情報再生装置および情報再生方法
【課題】再生信号の非線形な特性を低減し、再生信号の品質を向上させる。
【解決手段】情報記録媒体からの再生信号を等化し(10)、等化(10)された等化再生信号(s2)から、ビタビ検出により2値信号(s4)を検出(12)し、ビタビ検出(12)前の等化再生信号の非対称性を表す非対称情報(s11)を生成する(14)とともに、等化(10)する際に用いる等化目標値(s3)を、前記非対称情報(s11)をもとに生成して(13)、等化目標値(s3)と等化再生信号(s2)とから等化処理(11)のタップ係数を算出する(33)。
【解決手段】情報記録媒体からの再生信号を等化し(10)、等化(10)された等化再生信号(s2)から、ビタビ検出により2値信号(s4)を検出(12)し、ビタビ検出(12)前の等化再生信号の非対称性を表す非対称情報(s11)を生成する(14)とともに、等化(10)する際に用いる等化目標値(s3)を、前記非対称情報(s11)をもとに生成して(13)、等化目標値(s3)と等化再生信号(s2)とから等化処理(11)のタップ係数を算出する(33)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報を記録した記録媒体から情報再生を行なう光ディスク装置、又は磁気記録装置、又は半導体記録装置などの、情報再生装置及び情報再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなどの記録媒体に記録された情報を再生する再生信号処理装置において、記録媒体から読み出した再生信号に上下非対称性が現れることがある。たとえば、光ディスクの場合、光ディスクのピット列にレーザーが照射され、その反射光の強度の変化をもとにして記録された情報の再生が行われている。このとき、光ディスクの製造時のマスタリングで用いられる光のパワーなどの諸条件の違いにより、光ディスク表面のピットの大きさや形が変動すると、反射光の強度が変化し、再生信号に上下非対称性が現れる。
【0003】
また、光記録の分野においては、光の強度によって屈折率が変化する非線形光吸収特性または非線形光透過特性を有する超解像マスク層が成膜された超解像光ディスクを用いた高密度記録方式が研究されている。この方式では、光ディスク上に、集光スポット内の光強度が大きい、または温度が高いなどの、局所的な部分に屈折率変化をもたらすことで、光ディスク装置の光学要素である集光レンズの開口数NAと光の波長λから決まる回折限界λ/4NAよりも小さなマークを再生することができる。なお、ここでは、前記の例えば屈折率変化が起こる局所的な部分を以下では単に開口と呼ぶこととする。
【0004】
上記の非線形光吸収特性または非線形光透過特性に伴う前記開口の制御ばらつきや、集光スポット中心から開口が生成される位置のずれなどにより、再生信号の上下非対称性や短い記録ピットとその他の長さの記録ピットの再生信号上の位相にずれが生じるなどの非線形性が発生する。以下では、上記の上下非対称性や後述の非等間隔性を含めた総称として非線形性と呼ぶ。
【0005】
上記の非線形性(又は、上下非対称性)を補正する信号処理方法は、これまでにも提案されている。通常、PLL回路などによって生成される基準クロックに同期した、等化後の再生波形のサンプリングデータは、光ディスクでの符号間干渉を前提として得られるパーシャルレスポンス特性に対応した多値レベルに分離される。これら多値に分離された平均値に、前記ビタビ検出器の判定基準レベルを合わせて復号される。非特許文献1によれば、上下非対称な再生波形をディジタルサンプリングした再生波形データから、記録データ列のパターンに対応する等化器の出力の平均値を算出する。この平均値をビタビ復号器での判定基準レベルとして用いる。
【0006】
これにより、等化器から出力された等化再生信号が上下非対称な場合、前記平均値に合わせるようにビタビ復号器の判定基準レベルが非対称若しくは非等間隔に設定されるので、ビタビの判定誤りが軽減され、再生性能を改善することができる。
【0007】
また、等化器に入力する再生信号の平均値に基づいて、等化器に入力される再生信号の非線形性の度合いを表す情報(非線形情報)を抽出し、これに基づいてビタビ検出の判定基準レベルを決定したり、等化器のタップ係数を更新する方法が示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−300023号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys. Vol.41(2002)pp.1789−1790.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1の方法では、ビタビ復号器の判別基準レベルが非対称や非等間隔に設定されたことによって、前記判定基準レベルの間隔が狭くなる箇所が生じ、狭くなった判定基準レベル間で、ディジタルサンプリングした再生波形データの値の判定誤りを引き起こすという問題がある。
【0011】
また、特許文献1では、ビタビ検出の判定基準レベルや等化器のタップ係数の更新処理に用いる再生信号の非線形情報は、等化器に入力される前の再生信号、すなわち等化が施される前段階の再生信号を用いているため、特に符号間干渉が大きくなる高密度光ディスクシステムでは、ディジタルサンプリング後のデータの分布がビタビ検出器の判定基準レベルから大きく異なるため、非線形情報の正確な抽出が困難となり、誤り率が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の情報再生装置は、
情報記録媒体からの再生信号を等化する等化器と、
前記等化器で等化された等化再生信号を入力とし、ビタビ検出により2値信号を検出するビタビ検出器と、
前記ビタビ検出器に入力される等化再生信号の非対称性を表す非対称情報を生成する非対称情報検出手段と、
前記等化器における等化目標値を、前記非対称情報をもとに生成する目標信号生成手段と、
前記等化目標値と前記等化再生信号とから前記等化器のタップ係数を算出するタップ係数算出器と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非線形な特性をもつ再生波形について、誤り率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1の情報再生装置のブロック図である。
【図2】非線形性を有する再生信号の一例を示す図である。
【図3】等化器へ入力される再生信号のサンプリングデータのヒストグラム例である。
【図4】非線形が残留した等化再生信号のサンプリングデータのヒストグラム例である。
【図5】本発明の実施の形態1の別構成の情報再生装置の概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1の別構成の情報再生装置の概略構成図である。
【図7】本発明の実施の形態1の情報再生装置の上下非対称な等化再生信号と等化目標を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態2の情報再生装置のブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2の情報再生装置の第1のFIR回路と第2のFIR回路で生成される出力信号を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態2の情報再生装置の上側検出回路と下側検出回路で生成される出力信号を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態2の情報再生装置で生成される等化目標の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下、図を用いて、本発明に係わる情報再生装置及び方法の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる情報再生装置を示した概略構成図である。
図示の情報再生装置は、光ヘッド2と、A/D変換器10と、等化器11と、ビタビ検出器12と、PRでコーダ20と、非対称情報検出手段14と、目標信号生成手段13と、非対称情報検出手段14と、減算手段22と、タップ係数算出器33とを有する。
【0017】
情報データが記録された光ディスク1に、光ヘッド2でレーザー光を照射し、光ディスク1の情報記録面上に回折限界近くまで絞られた集光スポットを形成し、その反射光の光量変化を電気信号に変換した再生信号を出力する。
【0018】
A/D変換器10は、光ヘッド2から出力されたアナログの再生信号を、基準クロック信号に同期サンプリングしたディジタル信号s1(以後は、再生信号s1と呼ぶ)に変換する。
等化器11は再生信号s1を入力とし、再生信号の波形等化を行う。
【0019】
等化器11は、ディジタル信号処理として一般的に用いられる、タップ係数が可変なFIRで構成されていて、N個のタップ係数を有しているとする。ここでは、タップ係数CN(k)、CN−1(k)、・・・C1(k)と入力信号s1の畳み込み演算が行われ、これが等化器11から出力される。タップ係数は、後述のように、タップ係数算出器33で算出される。
等化器11から出力された等化再生信号s2は、ビタビ検出器12に入力されて、ビタビアルゴリズムによってデータ検出されて検出データs4として出力される。
【0020】
PRデコーダ20は、ビタビ検出器12からの検出データs4を入力とし、PR(パーシャルレスポンス)クラスに対応した理想のパーシャルレスポンスs9を生成する。
【0021】
タップ係数算出器33は、等化目標s3に基づいて、等化器11のタップ係数を逐次更新して、これにより、等化器11に、パーシャルレスポンスの特性に近づくように再生信号s1を等化させる。
ビタビ検出のPRクラスは、理想再生信号の周波数特性に近いものを選択する。タップ係数の更新処理にはLMS(Least Mean Square)法やRLS(Recursive Least Square)法などを応用する。
【0022】
減算手段22は、等化目標s3と、等化再生信号s2の差分を求め、誤差信号s13を生成する。
【0023】
タップ係数算出器33は、誤差信号s13から例えば上記LMS法のアルゴリズムに基づいて等化器11のFIRのタップ係数を算出する。タップ係数算出器33で生成されたタップ係数は、等化器11のFIRのタップ係数として逐次設定されて、等化器11のフィルタ特性を更新する。
【0024】
一般的なLMS法などの手法では、目標信号生成手段13から出力される等化目標s3と前記等化再生信号s2との誤差が最小に近づくように、等化器11のタップ係数を逐次更新する。
【0025】
ここで、非対称性の大きな再生信号に、従来の技術による信号処理方法を適用した場合について述べる。
【0026】
図2は、上記の上下非対称性が大きな再生信号の一例である。図2に示すように、光ディスクの再生信号は、一般的に、長いピットの再生信号に比べて短いピットの再生信号は振幅が小さい。また、短いピットの再生信号の振幅中心レベルの方が、長いピットの再生信号の振幅中心レベルに比べてマイナス側(下側)にずれていることがある。
【0027】
図3及び図4は、高密度光ディスクシステムでの非線形性が大きい再生信号のサンプリングデータをヒストグラム化したものである。図3は等化器11で等化される前の再生信号についてのもの、図4は等化器11で等化された再生信号についてのものである。
図4において、I9L及びI9Hはそれぞれデータ長が9T信号の最小レベル及び最大レベル、I2L及びI2Hはそれぞれデータ長が2Tの場合の最小レベル及び最大レベルを表す。図示の例では、データ長が2Tの場合の中心レベルが9Tの場合の中心レベルよりもΔだけ下方にずれている。
【0028】
特許文献1の記載では、再生信号の非線形情報を図3で示したようなヒストグラムの分布の平均値より求めるのと実質的に同じであるが、等化後の再生信号に含まれる非線形の度合いを示す情報(非線形情報)に直接対応するものではないことから、等化器11でさらに補正しなければならない非線形の度合いを精度よく算出することが困難である。
【0029】
一方、図4は、等化器11による等化後の等化再生信号のヒストグラムであり、充分ではないが、多値レベルに分離されている。前記非線形情報は、上記ヒストグラムでも見てとれるような多値レベルの各ピークがどれほど等間隔に近いかを数値化したもの(等間隔に近いほど、非線形性が小さい)であり、例えば、等間隔に設定された判定基準レベルからの差分値を合成又は平均化したもの、若しくは、多値レベルから算出される再生信号のアシメトリであってよい。また、後述の「非対称情報」とは、前記アシンメトリを非線形性の度合いを表す指標にした場合であり、これまで述べた「非線形情報」のひとつに含まれる。
【0030】
このように、等化器で等化処理された後でも非対称性が残留している。この非対称性の残留は、再生信号の非線形性が大きい場合に起こりえる。
【0031】
再生信号の非線形性が大きい場合、等化器のタップ係数の更新を繰り返して、等化目標との誤差が最小になるように最適化を行ったとしても、非対称性は完全に除去することはできず、図4のように残留する。
【0032】
この理由のひとつは、等化器で行われる処理は、長いピットなのか、または短いピットなのかを、タップ係数や等化目標との誤差値を算出するにあたっては区別無くフィルタ処理をしていることに起因し、最終的な収束点が、このFIR(Finite Inpulse Responce)を用いた場合の最良ポイントに到達できないためである。
【0033】
以上のように、等化器11による等化後の等化再生信号を用いるほうが、ヒストグラムのピーク値などが検出しやすくなるので、非対称情報s11をさらにビタビ検出の判定基準レベルに対してより正確な誤差量を抽出できる。
【0034】
また、等化器の前段にプリイコライザーを設けることも可能ではあるが、図4のヒストグラムのように平均値を算出しやすくする程度のプリイコライザーは、ディジタル回路で構成する場合で言えばFIRのタップ数が多く必要となり、回路規模やコストアップの原因となる。
【0035】
そこで、本発明の実施の形態では、以下に述べるように方法により、等化器11による等化後の等化再生信号の非対称性をさらに補正する。
【0036】
非対称情報検出手段14は、等化再生信号s2の上下非対称性を検出し、非対称性を表す非対称情報s11を生成するものであり、一方、目標信号生成手段13は、非対称性情報s11を基に等化目標値s3を生成する。
例えば、目標信号生成手段13は、特定のビット長のデータについて、等化目標値s3の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準にピークレベルが非対称となるように、等化目標値s3を設定する。或いは、非対称情報検出手段14が、等化器11が出力する等化再生信号s2の最大レベルと最小レベルの平均レベルを基準に非対称である特定のビット長を検出し、目標信号生成手段13が、前記特定のビット長についての等化目標値として、当該等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準に、等化再生信号s2とは逆の極性である非対称な等化目標値を生成する。
【0037】
図1に示す例では、非対称情報検出手段14は、目標レベル演算器30と、目標レベル状態遷移メモリ31とを有する。
一般的に、ビタビ検出器では、当該ビタビ検出器に逐次入力される、ある長さの入力波形のサンプリングデータ列が、理想のパーシャルレスポンス中の取り得る波形経路のうち最尤なものを検出する。ビタビ検出器で判定に用いる前記サンプリングデータ列をある長さに決めた場合、その長さ単位では取りうる波形経路(データパターン)が有限個となり、そのいずれの波形経路(データパターン)に最も近いかを判定する。ここでは、前記波形経路(データパターン)の移り変りを状態遷移と呼ぶ。
目標レベル状態遷移メモリ31は、ビタビ検出器12の状態遷移に対応して割り振られた状態遷移情報s10を逐次記録する。
レベル値演算器30は、等化再生信号s2を受けて、例えばデータ長ごとの、すなわち、記録されているデータの種類ごと、又はある長さのデータパターンごとの信号の非対称情報s11を検出する。
【0038】
ここで検出される非対称情報s11は、データ長ごとのレベル平均値、又はデータパターンごとのレベル平均から求められる、各データ長又は各データパターンでの非対称なレベル値情報であり、データ長又はデータパターンに対応する目標レベル値として、目標レベル値状態遷移メモリ31に一旦格納される。
【0039】
非対称情報検出手段14においては、ビタビ検出器12の検出処理過程で逐次明らかとなるビタビ検出の遷移情報s10に基づいて、瞬時にどのデータパターンであるかを判定する。
【0040】
一方、ビタビ検出器12で検出された検出データs4を基にPRデコーダ20にてビタビ検出器12で想定されているパーシャルレスポンス特性に従った理想のパーシャルレスポンスs9は、目標信号生成手段13にて目標レベル値状態遷移メモリ31に格納されていた非対称情報に基づいて補正され、等化目標が生成される。
【0041】
ここで、非対称となりやすいのは比較的データ長の短い場合であることから、補正対象とするデータ長又はデータパターンを限定してもよい。
【0042】
また、上記とは別の構成として、図5に示すように、PRデコーダ20で生成される理想のパーシャルレスポンスs9を非対称情報検出手段14内の目標レベル値演算器32に入力し、目標レベル値演算器32で等化再生信号s2と理想のパーシャルレスポンスs9の差分から非対称情報s11を抽出する構成であっても良い。この場合には、本信号処理の動作の開始後、等化器11のフィルタ特性調整後の等化再生信号s2がビタビ検出で想定する理想のパーシャルレスポンス特性にある程度近づいた状態であれば、非対称性の残留が大きいときに、等化再生信号s2と理想のパーシャルレスポンスs9の差分が発生するので、これをもとに瞬時値として非対称情報が得られる。
【0043】
非対称情報s11は、目標信号生成手段13に入力されて、目標信号生成手段13では、非対称情報s11に基づいてPRデコーダ20から入力される理想のパーパシャルレスポンスs9が補正される。目標信号生成手段13で生成された等化目標s3は、図1で示した構成と同様な方法で、等化器11のフィルタ特性の更新に用いられる。
【0044】
また、非対称情報検出手段14のさらに別の構成として、図6に示すように、図1の構成で説明したようなデータパターンごとの平均値を求めるのではなく、等化再生信号s2を目標レベル演算器34に入力し、目標レベル演算器34で、図4で示したようなデータ分布のピーク分布から、ピークとなるレベル値を、信号レベル中心を基準に抽出し、前記ピークとなるレベル値を非対称情報s11としてもよい。この場合、例えば、前記ピークとなるレベル値は、等化再生信号s2の前記信号レベル中心基準からのレベルの平均値としてよい。また、この平均値を求める際に使うデータ数は、平均値が安定した値となる程度であればよい。
【0045】
目標信号生成手段13には、非対称情報検出手段14から入力される非対称情報(s11)をデータパターンごとに逐次(一時的に)格納するとともに、等化目標値を格納するメモリ(等化目標値メモリ)13M(破線で示す)が設けてあってよい。等化目標値を格納する場合、等化目標値メモリ13Mは、等化再生信号s2の非対称情報s11に基づいて、状態遷移ごとに与えられる等化目標値s3を逐次記録する。そして、等化目標値メモリ13Mに記憶された等化目標値s3が読み出されて出力される。即ち、目標信号生成手段13が、ビタビ検出器12から出力される状態遷移情報s10に基づき、等化目標値メモリ13Mから状態遷移情報s10に対応する等化目標値s3を出力する。
【0046】
次に、等化再生信号s2に対する等化目標s3の非対称性の極性について説明する。図7(a)は、非対称性を持った等化再生信号s2の一部を示した図である。ここでは、基準レベル(振幅の中心レベル)よりプラス側の振幅が、マイナス側の振幅よりも小さく、上下非対称な信号となっている。
この非対称性を反映した情報は、非対称情報検出手段14で検出され、非対称情報s11として、目標信号生成手段13に入力される。
【0047】
上述したとおり、目標信号生成手段13では、PRデコーダ20から出力される理想のパーシャルレスポンスs9を、前記非対称情報s11に基づいて変更して、図7(b)に示すように、図7(a)に示す等化再生信号s2の上下非対称性とは逆極性に非対称な等化目標s3を生成する。
【0048】
このように、逆極性に非対称となった信号と等化再生信号s2との差分である誤差信号s13をタップ係数算出器33に入力すれば、タップ係数算出器33の内部でLMS法などのアルゴリズム処理に用いられる、等化再生信号s2と等化目標s3との誤差信号s13がさらに大きくなる方向となる。
その結果、LMS法などで前記誤差を小さくするようにタップ係数が更新されていくので、更新処理の後、理想のパーシャルレスポンスに近づくように、等化目標s3の非対称量を調整することで、等化再生信号s2の非対称性が改善される。よって、更なる高密度化により従来の方法では補正仕切れなかった非線形性を補正することができる。
【0049】
本発明の実施の形態1では、ビタビ検出器12に入力される等化再生信号s2(ビタビ検出器12に入力直前の等化再生信号s2)と、ビタビ検出器12の判定基準レベルとの差を直接検出できる構成であり、等化後に残留する非対称性を正確に検出することができ、この点が本発明の特徴のひとつである。
【0050】
特許文献1に示されるように、等化器へ入力される再生信号から検出される非対称成分を等化目標の生成に用いる構成では、等化器での処理後に残留する非対称成分を完全に除去することは原理上困難である。
【0051】
実施の形態1のように、等化器11による等化後の、ビタビ検出器12に入力される直前の、等化再生信号s2に基づいて等化目標s3を生成し、さらに、誤差信号s13を非対称な波形部分(あるデータパターン)に対して逆極性の非対称性を等化目標s3に与えて等化目標と等化再生信号との誤差を強調する(より大きくする)ことにより、理想のパーシャルレスポンスに漸近させることができ、従来よりも非線形性の抑制が可能となる。
【0052】
なお、図1から図6で示した本発明の実施の形態1の構成要素の各ブロックは、図示のように接続された構成に限らず、機能を変えず、複数のブロックをひとつにまとめる、又はひとつのブロックを機能で分割するなどを行ってもよい。
【0053】
本発明は、実施の形態1で述べた光ディスク装置に限ることはなく、光ディスク装置に適用される処理方法、及び磁気記録装置、又は半導体記録装置及びその方法への応用も可能である。
【0054】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2の情報再生装置を示した概略構成図である。
図1を参照して説明した実施の形態1の構成要素と同じものについては、同じ番号で示しており、これについては説明を省略する。
以下に、図8を用いて本実施の形態2について説明を行う。
【0055】
本実施の形態2は、非対称情報検出手段14から出力される等化再生信号s2についての非対称情報s11と、PRデコーダ20で生成されるPRクラスに対応した理想のパーシャルレスポンスs9とに基づいて、等化再生信号s2と逆の非対称をもつ等化目標s3を生成する方法に主な特徴がある。
【0056】
PRデコーダ20は、ビタビ検出器12からの検出データs4を入力とし、PRクラスに対応した理想のパーシャルレスポンスs9を生成する。
【0057】
非対称情報検出手段14は、実施の形態1のものと基本的に同じである。よって、ビタビの遷移情報s10は、非対称情報検出手段の内容によっては不要となる場合もある。ここでは、これについての説明は行わない。
【0058】
図8に示される目標信号生成手段13は、第1のFIR回路15、第2のFIR回路16、上側抽出器17、下側抽出器18、及び合成回路19を有する。
【0059】
第1のFIR回路15及び第2のFIR回路16は互いにパーシャルレスポンス係数が異なり、それぞれ、非対称情報検出手段14から出力される各パターンごとの平均レベル値s21と理想のパーシャルレスポンスs9とに基づいてタップ係数が決定される。
第1のFIR回路15の出力信号s5の一例が図9(a)に示され、第2のFIR回路16の出力信号s6の一例が図9(b)に示されている。
【0060】
上側抽出器17は、第1のFIR回路15の出力信号s5から、等化再生波形s2の基準レベル(最大値と最小値の平均レベル値)からプラス側(上側)の成分のみを抽出して波形s7(図10(a))を生成する。
下側抽出器18は第2のFIR回路16の出力信号s6から、前記基準レベルからマイナス側(下側)の成分のみを抽出して波形s8(図10(b))を生成する。
合成回路19は、上側抽出器17の出力信号s7と下側抽出器18の出力信号s8を合成して、等化目標値を表す目標信号s3を生成する。
【0061】
図9(a)及び(b)は、出力信号s5と出力信号s6の一部を説明のために一例として示したものである。
図9(a)及び(b)には、長いピットと短いピットからの再生信号を抽出して示している。
図9(a)に示す例では、第1のFIR回路15は、高い周波数成分の利得が大きい特性を有するようにタップ係数が設定されている。したがって、理想のパーシャルレスポンスs9の、短いピットからの信号成分の振幅が増幅されている。
【0062】
一方、第2のFIR回路16は、図9(b)に示す例では、全帯域に渡って利得特性が一定となるようにタップ係数が設定されており、したがって、理想のパーシャルレスポンスs9がそのまま出力信号s6として出力されている。
【0063】
第1のFIR回路15及び第2のFIR回路16の利得特性は、非対称情報検出手段14から出力される各パターンごとの平均レベル値より得られる信号の上下非対称量に基づいて、実施の形態1と同様に、上下非対称性の逆となるように利得特性が決定される。
【0064】
出力信号s7は、図10(a)に示す例では、基準レベル値に対してマイナス側をクリップして、プラス側のみの波形に変換されている。一方、出力信号s8は、図10(b)に示す例では、基準レベル値に対してプラス側をクリップして、マイナス側のみの波形に変換されている。また、長いピットからの信号振幅が出力信号s5と出力信号s6とで同じになるようにそれぞれ振幅を合わせておく。
【0065】
合成回路19により、出力信号s7と出力信号s8を合成することで、高い周波数の信号成分、すなわち、非対称性が生じやすい短いピットからの信号成分について、上下非対称な等化目標s3を生成することができる。図11は、出力信号s7と出力信号s8を合成して得られた等化目標s3を示したものである。
【0066】
実施の形態1では、PRデコーダ20から出力される理想のパーシャルレスポンスs9のパターンから、ある特定の周波数帯の信号成分について非対称な等化目標を生成するために、パターンを瞬時に判定するような回路構成が必要となる。このような回路構成では、パターン判定の際に条件分岐などを用いるために比較的長い処理時間が必要となってしまう。
【0067】
これに対して、実施の形態2は、条件分岐などの信号処理を用いる必要がなく、簡易なフィルタ処理、クリップ処理及び合成処理によって、これを実現することができ、回路規模や信号処理時間が低減できる。
【0068】
なお、実施の形態2の情報再生装置における非対称情報検出手段14に関し、実施の形態1のものと基本的に同じである旨述べたが、図1に示した目標レベル値演算器30を省略しても良い。また、目標信号生成手段13内に、図1に示した等化目標値メモリ13Mを設けても良い。
【0069】
以上に説明した、本発明の実施の形態1及び実施の形態2のように、ビタビ検出器12に入力される等化再生信号s2から、等化再生信号s2の上下非対称とは逆の上下非対称な等化目標s3を生成し、前記等化目標s3に近づくように等化器11のタップ係数を逐次変更することによって、従来では取り除き切れなかった等化再生信号s2の非対称性を補正することが可能となる。これにより、検出性能を向上させることができる。
【0070】
なお、上記の説明の中では、各ディジタル回路の動作クロックを生成するPLL(Phase Locked Loop)回路、ADコンバータで2値化された信号のDC成分を補正するDC補正回路などは、本発明の特徴ではないのでここでは省略している。
【0071】
また、本発明は、実施の形態2で述べた光ディスク装置に限ることはなく、前記光ディスク装置に適用される処理方法、及び磁気記録装置、又は半導体記録装置及びその方法への応用も可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ディスク、 2 光ヘッド、 10 A/D変換器、 11 等化器、 12 ビタビ検出器、 13 目標信号生成手段、 14 非対称情報検出手段、 15 第1のFIR回路、 16 第2のFIR回路、 17 上側抽出器、 18 下側抽出器、 19 合成回路、 20 PRデコーダ、 22 減算手段、 30 目標レベル演算器、 31 目標レベル値状態遷移メモリ、 33 タップ係数算出器。
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報を記録した記録媒体から情報再生を行なう光ディスク装置、又は磁気記録装置、又は半導体記録装置などの、情報再生装置及び情報再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなどの記録媒体に記録された情報を再生する再生信号処理装置において、記録媒体から読み出した再生信号に上下非対称性が現れることがある。たとえば、光ディスクの場合、光ディスクのピット列にレーザーが照射され、その反射光の強度の変化をもとにして記録された情報の再生が行われている。このとき、光ディスクの製造時のマスタリングで用いられる光のパワーなどの諸条件の違いにより、光ディスク表面のピットの大きさや形が変動すると、反射光の強度が変化し、再生信号に上下非対称性が現れる。
【0003】
また、光記録の分野においては、光の強度によって屈折率が変化する非線形光吸収特性または非線形光透過特性を有する超解像マスク層が成膜された超解像光ディスクを用いた高密度記録方式が研究されている。この方式では、光ディスク上に、集光スポット内の光強度が大きい、または温度が高いなどの、局所的な部分に屈折率変化をもたらすことで、光ディスク装置の光学要素である集光レンズの開口数NAと光の波長λから決まる回折限界λ/4NAよりも小さなマークを再生することができる。なお、ここでは、前記の例えば屈折率変化が起こる局所的な部分を以下では単に開口と呼ぶこととする。
【0004】
上記の非線形光吸収特性または非線形光透過特性に伴う前記開口の制御ばらつきや、集光スポット中心から開口が生成される位置のずれなどにより、再生信号の上下非対称性や短い記録ピットとその他の長さの記録ピットの再生信号上の位相にずれが生じるなどの非線形性が発生する。以下では、上記の上下非対称性や後述の非等間隔性を含めた総称として非線形性と呼ぶ。
【0005】
上記の非線形性(又は、上下非対称性)を補正する信号処理方法は、これまでにも提案されている。通常、PLL回路などによって生成される基準クロックに同期した、等化後の再生波形のサンプリングデータは、光ディスクでの符号間干渉を前提として得られるパーシャルレスポンス特性に対応した多値レベルに分離される。これら多値に分離された平均値に、前記ビタビ検出器の判定基準レベルを合わせて復号される。非特許文献1によれば、上下非対称な再生波形をディジタルサンプリングした再生波形データから、記録データ列のパターンに対応する等化器の出力の平均値を算出する。この平均値をビタビ復号器での判定基準レベルとして用いる。
【0006】
これにより、等化器から出力された等化再生信号が上下非対称な場合、前記平均値に合わせるようにビタビ復号器の判定基準レベルが非対称若しくは非等間隔に設定されるので、ビタビの判定誤りが軽減され、再生性能を改善することができる。
【0007】
また、等化器に入力する再生信号の平均値に基づいて、等化器に入力される再生信号の非線形性の度合いを表す情報(非線形情報)を抽出し、これに基づいてビタビ検出の判定基準レベルを決定したり、等化器のタップ係数を更新する方法が示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−300023号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys. Vol.41(2002)pp.1789−1790.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1の方法では、ビタビ復号器の判別基準レベルが非対称や非等間隔に設定されたことによって、前記判定基準レベルの間隔が狭くなる箇所が生じ、狭くなった判定基準レベル間で、ディジタルサンプリングした再生波形データの値の判定誤りを引き起こすという問題がある。
【0011】
また、特許文献1では、ビタビ検出の判定基準レベルや等化器のタップ係数の更新処理に用いる再生信号の非線形情報は、等化器に入力される前の再生信号、すなわち等化が施される前段階の再生信号を用いているため、特に符号間干渉が大きくなる高密度光ディスクシステムでは、ディジタルサンプリング後のデータの分布がビタビ検出器の判定基準レベルから大きく異なるため、非線形情報の正確な抽出が困難となり、誤り率が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の情報再生装置は、
情報記録媒体からの再生信号を等化する等化器と、
前記等化器で等化された等化再生信号を入力とし、ビタビ検出により2値信号を検出するビタビ検出器と、
前記ビタビ検出器に入力される等化再生信号の非対称性を表す非対称情報を生成する非対称情報検出手段と、
前記等化器における等化目標値を、前記非対称情報をもとに生成する目標信号生成手段と、
前記等化目標値と前記等化再生信号とから前記等化器のタップ係数を算出するタップ係数算出器と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非線形な特性をもつ再生波形について、誤り率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1の情報再生装置のブロック図である。
【図2】非線形性を有する再生信号の一例を示す図である。
【図3】等化器へ入力される再生信号のサンプリングデータのヒストグラム例である。
【図4】非線形が残留した等化再生信号のサンプリングデータのヒストグラム例である。
【図5】本発明の実施の形態1の別構成の情報再生装置の概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1の別構成の情報再生装置の概略構成図である。
【図7】本発明の実施の形態1の情報再生装置の上下非対称な等化再生信号と等化目標を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態2の情報再生装置のブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2の情報再生装置の第1のFIR回路と第2のFIR回路で生成される出力信号を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態2の情報再生装置の上側検出回路と下側検出回路で生成される出力信号を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態2の情報再生装置で生成される等化目標の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下、図を用いて、本発明に係わる情報再生装置及び方法の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる情報再生装置を示した概略構成図である。
図示の情報再生装置は、光ヘッド2と、A/D変換器10と、等化器11と、ビタビ検出器12と、PRでコーダ20と、非対称情報検出手段14と、目標信号生成手段13と、非対称情報検出手段14と、減算手段22と、タップ係数算出器33とを有する。
【0017】
情報データが記録された光ディスク1に、光ヘッド2でレーザー光を照射し、光ディスク1の情報記録面上に回折限界近くまで絞られた集光スポットを形成し、その反射光の光量変化を電気信号に変換した再生信号を出力する。
【0018】
A/D変換器10は、光ヘッド2から出力されたアナログの再生信号を、基準クロック信号に同期サンプリングしたディジタル信号s1(以後は、再生信号s1と呼ぶ)に変換する。
等化器11は再生信号s1を入力とし、再生信号の波形等化を行う。
【0019】
等化器11は、ディジタル信号処理として一般的に用いられる、タップ係数が可変なFIRで構成されていて、N個のタップ係数を有しているとする。ここでは、タップ係数CN(k)、CN−1(k)、・・・C1(k)と入力信号s1の畳み込み演算が行われ、これが等化器11から出力される。タップ係数は、後述のように、タップ係数算出器33で算出される。
等化器11から出力された等化再生信号s2は、ビタビ検出器12に入力されて、ビタビアルゴリズムによってデータ検出されて検出データs4として出力される。
【0020】
PRデコーダ20は、ビタビ検出器12からの検出データs4を入力とし、PR(パーシャルレスポンス)クラスに対応した理想のパーシャルレスポンスs9を生成する。
【0021】
タップ係数算出器33は、等化目標s3に基づいて、等化器11のタップ係数を逐次更新して、これにより、等化器11に、パーシャルレスポンスの特性に近づくように再生信号s1を等化させる。
ビタビ検出のPRクラスは、理想再生信号の周波数特性に近いものを選択する。タップ係数の更新処理にはLMS(Least Mean Square)法やRLS(Recursive Least Square)法などを応用する。
【0022】
減算手段22は、等化目標s3と、等化再生信号s2の差分を求め、誤差信号s13を生成する。
【0023】
タップ係数算出器33は、誤差信号s13から例えば上記LMS法のアルゴリズムに基づいて等化器11のFIRのタップ係数を算出する。タップ係数算出器33で生成されたタップ係数は、等化器11のFIRのタップ係数として逐次設定されて、等化器11のフィルタ特性を更新する。
【0024】
一般的なLMS法などの手法では、目標信号生成手段13から出力される等化目標s3と前記等化再生信号s2との誤差が最小に近づくように、等化器11のタップ係数を逐次更新する。
【0025】
ここで、非対称性の大きな再生信号に、従来の技術による信号処理方法を適用した場合について述べる。
【0026】
図2は、上記の上下非対称性が大きな再生信号の一例である。図2に示すように、光ディスクの再生信号は、一般的に、長いピットの再生信号に比べて短いピットの再生信号は振幅が小さい。また、短いピットの再生信号の振幅中心レベルの方が、長いピットの再生信号の振幅中心レベルに比べてマイナス側(下側)にずれていることがある。
【0027】
図3及び図4は、高密度光ディスクシステムでの非線形性が大きい再生信号のサンプリングデータをヒストグラム化したものである。図3は等化器11で等化される前の再生信号についてのもの、図4は等化器11で等化された再生信号についてのものである。
図4において、I9L及びI9Hはそれぞれデータ長が9T信号の最小レベル及び最大レベル、I2L及びI2Hはそれぞれデータ長が2Tの場合の最小レベル及び最大レベルを表す。図示の例では、データ長が2Tの場合の中心レベルが9Tの場合の中心レベルよりもΔだけ下方にずれている。
【0028】
特許文献1の記載では、再生信号の非線形情報を図3で示したようなヒストグラムの分布の平均値より求めるのと実質的に同じであるが、等化後の再生信号に含まれる非線形の度合いを示す情報(非線形情報)に直接対応するものではないことから、等化器11でさらに補正しなければならない非線形の度合いを精度よく算出することが困難である。
【0029】
一方、図4は、等化器11による等化後の等化再生信号のヒストグラムであり、充分ではないが、多値レベルに分離されている。前記非線形情報は、上記ヒストグラムでも見てとれるような多値レベルの各ピークがどれほど等間隔に近いかを数値化したもの(等間隔に近いほど、非線形性が小さい)であり、例えば、等間隔に設定された判定基準レベルからの差分値を合成又は平均化したもの、若しくは、多値レベルから算出される再生信号のアシメトリであってよい。また、後述の「非対称情報」とは、前記アシンメトリを非線形性の度合いを表す指標にした場合であり、これまで述べた「非線形情報」のひとつに含まれる。
【0030】
このように、等化器で等化処理された後でも非対称性が残留している。この非対称性の残留は、再生信号の非線形性が大きい場合に起こりえる。
【0031】
再生信号の非線形性が大きい場合、等化器のタップ係数の更新を繰り返して、等化目標との誤差が最小になるように最適化を行ったとしても、非対称性は完全に除去することはできず、図4のように残留する。
【0032】
この理由のひとつは、等化器で行われる処理は、長いピットなのか、または短いピットなのかを、タップ係数や等化目標との誤差値を算出するにあたっては区別無くフィルタ処理をしていることに起因し、最終的な収束点が、このFIR(Finite Inpulse Responce)を用いた場合の最良ポイントに到達できないためである。
【0033】
以上のように、等化器11による等化後の等化再生信号を用いるほうが、ヒストグラムのピーク値などが検出しやすくなるので、非対称情報s11をさらにビタビ検出の判定基準レベルに対してより正確な誤差量を抽出できる。
【0034】
また、等化器の前段にプリイコライザーを設けることも可能ではあるが、図4のヒストグラムのように平均値を算出しやすくする程度のプリイコライザーは、ディジタル回路で構成する場合で言えばFIRのタップ数が多く必要となり、回路規模やコストアップの原因となる。
【0035】
そこで、本発明の実施の形態では、以下に述べるように方法により、等化器11による等化後の等化再生信号の非対称性をさらに補正する。
【0036】
非対称情報検出手段14は、等化再生信号s2の上下非対称性を検出し、非対称性を表す非対称情報s11を生成するものであり、一方、目標信号生成手段13は、非対称性情報s11を基に等化目標値s3を生成する。
例えば、目標信号生成手段13は、特定のビット長のデータについて、等化目標値s3の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準にピークレベルが非対称となるように、等化目標値s3を設定する。或いは、非対称情報検出手段14が、等化器11が出力する等化再生信号s2の最大レベルと最小レベルの平均レベルを基準に非対称である特定のビット長を検出し、目標信号生成手段13が、前記特定のビット長についての等化目標値として、当該等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準に、等化再生信号s2とは逆の極性である非対称な等化目標値を生成する。
【0037】
図1に示す例では、非対称情報検出手段14は、目標レベル演算器30と、目標レベル状態遷移メモリ31とを有する。
一般的に、ビタビ検出器では、当該ビタビ検出器に逐次入力される、ある長さの入力波形のサンプリングデータ列が、理想のパーシャルレスポンス中の取り得る波形経路のうち最尤なものを検出する。ビタビ検出器で判定に用いる前記サンプリングデータ列をある長さに決めた場合、その長さ単位では取りうる波形経路(データパターン)が有限個となり、そのいずれの波形経路(データパターン)に最も近いかを判定する。ここでは、前記波形経路(データパターン)の移り変りを状態遷移と呼ぶ。
目標レベル状態遷移メモリ31は、ビタビ検出器12の状態遷移に対応して割り振られた状態遷移情報s10を逐次記録する。
レベル値演算器30は、等化再生信号s2を受けて、例えばデータ長ごとの、すなわち、記録されているデータの種類ごと、又はある長さのデータパターンごとの信号の非対称情報s11を検出する。
【0038】
ここで検出される非対称情報s11は、データ長ごとのレベル平均値、又はデータパターンごとのレベル平均から求められる、各データ長又は各データパターンでの非対称なレベル値情報であり、データ長又はデータパターンに対応する目標レベル値として、目標レベル値状態遷移メモリ31に一旦格納される。
【0039】
非対称情報検出手段14においては、ビタビ検出器12の検出処理過程で逐次明らかとなるビタビ検出の遷移情報s10に基づいて、瞬時にどのデータパターンであるかを判定する。
【0040】
一方、ビタビ検出器12で検出された検出データs4を基にPRデコーダ20にてビタビ検出器12で想定されているパーシャルレスポンス特性に従った理想のパーシャルレスポンスs9は、目標信号生成手段13にて目標レベル値状態遷移メモリ31に格納されていた非対称情報に基づいて補正され、等化目標が生成される。
【0041】
ここで、非対称となりやすいのは比較的データ長の短い場合であることから、補正対象とするデータ長又はデータパターンを限定してもよい。
【0042】
また、上記とは別の構成として、図5に示すように、PRデコーダ20で生成される理想のパーシャルレスポンスs9を非対称情報検出手段14内の目標レベル値演算器32に入力し、目標レベル値演算器32で等化再生信号s2と理想のパーシャルレスポンスs9の差分から非対称情報s11を抽出する構成であっても良い。この場合には、本信号処理の動作の開始後、等化器11のフィルタ特性調整後の等化再生信号s2がビタビ検出で想定する理想のパーシャルレスポンス特性にある程度近づいた状態であれば、非対称性の残留が大きいときに、等化再生信号s2と理想のパーシャルレスポンスs9の差分が発生するので、これをもとに瞬時値として非対称情報が得られる。
【0043】
非対称情報s11は、目標信号生成手段13に入力されて、目標信号生成手段13では、非対称情報s11に基づいてPRデコーダ20から入力される理想のパーパシャルレスポンスs9が補正される。目標信号生成手段13で生成された等化目標s3は、図1で示した構成と同様な方法で、等化器11のフィルタ特性の更新に用いられる。
【0044】
また、非対称情報検出手段14のさらに別の構成として、図6に示すように、図1の構成で説明したようなデータパターンごとの平均値を求めるのではなく、等化再生信号s2を目標レベル演算器34に入力し、目標レベル演算器34で、図4で示したようなデータ分布のピーク分布から、ピークとなるレベル値を、信号レベル中心を基準に抽出し、前記ピークとなるレベル値を非対称情報s11としてもよい。この場合、例えば、前記ピークとなるレベル値は、等化再生信号s2の前記信号レベル中心基準からのレベルの平均値としてよい。また、この平均値を求める際に使うデータ数は、平均値が安定した値となる程度であればよい。
【0045】
目標信号生成手段13には、非対称情報検出手段14から入力される非対称情報(s11)をデータパターンごとに逐次(一時的に)格納するとともに、等化目標値を格納するメモリ(等化目標値メモリ)13M(破線で示す)が設けてあってよい。等化目標値を格納する場合、等化目標値メモリ13Mは、等化再生信号s2の非対称情報s11に基づいて、状態遷移ごとに与えられる等化目標値s3を逐次記録する。そして、等化目標値メモリ13Mに記憶された等化目標値s3が読み出されて出力される。即ち、目標信号生成手段13が、ビタビ検出器12から出力される状態遷移情報s10に基づき、等化目標値メモリ13Mから状態遷移情報s10に対応する等化目標値s3を出力する。
【0046】
次に、等化再生信号s2に対する等化目標s3の非対称性の極性について説明する。図7(a)は、非対称性を持った等化再生信号s2の一部を示した図である。ここでは、基準レベル(振幅の中心レベル)よりプラス側の振幅が、マイナス側の振幅よりも小さく、上下非対称な信号となっている。
この非対称性を反映した情報は、非対称情報検出手段14で検出され、非対称情報s11として、目標信号生成手段13に入力される。
【0047】
上述したとおり、目標信号生成手段13では、PRデコーダ20から出力される理想のパーシャルレスポンスs9を、前記非対称情報s11に基づいて変更して、図7(b)に示すように、図7(a)に示す等化再生信号s2の上下非対称性とは逆極性に非対称な等化目標s3を生成する。
【0048】
このように、逆極性に非対称となった信号と等化再生信号s2との差分である誤差信号s13をタップ係数算出器33に入力すれば、タップ係数算出器33の内部でLMS法などのアルゴリズム処理に用いられる、等化再生信号s2と等化目標s3との誤差信号s13がさらに大きくなる方向となる。
その結果、LMS法などで前記誤差を小さくするようにタップ係数が更新されていくので、更新処理の後、理想のパーシャルレスポンスに近づくように、等化目標s3の非対称量を調整することで、等化再生信号s2の非対称性が改善される。よって、更なる高密度化により従来の方法では補正仕切れなかった非線形性を補正することができる。
【0049】
本発明の実施の形態1では、ビタビ検出器12に入力される等化再生信号s2(ビタビ検出器12に入力直前の等化再生信号s2)と、ビタビ検出器12の判定基準レベルとの差を直接検出できる構成であり、等化後に残留する非対称性を正確に検出することができ、この点が本発明の特徴のひとつである。
【0050】
特許文献1に示されるように、等化器へ入力される再生信号から検出される非対称成分を等化目標の生成に用いる構成では、等化器での処理後に残留する非対称成分を完全に除去することは原理上困難である。
【0051】
実施の形態1のように、等化器11による等化後の、ビタビ検出器12に入力される直前の、等化再生信号s2に基づいて等化目標s3を生成し、さらに、誤差信号s13を非対称な波形部分(あるデータパターン)に対して逆極性の非対称性を等化目標s3に与えて等化目標と等化再生信号との誤差を強調する(より大きくする)ことにより、理想のパーシャルレスポンスに漸近させることができ、従来よりも非線形性の抑制が可能となる。
【0052】
なお、図1から図6で示した本発明の実施の形態1の構成要素の各ブロックは、図示のように接続された構成に限らず、機能を変えず、複数のブロックをひとつにまとめる、又はひとつのブロックを機能で分割するなどを行ってもよい。
【0053】
本発明は、実施の形態1で述べた光ディスク装置に限ることはなく、光ディスク装置に適用される処理方法、及び磁気記録装置、又は半導体記録装置及びその方法への応用も可能である。
【0054】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2の情報再生装置を示した概略構成図である。
図1を参照して説明した実施の形態1の構成要素と同じものについては、同じ番号で示しており、これについては説明を省略する。
以下に、図8を用いて本実施の形態2について説明を行う。
【0055】
本実施の形態2は、非対称情報検出手段14から出力される等化再生信号s2についての非対称情報s11と、PRデコーダ20で生成されるPRクラスに対応した理想のパーシャルレスポンスs9とに基づいて、等化再生信号s2と逆の非対称をもつ等化目標s3を生成する方法に主な特徴がある。
【0056】
PRデコーダ20は、ビタビ検出器12からの検出データs4を入力とし、PRクラスに対応した理想のパーシャルレスポンスs9を生成する。
【0057】
非対称情報検出手段14は、実施の形態1のものと基本的に同じである。よって、ビタビの遷移情報s10は、非対称情報検出手段の内容によっては不要となる場合もある。ここでは、これについての説明は行わない。
【0058】
図8に示される目標信号生成手段13は、第1のFIR回路15、第2のFIR回路16、上側抽出器17、下側抽出器18、及び合成回路19を有する。
【0059】
第1のFIR回路15及び第2のFIR回路16は互いにパーシャルレスポンス係数が異なり、それぞれ、非対称情報検出手段14から出力される各パターンごとの平均レベル値s21と理想のパーシャルレスポンスs9とに基づいてタップ係数が決定される。
第1のFIR回路15の出力信号s5の一例が図9(a)に示され、第2のFIR回路16の出力信号s6の一例が図9(b)に示されている。
【0060】
上側抽出器17は、第1のFIR回路15の出力信号s5から、等化再生波形s2の基準レベル(最大値と最小値の平均レベル値)からプラス側(上側)の成分のみを抽出して波形s7(図10(a))を生成する。
下側抽出器18は第2のFIR回路16の出力信号s6から、前記基準レベルからマイナス側(下側)の成分のみを抽出して波形s8(図10(b))を生成する。
合成回路19は、上側抽出器17の出力信号s7と下側抽出器18の出力信号s8を合成して、等化目標値を表す目標信号s3を生成する。
【0061】
図9(a)及び(b)は、出力信号s5と出力信号s6の一部を説明のために一例として示したものである。
図9(a)及び(b)には、長いピットと短いピットからの再生信号を抽出して示している。
図9(a)に示す例では、第1のFIR回路15は、高い周波数成分の利得が大きい特性を有するようにタップ係数が設定されている。したがって、理想のパーシャルレスポンスs9の、短いピットからの信号成分の振幅が増幅されている。
【0062】
一方、第2のFIR回路16は、図9(b)に示す例では、全帯域に渡って利得特性が一定となるようにタップ係数が設定されており、したがって、理想のパーシャルレスポンスs9がそのまま出力信号s6として出力されている。
【0063】
第1のFIR回路15及び第2のFIR回路16の利得特性は、非対称情報検出手段14から出力される各パターンごとの平均レベル値より得られる信号の上下非対称量に基づいて、実施の形態1と同様に、上下非対称性の逆となるように利得特性が決定される。
【0064】
出力信号s7は、図10(a)に示す例では、基準レベル値に対してマイナス側をクリップして、プラス側のみの波形に変換されている。一方、出力信号s8は、図10(b)に示す例では、基準レベル値に対してプラス側をクリップして、マイナス側のみの波形に変換されている。また、長いピットからの信号振幅が出力信号s5と出力信号s6とで同じになるようにそれぞれ振幅を合わせておく。
【0065】
合成回路19により、出力信号s7と出力信号s8を合成することで、高い周波数の信号成分、すなわち、非対称性が生じやすい短いピットからの信号成分について、上下非対称な等化目標s3を生成することができる。図11は、出力信号s7と出力信号s8を合成して得られた等化目標s3を示したものである。
【0066】
実施の形態1では、PRデコーダ20から出力される理想のパーシャルレスポンスs9のパターンから、ある特定の周波数帯の信号成分について非対称な等化目標を生成するために、パターンを瞬時に判定するような回路構成が必要となる。このような回路構成では、パターン判定の際に条件分岐などを用いるために比較的長い処理時間が必要となってしまう。
【0067】
これに対して、実施の形態2は、条件分岐などの信号処理を用いる必要がなく、簡易なフィルタ処理、クリップ処理及び合成処理によって、これを実現することができ、回路規模や信号処理時間が低減できる。
【0068】
なお、実施の形態2の情報再生装置における非対称情報検出手段14に関し、実施の形態1のものと基本的に同じである旨述べたが、図1に示した目標レベル値演算器30を省略しても良い。また、目標信号生成手段13内に、図1に示した等化目標値メモリ13Mを設けても良い。
【0069】
以上に説明した、本発明の実施の形態1及び実施の形態2のように、ビタビ検出器12に入力される等化再生信号s2から、等化再生信号s2の上下非対称とは逆の上下非対称な等化目標s3を生成し、前記等化目標s3に近づくように等化器11のタップ係数を逐次変更することによって、従来では取り除き切れなかった等化再生信号s2の非対称性を補正することが可能となる。これにより、検出性能を向上させることができる。
【0070】
なお、上記の説明の中では、各ディジタル回路の動作クロックを生成するPLL(Phase Locked Loop)回路、ADコンバータで2値化された信号のDC成分を補正するDC補正回路などは、本発明の特徴ではないのでここでは省略している。
【0071】
また、本発明は、実施の形態2で述べた光ディスク装置に限ることはなく、前記光ディスク装置に適用される処理方法、及び磁気記録装置、又は半導体記録装置及びその方法への応用も可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ディスク、 2 光ヘッド、 10 A/D変換器、 11 等化器、 12 ビタビ検出器、 13 目標信号生成手段、 14 非対称情報検出手段、 15 第1のFIR回路、 16 第2のFIR回路、 17 上側抽出器、 18 下側抽出器、 19 合成回路、 20 PRデコーダ、 22 減算手段、 30 目標レベル演算器、 31 目標レベル値状態遷移メモリ、 33 タップ係数算出器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体からの再生信号を等化する等化器と、
前記等化器で等化された等化再生信号を入力とし、ビタビ検出により2値信号を検出するビタビ検出器と、
前記ビタビ検出器に入力される等化再生信号の非対称性を表す非対称情報を生成する非対称情報検出手段と、
前記等化器における等化目標値を、前記非対称情報をもとに生成する目標信号生成手段と、
前記等化目標値と前記等化再生信号とから前記等化器のタップ係数を算出するタップ係数算出器と
を備えることを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
前記目標信号生成手段は、前記等化目標値を、特定のビット長のデータについて、等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準にピークレベルが非対称となるように設定することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記目標信号生成手段は、前記非対称情報をもとに、特定のビット長についての等化目標値として、当該等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準に、前記等化再生信号とは逆の極性である非対称な等化目標値を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記目標信号生成手段は、
パーシャルレスポンス係数が異なる第1のFIR回路と第2のFIR回路とを備え、
前記ビタビ検出器から出力され、前記目標信号再生手段に入力される2値信号から、
前記第1のFIR回路で演算された第1の信号の前記平均レベル値から上側のデータと、
前記第2のFIR回路で演算された第2の信号の前記平均レベル値から下側のデータとを組み合わせて特定の周波数帯域のデータパターンが非対称である等化目標値を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記非対称情報検出手段が、
前記ビタビ検出器の状態遷移に対応して割り振られた状態遷移情報を逐次記録する状態遷移メモリを有し、
前記目標信号生成手段は、
前記等化再生信号の非対称情報に基づいて、状態遷移ごとに与えられる等化目標値を逐次記録する等化目標値メモリを有し、
前記ビタビ検出器から出力される状態遷移情報に基づき、前記等化目標値メモリから、前記状態遷移情報に対応する等化目標値を読み出して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項6】
情報記録媒体からの再生信号を等化し、
前記等化された等化再生信号から、ビタビ検出により2値信号を検出し、
前記ビタビ検出前の等化再生信号の非対称性を表す非対称情報を生成するとともに、
前記等化する際に用いる等化目標値を、前記非対称情報をもとに生成して、
前記等化目標値と前記等化再生信号とから前記等化処理のタップ係数を算出する
ことを特徴とする情報再生方法。
【請求項7】
前記等化目標値を、
特定のビット長データについて、等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準にピークレベルが非対称となるように設定する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項8】
前記非対称情報をもとに、特定のビット長についての等化目標値として、当該等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準に、前記等化再生信号とは逆の極性である非対称な等化目標値を生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項9】
前記ビタビ検出された2値信号を、パーシャルレスポンス係数が異なる第1のFIR回路と第2のFIR回路で演算し、
前記第1のFIR回路で演算された第1の信号の前記平均レベル値から上側のデータと、前記第2のFIR回路で演算された第2の信号の前記平均レベル値から下側のデータとを組み合わせて特定の周波数帯域のデータパターンが非対称である等化目標値を生成することを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項10】
前記ビタビ検出を行なう際のデータパターンに対応して割り振られる状態遷移情報と、前記等化再生信号の非対称情報に基づいた等化目標値を与える
ことを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項1】
情報記録媒体からの再生信号を等化する等化器と、
前記等化器で等化された等化再生信号を入力とし、ビタビ検出により2値信号を検出するビタビ検出器と、
前記ビタビ検出器に入力される等化再生信号の非対称性を表す非対称情報を生成する非対称情報検出手段と、
前記等化器における等化目標値を、前記非対称情報をもとに生成する目標信号生成手段と、
前記等化目標値と前記等化再生信号とから前記等化器のタップ係数を算出するタップ係数算出器と
を備えることを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
前記目標信号生成手段は、前記等化目標値を、特定のビット長のデータについて、等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準にピークレベルが非対称となるように設定することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記目標信号生成手段は、前記非対称情報をもとに、特定のビット長についての等化目標値として、当該等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準に、前記等化再生信号とは逆の極性である非対称な等化目標値を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記目標信号生成手段は、
パーシャルレスポンス係数が異なる第1のFIR回路と第2のFIR回路とを備え、
前記ビタビ検出器から出力され、前記目標信号再生手段に入力される2値信号から、
前記第1のFIR回路で演算された第1の信号の前記平均レベル値から上側のデータと、
前記第2のFIR回路で演算された第2の信号の前記平均レベル値から下側のデータとを組み合わせて特定の周波数帯域のデータパターンが非対称である等化目標値を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記非対称情報検出手段が、
前記ビタビ検出器の状態遷移に対応して割り振られた状態遷移情報を逐次記録する状態遷移メモリを有し、
前記目標信号生成手段は、
前記等化再生信号の非対称情報に基づいて、状態遷移ごとに与えられる等化目標値を逐次記録する等化目標値メモリを有し、
前記ビタビ検出器から出力される状態遷移情報に基づき、前記等化目標値メモリから、前記状態遷移情報に対応する等化目標値を読み出して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項6】
情報記録媒体からの再生信号を等化し、
前記等化された等化再生信号から、ビタビ検出により2値信号を検出し、
前記ビタビ検出前の等化再生信号の非対称性を表す非対称情報を生成するとともに、
前記等化する際に用いる等化目標値を、前記非対称情報をもとに生成して、
前記等化目標値と前記等化再生信号とから前記等化処理のタップ係数を算出する
ことを特徴とする情報再生方法。
【請求項7】
前記等化目標値を、
特定のビット長データについて、等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準にピークレベルが非対称となるように設定する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項8】
前記非対称情報をもとに、特定のビット長についての等化目標値として、当該等化目標値の最大レベル値と最小レベル値の平均レベル値を基準に、前記等化再生信号とは逆の極性である非対称な等化目標値を生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項9】
前記ビタビ検出された2値信号を、パーシャルレスポンス係数が異なる第1のFIR回路と第2のFIR回路で演算し、
前記第1のFIR回路で演算された第1の信号の前記平均レベル値から上側のデータと、前記第2のFIR回路で演算された第2の信号の前記平均レベル値から下側のデータとを組み合わせて特定の周波数帯域のデータパターンが非対称である等化目標値を生成することを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項10】
前記ビタビ検出を行なう際のデータパターンに対応して割り振られる状態遷移情報と、前記等化再生信号の非対称情報に基づいた等化目標値を与える
ことを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−216170(P2011−216170A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86044(P2010−86044)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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