説明

情報処理装置、プログラム、および情報処理方法

【課題】複数の画像間での対応点探索の精度を向上させ得る技術を提供する。
【解決手段】互いに対応する画像内容を含んだ基準画像と参照画像とを取得する画像取得手段と、前記基準画像に注目点を設定する設定手段と、前記基準画像と前記参照画像とのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報に基づいて、2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択する選択手段と、選択された1つの対応点探索手法による探索結果を用いて、前記注目点の前記参照画像上の対応点を特定する探索手段と、を備える。そして、前記選択情報は、前記2以上の対応点探索手法のうち少なくとも一部の対応点探索手法について、前記基準画像と前記参照画像とを対象とする対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる視点から被写体を撮影する撮影手段によって取得された複数の画像に関する処理を行う情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、POC(Phase-only Correlation:位相限定相関)法を用いて複数の画像間の相関を求めることによって、複数の画像のうち1の画像中の注目点に対応する、他の画像中の対応点を探索する対応点探索手法が注目されている。
【0003】
POC法は、周波数分析によって各画像の各周波数成分を求め、各周波数成分についての振幅成分と、位相成分とのうち位相成分のみに基づいて各画像間の相関演算を行う手法である。
【0004】
このためPOC法は、SAD(Sum of Absolute Difference:差分絶対値和)法などの周波数分析を行わない手法に比べて演算時間は長いものの、画像の明るさの変動の影響を受けにくいという利点を持つ。
【0005】
従って、POC法を用いた対応点探索手法によれば、通常、SAD法などを用いた対応点探索手法に比べてより高精度に対応点を求めることができる。
【0006】
そこで、特許文献1の技術では、先ず、被写体が撮影された対象画像の全体を対象としてSAD法を用いた対応点探索が行われるとともに、この対応点探索結果に基づいて被写体の各点の距離情報が取得される。
【0007】
次に、対象画像のうち、より高精度の対応点探索を行いたい領域が、取得された距離情報に基づいて特定され、特定された領域を対象とする、より高精度の対応点探索がPOC法を用いて行われることによって、処理時間の短縮と対応点探索の精度向上との両立が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−89402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、SAD法では画像間にわたる画素値の差分が用いられるため、対象画像が、例えば、特定の画像パターンにランダムノイズが重畳された画像などである場合においても、SAD法を用いた対応点探索手法では、通常、ランダムノイズが相殺されることによって探索精度の悪化が抑制される。
【0010】
一方、このような対象画像を対象としてPOC法を用いた対応点探索が行われる場合には、ランダムノイズのために位相成分の誤差が増大することによって対応点探索の探索精度が著しく低下する場合がある。
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、より高精度な対応点探索を行いたい注目領域について、POC法の適性を評価することなく一律にPOC法を適用しているため、対応点探索の精度が、該注目領域にSAD法が適用される場合に比べてかえって悪化する場合があるといった問題がある。
【0012】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、複数の画像間での対応点探索の精度を向上させ得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、情報処理装置であって、互いに対応する画像内容を含んだ基準画像と参照画像とを取得する画像取得手段と、前記基準画像に注目点を設定する設定手段と、前記基準画像と前記参照画像とのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報に基づいて、2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択する選択手段と、選択された1つの対応点探索手法による探索結果を用いて、前記注目点の前記参照画像上の対応点を特定する探索手段と、を備え、前記選択情報は、前記2以上の対応点探索手法のうち少なくとも一部の対応点探索手法について、前記基準画像と前記参照画像とを対象とする対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載された情報処理装置であって、前記選択手段は、前記注目点毎に前記2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択することを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載された情報処理装置であって、前記探索手段は、前記2以上の対応点探索手法のそれぞれによって前記対応点の候補を特定する複数の個別探索手段と、前記複数の個別探索手段によってそれぞれ特定された複数の対応点候補の中から、前記選択情報に基づいて1つを選択することにより、前記対応点を特定する対応点候補選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載された情報処理装置であって、前記探索手段は、前記2以上の対応点探索手法によって、前記対応点をそれぞれ探索可能な複数の個別探索手段と、前記複数の個別探索手段のうちの1つの個別探索手段を前記選択情報に基づいて選択的に能動化することにより、前記1つの個別探索手段に前記対応点を探索させる選択的能動化手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、(1)前記2以上の対応点探索手法は、前記基準画像と前記参照画像との各周波数成分についての位相成分の相関演算を用いる位相型探索手法を含み、(2)前記選択情報は、前記位相成分の指標値であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載された情報処理装置であって、前記指標値が所定の条件を満たすときに、前記位相型探索手法が選択されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載された情報処理装置であって、前記指標値は、前記各周波数成分についての振幅の大きさを表わす値であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項8の発明は、請求項5または請求項6に記載された情報処理装置であって、前記指標値は、前記基準画像のランダムノイズに影響する所定の撮影パラメータの値に基づいて取得されることを特徴とする。
【0021】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載された情報処理装置であって、前記指標値は、前記撮影パラメータの値と、前記基準画像における前記注目点の画素値とに基づいて取得される値であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載された情報処理装置であって、前記撮影パラメータは、前記基準画像または前記参照画像が撮影されたときの撮影ゲイン値であることを特徴とする。
【0023】
また、請求項11の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、(1)前記2以上の対応点探索手法は、前記基準画像と前記参照画像とのそれぞれの画素値の差分を用いる差分型探索手法を含み、(2)前記選択情報は、前記基準画像または前記参照画像の所定の領域におけるコントラストを表わす情報であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項12の発明は、プログラムであって、情報処理装置に搭載されたコンピュータにおいて実行されることにより、当該情報処理装置を請求項1ないし請求項11のいずれか1つの請求項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とする。
【0025】
また、請求項13の発明は、情報処理方法であって、互いに対応する画像内容を含んだ基準画像と参照画像とを取得する画像取得工程と、前記基準画像に注目点を設定する設定工程と、前記基準画像と前記参照画像とのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報に基づいて、前記2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択する選択工程と、選択された1つの対応点探索手法による探索結果を用いて、前記注目点の前記参照画像上の対応点を特定する探索工程と、を備え、前記選択情報は、前記2以上の対応点探索手法のうち少なくとも一部の対応点探索手法について、前記基準画像と前記参照画像とを対象とする対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1から請求項13の各発明によれば、基準画像と参照画像とのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報であって、2以上の対応点探索手法のうち少なくとも一部の対応点探索手法について、基準画像の注目点に対応する対応点を参照画像において特定する対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっている選択情報に基づいて、2以上の対応点探索手法のうちの1つが選択されて対応点探索に用いられるので、複数の画像間での対応点探索の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る情報処理システムの主な構成の1例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る情報処理装置の主な機能構成の1例を示すブロック図である。
【図3】探索部が行う対応点探索の概要を説明する図である。
【図4】基準ウィンドウの設定例を示す図である。
【図5】基準ウィンドウの設定例を示す図である。
【図6】SAD法を用いた対応点探索の例を説明する図である。
【図7】SAD法における参照ウィンドウの走査態様を例示する図である。
【図8】POC法を用いた対応点探索の手順の1例を示す図である。
【図9】POC値の例を示す図である。
【図10】所定の分割数に分割された基準ウィンドウの1例を示す図である。
【図11】非線形な閾値を用いた採用手法の選択の1例を説明する図である。
【図12】実施形態に係る情報処理装置の動作フローの1例を示す図である。
【図13】図12の動作フローのうち選択情報の取得に係る動作フローの1例を示す図である。
【図14】図12の動作フローのうち採用手法の選択に係る動作フローの1例を示す図である。
【図15】図12の動作フローのうち選択情報の取得に係る動作フローの1例を示す図である。
【図16】図12の動作フローのうち選択情報の取得に係る動作フローの1例を示す図である。
【図17】図12の動作フローのうち採用手法の選択に係る動作フローの1例を示す図である。
【図18】図12の動作フローのうち採用手法の選択に係る動作フローの1例を示す図である。
【図19】図12の動作フローのうち選択情報の取得に係る動作フローの1例を示す図である。
【図20】図12の動作フローのうち選択情報の取得に係る動作フローの1例を示す図である。
【図21】図12の動作フローのうち対応点の特定に係る動作フローの1例を示す図である。
【図22】図12の動作フローのうち対応点の特定に係る動作フローの1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態について:>
<◎情報処理システム100Aについて:>
図1は、実施形態に係る情報処理システム100Aの主な構成の1例を示すブロック図である。
【0029】
図1に示されるように、情報処理システム100Aは、ステレオカメラ300と情報処理装置200Aとを主に備えて構成されており、ステレオカメラ300が撮影した基準画像1Aおよび参照画像2Aを情報処理装置200Aが取得し、情報処理装置200Aが基準画像1Aおよび参照画像2Aを処理することによって、基準画像1Aに設定された注目点21(図3)に対応する対応点23(図3)を参照画像2Aにおいて特定する対応点探索を行う。
【0030】
◎ステレオカメラ300について:
図1に示されるように、ステレオカメラ300は、基準カメラ31と参照カメラ32とを主に備えて構成されている。また、基準カメラ31および参照カメラ32は、それぞれ、不図示の撮影光学系および受光素子を有する制御処理回路などを主に備えて構成されている。
【0031】
また、基準カメラ31と参照カメラ32とは、所定の基線長を隔てて設けられており、撮影光学系に入射した被写体からの光線情報を制御処理回路等で同期して処理することによって、被写体のステレオ画像を構成する、基準画像1Aおよび参照画像2Aを生成する。
【0032】
基準画像1Aおよび参照画像2Aは、例えば、複数の画素がマトリックス状に配列され、各画素の画素値が所定の階調数で表現されたデジタル画像データである。なお、基準画像1A及び参照画像2Aのサイズとしては、例えば、VGA(640画素×480画素)などが採用される。
【0033】
生成された基準画像1Aおよび参照画像2Aは、データ線DLを介して情報処理装置200Aの入出力部41へと供給される。なお、基準画像1Aおよび参照画像2Aは、カラー画像であってもモノクロ画像であっても本発明の有用性を損なうものではない。
【0034】
また、基準画像1Aおよび参照画像2Aがそれぞれ撮影されたときの基準カメラ31および参照カメラ32の撮影ゲイン値などの撮影パラメータ1Pおよび2Pも、それぞれ基準画像1Aおよび参照画像2Aのヘッダ情報などとして情報処理装置200Aへと供給される。
【0035】
なお、ステレオカメラ300の各種動作は、情報処理装置200Aから入出力部41およびデータ線DLを介して供給される制御信号に基づいて制御される。
【0036】
また、ステレオカメラ300は、基準カメラ31と参照カメラ32との同期をとりつつ被写体を時間順次に連続的に撮影することによって、複数の時系列画像を生成することもできる。
【0037】
従って、情報処理装置200Aは、これらの複数の時系列画像の中から基準画像1Aと参照画像2Aとを取得することもできる。なお、時系列画像の中から選ばれる基準画像1Aと参照画像2Aとは、通常、同一のカメラによって撮影された画像であるが、異なるカメラによってそれぞれ撮影された画像であってもよい。
【0038】
◎情報処理装置200Aの構成について:
図1に示されるように、情報処理装置200Aは、CPU11A、入出力部41、操作部42、表示部43、ROM44、RAM45および記憶装置46を主に備えて構成されており、これらの各機能部によって基準画像1Aと参照画像2Aとに関する対応点探索などを行う。また、情報処理装置200Aは、例えば、汎用のコンピュータ、または専用のハードウェア装置などによって実現される。
【0039】
以下、情報処理装置200Aの各機能部について説明する。
【0040】
◎入出力部41〜記憶装置46:
入出力部41は、例えばUSBインタフェースなどの入出力インタフェースおよびマルチメディアドライブなどを備えて構成されている。
【0041】
入出力部41は、入出力インタフェースによってステレオカメラ300から情報処理装置200Aへ供給される画像情報等の入力、および情報処理装置200Aからステレオカメラ300への各種制御信号等の出力を行うとともに、マルチメディアドライブによって光ディスクなどの記憶媒体を受け付け、CPU11Aとの間でデータの授受を行う。
【0042】
このように、情報処理装置200Aが処理するステレオ画像は、ステレオカメラ300から直接取得されるだけでなく、記憶媒体を経由することによっても取得され得る。
【0043】
操作部42は、例えば、キーボード、マウスおよび操作ボタンなどを備えて構成されており、対応点の探索に用いられるウィンドウのサイズ(ウィンドウサイズ)および初期視差などの情報処理装置200Aの各種制御パラメータの設定、情報処理装置200Aの各種動作モードの設定、および各種操作信号の入力などの用途に使用される。なお、設定された制御パラメータおよび動作モードなどは、CPU11Aによって、記憶装置46に記憶される。
【0044】
表示部43は、例えば液晶ディスプレイで構成されて動画などを表示可能であり、表示部43には、ステレオカメラ300によって撮影されたステレオ画像などの画像情報、各種メッセージ、各種制御用のGUI(Graphical User Interface)、および制御パラメータ設定用の情報などが表示される。
【0045】
ROM(Read Only Memory)44は、読出し専用メモリであり、CPU11Aを動作させるプログラムなどを格納している。なお、読み書き自在の不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)が、ROM44に代えて使用されてもよい。
【0046】
RAM(Random Access Memory )45は、読み書き自在の揮発性メモリであり、画像取得部12が取得した各種画像などを格納する用途に使用されるとともに、情報処理装置200Aの各部が出力する情報を一時的に記憶するワークメモリの用途にも使用される。
【0047】
記憶装置46は、例えば、フラッシュメモリなどの読み書き自在な不揮発性メモリやハードディスク装置等によって構成されており、情報処理装置200Aの各部を制御するために設定された制御パラメータ、画像情報、および対応点の探索結果などの各種情報を恒久的に記録する。
【0048】
また、記憶装置46には、CPU11Aを動作させるプログラムのうち後述する取得プログラム28(図2)、および評価式または判定アルゴリズムなどである判定基準29(図2)などのモジュール化された一部の各プログラム自体、または当該一部の各プログラムのROM44における格納アドレス情報が記録されており、CPU11Aは、ROM44および記憶装置46に記憶されたプログラムおよび格納アドレス情報に基づいて動作可能に構成されている。
【0049】
上述した制御パラメータは、例えば、対応点探索が行われる際の相関演算の対象領域として基準画像1Aおよび参照画像2Aにそれぞれ設定される基準ウィンドウ51(図3)および参照ウィンドウ52(図3)の水平方向(図3のX方向)および垂直方向(図3のY方向)のサイズであるウィンドウサイズ、初期視差、および各種の判定に用いられる閾値などである。
【0050】
ここで、初期視差は、注目点21の基準画像1A上の座標と、対応点23の参照画像2A上の座標のずれ量(「視差」とも称する)についての所定の見込み量(初期値)であり、画像の水平方向と垂直方向とについてそれぞれ設定されている。
【0051】
また、これらの制御パラメータは、操作部42などによって予め設定されて記憶装置46に記憶されている。
【0052】
◎CPU11A:
CPU(Central Processing Unit)11Aは、情報処理装置200Aの各機能部を統轄制御する制御処理装置であり、ROM44に格納されたプログラムに従った制御および処理を実行する。
【0053】
CPU11Aは、後述するように、画像取得部12、選択情報取得部13、設定部14、選択部15、および探索部16としても機能する。
【0054】
CPU11Aは、これらの機能部によって、基準画像1Aに設定された注目点に対応する対応点を基準画像1Bにおいて特定する対応点探索を行う。
【0055】
また、CPU11A、入出力部41、操作部42、表示部43、ROM44、RAM45、記憶装置46等のそれぞれは、信号線49を介して電気的に接続されている。したがって、CPU11Aは、例えば、入出力部41を介したステレオカメラ300の制御およびステレオカメラ300からの画像情報の取得、および表示部43への表示等を所定のタイミングで実行できる。
【0056】
<情報処理装置200Aの機能説明>
図2は、実施形態に係る情報処理装置200Aの主な機能構成の1例を示すブロック図である。また、図12は、実施形態に係る情報処理装置200Aの動作フローの1例を示す図である。
【0057】
以下、情報処理装置200Aの主な機能部について図12の動作フローを適宜参照しつつ簡単に説明する。
【0058】
なお、図1に示される構成例では、画像取得部12、選択情報取得部13、設定部14、選択部15、および探索部16の各機能部は、CPU11Aで所定のプログラムを実行することによって実現されているが、これらの各機能部はそれぞれ、例えば、専用のハードウェア回路などによって実現されてもよい。
【0059】
◎画像取得部12の機能について:
図2に示される画像取得部12は、ステレオカメラ300(図1)によって撮影された、互いに対応する画像内容を含んだ画像である基準画像1Aと参照画像2Aとを入出力部41を介して取得する(図12のステップS10)。
【0060】
また、画像取得部12は、撮影パラメータ1Pおよび2Pをも入出力部41を介して取得する。
【0061】
取得された基準画像1Aおよび参照画像2Aは、選択情報取得部13、設定部14、および探索部16に供給され、撮影パラメータ1Pおよび2Pは、選択情報取得部13に供給される。
【0062】
◎設定部14の機能について:
設定部14は、供給された基準画像1Aに注目点21を設定する(図12のステップS20)とともに、注目点21と、記憶装置46に格納された初期視差とに基づいて、供給された参照画像2Aに参照ウィンドウ52の基準となる探索基準点22を設定する。
【0063】
より具体的には、設定部14は、例えば、エッジ検出処理などによって特定された基準画像1Aの特徴点を特定する手法、表示部43において操作部42を用いて指示された基準画像1A上の点の座標情報を取得する手法、または基準画像1Aの各点を所定の順次で順次に特定する手法などによって注目点21を設定する。
【0064】
また、設定部14は、例えば、基準画像1Aにおける注目点21の座標に、初期視差を加算した座標を求め、参照画像2Aにおける該座標情報を有する点を探索基準点22として設定する。
【0065】
設定された注目点21および探索基準点22についての情報は、選択情報取得部13および探索部16へと供給され、例えば、探索部16において注目点21および探索基準点22のそれぞれに基づいた基準ウィンドウ51および参照ウィンドウ52のそれぞれの設定に供される。
【0066】
なお、情報処理装置200Aにおける注目点21および探索基準点22の授受は、例えば、これらの点の座標情報などの授受によって行われる。
【0067】
ここで、注目点21および探索基準点22の設定は、通常画素(ピクセル)単位で行われるが、画素単位よりも小さなサブピクセル単位で設定されたとしても、探索部16が行う基準ウィンドウ51および参照ウィンドウ52の設定においては注目点21および探索基準点22がそれぞれ属する画素を基準として各ウィンドウを設定すればよいので、本発明の有用性を損なうものではない。
【0068】
また、注目点21に基づいて設定される基準ウィンドウ51を特定する各座標値に、例えば、それぞれ初期視差を直接加えることによっても参照ウィンドウ52を設定可能であり、この場合には、探索基準点22の設定を省くことができる。
【0069】
◎選択情報取得部13の機能について:
選択情報取得部13は、画像取得部12から基準画像1A、参照画像2A、ならびに撮影パラメータ1Pおよび2Pを、設定部14から注目点21および探索基準点22をそれぞれ供給される。
【0070】
また、選択情報取得部13は、対応点23の特定に使用される対応点探索手法である採用手法27の候補となる2以上の候補手法25、これら2以上の候補手法25のうちの注目手法26、および2以上の候補手法25から採用手法27が選択される際の判断の基礎となる選択情報24の取得プログラム28をそれぞれ記憶装置46から供給される。
【0071】
なお、情報処理装置200Aにおける取得プログラム28の授受は、具体的には、例えば、ROM44における取得プログラム28の格納アドレス情報の授受、または取得プログラム28自体の授受などによって行われる。
【0072】
また、2以上の候補手法25としては、例えば、POC法とSAD法とをそれぞれ用いて対応点探索を行う各手法などが採用される。
【0073】
選択情報取得部13は、2以上の候補手法25のうち少なくとも注目手法26について、注目点21に対応する参照画像2Aの対応点23を特定する対応点探索への利用の適性を表す適性情報となる選択情報24を取得プログラム28に基づいて取得し(図12のステップS30)、選択部15へと供給する。なお、選択情報取得部13が選択情報24を取得する手順の詳細については後述する。
【0074】
◎選択部15の機能について:
選択部15は、選択情報取得部13から選択情報24を供給され、記憶装置46から候補手法25、注目手法26、および選択情報24と所定の閾値との比較を行う不等式として表現される評価式あるいは判定アルゴリズムなどである判定基準29をそれぞれ供給される。
【0075】
なお、情報処理装置200Aにおける判定基準29の授受は、具体的には、例えば、上述した評価式または判定アルゴリズム実現するプログラムの授受、もしくはROM44における該プログラムの格納アドレス情報などの授受によって行われる。
【0076】
同様に、2以上の候補手法25の授受は、具体的には、例えば、各候補手法25を実現させる各プログラムのROM44における格納アドレス情報の授受、または当該各プログラム自体の授受などによって行われる。
【0077】
選択部15は、判定基準29を用いて選択情報24を判定することにより、すなわち選択情報24に基づいて、2以上の候補手法25のうち1の手法を採用手法27として選択する(図12のステップS40)。また、選択された採用手法27は、探索部16へと供給されて、対応点23の特定に用いられる。
【0078】
◎探索部16の機能について:
探索部16は、選択部15から採用手法27を、記憶装置46から2以上の候補手法25を、それぞれ供給され、採用手法27による対応点探索の結果を用いて、注目点21に対応する参照画像2Aの対応点23を特定する(図12のステップS50)。
【0079】
なお、情報処理装置200Aにおける採用手法27の授受は、具体的には、例えば、採用手法27を実現させるプログラムのROM44における格納アドレス情報の授受、または当該プログラム自体の授受などによって行われる。
【0080】
ここで、探索部16は、以下に説明する2つの手順を、予め設定された動作モードに応じて切り替えることにより、それぞれの手順に従って対応点23を特定する対応点探索を行えるように構成されている。
【0081】
図21は、図12の動作フローのうち、上述した2つの手順のうちの1つ目の手順において探索部16が行う対応点の特定(ステップS50)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0082】
該1つ目の手順では、探索部16は、先ず、2以上の各候補手法25のそれぞれによって、注目点21に対応する参照画像2Aの対応点23の候補である対応点候補をそれぞれ個別に特定する複数の個別探索処理を行う(図21のステップS93)。
【0083】
次に、探索部16は、特定された複数の対応点候補の中から、選択情報24に基づいて選択された採用手法27に対応する対応点候補を対応点23として選択することによって対応点23を特定する対応点候補選択処理を行う(図21のステップS94)。
【0084】
また、図22は、図12の動作フローのうち、上述した2つの手順のうちの2つ目の手順において探索部16が行う対応点の特定(ステップS50)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0085】
該2つ目の手順では、探索部16は、先ず、上述した複数の個別探索処理のうち選択情報24に基づいて選択された採用手法27に対応する個別探索処理を、例えば、採用手法27を実現させるプログラムを選択的に実行することなどによって、選択的に能動化(有効化)し(図22のステップS95)、選択的に能動化された個別探索処理による探索結果を用いて対応点23を特定する(図22のステップS96)。
【0086】
例えば、探索部16がハードウェア回路によって実現されている場合には、参照画像2Aに逐次設定される各注目点21毎に採用手法27を切り替えつつ各対応点23を探索するよりも、あらかじめ参照画像2Aの全ての各注目点21に対して2以上の候補手法25のそれぞれによって各対応点を取得しておき、各候補手法25ごとに選択された採用手法27に応じた対応点を対応点23とする方が、通常、より処理コストを低減することができる。
【0087】
従って、探索部16がハードウェア回路によって実現されている場合には、通常、上述した1つ目の手順が採用されるが、上述した2つ目の手順が採用されたとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0088】
一方、探索部16が図1に記載したようにCPUで所定のプログラムを実行することによって実現されている場合には、通常、上述した2つ目の手順の方が、1つ目の手順を採用するよりも処理コストをより低減することができる。
【0089】
従って、探索部16がCPUで所定のプログラムを実行することによって実現されている場合には、通常、上述した2つ目の手順が採用されるが、上述した1つ目の手順が採用されたとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0090】
探索部16によって特定された対応点23は、表示部43に供給され、対応点探索の結果として表示される。
【0091】
◎探索部16が行う探索処理について:
次に、探索部16が行う、2以上の候補手法25の探索処理について詳しく説明する。
【0092】
ここで、図3は、探索部16が行う対応点探索の概要を説明する図である。先ず、図3を用いて探索部16が行う対応点探索処理の概要を説明した後、個々の候補手法25について詳しく説明する。
【0093】
図3では、設定部14によって、基準画像1A上に注目点21が設定されるとともに、注目点21と、記憶装置46に格納された初期視差とに基づいて参照画像2A上に探索基準点22が設定されている。
【0094】
探索部16は、記憶装置46に格納されたウィンドウサイズに基づいて、注目点21に対して基準ウィンドウ51を、探索基準点22に対して参照ウィンドウ52をそれぞれ設定し、基準ウィンドウ51内の画像と参照ウィンドウ52内の画像との採用手法27に応じた相関を求めることによって各画像間の視差を求め、注目点21の座標と、求められた視差とに基づいて注目点21に対応する対応点23を求める。
【0095】
なお、採用手法27の候補である2以上の候補手法25の1つとしては、周波数分析を行わない、例えば、SAD法(差分絶対値和法)などの画像間(基準ウィンドウ51と参照ウィンドウ52)のそれぞれの画素値の差分を用いる差分型の相関演算方法を用いる差分型探索手法が採用される。
【0096】
また、2以上の候補手法25の他の1つとしては、周波数分析を行って画像の各周波数成分を求め、求められた各周波数成分についての位相成分に基づいた相関演算を行う、例えば、POC法(位相限定相関法)などの位相型の相関演算手法を用いる位相型探索手法が採用される。
【0097】
○基準ウィンドウと参照ウィンドウ:
図4および図5は、基準画像1Aに設定された基準ウィンドウ51の設定例を示す図である。なお、図4および図5には、説明を簡単にするために座標軸が記載されており、同様に、他の図においても必要に応じて座標軸が適宜記載されている。
【0098】
図4に例示される基準ウィンドウ51は、水平方向画素数と垂直方向画素数がともに奇数であり、注目点21の座標は、基準ウィンドウ51の重心53と一致する。
【0099】
図5に例示される基準ウィンドウ51は、水平方向画素数と垂直方向画素数とがともに偶数であり、注目点21の座標は、基準ウィンドウ51の重心53に対して−X方向、−Y方向に0.5画素ずれている。
【0100】
図4および図5に示される例の他に、基準ウィンドウ51の水平方向画素数と垂直方向画素数とは、それぞれ奇数と偶数(順不同)との組でもよい。
【0101】
なお、基準ウィンドウ51と参照ウィンドウ52とのそれぞれの水平方向(X方向)画素数は同じであり、それぞれの垂直方向(Y方向)画素数もまた同じである。
【0102】
なお、採用手法27として周波数分析を行う手法が選択された場合には、高速フーリエ変換(FFT)を用いて必要な演算回数を抑制し、処理の高速化を図る観点から、水平方向画素数と垂直方向画素数とを2のべき乗で表される画素数とすることが望ましい。
【0103】
次に、2以上の候補手法25のうちSAD法とPOC法とを例として、基準ウィンドウ51と参照ウィンドウ52の画像間の相関を求める手法について説明する。
【0104】
○SAD法を用いた対応点探索:
図6は、SAD法を用いた対応点探索の例を説明する図である。
【0105】
図6に示される基準画像1A上にはX座標がh2である注目点21が設定されており、注目点21に対して基準ウィンドウ51が設定されている。基準ウィンドウ51のX方向の両端のX座標は、h1とh3である。また、参照画像2A上には、注目点21に対応する対応点23が示されている。
【0106】
ここでは、SAD法を用いて対応点23を求める例について説明する。
【0107】
参照画像2A上には、X座標がxsである探索基準点22sからX座標がxeである探索基準点22eまで、X座標がxs≦x≦xeの範囲で1画素ごとに複数の探索基準点が設定されており、これら複数の探索基準点の代表として両端の探索基準点22s、22eのみが記載されている。
【0108】
また、該複数の探索基準点には、それぞれ基準ウィンドウ51と、同サイズの複数の参照ウィンドウとが設定されており、該複数の参照ウィンドウの代表として両端の参照ウィンドウ52s、52eのみが記載されている。
【0109】
ここで、図6においては説明を簡単にするため、注目点21と複数の探索基準点22s〜22eのY座標は同じであり、従って、基準ウィンドウ51と、参照ウィンドウ52s〜52eのY方向の座標のずれ量は無いように設定されている。また、注目点21と、求められるべき対応点23のY座標も一致するように設定されている。
【0110】
次に、参照ウィンドウ52s〜52eの各参照ウィンドウ内の各画像と、基準ウィンドウ51内の画像との相関値を演算する。基準ウィンドウと参照ウィンドウのX方向、Y方向の座標のずれ量(視差)をそれぞれ視差xd、ydとする。図6の例では、視差xdの範囲はxs−h2〜xe−h2であり、視差ydは0である。
【0111】
基準ウィンドウ51内の各画素(xi,yj)の画素値をImg1(xi,yj)、X方向、Y方向の視差が、視差xd、ydである参照ウィンドウ52内の各画素(xi+xd,yj+yd)の画素値をImg2(xi+xd,yj+yd)とすると、(1)式、(2)式を用いた演算によって基準ウィンドウ51内の画像と参照ウィンドウ52内の画像の相関値CORpが算出される。
【0112】
【数1】

【0113】
参照ウィンドウが52sから52eにわたって走査されるように、X方向の視差xdをxs−h2〜xe−h2の範囲で変更しつつ、(1)式および(2)式によって各視差xdに対する相関値CORpが算出されると、図6に示すグラフU1のように参照画像2AのX座標と相関値CORpとの関係が明らかになる。
【0114】
図6の例では、座標xMにおいて、グラフU1における相関値CORpの最大値が与えられているので、探索基準点のX座標がxMと一致する参照ウィンドウが、相関値CORpの最大値を与える参照ウィンドウであり、該参照ウィンドウの探索基準点と、注目点21に対応する対応点23とは一致する。
【0115】
図7はSAD法における参照ウィンドウ52の走査態様を例示する図であり、参照画像2Aの全域に参照ウィンドウ52を走査させている。SAD法はPOC法に比べて演算量が少なく高速な処理が可能であるので、画素数が多い参照画像2AにSAD法による対応点探索を適用し、図7に示される全域走査を行っても処理時間が短くなる。
【0116】
従ってSAD法を用いる場合には、対応点に近い探索基準点を求めることなく、画像の全域にわたって参照ウィンドウの走査を行って視差特定をしても、周波数分析を行う手法を用いる場合に比べて短時間で対応点探索を行うことができるので、探索基準点を求める処理コストを削減することが可能となる。
【0117】
なお、SAD法以外にも、例えば、SSD(濃度差の二乗和)法などを差分型探索手法として採用しても本発明の有用性を損なうものではない。
【0118】
○POC法を用いた対応点探索:
図8は、POC法を用いた対応点探索の手順の1例を示す図である。
【0119】
POC法は、周波数分析を使用した相関法であって、かつ、振幅成分を抑制した相関法である。同様の相関法として、DCT符号限定相関法(参考論文:「画像信号処理と画像パターン認識の融合−DCT符号限定相関とその応用」貴塚仁志)などが知られている。
【0120】
これらの相関法は、パターンの周波数分析信号から、振幅成分を抑制した位相成分のみの信号に基づいて類似度演算を行うため、画像を取得するためのステレオカメラ300における撮影条件の差(ここでは、基準カメラ31、参照カメラ32における撮影条件の差)や、ノイズなどの影響を受けにくく、ロバストな対応点検索が可能である。
【0121】
また、SAD法が、1組の基準ウィンドウと参照ウィンドウに対して1つの相関値(CORp値)のみを出力するため、相関値が最も高い参照ウィンドウ、すなわち、相関値が最も高い視差を特定するためには複数の参照ウィンドウにわたって、参照ウィンドウの走査を行う必要があるのに対して、POC法などの周波数分析を使用した相関法は、1組の基準ウィンドウと参照ウィンドウの画像に対して、画像間の相関値とともに、相関値が最も高くなる画像間の視差が求められるので、対応点が該参照ウィンドウ内に存在する場合には、参照ウィンドウの走査を行う必要がない。
【0122】
以下に、基準画像1Aに対する基準ウィンドウ51内の画像と、参照画像2Aに対する参照ウィンドウ52内の画像とを対応点探索の対象として注目点についての視差を求める場合を例に、POC法の基本原理を説明する。
【0123】
先ず、基準画像1Aに対して基準ウィンドウ51を設定する基準ウィンドウ設定処理T1a、および参照画像2Aに対して参照ウィンドウ52を設定する参照ウィンドウ設定処理T1bが行われる。
【0124】
基準ウィンドウ51内の画像領域と、参照ウィンドウ52内の画像領域とは、次の(3)式、(4)式のように表されるものとする。
【0125】
【数2】

【0126】
ここで、(3)式のf0(n1,n2)および(4)式のg0(n1,n2)は、基準ウィンドウ51内および参照ウィンドウ52内の画素の画素値を示している。また、N1およびN2は、例えばN1=2M1+1、N2=2M2+1と設定されている。
【0127】
次に、周波数分析を行う前に、ウィンドウ領域の端部での不連続性の影響を取り除くために窓関数を用いた窓関数処理T2aおよびT2bを行う。
【0128】
窓関数は、例えば、(5)式のH(n1,n2)で与えられるハニング窓が採用され、窓関数処理T2aおよびT2bは、基準ウィンドウ51内および参照ウィンドウ52内の各画素の画素値に(5)式の窓関数の出力値を乗ずる演算(6)式および(7)式でそれぞれ与えられる。
【0129】
【数3】

【0130】
窓関数としては、ハニング窓の他に、例えば、ハミング窓、カイザー窓などが採用される。
【0131】
次に、基準ウィンドウ51、参照ウィンドウ52内の各画像領域に対し、(8)式、(9)式で示す演算式を用いて、図8に示される2次元のフーリエ変換処理T3a、T3bが行われる。
【0132】
【数4】

【0133】
なお、(8)式、(9)式の下部ただし書におけるWの添字Pには、N1、N2が代入され、またkの添字sには、1、2が代入される。ここで、周波数分析の処理は必ずしもフーリエ変換である必要はなく、離散コサイン変換、離散サイン変換、ウェーブレット変換又はアダマール変換の何れかを含んでいても良い。
【0134】
このようなフーリエ変換処理T3a、T3bが施された各画像領域に対しては、(10)式で示す演算式を用いて、画像の振幅成分を除去するための正規化処理T4a、T4bが行われる。
【0135】
【数5】

【0136】
正規化処理T4a、T4bが完了すると、(11)式で示す演算式を用いた正規化クロス・パワースペクトル算出処理T5が行われる。
【0137】
【数6】

【0138】
正規化クロス・パワースペクトル算出処理T5が完了すると、(12)式で示す演算式を用いた2次元の逆フーリエ変換処理T6が行われる。これにより、基準ウィンドウ51と参照ウィンドウ52内の各画像間の相関演算が実施されることとなり、その結果(POC値)が出力される。
【0139】
【数7】

【0140】
以上の処理により、基準ウィンドウ51内の画像と参照ウィンドウ52内の画像との相関を示す演算結果(POC値)が得られ、例えば、図9で示すような結果(POC値)が得られる。
【0141】
図9は、POC値の例を示す図である。図9においては、ウィンドウ(N1×N2)内で相関が高い箇所のPOC値が大きくなっており、POC値のピークSを与える座標が、基準ウィンドウ51内の画像と参照ウィンドウ52内の画像との相関が最も高くなる視差を示す。この視差を特定する処理が視差特定T7である。
【0142】
POC法を用いた対応点探索では、POC法を用いて特定された視差と、基準ウィンドウ51内の注目点21とに基づいて、注目点21に対応した参照ウィンドウ52内の対応点23が求められる。
【0143】
以上のように、POC法を用いた対応点探索によれば、画像の振幅成分が除去され、画像の位相成分のみに基づいて相関演算が行われるため、画素値の変動やノイズの影響が抑制されて対応点が精度良く検出される。
【0144】
ここで、操作部42からは情報処理装置200Aの動作モードとして種々の動作モードが設定可能であり、選択情報取得部13と、選択部15とはそれぞれ操作部42から設定される各動作モードに応じた選択情報24の取得と、採用手法27の選択とを行うことができるように構成されている。
【0145】
以下では、2以上の候補手法25として、POC法とSAD法とをそれぞれ用いた対応点探索の各手法が採用され、注目手法26としてPOC法を用いた対応点探索の手法が採用される場合を例に、各動作モードのうちの第1動作モードから第4動作モードにおける選択情報取得部13と、選択部15との動作について説明する。
【0146】
[◎A.第1動作モードにおける選択情報取得部13と選択部15との動作:]
第1動作モードでは、注目手法26として画像の各周波数成分についての位相成分に基づいた相関演算を行うPOC法を用いる手法が採用され、選択情報24としては、当該位相成分の指標値のうち、各周波数成分についての振幅の大きさを表わす第1指標値が採用される。
【0147】
ここで、第1動作モードにおける採用手法27の選択の原理について説明する。
【0148】
○第1動作モードにおける採用手法27の選択の原理:
(8)式に示された離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform:DFT)の演算式によって求められた演算結果F(k1,k2)は、(13)式の演算式によっても表わすことができる。
【0149】
なお、(8)式および(13)式におけるk1およびk2は、それぞれ整数で与えられる離散周波数インデックスである。また、(13)式において振幅AF(k1,k2)は各周波数成分のそれぞれの振幅であり、θF(k1,k2)は各周波数成分のそれぞれの位相である。
【0150】
【数8】

【0151】
ここで、(8)式および(13)式に示される離散フーリエ変換が行われると、結果は、実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)とに分解された形式で求められる。
【0152】
また、位相θF(k1,k2)は、実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)とを用いて(14)式によって与えられる。
【0153】
【数9】

【0154】
同様に、振幅AF(k1,k2)は、(15)式によって与えられる。
【0155】
【数10】

【0156】
ここで、画像に対してノイズ成分が重畳されている場合には、実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)とは、それぞれノイズ成分と信号成分とを含んでいる。
【0157】
従って、例えば、画像に重畳されているノイズ成分が一定量である場合には、(14)式より、実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)とのそれぞれの値が小さいほど、それぞれのS/N比(信号対雑音比)が小さくなり、求められた位相θF(k1,k2)の誤差が大きくなること、すなわち、求められた位相θF(k1,k2)の信頼度が低くなることが判る。
【0158】
一方、(15)式で与えられる振幅AF(k1,k2)によって、実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)との大きさが判る。
【0159】
従って、周波数分析された画像の各周波数成分の振幅AF(k1,k2)によって、位相θF(k1,k2)の誤差が大きいか小さいか、すなわち、位相θF(k1,k2)の信頼度が高いか低いかを判定することができる。
【0160】
以上に説明したように、各周波数成分についての振幅の大きさを表わす第1指標値は、POC法を用いる対応点探索手法の対応点探索への利用の適性を表わす適性情報となっている。
【0161】
第1動作モードでは、選択情報取得部13が第1指標値を選択情報24として取得し、選択情報24に基づいて選択部15が採用手法27を選択する。
【0162】
○第1動作モードにおける選択情報取得部13の動作:
図13は、図12の動作フローのうち第1動作モードにおいて選択情報取得部13が行う選択情報24の取得(ステップ30)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0163】
第1動作モードにおいては、選択情報取得部13は、記憶装置46から第1動作モードにおける選択情報24の取得プログラム28(図2)を取得する。
【0164】
ここで、第1動作モードにおける取得プログラム28は、上述した振幅AF(k1,k2)に基づいて選択情報24を取得する手法を実現させるプログラムである。
【0165】
選択情報取得部13は、取得プログラム28に基づいて、振幅AF(k1,k2)から、(16)式、(17式)、または(18)式のそれぞれによって表される第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3を取得する(図13のステップS61)。
【0166】
【数11】

【0167】
【数12】

【0168】
【数13】

【0169】
(16)式において、閾値Th(k1,k2)は、振幅AF(k1,k2)の判定に用いられる所定の閾値であり、第1指標値AMP1は、周波数分析された各周波数成分のうち振幅AF(k1,k2)が閾値Th(k1,k2)を超えた周波数成分の個数である。
【0170】
また、(17)式で表される第1指標値AMP2は、周波数分析された各周波数成分のうち振幅AF(k1,k2)が閾値Th(k1,k2)を超えた周波数成分の個数の、全ての周波数成分の個数に対する割合である。
【0171】
また、(18)式で表される第1指標値AMP3については、図10に示される所定の分割数Rに分割された基準ウィンドウ51の1例を参照しつつ説明する。
【0172】
図10に示される基準ウィンドウ51は、分割数Rが9である場合の例であり、先ず、それぞれの分割領域54について、(18)式に示される各周波数成分の振幅の平均値Rrが求められる。次に、各分割領域のうち、平均値Rrが各領域に設定された所定の閾値Thrを超える領域の個数が第1指標値AMP3として求められる。
【0173】
つまり、第1指標値AMP3は、基準ウィンドウ51が所定の分割数Rに分割された各分割領域のうち、分割領域についての各周波数成分の振幅の平均値Rrが、所定の閾値Thrを超える分割領域の個数である。
【0174】
なお、平均値Rrに代えて各周波数成分の振幅の和が採用されてもよい。また、第1指標値AMP3に代えて第1指標値AMP3を分割数Rすなわち分割領域の個数で除した値が採用されても良い。
【0175】
このように第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3に代えて、これらと物理的、数学的に等価な各指標値が採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0176】
なお、第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3は、(14)式および(15)式における実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)とに基づく位相成分の指標値でもあるが、例えば、実数部Re(k1,k2)と、虚数部Im(k1,k2)とのそれぞれに基づいて位相成分の指標値を個別に取得し、取得された各指標値に基づいて位相成分の指標値である選択情報24を取得したとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0177】
また、第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3は、基準画像1Aに設けられた基準ウィンドウ51の画像に基づいて求められているが、例えば、基準ウィンドウ51の画像と、参照画像2Aに設けられた参照ウィンドウ52の画像とについてのクロス・パワースペクトルに基づいて第1指標値を求めたとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0178】
選択情報取得部13は、取得した第1指標値を選択情報24として設定して(図13のステップS62)、選択部15へと供給する。
【0179】
○第1動作モードにおける選択部15の動作:
図14は、図12の動作フローのうち第1動作モードにおいて選択部15が行う採用手法27の選択(ステップ40)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0180】
第1動作モードにおける選択情報24は、各周波数成分についての振幅の大きさを表わす第1指標値であるので、選択情報24が大きいほどPOC法は、ランダムノイズの影響を受けることが少なく、逆に、選択情報24が小さいほど、POC法は、ランダムノイズの影響を強く受けることになる。
【0181】
そこで、第1動作モードに対応した判定基準29としては、例えば、選択情報24が該判定に使用される所定の閾値よりも大きいことなどを判定する評価式が採用される。
【0182】
選択部15は、先ず、記憶装置46か第1動作モードに対応した判定基準29を取得し、選択情報24が判定基準29を満たしているか否かを判定する(図14のステップS81)。
【0183】
次に、選択部15は、該判定の結果、選択情報24が判定基準29を満たしているならば、POC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択し(図14のステップS82)、選択情報24が判定基準29を満たしていないならば、SAD法を用いる対応点手探索手法を採用手法27として選択する(図14のステップS83)。
【0184】
選択された採用手法27は、探索部16へと供給されて、注目点21に対応する対応点23の特定に用いられる。
【0185】
上述したように、撮影された画像の各周波数成分の振幅が小さくなることによってPOC法を用いる対応点探索手法による対応点の特定の精度が悪化するが、第1動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、選択情報24として採用される第1指標値に基づいて、選択情報24が所定の閾値よりも大きいときにはPOC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択し、選択情報24が所定の閾値以下であるときにはSAD法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択することができる。
【0186】
従って、第1動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、基準画像1Aと参照画像2Aとの間での対応点探索の精度を向上させることができる。
【0187】
[◎B.第2動作モードにおける選択情報取得部13と選択部15との動作:]
第2動作モードでは、注目手法26として画像の各周波数成分についての位相成分に基づいた相関演算を行うPOC法を用いる手法が採用され、選択情報24としては、当該位相成分の指標値のうち、基準画像1Aまたは参照画像2Aのランダムノイズの量の増減に関与するなど、ランダムノイズに影響する所定の撮影パラメータと、注目点21の画素値とに基づいて取得される第2指標値が採用される。
【0188】
○第2動作モードにおける選択情報取得部13の動作:
図15は、図12の動作フローのうち第2動作モードにおいて選択情報取得部13が行う選択情報24の取得(ステップ30)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0189】
第2動作モードにおいては、選択情報取得部13は、記憶装置46から第2動作モードにおける選択情報24の取得プログラム28(図2)を取得する。
【0190】
第2動作モードにおける取得プログラム28は、例えば、基準画像1Aのランダムノイズに影響する所定の撮影パラメータと、注目点21の画素値とに基づいて取得される第2指標値を選択情報24として取得する手法を実現させるプログラムである。
【0191】
ここで、ランダムノイズに影響する撮影パラメータは、例えば、画像撮影時の撮影ゲイン値、および信号処理速度などである。
【0192】
画像が撮影される際に、信号の増幅率、すなわち撮影ゲイン値が上げられると、生成される画像のランダムノイズが増加する。また、画像が生成される際の信号処理速度が速いほど、通常、ランダムノイズは増加する。
【0193】
なお、通常、基準画像1Aと参照画像2Aとの各撮影パラメータは同じような値となることから、当該ゲイン値として、参照画像2Aが撮影されたときの撮影ゲイン値および信号処理速度が採用されたとしても、本願発明の有用性を損なうものではない。
【0194】
従って、第2動作モードにおける取得プログラム28は、例えば、基準画像2Aのランダムノイズに影響する所定の撮影パラメータと、注目点21の画素値とに基づいて取得される第2指標値を選択情報24として取得する手法を実現させるプログラムであってもよい。
【0195】
選択情報取得部13は、取得プログラム28に基づいて、画像取得部12から供給される撮影パラメータ1Pまたは2Pと、基準画像1Aとから、基準画像1Aまたは参照画像2Aが撮影されたときの撮影ゲイン値Gと、注目点21の画素値Iとを取得し(図15のステップS63)、(19)式によって表される第2指標値EVAL1を取得する(図13のステップS64)。
【0196】
【数14】

【0197】
なお、注目点21の画素値Iの代わりに、例えば、注目点21に対して画素数などによって定められる所定の近傍領域にある各画素の画素値の平均値などが採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0198】
選択情報取得部13は、取得した第2指標値EVAL1を選択情報24として設定し(図13のステップS65)、選択情報24を選択部15へと供給する。
【0199】
なお、(19)式の第2指標値EVAL1に代えて、基準画像1Aまたは参照画像2Aについての撮影ゲイン値Gまたは信号処理速度などの所定の撮影パラメータのみに基づいて取得される指標値が採用されたとしても、通常、該所定の撮影パラメータとランダムノイズとは相関があることから、本発明の有用性を損なうものではない。
【0200】
撮影ゲイン値Gが大きい場合または信号処理速度が速い場合であって、さらに、注目点21の画素値Iが小さい場合には、画素値Iのうちの信号成分が小さく、ランダムノイズ成分が大きくなり、画素値IのS/N比が小さくなる。
【0201】
従って、(19)式の第2指標値EVAL1のように該所定の撮影パラメータと、注目画素の画素値Iとに基づく第2指標値を用いれば、該所定の撮影パラメータのみに基づいて取得される指標値を用いる場合に比べて、画像の各周波数成分の位相成分の誤差が大きいか小さいかをさらに的確に判定することができる。
【0202】
上述したように、第2指標値は、POC法を用いる対応点探索手法の対応点探索への利用の適性を表わす適性情報になっている。
【0203】
○第2動作モードにおける選択部15の動作:
図14は、また、図12の動作フローのうち第2動作モードにおいて選択部15が行う採用手法27の選択に係る動作フローの1例を示す図でもある。
【0204】
第2動作モードにおける選択情報24が、基準画像1Aまたは参照画像2Aのランダムノイズに影響する所定の撮影パラメータと、注目点21の画素値とに基づいて取得される(19)式の第2指標値EVAL1である場合には、EVAL1が小さいほどPOC法は、ランダムノイズの影響を受けることが少なく、逆に、選択情報24が大きいほど、POC法は、ランダムノイズの影響を強く受けることになる。
【0205】
そこで、第2動作モードに対応した判定基準29としては、例えば、選択情報24が所定の閾値よりも小さいことなどを判定する評価式が採用される。なお、該所定の閾値は、撮影に使用されるカメラ、あるいはレンズなどに応じて適宜設定される。
【0206】
図14に示される第2動作モードの個々の動作フローについては第1動作モードにおける個々の動作フローと同じであるので説明を省略する。
【0207】
選択された採用手法27は、探索部16へと供給されて、注目点21に対応する対応点23の特定に用いられる。
【0208】
上述したように、第2指標値が大きくなるほどPOC法を用いる対応点探索手法による対応点の特定の精度が悪化するが、第2動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、選択情報24として採用される第2指標値に基づいて、選択情報24が所定の閾値よりも小さいときにはPOC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択し、選択情報24が所定の閾値以上であるときにはSAD法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択することができる。
【0209】
従って、第1動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、基準画像1Aと参照画像2Aとの間での対応点探索の精度を向上させることができる。
【0210】
[◎C.第3動作モードにおける選択情報取得部13と選択部15との動作:]
第3動作モードでは、注目手法26として画像の各周波数成分についての位相成分に基づいた相関演算を行うPOC法を用いる手法が採用され、選択情報24としては、当該位相成分の指標値のうち、第1動作モードで使用される第1指標値と、第2動作モードで使用される第2指標値とのそれぞれが採用される。
【0211】
○第3動作モードにおける選択情報取得部13の動作:
図16は、図12の動作フローのうち第3動作モードにおいて選択情報取得部13が行う選択情報24の取得(ステップ30)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0212】
第3動作モードにおいては、選択情報取得部13は、記憶装置46から第3動作モードにおける選択情報24の取得プログラム28(図2)を取得する。
【0213】
ここで、第3動作モードにおける取得プログラム28は、第1モードで使用される第1指標値と、第2モードで使用される第2指標値とのそれぞれを選択情報24として取得する手法を実現させるプログラムである。
【0214】
選択情報取得部13は、先ず、取得プログラム28に基づいて、振幅AF(k1,k2)から、(16)式、(17式)、または(18)式のそれぞれによって表される第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3を取得する(図16のステップS66)。
【0215】
次に、選択情報取得部13は、取得プログラム28に基づいて、画像取得部12から供給される撮影パラメータ1Pおよび基準画像1Aから基準画像1Aが撮影されたときの撮影ゲイン値Gおよび注目点21の画素値Iを取得し(図16のステップS67)、(19)式によって表される第2指標値EVAL1を取得する(図16のステップS68)。
【0216】
選択情報取得部13は、取得した第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3と、第2指標値EVAL1とをそれぞれ選択情報24として設定し(図16のステップS69)、選択情報24を選択部15へと供給する。
【0217】
○第3動作モードにおける選択部15の動作:
図17および図18はそれぞれ、図12の動作フローのうち第3動作モードにおいて選択部15が行う採用手法27の選択(ステップ40)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0218】
第1動作モードの説明欄において既述したように、第1指標値が所定の閾値よりも大きいほどPOC法は、ランダムノイズの影響を受けることが少なく、逆に、第1指標値が小さいほど、POC法は、ランダムノイズの影響を強く受けることになる。
【0219】
また、(19)式の第2指標値EVAL1が小さいほどPOC法は、ランダムノイズの影響を受けることが少なく、逆に、選択情報24が大きいほど、POC法は、ランダムノイズの影響を強く受けることになる。
【0220】
そこで、第3動作モードに対応した判定基準29としては、例えば、第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3と、第2指標値EVAL1とを、それぞれについての所定の各閾値を用いる各評価式によって順次に比較する判定アルゴリズムなどが採用される。
【0221】
先ず、図17に示される処理手順においては、選択情報24のうち第2指標値EVAL1が、判定基準29のうち、第2指標値EVAL1が所定の閾値よりも小さいか否かを比較する評価式を満たすか否か、すなわち、第2指標値EVAL1が所定の基準を満たすか否かが判定される(ステップS84)。
【0222】
ステップS84での判定の結果、第2指標値EVAL1が所定の閾値よりも小さい、すなわち、第2指標値EVAL1が所定の基準を満たす場合には、処理はステップS86へと移されて、選択部15は、POC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択する。
【0223】
また、ステップS84での判定の結果、第2指標値EVAL1が所定の閾値以上、すなわち、第2指標値EVAL1が所定の基準を満たさない場合には、処理は、ステップS85に移される。
【0224】
ステップS85においては、選択情報24のうち第1指標値が、判定基準29のうち、第1指標値が所定の閾値よりも大きいか否かを比較する評価式を満たすか否か、すなわち、第1指標値が所定の基準を満たすか否かが判定される。
【0225】
ステップS85での判定の結果、第1指標値が所定の閾値よりも大きい、すなわち、第1指標値が所定の基準を満たす場合には、処理はステップS86へと移されて、選択部15は、POC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択する。
【0226】
ステップS85での判定の結果、第1指標値が所定の閾値以下、すなわち、第1指標値が所定の基準を満たさない場合には、処理はステップS87に移され、選択部15は、SAD法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択する。
【0227】
ステップS86またはS87における採用手法27の選択が終了すると、選択部15は、採用手法27を探索部16へと供給し、処理は、ステップS50(図12)へと戻されて、探索部16は採用手法27に基づいて注目点21に対応する対応点23を特定する。
【0228】
上述したように図17に示される選択部15の動作フローは、POC法と、SAD法とをそれぞれ用いる対応点探索手法のうちPOC法を用いる対応点探索手法をできるだけ優先して使用するという考え方に基づいた動作フローである。
【0229】
一方、図18に示される処理手順においては、選択情報24のうち第2指標値EVAL1が、判定基準29のうち、第2指標値EVAL1が所定の閾値よりも小さいか否かを比較する評価式、すなわち、所定の基準を満たすか否かが判定される(ステップS88)。
【0230】
ステップS88での判定の結果、第2指標値EVAL1が所定の閾値以上、すなわち、第2指標値EVAL1が所定の基準を満たさない場合には、処理はステップS91へと移されて、選択部15は、SAD法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択する。
【0231】
また、ステップS88での判定の結果、第2指標値EVAL1が所定の閾値より小さい、すなわち、第2指標値EVAL1が所定の基準を満たす場合には、処理は、ステップS89に移される。
【0232】
ステップS89では、選択情報24のうち第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3が、判定基準29のうち、第2指標値が所定の閾値よりも大きいか否かを比較する評価式、すなわち、所定の基準を満たすか否かが判定される。
【0233】
ステップS89での判定の結果、第1指標値が所定の閾値以下、すなわち、第1指標値が所定の基準を満たさない場合には、処理はステップS91へと移されて、選択部15は、SAD法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択する。
【0234】
ステップS89での判定の結果、第1指標値が所定の閾値より大きい、すなわち、第1指標値が所定の基準を満たす場合には、処理はステップS90に移され、選択部15は、POC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択する。
【0235】
ステップS90またはS91における採用手法27の選択が終了すると、選択部15は、採用手法27を探索部16へと供給し、処理は、ステップS50(図12)へと戻されて、探索部16は採用手法27に基づいて注目点21に対応する対応点23を特定する。
【0236】
上述したように図18に示される選択部15の動作フローは、POC法と、SAD法とをそれぞれ用いる対応点探索手法のうちSAD法を用いる対応点探索手法をできるだけ優先して使用するという考え方に基づいた動作フローである。
【0237】
上述したように、第1指標値と第2指標値とを順次個別に判定する判定アルゴリズムである判定基準29を用いれば、POC法を用いる対応点探索手法の対応点探索への利用の適性を、2つの異なる指標値に基づいてより正確に評価することができるので、POC法とSAD法とのそれぞれに基づく対応点探索手法のうち注目点21についての対応点探索に適した手法をより的確に選択することができる。
【0238】
従って、第3動作モードにおける情報処理装置200Aによれば複数の画像間での対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0239】
また、第1指標値と第2指標値とを順次個別に判定する判定アルゴリズムにおいては、POC法と、SAD法とをそれぞれ用いる各対応点探索手法の優先度を柔軟に変更することができるので、例えば、処理速度を探索精度よりも優先させるなど対応点23の探索結果を使用するアプリケーションの要求に合わせて複数の画像間での対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0240】
なお、図17および図18に示された動作フローにおいては、先ず、第2指標値が評価され、次に第1指標値が評価されているが、第1指標値と第2指標値との評価の順序を入れ替えた動作フローが採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0241】
◎第3動作モードの変形例について:
次に、第3動作モードの変形例について説明する。該変形例では、選択情報24として第3動作モードで用いられた第1指標値と第2指標値とに基づいて取得される第3指標値が用いられる。
【0242】
○第3動作モードの変形例における選択情報取得部13の動作:
図19は、図12の動作フローのうち上述した第3動作モードの変形例において選択情報取得部13が行う選択情報24の取得(ステップ30)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0243】
図19に示される動作フローにおいて、選択情報取得部13は、記憶装置46から第3動作モードの変形例における選択情報24の取得プログラム28(図2)を取得する。
【0244】
ここで、第3動作モードの変形例における取得プログラム28は、第1モードで使用される第1指標値と、第2モードで使用される第2指標値とに基づいて取得される第3指標値を選択情報24として取得する手法を実現させるプログラムである。
【0245】
選択情報取得部13は、先ず、取得プログラム28に基づいて、振幅AF(k1,k2)から、(16)式、(17式)、または(18)式のそれぞれによって表される第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3を取得する(図19のステップS71)。
【0246】
次に、選択情報取得部13は、取得プログラム28に基づいて、画像取得部12から供給される撮影パラメータ1Pまたは2Pと、基準画像1Aとから基準画像1Aまたは参照画像2Aが撮影されたときの撮影ゲイン値Gおよび注目点21の画素値Iを取得し(図19のステップS71)、(19)式によって表される第2指標値EVAL1を取得する(図19のステップS73)。
【0247】
選択情報取得部13は、取得した第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3と、第2指標値EVAL1とから、例えば、(20)式によって第3指標値EVAL2を取得する(図19のステップS74)。
【0248】
【数15】

【0249】
(20)式に示される第3指標値EVAL2では第1指標値としてAMP1が採用された例であり、(20)式に示される第3指標値EVAL2の値が大きいほどPOC法を用いた対応点探索手法が適していることになる。
【0250】
次に選択情報取得部13は、取得した第3指標値EVAL2を選択情報24として設定し(図19のステップ75)、選択情報24を選択部15へと供給する。
【0251】
○第3動作モードの変形例における選択部15の動作:
第3動作モードの変形例における選択部15が行う採用手法27の選択に係る動作フローとしては、例えば、第1動作モードで採用された図14に示される動作フローが採用され、選択部15は、所定の閾値を用いた不等式で表わされる評価式である判定基準29を用いて、選択情報取得部13から供給される選択情報24を判定することによって2以上の対応点探索手法のうち1の手法を採用手法27として選択する。
【0252】
第3動作モードの変形例における採用手法27の選択手法によれば、注目手法26であるPOC法を用いた対応点探索手法についての対応点探索への利用の適性を、異なる複数の指標値に基づいて、これら各指標値の相互関係をも考慮しつつ判定できるので、採用手法27をより的確に選択することが可能となる。
【0253】
従って、第3動作モードの変形例における情報処理装置200Aによれば、複数の画像間での対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0254】
ここで、第1指標値または第2指標値に対して非線形に設定される閾値を、上述した第3動作モードの変形例における判定基準29の閾値として採用する手法について説明する。
【0255】
図11は、非線形な閾値を用いた採用手法27の選択の1例を説明する図である。
【0256】
図11の境界59は、(20)式に示される第3指標値EVAL2における変数である第1指標値AMP1および第2指標値EVAL1のそれぞれを座標軸とする座標空間を非線形に区分する境界であり、境界59によって該座標空間は、領域55と領域56とに分けられている。
【0257】
図11に示されるように、領域55における点57では第1指標値AMP1および第2指標値EVAL1がともに大きく、逆に、領域56における点58では、第1指標値AMP1および第2指標値EVAL1がともに小さい。
【0258】
より具体的には、点57は、例えば、撮影ゲイン値Gおよび振幅AF(k1,k2)がともに大きい場合に対応し、点58は、例えば、撮影ゲイン値Gおよび振幅AF(k1,k2)がともに小さい場合に対応する。
【0259】
ここで、第1動作モードおよび第2動作モードの説明において既述したように、第1指標値AMP1が大きいほど、また、第2指標値EVAL1が小さいほど、POC法はランダムノイズの影響を受けることが少なく、採用手法27としてはPOC法を用いる対応点探索手法が適している。
【0260】
従って、点57および58においては、第1指標値AMP1に着目した場合と、第2指標値EVAL1に着目した場合とでは、POC法を用いる対応点探索手法の適性に対する評価結果が相反する結果となる。
【0261】
この場合に、例えば、境界59上の各点に対応する第1指標値AMP1および第2指標値EVAL1を(20)式に代入して得られる各第3指標値EVAL2を各閾値として採用し第3動作モードの変形例に係る採用手法27の選択を行えば、領域55に属する各点についてはPOC法を用いる対応点探索手法を採用手法27として選択し、領域56に属する各点についてはSAD法を採用手法27として選択することができる。
【0262】
なお該手法における各閾値は、第1指標値AMP1および第2指標値EVAL1に対して非線形に設定されるので、例えば、第2指標値EVAL1の各値と、各閾値との非線形関係を予め取得して記憶装置46に記憶しておき、採用手法27の選択の実行時に用いることによって該手法を行うことができる。
【0263】
このように第3動作モードの変形例において、非線形な閾値を採用すれば、特定された対応点23を用いるアプリケーションの要求仕様に対してさらに柔軟、かつ、的確に採用手法27を選択することが可能となり、複数の画像間での対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0264】
[◎D.第4動作モードにおける選択情報取得部13と選択部15との動作:]
第4動作モードでは、注目手法26として、画像の各周波数成分についての位相成分に基づいた相関演算を行うPOC法を用いる手法と、基準画像1Aと参照画像2Aとのそれぞれの画素値の差分に基づいた相関演算を行うSAD法を用いる手法との2つの手法が採用される。
【0265】
また、当該2つの手法のそれぞれについての選択情報24として、POC法を用いる対応点探索手法に対しては第1動作モードで使用される第1指標値が採用され、SAD法を用いる対応点探索手法に対しては基準ウィンドウ51のうち注目点21を内包する所定の領域におけるコントラストを表わす情報であるコントラスト値が採用される。
【0266】
SAD法を用いる対応点探索手法においては、通常、該コントラスト値が大きいほど対応点探索の精度が高くなるので、該コントラスト値は、SAD法を用いる対応点探索手法の利用の適性を表わす適性情報である。
【0267】
○第4動作モードにおける選択情報取得部13の動作:
上述した第1指標値と該コントラスト値とは、例えば、第3動作モードで説明した図17などの動作フローと同様の動作フローに従って選択部15によって個別に評価されて採用手法27の判定に用いられたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0268】
また、第3動作モードの変形例で説明したように、第1指標値と該コントラスト値とから第4指標値が取得されて、図14の動作フローと同様の動作フローに従って選択部15によって第4指標値が評価されて採用手法27の判定に用いられたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0269】
ここでは、第1指標値と該コントラスト値とから第4指標値が取得される場合の選択情報取得部13の動作について説明する。
【0270】
図20は、図12の動作フローのうち第4動作モードにおいて選択情報取得部13が行う選択情報24の取得(ステップ30)に係る動作フローの1例を示す図である。
【0271】
第4動作モードにおいては、選択情報取得部13は、記憶装置46から第4動作モードにおける選択情報24の取得プログラム28(図2)を取得する。
【0272】
ここで、第4動作モードにおける取得プログラム28は、第1動作モードで使用される第1指標値と、基準ウィンドウ51のうち注目点21を内包する所定の領域におけるコントラスト値とに基づいて取得される第4指標値を選択情報24として取得する手法を実現させるプログラムである。
【0273】
選択情報取得部13は、先ず、取得プログラム28に基づいて、振幅AF(k1,k2)から、(16)式、(17式)、または(18)式のそれぞれによって表される第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3を取得する(図20のステップS76)。
【0274】
次に、選択情報取得部13は、取得プログラム28に基づいて、例えば、基準ウィンドウ51の各画素について、当該各画素と、当該各画素から所定の画素間隔離れた各画素とのそれぞれの差分の絶対値の和を求めてコントラスト値として採用することなどによってコントラスト値を取得する(図20のステップS77)。
【0275】
ここで、採用手法27としては、第1指標値が大きいほどPOC法を用いる対応点探索手法が適している。また、該コントラスト値が大きいほどSAD法を用いる対応点探索手法が適している。
【0276】
POC法を用いる対応点探索手法と、SAD法を用いる対応点探索手法とから採用手法27が選択される場合には、該コントラスト値が小さいほどPOC法を用いる対応点探索手法が採用手法27に適していることになるので、該コントラスト値は、(20)式における第2指標値EVAL1と同様に取り扱うことができる。
【0277】
従って、例えば、(20)式における第2指標値EVAL1に代えて該コントラスト値を代入することによって取得される第4指標値を用いることによって、第3動作モードの変形例における選択手法と同様の手法によって、選択部15は、採用手法27を選択することができる。
【0278】
そこで、選択情報取得部13は、取得した第1指標値AMP1、AMP2、またはAMP3と、該コントラスト値とのそれぞれを、それぞれについての所定の基準によって正規化して、正規化された第1指標値およびコントラスト値を用いて、例えば、(20)式と同様の演算によって第4指標値を取得する(図20のステップS78)。
【0279】
なお、ステップS78における正規化の基準を適宜調整することによって、POC法を用いる対応点探索手法と、SAD法を用いる対応点探索手法との採用手法27としての採用され易さを調整することができる。
【0280】
次に選択情報取得部13は、取得した第4指標値を選択情報24として設定し(図20のステップ79)、選択情報24を選択部15へと供給する。
【0281】
○第4動作モードにおける選択部15の動作:
上述したように、第4指標値が大きいほど、すなわち、第1指標値が大きく、かつ、コントラスト値が小さいほど、POC法を用いた対応点探索手法が採用手法27として適していることになる。
【0282】
また、第4指標値が小さいほど、すなわち、第1指標値が小さく、かつ、コントラスト値が大きいほど、SAD法を用いる対応点探索手法が採用手法27として適していることになる。
【0283】
従って、第4動作モードにおける選択部15は、第3動作モードの変形例において説明した手法と同様の手法によって採用手法27を選択することができる。
【0284】
また、第1指標値に係る判定結果と、コントラスト値に係る判定結果とが競合する場合であっても、例えば、図11を用いて説明した手法と同様の手法によって、該競合関係を調整することができる。
【0285】
なお、正規化することによって、第1評価手法と、第2評価手法との大小関係を直接比較することもできるので、第3動作モードにおいて説明した判定手法と同様の手法によって選択部15が採用手法27を選択しても良い。
【0286】
上述したように、第4動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、POC法を用いる対応点探索手法と、SAD法を用いる対応点探索手法とについて選択情報24をそれぞれ設定することができ、それぞれの選択情報24を併用して、POC法を用いる対応点探索手法と、SAD法を用いる対応点探索手法とのうちから1つの手法を対応点探索に用いられる採用手法27として採用することができる。
【0287】
従って、第4動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、複数の画像間での対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0288】
以上に説明したように、上述した各動作モードにおける情報処理装置200Aによれば、基準画像1Aと参照画像2Aとのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報24であって、2以上の候補手法25のうち少なくとも一部の対応点探索手法である注目手法26について、基準画像1Aの注目点21に対応する対応点23を参照画像2Aにおいて特定する対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっている選択情報24に基づいて、2以上の候補手法25のうちの1つが選択されて対応点探索に用いられるので、基準画像1Aと参照画像2Aとの間での対応点探索の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0289】
100A 情報処理システム
200A 情報処理装置
300 ステレオカメラ
1A 基準画像
2A 参照画像
1P,2P 撮影パラメータ
21 注目点
22,22s,22e 探索基準点
23 対応点
24 選択情報
25 候補手法
26 注目手法
27 採用手法
28 取得プログラム
29 判定基準
31 基準カメラ
32 参照カメラ
49 信号線
51 基準ウィンドウ
52,52s,52e 参照ウィンドウ
53 探索ウィンドウの重心
54 分割領域
DL データ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対応する画像内容を含んだ基準画像と参照画像とを取得する画像取得手段と、
前記基準画像に注目点を設定する設定手段と、
前記基準画像と前記参照画像とのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報に基づいて、2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択する選択手段と、
選択された1つの対応点探索手法による探索結果を用いて、前記注目点の前記参照画像上の対応点を特定する探索手段と、
を備え、
前記選択情報は、前記2以上の対応点探索手法のうち少なくとも一部の対応点探索手法について、前記基準画像と前記参照画像とを対象とする対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された情報処理装置であって、
前記選択手段は、前記注目点毎に前記2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された情報処理装置であって、
前記探索手段は、
前記2以上の対応点探索手法のそれぞれによって前記対応点の候補を特定する複数の個別探索手段と、
前記複数の個別探索手段によってそれぞれ特定された複数の対応点候補の中から、前記選択情報に基づいて1つを選択することにより、前記対応点を特定する対応点候補選択手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載された情報処理装置であって、
前記探索手段は、
前記2以上の対応点探索手法によって、前記対応点をそれぞれ探索可能な複数の個別探索手段と、
前記複数の個別探索手段のうちの1つの個別探索手段を前記選択情報に基づいて選択的に能動化することにより、前記1つの個別探索手段に前記対応点を探索させる選択的能動化手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、
(1)前記2以上の対応点探索手法は、前記基準画像と前記参照画像との各周波数成分についての位相成分の相関演算を用いる位相型探索手法を含み、
(2)前記選択情報は、前記位相成分の指標値であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載された情報処理装置であって、
前記指標値が所定の条件を満たすときに、前記位相型探索手法が選択されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載された情報処理装置であって、
前記指標値は、前記各周波数成分についての振幅の大きさを表わす値であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項5または請求項6に記載された情報処理装置であって、
前記指標値は、前記基準画像のランダムノイズに影響する所定の撮影パラメータの値に基づいて取得されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載された情報処理装置であって、
前記指標値は、前記撮影パラメータの値と、前記基準画像における前記注目点の画素値とに基づいて取得される値であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載された情報処理装置であって、
前記撮影パラメータは、前記基準画像または前記参照画像が撮影されたときの撮影ゲイン値であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか1つの請求項に記載された情報処理装置であって、
(1)前記2以上の対応点探索手法は、前記基準画像と前記参照画像とのそれぞれの画素値の差分を用いる差分型探索手法を含み、
(2)前記選択情報は、前記基準画像または前記参照画像の所定の領域におけるコントラストを表わす情報であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置に搭載されたコンピュータにおいて実行されることにより、当該情報処理装置を請求項1ないし請求項11のいずれか1つの請求項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
互いに対応する画像内容を含んだ基準画像と参照画像とを取得する画像取得工程と、
前記基準画像に注目点を設定する設定工程と、
前記基準画像と前記参照画像とのうち少なくとも一方の画像特性を反映する選択情報に基づいて、前記2以上の対応点探索手法のうちの1つを選択する選択工程と、
選択された1つの対応点探索手法による探索結果を用いて、前記注目点の前記参照画像上の対応点を特定する探索工程と、
を備え、
前記選択情報は、前記2以上の対応点探索手法のうち少なくとも一部の対応点探索手法について、前記基準画像と前記参照画像とを対象とする対応点探索への利用の適性を表現した適性情報となっていることを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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