情報処理装置、システム再開方法及びシステム再開プログラム
【課題】 障害をトリガに実行されるバックアップファイルのリストアを確実に実行できるようにする。
【解決手段】 本発明の情報処理装置は、バックアップファイルを記憶する外部記憶手段と、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段と、障害発生後のリブート時に、次のリブート時に、外部記憶手段からローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のリブート時に、どのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、上述の第1の情報に従い、バックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段とを有する。そして、リブート関連情報管理手段がアプリケーションの機能部とし、リストア制御手段がアプリケーションの外部機能部として構成されていることを特徴とする。
【解決手段】 本発明の情報処理装置は、バックアップファイルを記憶する外部記憶手段と、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段と、障害発生後のリブート時に、次のリブート時に、外部記憶手段からローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のリブート時に、どのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、上述の第1の情報に従い、バックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段とを有する。そして、リブート関連情報管理手段がアプリケーションの機能部とし、リストア制御手段がアプリケーションの外部機能部として構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム再開方法及びシステム再開プログラムに関し、例えば、バックアップファイルからシステムを再開させる場合に適用して好適なものである
【背景技術】
【0002】
一般に、高信頼性を求められるシステムにおいては、バックアップファイルを複数世代管理している。そのようなシステムでは、バックアップファイルをリストア(復元)する際に、複数世代からバックアップファイルを選択するために、何等かのロジックが必要になる。例えば、特許文献1では、ユーザがリストアするファイルを選択することが記載されている。
【0003】
IP電話サービスを提供するコールサーバのように非常に高い信頼性を求められるシステムにおいては、システム停止時間を最短にするため、障害発生時には、自律的にプロセスの再起動を実施する仕組みを有している。さらに、現用ファイルでの再起動が不可能だと判断された場合、バックアップファイルからの復旧がシステム自律で実施される。このとき、リストアには、可能な限り新しいファイルで復旧させること、システム停止時間を最短にすることが求められる。このため、復旧対象のプログラムは、現用ファイルも含めて複数世代のファイルから最適なファイルを選択するロジックを持つ必要がある。このため、リストア機能も、そのプロセスの他の機能(例えば、ネットワーク通信機能や障害監視など)と同一プロセスに存在するのが一般的である。
【特許文献1】特開2006−178645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックアップファイルからの再開が必要となる主な原因は、アプリケーションの障害によるものである。例えば、新機能の追加やバグの修正などによりプログラムに改修があり、運用中のサーバ上の実行ファイルを更新する場合は、実績のないファイルでの起動となるため、このようなアプリケーションは障害が発生し易い。
【0005】
一方、障害が発生する原因としては、改修によりプログラムが複雑化し、バグが埋め込まれることが挙げられる。
【0006】
上述したリストア機能は、一般的には他の機能と同一プロセス内に存在するが、この場合、バグの埋め込みによるプロセス障害が、その障害からの復旧手段であるリストア機能に影響を及ぼす恐れがあった。
【0007】
そのため、アプリケーションの障害をトリガに実行されるバックアップファイルのリストアを確実に実行することができる情報処理装置、システム再開方法及びシステム再開プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の情報処理装置は、(1)少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、(2)アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段と、(3)上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、(4)管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段とを有し、(5)上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明は、外部記憶手段に記憶されているバックアップファイルの中の1つを、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段にリストアしてシステムを再開することも可能なシステム再開方法において、(1)リブート関連情報管理手段が、上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理し、(2)リストア制御手段が、管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御すると共に、(3)上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明のシステム再開プログラムは、少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段とを含むコンピュータを、(1)上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、(2)管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段として機能させると共に、(3)上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リストア制御手段を、複雑になりがちな他手段と切り分けて構築しているので、バックアップファイルのリストアを確実に実行できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による情報処理装置及びプロセス再開方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。実施形態の情報処理装置は、IP電話サービスを提供するコールサーバのような、非常に高い信頼性を求められるサーバである。
【0013】
この実施形態は、リストア機能部を他の機能部と別プロセスとする。また、リストアする際に必要な世代判断のロジックを主たる機能部に持たせることでリストア機能を単純化している。これにより、障害が発生した場合でも、その復旧手段であるリストアを確実に行う方法である。
【0014】
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係るサーバのリストア機能に関するシステム構成を示すブロック図である。なお、サーバは、CPU、ROM、RAMなどを備え、後述するOSやアプリケーションやバックアッププロセスの処理は、ハードウェア的にはCPUが実行するものである。
【0015】
例えば、コールサーバが該当するサーバ1には、ローカルディスク5などを有するハードウェアと、後述するソフトウェアを連携させるためのlinux(登録商標)などのOS2が搭載されている。このOS2上でアプリケーション3やバックアッププロセス4などのプロセスが動作する。アプリケーション3は、当該サーバ1が提供するサービスプロセス(例えば呼処理サービス)に係る処理を実行するものであり、ローカルディスク5上にある実行ファイルが実行されることにより起動する。
【0016】
サーバ1の外部に設けられている外部ディスク7には、複数世代のバックアップファイルが保存されている。ローカルディスク5上に管理される再開情報ファイル6は、リストアに関する情報が記述されるファイルである。アプリケーション3は、次にリストアすべき世代を決定し、この再開情報ファイル6に書き込む動作を実行すると共に、次回起動時には、再度この再開情報ファイル6を読み込んで、さらに次のリストアすべき世代を決定するものである。バックアッププロセス4は、常駐せず、必要に応じて(障害発生時などに)、OS2又はアプリケーション3から起動されるものである。
【0017】
ローカルディスク5や外部ディスク7は、ハードディスクや光ディスクで構成されているものに限定されず、他の大容量記憶装置に構成されていても良い。
【0018】
図2は、再開情報ファイル6が保持する情報(設定項目)を示している。再開情報ファイル6では、次回リストアファイルF11、次回起動ファイルF12、リトライ回数F13の情報を管理する。
【0019】
次回リストアファイルF11は、次回のシステム起動時に、外部ディスク7からリストアすべきファイルを表している。後述するように、ローカルディスク5に格納されている現用ファイルが、次回のシステム起動時に利用されることもあり、このような場合には、次回リストアファイルは「なし」となる。次回起動ファイルF12は、次回のシステム起動時に、シンボリックリンク(一種のポインタである)「/opt/application」が指すべきリンク先を表している(図4〜図7参照)。リトライ回数F13は、現在起動している世代のバックアップファイルを用いたリトライ回数を表している。
【0020】
図3は、外部ディスク7に世代別に保存されているバックアップファイル例を示す説明図である。図3に示す例では、外部ディスク7には、前回ファイルF21と保障ファイルF22とが格納されている状態を示している。なお、バックアップファイルの数が2個に限定されないことは勿論である。
【0021】
前回ファイルF21は、例えば、前日の所定時刻に格納動作された、現在運用中のファイルの1世代前のファイルである。保障ファイルF22は、前回ファイルよりも古い世代のファイルであり、起動することを保障し得るファイル(例えば、過去の障害時に正常起動ができたファイル)である。ここで、バックアップファイルとは、アプリケーションの実行ファイル、コンフィグファイル、各種データファイルなどが含まれるものである。外部ディスク7上のバックアップファイルを、ローカルディスク5上に復元し、アプリケーション3を起動することにより、バックアップ実施時点の状態でアプリケーション3を起動することができる。また、バックアップファイルからの起動では、可能な限り、新しいバックアップファイルで起動させようとする。図3の例の場合、前回ファイルF21から起動を試みることになる。
【0022】
図4〜図7は、ローカルディスク4についてアプリケーション2が使用するディレクトリ構成を示す説明図である。
【0023】
図4〜図7において、ディレクトリ/data/data1〜/data/data3は、現用ファイル、バックアップファイルを示している。
【0024】
例えば、図4〜図6において、ディレクトリ/data/data1は現用ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data2は保障ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data3は前回ファイルに係るディレクトリである。一方、図7において、ディレクトリ/data/data1は前回ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data2は保障ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data3は現用ファイルに係るディレクトリである。例えば、ディレクトリ/data/data3の前回ファイルをバックアップファイルとして用いた障害復旧(図6参照)が正常に終了したときには、図7に示す状態に移行する。
【0025】
シンボリックリンク/apl/REALは、現用ファイルのディレクトリへのシンボリックリンクであり、/apl/BK0は、保障ファイルのディレクトリへのシンボリックリンクであり、/apl/BK1は、前回ファイルのディレクトリへのシンボリックリンクである。また、シンボリックリンクopt/application/は、現用ファイルへのシンボリックリンク/apl/REAL、保障ファイルへのシンボリックリンク/apl/BK0、又は、前回ファイルへのシンボリックリンク/apl/BK1へのシンボリックリンクである。図4及び図7は、シンボリックリンクopt/application/が/apl/REALにリンクしている場合を示しており、図5は、シンボリックリンクopt/application/が/apl/BK0にリンクしている場合を示しており、図6は、シンボリックリンクopt/application/が/apl/BK1にリンクしている場合を示している。
【0026】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態の情報処理装置の動作(プロセス再開方法)を、図面を参照しながら説明する。以下では、現用ファイルを用いていた処理で障害が発生し、バックアップファイルでの立ち上げを繰り返す動作を説明する。
【0027】
まず、現用ファイルを用いていた処理で障害が発生したためにリブートが発生する際の動作を、図8のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0028】
アプリケーション3が現用ファイルを用いて実行した処理で障害が発生すると、アプリケーション3からOS2へシャットダウンが要求され、OS2はシャットダウン処理を開始する(S1)。このシャットダウン処理の中で、OS2によって、バックアッププロセス4が起動される。なお、アプリケーション3がバックアッププロセス4を起動するようにしても良い。現用ファイルを用いていた処理状況下では、OS2の管理下にある再開情報ファイル6(図2参照)の初期設定値は、次回リストアファイルが「なし」、次回起動ファイルが「REAL」(現用ファイル)であり、リトライ回数が「0」である(S2)。起動されたバックアッププロセス4は、このような再開情報ファイル6を読み込むが(S3)、次回起動ファイルがREALであり、現在のシンボリックリンク/opt/applicationが指しているディレクトリもREALであって、同一なのでシンボリックリンクの変更等をしない(S4)。
【0029】
その後、OS2がリブートされる(S5)。このような障害発生後の1回目のリブートがなされた後の動作を、図9のシーケンス図に示している。
【0030】
OS2のリブート後、開始されたOS2の起動処理の中で(S6)、バックアッププロセス4が起動される。これにより、バックアッププロセス4は、再開情報ファイル6を読み込むが(S7)、このときの次回リストアファイルが「なし」であることから、何らの処理も実行しない(S8)。OS2のリブート後、アプリケーション3は自律的に起動し(S9)、再開情報ファイル6の内容を更新する(S10〜S12)。その後、サービスプロセス(例えば呼処理プロセス)が起動される(S13)。
【0031】
再開情報ファイル6の更新処理は、再開情報ファイル6の読み込み、設定内容の算出、再開情報ファイル6の書き込みという一連の処理でなされる。
【0032】
図13は、更新内容の判定ロジックを示す説明図(フローチャート)である。アプリケーション3は、この更新内容の判定ロジックに従って、再開情報ファイル6を更新する。
【0033】
図13において、まず、再開情報ファイル6のリトライ回数(F13)が、リブートで適用されたファイル(現用ファイル又はリストアされたバックアップファイル)について実行された予め定められている最大リトライ回数に達しているか否かを判別する(S100)。なお、リストアされたバックアップファイルは、リストアされた時点で現用ファイルとなっている。
【0034】
最大リトライ回数に達していなければ、再開情報ファイル6のリトライ回数を1インクリメントした後(S101)、そのインクリメント後のリトライ回数が最大リトライ回数と等しいか否かを判別する(S102)。インクリメント後のリトライ回数が最大リトライ回数より小さいならば、再開情報ファイル6を、図13の「結果1」のようにする(S103)。すなわち、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「変更なし(今までのもののまま)」、リトライ回数を「インクリメント後の回数」とする。
【0035】
一方、インクリメント後のリトライ回数が最大リトライ回数に等しい場合には、さらに、図3に示すような情報を参照し、次に起動するべき世代のバックアップファイルがあるか否かを判断する(S104)。次に起動するべき世代のバックアップファイルがあると、再開情報ファイル6を、図13の「結果2」のようにし(S105)、次に起動するべき世代のバックアップファイルがないと、再開情報ファイル6を、図13の「結果3」のようにする(S106)。「結果2」では、次回リストアファイルを「次世代(今のものの次の世代)」、次回起動ファイルを「変更なし(今までのもののまま)」、リトライ回数を「0」とする。「結果3」では、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「なし」、リトライ回数を「0」とし、アプリケーション3を停止する。リトライを、最下位の世代のファイルを適用して行う状態になり、しかも、最下位の世代のファイルを適用したリトライを最大リトライ回数行っても正常な再起動ができなかったため、アプリケーション3を停止することとしている。
【0036】
上述したステップS100の判断の肯定結果が得られたときには、図3に示すような情報を参照し、次に起動するべき世代のバックアップファイルがあるか否かを判断する(S107)。次に起動するべき世代のバックアップファイルがないと、再開情報ファイル6を、図13の「結果3」のようにする(S106)。
【0037】
これに対して、次に起動するべき世代のバックアップファイルがあると、さらに、次に起動するべき世代のバックアップファイルを用いた最大リトライ回数が0か否かを判別する(S108)。最大リトライ回数が0であれば、再開情報ファイル6を、図13の「結果4」のようにし(S109)、最大リトライ回数が0でなければ、再開情報ファイル6を、図13の「結果5」のようにする(S110)。「結果4」では、次回リストアファイルを「次世代」、次回起動ファイルを「次世代」、リトライ回数を「0」とする。「結果5」では、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「次世代」、リトライ回数を「0」とする。
【0038】
ここで、現用ファイルでの最大リトライ回数が1回、前回ファイルや保障ファイルでの最大リトライ回数が0回に設定されているとする。このような設定は、コンフィグファイルに記述することで、ユーザによる設定が可能である。
【0039】
図9のステップS10〜S12の再開情報ファイル6の更新では、図13のステップS101によってリトライ回数が0から1にインクリメントされる。インクリメント後のリトライ回数「1」は最大リトライ回数に等しく、次の世代として前回ファイルが存在するため、図13の「結果2」の内容で、再開情報ファイル6が更新される。
【0040】
ステップS13のプロセス起動処理の際に再び障害が発生すると、OS2は、シャットダウン処理を開始し(S14)、このとき、バックアッププロセス4は再開情報ファイル6を読み込むが(S15)、次回起動ファイルはREAL(現用ファイル)であっていままでと同じであるため、バックアッププロセス4は何もせず(S16)、OSリブートがなされる(S17)。
【0041】
OS2のリブート後(図10)、OS2の起動処理が開始され(S18)、この起動処理中に起動されたバックアッププロセス4は、再開情報ファイル6を読み込み(S19)、読み込んだ再開情報ファイル6(図9のステップS11参照)に従い、前回ファイルを外部ディスク7から、/apl/BKF1にロードする(S20)。ロードには時間がかかるため、OS2は、バックアッププロセス4を動作させたまま、アプリケーション3の起動処理を実行する(S21)。アプリケーション3では、図13に示した判定ロジックに従って、再開情報ファイル6を更新する(S22〜S24)。その後、サービスプロセスが起動される(S25)。
【0042】
このときの再開情報ファイル6の更新では、図13の「結果4」が適用され、次回リストアファイルを「2」(保障ファイル)、次回起動ファイルを「BK1」(前回ファイル)、リトライ回数を「0」とする。
【0043】
サービスプロセスの起動中に、再び障害が発生すると、OS2は、シャットダウン処理を開始し(S26)、このとき、バックアッププロセス4は再開情報ファイル6を読み込むが(S27)、読み込んだ再開情報ファイルの次回起動ファイルが「BK1」であるので、/opt/applicationのシンボリックリンクを/apl/BK1に変更する(S28)。この変更により、シンボリックリンク構成は図4から図5に変化したことになる。
【0044】
これにより、OSリブート後のアプリケーション3は、通常通り/opt/application配下のファイルを実行することで、外部ディスク7からロードされた前回ファイルが復元されることになる。
【0045】
このときのOSリブート後(S29)の動作(図11)を簡単に説明する。バックアッププロセス4は、外部ディスク7から保障ファイルをロードする(S32)。また、アプリケーション3は、図13の判定ロジックに従って、再開情報ファイル6を、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「BK2」(保障ファイル)、リトライ回数を「0」とするように更新する(S34〜S36)。障害発生により、OSリブートが実行されると、シャットダウン処理中に、バックアッププロセス4は、/opt/applicationのシンボリックリンクを/apl/BK2に変更する。この変更により、シンボリックリンク構成は図5から図6に変化したことになる。これにより、OSリブート後のアプリケーション3は、外部ディスク7からロードされた保障ファイルから起動されることになる。
【0046】
このときのOSリブート後(S41)の動作(図12)を簡単に説明する。OSリブート後、バックアッププロセス4は、リストア要求がないことから外部ディスク7からのロードは行わない(S44)。また、アプリケーション3は、図13の判定ロジックに従って再開情報ファイル6を更新するが(S46〜S48)、このとき、これ以上のエスカレーションは行えず、図13中の「結果3」と判定され、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「なし」、リトライ回数を「0」とするように更新する。図12では記載していないが、仮に、この後、障害発生した場合は、OSリブートせずアプリケーション3は停止する。
【0047】
図12は、この保障ファイルでのアプリケーション起動が成功した場合を示している。起動に成功すると(S49)、アプリケーション3は、バックアッププロセス4によって、/opt/applicationのリンク先を/apl/REALに、/apl/REALのリンク先を/data/data3に変更する(S50)。この変更により、シンボリックリンク構成は図6から図7に変化したことになる。
【0048】
また、アプリケーション3は、再開情報ファイル6も、次回リストアファイルが「なし」、次回起動ファイルが「REAL」(現用ファイル)、リトライ回数が「0」である初期状態に設定し直す(S51、S52)。
【0049】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態では、複雑になりがちな他機能部と、リストア機能部を別プロセスとするようにしたので、アプリケーションで障害が発生した場合でも、バックアップ機能には影響を与えず、バックアップファイルのリストア失敗を回避することができる(言い換えると、バックアップファイルのリストアを確実に実行できる)。
【0050】
(B)他の実施形態
再開情報ファイル6の項目や構成は、上記実施形態ものに限らず、次にリストアすべき世代のバックアップファイル、次に起動すべきファイルが判定できれば良い。例えば、前回起動したファイルの情報やそのリトライ回数を格納するようにしておいて、それに基づいて、次にリストアすべき世代のバックアップファイル、次に起動すべきファイルを判定させるようにしても良い。
【0051】
また、再開情報ファイル6のような仕組みを用いずに、アプリケーション3内で、次にリストアすべき世代、次に起動すべきファイルが判定できるようにしても良い。例えば、次にリストアすべき世代、次に起動すべきファイルの複数の組合せを、状態遷移図的な情報として管理するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係るサーバのリストア機能に関するシステム構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の再開情報ファイルが保持する情報(設定項目)を示す説明図である。
【図3】実施形態の外部ディスクに世代別に保存されているバックアップファイル例を示す説明図である。
【図4】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(1)である。
【図5】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(2)である。
【図6】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(3)である。
【図7】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(4)である。
【図8】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(1)である。
【図9】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(2)である。
【図10】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(3)である。
【図11】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(4)である。
【図12】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(5)である。
【図13】実施形態における、再開情報ファイルの更新内容の判定ロジックを示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…サーバ、2…OS、3…アプリケーション、4…バックアッププロセス、5…ローカルディスク、6…再開情報ファイル、7…外部ディスク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム再開方法及びシステム再開プログラムに関し、例えば、バックアップファイルからシステムを再開させる場合に適用して好適なものである
【背景技術】
【0002】
一般に、高信頼性を求められるシステムにおいては、バックアップファイルを複数世代管理している。そのようなシステムでは、バックアップファイルをリストア(復元)する際に、複数世代からバックアップファイルを選択するために、何等かのロジックが必要になる。例えば、特許文献1では、ユーザがリストアするファイルを選択することが記載されている。
【0003】
IP電話サービスを提供するコールサーバのように非常に高い信頼性を求められるシステムにおいては、システム停止時間を最短にするため、障害発生時には、自律的にプロセスの再起動を実施する仕組みを有している。さらに、現用ファイルでの再起動が不可能だと判断された場合、バックアップファイルからの復旧がシステム自律で実施される。このとき、リストアには、可能な限り新しいファイルで復旧させること、システム停止時間を最短にすることが求められる。このため、復旧対象のプログラムは、現用ファイルも含めて複数世代のファイルから最適なファイルを選択するロジックを持つ必要がある。このため、リストア機能も、そのプロセスの他の機能(例えば、ネットワーク通信機能や障害監視など)と同一プロセスに存在するのが一般的である。
【特許文献1】特開2006−178645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックアップファイルからの再開が必要となる主な原因は、アプリケーションの障害によるものである。例えば、新機能の追加やバグの修正などによりプログラムに改修があり、運用中のサーバ上の実行ファイルを更新する場合は、実績のないファイルでの起動となるため、このようなアプリケーションは障害が発生し易い。
【0005】
一方、障害が発生する原因としては、改修によりプログラムが複雑化し、バグが埋め込まれることが挙げられる。
【0006】
上述したリストア機能は、一般的には他の機能と同一プロセス内に存在するが、この場合、バグの埋め込みによるプロセス障害が、その障害からの復旧手段であるリストア機能に影響を及ぼす恐れがあった。
【0007】
そのため、アプリケーションの障害をトリガに実行されるバックアップファイルのリストアを確実に実行することができる情報処理装置、システム再開方法及びシステム再開プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の情報処理装置は、(1)少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、(2)アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段と、(3)上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、(4)管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段とを有し、(5)上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明は、外部記憶手段に記憶されているバックアップファイルの中の1つを、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段にリストアしてシステムを再開することも可能なシステム再開方法において、(1)リブート関連情報管理手段が、上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理し、(2)リストア制御手段が、管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御すると共に、(3)上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明のシステム再開プログラムは、少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段とを含むコンピュータを、(1)上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、(2)管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段として機能させると共に、(3)上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リストア制御手段を、複雑になりがちな他手段と切り分けて構築しているので、バックアップファイルのリストアを確実に実行できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による情報処理装置及びプロセス再開方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。実施形態の情報処理装置は、IP電話サービスを提供するコールサーバのような、非常に高い信頼性を求められるサーバである。
【0013】
この実施形態は、リストア機能部を他の機能部と別プロセスとする。また、リストアする際に必要な世代判断のロジックを主たる機能部に持たせることでリストア機能を単純化している。これにより、障害が発生した場合でも、その復旧手段であるリストアを確実に行う方法である。
【0014】
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係るサーバのリストア機能に関するシステム構成を示すブロック図である。なお、サーバは、CPU、ROM、RAMなどを備え、後述するOSやアプリケーションやバックアッププロセスの処理は、ハードウェア的にはCPUが実行するものである。
【0015】
例えば、コールサーバが該当するサーバ1には、ローカルディスク5などを有するハードウェアと、後述するソフトウェアを連携させるためのlinux(登録商標)などのOS2が搭載されている。このOS2上でアプリケーション3やバックアッププロセス4などのプロセスが動作する。アプリケーション3は、当該サーバ1が提供するサービスプロセス(例えば呼処理サービス)に係る処理を実行するものであり、ローカルディスク5上にある実行ファイルが実行されることにより起動する。
【0016】
サーバ1の外部に設けられている外部ディスク7には、複数世代のバックアップファイルが保存されている。ローカルディスク5上に管理される再開情報ファイル6は、リストアに関する情報が記述されるファイルである。アプリケーション3は、次にリストアすべき世代を決定し、この再開情報ファイル6に書き込む動作を実行すると共に、次回起動時には、再度この再開情報ファイル6を読み込んで、さらに次のリストアすべき世代を決定するものである。バックアッププロセス4は、常駐せず、必要に応じて(障害発生時などに)、OS2又はアプリケーション3から起動されるものである。
【0017】
ローカルディスク5や外部ディスク7は、ハードディスクや光ディスクで構成されているものに限定されず、他の大容量記憶装置に構成されていても良い。
【0018】
図2は、再開情報ファイル6が保持する情報(設定項目)を示している。再開情報ファイル6では、次回リストアファイルF11、次回起動ファイルF12、リトライ回数F13の情報を管理する。
【0019】
次回リストアファイルF11は、次回のシステム起動時に、外部ディスク7からリストアすべきファイルを表している。後述するように、ローカルディスク5に格納されている現用ファイルが、次回のシステム起動時に利用されることもあり、このような場合には、次回リストアファイルは「なし」となる。次回起動ファイルF12は、次回のシステム起動時に、シンボリックリンク(一種のポインタである)「/opt/application」が指すべきリンク先を表している(図4〜図7参照)。リトライ回数F13は、現在起動している世代のバックアップファイルを用いたリトライ回数を表している。
【0020】
図3は、外部ディスク7に世代別に保存されているバックアップファイル例を示す説明図である。図3に示す例では、外部ディスク7には、前回ファイルF21と保障ファイルF22とが格納されている状態を示している。なお、バックアップファイルの数が2個に限定されないことは勿論である。
【0021】
前回ファイルF21は、例えば、前日の所定時刻に格納動作された、現在運用中のファイルの1世代前のファイルである。保障ファイルF22は、前回ファイルよりも古い世代のファイルであり、起動することを保障し得るファイル(例えば、過去の障害時に正常起動ができたファイル)である。ここで、バックアップファイルとは、アプリケーションの実行ファイル、コンフィグファイル、各種データファイルなどが含まれるものである。外部ディスク7上のバックアップファイルを、ローカルディスク5上に復元し、アプリケーション3を起動することにより、バックアップ実施時点の状態でアプリケーション3を起動することができる。また、バックアップファイルからの起動では、可能な限り、新しいバックアップファイルで起動させようとする。図3の例の場合、前回ファイルF21から起動を試みることになる。
【0022】
図4〜図7は、ローカルディスク4についてアプリケーション2が使用するディレクトリ構成を示す説明図である。
【0023】
図4〜図7において、ディレクトリ/data/data1〜/data/data3は、現用ファイル、バックアップファイルを示している。
【0024】
例えば、図4〜図6において、ディレクトリ/data/data1は現用ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data2は保障ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data3は前回ファイルに係るディレクトリである。一方、図7において、ディレクトリ/data/data1は前回ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data2は保障ファイルに係るディレクトリであり、ディレクトリ/data/data3は現用ファイルに係るディレクトリである。例えば、ディレクトリ/data/data3の前回ファイルをバックアップファイルとして用いた障害復旧(図6参照)が正常に終了したときには、図7に示す状態に移行する。
【0025】
シンボリックリンク/apl/REALは、現用ファイルのディレクトリへのシンボリックリンクであり、/apl/BK0は、保障ファイルのディレクトリへのシンボリックリンクであり、/apl/BK1は、前回ファイルのディレクトリへのシンボリックリンクである。また、シンボリックリンクopt/application/は、現用ファイルへのシンボリックリンク/apl/REAL、保障ファイルへのシンボリックリンク/apl/BK0、又は、前回ファイルへのシンボリックリンク/apl/BK1へのシンボリックリンクである。図4及び図7は、シンボリックリンクopt/application/が/apl/REALにリンクしている場合を示しており、図5は、シンボリックリンクopt/application/が/apl/BK0にリンクしている場合を示しており、図6は、シンボリックリンクopt/application/が/apl/BK1にリンクしている場合を示している。
【0026】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態の情報処理装置の動作(プロセス再開方法)を、図面を参照しながら説明する。以下では、現用ファイルを用いていた処理で障害が発生し、バックアップファイルでの立ち上げを繰り返す動作を説明する。
【0027】
まず、現用ファイルを用いていた処理で障害が発生したためにリブートが発生する際の動作を、図8のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0028】
アプリケーション3が現用ファイルを用いて実行した処理で障害が発生すると、アプリケーション3からOS2へシャットダウンが要求され、OS2はシャットダウン処理を開始する(S1)。このシャットダウン処理の中で、OS2によって、バックアッププロセス4が起動される。なお、アプリケーション3がバックアッププロセス4を起動するようにしても良い。現用ファイルを用いていた処理状況下では、OS2の管理下にある再開情報ファイル6(図2参照)の初期設定値は、次回リストアファイルが「なし」、次回起動ファイルが「REAL」(現用ファイル)であり、リトライ回数が「0」である(S2)。起動されたバックアッププロセス4は、このような再開情報ファイル6を読み込むが(S3)、次回起動ファイルがREALであり、現在のシンボリックリンク/opt/applicationが指しているディレクトリもREALであって、同一なのでシンボリックリンクの変更等をしない(S4)。
【0029】
その後、OS2がリブートされる(S5)。このような障害発生後の1回目のリブートがなされた後の動作を、図9のシーケンス図に示している。
【0030】
OS2のリブート後、開始されたOS2の起動処理の中で(S6)、バックアッププロセス4が起動される。これにより、バックアッププロセス4は、再開情報ファイル6を読み込むが(S7)、このときの次回リストアファイルが「なし」であることから、何らの処理も実行しない(S8)。OS2のリブート後、アプリケーション3は自律的に起動し(S9)、再開情報ファイル6の内容を更新する(S10〜S12)。その後、サービスプロセス(例えば呼処理プロセス)が起動される(S13)。
【0031】
再開情報ファイル6の更新処理は、再開情報ファイル6の読み込み、設定内容の算出、再開情報ファイル6の書き込みという一連の処理でなされる。
【0032】
図13は、更新内容の判定ロジックを示す説明図(フローチャート)である。アプリケーション3は、この更新内容の判定ロジックに従って、再開情報ファイル6を更新する。
【0033】
図13において、まず、再開情報ファイル6のリトライ回数(F13)が、リブートで適用されたファイル(現用ファイル又はリストアされたバックアップファイル)について実行された予め定められている最大リトライ回数に達しているか否かを判別する(S100)。なお、リストアされたバックアップファイルは、リストアされた時点で現用ファイルとなっている。
【0034】
最大リトライ回数に達していなければ、再開情報ファイル6のリトライ回数を1インクリメントした後(S101)、そのインクリメント後のリトライ回数が最大リトライ回数と等しいか否かを判別する(S102)。インクリメント後のリトライ回数が最大リトライ回数より小さいならば、再開情報ファイル6を、図13の「結果1」のようにする(S103)。すなわち、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「変更なし(今までのもののまま)」、リトライ回数を「インクリメント後の回数」とする。
【0035】
一方、インクリメント後のリトライ回数が最大リトライ回数に等しい場合には、さらに、図3に示すような情報を参照し、次に起動するべき世代のバックアップファイルがあるか否かを判断する(S104)。次に起動するべき世代のバックアップファイルがあると、再開情報ファイル6を、図13の「結果2」のようにし(S105)、次に起動するべき世代のバックアップファイルがないと、再開情報ファイル6を、図13の「結果3」のようにする(S106)。「結果2」では、次回リストアファイルを「次世代(今のものの次の世代)」、次回起動ファイルを「変更なし(今までのもののまま)」、リトライ回数を「0」とする。「結果3」では、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「なし」、リトライ回数を「0」とし、アプリケーション3を停止する。リトライを、最下位の世代のファイルを適用して行う状態になり、しかも、最下位の世代のファイルを適用したリトライを最大リトライ回数行っても正常な再起動ができなかったため、アプリケーション3を停止することとしている。
【0036】
上述したステップS100の判断の肯定結果が得られたときには、図3に示すような情報を参照し、次に起動するべき世代のバックアップファイルがあるか否かを判断する(S107)。次に起動するべき世代のバックアップファイルがないと、再開情報ファイル6を、図13の「結果3」のようにする(S106)。
【0037】
これに対して、次に起動するべき世代のバックアップファイルがあると、さらに、次に起動するべき世代のバックアップファイルを用いた最大リトライ回数が0か否かを判別する(S108)。最大リトライ回数が0であれば、再開情報ファイル6を、図13の「結果4」のようにし(S109)、最大リトライ回数が0でなければ、再開情報ファイル6を、図13の「結果5」のようにする(S110)。「結果4」では、次回リストアファイルを「次世代」、次回起動ファイルを「次世代」、リトライ回数を「0」とする。「結果5」では、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「次世代」、リトライ回数を「0」とする。
【0038】
ここで、現用ファイルでの最大リトライ回数が1回、前回ファイルや保障ファイルでの最大リトライ回数が0回に設定されているとする。このような設定は、コンフィグファイルに記述することで、ユーザによる設定が可能である。
【0039】
図9のステップS10〜S12の再開情報ファイル6の更新では、図13のステップS101によってリトライ回数が0から1にインクリメントされる。インクリメント後のリトライ回数「1」は最大リトライ回数に等しく、次の世代として前回ファイルが存在するため、図13の「結果2」の内容で、再開情報ファイル6が更新される。
【0040】
ステップS13のプロセス起動処理の際に再び障害が発生すると、OS2は、シャットダウン処理を開始し(S14)、このとき、バックアッププロセス4は再開情報ファイル6を読み込むが(S15)、次回起動ファイルはREAL(現用ファイル)であっていままでと同じであるため、バックアッププロセス4は何もせず(S16)、OSリブートがなされる(S17)。
【0041】
OS2のリブート後(図10)、OS2の起動処理が開始され(S18)、この起動処理中に起動されたバックアッププロセス4は、再開情報ファイル6を読み込み(S19)、読み込んだ再開情報ファイル6(図9のステップS11参照)に従い、前回ファイルを外部ディスク7から、/apl/BKF1にロードする(S20)。ロードには時間がかかるため、OS2は、バックアッププロセス4を動作させたまま、アプリケーション3の起動処理を実行する(S21)。アプリケーション3では、図13に示した判定ロジックに従って、再開情報ファイル6を更新する(S22〜S24)。その後、サービスプロセスが起動される(S25)。
【0042】
このときの再開情報ファイル6の更新では、図13の「結果4」が適用され、次回リストアファイルを「2」(保障ファイル)、次回起動ファイルを「BK1」(前回ファイル)、リトライ回数を「0」とする。
【0043】
サービスプロセスの起動中に、再び障害が発生すると、OS2は、シャットダウン処理を開始し(S26)、このとき、バックアッププロセス4は再開情報ファイル6を読み込むが(S27)、読み込んだ再開情報ファイルの次回起動ファイルが「BK1」であるので、/opt/applicationのシンボリックリンクを/apl/BK1に変更する(S28)。この変更により、シンボリックリンク構成は図4から図5に変化したことになる。
【0044】
これにより、OSリブート後のアプリケーション3は、通常通り/opt/application配下のファイルを実行することで、外部ディスク7からロードされた前回ファイルが復元されることになる。
【0045】
このときのOSリブート後(S29)の動作(図11)を簡単に説明する。バックアッププロセス4は、外部ディスク7から保障ファイルをロードする(S32)。また、アプリケーション3は、図13の判定ロジックに従って、再開情報ファイル6を、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「BK2」(保障ファイル)、リトライ回数を「0」とするように更新する(S34〜S36)。障害発生により、OSリブートが実行されると、シャットダウン処理中に、バックアッププロセス4は、/opt/applicationのシンボリックリンクを/apl/BK2に変更する。この変更により、シンボリックリンク構成は図5から図6に変化したことになる。これにより、OSリブート後のアプリケーション3は、外部ディスク7からロードされた保障ファイルから起動されることになる。
【0046】
このときのOSリブート後(S41)の動作(図12)を簡単に説明する。OSリブート後、バックアッププロセス4は、リストア要求がないことから外部ディスク7からのロードは行わない(S44)。また、アプリケーション3は、図13の判定ロジックに従って再開情報ファイル6を更新するが(S46〜S48)、このとき、これ以上のエスカレーションは行えず、図13中の「結果3」と判定され、次回リストアファイルを「なし」、次回起動ファイルを「なし」、リトライ回数を「0」とするように更新する。図12では記載していないが、仮に、この後、障害発生した場合は、OSリブートせずアプリケーション3は停止する。
【0047】
図12は、この保障ファイルでのアプリケーション起動が成功した場合を示している。起動に成功すると(S49)、アプリケーション3は、バックアッププロセス4によって、/opt/applicationのリンク先を/apl/REALに、/apl/REALのリンク先を/data/data3に変更する(S50)。この変更により、シンボリックリンク構成は図6から図7に変化したことになる。
【0048】
また、アプリケーション3は、再開情報ファイル6も、次回リストアファイルが「なし」、次回起動ファイルが「REAL」(現用ファイル)、リトライ回数が「0」である初期状態に設定し直す(S51、S52)。
【0049】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態では、複雑になりがちな他機能部と、リストア機能部を別プロセスとするようにしたので、アプリケーションで障害が発生した場合でも、バックアップ機能には影響を与えず、バックアップファイルのリストア失敗を回避することができる(言い換えると、バックアップファイルのリストアを確実に実行できる)。
【0050】
(B)他の実施形態
再開情報ファイル6の項目や構成は、上記実施形態ものに限らず、次にリストアすべき世代のバックアップファイル、次に起動すべきファイルが判定できれば良い。例えば、前回起動したファイルの情報やそのリトライ回数を格納するようにしておいて、それに基づいて、次にリストアすべき世代のバックアップファイル、次に起動すべきファイルを判定させるようにしても良い。
【0051】
また、再開情報ファイル6のような仕組みを用いずに、アプリケーション3内で、次にリストアすべき世代、次に起動すべきファイルが判定できるようにしても良い。例えば、次にリストアすべき世代、次に起動すべきファイルの複数の組合せを、状態遷移図的な情報として管理するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係るサーバのリストア機能に関するシステム構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の再開情報ファイルが保持する情報(設定項目)を示す説明図である。
【図3】実施形態の外部ディスクに世代別に保存されているバックアップファイル例を示す説明図である。
【図4】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(1)である。
【図5】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(2)である。
【図6】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(3)である。
【図7】実施形態における、ローカルディスクについてアプリケーションが使用するディレクトリ構成を示す説明図(4)である。
【図8】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(1)である。
【図9】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(2)である。
【図10】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(3)である。
【図11】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(4)である。
【図12】実施形態におけるバックアップ再開動作を示すシーケンス図(5)である。
【図13】実施形態における、再開情報ファイルの更新内容の判定ロジックを示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…サーバ、2…OS、3…アプリケーション、4…バックアッププロセス、5…ローカルディスク、6…再開情報ファイル、7…外部ディスク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、
アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段と、
上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、
管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段とを有し、
上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されている
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
外部記憶手段に記憶されているバックアップファイルの中の1つを、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段にリストアしてシステムを再開することも可能なシステム再開方法において、
リブート関連情報管理手段が、上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理し、
リストア制御手段が、管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御すると共に、
上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されている
ことを特徴とするシステム再開方法。
【請求項3】
少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段とを含むコンピュータを、
上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、
管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段として機能させると共に、
上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されている
ことを特徴とするシステム再開プログラム。
【請求項1】
少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、
アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段と、
上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、
管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段とを有し、
上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されている
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
外部記憶手段に記憶されているバックアップファイルの中の1つを、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段にリストアしてシステムを再開することも可能なシステム再開方法において、
リブート関連情報管理手段が、上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理し、
リストア制御手段が、管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御すると共に、
上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されている
ことを特徴とするシステム再開方法。
【請求項3】
少なくとも1つのバックアップファイルを記憶している外部記憶手段と、アプリケーションが利用するファイルを記憶するローカル記憶手段とを含むコンピュータを、
上記アプリケーションの障害発生後のシステム再開時に、今回の次のシステム再開時に、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へバックアップファイルをリストアするか否か、する場合には、どのバックアップファイルかを決定できる第1の情報、並びに、次のシステム再開時に、現用ファイル及びバックアップファイルのどのファイルを適用するかを決定できる第2の情報を管理するリブート関連情報管理手段と、
管理されている第1の情報に従い、上記外部記憶手段から上記ローカル記憶手段へのバックアップファイルのリストアを制御するリストア制御手段として機能させると共に、
上記リブート関連情報管理手段が上記アプリケーションの機能部として構成され、上記リストア制御手段が上記アプリケーションの外部の機能部として構成されている
ことを特徴とするシステム再開プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−123082(P2009−123082A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298191(P2007−298191)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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