説明

情報処理システム、ホスト装置、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム

【課題】ホスト装置とクライアント装置との間のタッチに伴う通信が、データ送信が正常に終了する以前に途絶えた場合であっても、再度のタッチに伴う後の処理を支障なく実行できる情報処理システムを提供する。
【解決手段】ホスト装置3と、ホスト装置3に情報の処理を依頼するクライアント装置1とでなり、クライアント装置1とホスト装置3との間で通信する操作ボタン109a〜109c、ペン2、通信処理部108を備えた情報処理システムにおいて、ホスト装置1は、1回の通信で送受信されるべき第1の通信情報が全て送信または受信されたか否か判断し、第1の通信情報が全て送信または受信されたと判断される以前に第1の通信情報を送受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に応じて第1の通信情報に関する処理を決定する文書処理部303及び未完処理管理部302を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、ホスト装置、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに係り、特にオペレータがクライアント装置を操作する間にだけホスト装置とクライアント装置との通信ができる情報処理システム、ホスト装置、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピュータの分野において、ホスト装置とクライアント装置とで構成されたホストベース型情報システムがある。多くのホストベース型情報システムは、オペレータがクライアント装置を操作して情報処理を指示し、この指示がクライアント装置からホスト装置に送られる。また、ホスト装置は、指示にしたがって情報処理し、この結果をクライアント装置側に通知している。
【0003】
このようなホストベース型情報システムの従来例として、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1に記載された発明は、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとでシステムを構成し、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間でプログラムの終了や実行状態にかかる情報を通信することによってプログラムの実行結果を監視している。また、通信されるそれぞれの情報についても、通信プロトコルにおいて、その送達を双方で確認している。
【0004】
ところで、近年、紙と略同様に扱える程度に薄い表示画面を備えた電子データの表示媒体が実用化されている。このような表示媒体は、電子ペーパとも呼ばれている。また、電子ペーパをクライアント装置としてホスト装置となるコンピュータ等に接続してホストベース型情報システムを構成することも考えられている。このようなシステムは、電子ペーパを紙と同様に扱うために大型の制御装置を設けて大型化することを避けたいという要請に適うものであるといえる。
【特許文献1】特開2003−157184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子ペーパは、紙と同様に扱えるほど構成を軽量、簡易化するという要請から複雑な操作部や制御部を設けることは望ましくない。このため、ホストベース型情報システムを構成する電子ペーパでは、専用のペン等によって電子ペーパ上に設けられた操作ボタン等にタッチする間だけホスト装置と通信し、例えば表示画面の書替といった操作がなされたことを示すクライアント装置からの識別信号を含め、その操作に対応する処理に応じた通信情報を送受信するものが提案されている。
【0006】
しかしながら、このような電子ペーパを特許文献1のクライアント装置に適用した場合、通信の途中でペンが操作ボタンから離れると、ホスト装置において信号の受信が正常に完了することができない等、通信が途絶える状況が発生する。このように通信情報の送受信が正常に完了しない場合、従来のホストベース型情報システムは、一般的には通信情報の再送を試みる等の処理を実行する。
【0007】
また、ホスト装置に複数のクライアント装置を接続可能とする場合、一のクライアント装置との通信が正常に完了していないにも関わらず他のクライアント装置によって信号が送信されてくることも考えられる。このような場合、ホスト装置の側では要求が不整合であるとしてエラーを発生することが一般的である。
このような事態は、電子ペーパを使ったホストベース型情報システムの処理効率を低下させ、その操作性をも低下させることになる。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであって、ホスト装置とクライアント装置との間で通信がクライアント装置によるデータ送信が正常に終了する以前に通信が途絶えた場合であっても後の処理を支障なく実行できる情報処理システム、ホスト装置、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本発明の文書処理システムは、ホスト装置と、該ホスト装置に情報の処理を依頼するクライアント装置とでなり、前記クライアント装置と前記ホスト装置との間で通信する通信手段を備えた情報処理システムであって、前記ホスト装置は、前記通信手段による1回の通信で送受信されるべき第1の通信情報が全て送信または受信されたか否か判断する通信完了判断手段と、前記通信完了判断手段によって第1の通信情報が全て送信または受信されたと判断される以前に前記通信手段が第1の通信情報を送受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に応じて第1の通信情報に関する処理を決定する通信情報処理決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような発明によれば、ホスト装置が通信手段による1回の通信で送受信されるべき第1の通信情報が全て送信または受信されたか否か判断することができる。また、第1の通信情報が全て送信または受信されたと判断される以前に通信手段が第1の通信情報を送受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に応じて第1の通信情報に関する処理を決定することができる。
【0011】
このため、本発明では、第1の通信情報は、通信中で途絶えた場合にも次の通信時に適正に処理されるため、通信が途絶した場合であっても後の処理を支障なく実行できる情報処理システムを提供することができる。
また、本発明の情報処理システムは、前記通信手段が、前記クライアント装置側に設けられた操作部と、前記ホスト装置側に設けられ、前記操作部を指定する指定部材と、前記操作部が前記指定部材によって指定された際に指定された操作部に対応する通信情報を出力する通信情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような発明によれば、クライアント装置側の操作部をホスト装置側のペン等の指定部材によって操作した場合にだけ通信を確保することができる。このような構成は、クライアント装置の通信にかかる制御や構成を簡易化し、クライアント装置をより小型、軽量化することに効果的である。
【0013】
また、本発明の情報処理システムは、前記操作部が前記クライアント装置に対する操作の種別に対応して複数設けられ、前記通信情報出力手段は、前記操作部に対応する操作の指示がなされたことを示す通信情報を出力することを特徴とする。
このような発明によれば、クライアント装置に対してされた操作をホスト装置の側で簡易に検出することができる。
【0014】
また、本発明の情報処理システムは、通信情報処理決定手段が、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を中断した後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理の実行を決定することを特徴とする。
このような発明によれば、誤操作等によって一の操作部を操作した後、本来操作すべき他の操作部を操作することによって誤操作による意図しない処理の実行を防ぐことができる。
【0015】
また、本発明の情報処理システムは、前記通信情報処理決定手段が、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作とが異なる場合、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を中断した後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理を実行し、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作とが同一である場合、第1の通信情報が示す操作に応じた処理の継続を決定することを特徴とする。
このような発明によれば、誤操作等によって第1の通信情報の通信が途絶えた場合であっても、再度操作部を操作し直せば途絶えた通信によってなされる処理を再開することができる。また、先の操作が誤操作である場合、後で行った適正な操作によって誤操作によって意図しない処理の実行を防ぐことができる。
【0016】
また、本発明の情報処理システムは、前記操作部が第1の通信情報が示す操作に応じた処理を継続することを指示する継続指示ボタンを含み、前記通信情報処理決定手段が、前記継続指示ボタンの操作によって出力される通信情報を前記通信手段が受信したことによって第1の通信情報が示す操作に応じた処理の継続を決定することを特徴とする。
このような発明によれば、誤操作等によって先の操作によって行われている通信が未完了の状態でさらに操作をした場合であっても、先の操作によって行われる処理を再開して適性に完了することができる。
【0017】
また、本発明の情報処理システムは、前記通信情報処理決定手段が、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作との異同に関わらず、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を継続して完了させた後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理の実行を決定することを特徴とする。
このような発明によれば、誤操作等によって第1の通信情報の通信が途中で途絶した場合であっても、後の操作によって確実に途絶した通信によって実行される処理を再開することができる。
【0018】
また、本発明のホスト装置は、クライアント装置と通信する通信手段を備えたホスト装置であって、一回の通信で送受信すべき第1の通信情報が前記通信手段によって全て送受信されたか否か判断する通信完了判断手段と、前記通信完了判断手段によって第1の通信情報が全て送受信されたと判断される以前に前記通信手段が第1の通信情報を受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信した第2の通信情報に基づいて第1の通信情報にかかる処理を決定する通信情報処理決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
このような発明によれば、ホスト装置が通信手段による1回の通信で送受信されるべき第1の通信情報が全て送信または受信されたか否か判断することができる。また、第1の通信情報が全て送信または受信されたと判断される以前に通信手段が第1の通信情報を送受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に応じて第1の通信情報に関する処理を決定することができる。
このため、本発明では、第1の通信情報は、通信中で途絶えた場合にも次の通信時に適正に処理されるため、通信が途絶した場合であっても後の処理を支障なく実行できるクライアント装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明の情報処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラムは、クライアント装置と通信する通信手段を備えたホスト装置で実行される情報処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラムであって、前記通信手段による一回の通信で送受信すべき第1の通信情報が全て送受信されたか否か判断する通信完了判断ステップと、前記通信完了判断ステップにおいて第1の通信情報が全て送受信されたと判断される以前に前記通信手段が第1の通信情報を受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に基づいて第1の通信情報にかかる処理を決定する処理を決定する通信情報処理決定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
このような発明によれば、ホスト装置が通信手段による1回の通信で送受信されるべき第1の通信情報が全て送信または受信されたか否か判断することができる。また、第1の通信情報が全て送信または受信されたと判断される以前に通信手段が第1の通信情報を送受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に応じて第1の通信情報に関する処理を決定することができる。
【0022】
このため、本発明では、第1の通信情報は、通信中で途絶えた場合にも次の通信時に適正に処理されるため、通信が途絶した場合であっても後の処理を支障なく実行できる情報処理方法をコンピュータによって実行させるためのプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の情報処理システム、ホスト装置、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システムを説明するための図である。図示した構成は、ホスト装置3と、このホスト装置3の処理結果の表示と操作に供されるクライアント装置1とでなり、クライアント装置1とホスト装置3との間で表示データや操作に関する情報を通信する通信手段を備えた情報処理システムである。なお、本実施形態では、ホスト装置3とクライアント装置1とは操作に伴って接続可能とされていて、クライアント装置1は、複数のものを交互に用いることができる。ホスト装置3では、クライアント装置1への操作に伴うイベント駆動型により処理が進められる。
【0024】
本実施形態は、通信手段を、クライアント装置1側に設けられた操作部である操作ボタン109a、109b、109cと、ホスト装置3側に無線または有線によって設けられ、操作ボタン109a〜109cに接触する指定部材であるペン2と、クライアント装置1の後述する通信処理部108とによって構成した。通信処理部108は、操作ボタン109a、109b、109cと接触する際に接触した操作ボタンに対応する通信情報を出力する。
【0025】
以下、クライアント装置1、ペン2、ホスト装置3について各々説明する。
【0026】
(クライアント装置)
クライアント装置1は、薄型のディスプレイと、このディスプレイに画像(文字及び図画を含む)を表示するための比較的簡易な構成とで構成される。このような構成を、本実施形態では以降電子ペーパと記す。
【0027】
クライアント装置1は、ディスプレイとして機能する記憶性表示体101を備えている。記憶性表示体101は、例えばA4サイズ、高画素密度の表示装置であって、表示実行部107の制御によって画素データを表示する。記憶性表示体101は、いったん表示された画像を書き換える場合にのみ電力を消費するという特性があって、電子ペーパには多く採用される部材である。
なお、記憶性表示体101としては、例えば、電気泳動ディスプレイ、コレステリックディスプレイ、帯電トナーを利用したディスプレイ、ツイストボールを利用したディスプレイあるいはエレクトロデポジションディスプレイ等が採用可能である。
【0028】
また、クライアント装置1は、画像を表示するための構成として、不揮発性記憶部102、処理部103を備えている。不揮発性記憶部102は、表示データ104、文書データ105、処理経過データ106を備えている。表示データ104は、ホスト装置3から受信されて記憶性表示体101に表示されるデータである。処理経過データ106は、クライアント装置1に対応してホスト装置が行った処理経過を記録したデータである。また、文書データ105や処理経過データ106は、クライント装置1にあってもホスト装置3にあってもよい。
【0029】
処理部103は、表示実行部107、通信処理部108を備えている。表示実行部107は、不揮発性記憶部102に記憶されている表示データの更新に応じて記憶性表示体101を直接制御し、更新された表示データ104を記憶性表示体101に表示させる。具体的には、表示実行部107は、表示データ104を参照し、記憶性表示体101のXドライバ及びYドライバを駆動することによって記憶性表示体101にラスタ画像を表示させる。
【0030】
なお、本実施形態では、ドライバの駆動方式として、例えば、パッシブマトリクス駆動方式、TFT(Thin Film Transistor)方式、D−TFD(Digital Thin Film Diode)方式が採用可能である。
また、ホスト装置は、複数の操作ボタン109a、109b、109cを備えている。操作ボタン109a〜109cは、クライアント装置1に対するオペレータの操作の種別に対応して設けられている。操作の種別とは、例えば、記憶性表示体101に表示されている画面の書換え(ページ捲り)等をいう。本実施形態では、ページ捲りの操作をさらに前ページ表示、後ページ表示に分け、各々に操作ボタン109a、109cを割当てた。
【0031】
さらに、本実施形態は、継続指示ボタン109bを備えている。継続指示ボタン109bは、操作に応じた処理に伴う通信が完了する以前に操作をやめてしまった場合に、この操作に応じた処理を継続することを指示するボタンであって、本実施形態では、このような指示に専用の構成とする。
通信処理部108は、操作ボタン109a〜109cのうちのペン2によって操作された操作ボタンに対応した信号を生成し、ホスト装置3へ送信すべき通信情報を生成する。このような通信処理部108は、本実施形態の通信情報出力手段として機能する。
【0032】
(ホスト装置)
ホスト装置3は、一回の通信で送受信すべき通信情報が全て送受信されたか否か判断する文書処理部303を備えている。また、文書処理部303は、未完処理管理部302を参照して処理の状況を判断するため、文書処理部303及び未完処理管理部302は、通信完了判断手段及び通信情報処理決定手段として機能する。
文書処理部303及び未完処理管理部302は、ある通信情報(第1の通信情報)が全て送受信されたと判断される以前にペン2が通信情報を受信できなくなった場合、ペン2が次回以降の通信で受信した他の通信情報(第2の通信情報)に基づいて第1の通信情報にかかる処理を決定する。
【0033】
未完処理管理部302は、ホスト装置3によって実行された処理の種別、実行された処理の段階(一連の処理のどこまで完了したか)を記録している。この記録は、処理のパラメータや中間データ(例えば、ページ捲りにおける目的の表示ページ)を記録することによって実現される。未完処理管理部302によってされた記録は、通信が中断した通信情報によって指示された処理を再開する場合に必要なコンテキストとなる。
【0034】
なお、未完処理管理部302の記録は、ホスト装置3にのみ記録される構成に限定されるものでなく、一部は処理経過データ106としてクライアント装置1に保存しておくものであってもよい。
また、ホスト装置3は、電源301、文書処理部303、情報サービス部304を備えている。電源301は、ホスト装置3、ホスト装置3と接続するペン2に電力を供給する構成である。
文書処理部303は、クライアント装置1から送信されてきた通信情報を解釈し、通信情報が示す操作内容に応じて処理を実行する。
【0035】
より具体的には、文書処理部303は、クライアント装置1から送信される各種の通信情報にしたがって、予め記憶された処理ルーチンを読み出して通信情報に対応する処理を実行する。この処理の具体例として、ページ捲りの指示がクライアント装置1を用いてなされた場合の処理について説明する。操作ボタン109aまたは109cによってページ捲りが指示された場合、文書管理部305は、現在記憶性表示体101に表示されているページに関する情報(処理情報)と文書データとを、操作ボタン109aまたは109c及びペン2を介して不揮発性記憶部102から取得する。
【0036】
さらに、文書処理部303は、取得された処理情報と文書データとに基づいて次ページのレイアウト処理を実行し、次ページの表示データを生成する。生成された表示データは、操作ボタン109aまたは109c及びペン2を介して不揮発性記憶部102に記憶される。
情報サービス部304は、クライアント装置1に送信可能な文書データや他のネットワーク資源を利用するための構成である。このため、文書データ、表示データを管理する文書管理部305、外部から文書データ、表示データをダウンロード等するためのネットワーク部306を備えている。
【0037】
(操作ボタン及びペン)
操作ボタン109a〜109c及びペン2は、クライアント装置1とホスト装置3との間のインターフェースである。すなわち、ペン2は、内部にアンテナコイルを備えている。一方、クライアント装置1の操作ボタン109a〜109cも同様にアンテナコイルを備えている。ペン2によって操作ボタン109a〜109cにタッチすることによってタッチされた操作ボタン109a〜109cを指定する。ペン2と操作ボタンとがタッチしたことによって両者のアンテナコイルが電磁的に結合し、ペン2がタッチした操作ボタンを特定するための信号が発生する。本実施形態では、通信処理部108が発生した信号に対応する通信情報を生成し、ペン2が通信情報をホスト装置3に送信するものとした。
【0038】
なお、本実施形態の情報処理システムは、以上述べた構成に限定されるものではない。すなわち、表示データ104、文書データ105及び処理経過データ106は、クライアント装置1に保存されるものでなく、ホスト装置3に保存しておくよう構成してもよい。また、なお、操作ボタン109a〜109cの指定は、タッチによるものに限定されるものでなく、ごく短い所定の距離以上に両者が近接することによって通信が確保される構成であってもよい。
【0039】
(動作モード)
次に、本実施形態の情報処理システムで実行される動作のモードについて説明する。なお、動作モードとは、第1通信情報の通信が完了する以前に途切れた場合のホスト装置3による動作を指すものである。本実施形態では、このような動作モードをポリシーと記すものとする。
ホスト装置3による動作は、通信が途切れた後にホスト装置3が次回以降に通信情報を受信したときに決定される。なお、以降の説明において、途切れた通信によって指示された操作であって未だ完了していない処理を未完処理と記すものとする。
【0040】
・ポリシーA
ポリシーAでは、指示の異同に関わらず、未完処理を中断し新たな指示に基づく処理を実行する。すなわち、ポリシーAは、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を中断した後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理を実行するモードである。
なお、本実施形態でいう処理の中断とは、通信が途切れるまで行われていた処理の経過の記録の破棄、途切れるまでホスト装置3によって受信されていた、あるいはクライアント装置1に対して転送途中であったデータの破棄、未完処理管理部302の初期化をすることをいう。すなわち、中断された処理は、別途新たな指示がされない限り再開されることがない。
【0041】
・ポリシーB
ポリシーBでは、未完処理と同じ指示に対しては未完処理を継続する。すなわち、ポリシーBは、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作とが異なる場合、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を中断した後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理を実行し、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作とが同一である場合、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を継続するモードである。
【0042】
このようなポリシーは、例えば、操作ボタン109aを操作してページ捲りをホスト装置3に指示していたが目的のページを最後まで表示完了することなくペン2が操作ボタン109aから離れたといった場合に備えて設けられたものである。
このような場合、ポリシーBによれば、目的のページが最後まで表示完了される以前にペン2が操作ボタン109aから外れた場合には再度操作ボタン109aにタッチし、目的のページを継続して表示させることができる。一方、目的のページが表示されていたにもかかわらずペン2で操作ボタン109aにタッチしてしまった場合には前ページを表示させる操作ボタン109cにタッチし直せば、目的のページに戻って表示させることができる。
【0043】
・ポリシーC
ポリシーCでは、未完処理を継続する明示的な指示を利用する。すなわち、ポリシーCは、クライアント装置1が明示的に未完処理の継続を要求する通信情報(継続要求)を送信し、ホスト装置3は継続要求がされた場合には、未完処理を再開継続するものである。
本実施形態は、ポリシーCを実現するため、継続指示ボタン109bを設けている。継続指示ボタン109bは、未完処理の継続指示専用のボタンであって、オペレータは継続指示ボタン109bにタッチすることによって未完処理の継続を明示的にホスト装置3に指示することができる。
【0044】
オペレータが継続指示ボタン109bにペン2でタッチした場合、文書処理部303は、未完処理管理部302に記録されているデータを参照して未完処理がどこまで処理されて中断されたものか判断する。そして、中断された状態から未完処理を再度実行する。
ポリシーCは、ページ捲り等の操作においてページ捲りを急ぐあまり連続して操作ボタン109a、操作ボタン109cにタッチした場合を想定して設けられたものである。すなわち、ポリシーCによれば、先に表示を指示したページの表示処理が未完であるにも関わらず通信を中断した場合であっても、継続指示ボタン109bにタッチして未完の処理を継続することができる。
【0045】
・ポリシーD
ポリシーDでは、指示の異同に関わらず、未完処理を継続した後に新たな指示に基づく処理を実行する。すなわち、ポリシーDは、文書処理部303及び未完処理管理部302が、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作との異同に関わらず、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を継続して完了させた後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理を実行するポリシーである。
【0046】
このようなポリシーによれば、操作ボタン109a等の操作中に誤ってページ捲り等の処理を未完で終了させた場合にも、次の操作のために操作ボタンにタッチすれば未完で完了した処理を継続して実行し、正常に完了させることが可能である。
【0047】
次に、図2ないし図5のフローチャートを用い、以上述べた本実施形態の情報処理システムの動作を説明する。
【0048】
図2のフローチャートは、本実施形態の情報処理システムのクライアント装置1とホスト装置3との連携について説明するための図である。図2(a)は、クライアント装置1の動作を示し、(b)はホスト装置3の動作を示している。
オペレータがペン2によってクライアント装置1の操作ボタン109a等にタッチすると(ステップS210)、ホスト装置3とクライアント装置1の間で通信が活性化する(ステップS202、S211)。また、操作ボタンとペン2とが当接したことによって操作ボタン109a〜109cのうちタッチされた操作ボタンを特定するID(接続部ID)を含む通信情報が通信処理部108からホスト装置3に提供される。ホスト装置3は、通信情報を受信して操作されたクライアント装置及び操作ボタンを識別し、特定する(S202、212)。
【0049】
次に、クライアント装置1は、現在記憶性表示体101に表示されている文書に関するデータをホスト装置3に提供する。ホスト装置3は、文書に関するデータとタッチされた操作ボタンとに基づいて表示データを生成する等の文書処理を実行し、生成された表示データを更新表示データとしてクライアント装置1にペン2を介して送信する。クライアント装置1は、更新表示データを受信し、記憶性表示体101に表示する(S203、213)。
【0050】
以上の処理の後、ホスト装置3では、文書処理部303が、更新表示データの送信が完了したため通信の切断が可能であることを音や光等によりユーザに通知することができる(S214)。ペン2が操作ボタン109a〜109cへのタッチを解除したことによってクライアント装置1側で通信が切断される。また、ホスト装置3も通信が切断されたことを検出し、通信手段を切断する(S204、215)。
【0051】
ホスト装置3の文書処理部303は、指示された処理の内容を処理の工程ごとに予め分割し、各工程が終了する都度通信の状態をチェックして通信が途絶えた場合の処理の完了度を検出して未完処理管理部302に記録する。このような文書処理部303の処理をフローチャートに示し、説明する。
【0052】
図3は、ホスト装置3が処理の未完、完了を判断するための動作を説明するためのフローチャートである。図3に示したフローチャートは、ある通信処理の開始(通常)、中断、処理再開のいずれの場合にも適用される。本実施形態では、先ず、通常の処理の開始の場合について説明する。
【0053】
通常の処理を開始する場合(処理種=通常)、文書処理部303は、例えば、ページ捲りによって6ページ目を表示するようクライアント装置1に指示された場合、この処理をn個に分割して得られた部分処理(1)を実行する(S301)。部分処理(1)の終了後、文書処理部303は、ペン2を介してクライアント装置1との間で行われる通信が途絶えたか否か判断する(S302)。
【0054】
ステップS302において、通信が途絶えたと判断された場合(S302:途絶)、部分処理(1)が正常に完了しているか否かが不明である。このため、部分処理(1)も未完了であるとして完了する。また、通信が途絶していないと判断した場合、部分処理(1)までは完処理したこと(処理全体は未完了であること)を未完処理管理部302に記録する(S303)。なお、本実施形態では、ホスト装置3が表示データの転送を終了すると、1ページ分のページ捲りが終了したものとして未完処理管理部302を初期化するものとした。
【0055】
以上の処理の後に、部分処理(1)まで完了している状態で再開または中断する場合には、部分完了の記録ステップS303の時点から再開または中断の流れが合流・分岐することになる(S304)。通常処理の場合(S304:通常)は次の部分処理(2)に処理は進む。
文書処理部303は、部分処理(2)の実行後にも通信の途絶を判断し(S307)、通信が途絶した場合には(途絶)、この処理が適正に完了しなかったものとして処理を終了する。また、処理が部分処理(i)まで完了した場合には(非途絶)、部分処理(i)までが完了したことを記録する(S308)。
【0056】
本実施形態では、以上のようにして順次部分処理を実行し、通信が途絶することなく完了した場合にだけこの部分処理が完了したことを記録する。このようにしてn個の部分処理が全て完了した場合(S313:非途絶)未完処理管理部302に未完処理なしが記録され、処理が完了する(S314)。
一方、以上の処理において、途絶した通信は、再開処理(処理種=再開)、中断処理(処理種=中断)によって再開または中断される。処理の再開、中断は、前記したポリシーと指定された操作ボタン109a〜109cの別によって決定する。
【0057】
すなわち、ポリシーにおいて処理再開を指示する操作ボタンが指定された場合(処理種=再開)、ホスト装置3は、未完処理管理部302を参照して処理が完了している段階を特定する(S318)。そして、特定された部分処理が完了した旨記録したステップの直後の時点から処理の流れに合流する(S304、309、311)、それぞれの合流ポイントにおいて、以降に続く部分処理の実行に処理は進む(S304:再開、S309:再開、S311:再開)。
【0058】
また、オペレータが中断処理をした場合(処理種=中断)、同様に、ホスト装置3は、未完処理管理部302を参照して処理が完了している段階を特定する(S318)。そして、特定された部分処理が完了した旨記録したステップの直後の時点(S304、309、311)に戻り、その時点に応じた中断処理へ移行する(S304、309、311:中断)。中断処理は、各部分処理に対応した部分中断処理(S315、S316、S317)を逐次実行することに対応するが、実質的な処理がない部分中断処理の場合もある。一連の中断処理の完了後、未完了の処理はないとして未完処理管理部302に記録される。
【0059】
このようにすることにより、本実施形態は、正常に終了した部分処理が未完処理管理部302に記録される。このため、未完了の部分処理を中断、再開する場合、文書処理部303は、未完処理管理部302に記録されている完了度Pを参照し(S319)、未完処理のうち既に完了した処理については再度処理することを防ぐことができる。
なお、以上の処理において、完了度を管理する粒度(どの段階で完了度を記録するか、また、記録の頻度)は、実施形態によって適宜設定される。
【0060】
次に、先に説明したポリシーA〜ポリシーDによって決まる未完処理の中断、継続(再開)について、図4及び図5に示したフローチャートを使って説明する。
図4(a)は、ポリシーAとポリシーDとに基づいて未完処理の中断、継続を判断する場合のフローチャートである。ホスト装置3にクライアント装置1から処理要求Nがなされた場合(S401)、文書処理部303は、未完処理管理部302を参照して未完処理Uがあるか否か判断する(S402)。未完処理Uがない場合(S402:No)、図3に示したフローチャートの(処理種=通常)によって処理Nが新規に実行される(S403)。
【0061】
ステップS402において、未完処理Uがあると判断された場合(S402:Yes)、図3に示したフローチャートの(処理種=再開)または(処理種=中断)の処理が実行されることになる、すなわち、ポリシーAで文書処理部303が動作する場合、(処理種=未完)のルートから図3のフローチャートが実行される。一方、ポリシーDで文書処理部303が動作する場合、(処理種=再開)のルートから図3のフローチャートが実行される。そして、いずれの場合にもその処理が完了すると(S404:完了)、その後に処理Nが新規に通常実行される(S403)。
【0062】
なお、処理Uの再開処理、または処理Nの通常実行中に通信が途絶した場合には、図3に示したように、それぞれの処理での処理未完了の状態となる(S404:途絶、またはS403:途絶)。すなわち、さらに次の操作が行われた際には、途絶時に実行中だった処理を新たな未完処理Uとして、同じフローチャートが適用される。
【0063】
図4(b)は、ポリシーBに基づいて未完処理の中断、継続を判断する場合のフローチャートである。ホスト装置3にクライアント装置1から処理要求Nがなされた場合(S410)、文書処理部303は、未完処理管理部302を参照して未完処理Uがあるか否か判断する(S411)。未完処理Uがない場合(S411:No)、図3のフローチャートの(処理種=通常)によって処理Nが実行される(S412)。
【0064】
ステップS411において、未完処理Uがあると判断された場合(S411:Yes)、文書処理部303が処理Nと処理Uが同じ処理を要求したものか否か判断する(S413)。この判断の結果、処理Nと処理Uが同じ処理でない場合(S413:No)、未完処理Uは中断されて終了し(S415)、続いて処理Nが通常通りに処理される(S412)。
【0065】
一方、処理Nと処理Uが同一の処理である場合(S413:Yes)、処理Uが継続して実行され(S414)、処理N(処理Uと同じ処理)を新規に実行することなく処理が終了する。
なお、処理Uの再開処理、または処理Nの通常実行中に通信が途絶した場合には、図3に示したように、それぞれの処理での処理未完了の状態となる(S414:途絶、またはS412:途絶)。すなわち、さらに次の操作が行われた際には、途絶時に実行中だった処理を新たな未完処理Uとして、同じフローチャートが適用される。
【0066】
図5(a)は、ポリシーAとポリシーCとに基づいて未完処理の中断、継続を判断する場合のフローチャートである。ホスト装置3にクライアント装置1から処理要求Nがなされた場合(S501)、文書処理部303は、未完処理管理部302を参照して未完処理Uがあるか否か判断する(S502)。未完処理Uがない場合(S502:No)、処理Nが継続指示ボタン109bを操作したことによって発生した継続要求であるか否かを判断する(S503)。
【0067】
ステップS503の判断の結果、継続要求である場合(S503:Yes)、文書処理部303は、(継続すべき未完処理がないので、)何も処理をすることなく全体の処理を完了する。また、継続要求でない処理Nの場合(S503:No)、処理Nを通常の通り実行する(S504)。
ステップS502において、未完処理Uがあると判断された場合(S502:Yes)、文書処理部303は、処理Nが継続指示ボタン109bを操作したことによって発生した継続要求であるか否かを判断する(S505)。判断の結果、継続要求である場合(S505:Yes)、処理Uを継続して実行する(S506)。また、処理Nが継続要求でない場合(S505:No)、処理Uが中断され(S507)、後に処理Nが実行される。
【0068】
なお、ステップS504、ステップS506のいずれにおいても、図3のフローチャートに基づいて通信が途絶した場合、処理未完了として処理が終了する(S504:途絶、S506:途絶)。すなわち、この場合は更に次の操作が行われた際には、途絶時に実行中だった処理を新たな未完処理Uとして、同じフローチャートが適用される。
図5(b)は、ポリシーBとポリシーCとに基づいて未完処理の中断、継続を判断する場合のフローチャートである。ホスト装置3にクライアント装置1から処理要求Nがなされた場合(S511)、文書処理部303は、未完処理管理部302を参照して未完処理Uがあるか否か判断する(S512)。未完処理Uがない場合(S512:No)、処理Nが継続指示ボタン109bを操作したことによって発生した継続要求であるか否かを判断する(S513)。
【0069】
ステップS513の判断の結果、継続要求である場合(S513:Yes)、文書処理部303は、(継続すべき未完処理はないので、)何も処理をすることなく全体の処理を完了する。また、継続要求でない処理Nの場合(S513:No)、処理Nを通常の通り実行する(S514)。
ステップS512において、未完処理Uがあると判断された場合(S512:Yes)、文書処理部303は、処理Nが継続要求であるか否かを判断する(S515)。判断の結果、継続要求である場合(S515:Yes)、処理Uを継続して実行する(S516)。
【0070】
また、処理Nが継続要求でない場合(S515:No)、まず処理Nと処理Uとが同じ処理であるか否かを判断する(S517)。ここで処理Nと処理Uとが同じ処理である場合(S517:Yes)、継続要求であった場合(S515:Yes)と同等である。処理Nと処理Uとが同じ処理でない場合(S517:No)、処理Uが中断され(S518)、処理Nが実行される(S514)。
【0071】
なお、ステップS514、ステップS516のいずれにおいても、図3のフローチャートに基づいて通信が途絶した場合、処理未完了として処理が終了する(S514:途絶、S516:途絶)。すなわち、この場合は更に次の操作が行われた際には、途絶時に実行中だった処理を新たな未完処理Uとして、同じフローチャートが適用される。
以上述べたフローチャートをソフトウェアによって実現する場合、具体的な方法としては様々なものが考えられる。例えば、直近の処理が未完了の間は次の操作ボタンの操作(割込)のディスパッチ先として、中断処理ルーチンや再開処理ルーチンを登録しておくことによっても実現できる。このような方法によって本実施形態の情報処理システムを構成した場合、ディスパッチテーブルの書換えは、未完処理管理部302によって実行される。
【0072】
以上述べた本実施形態は、通信情報が通信中で途絶えた場合にも次の通信時に適正に処理がされるため、通信が途絶した場合であっても後の処理を支障なく実行することできる。
また、本実施形態は、以上述べたように、クライアント装置1からホスト装置3に対して送信される信号の途絶にのみ対応するものでなく、ホスト装置3からクライアント装置へ表示画像データ等を送信している場合に通信が途絶えた場合にも適用できる。すなわち、ホスト装置3からクライアント装置への通信が途絶えた場合、ホスト装置3は、クライアント装置1から次に送信されてきた通信情報を受信し、この通信情報に応じて表示データの転送中断、再開等を判断することも可能である。
【0073】
以上述べた処理により、本実施形態は、以下のように動作することができる。
すなわち、ホスト装置3は、クライアント装置1からページ捲りを指示され、かつ指示が未完状態で中断された場合、ページ捲り処理を登録し、表示すべきページが例えば6ページ目であると登録する。登録後、完了度1を記録する。次に文書データ105から6ページ目の表示データ104を生成する。表示データの生成が完了すると完了度2を記録する。
【0074】
次に、ホスト装置3は、クライアントへ表示データの転送を開始し、所定単位の転送完了ごとに完了度を+1ずつ更新する。転送完了前、例えば完了度4の段階で通信途絶となって、かつ、オペレータがクライアント装置1の側から再度ページ捲りを指示した場合、ホスト装置3は、未完処理管理部302を参照する。参照の結果、現在6ページ目の表示処理中であって、この処理の完了度が4であり、また上記のポリシーのいずれかに基づいて、処理経過(例えば記憶内容)の放棄や未完処理管理部302の初期化等を実行する。
【0075】
改めて7ページ目を表示する場合、ホスト装置3は、表示ページが7ページ目であることを記憶すると共に、完了度1を未完処理管理部302に記録する。そして、文書データから7ページ目の表示データを生成する。
また、本実施形態の情報処理システムでは、オペレータが操作ボタン109a〜109cを連続的に操作して前の通信が完了する以前に次の通信を指示する可能性がある。このため、オペレータは、例えば9ページ目を表示する目的で連続的に操作ボタン109aを操作していて、誤操作によって9ページ目の通信が完了する以前に操作を中断することが考えられる。
【0076】
本実施形態は、このような場合を想定して継続指示ボタン109bを設けている。オペレータが継続指示ボタン109bを操作すると、ホスト装置3は、未完処理の継続処理を起動して途中途絶しなかったかのように処理を再開することができる。
以上述べた本実施形態は、通信情報が通信中で途絶えた場合にも次の通信時に適正に処理がされるため、通信が途絶した場合であっても後の処理を支障なく実行することできる。つまり、オペレータがいったんは中断した処理を再開するよう指示することができ、オペレータの意図に沿った適切な処理を実行できる操作性の高い情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態の情報処理システムを説明するための図である。
【図2】本実施形態の情報処理システムのクライアント装置とホスト装置との連携について説明するための図である。
【図3】ホスト装置が処理の未完、完了を判断するための動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態のポリシーに基づいて未完処理の中断、継続を判断する場合のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態のポリシーに基づいて未完処理の中断、継続を判断する場合の他のフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 クライント装置、3 ホスト装置、101 記憶性表示体、102 不揮発性記憶部、103 処理部、104 表示データ、105 文書データ、106 処理経過データ、107 表示実行部、108 通信処理部、109b 継続指示ボタン、109a、109c 操作ボタン、301 電源、302 未完処理管理部、303 文書処理部、304 情報サービス部、305 文書管理部、306 ネットワーク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置と、該ホスト装置に情報の処理を依頼するクライアント装置とでなり、前記クライアント装置と前記ホスト装置との間で通信する通信手段を備えた情報処理システムであって、
前記ホスト装置は、
前記通信手段による1回の通信で送受信されるべき第1の通信情報が全て送信または受信されたか否か判断する通信完了判断手段と、
前記通信完了判断手段によって第1の通信情報が全て送信または受信されたと判断される以前に前記通信手段が第1の通信情報を送受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に応じて第1の通信情報に関する処理を決定する通信情報処理決定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記通信手段は、
前記クライアント装置側に設けられた操作部と、
前記ホスト装置側に設けられ、前記操作部を指定する指定部材と、
前記操作部が前記指定部材によって指定された際に指定された操作部に対応する通信情報を出力する通信情報出力手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記操作部が前記クライアント装置に対する操作の種別に対応して複数設けられ、前記通信情報出力手段は、前記操作部に対応する操作の指示がなされたことを示す通信情報を出力することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記通信情報処理決定手段は、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を中断した後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理の実行を決定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記通信情報処理決定手段は、
第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作とが異なる場合、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を中断した後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理を実行し、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作とが同一である場合、第1の通信情報が示す操作に応じた処理の継続を決定することを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記操作部が第1の通信情報が示す操作に応じた処理を継続することを指示する継続指示ボタンを含み、
前記通信情報処理決定手段は、前記継続指示ボタンの操作によって出力される通信情報を前記通信手段が受信したことによって第1の通信情報が示す操作に応じた処理の継続を決定することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記通信情報処理決定手段は、第1の通信情報が示す操作と第2の通信情報が示す操作との異同に関わらず、第1の通信情報が示す操作に応じた処理を継続して完了させた後、第2の通信情報が示す操作の指示に応じた処理の実行を決定することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
クライアント装置と通信する通信手段を備えたホスト装置であって、
一回の通信で送受信すべき第1の通信情報が前記通信手段によって全て送受信されたか否か判断する通信完了判断手段と、
前記通信完了判断手段によって第1の通信情報が全て送受信されたと判断される以前に前記通信手段が第1の通信情報を受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信した第2の通信情報に基づいて第1の通信情報にかかる処理を決定する通信情報処理決定手段と、
を備えることを特徴とするホスト装置。
【請求項9】
クライアント装置と通信する通信手段を備えたホスト装置で実行される情報処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラムであって、
前記通信手段による一回の通信で送受信すべき第1の通信情報が全て送受信されたか否か判断する通信完了判断ステップと、
前記通信完了判断ステップにおいて第1の通信情報が全て送受信されたと判断される以前に前記通信手段が第1の通信情報を受信できなくなった場合、次回以降の通信で受信された第2の通信情報に基づいて第1の通信情報にかかる処理を決定する通信情報処理決定ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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