説明

情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法

【課題】ユーザが意図する処理を適切に行うことができる情報処理システムの提供。
【解決手段】情報処理システム1は、表示面にパック領域を設定する操作位置設定手段53と、パック6から赤外線を利用して送信されるID情報と動き情報を受信するカメラ受光手段43と、赤外線の発信位置に基づき表示面を臨む位置から見たときのパックの位置をカメラ検出位置として算出するカメラ検出位置算出手段55と、表示面にパック6が接触したことを検出するパネル発光受光部23と、パネル発光受光部23の検出結果に基づきパック6の接触位置をパネル検出位置として算出するパネル検出位置算出手段56と、カメラ検出位置とパネル検出位置が一致しかつパネル検出位置とパック領域との少なくとも一部が重複する場合ID情報で特定されるパック6に対応しかつ動き情報の動きに基づく処理を行う操作対応処理手段57とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置上にタグを載せ、当該タグを回転させたり押下することで、様々なサービスを得ることができる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1の構成では、4個の光センサが設けられたタグを用い、当該タグが表示画面に接触した状態で、表示画面に表示されたマーカパターンの明度を計測する。そして、得られた明度の計測値に基づいて、タグの表示画面上での位置や回転状態を算出し、この算出結果に応じたインターフェース処理を行っている。また、特許文献1には、マーカパターン上にタグが存在していない状況では、加速度センサやジャイロセンサを用い、各センサからの情報に基づいて、タグの位置や回転を検出してもよい旨も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような構成では、マーカパターンにタグが接触していない状況で、ジャイロセンサからの情報に基づいてタグの回転を検出すると、ユーザが意図しないタイミングでタグの回転に基づく処理が行われてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、ユーザが意図する処理を適切に行うことができる情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、表示面に接触または近接したパックの動きに基づく処理を行う情報処理装置であって、前記表示面の所定位置を、前記パックの操作位置として設定する操作位置設定手段と、前記表示面を臨む位置に設けられ、前記パックから赤外線を利用して送信される、当該パックを特定するパック特定情報および当該パックの動きを表す動き情報を受信する情報受信手段と、前記赤外線の発信位置に基づいて、前記表示面を臨む位置から見たときの前記パックの位置を第1存在位置として算出する第1存在位置算出手段と、前記表示面上および当該表示面に近接した位置のうち少なくとも一方に設けられ、前記表示面に前記パックが接触または近接したことを検出する存在検出手段と、前記存在検出手段の検出結果に基づいて、前記パックの接触位置または近接位置を第2存在位置として算出する第2存在位置算出手段と、前記第1存在位置および前記第2存在位置との距離が所定範囲内であり、かつ、前記第2存在位置と前記操作位置との少なくとも一部が重複すると判断すると、前記情報受信手段で受信したパック特定情報で特定されるパックに対応しかつ動き情報の動きに基づく処理を行う操作対応処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の情報処理システムは、上述の情報処理装置と、前記情報処理装置の表示面に接触または近接させることが可能なパックと、を備え、前記パックは、当該パックの動きを検出する動き検出手段と、前記パックを特定するパック特定情報および前記動き検出手段で検出された動きを表す動き情報を、赤外線を利用して前記情報処理装置へ送信するパック送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の情報処理方法は、表示面に接触または近接したパックの動きに基づく処理を行う情報処理方法であって、前記表示面の所定位置を、前記パックの操作位置として設定する工程と、前記パックから赤外線を利用して送信される、当該パックを特定するパック特定情報および当該パックの動きを表す動き情報を、前記表示面を臨む位置において受信する工程と、前記赤外線の発信位置に基づいて、前記表示面を臨む位置から見たときの前記パックの位置を第1存在位置として算出する工程と、前記表示面に前記パックが接触または近接したことを、前記表示面上および当該表示面に近接した位置のうち少なくとも一方において検出する工程と、この検出結果に基づいて、前記パックの接触位置または近接位置を第2存在位置として算出する工程と、前記第1存在位置および前記第2存在位置との距離が所定範囲内であり、かつ、前記第2存在位置と前記操作位置との少なくとも一部が重複すると判断すると、前記情報受信手段で受信したパック特定情報で特定されるパックに対応しかつ動き情報の動きに基づく処理を行う工程と、を実施することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す模式図。
【図2】前記情報処理システムの概略構成を示すブロック図。
【図3】前記情報処理システムを構成するパックの縦断面図。
【図4】前記パックの横断面図。
【図5】前記情報処理システムにおける遮光スキャンの状態を示す模式図。
【図6】前記情報処理システムの動作を示すフローチャート。
【図7】前記情報処理システムの動作を示すフローチャート。
【図8】前記パックのステータスが非存在状態から存在状態に変更になったときの情報処理システムの動作を示す模式図。
【図9】前記パックのステータスが非回転状態から回転状態に変更になったときの情報処理システムの動作を示す模式図。
【図10】前記パックのステータスが非押下状態から押下状態に変更になったときの情報処理システムの動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の情報処理システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
[情報処理システムの構成]
図1に示すように、情報処理システム1は、タッチパネル装置2を有する情報処理装置3と、タッチパネル装置2の後述する表示面21上に配置可能なパック6とを備える。この情報処理システム1は、パック6や指Fなどの物体が、タッチパネル装置2の表示面21に接触または近接(以下において、パック6や指Fが表示面21に接触または近接している状態をまとめて「表示面21上に存在」と表現する場合がある)した場合、当該接触位置または近接位置(以下において、接触位置または近接位置をまとめて「存在位置」と表現する場合がある)に対応する処理をする。
【0011】
パック6は、ユーザにより操作されるものであり、有底筒状である円錐台状のパック筐体61を備える。このパック筐体61には、図2に示すように、パック送信手段としての複数のパック発光素子621から構成されるパック発光部62と、パック6の動きを検出する動き検出手段63と、パック制御手段64とを備える。
パック発光素子621は、図3および図4に示すように、第1赤外線L1を発光可能な赤外線LEDであり、パック筐体61の円錐台状の軸方向と外周方向の両方に沿って、それぞれ複数ずつ並んで設けられている。また、パック発光素子621は、パック筐体61の底面部611が表示面21に対向するように配置されたときに、第1赤外線L1を斜め上に向かって、すなわち底面部611から離れる方向に向かって発光するように設けられている。
【0012】
動き検出手段63は、図2に示すように、角度センサ65と、押下センサ66とを備える。
角度センサ65は、パック筐体61の円錐台状の外周方向の回転角度を検出し、この検出した回転角度に対応する回転角度情報をパック制御手段64に出力する。
押下センサ66は、パック筐体61の円錐台状の底面部611に設けられている。この押下センサ66は、パック筐体61の底面に対して上下に移動可能な移動子661の移動量を検出し、この検出した移動量に対応する押下情報をパック制御手段64に出力する。なお、押下センサ66で検出される移動量は、パック筐体61が表示面21に対して押し付けられた(押下された)ときの移動量である。
なお、以下において、回転角度情報と押下情報とをまとめて、「パック動き情報」と表現する場合がある。
【0013】
パック制御手段64は、図示しない記憶手段に記憶されたプログラムおよびデータをCPU(Central Processing Unit)が処理することにより構成される。このパック制御手段64は、動き検出手段63からのパック動き情報を取得すると、パック発光素子621の第1赤外線L1を利用して、パック動き情報を出力する。また、パック制御手段64は、パック6を識別するためのパック特定情報としてのID情報を、パック動き情報とともに出力する。
具体的に、パック制御手段64は、パック6の回転方向、回転角度、押下の有無、ID情報に応じて、第1赤外線L1の発光間隔や発光時間を異ならせることで、パック動き情報やID情報を出力する。
ここで、パック制御手段64は、パック6の図示しないスイッチがオンされると、パック6が表示面21に接触しているか否かにかかわらず、第1赤外線L1を利用して、パック動き情報とID情報とを出力する。
【0014】
タッチパネル装置2は、図1に示すように、表示手段20の矩形状である長方形状の表示面21が上を向くテーブル型のものである。表示手段20は、枠体22内に収容されている。また、枠体22には、表示面21上に物体が存在しているか否かを検出するためのパネル発光受光部23が設けられている。さらに、枠体22の上面における四隅には、赤外線カメラ4から発せられる第2赤外線L2を反射する反射手段としての反射マーカ28が設けられている。
【0015】
パネル発光受光部23は、図1および図5に示すように、枠体22の長辺を構成する一対の側面部のうちの一方に設けられた第1パネル発光部24と、他方に設けられた第1パネル受光部25と、枠体22の短辺を構成する一方の側面部のうち一方に設けられた第2パネル発光部26と、他方に設けられた第2パネル受光部27とを備える。
第1パネル発光部24および第2パネル発光部26は、それぞれ複数の第1パネル発光素子241および第2パネル発光素子261を備える。第1パネル発光素子241および第2パネル発光素子261は、第3赤外線L3を発光可能な赤外線LED(Light-Emitting Diode)である。
また、第1パネル受光部25および第2パネル受光部27は、それぞれ第1パネル発光素子241および第2パネル発光素子261と同数の第1パネル受光素子251および第2パネル受光素子271を備える。第1パネル受光素子251および第2パネル受光素子271は、第3赤外線L3を受光可能な赤外線受光素子であり、第1パネル発光素子241および第2パネル発光素子261の光軸上に配置されている。
そして、第1パネル発光素子241および第2パネル発光素子261は、情報処理装置3の制御により、表示面21と平行に第3赤外線L3を発光する。第1パネル受光素子251および第2パネル受光素子271は、第3赤外線L3を受光すると、この受光量に対応する受光信号を情報処理装置3に出力する。
【0016】
情報処理装置3は、図1および図2に示すように、パック6がタッチパネル装置2上に存在することやパック6のタッチパネル装置2上での動きを検出するための赤外線カメラ4と、この赤外線カメラ4での検出結果に基づく処理を行う制御装置5とを備える。
赤外線カメラ4は、図示しないスタンドに取り付けられ、表示面21の斜め上に、すなわち表示面21を臨む位置に設置される。この赤外線カメラ4は、箱状の収容筐体41と、この収容筐体41にそれぞれ収容される、発光手段としてのカメラ発光手段42と、情報受信手段および受光手段としてのカメラ受光手段43とを備える。
カメラ発光手段42は、制御装置5の制御により第2赤外線L2を発光する赤外線LEDである。
カメラ受光手段43は、第1赤外線L1および第2赤外線L2を受光可能な赤外線受光素子である。このカメラ受光手段43は、4個の反射マーカ28で反射された第2赤外線L2を受光すると、これら反射マーカ28の位置関係を表す反射位置情報を制御装置5へ出力する。また、カメラ受光手段43は、第1赤外線L1を受光すると、この受光状態に基づくカメラ受光信号を制御装置5へ出力する。
【0017】
制御装置5は、コンピュータであり、各種情報を記憶可能な記憶部51と、情報処理システム1全体を制御する全体制御部52とを備える。
全体制御部52は、記憶部51に記憶されたプログラムおよびデータをCPUが処理することにより構成され、操作位置設定手段53と、表示制御手段54と、第1存在位置検出手段としてのカメラ検出位置算出手段55と、第2存在位置検出手段としてのパネル検出位置算出手段56と、操作対応処理手段57とを備える。
【0018】
操作位置設定手段53は、表示面21の所定位置を操作位置としてのパック領域211として設定し、パック領域211以外の所定位置をタッチ領域212として設定する。パック領域211は、当該パック領域211内にパック6の少なくとも一部が存在した場合に、パック6の動きに対応する処理を行うための領域である。タッチ領域212は、当該タッチ領域212内にパック6または指Fの少なくとも一部が存在した場合に、当該タッチ領域212の位置に対応する処理を行うための領域である。
【0019】
表示制御手段54は、表示面21に各種画像や情報を表示させる。例えば、表示制御手段54は、パック領域211内に当該パック領域211と略等しい大きさのパック動作オブジェクトM1を表示させ、タッチ領域212内に当該タッチ領域212と略等しい大きさのタッチ動作オブジェクトM2を表示させる。
【0020】
カメラ検出位置算出手段55は、赤外線カメラ4からの反射位置情報に基づいて、赤外線カメラ4から見たときの表示面21の外形状(以下、表示面検出形状と称す)を算出する。さらに、カメラ検出位置算出手段55は、カメラ受光信号に基づく第1赤外線L1の発信位置とID情報とに基づいて、ID情報に対応するパック6を赤外線カメラ4から見たときの位置を算出する。そして、赤外線カメラ4から見たときの表示面検出形状とパック6の位置を表す検出画像を生成する。さらに、カメラ検出位置算出手段55は、検出画像の表示面検出形状が長方形となるように台形補正を行うことで補正画像を生成し、この補正画像における表示面21に対するパック6の位置を、第1存在位置としてのカメラ検出位置として算出する。
【0021】
パネル検出位置算出手段56は、第1パネル発光素子241および第2パネル発光素子261からの第3赤外線L3を用いて表示面21上を走査する。そして、当該第3赤外線L3の遮光位置に基づいて、パック6や指Fの存在位置を第2存在位置としてのパネル検出位置として算出する。
操作対応処理手段57は、カメラ検出位置と、パネル検出位置と、カメラ受光信号に対応するパック動き情報とに基づいて、パック6の存在位置と動きに対応する処理を行う。また、操作対応処理手段57は、パネル検出位置に基づいて、指Fの存在位置に対応する処理を行う。
【0022】
[情報処理システムの作用]
次に、情報処理システム1の作用を説明する。
まず、情報処理システム1のユーザは、タッチパネル装置2の上に赤外線カメラ4が固定されていない場合には赤外線カメラ4を固定した後、すでに赤外線カメラ4が固定されている場合には特に何もせずに、情報処理システム1の電源をオンする。
情報処理システム1を構成する制御装置5の全体制御部52は、電源がオンされたことを検出すると、操作位置設定手段53により、表示面21に対して、図1に示すようなパック領域211とタッチ領域212とを設定する。そして、制御装置5の表示制御手段54は、パック領域211内にパック動作オブジェクトM1を、タッチ領域212内にタッチ動作オブジェクトM2を、それぞれ表示させる。
【0023】
この後、制御装置5のカメラ検出位置算出手段55は、赤外線カメラ4のカメラ発光手段42から第2赤外線L2を発光させる。そして、カメラ検出位置算出手段55は、図6に示すように、反射マーカ28により反射された後にカメラ受光手段43で受光された第2赤外線L2に基づいて、四隅の反射マーカ28の位置を検出する(ステップS1)。
次に、カメラ検出位置算出手段55は、この検出した位置に基づく表示面検出形状を表す画像を生成し、この画像に対して台形補正を行うことで、表示面検出形状を長方形に補正した補正長方形状を算出し(ステップS2)、補正範囲内か否かを判断する(ステップS3)。すなわち、ステップS3では、4個の反射マーカ28でそれぞれ反射された全ての第2赤外線L2がカメラ受光手段43で受光されたか否か、あるいは、表示面検出形状が細長い台形状か否かを判断する。
【0024】
このステップS3において、カメラ検出位置算出手段55は、少なくとも1個の反射マーカ28で反射された第2赤外線L2が受光されていない、あるいは、表示面検出形状が細長い台形状であると判断すると、補正範囲外であると判断する。そして、4個の反射マーカ28でそれぞれ反射された全ての第2赤外線L2がカメラ受光手段43で受光されるように、あるいは、表示面検出形状が細長くない台形状となるように、制御装置5の位置や角度の変更を指示するカメラ位置変更指示を行い(ステップS4)、ステップS1の処理を行う。なお、カメラ位置変更指示は、その旨のメッセージを表示面21に表示させることで行ってもよいし、図示しないスピーカによる音声や警告音で行ってもよい。
【0025】
一方で、ステップS3において、カメラ検出位置算出手段55は、4個の反射マーカ28で反射された第2赤外線L2が全て受光されており、表示面検出形状が細長い台形状でないと判断すると、補正範囲内であると判断する。そして、パネル検出位置算出手段56は、表示面21上にパック6や指Fが存在しているか否かを判定するために、図5に示すように、第3赤外線L3を用いた遮光スキャンを行う。なお、遮光スキャンの開始は、ステップS1の処理の前に行ってもよい。
【0026】
情報処理システム1のユーザは、表示面21の表示に基づいて、パック6の操作に基づく処理を情報処理システム1に行わせたい場合には、第1赤外線L1を発光させたパック6を表示面21のパック動作オブジェクトM1上に接触させる。また、ユーザは、指Fでのタッチに基づく処理を行わせたい場合には、指Fで表示面21上のタッチ動作オブジェクトM2をタッチする。
【0027】
この後、全体制御部52は、電源のオフにより、処理を終了すると判断すると(ステップS5)、処理を終了し、終了しないと判断すると、カメラ検出位置算出手段55にて、パック6からの第1赤外線L1がカメラ受光手段43で受光されたか否かを判断する(ステップS6)。
このステップS6において、カメラ検出位置算出手段55にて、パック6が表示面21上に存在しておらず第1赤外線L1が受光されていないと判断すると、パネル検出位置算出手段56は、遮光スキャンにより、パック6以外の物体による第3赤外線L3の遮光が検出されたか否かを判断する(ステップS7)。
そして、表示面21上に何も存在していないため、ステップS7において、パネル検出位置算出手段56により遮光が検出されていないと判断すると、ステップS5に戻る。一方で、表示面21上に指Fが存在しているため、ステップS7において、パネル検出位置算出手段56は、遮光が検出されたと判断すると、パネル検出位置を算出する(ステップS8)。
【0028】
この後、操作対応処理手段57は、パネル検出位置に基づいて、指Fがタッチ動作オブジェクトM2上に存在しているか否かを判断する(ステップS9)。そして、タッチ動作オブジェクトM2上に存在していない場合には、ステップS5に戻り、タッチ動作オブジェクトM2上に存在している場合には、タッチ領域212に対応する処理をタッチパネル処理として行い(ステップS10)、ステップS5に戻る。すなわち、一般的なタッチパネル装置と同様に、指Fの接触位置に対応する処理を行う。
【0029】
一方、ステップS6において、カメラ検出位置算出手段55で第1赤外線L1が受光されたと判断すると、図7に示すように、カメラ検出位置算出手段55は、第1赤外線L1を利用して送信されるパック位置情報およびID情報と、ステップS2での処理結果とに基づいて、カメラ検出位置を算出する(ステップS11)。また、パネル検出位置算出手段56は、第3赤外線L3の遮光状態に基づいてパネル検出位置を算出する(ステップS12)。
この後、操作対応処理手段57は、カメラ検出位置とパネル検出位置とが一致するか否かを判断する(ステップS13)。なお、一致とは、完全に一致している状態のみならず、カメラ検出位置とパネル検出位置との距離が所定範囲内でずれている状態も含む概念である。
【0030】
このステップS13において、例えば、パック6が表示面21から離れているため、操作対応処理手段57にてカメラ検出位置とパネル検出位置とが一致しないと判断すると、ステップS5に戻る。一方、ステップS13において、操作対応処理手段57は、パック6が表示面21に接触あるいは近接しているため、カメラ検出位置とパネル検出位置とが一致していると判断すると、パネル検出位置とパック動作オブジェクトM1との少なくとも一部が重複しているか否かを判断する(ステップS14)。
【0031】
ステップS14において、操作対応処理手段57は、全く重複していないと判断すると、パネル検出位置とタッチ動作オブジェクトM2との少なくとも一部が重複しているか否かを判断する(ステップS15)。そして、全く重複していないと判断すると、ステップS5に戻り、少なくとも一部が重複していると判断すると、指Fでなくパック6が表示面21上に存在している場合であっても、タッチ領域212に対応する処理をタッチパネル処理として行い(ステップS16)、ステップS5に戻る。
【0032】
一方で、ステップS14において、操作対応処理手段57は、パネル検出位置とパック動作オブジェクトM1との少なくとも一部が重複していると判断すると、第1赤外線L1を利用して送信されるパック動き情報に基づいて、パック6のステータスが変更されたか否かを判断する(ステップS17)。そして、ステップS17において、ステータスが変更されていないと判断した場合、ステップS5に戻り、変更されたと判断した場合、ID情報のパック6とステータスに対応する処理を行い(ステップS18)、ステップS5に戻る。
【0033】
具体的に、操作対応処理手段57は、図8に示すように、ステップS17において、ステータスが、「パック6が表示面21上に存在していない非存在状態」から、「パック6が表示面21上に存在する存在状態」に変更になったと判断すると、ステップS18において、処理を選択するための処理選択画像M11と、当該処理選択画像M11上の処理項目のうちの1つを囲むカーソルM12とを表示面21に表示させるステータス対応処理を行う。なお、処理選択画像M11の内容は、パック6のIDにより異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0034】
また、操作対応処理手段57は、図9に示すように、パック動き情報を構成する回転角度情報に基づいて、ステータスが、「回転していない非回転状態」から「回転した回転状態」に変更になったと判断すると、回転方向に応じてカーソルM12を移動させる。
さらに、操作対応処理手段57は、図10に示すように、パック動き情報を構成する押下情報に基づいて、ステータスが、「押下されていない非押下状態」から「押下された押下状態」に変更になったと判断すると、カーソルM12に囲まれている文字を反転表示させ、当該反転表示させた文字に対応する処理を行う。
なお、遮光スキャンは、パネル検出位置算出のために行われているため、ステップS13の処理後に行われなくてもよい。
【0035】
[実施形態の作用効果]
上述したような実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)情報処理システム1は、パック6から第1赤外線L1を介して送信されるID情報とパック動き情報を赤外線カメラ4で受信し、カメラ検出位置算出手段55により第1赤外線L1の発信位置に基づいて、赤外線カメラ4から見たときのパック6の位置を算出する。また、パネル検出位置算出手段56は、タッチパネル装置2に設けられたパネル発光受光部23での遮光スキャンの結果に基づいて、表示面21上におけるパック6の存在位置をパネル検出位置として算出する。そして、操作対応処理手段57は、カメラ検出位置算出手段55で算出された位置とパネル検出位置とが一致し、かつ、パネル検出位置とパック領域211との少なくとも一部が重複している場合、ID情報で特定されるパック6に対応しかつパック動き情報の動きに基づく処理を行う。
このため、情報処理システム1は、第1赤外線L1を利用してパック6から送信されるID情報とパック動き情報を受信したときであっても、パック6が表示面21上に存在していない場合には、第1赤外線L1の発信位置に基づき算出されるパック6の位置と、パネル検出位置とが一致しないため、ID情報とパック動き情報に基づく処理を行うことがない。一方で、情報処理システム1は、パック6が表示面21上に存在している場合には、第1赤外線L1の発信位置に基づき算出されるパック6の位置と、パネル検出位置とが一致するため、ID情報とパック動き情報に基づく処理を行う。したがって、パック6のユーザが意図する処理を適切に行うことができる。
【0036】
(2)赤外線カメラ4は、カメラ発光手段42により表示面21の四隅に設けられた反射マーカ28に向けて第2赤外線L2を発光し、反射マーカ28で反射された第2赤外線L2をカメラ受光手段43により受光する。そして、カメラ検出位置算出手段55は、第1赤外線L1および第2赤外線L2の受光状態に基づいて、赤外線カメラ4から見たときの表示面21の表示面検出形状と、表示面21におけるパック6の位置とを表す検出画像を生成する。この後、この検出画像に対して、表示面検出形状が長方形となるような台形補正を行い、この台形補正により生成された補正画像における表示面21に対するパック6の位置を、パック6のカメラ検出位置として算出する。
このため、例えば、場所の制約により、表示面21の斜め上に赤外線カメラ4を設置する必要がある場合や、情報処理システム1を利用する毎に赤外線カメラ4の設置位置を変更する必要がある場合であっても、上述のような台形補正を行うことで、表示面21におけるパック6の位置を精度よく算出でき、誤動作を防止できる。
【0037】
(3)パック6のパック発光素子621を、パック筐体61の軸方向および外周方向にそれぞれ沿って複数設けるとともに、底面部611に対して斜め上に第1赤外線L1を発光するように設けている。
このため、ユーザによるパック6の持ち方や、パック6が表示面21に置かれたときの向きによらず、第1赤外線L1を赤外線カメラ4に受光させることができる。したがって、ユーザは、パック6の持ち方や置き方を意識することなく、当該ユーザが意図する処理を情報処理システム1に実施させることができる。
【0038】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
すなわち、パック6に加速度センサを設けて、操作対応処理手段57により、パック6の回転時の加速度や押下時の加速度に応じて、異なる処理を行ってもよい。
また、赤外線カメラ4を常時同じ位置に固定して、カメラ検出位置の算出の際に台形補正を行わない構成としてもよい。
さらに、反射マーカ28とカメラ発光手段42とを設けずに、表示面21の四隅に発光手段を設け、当該発光手段からの光をカメラ受光手段43で受光して、カメラ検出位置を算出してもよい。
そして、パック発光素子621を、パック筐体61に1個だけ設けてもよいし、パック筐体61の軸方向または外周方向のみに沿って複数設けてもよい。また、パック筐体61全体から第1赤外線L1を発光してもよい。
【0039】
また、タッチパネル装置2に設けるパネル検出位置を検出する構成として、静電容量方式、電磁誘導方式などいずれの構成を用いてもよい。
さらに、第1赤外線L1と第2赤外線L2と第3赤外線L3とは、同じ波長帯域の赤外線であってもよいし、異なる波長帯の赤外線であってもよい。
そして、タッチパネル装置2としては、コンピュータの表示装置として用いられるものであってもよいし、壁に設置されるものであってもよい。さらに、タッチパネル装置2としては、業務用インフォメーションや車内でのインフォメーションの表示に用いられるものであってもよいし、電子機器の操作に用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…情報処理システム
3…情報処理装置
6…パック
21…表示面
23…存在検出手段としてのパネル発光受光部
28…反射手段としての反射マーカ
41…収容筐体
42…発光手段としてのカメラ発光手段
43…情報受信手段および受光手段としてのカメラ受光手段
53…操作位置設定手段
55…第1存在位置検出手段としてのカメラ検出位置算出手段
56…第2存在位置検出手段としてのパネル検出位置算出手段
57…操作対応処理手段
61…パック筐体
63…動き検出手段
211…操作位置としてのパック領域
621…パック送信手段としてのパック発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に接触または近接したパックの動きに基づく処理を行う情報処理装置であって、
前記表示面の所定位置を、前記パックの操作位置として設定する操作位置設定手段と、
前記表示面を臨む位置に設けられ、前記パックから赤外線を利用して送信される、当該パックを特定するパック特定情報および当該パックの動きを表す動き情報を受信する情報受信手段と、
前記赤外線の発信位置に基づいて、前記表示面を臨む位置から見たときの前記パックの位置を第1存在位置として算出する第1存在位置算出手段と、
前記表示面上および当該表示面に近接した位置のうち少なくとも一方に設けられ、前記表示面に前記パックが接触または近接したことを検出する存在検出手段と、
前記存在検出手段の検出結果に基づいて、前記パックの接触位置または近接位置を第2存在位置として算出する第2存在位置算出手段と、
前記第1存在位置および前記第2存在位置との距離が所定範囲内であり、かつ、前記第2存在位置と前記操作位置との少なくとも一部が重複すると判断すると、前記情報受信手段で受信したパック特定情報で特定されるパックに対応しかつ動き情報の動きに基づく処理を行う操作対応処理手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記表示面は、矩形状に形成され、
前記表示面の四隅に対応する位置には、それぞれ反射手段が設けられ、
前記表示面を臨む位置には、前記情報受信手段と、前記反射手段に向けて光を発光する発光手段と、前記反射手段で反射された光を受光する受光手段と、を収容する収容筐体が設けられ、
前記第1存在位置算出手段は、前記受光手段での受光結果と前記赤外線の発信位置とに基づいて、前記収容筐体から見たときの表示面の形状とパックの位置とを表す検出画像を生成し、当該検出画像の表示面が矩形状となるように台形補正を行うことで補正画像を生成し、当該補正画像における表示面に対するパックの位置を前記第1存在位置として算出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置の表示面に接触または近接させることが可能なパックと、を備え、
前記パックは、
当該パックの動きを検出する動き検出手段と、
前記パックを特定するパック特定情報および前記動き検出手段で検出された動きを表す動き情報を、赤外線を利用して前記情報処理装置へ送信するパック送信手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記パックは、有底筒状に形成され、底面部が表示面に対向するようにユーザに保持されるパック筐体を備え、
前記パック送信手段は、前記パック筐体の側面における外周方向に沿った複数の位置、および、前記側面における外形筒状の軸方向の沿った複数の位置のうち、少なくとも一方に設けられ、底面部から離れる方向に向かって赤外線を発信することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
表示面に接触または近接したパックの動きに基づく処理を行う情報処理方法であって、
前記表示面の所定位置を、前記パックの操作位置として設定する工程と、
前記パックから赤外線を利用して送信される、当該パックを特定するパック特定情報および当該パックの動きを表す動き情報を、前記表示面を臨む位置において受信する工程と、
前記赤外線の発信位置に基づいて、前記表示面を臨む位置から見たときの前記パックの位置を第1存在位置として算出する工程と、
前記表示面に前記パックが接触または近接したことを、前記表示面上および当該表示面に近接した位置のうち少なくとも一方において検出する工程と、
この検出結果に基づいて、前記パックの接触位置または近接位置を第2存在位置として算出する工程と、
前記第1存在位置および前記第2存在位置との距離が所定範囲内であり、かつ、前記第2存在位置と前記操作位置との少なくとも一部が重複すると判断すると、前記情報受信手段で受信したパック特定情報で特定されるパックに対応しかつ動き情報の動きに基づく処理を行う工程と、を実施することを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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