説明

情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、印刷対象の文書データから用紙サイズ内に収まる印刷データを生成して印刷させる情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体に関する。
【解決手段】コンピュータPcは、プリンタドライバ12が、アプリケーション11から受け取った印刷対象の文書データの文書領域と用紙の印字領域を比較して、該印刷文書データが該印字領域内に収まるか判定し、該判定結果に基づいて該印刷文書データを該印字領域内に収めるデータ加工を行い、印刷データに変換してプリンタに送信する。したがって、ページサイズの概念をもたないHTML等の文書であっても、文書データの全てを、ユーザが指定した用紙サイズの印刷用紙に印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、印刷対象の文書データから印刷対象の用紙サイズ内に収まる印刷データを生成して印刷させる情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の情報処理装置がその搭載するアプリケーションで作成されたり、アプリケーションで取得された文章、画像、図形等の文書を、プリンタ、複合装置、複写装置等の画像形成装置で印刷させる場合、該画像形成装置で解釈可能な印刷データに変換して、該画像形成装置で該印刷データに基づいて用紙に印刷出力する。
【0003】
この場合、一般的には、情報処理装置が、該画像形成装置に対応したプリンタドライバを搭載して、該プリンタドライバが、情報処理装置のディスプレイに印刷設定画面を表示し、ユーザによって該印刷設定画面で用紙サイズ、印字領域等の印刷設定の設定操作が行われると、該設定された印刷設定をアプリケーションに通知して、アプリケーションが、該印刷設定に応じて文書設定を変更して変更後の文書データを印刷対象の文書データとしてプリンタドライバに渡す。そして、プリンタドライバは、アプリケーションから受け取った文書データを印刷先の画像形成装置の解釈できる形式のPDL(Page Description Language)の印刷データに変換して画像形成装置に送信して、該画像形成装置で印刷処理する。
【0004】
ところが、用紙に印刷する場合、該用紙に対してデータの印刷が可能な印字領域と印刷されない印刷不可能領域があり、印刷データがこの印字領域からはみ出すと、印刷データのうち該はみ出したデータ部分は、印刷されないこととなる。
【0005】
そこで、従来、用紙の左側から行頭までの空白の長さ識別して、該空白の長さに基づいて印刷データを行頭側にシフトして印刷することで、右側のはみ出して印刷されない印刷データを削減するページプリンタが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平3−254971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術にあっては、印刷対象の文書データを印刷用紙の印字領域内に確実かつ適切に印刷する上で、なお、改良の必要があった。
【0008】
すなわち、上記従来技術にあっては、単に、コンピュータ等の情報処理装置から送られてきた印刷データを用紙の左側にシフトして、該印刷データの右側のはみ出し部分が削除されるのを抑制しているのみであるため、印刷データのデータサイズが用紙の印字領域よりも大きいときには、対応することができず、印刷データが欠落した状態で印刷されてしまう。例えば、プリンタドライバがユーザによって設定された印刷用紙サイズと印字領域等の印刷設定をアプリケーションに正確に通知してもアプリケーションからプリンタドライバに渡された印刷対象の文書データのデータサイズが用紙サイズよりも大きいと、印字領域からはみ出した部分は、印刷データから欠落して印刷されない結果となる。このような問題は、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)文書のようにページサイズの概念を持たない文書を表示するブラウザから文書データを取得して印刷データとして画像形成装置に送る場合や画像形成装置にセットされている用紙の用紙サイズが印刷設定で指定された用紙サイズよりも小さいサイズの場合等に発生し、従来技術では、このような場合に対応することができない。
【0009】
そこで、本発明は、印刷対象の文書データの全てを印刷用紙に確実かつ適切に印刷することのできる情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明の情報処理装置は、アプリケーションから受け取った印刷対象の文書データを印刷データに変換して画像形成装置に送信する情報処理装置において、前記文書データを印刷する用紙サイズを決定させる用紙サイズ決定手段と、前記アプリケーションから受け取った文書データの文書幅と文書長さからなる文書データサイズを認識して該文書データサイズと前記用紙サイズ決定手段で決定された用紙サイズの用紙の印字領域を比較して該文書データが該印字領域内に収まるか判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて該文書データを該印字領域内に収めるデータ加工を行うデータ加工手段とを備えていることにより、上記目的を達成している。
【0011】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記情報処理装置は、前記画像形成装置に応じた所定の用紙サイズを文書成型用用紙サイズとして前記アプリケーションに通知して前記印刷対象の文書データとして該文書成型用用紙サイズに応じた文書データを成型させるサイズ通知手段をさらに備えていてもよい。
【0012】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記サイズ通知手段は、前記文書成型用用紙サイズとして、前記画像形成装置で印刷可能な最大の用紙サイズを通知してもよい。
【0013】
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記情報処理装置は、前記画像形成装置から該画像形成装置で利用可能な用紙サイズを取得する用紙サイズ取得手段を備え、前記用紙サイズ決定手段は、該用紙サイズ取得手段の取得した用紙サイズから前記印刷に利用する用紙サイズを決定させ、または/及び、前記サイズ通知手段は、該用紙サイズ取得手段の取得した用紙サイズに基づいて前記文書成型用用紙サイズを通知してもよい。
【0014】
また、例えば、請求項5に記載するように、前記判定手段は、前記文書データサイズとして、前記アプリケーションから受け取った文書データの最大の文書幅と最大の文書長さの文書データサイズを認識してもよい。
【0015】
さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記データ加工手段は、前記文書データを前記印字領域に収まる最大サイズに縮小してもよい。
【0016】
請求項7記載の印刷文書調整処理プログラムは、コンピュータに請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報処理装置として機能させることにより、上記目的を達成している。
【0017】
請求項8記載の記録媒体は、請求項7記載の印刷文書調整処理プログラムを記録したことにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アプリケーションから受け取った文書データの文書データサイズと印刷対象の用紙の印字領域を比較して、該文書データが該印字領域内に収まるか判定し、該判定結果に基づいて該文書データを該印字領域内に収めるデータ加工を行うので、印刷対象の文書データのうち印刷用紙の印字領域からはみ出したデータ部分が印刷対象から欠落してしまうことを適切に防止して、該文書データの全てを印刷用紙に確実かつ適切に印刷することができ、印刷性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0020】
図1〜図9は、本発明の情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の情報処理装置、印刷文書調整処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した印刷システム1のシステム構成図である。
【0021】
図1において、印刷システム1は、LAN(Local Area Network)等の所定のネットワークNWにコンピュータ(情報処理装置)Pcとプリンタ(画像形成装置)Pr等が接続されている。なお、図1では、コンピュータPcとプリンタPrが、1ずつ接続されている状態を示しているが、コンピュータPc及びプリンタPrは複数台接続されていてもよい。また、このネットワークNWは、図示しないが、インターネット等の外部ネットワークに接続されていてもよい。
【0022】
コンピュータPcは、通常のハードウェア構成及びソフトウェア構成のパーソナルコンピュータ等が用いられており、図2に示すように、Windows(登録商標)等のOS(Operating System)上に搭載されているアプリケーション(アプリケーションソフトウェア)11とプリンタドライバ12及び通信部13を備えている。
【0023】
アプリケーション11は、OS上に搭載された電子メール送受信アプリケーション、文書作成ソフトウェア、図形作成ソフトウェア、表計算ソフトウェア、データベースソフトウェア及びウェブブラウザ等であり、作成されたり、インターネット等を介して取得した文書の印刷命令が発行されて、印刷設定が行われると、OSを通してプリンタドライバ12に文書データ(描画情報)と印刷設定データを渡す。
【0024】
コンピュータPcは、CD(Compact Disc)、MO(光磁気ディスク)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、メモリカード、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録されている印刷文書調整処理プログラム及び必要なデータが図示しない読取部によって読み取られて図示しないハードディスク等の不揮発性記憶部にプリンタドライバ12として格納されて実行されることで、または、プリンタドライバ12に組み込まれた状態や単独で格納されて実行されることで、本発明の印刷文書調整処理を実行する情報処理装置として構築される。
【0025】
プリンタドライバ12としては、文書データからネットワークNWに接続されている各プリンタPrに対応するプリンタドライバ、すなわち、そのプリンタPrが解釈して実際の印刷画像(ビデオデータ)を生成するために必要な情報のコマンド(プリンタ用の印刷データ)を生成するプリンタドライバがインストールされており、プリンタドライバ12は、アプリケーション11から渡された文書データと印刷設定データから印刷先のプリンタPrに対応する印刷データを生成して、通信部13からネットワークNWを介してプリンタPrに送信する。特に、プリンタドライバ12は、印刷設定部21と描画部22を有し、描画部22は、印字範囲判定部23とデータ加工部24を有している。
【0026】
印刷設定部(用紙サイズ決定手段)21は、アプリケーション11から印刷要求があると、印刷設定画面をコンピュータPcのディスプレイに表示し、該印刷設定画面でユーザによって設定された印刷設定、特に、印刷用紙サイズ、印字領域(印刷可能領域)等の設定を受け取る。また、印刷設定部21は、通信部13を介して印刷先のプリンタPrから該プリンタPrで利用可能な印刷用紙サイズと印字領域の情報を取得して、印刷設定画面等に表示し、印刷先のプリンタPrで利用可能な印刷用紙サイズと印刷領域をユーザが選択設定できるようにして、該印刷設定画面等で設定された印刷用紙サイズと印字領域を印刷設定内容として受け取る。
【0027】
描画部22は、アプリケーション11から受け取った印刷対象の文書データから印刷先のプリンタPrの解釈できる印刷データ(描画データ)を生成する。
【0028】
描画部22の印字範囲判定部(判定手段)23は、アプリケーション11から受け取った印刷対象の文書データが印刷設定部21の取得した印刷設定内容の印刷用紙サイズの印字領域内に印刷可能な大きさであるか否かを判定し、データ加工部(データ加工手段)24は、印刷対象の文書データが印刷設定内容の印刷用紙サイズの印字領域よりも大きいときに、該文書データを該印字領域に収まる大きさに加工する。
【0029】
そして、描画部22は、このデータ加工部24が印刷対象の文書データの加工を行ったときには、加工後の文書データを印刷データに変換する。
【0030】
通信部13は、上記ネットワークNWに接続され、ネットワークNW上の機器(プリンタPr)との間で、印刷データ、コマンド等の送受信を行う。特に、プリンタドライバ12の印刷設定部21からの要請に応じて、所定のコマンドを用いてネットワークNW上のプリンタPrから該プリンタPrで現在利用可能な印刷用紙サイズと印字領域を取得して、プリンタドライバ12に渡す。
【0031】
上記プリンタPrは、例えば、レーザプリンタ等が用いられており、図3に示すように、印字部31、記憶部32及び通信部33等を備えている。プリンタPrは、図示しないが、コントローラを備えており、コントローラは、プリンタPr全体の動作を制御して、そのとき設定されている制御モード及びコンピュータPcからの制御コードに従って、コンピュータPcからの印刷データを、ビデオデータに変換して印字部31に出力して、印字部31に印刷処理を行わせるとともに、通信部33を介してコンピュータPcと通信する。
【0032】
通信部33は、上記ネットワークNWに接続されており、ネットワーク上のホストであるコンピュータPcと通信して、印刷データの受信やコマンドの送受信を行い、また、コンピュータPcからの問い合わせを受け付けて、現在利用可能な印刷用紙サイズと印字領域を通知する。
【0033】
記憶部32は、ハードディスク等で構成され、各種情報、特に、通信部33で受信した印刷データや該プリンタPrで利用可能な印刷用紙サイズと印字領域の一覧データが格納されている。
【0034】
印字部31は、所定の印刷方式、例えば、電子写真方式によって画像を用紙に印刷出力し、電子写真方式の場合、回転駆動される感光体の周囲に、帯電チャージャ、書込部、現像部、転写チャージャ、クリーニング部等を備えている。印字部31は、電子写真方式の場合、回転駆動される感光体を帯電チャージャにより一様に帯電させて、一様に帯電した感光体に書込部により画像データに基づいて変調したレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。印字部31は、該静電潜像の形成された感光体に現像部でトナーを供給してトナー画像を形成して、感光体上の画像を転写紙に転写させ、トナー画像の転写の完了した用紙を定着部で用紙に定着させることで画像形成する。
【0035】
そして、プリンタPrは、その印字部31で印刷する用紙を用紙トレイに収納しており、この用紙トレイを、1つまたは複数備えている。各用紙トレイは、それぞれ1種類の用紙サイズの用紙を収納するが、その収納する用紙サイズは、適宜変更することができる。したがって、プリンタPrは、複数の用紙トレイを備えているときには、同時に、複数種類の用紙サイズの用紙を搭載することができ、上記記憶部32は、この用紙トレイに収納可能な用紙サイズと印字領域の一覧データを格納している。
【0036】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のコンピュータPcは、搭載するアプリケーション11で作成された文書データやネットワークNWを介してインターネット上に公開されているウェブホームページ等からアプリケーション11であるウェブブラウザで閲覧しているHTML文書等の印刷対象の文書データを取得してネットワークNW上のプリンタPrで該文書データに必要な加工を施して全て適切に用紙に印刷する。
【0037】
すなわち、プリンタPrは、図4に示すように、印字部31で印刷データを指定の用紙サイズの用紙Pに印刷する際、その用紙Pへの印刷には、該用紙Pに対して印字可能な領域である印字領域PAと、印字不可能な領域である余白領域WAと、がある。
【0038】
一方、図5に示すように、コンピュータPcにおいては、そのアプリケーション11で作成されたり、ホームページ等から取得された印刷対象の文書データDmに対して、一般的に、印刷設定に応じてアプリケーション11で文書設定し、この印刷対象の文書データDmには、文書幅Dhと文書長さDlからなる実際の文書領域(文書データサイズ)Dsがある。
【0039】
そして、プリンタドライバ12は、この印刷対象の文書データDmをプリンタPrが解釈できる印刷データに変換してプリンタPrに送り、プリンタPrで用紙Pに印刷出力する。
【0040】
したがって、印刷対象の文書データDmの文書幅DhがプリンタPrでの用紙Pへの印字領域PAの印字幅PAh以下であり、文書データDmの文書長さDlが印字領域PAの印字長さPAl以下であると、印刷対象の文書データDmに欠落を生じさせることなく、適切に印刷することができる。
【0041】
そこで、本実施例のプリンタドライバ12は、図6に示すように、アプリケーション11から印刷要求があると、その印刷設定部21が、印刷設定画面をコンピュータPcのディスプレイに表示して、ユーザによる印刷設定、特に、用紙サイズと印字領域の設定を促して、設定された印刷設定、特に、用紙サイズと印字領域を取得して保持し(ステップS101)、また、該印刷要求の印刷先のプリンタPrにおいて印刷可能な最大サイズの用紙サイズ(実際には、用紙サイズと印字領域)の情報を、文書成型用用紙サイズとして、印刷要求元のアプリケーション11に渡す(ステップS102)。この印刷先のプリンタPrの印刷可能最大サイズの用紙サイズの情報は、予めコンピュータPcが保持しているか、所定タイミングに通信部13を介してプリンタPrから取得してもよい。
【0042】
また、アプリケーション11に印刷先のプリンタPrの印刷可能な用紙Pの最大サイズを文書成型用用紙サイズとして通知するのは、印刷対象の文書データDmが、HTML等のページの概念のないデータであっても、アプリケーション11からデータの欠落を防止しつつ可能な限り大きな文書データDmを取得するためである。
【0043】
アプリケーション11は、受け取った用紙サイズ(文書成型用用紙サイズ)と該用紙サイズの用紙Pの印字領域等の印刷設定に合わせて、印刷対象の文書データDmの文書幅Dhと文書長さDl等を設定する文書設定(文書成型)を行って、プリンタドライバ12に渡す。このとき、アプリケーション11がウェブブラウザであって、印刷対象の文書データDmがHTML文書であると、通常、HTML文書には、ページの概念がないが、上述のように、プリンタPrの印刷可能な用紙Pの最大サイズが通知されるため、データの欠落を防止しつつ該プリンタPrの最大用紙サイズでの文書幅Dhと文書長さDlの印刷対象の文書データDmをプリンタドライバ12に渡すことができる。
【0044】
次に、プリンタドライバ12は、アプリケーション11から印刷対象の文書データDmを受け取ると(ステップS103)、プリンタドライバ12の描画部22の印字範囲判定部23が、該印刷対象の文書データDmの最大文書幅Dhと最大文書長さDlを求め(ステップS104)、該最大文書幅Dhと該最大文書長さDlが、上記印刷設定で設定された用紙サイズに収まるか、すなわち、該印刷設定で設定された用紙サイズの印字領域PAに収まるか否かを判断する(ステップS105)。具体的には、印字範囲判定部23は、最大文書幅Dhが、印刷設定で設定された用紙サイズの印字領域PAの印字幅PAh以下であるか、最大文書長さDlが、印字領域PAの印字長さPAl以下であるかを判定する。
【0045】
ステップS105で、印刷対象の文書領域Dsの文書データDmが印字領域PA内に収まらないときには、描画部22のデータ加工部24が、印刷対象の文書データDmを印字領域PA内に収まるように縮小加工し(ステップS106)、描画部22が、該縮小加工した印刷対象の文書データDmを印刷データに変換して、該印刷データをプリンタPrに送信する(ステップS107)。プリンタPrは、コンピュータPcから送信されてきた印刷データを用紙Pに印刷出力する(ステップS108)。
【0046】
ステップS105で、印刷対象の文書領域Dsの文書データDmが印字領域PA内に収まるときには、該印刷対象の文書データDmの縮小処理を行うことなく、描画部22が、該文書データDmを印刷データに変換して、該印刷データをプリンタPrに送信し(ステップS107)、プリンタPrが、コンピュータPcから送信されてきた印刷データを用紙Pに印刷出力する(ステップS108)。
【0047】
そして、描画部22のデータ加工部24は、ステップS106における印刷対象の文書データDmの縮小処理においては、印字領域PAに収まる範囲で、最大サイズに印刷対象の文書データDmを縮小する。
【0048】
すなわち、いま、図7に示すように、印刷対象の文書データDmの文書領域Dsが指定用紙サイズの印字領域PAよりも大きい場合、データ加工部24は、該文書データDmを縮小処理して印刷領域PAに収まる大きさに縮小するが、このとき、印刷領域PA以下であって、かつ、最大サイズに縮小する。
【0049】
また、データ加工部24は、この印刷対象の文書データDmの縮小処理において、元の印刷対象の文書データDmの縦横比を維持した状態で縮小する。例えば、いま、図8に示すように、印刷対象の文書データDmが、文書長さDl=200、文書幅Dh=100で、印字領域PAが、印字長さPAl=160、印字幅PAh=80のとき、該文書データDmと該印字領域PAの縦横比が同じであって該文書データDmと該印字領域PAの大小比率が1:0.8であるので、該文書データDmを縦(長さ)Dl及横(幅)Dhにおいてそれぞれ80%縮小すると、印字領域PAの縦(長さ)PAl及び横(幅)PAhの大きさになるので、データ加工部24は、該文書データDmを縦横それぞれ80%の割合で縮小処理する。
【0050】
また、図9に示すように、印刷対象の文書データDmが、文書長さDl=150、文書幅Dh=100で、印字領域PAが、印字長さPAl=160、印字幅PAh=80のときには、縦(長さ)方向においては、該文書データDmの文書長さDlが該印字領域PAの印字長さPAlよりも短く、縮小しなくても印字長さPAl以内に収まるが、横(幅)方向においては、印字対象の文書データDmの文書幅Dh(=100)が印字領域PAの印字幅PAh(=80)よりも広く文字幅Dhと印字幅PAhの比率が1:0.8であるので、80%に縮小する必要がある。ところが、横(幅)方向のみを縮小すると、印刷対象の文書データDmの縦横比が崩れた状態で印刷データに変換されることとなり、印刷イメージが崩れてしまうので、データ加工部24は、印刷対象の文書データDmを縦横それぞれ80%の割合で縮小処理する。
【0051】
このように、本実施例のコンピュータPcは、そのプリンタドライバ12が、アプリケーション11から受け取った印刷対象の文書データDmの文書領域(文書データサイズ)Dsと印刷対象の用紙Pの印字領域PAを比較して、該文書データDmが該印字領域PA内に収まるか判定し、該判定結果に基づいて該文書データDmを該印字領域PA内に収めるデータ加工を行っている。
【0052】
したがって、印刷対象の文書データDmがページサイズの概念をもたないHTML等の文書であっても印字領域PAからはみ出してデータの欠落が発生することを適切に防止して、該印刷対象の文書データDmの全てをユーザが指定した用紙サイズの印刷用紙Pに確実かつ適切に印刷することができ、印刷性能を向上させることができる。
【0053】
また、本実施例のプリンタドライバ12の印刷設定部21は、プリンタPrに応じた用紙サイズを文書成型用用紙サイズとしてアプリケーション11に通知して印刷対象の文書データDmとして該文書成型用用紙サイズに応じた文書データDmを成型させている。
【0054】
したがって、アプリケーション11にプリンタPrに応じた用紙サイズに基づいて文書成型させて印刷対象の文書データDmとして受け取ることができ、印刷対象の文書データDmが印字領域PAからはみ出してデータの欠落が発生することをより一層確実にかつ適切に防止して、印刷性能を向上させることができる。
【0055】
さらに、本実施例のプリンタドライバ12は、プリンタPrで利用可能な最大の用紙サイズを文書成型用用紙サイズとしてアプリケーション11に通知して、文書データDmを成型させている。
【0056】
したがって、ページサイズの概念をもたないHTML等の文書であっても、できる限りサイズの大きい用紙サイズで文書成型させた文書データDmをアプリケーション11から受け取ることができ、文書データDmが印字領域PAからはみ出してデータの欠落が発生することをより一層確実にかつ適切に防止して、印刷性能を向上させることができる。
【0057】
なお、上記説明においては、予めコンピュータPc上に持っているプリンタPrの印刷用紙サイズと印字領域の情報に基づいて印刷設定画面を表示して、該印刷設定画面で、ユーザが印刷設定した印刷用紙サイズと印字領域の情報に応じて印刷対象の文書データDmに対する必要な縮小処理を行って、印字領域PAに収まる印刷データを生成しているが、現在コンピュータPc上に保持している印刷用紙サイズ及び印字領域の情報と印刷先のプリンタPrで利用可能な印刷用紙サイズ及び印字領域とが一致しているとは限らない。
【0058】
そこで、プリンタドライバ12は、所定タイミング、例えば、コンピュータPcの電源が投入されたとき、印刷要求があったとき等に、通信部13を介してネットワークNW上のプリンタPrに対して現在利用可能な印刷用紙サイズと印字領域情報の取得要求を行い、プリンタPrの印刷設定部12が該要求に応じて記憶部32に記憶している印刷用紙サイズと印字領域情報を通信部33及びネットワークNWを介してコンピュータPcに送信してくると、プリンタドライバ12が該プリンタPrから送られてきた現在利用可能な印刷用紙サイズと印字領域情報を印刷設定画面に表示して、ユーザが該印刷設定画面で印刷用紙サイズと印字領域を設定すると、該設定された印刷用紙サイズ及び印字領域に基づいて上記必要な印刷対象の文書データDmの縮小処理を行うようにしてもよい。
【0059】
このようにすると、プリンタPrの現在利用可能な印刷用紙サイズと印字領域に基づいて印刷対象の文書データDmが該印字領域PAに収まるか否かをより一層適切に判定して、該文書データDmの必要な縮小処理を行うことができ、データの欠落をより一層確実に発生させることなく、適切に用紙Pの印字領域PAに印刷することができる。
【0060】
また、プリンタドライバ12は、該プリンタPrから取得した印刷用紙サイズに基づいて文書成型用用紙サイズを通知してもよい。
【0061】
このようにすると、プリンタPrで実際に利用可能な用紙サイズに基づいてアプリケーション11に文書成型させた印刷対象の文書データDmを受け取ることができ、印刷対象の文書データDmが印字領域PAからはみ出してデータの欠落が発生してしまうことをより一層確実かつ適切に防止して、印刷性能を向上させることができる。
【0062】
また、上記説明においては、コンピュータPcのプリンタドライバ12で印刷対象の文書データDmが印字領域PA内に収まるか否かの判定処理と必要な印刷対象の文書データDmの縮小処理を行っている場合について説明したが、この判定処理と縮小処理は、コンピュータPcで行うものに限るものではない。
【0063】
例えば、プリンタがプリンタドライバを搭載しており、コンピュータ等から送信されてきた印刷対象の文書データを印刷データに変換する場合には、このプリンタのプリンタドライバとして上記印刷文書調整処理を実行するプリンタドライバを用い、または、プリンタのプリンタドライバに上記印刷文書調整処理プログラムを組み込んで、あるいは、該印刷文書調整処理プログラムを独立して搭載して、該印刷文書調整処理機能を有するプリンタドライバ、または、該印刷文書調整処理プログラムの組み込まれているプリンタドライバ、あるいは、該印刷文書調整処理プログラムが上記同様に判定処理と必要な縮小処理を行ってもよい。
【0064】
このようにすると、判定処理機能と縮小処理機能を搭載していない通常のプリンタドライバを搭載しているコンピュータ等の情報処理装置からの文書データについても、データの欠落を発生させることなく、全ての文書データを適切に印字領域に印刷することができる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、印刷対象の文書データから印刷対象の用紙サイズ内に収まる印刷データを生成して印刷させる印刷文書調整処理を行うコンピュータ等の情報処理装置、プリンタ、ファクシミリ装置、複合装置等の画像形成装置、該印刷文書調整処理を実行するプリンタドライバ等の印刷文書調整処理プログラム及び該印刷文書調整処理プログラムを記録するCD等の記録媒体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例を適用した印刷システムのシステム構成図。
【図2】図1のコンピュータの要部機能ブロック構成図。
【図3】図1のプリンタの要部ブロック構成図。
【図4】プリンタで印刷される用紙と該用紙への印字領域の説明図。
【図5】図2のプリンタドライバがアプリケーションから受け取る文書データの文書幅と文書長さの説明図。
【図6】図2のプリンタドライバによる印刷文書調整処理を示すフローチャート。
【図7】図2のプリンタドライバによる印刷文書調整処理の説明図。
【図8】文書データの文書領域と用紙の印字領域の縦横比が同じ場合の文書データの縮小処理の説明図。
【図9】文書データの文書領域と用紙の印字領域の縦横比が異なる場合の文書データの縮小処理の説明図。
【符号の説明】
【0068】
1 印刷システム
NW ネットワーク
Pc コンピュータ
Pr プリンタ
11 アプリケーション
12 プリンタドライバ
13 通信部
21 印刷設定部
22 描画部
23 印字範囲判定部
24 データ加工部
31 印字部
32 記憶部
33 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションから受け取った印刷対象の文書データを印刷データに変換して画像形成装置に送信する情報処理装置において、前記文書データを印刷する用紙サイズを決定させる用紙サイズ決定手段と、前記アプリケーションから受け取った文書データの文書幅と文書長さからなる文書データサイズを認識して該文書データサイズと前記用紙サイズ決定手段で決定された用紙サイズの用紙の印字領域を比較して該文書データが該印字領域内に収まるか判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて該文書データを該印字領域内に収めるデータ加工を行うデータ加工手段とを備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記画像形成装置に応じた所定の用紙サイズを文書成型用用紙サイズとして前記アプリケーションに通知して前記印刷対象の文書データとして該文書成型用用紙サイズに応じた文書データを成型させるサイズ通知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記サイズ通知手段は、前記文書成型用用紙サイズとして、前記画像形成装置で印刷可能な最大の用紙サイズを通知することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記画像形成装置から該画像形成装置で利用可能な用紙サイズを取得する用紙サイズ取得手段を備え、前記用紙サイズ決定手段は、該用紙サイズ取得手段の取得した用紙サイズから前記印刷に利用する用紙サイズを決定させ、または/及び、前記サイズ通知手段は、該用紙サイズ取得手段の取得した用紙サイズに基づいて前記文書成型用用紙サイズを通知することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記文書データサイズとして、前記アプリケーションから受け取った文書データの最大の文書幅と最大の文書長さの文書データサイズを認識することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データ加工手段は、前記文書データを前記印字領域に収まる最大サイズに縮小することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報処理装置として機能させることを特徴とする印刷文書調整処理プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の印刷文書調整処理プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−262439(P2008−262439A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105515(P2007−105515)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】