説明

情報再生装置

【課題】 リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる情報再生装置を提供する。
【解決手段】 媒体より取り出した信号を2値化する2値化回路103と、2値化回路103の出力より、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路104,105と、同期信号検出回路104,105の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路106,107とを備え、同期信号検出回路104,105の同期信号検出状態によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するかを選択しこれを再生中に動的に切り替える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に記録された信号を再生する情報再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
媒体の信号再生システムとして、記録品質が悪い場合や、指紋・傷等によって、再生が正しく行えなかった場合に、フィルター等の設定値を変更し、再度再生を試みるリトライ処理が設けられている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−83625号公報(第1項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、指紋や傷により発生する単発のリトライ処理であれば問題はないが、記録品質が悪いディスクを再生した場合は、リトライ処理が頻発することになり、再生することは可能であるが、転送レートが低下してしまう。
【0004】
この発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる情報再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明(請求項1)に係る情報再生装置は、媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、前記信号再生手段により取り出した信号を、2値化する2値化回路と、前記2値化回路の出力より、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備えた、ことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明(請求項2)に係る情報再生装置は、請求項1記載の情報再生装置において、前記制御回路が、前記複数の同期信号検出回路の同期検出状態によって、出力信号を切り替える、ことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明(請求項3)に係る情報再生装置は、請求項1記載の情報再生装置において、前記制御回路が、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出数の比較に基づいて、出力信号を切り替える、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明(請求項4)に係る情報再生装置は、媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、前記信号再生手段により取り出した信号を、相互に異なる2値化方法で2値化する複数の2値化回路と、前記複数の2値化回路の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備えた、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明(請求項5)に係る情報再生装置は、請求項4記載の情報再生装置において、前記複数の2値化回路が、相互に異なる閾値で2値化を行なうものである、ことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明(請求項6)に係る情報再生装置は、請求項4または5記載の情報再生装置において、前記複数の同期信号検出回路が、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する、ことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明(請求項7)に係る情報再生装置は、請求項4ないし6のいずれかに記載の情報再生装置において、前記制御回路が、前記複数の同期信号検出回路の同期検出状態によって、出力信号を切り替える、ことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明(請求項8)に係る情報再生装置は、請求項4ないし6のいずれかに記載の情報再生装置において、前記制御回路が、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出数の比較に基づいて、出力信号を切り替える、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明(請求項9)に係る情報再生装置は、媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、前記信号再生手段により取り出した信号の電圧レベルを、相互に異なるゲインで増幅する複数のVGA回路と、前記複数のVGA回路の各々の出力を、それぞれ2値化する複数の2値化回路と、前記複数の2値化回路の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備えた、ことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明(請求項10)に係る情報再生装置は、請求項9記載の情報再生装置において、前記複数の2値化回路が、相互に異なる閾値で2値化を行なうものである、ことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明(請求項11)に係る情報再生装置は、請求項9または10に記載の情報再生装置において、前記複数の同期信号検出回路が、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する、ことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明(請求項12)に係る情報再生装置は、請求項9ないし11のいずれかに記載の情報再生装置において、前記制御回路が、前記複数の同期信号検出回路の同期検出状態によって、出力信号を切り替える、ことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明(請求項13)に係る情報再生装置は、請求項9ないし11のいずれかに記載の情報再生装置において、前記制御回路が、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出数の比較に基づいて、出力信号を切り替える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る情報再生装置によれば、媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、前記信号再生手段により取り出した信号を、2値化する2値化回路と、前記2値化回路の出力より、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備え、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出状態や、同期信号検出数によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するかを選択しこれを再生中に動的に切り替える構成としたから、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる効果がある。
【0019】
また、本発明に係る情報再生装置によれば、媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、前記信号再生手段により取り出した信号を、相互に異なる2値化方法で2値化する複数の2値化回路と、前記複数の2値化回路の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備え、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出状態や、同期信号検出数によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するかを選択しこれを再生中に動的に切り替える構成としたから、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる効果がある。
【0020】
また、本発明に係る情報再生装置によれば、媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、前記信号再生手段により取り出した信号の電圧レベルを、相互に異なるゲインで増幅する複数のVGA回路と、前記複数のVGA回路の各々の出力を、それぞれ2値化する複数の2値化回路と、前記複数の2値化回路の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備え、前記該複数の同期信号検出回路の同期信号検出状態や、同期信号検出数によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するか選択しこれを再生中に動的に切り替える構成としたから、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による情報再生装置の構成を示すブロック図である。以下、各ブロックについて媒体を光ディスクとして説明を行う。
【0022】
図1において、101は、媒体(光ディスク)よりの反射光を電気信号に変換する光ディテクタを備えた光学ヘッドである。102は、光学ヘッド101より出力される電気信号を増幅するアンプである。103は、アンプ102から出力される電気信号を、デジタル信号に変換する2値化回路である。104,105は、前記2値化回路103により変換されたデジタル信号から同期信号を検出し、データを同期化する同期信号検出回路である。ここで同期信号検出回路104,105は、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出する。相互に異なる同期信号検出方法としては、例えば、一方の同期信号検出回路が、検出した同期信号をそのまま出力する直接デコード方式で同期信号を検出するものとし、他方の同期信号検出回路が、検出した一つの同期信号に基づいて、これに続く同期信号を推測して求める方式で同期信号を検出するものとする。ここで、各同期信号検出回路104,105を、複数の同期信号検出方法のいずれかを設定入力に応じて選択的に実行できる構成を有するものとし、図示しない設定手段から、同期信号検出回路104,105が相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出するように設定入力を与える構成としてもよい。
【0023】
また、106,107は、前記同期化された再生データを復調する復調回路である。108,109は、復調回路106,107で復調された再生データを格納するFIFOである。110は、上記同期信号検出回路104,105の同期検出状態や、同期検出信号検出数と、設定された優先順位によって、データを選択するデータ選択回路である。111は、選択されたデータを切り替えるタイミングを、同期信号検出回路104,105より入力されるタイミング信号から決定し、選択信号と、ロード機能付きFIFO113へのロード信号を、制御する切り替えタイミング制御回路である。112は、切り替えタイミング制御回路111が出力する選択信号により出力データを切り替えるセレクタ、113は、ロード機能付きFIFOである。
【0024】
次に本実施の形態1による情報再生装置の動作を媒体が光ディスクである場合について説明する。図2は本実施の形態1による情報再生装置の動作を示すタイミングチャート図である。
【0025】
媒体よりの反射光は、光学ヘッド101に備えた光ディテクタにより電気信号に変換され、アンプ102で増幅され、2値化回路103によってデジタル信号に変換され、デジタル信号DIGI_OUTとして出力される。変換されたデジタル信号DIGI_OUTは、同期信号検出回路104,105に入力される。同期信号は、図7に示すように、一定のデータ毎の先頭に付加されており、データとは異なった固有のパターン列になっている。同期信号は、入力データの品質や、同期信号検出回路の状態によっては正しく検出できない場合もあるが、同期信号を同期信号検出回路104,105によって正しく検出することで、再生データを同期化することができる。各々の同期信号検出回路104,105で同期化された再生データSDATA1,SDATA2を、復調回路106,107のそれぞれに入力し、復調された復調信号DDATA1,DDATA2を、FIFO108,109に入力する。そして、同期信号検出回路104,105のそれぞれから出力される同期信号検出状態STATE1,STAET2、確認タイミング信号TIMING1,TIMING2、および同期信号の検出数VALUE1,VALUE2が、データ選択回路110に入力される。確認タイミング信号TIMIG1,TIMING2は、図7に示すように、同期信号を検出する度に出力される信号である。ここで、確認タイミング信号TIMING1、TIMING2は、同期信号を複数回検出する毎に出力される信号としてもよく、また、同期信号を検出できない時は、補間される信号を用いることもできる。データ選択回路110は、それぞれの確認タイミング信号TIMING1,TIMING2のタイミングで、それぞれの同期検出状態STATE1,STATE2を確認し、設定されている優先順位PRIORITYにより、出力する再生データを選択し、選択信号SELを出力する。図2の例では、DATA1を優先して出力する設定としている。
【0026】
図2において、確認タイミング信号TIMING1,TIMING2の前では、選択信号SELはDATA1を選択しているが、確認タイミング信号のタイミングでは、同期信号検出回路104の同期状態を示すSTATE1が同期NGであることを示し、一方、同期信号検出回路105の同期状態を示すSTATE2が同期OKであることを示しているので、DATA2を選択するように選択信号SELが変更される。また、図示はしていないが、選択信号SELがDATA2を選択している状態で、確認タイミング信号のタイミングで、STATE2が同期NGであることを示し、STATE1が同期OKであることを示している場合は、DATA1を選択するように選択信号SELが変更される。また、確認タイミング信号のタイミングで、同期状態STATE1,STATE2がともに、同期OKを示している場合は、設定された優先順位により選択信号SELはDATA1を選択する。そして、再生データ切り替えタイミング制御回路111は、同期信号検出回路104,105のそれぞれの確認タイミング信号TIMING1,TIMING2から、再生データを切り替えるタイミングと、ロード機能付きFIFO113のロード信号の出力タイミングを決定し、再生データを出力するためのセレクタ回路112の出力するセレクト信号SEL_OUTを切り替え、ロード機能付きFIFO113のロード信号FLOADを出力する。そうして、再生データのセレクタ回路112は、セレクト信号SEL_OUTで選択されたFIFO108もしくはFIFO109からの再生データSEL_DATAを、ロード機能付きFIFO113に出力し、該FIFO113は、ロード信号FLOADのタイミングで、SEL_DATAをロードし、F_OUT3を出力する。
【0027】
上述のように、本実施の形態1による情報再生装置においては、同期信号検出回路104の同期状態が同期NGになり、正しくSDATA1を生成できなくなっているが、同期信号検出回路104とは同期信号の検出方法が異なる同期信号検出回路105の同期状態は同期OKであり、SDATA2を正しく生成できているため、DATA2を選択するように切り替えることで、F_OUT3には、正しい再生データを出力することができている。そのため、従来の信号再生装置では、再生エラーとなりリトライ処理が発生するような条件においても、本実施の形態による情報再生装置では、リトライ処理を発生させることなく、信号を再生することができる。
【0028】
以上のように本実施の形態1によれば、媒体より取り出した信号を2値化する2値化回路103と、2値化回路103の出力より、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路104,105と、複数の同期信号検出回路104,105の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路106,107とを備え、複数の同期信号検出回路104,105の同期信号検出状態によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するかを選択しこれを再生中に動的に切り替える構成としたから、再生性能を向上させ、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる。
【0029】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2のよる情報再生装置の構成を示すブロック図である。以下、各ブロックについて媒体を光ディスクとして説明を行う。
【0030】
図3において、301は、媒体(光ディスク)よりの反射光を電気信号に変換する光ディテクタを備えた光学ヘッドである。302は、光学ヘッド301より出力される電気信号を増幅するアンプである。303,304は、アンプ302が出力する電気信号をデジタル信号に変換する2値化回路である。ここで、2値化回路303,304は相互に異なる2値化方法により2値化を行なうものである。相互に異なる2値化方法としては、例えば、2値化を行なう閾値を相互に異なるものとする。ここで、各2値化回路303,304を、設定入力に応じて2値化を行なう閾値を選択できる構成を有するものとし、図示しない設定手段から、2値化回路303,304が相互に異なる閾値で2値化を行なうように設定入力を与える構成としてもよい。305,306は、変換されたデジタル信号から同期信号を検出し、データを同期化する同期信号検出回路である。
【0031】
また、307,308は、前記同期化された再生データを復調する復調回路である。309,310は、復調回路307,308で復調された再生データを格納するFIFOである。311は、上記同期信号検出回路305,306の同期検出状態や、同期検出信号検出数と、設定された優先順位によってデータを選択するデータ選択回路である。312は、選択されたデータを切り替えるタイミングを、同期信号検出回路305,306より入力されるタイミング信号から決定し、選択信号と、ロード機能付きFIFO314へのロード信号を制御する切り替えタイミング制御回路である。313は、切り替えタイミング制御回路312が出力する選択信号により出力データを切り替えるセレクタ、314は、ロード機能付きFIFOである。
【0032】
次に本実施の形態2による情報再生装置の動作を媒体が光ディスクである場合について説明する。図4は本実施の形態2による情報再生装置の動作を示すタイミングチャート図である。
【0033】
媒体よりの反射光は、光学ヘッド301に備えた光ディテクタにより電気信号に変換され、アンプ302で増幅され、2値化回路303,304に入力され、各々の2値化回路でデジタル信号に変換され、デジタル信号DIGI_OUT1,DIGI_OUT2として出力される。変換されたデジタル信号DIGI_OUTは、同期信号検出回路305,306に入力される。同期信号は、図7に示すように、一定のデータ毎の先頭に付加されており、データとは異なった固有のパターン列になっている。同期信号は、入力データの品質や、同期信号検出回路の状態によっては正しく検出できない場合もあるが、同期信号を同期信号検出回路305,306によって正しく検出することで、再生データを同期化することができる。各々の同期信号検出回路305,306で同期化された再生データSDATA1,SDATA2を、復調回路307,308のそれぞれに入力し、復調された復調信号DDATA1,DDATA2を、FIFO309,310に入力する。そして、同期信号検出回路305,306のそれぞれから出力される同期信号検出状態STATE1,STAET2、確認タイミング信号TIMING1,TIMING2、および同期信号の検出数VALUE1,VALUE2が、データ選択回路311に入力される。確認タイミング信号TIMING1,TIMING2は、図7に示すように、同期信号を検出する度に出力される信号である。ここで、確認タイミング信号TIMING1、TIMING2は、同期信号を複数回検出する毎に出力される信号としてもよく、また、同期信号を検出できない時は、補間される信号を用いることもできる。データ選択回路311は、それぞれの確認タイミング信号TIMING1,TIMING2のタイミングで、それぞれの同期検出状態STATE1,STATE2を確認し、設定されている優先順位PRIORITYにより、再生するデータを選択し、選択信号SELを出力する。図4の例では、DATA1を優先して出力する設定としている。
【0034】
図4において、確認タイミング信号TIMING1,TIMING2の前では、選択信号SELはDATA1を選択しているが、確認タイミング信号のタイミングでは、同期信号検出回路305の同期状態を示すSTATE1が同期NGであることを示し、一方、同期信号検出回路306の同期状態を示すSTATE2が同期OKであることを示しているので、DATA2を選択するように、選択信号SELが変更される。また、図示はしていないが、選択信号SELがDATA2を選択している状態で、確認タイミング信号のタイミングで、STATE2が同期NGであることを示し、STATE1が同期OKであることを示している場合は、DATA1を選択するように選択信号SELが変更される。また、確認タイミング信号のタイミングで、同期状態STATE1,STATE2がともに、同期OKを示している場合は、設定された優先順位により選択信号SELはDATA1を選択する。そして、再生データ切り替えタイミング制御回路312は、同期信号検出回路305,306のそれぞれの確認タイミング信号TIMING1,TIMING2から、再生データを切り替えるタイミングと、ロード機能付きFIFO314のロード信号の出力タイミングを決定し、再生データを出力するためのセレクタ回路313の出力するセレクト信号SEL_OUTを切り替え、ロード機能付きFIFO314のロード信号FLOADを出力する。そうして、再生データのセレクタ回路313は、セレクト信号SEL_OUTで選択されたFIFO309もしくはFIFO310からの再生データSEL_DATAを、ロード機能付きFIFO314に出力し、該FIFO314は、ロード信号FLOADのタイミングで、SEL_DATAをロードし、F_OUT3を出力する。
【0035】
上述のように、本実施の形態2による情報再生装置においては、2値化回路303の出力から同期信号を検出する同期信号検出回路305が同期NGになり正しくSDATA1を生成できなくなっているが、2値化回路303とは2値化方法が異なる2値化回路304の出力から同期信号を検出する同期信号検出回路306は同期OKであり、SDATA2を正しく生成できているため、DATA2を選択するように切り替えることで、F_OUT3には、正しい再生データを出力することができている。そのため、従来の信号再生装置では、再生エラーとなりリトライ処理が発生するような条件においても、本実施の形態による情報再生装置では、リトライ処理を発生させることなく、信号を再生することができる。
【0036】
以上のように本実施の形態2によれば、媒体より取り出した信号を、相互に異なる2値化方法で2値化する複数の2値化回路303,304と、複数の2値化回路303,304の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路305,306と、複数の同期信号検出回路305,306の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路307,308とを備え、複数の同期信号検出回路305,306の同期信号検出状態によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するかを選択しこれを再生中に動的に切り替える構成としたから、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる。
【0037】
なお、上記実施の形態2では、2値化回路、同期信号検出回路をそれぞれ複数設けたものにおいて、複数の2値化回路が相互に異なる2値化方法で2値化を行なうものについて説明したが、さらに複数の同期信号検出回路が相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出するものとしてもよく、上記実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0038】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3による情報再生装置の構成を示すブロック図である。以下、各ブロックについて媒体を光ディスクとして説明を行う。
【0039】
図5において、501は、媒体(光ディスク)よりの反射光を電気信号に変換する光ディテクタを備えた光学ヘッドである。502は、光学ヘッド501より出力される電気信号を増幅するアンプである。503,504は、アンプ502より出力される電気信号の電圧を相互に異なるゲインで増幅するVGA(variable gain amplifier:可変ゲインアンプ)である。505,506は、VGA503、504より出力される電気信号をデジタル信号に変換する2値化回路である。507,508は、変換されたデジタル信号から同期信号を検出し、データを同期化する同期信号検出回路である。
【0040】
また、509,510は、前記同期化された再生データを復調する復調回路である。511,512は、復調回路509,510で復調された再生データを格納するFIFOである。513は、上記同期信号検出回路507,508の同期検出状態や、同期検出信号検出数と、設定された優先順位によってデータを選択するデータ選択回路である。514は、選択されたデータを切り替えるタイミングを、同期信号検出回路507,508より入力されるタイミング信号から決定し、選択信号と、ロード機能付きFIFO516へのロード信号を制御する切り替えタイミング制御回路である。515は、切り替えタイミング制御回路514が出力する選択信号により出力データを切り替えるセレクタ、516は、ロード機能付きFIFOである。
【0041】
次に本実施の形態3による情報再生装置の動作を媒体が光ディスクである場合について説明する。図6は本実施の形態3による情報再生装置の動作を示すタイミングチャート図である。
【0042】
媒体よりの反射光は、光学ヘッド501に備えた光ディテクタにより電気信号に変換され、アンプ502で増幅され、さらにVGA503,504で設定されたゲインでそれぞれ電圧が増幅されたVGA_OUT1,VGA_OUT2が、2値化回路505,506に入力され、各々の2値化回路505,506でデジタル信号に変換され、デジタル信号DIGI_OUT1,DIGI_OUT2として出力される。変換されたデジタル信号DIGI_OUT1,DIGI_OUT2はそれぞれ、同期信号検出回路507,508に入力される。同期信号は、図7に示すように、一定のデータ毎の先頭に付加されており、データとは異なった固有のパターン列になっている。同期信号は、入力データの品質や、同期信号検出回路の状態によっては正しく検出できない場合もあるが、同期信号を、同期信号検出回路507,508によって正しく検出することで、再生データを同期化することができる。各々の同期信号検出回路507,508で同期化された再生データSDATA1,SDATA2を、復調回路509,510のそれぞれに入力し、復調された復調信号DDATA1,DDATA2を、FIFO511,512に入力する。そして、同期信号検出回路507,508のそれぞれから出力される同期信号検出状態STATE1,STAET2、確認タイミング信号TIMING1,TIMING2、および同期信号の検出数を示す信号VALUE1,VALUE2が、データ選択回路513に入力される。確認タイミング信号TIMING1,TIMING2は、図7に示すように、同期信号を検出する度に出力される信号である。ここで、確認タイミング信号TIMING1、TIMING2は、同期信号を複数回検出する毎に出力される信号としてもよく、また、同期信号を検出できない時は、補間される信号を用いることもできる。データ選択回路513は、それぞれの確認タイミング信号TIMING1,TIMING2のタイミングで、それぞれの同期検出状態STATE1,STATE2を確認し、設定されている優先順位PRIORITYにより、再生するデータを選択し、選択信号SELを出力する。図6の例では、DATA1を優先して出力する設定としている。
【0043】
図6において、確認タイミング信号TIMIG1,TIMING2の前では、選択信号SELはDATA1を選択しているが、確認タイミング信号のタイミングでは、同期信号検出回路507の同期状態を示すSTATE1が同期NGであることを示し、一方、同期信号検出回路508の同期状態を示すSTATE2が同期OKであることを示しているので、DATA2を選択するように選択信号SELが変更される。また、図示はしていないが、選択信号SELがDATA2を選択している状態で、確認タイミング信号のタイミングで、STATE2が同期NGであることを示し、STATE1が同期OKであることを示している場合は、DATA1を選択するように選択信号SELが変更される。また、確認タイミング信号のタイミングで、同期状態STATE1,STATE2がともに、同期OKを示している場合は、設定された優先順位により選択信号SELはDATA1を選択する。そして、再生データ切り替えタイミング制御回路514は、同期信号検出回路507,508のそれぞれの確認タイミング信号TIMING1、TIMING2から、再生データを切り替えるタイミングと、ロード機能付きFIFO516のロード信号の出力タイミングを決定し、再生データを出力するためのセレクタ回路515、の出力するセレクト信号SEL_OUTを切り替え、ロード機能付きFIFO516へのロード信号FLOADを出力する。そうして、再生データのセレクタ回路515は、セレクト信号SEL_OUTで選択されたFIFO511もしくはFIFO512からの再生データSEL_DATAを、ロード機能付きFIFO517に出力し、FIFO517は、ロード信号FLOADのタイミングで、SEL_DATAをロードし、F_OUT3を出力する。
【0044】
なお以上では、確認タイミング信号TIMING1,TIMING2は、同期信号を検出する度に出力するもの、として説明したが、複数回検出する毎や、検出されない時は、補間される信号を用いることもできる。
【0045】
上述のように、本実施の形態3による情報再生装置においては、VGA503の出力を2値化する2値化回路505の出力から同期信号を検出する同期信号検出回路507の同期状態が同期NGになり正しくSDATA1を生成できなくなっているが、VGA503とはゲインの異なるVGA504の出力を2値化する2値化回路506の出力から同期信号を検出する同期信号検出回路508の同期状態は同期OKであり、SDATA2を正しく生成できているため、DATA2を選択するように切り替えることで、F_OUT3には、正しい再生データを出力することができている。そのため、従来の信号再生装置では、再生エラーとなりリトライ処理が発生するような条件においても、本実施の形態による情報再生装置では、リトライ処理を発生させることなく、信号を再生することができる。
【0046】
以上のように本実施の形態3によれば、媒体より取り出した信号の電圧レベルを相互に異なるゲインで増幅する複数のVGA回路503,504と、複数のVGA回路503,504の各々の出力をそれぞれ2値化する複数の2値化回路505,506と、複数の2値化回路505,506の各々の出力よりそれぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路507,508と、複数の同期信号検出回路507,508の各々が出力する同期化した再生データをそれぞれ復調する複数の復調回路509,510とを備え、複数の同期信号検出回路507,508の同期信号検出状態によって、同期化された複数の再生データから最終的にいずれを再生データとして出力するかを選択しこれを再生中に動的に切り替える構成としたから、リトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができる。
【0047】
なお、上記実施の形態3では、VGA回路、2値化回路、同期信号検出回路をそれぞれ複数設けたものにおいて、複数のVGA回路のゲインを相互に異なるものとしたものについて説明したが、さらに複数の2値化回路を相互に異なる2値化方法で2値化を行なうものとしてもよく、また、さらに複数の同期信号検出回路が相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出するものとしてもよく、上記実施の形態3と同様の効果を奏する。
【0048】
また、上記実施の形態1〜3では、複数の同期信号検出回路の同期信号検出状態STATE1,STATE2によって、出力する再生データを切り替えるものについて説明したが、複数の同期信号検出回路がそれぞれ検出した同期信号の検出数VALUE1,VALUE2を比較して、検出数の多いほうの同期信号検出回路によって同期化された再生データを出力するように出力データを切り換えるようにしてもよく、上記各実施の形態と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、光ディスク再生装置、磁気ディスク再生装置等の再生動作におけるリトライ処理の回数を減らし、転送レートの低下を抑制,防止することができ、再生性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1による情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における情報再生の流れを示したタイミングチャート図である。
【図3】本発明の実施の形態2による情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2における情報再生の流れを示したタイミングチャート図である。
【図5】本発明の実施の形態3による情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3による情報再生の流れを示したタイミングチャート図である。
【図7】本発明における同期信号検出回路の動作を示したタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0051】
101,301,501 光学ヘッド
102,302,502 アンプ
503,504 VGA
103,303,304,505,506 2値化回路
104,105,305,306,507,508 同期信号検出回路
106,107,307,308,509,510 復調回路
108,109,309,310,511,512 FIFO
110,311,513 データ選択回路
111,312,514 切り替えタイミング制御回路
112,313,515 セレクタ
113,314,516 ロード機能付きFIFO
DIGI_OUT、DIGI_OUT1、DIGI_OUT2 デジタル信号に変換された再生データ
SDATA1、SDATA2 同期化された再生データ
DDATA1、DDATA2 復調された再生データ
VGA_OUT1、VGA_OUT2 VGAによって増幅された電気信号
STATE、STATE1、STATE2 同期信号検出状態
TIMING、TIMING1、TIMING2 同期状態確認タイミング信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、
前記信号再生手段により取り出した信号を、2値化する2値化回路と、
前記2値化回路の出力より、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、
前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、
前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備えた、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報再生装置において、
前記制御回路は、前記複数の同期信号検出回路の同期検出状態によって、出力信号を切り替える、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項3】
請求項1記載の情報再生装置において、
前記制御回路は、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出数の比較に基づいて、出力信号を切り替える、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項4】
媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、
前記信号再生手段により取り出した信号を、相互に異なる2値化方法で2値化する複数の2値化回路と、
前記複数の2値化回路の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、
前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、
前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備えた、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項5】
請求項4記載の情報再生装置において、
前記複数の2値化回路は、相互に異なる閾値で2値化を行なうものである、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の情報再生装置において、
前記複数の同期信号検出回路は、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の情報再生装置において、
前記制御回路は、前記複数の同期信号検出回路の同期検出状態によって、出力信号を切り替える、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項8】
請求項4ないし6のいずれかに記載の情報再生装置において、
前記制御回路は、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出数の比較に基づいて、出力信号を切り替える、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項9】
媒体より、該媒体に記録された信号を取り出す信号再生手段と、
前記信号再生手段により取り出した信号の電圧レベルを、相互に異なるゲインで増幅する複数のVGA(variable gain amplifier:可変ゲインアンプ)回路と、
前記複数のVGA回路の各々の出力を、それぞれ2値化する複数の2値化回路と、
前記複数の2値化回路の各々の出力より、それぞれ同期信号を検出してデータを同期化する複数の同期信号検出回路と、
前記複数の同期信号検出回路の各々が出力する同期化した再生データを、それぞれ復調する複数の復調回路と、
前記複数の復調回路よりの複数の出力信号を、前記媒体よりの信号の再生中に、切り替えて出力する制御回路とを備えた、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項10】
請求項9記載の情報再生装置において、
前記複数の2値化回路は、相互に異なる閾値で2値化を行なうものである、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の情報再生装置において、
前記複数の同期信号検出回路は、相互に異なる同期信号検出方法によって同期信号を検出してデータを同期化する、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれかに記載の情報再生装置において、
前記制御回路は、前記複数の同期信号検出回路の同期検出状態によって、出力信号を切り替える、
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項13】
請求項9ないし11のいずれかに記載の情報再生装置において、
前記制御回路は、前記複数の同期信号検出回路の同期信号検出数の比較に基づいて、出力信号を切り替える、
ことを特徴とする情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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