴とする。
【0011】
上記情報入手システムにおいて、切替手段は、複数の電極それぞれにおける受信レベルを検出し、検出した受信レベルに基づいて電極を選択することを特徴とする。
【0012】
上記情報入手システムにおいて、複数の電極は、複数の提示手段に挟まれて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人体を通信経路とする人体通信を行う携帯端末と情報提供端末を有する情報入手システムにおいて、提示手段が提示する複数の情報のそれぞれに対応させて複数の電極を配置し、複数の電極に対応させて詳細情報を格納し、情報提供端末の送受信手段が携帯端末の送信する情報取得要求を受信して、情報取得要求の受信に用いた電極に対応する詳細情報を送信することにより、携帯端末を保持するユーザは、提示手段に提示された複数の情報のうち、より詳しい情報が知りたい情報に触れるだけでその情報に関する詳細情報を入手することができる。
【0014】
また、切替手段により電極を選択することで、送受信手段の数を減らすことが可能となる。
【0015】
このように、本発明によれば、煩雑な操作を必要とせず、情報を入手可能な情報入手システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施の形態における情報入手システムの構成を示すブロック図である。
【図2】ユーザ端末が詳細情報を入手する処理の流れを示すシーケンス図である。
【図3】一実施の形態における別の情報入手システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す情報入手システムにおいてユーザ端末が詳細情報を入手する処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】一実施の形態におけるさらに別の情報入手システムの構成を示すブロック図である。
【図6】一実施の形態における情報入手システムの構成を別の電極構成示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態における情報入手システムの構成を示すブロック図である。同図に示す情報入手システムは、ユーザ1が保持するユーザ端末2、ポスター3、複数の電極41,42、切替器5、送受信器6、およびホスト7を備える。
【0019】
ユーザ端末2は、ユーザ1を通信経路として信号を送受信する人体通信機能、および、受信した詳細情報を表示する表示機能を有する。
【0020】
ポスター3の前面には、商品名などの簡潔な複数の情報が提示されている。ポスター3の裏側には、ポスター3の前面に提示された簡潔な情報に対応させて複数の電極41,42が配置される。
【0021】
切替器5は、電極41,42の中から1つを選択して送受信器6に接続する。
【0022】
送受信器6は、切替器5によって接続された電極41,42、およびユーザ1を介してユーザ端末2とデータの送受信を行う。ユーザ1が電極41,42に近接することにより、ユーザ端末2と送受信器6の通信経路が確立する。送受信器6は、ユーザ1が近接した電極41,42を特定し、その電極41,42に対応する詳細情報をホスト7から読み出し、ユーザ端末2へ送信する。ポスター3で提示された情報に対応させて電極41,42を配置し、電極41,42に対応させて詳細情報をホスト7に格納する。これにより、送受信器6は、ポスター3で提示された情報に対応する詳細情報をホスト7から読み出して送信することができる。
【0023】
次に、ユーザ端末2が詳細情報を受信する処理について説明する。図2は、ユーザがポスターに接触したときに、ユーザ端末2が詳細情報を入手する処理の流れを示すシーケンス図である。
【0024】
まず、ユーザ1が詳細情報を入手したい商品や情報が記載されたポスター3に接触すると、ポスター3に記載された商品や情報に対応して配置された電極41とユーザ1が近接し、ユーザ端末2と送受信器6との間の通信経路が確立する。このとき、切替器5は、電極41と送受信器6とを接続しているものとする。
【0025】
ユーザ端末2が送信する情報取得要求は、ユーザ1、電極41、および切替器5を介して送受信器6で受信され、送受信器6を経由してホスト7へ届く(ステップS201)。送受信器6が情報取得要求を受信したときは、そのとき切替器5が選択している電極41を識別する情報を取得し、選択された電極41に対応する詳細情報をホスト7に要求する。
【0026】
情報取得要求を受信したホスト7は、要求された詳細情報を送受信器6に送信する(ステップS202)。
【0027】
ホスト7から詳細情報を受信した送受信器6は、その詳細情報を分割した詳細情報の分割データを電極41、ユーザ1を介してユーザ端末2へ送信する(ステップS203)。もちろん、詳細情報を分割せず一括して送信するものでもよい。
【0028】
詳細情報の分割データを受信したユーザ端末2は、データを受信したことを示すACKを送受信器6へ送信する(ステップS204)。
【0029】
ACKを受信した送受信器6は、次の詳細情報の分割データをユーザ端末2へ送信し(ステップS205)、詳細情報の分割データを受信したユーザ端末2は、ACKを送受信器6へ送信する(ステップS206)。このように、ユーザ端末2と送受信器6はデータの欠落がないように分割データが受信されたことを確認しながら通信を行う。
【0030】
すべての詳細情報の分割データを送り終わった送受信器6は、ホスト7へ完了通知を送信し(ステップS207)、受信待機となる。
【0031】
なお、ユーザ1が電極42に接触した場合は、上記の処理と同様に、電極42に対応する詳細情報がホスト7から送受信器6に送られ、ユーザ端末2に届く。切替器5が複数の電極41,42の中から1つを選択して送受信器6に接続することで、送受信器6の数を減らすことができる。本実施の形態では、電極41,42が2つの例を示したが、これに限るものではなく、3つ以上の電極をポスター3に提示された情報に対応させて配置するものでもよい。もちろん、複数のポスターを配置し、それぞれのポスターに対して電極を1つづつ設置するものでもよい。
【0032】
図3は、本実施の形態における別の情報入手システムの構成を示すブロック図である。同図においては、電極41,42、切替器5、および送受信器6のみを示している。他の構成は、図1に示したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0033】
図3に示す切替器5は、送受信器6と複数の電極41,42との接続を選択的に切り替えるスイッチ51を備える。送受信器6は、通信を行う送受信回路61とスイッチ51の接続先を時分割的に選択する選択回路62を備える。選択回路62は、一定時間間隔で電極41,42のどちらかが送受信回路61と接続するようにスイッチ51を切り替える。以下、送受信器6とユーザ端末2が通信する動作の流れを説明する。
【0034】
図4は、図3に示す情報入手システムにおいてユーザ端末2が詳細情報を入手する処理の流れを示すシーケンス図である。
【0035】
図4に示すように、選択回路62は、スイッチ51を制御して電極41,42の接続を一定時間間隔で切り替える。ユーザ端末2を保持するユーザ1が電極41,42に接触していないときは、情報取得要求は送受信器6に届くことはない。
【0036】
電極42が選択されているときに、ユーザ1が電極42に接触すると、ユーザ端末2と送受信器6との間にユーザ1、電極42を介する通信経路が確立する。その結果、ユーザ端末2が送信する情報取得要求は、ユーザ1、電極42、および切替器5を介して送受信器6で受信され、送受信器6を経由してホスト7へ届く(ステップS401)。このとき、送受信器6は、選択回路62が選択している電極42に対応する詳細情報をホスト7に要求する。通信が成立した場合、選択回路62は、通信完了まで選択期間を延長する。
【0037】
情報取得要求を受信したホスト7は、要求された詳細情報を送受信器6に送信する(ステップS402)。
【0038】
ホスト7から詳細情報を受信した送受信器6は、その詳細情報を分割した詳細情報の分割データを電極42、ユーザ1を介してユーザ端末2へ送信する(ステップS403)。
【0039】
詳細情報の分割データを受信したユーザ端末2は、データを受信したことを示すACKを送受信器6へ送信する(ステップS404)。
【0040】
ACKを受信した送受信器6は、次の詳細情報の分割データをユーザ端末2へ送信し(ステップS405)、詳細情報の分割データを受信したユーザ端末2は、ACKを送受信器6へ送信する(ステップS406)。
【0041】
すべての詳細情報の分割データを送り終わった送受信器6は、ホスト7へ完了通知を送信し(ステップS407)、受信待機となり、選択回路62は別の電極41に接続を切り替える。
【0042】
このように、選択回路62がスイッチ51を制御して送受信回路61と接続される電極41,42を一定時間間隔で切り替えることにより、送受信器6の台数を減らすことが可能となる。
【0043】
図5は、本実施の形態におけるさらに別の情報入手システムの構成を示すブロック図である。同図においては、電極41,42、切替器5、および送受信器6のみを示している。他の構成は、図1に示したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0044】
図5に示す切替器5は、複数の電極41,42に接続され、電極41,42それぞれの受信信号レベルを取得するレベル検出回路52を備える。レベル検出回路52が電極41,42のいずれかから所定の閾値以上の受信信号レベルを検出すると、その電極41,42と送受信器6とを接続し、通信経路を形成する。
【0045】
例えば、ユーザ端末2を保持するユーザ1が電極41に接触すると、レベル検出回路52は、電極41から所定の閾値以上の受信信号レベルを検出するので、切替器5は、電極41と送受信器6を接続して、電極41で受信される受信信号を送受信器6に伝送する。なお、受信信号レベルが最大の電極41,42を接続するものでもよい。
【0046】
図6は、本実施の形態における情報入手システムの別の電極構成を示す側面図である。同図に示す電極構成では、電極41,42の両面にポスター31,32をそれぞれ配置しているので、薄く構成でき、どちらの面から接触した場合も対応できるので、車内の吊り広告のような従来のポスターとの置き換えが可能である。
【0047】
したがって、本実施の形態によれば、ポスター3の裏面などに、人体を通信経路とする人体通信用の電極41,42を配置し、送受信器6が人体通信により詳細情報を送信することにより、人体通信機能を有するユーザ端末2を保持するユーザ1は、そのポスター3に接触するだけで詳細情報の入手が可能となるため、URL入力、バーコード認識といった入力の煩わしさがなくなる。また、ポスター3の前面に提示された簡潔な情報に対応させて電極41,42を配置することで、ユーザ1は、提示された情報の内、さらに詳細な情報を希望するものの選択が可能となり、一方的な情報の配信とならない。さらに、切替器5により複数の電極41,42と送受信器6との接続を切り替えることにより、送受信器6の台数を減らすことが可能となり、設置コストを削減できる。
【0048】
大画面ディスプレイを利用する場合と比べ設置面積、厚さが小さく、設置コストも安価である。
【0049】
手書き、写真を貼っただけの簡潔な広告でも詳細情報がユーザ端末2に届くので、日々変更する情報(デパート広告、ランチメニュー、ニュース配信等)に有効である。
【0050】
ユーザ端末2が情報取得要求に加えてユーザ1の様々な情報を送信することで、ユーザ1のリサーチが可能となり、ホスト7は、ユーザ1のニーズに沿った更に細かいサービスの提供も可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1…ユーザ
2…ユーザ端末
3,31,32…ポスター
41,42…電極
5…切替器
51…スイッチ
52…レベル検出回路
6…送受信器
61…送受信回路
62…選択回路
7…ホスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を通信経路とする人体通信を行う携帯端末と情報提供端末を有する情報入手システムであって、
前記携帯端末は、
人体通信により情報取得要求を送信して情報を受信する送受信手段を有し、
前記情報提供端末は、
複数の情報を提示する提示手段と、
前記複数の情報のそれぞれに対応させて配置した複数の電極と、
前記複数の電極のそれぞれに対応させて詳細情報を格納した蓄積手段と、
前記複数の電極の中から1つの電極を選択する切替手段と、
切替手段により選択された前記電極を介して前記情報取得要求を受信したときに、選択された前記電極に対応する前記詳細情報を前記蓄積手段から取得し、当該詳細情報を送信する送受信手段と、を有すること
を特徴とする情報入手システム。
【請求項2】
前記切替手段は、時分割的に前記複数の電極の中から1つの電極を選択することを特徴とする請求項1記載の情報入手システム。
【請求項3】
前記切替手段は、前記複数の電極それぞれにおける受信レベルを検出し、検出した受信レベルに基づいて電極を選択することを特徴とする請求項1記載の情報入手システム。
【請求項4】
前記複数の電極は、複数の前記提示手段に挟まれて配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報入手システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−226214(P2010−226214A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68569(P2009−68569)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】