説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】タグの貼付を適切に制御することを目的とする。
【解決手段】タグ位置情報を受信し、記憶部から読み出したタグを貼れないエリアを示すエリア情報と受信したタグ位置情報とからタグ位置情報がエリア情報に含まれているか否かを判断し、タグ位置情報がエリア情報に含まれていると判断した場合、エリアにおいてタグを貼ることができないことを示す貼付不可情報を端末装置に送信することで課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
AR(Augmented Reality)技術は、現実空間(現実空間の画像)上に、その現実空間に関連する「タグ」と呼ばれる付加情報(文字・画像・音声)が、重ねて表示される技術である。ユーザによって現実空間にタグが貼付され、現実空間に貼付された情報を複数の人間で共有して利用することが日常的に行われている。
しかしながら、どのようなタグを現実空間のどこに貼るかは、貼る人間の良識に委ねられている。そのため、例えば、ある有名人の家の位置に、「ここが○○の家」といったタグを貼ることも技術的には可能であり、プライバシーの保護などに関する問題が危惧されている(非特許文献1参照)。
一方、タグを貼付することで現実空間に情報を付加することは、非常に手軽で重宝される技術であり、より一層の市場の拡大が期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】牧野二郎、「AR空間は誰のもの?」、[online]、[平成22年12月8日検索]、インターネット<URL:http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1003/12/news040.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タグを貼付することで現実空間に情報を付加する際に、AR技術を利用するユーザの互いの意思を尊重しつつ、且つ、AR技術自体の有用さを失わないようにする技術は提供されていない。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、タグの貼付を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る情報処理装置は、記憶部を有する情報処理装置であって、端末装置から指定されたタグの貼付位置を示すタグ位置情報を受信する受信手段と、前記記憶部から読み出したタグを貼れないエリアを示すエリア情報と前記タグ位置情報とから前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれているか否かを判断し、前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれていると判断した場合、前記エリアにおいてタグを貼ることができないことを示す貼付不可情報を前記端末装置に送信する貼付制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、「受信手段」は、例えば、後述する受信部41に対応する。また、「貼付制御手段」は、例えば、後述する送信部42、位置判定部43に対応する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タグの貼付を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】AR提供システムの構成の一例を示す図である。
【図2】クライアント端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】AR提供サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】禁止エリア設定画面の一例を示す図である。
【図5】クライアント端末の機能構成の一例を示す図である。
【図6】AR提供サーバの機能構成の一例を示す図である。
【図7A】タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図7B】タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図8A】禁止エリアテーブルの一例を示す図である。
【図8B】タグ管理テーブルの一例を示す図である。
【図9A】タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図9B】タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図10A】禁止エリアテーブルの一例を示す図である。
【図10B】権限テーブルの一例を示す図である。
【図11】禁止エリアの設定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図12】表示パネルに表示される内容の一例を示す図である。
【図13】タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図14】タグ管理テーブルの一例を示す図である。
【図15】タグの表示処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図16】AR提供サーバの機能構成の一例を示す図である。
【図17】AR提供サーバの機能構成の一例を示す図である。
【図18】AR提供サーバの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るAR提供システムの構成の一例を示す図である。AR提供システムは、予め指定された領域において、より狭義には予め指定されたオブジェクトに対して、ユーザが入力した情報を表すタグの貼付を許可するか否かを制御すると共に、現実空間の画像、或いは現実空間に整合する位置にタグの画像を付加してユーザに提示するか否かなどを制御することで、拡張された現実感(AR)をユーザに提供する。
ここで、AR提供システムは、AR提供サーバ100及びクライアント端末200を含んで構成される。AR提供サーバ100及びクライアント端末200は、互いに通信可能に構成されている。
【0012】
AR提供サーバ100は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、ネットワークを介して接続されるクライアント端末(クライアント端末200等)にサービスを提供するサーバ装置である。本実施形態では、AR提供サーバ100は、タグの貼付制御に係る各種の情報(後述の禁止エリアテーブル、タグ管理テーブル等)を保持して管理する。
例えば、AR提供サーバ100は、クライアント端末200からのタグの登録要求に応答して一連の登録処理を行い、その結果をクライアント端末200に返答する。また、例えば、AR提供サーバ100は、クライアント端末200からのタグの表示要求に応答して一連の表示処理を行い、その結果をクライアント端末200に返答する。
【0013】
クライアント端末200は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、携帯情報端末、携帯電話、HMD(Head Mounted Display)、デジタルカメラ等である。クライアント端末200は、基本的には無線通信によりデータを送受信する。また、クライアント端末200は、リアルタイムに現実空間を捉え、クライアント端末200により撮影された現実空間の画像にAR提供サーバ100から送信されたタグなどを表す画像(コンピュータグラフィックス画像などであり、以下では、AR画像と称する。)を表示する。或いは、クライアント端末200が透過型の表示パネルを備えている場合、透過型の表示パネルを通して見える現実空間に整合する位置にAR画像を重畳表示する。例えば、クライアント端末200は、透過型或いは非透過型の表示パネルを有し、現実空間或いは、現実空間の画像中のビルに対して付されたタグのAR画像(ビル画像910に付されたタグのAR画像920)を表示パネルに表示する。ユーザは、ビル画像910に付されたタグのAR画像920を視認することで、ビル画像910のビルが「○○庁」であることを把握できる。
【0014】
図2は、クライアント端末200のハードウェア構成の一例を示す図である。クライアント端末200は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HD(Hard Disk)14、位置検出装置15、姿勢検出装置16、撮影装置17、入出力装置18、インタフェース装置19、及び方位検出装置20を有する。
CPU11は、必要に応じて、ROM12、HD14などからプログラムを読み出して、プログラムを実行する。プログラムが実行されることで、クライアント端末200における後述の機能、及び後述のフローチャートに係る処理が実現される。
【0015】
ROM12は、クライアント端末200の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記憶する。RAM13は、クライアント端末200のメインメモリとして機能する。HD14は、プログラムに加えてCPU11により算出された数値データ等を記憶する。なお、クライアント端末200は、RAM13、HD14などの記憶デバイスに記憶される各種の情報を、CD−ROM、USB等の記録媒体から取得してもよいし、ネットワーク等を通じてダウンロードしてもよい。
【0016】
位置検出装置15は、例えばGPS(global positioning system)であり、地球上の現在位置を測定して得られるクライアント端末200の緯度・経度データについて座標変換などを行い、位置を示す位置情報の一例である位置データを算出する。なお、本実施形態では、位置データは、xy平面(二次元の座標系)の座標データであるが、これに限定されるものではなく、三次元の座標データや緯度・経度・標高(高度)等、位置を特定可能な情報を適宜採用することができる。
姿勢検出装置16は、例えばジャイロセンサであり、物体の角速度を検知し、角速度を積分などして角度(クライアント端末200の姿勢(姿勢データ))を算出する。
方位検出装置20は、例えば地磁気センサであり、地磁気を検出し、地磁気の影響の大きさから、クライアント端末200の向きに関する方位データを算出する。
なお、クライアント端末200のハードウェア構成は、これに限られるものではない。例えば、位置検出装置15、姿勢検出装置16、及び方位検出装置20に代えて、位置検出装置15、姿勢検出装置16、及び方位検出装置20の機能を一体とした機能を有する位置姿勢方位検出装置を採用してもよい。すなわち、本実施形態では、クライアント端末200がクライアント端末200の位置、姿勢、方位を得る構成は、限定されるものではなく、適宜の技術を採用することができる。
【0017】
撮影装置17は、現実空間の撮影を行う。入出力装置18は、タッチパネル式の表示パネルを有し、現実空間の画像、タグのAR画像などを表示パネルに表示すると共に、表示パネルを介して各種の情報を入力する。
なお、本実施形態では、表示パネルとして、非透過型の液晶ディスプレイを例に挙げて説明するが、透過型の液晶ディスプレイを採用してもよい。
インタフェース装置19は、外部装置(AR提供サーバ100等)と通信を行い、後述のタグのメタデータなどを送信し、後述のタグ情報などを受信する。インタフェース装置19で受信されたタグ情報などは、RAM13、HD14などの記憶デバイスに記憶される。
【0018】
図3は、AR提供サーバ100のハードウェア構成の一例を示す図である。AR提供サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、HD(Hard Disk)24、入力装置25、表示装置26、記録媒体ドライブ装置27、及びインタフェース装置28を有する。
CPU21は、必要に応じて、ROM22、HD24などからプログラムを読み出して、プログラムを実行する。プログラムが実行されることで、AR提供サーバ100における後述の機能、及び後述のフローチャートに係る処理が実現される。
【0019】
ROM22は、AR提供サーバ100の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記憶する。RAM23は、AR提供サーバ100のメインメモリとして機能する。HD24は、プログラムに加えてCPU21により算出された数値データ等を記憶する。なお、AR提供サーバ100は、RAM23、HD24などの記憶デバイス(記憶部の一例)に記憶される各種の情報を、CD−ROM、USB等の記録媒体から取得してもよいし、ネットワーク等を通じてダウンロードしてもよい。
【0020】
入力装置25は、キーボード及びマウス等の入力デバイスを含んで構成され、ユーザによる入力デバイスの操作(ユーザ操作)に応答してAR提供サーバ100に各種の情報を入力する。表示装置26は、各種の情報をディスプレイに表示する。
記録媒体ドライブ装置27は、記録媒体ドライブ装置27に挿入された記録媒体29のデータを読み書きする。インタフェース装置28は、外部装置(クライアント端末200等)と通信を行い、タグ情報などを送信し、タグのメタデータなどを受信する。インタフェース装置28で受信されたタグのメタデータなどは、RAM23、HD24などの記憶デバイスに記憶される。
【0021】
図4を参照して、ユーザ操作に応答して指定された領域の一例であるタグの貼付を禁止するエリア(禁止エリア)について説明する。図4は、一又は複数の禁止エリアを設定する画面(禁止エリア設定画面)の一例を示す図である。
図4に示すように、日本のある地域を表す地域300には、複数の禁止エリア(禁止エリア310、禁止エリア320、禁止エリア330)が設定されている。例えば、禁止エリア310は、座標(x1、y1)、座標(x2、y2)が対向する頂点とする長方形のエリアである。
【0022】
なお、図4に示すような長方形に限定しないことは言うまでもない。例えば、円形の禁止エリアを設定する場合、基準点となる円の中心を示した緯度・経度(或いは緯度・経度を示した座標)及び半径を設定することで、禁止エリアを指定する方法でもよい。その他、台形等の多角形や曲線で囲んだ図形等、GUIを介して任意の図形を設定し、禁止エリアとして指定する方法でもよい。その他、図4に示すような二次元のみならず、三次元の禁止エリアを指定してもよい。例えば、球体の禁止エリアを設定する場合、基準点となる球体の中心を示した緯度・経度・標高(高度)、及び半径を設定することで、禁止エリアを指定する方法がある。
【0023】
図5は、クライアント端末200の機能構成の一例を示す図である。クライアント端末200は、受信部31、送信部32、入力部33、及び表示部34を有する。
受信部31は、タグのAR画像、タグの位置データを含むタグ情報などをAR提供サーバ100から受信し、受信した各種の情報を記憶デバイスに格納すると共に、表示部34に通知する。送信部32は、クライアント端末200の位置データ、タグの内容、タグの位置などを示すメタデータ(タグのメタデータ)などの各種の情報をAR提供サーバ100に送信する。
入力部33は、ユーザ操作に応答して指定されたタグのメタデータなどを記憶デバイスに格納すると共に、送信部32に通知する。表示部34は、タグのAR画像を表示する位置、大きさ、及び範囲を調整するなど、表示に関する制御を行う。
【0024】
図6は、AR提供サーバ100の機能構成の一例を示す図である。AR提供サーバ100は、受信部41、送信部42、位置判定部43、及びタグ情報管理部44を有する。
受信部41は、クライアント端末200の位置データ、タグのメタデータなどの各種の情報をクライアント端末200から受信し、受信した各種の情報を記憶デバイスに格納すると共に、各モジュールに通知する。送信部42は、各モジュールで処理された結果(タグ情報など)をクライアント端末200に送信する。
位置判定部43は、タグのAR画像の貼付を禁止するか否かを判定する。例えば、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているか否か(クライアント端末200が禁止エリアの範囲内に位置しているか否か)を判定する方式でもよいし、或いは、タグを貼付する位置(タグの貼付位置)を示すタグの位置データ(タグ位置情報の一例)が禁止エリアの範囲データ内であるか否か(タグ位置データのタグが禁止エリアの範囲内に位置しているか否か)を判定する方式でもよい。なお、何れの方式でも、禁止エリア内と判定された場合は処理結果を送信部42へ通知し、禁止エリア外と判定された場合はタグ情報管理部44へ処理結果を通知する。タグ情報管理部44は、タグのメタデータ、後述のクライアント端末200の権限データ、後述のクライアント端末200の端末ID、後述の禁止エリアの範囲などを関連付けて記憶デバイスに格納し、管理する。
【0025】
図7Aは、タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。クライアント端末200において、AR画像による拡張空間のサービスを受けるための拡張空間アプリケーションが起動され、タグの登録を指示するユーザ操作が受け付けられると、登録処理が開始する。
換言するならば、クライアント端末200は、タグの内容を示す内容データ(内容情報の一例)、及びタグを貼付する位置を示すタグの位置データを含むメタデータを指定し、タグの登録を指示するユーザ操作を受け付ける。
【0026】
まず、クライアント端末200の送信部32は、ユーザにより入力されたタグのメタデータをAR提供サーバ100に送信する(S102)。
AR提供サーバ100の受信部41によりタグのメタデータが受信されると、位置判定部43は、タグの位置データと禁止エリアテーブルの位置データから算出したエリア情報の一例である範囲データとを比較して、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているかを判定する(S104)。
【0027】
このとき、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断された場合、位置判定部43は、タグを貼付できないことを示す貼付不可画像を生成し、生成した貼付不可画像を含む貼付不可情報を送信部42に通知する(S110)。他方、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていないと判断された場合、S106の処理が行われる。
【0028】
図8Aに、禁止エリアテーブルの一例を示す。禁止エリアテーブルは、エリアIDと禁止エリアの範囲との項目の情報を含んで構成され、記憶デバイスに格納されている。
エリアIDの項目には、禁止エリアを識別するIDが格納される。禁止エリアの範囲の項目には、長方形の対向する2つの頂点の座標(位置データ)が格納される。なお、本実施形態では、説明の便宜上、2つの頂点の位置データから禁止エリアの範囲を示す範囲データを算出するが、この構成に限られるものではなく、例えば、禁止エリアが円である場合は、位置判定部43は、中心を示す1つの位置データを用いて範囲データを算出する。すなわち、位置判定部43は、禁止エリアの範囲を特定可能な位置データから禁止エリアの範囲を算出するものである。
【0029】
例えば、エリアID「001」を例に挙げてみると、禁止エリアの範囲の座標は、(x1、y1)と(x2、y2)とであるので、位置判定部43は、範囲データとして、x1≦x≦x2、y1≦y≦y2を算出する。そして、タグの位置データが(x0、y0)であるとき、位置判定部43は、x1≦x0≦x2、かつy1≦y0≦y2であると判断した場合、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断する。
【0030】
S106では、タグ情報管理部44は、タグIDを発行し、発行したタグIDに、受信したメタデータを関連付けてタグ管理テーブルに新規登録する。
図8Bに、タグ管理テーブルの一例を示す。タグ管理テーブルは、タグIDと、タグの位置と、タグの内容との項目の情報を含んで構成され、記憶デバイスに格納されている。
タグIDの項目には、タグを識別するIDが格納される。タグの位置の項目には、タグの位置データが格納される。タグの内容の項目には、タグの内容データが格納される。
【0031】
そして、タグ情報管理部44は、新規登録の処理が終わると、タグの内容データからタグのAR画像を生成し、タグのAR画像とタグの位置データとを含むタグ情報を送信部42に通知し、続いてS108の処理が行われる。
なお、タグ情報管理部44は、タグの内容データからタグのAR画像を生成し、生成したタグのAR画像をタグIDに関連付けて記憶デバイスに格納してもよい。この場合、AR提供サーバ100は、クライアント端末200からタグのAR画像を要求された際、記憶デバイスからタグのAR画像を読み込むことにより、タグのAR画像を生成する処理を行う必要がなくなる。
【0032】
S108では、送信部42は、通知を受けたタグ情報をクライアント端末200に送信する。S110では、送信部42は、通知を受けた貼付不可情報をクライアント端末200に送信する。
S112では、クライアント端末200は、AR提供サーバ100から受信した情報を表示パネルに表示する。
例えば、クライアント端末200の受信部31によりタグ情報が受信されると、表示部34は、タグ情報からタグの位置データ及びタグのAR画像を取り出して、タグのAR画像の位置、大きさ、範囲を調整し、表示パネルに表示する。
また、例えば、クライアント端末200の受信部31により貼付不可情報が受信されると、表示部34は、貼付不可情報から貼付不可画像を取り出して、貼付不可画像の位置、大きさ、範囲を調整し、表示パネルに表示する。ユーザにとってみれば、「タグを貼付できません」などのメッセージが提示されるので、タグを貼付することができないことを容易に把握できる。
【0033】
なお、本実施形態は、図7Aの構成に限られるものではなく、位置判定部43は、図7Aとは別の方式で、タグのAR画像の貼付を禁止するか否かを判定してもよい。この一例を図7Bに示し、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。図7Aと比較すると、図7Bは、図7AのステップS102に代えてS102'を、S104に代えてS104'を行う。
S102'において、クライアント端末200の送信部32は、クライアント端末200の位置データとユーザにより入力されたタグのメタデータとをAR提供サーバ100に送信する。
次にS104'において、AR提供サーバ100の受信部41によりクライアント端末200の位置データとタグのメタデータとが受信されると、位置判定部43は、クライアント端末200の位置データと禁止エリアテーブルの位置データから算出したエリア情報の一例である範囲データとを比較して、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているかを判定する。
【0034】
例えば、図8AのエリアID「001」を例に挙げてみると、禁止エリアの範囲の座標は、(x1、y1)と(x2、y2)とであるので、位置判定部43は、範囲データとして、x1≦x≦x2、y1≦y≦y2を算出する。そして、クライアント端末200の位置データが(x0、y0)であるとき、位置判定部43は、x1≦x0≦x2、かつy1≦y0≦y2であると判断した場合、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断する。
【0035】
そして、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断された場合、S110の処理が行われ、他方、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていないと判断された場合、S106の処理が行われる。
【0036】
また、タグの位置データの指定方式は、例えば、表示パネルに表示された現実空間に対し、ユーザ操作に応答して指定されたタグの位置データを、クライアント端末200の位置や姿勢、方位等から算出してもよい。
【0037】
また、タグの位置データの指定方式は、表示パネルに表示された地図情報に対し、ユーザが操作することによって、タグの位置データを設定する方式でもよい。この方式の場合、例えば、クライアント端末200の表示パネルに地図情報が提示され、地図情報に対してGUIを介してタグの位置データを指定するユーザ操作が受け付けられると、当該タグの位置データがクライアント端末200の送信部32よりAR提供サーバ100へ送信される。そしてAR提供サーバ100の受信部41において当該タグの位置データを受信し、タグ情報管理部44において、登録処理が開始される。
なお、クライアント端末200を介してタグの位置データを登録する方式に限らず、例えば、webで地図情報を提示することによって、webの利用可能な環境であればクライアント端末200以外の装置等を介して、タグの位置データを登録してもよい。或いは、タグを貼付する位置に該当する住所を入力して、タグを貼付(登録)してもよい。これらの方式の場合、タグを登録する場所に実際に出向かずに、タグを貼付(登録)することが可能になり、実際に出向いてからタグを貼付できなかったという事態を回避できる。
【0038】
なお、本実施形態は、上述の構成に限られるものではない。例えば、各種の画像(タグのAR画像、貼付不可画像など)は、AR提供サーバ100で生成される構成に限られるものではなく、クライアント端末200で生成される構成であってもよい。
例えば、タグのAR画像をクライアント端末200で生成する構成を採用する場合、AR提供サーバ100は、タグの内容データと位置データとを含むタグ情報をクライアント端末200に送信し、クライアント端末200は、タグの内容データをもとにタグのAR画像を生成する。
また、例えば、貼付不可画像をクライアント端末200で生成する構成を採用する場合、AR提供サーバ100は、タグを貼付できないことを示すデータ(文字列、コードなど)をクライアント端末200に送信し、クライアント端末200は、タグを貼付できないことを示すデータをもとに貼付不可画像を生成する。
上述した構成によれば、タグを貼付できないエリアを設定することで、タグの貼付を適切に制限することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
本実施形態では、AR提供サーバが権限データを用いてタグの貼付を制御する点が第1の実施形態と異なるので、第1の実施形態と異なるタグの登録処理について主に説明する。
第2の実施形態では、AR提供サーバ100の機能構成として、権限を判定する権限判定部45が追加され、それを図16に示す。権限判定部45は、クライアント端末200をはじめとする情報処理装置を操作するユーザの権限データに基づいて、当該ユーザがタグを貼付する権限を有するか否かを、または、当該ユーザが禁止エリアを設定する権限を有するか否かを判定する。権限を有すると判定された場合は処理結果をタグ情報管理部44へ通知し、権限を有しないと判定された場合は送信部42へ処理結果を通知する。
図9Aは、タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、図7Aと同様の内容については、説明を適宜省略する。
まず、クライアント端末200の送信部32は、ユーザにより入力されたタグのメタデータとクライアント端末200を操作するユーザの権限を示す権限データ(権限情報の一例)とをAR提供サーバ100に送信する(S202)。
【0040】
AR提供サーバ100の受信部41によりクライアント端末200を操作するユーザの権限データとタグのメタデータとが受信されると、位置判定部43は、タグの位置データと禁止エリアテーブルの位置データから算出した範囲データとを比較して、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているかを判定する(S204)。
このとき、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断された場合、S206の処理が行われ、他方、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていないと判断された場合、S208の処理が行われる。
【0041】
S206では、権限判定部45は、クライアント端末200を操作するユーザの権限データと、S204でタグを貼付する位置として判断された禁止エリアの禁止エリアテーブルの権限データとを比較して、クライアント端末200を操作するユーザにタグの貼付が許可されているかを判定する。
このとき、クライアント端末200を操作するユーザにタグの貼付が許可されていると判断された場合、S208の処理が行われ、他方、クライアント端末200を操作するユーザにタグの貼付が許可されていないと判断された場合、S212の処理が行われる。なお、権限判定部45は、クライアント端末200を操作するユーザにタグの貼付が許可されていないと判断した場合、貼付不可画像を生成し、生成した貼付不可画像を含む貼付不可情報を送信部42に通知する。
【0042】
図10Aに、禁止エリアテーブルの一例を示す。禁止エリアテーブルは、エリアIDと禁止エリアの範囲と権限との項目の情報を含んで構成される。
エリアIDの項目には、禁止エリアを識別するIDが格納される。禁止エリアの範囲の項目には、長方形の対向する2つの頂点の位置データが格納される。権限の項目には、当該禁止エリアにタグを貼付する権能の範囲を示す権限データが格納される。
図10Bに、権限テーブルの一例を示す。権限テーブルは、優先順位と、権限との項目の情報を含んで構成される。
優先順位の項目には、予め規定された権限の順位データが格納される。例えば、順位データ「1」の「suadmin」は、最も優先される(最も権限が高い)権限データである。つまり、図10A及び図10Bより、各エリアについて、どの権限であれば貼付可能か否かを把握することが可能になる。例えば、図10AのエリアID「002」の権限は「admin」であり、図10Bを参照すると「admin」の優先順位は「2」であるため、エリアID「002」においては、「admin」、及び「admin」よりも優先順位の高い優先順位「1」の「suadmin」の何れかの権限のユーザが、禁止エリアを設定できる。
【0043】
ここで、S206の処理についてより詳細に説明すると、権限判定部45は、位置判定部43での判定において、タグが位置していると判断された禁止エリアのエリアIDをキーとして当該禁止エリアの権限データを記憶デバイスに格納された禁止エリアテーブルから読み出す。そして、禁止エリアテーブルから読みだした当該エリアの権限データと、S202で送信されたユーザの権限を示す権限データとを比較し、どちらがより強い権限(言い換えると、図10Bにおける優先順位の高い権限)であるかを判定する。このとき、権限テーブルを参照することによって、禁止エリアテーブルから読み出した権限データと、ユーザの権限を示す権限データのどちらの権限データが、より強い権限であるかを判定する。
例えば、クライアント端末200を操作するユーザの権限データの順位データが「2」である場合、権限判定部45は、禁止エリアテーブルから読み出した権限データの順位データが「2」以下の順位である「2(権限:admin)」或いは「3(権限:all)」であるときは、クライアント端末200にタグの貼付が許可されていると判断する。他方、禁止エリアテーブルから読み出した権限データの順位データが、クライアント端末200の権限を示す権限データより高い順位である「1(権限:suadmin)」であるときは、クライアント端末200にタグの貼付が許可されていないと判断する。
【0044】
S208では、タグ情報管理部44は、タグIDを発行し、発行したタグIDに、受信したメタデータを関連付けてタグ管理テーブルに新規登録する。
そして、タグ情報管理部44は、新規登録の処理が終わると、タグの内容データからタグのAR画像を生成し、タグのAR画像とタグの位置データとを含むタグ情報を送信部42に通知し、続いてS210の処理が行われる。
【0045】
S210では、送信部42は、通知を受けたタグ情報をクライアント端末200に送信する。S212では、送信部42は、通知を受けた貼付不可情報をクライアント端末200に送信する。
S214では、クライアント端末200は、AR提供サーバ100から受信した情報を表示パネルに表示する。
上述した構成によれば、タグを貼付できないエリア内であっても、予め設定された権限に応じてタグの貼付をより適切に制限することができる。
【0046】
なお、本実施形態のS202及びS204については、第1の実施形態と同様、タグの位置データではなく、クライアント端末200の位置データを用いてもよい。この場合、図9AのS202及びS204の処理が異なる。図9AのS202に対応する処理S202'にて、クライアント端末200の送信部32は、クライアント端末200の位置データも併せてAR提供サーバ100へ送信し、図9AのS204に対応する処理S204'にて位置判定部43は、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているか否かを判定する。当該一連の処理フローを図9Bに示す。
【0047】
(第3の実施形態)
本実施形態では、AR提供サーバが権限データなどに応じて禁止エリアを登録する点が第1の実施形態と異なるので、第1の実施形態と異なる禁止エリアの設定処理について主に説明する。第3の実施形態では、AR提供サーバ100の機能構成として、権限を判定する重複範囲算出部46が追加され、それを図17に示す。重複範囲算出部46は、クライアント端末200で指定された禁止エリアと記憶デバイスに記憶されている禁止エリア(既存の禁止エリア)とが重複するかを判定し、判定結果に関連する処理結果をタグ情報管理部44へ通知する。
図11は、禁止エリアの設定処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、第1の実施形態と同様、図4に示したような禁止エリア設定画面がクライアント端末の表示パネルに表示され、表示パネルに対するユーザ操作に応答して指定された禁止エリアの位置データが、AR提供サーバ100へ送信される(S302)。このとき、当該クライアント端末を操作しているユーザの権限データもAR提供サーバ100へ送信される。
【0048】
AR提供サーバ100の受信部41によりユーザの権限データと指定された禁止エリアの位置データとが受信されると、重複範囲算出部46は、指定された禁止エリアと既存の禁止エリアとが重なるかを判定する(S304)。このとき、指定された禁止エリアと既存の禁止エリアとが重なると判定された場合、S306の処理が行われ、他方、指定された禁止エリアと既存の禁止エリアとが重ならないと判定された場合、S312の処理が行われる。
両エリアが重なるかの判定方法としては、任意の方法を採用することができる。本実施形態では、禁止エリアが長方形であるので、禁止エリアの上辺と下辺とについてはx座標に着目するとx成分が同じであり、左辺と右辺とについてはy座標に着目するとy成分が同じである。よって、重複範囲算出部46は、各禁止エリアのx成分が交わり、かつ各禁止エリアのy成分が交わるとき、両エリアが重なると判断する。
【0049】
S306では、重複範囲算出部46は、既存の禁止エリアの権限データを禁止エリアテーブルから読み込み、続いてS308の処理を行う。S308では、重複範囲算出部46は、指定された禁止エリアを既存の禁止エリアに上書きするかを判定する。このとき、上書きすると判断された場合、S310の処理が行われ、他方、上書きしないと判断された場合、S314の処理が行われる。
ここで、重複範囲算出部46は、重複すると判断した既存の禁止エリアの権限データと当該クライアント端末を操作しているユーザの権限データとを比較し、ユーザの権限データの方がより上位である場合に上書きすると判断する。例えば、重複範囲算出部46は、既存の禁止エリアの権限データの優先順位が「2」である場合、ユーザの権限データの優先順位がより上位である「1」場合に上書きすると判断する。
【0050】
また、本実施形態は、上述の構成に限られるものではない。例えば、重複範囲算出部46は、ユーザの操作しているクライアント端末に上書きをするかを確認するように要求し、上書きするとの返答があった場合に、ユーザの権限データと予め指定された権限データ(例えば管理者を示す権限データ)とを比較し、ユーザの権限データの方がより上位である場合に上書きすると判断する構成を採用してもよい。また、既存の禁止エリアの権限データとクライアント端末を操作するユーザの権限データが同じであった場合、例えば、クライアント端末を操作するユーザの指定した禁止エリアが、既存の禁止エリアを上書きしてもよい。即ち、上書きに関する所定のルールを予め設定しておき、当該所定のルールに応じて処理がなされれば何れの方法でもよい。
【0051】
S310では、タグ情報管理部44は、禁止エリアが重複する範囲をもとに、既存の禁止エリアの位置データを更新し、続いてS312の処理を行う。
S312では、タグ情報管理部44は、エリアIDを発行し、発行したエリアIDに、受信した禁止エリアの位置データと権限データとを関連付けて禁止エリアテーブルに新規登録する。このとき、タグ情報管理部44は、更新した位置データ、新規登録した位置データなどを含む処理の結果を送信部42に通知し、続いてS316の処理が行われる。
【0052】
S314では、タグ情報管理部44は、エリアIDを発行し、発行したエリアIDに、重複した範囲を除いた位置データと権限データとを関連付けて禁止エリアテーブルに新規登録する。この場合、タグ情報管理部44は、新規登録した位置データを含む処理の結果を送信部42に通知し、続いてS316の処理が行われる。
S316では、送信部42は、通知を受けた処理結果をユーザの操作するクライアント端末に送信する。S318では、ユーザの操作するクライアント端末は、AR提供サーバ100から受信した情報を表示パネルに表示する。
【0053】
図12に、表示パネルに表示される内容の一例を示す。ここでは、既存の禁止エリア510に新たな禁止エリア520が重複するように設定されたときに、新たな禁止エリア520で既存の禁止エリア510が上書きされた場合と、上書きされなかった場合との例が示されている。
新たな禁止エリア520で既存の禁止エリア510が上書きされる場合、既存の禁止エリア510は、新たな禁止エリア520と重複する範囲が除かれた禁止エリア540に更新されると共に、新たな禁止エリア520が新規登録される。他方、新たな禁止エリア520で既存の禁止エリア510が上書きされない場合、既存の禁止エリア510は、そのままで、新たな禁止エリア520から重複する範囲が除かれた禁止エリア530が新規登録される。
このように、ユーザの権限に応じて、タグを貼付できないエリアを設定することで、タグの貼付をより適切に制限することができる。
【0054】
なお、図11に示したクライアント端末200を介して禁止エリアを設定する方法は一例であり、これに限定する必要はない。例えば、AR提供サーバ100またはこれら以外の計算機(図示しないが、例えば、本AR提供システムを管理する管理者の使用する計算機)等に備えられた表示パネルに表示され、当該表示パネルに対するユーザ操作に応答して指定された範囲を、禁止エリアとして設定してもよい。
また、本実施形態では、緯度・経度データ(地図情報を表示パネルに提示してGUIを介して指定された範囲)を入力することで禁止エリアを指定する方法を採用しているが、禁止エリアを指定する方法は、GUIを介して指定する方法に限定されるものではなく、適宜の方法を採用できる。例えば、住所情報を入力することで禁止エリアを指定する方法、郵便番号を入力することで禁止エリアを指定する方法、基準点からの指定範囲(例えば、東京タワーより2km以内を示す情報)を入力することで禁止エリアを指定する方法、地図情報上のメタデータ(第一種低層住居専用地域を示す情報など)を入力することで禁止エリアを指定する方法がある。
【0055】
また、図11に示した禁止エリアの設定処理と同様、設定した禁止エリアの解除を行うことも可能である。例えば、図11のS302において、クライアント端末200よりAR提供サーバ100へ、禁止エリアとして設定しようとする位置に関する情報を送信したが、当該処理に代えて、禁止エリアを「解除」しようとする位置に関する情報を、送信する。当該解除しようとする位置に関する情報を受信したAR提供サーバ100は、S304と同様、当該受信した位置に関する情報と、設定済みのエリア情報とに基づいて、エリアが重なるか否かを判定し、S312やS314において、新規「登録」に代えて禁止エリアテーブルより「削除(或いは、禁止エリア設定の解除フラグ等の登録)」処理を行うことによって、権限データに応じて禁止エリアを解除することが可能になる。
【0056】
また、本実施形態は、上述の構成に限られるものではない。例えば、ユーザの権限に応じて、禁止エリアの登録自体を制御してもよい。この場合、S302は同様であるが、以降の処理が異なる。より具体的には、重複範囲算出部46は、S302で送信された位置データに対応するエリアの権限データを、図10Aに示すような禁止エリアテーブルから読み出し、当該読み出したエリアの権限データとユーザの権限データとを比較して、当該エリアにおいて、ユーザが、禁止エリアを設定する権限を有するか否かを判定する。ユーザが権限を有していれば、S302で送信された位置データに対応するエリアが禁止エリアとして登録される。
【0057】
(第4の実施形態)
本実施形態では、タグを貼付する方法を変更することで、タグの貼付を制御する点が第1の実施形態と異なるので、第1の実施形態と異なるタグの登録処理について主に説明する。
第4の実施形態では、AR提供サーバ100の機能構成として、クライアント端末200に提供するタグを確認するタグ確認部48が追加され、それを図18に示す。タグ確認部48は、タグの位置データ及び後述の端末IDに基づいて、クライアント端末200に提供するタグを確認し、記憶デバイスからタグのメタデータを抽出し、当該処理結果をタグ情報管理部44へ通知する。
図13は、タグの登録処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、図7Aと同様の内容については、説明を適宜省略する。
まず、クライアント端末200の送信部32は、ユーザにより入力されたタグのメタデータとクライアント端末200を識別可能な端末ID(識別情報の一例)と撮影装置17で撮影された映像の画像(画像データ)をAR提供サーバ100に送信する(S402)。なお、クライアント端末200を識別可能な端末IDとは、ハードウェア(端末)単位で識別可能なIDでもよいし、ハードウェア(端末)を使用するユーザを識別可能とするIDでもよい。
【0058】
AR提供サーバ100の受信部41により端末IDとタグのメタデータが受信されると、位置判定部43は、タグの位置データと禁止エリアテーブルの位置データから算出した範囲データとを比較して、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているかを判定する(S404)。
このとき、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断された場合、S406の処理が行われる。この場合、位置判定部43は、貼付不可画像を含む貼付不可情報を生成し、貼付不可情報を送信部42に通知する。他方、タグの位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていないと判断された場合、S420の処理が行われる。
【0059】
S406では、送信部42は、通知された貼付不可情報をクライアント端末200に送信する。
クライアント端末200の受信部31により貼付不可情報が受信されると、表示部34は、タグの貼付方法の選択を受け付ける画面(選択画面)を表示パネルに表示し、入力部33は、ユーザ操作に応答してユーザによる選択を入力する(S408)。ここでは、クライアント端末200(自機)でのみ参照するタグを貼付する自機貼付方法か、キャンセルするかの選択が受け付けられる。
このとき、自機貼付方法が選択された場合は、続いてS410の処理が行われ、キャンセルが選択された場合は、登録処理は終了する。
【0060】
S410では、タグ情報管理部44は、タグIDを発行し、発行したタグIDに、タグのメタデータ及び端末IDを関連付けてタグ管理テーブルに新規登録する。これは、禁止エリア内であっても、自機でしか参照できないタグの貼付であるので、登録を許可するものである。この場合、タグ情報管理部44は、タグの内容データからタグのAR画像を生成し、生成したタグのAR画像とタグの位置データとを含むタグ情報を送信部42に通知し、続いてS422の処理が行われる。
図14に、タグ管理テーブルの一例を示す。タグ管理テーブルは、タグIDと、タグの位置と、タグの内容と、端末IDとの項目の情報を含んで構成される。端末IDの項目には、クライアント端末200を識別するIDが格納される。
【0061】
S420では、タグ情報管理部44は、タグIDを発行し、発行したタグIDに、受信したタグのメタデータを関連付けてタグ管理テーブルに新規登録する。この場合、タグ情報管理部44は、タグの内容データからタグのAR画像を生成し、生成したタグのAR画像とタグのメタデータに含まれる位置データとを含むタグ情報を生成し、送信部42に通知し、続いてS422の処理が行われる。
【0062】
S422では、送信部42は、通知されたタグ情報をクライアント端末200に送信する。S424では、クライアント端末200は、AR提供サーバ100から受信した情報を表示パネルに表示する。
【0063】
なお、本実施形態のS402及びS404については、第1の実施形態と同様、タグの位置データ即ちタグを貼付する位置ではなく、クライアント端末200の位置データを用いてもよい。この場合、図13のS402及びS404の処理が異なる。上述のような構成の場合、例えば、図13のS402に代えて、クライアント端末200が、「クライアント端末200の位置データ」、「タグのメタデータ」及び「端末ID」を、AR提供サーバ100へ送信する。そして、S404に代えて、位置判定部43は、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているか否かを判定する処理を行う。
【0064】
また、図9Aや図9B(第2の実施形態)のS212の処理に続き、図13のS410及びS410以降の処理を実行してもよい。このように第2の実施形態に本実施形態の自機貼付方法を組み合わせることによって、タグを設定する権限が本来無いエリアであっても、クライアント端末200(自機)でのみ参照するタグを貼付することが可能になる。当該構成においては、例えば、図9Aや図9BのS202にて、クライアント端末200よりAR提供サーバ100へ送信する各種情報の1つとして「端末ID」も加えるとよい。
【0065】
また、本実施形態は、上述の構成に限られるものではなく、適宜変更することができる。例えば、本実施形態のS402及びS404については、第1の実施形態及び第2の実施形態にて説明した方式と同様、端末の位置データを用いなくてもよい。この場合、S402にてクライアント端末200の送信部32は、クライアント端末200の位置データをAR提供サーバ100へ送信する必要はなく、S404にて位置判定部43は、タグのメタデータ(タグの位置データ)が禁止エリアの範囲データに含まれているかを判定する。
【0066】
図15は、タグの表示処理に係るフローチャートの一例を示す図である。クライアント端末200において、拡張空間アプリケーションが起動されと、表示処理が開始する。
まず、クライアント端末200の送信部32は、クライアント端末200の位置データと端末IDとをAR提供サーバ100に送信する(S502)。なお、当該位置データは、クライアント端末200の位置に限定する必要はない。例えば、クライアント端末200の撮影装置17によって撮影された現実空間の位置でもよい。以下の説明においては、一例として、クライアント端末200の位置を用いて説明する。
AR提供サーバ100の受信部41によりクライアント端末200の位置データと端末IDとが受信されると、位置判定部43は、クライアント端末200の位置データと禁止エリアテーブルの位置データから算出した範囲データとを比較して、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれているかを判定する(S504)。
【0067】
このとき、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていると判断された場合、S506の処理が行われ、他方、クライアント端末200の位置データが禁止エリアの範囲データに含まれていないと判断された場合、S510の処理が行われる。
S506では、タグ確認部48は、タグ管理テーブルを参照して、S504でタグが位置していると判断された禁止エリアの範囲内に、受信した端末IDが設けられたタグが存在するかを確認する。このとき、存在すると判断された場合、続いてS508の処理が行われ、他方、存在しないと判断された場合、表示処理は終了する。
【0068】
S508では、タグ情報管理部44は、当該禁止エリアの範囲内のタグのうち、受信した端末IDが設けられたタグをタグ管理テーブルから抽出し、続いてS514の処理が行われる。
例えば、タグ管理テーブルが図14に示すタグ管理テーブルであり、クライアント端末200の端末IDが「A01」である場合、タグ情報管理部44は、タグID「0001」、「0005」に対応するメタデータ(タグの位置データ及び内容データ)を抽出する。
また、タグ情報管理部44は、抽出したタグデータの内容データからタグのAR画像を生成し、生成したタグのAR画像とタグの位置データとを含むタグ情報を生成し、生成したタグ情報を送信部42に通知し、続いてS514の処理が行われる。
【0069】
S510では、タグ確認部48は、所定の範囲の範囲データ内にタグの位置データが存在するかを判定する。このとき、存在すると判断された場合、S512の処理が行われ、他方、存在しないと判断された場合、表示処理は終了する。
例えば、タグ確認部48は、所定の範囲を示す範囲データを算出するための情報として、円の半径rが記憶デバイスに記憶されていた場合、タグ管理テーブルを参照してクライアント端末200の位置データを中心とする半径rの円内に位置するタグ(タグID)を特定する。
【0070】
S512では、所定の範囲内のタグのメタデータをタグ管理テーブルから抽出する。また、タグ情報管理部44は、抽出したタグデータの内容データからタグのAR画像を生成し、生成したタグのAR画像とタグの位置データとを含むタグ情報を生成し、生成したタグ情報を送信部42に通知し、続いてS514の処理が行われる。
S514では、送信部42は、通知されたタグ情報をクライアント端末200に送信する。S516では、クライアント端末200は、AR提供サーバ100から受信したタグ情報を表示パネルに表示する。
上述した構成によれば、タグを貼付できないエリア内であっても、貼付方法を変更することで、タグの貼付をより適切に制限することができる。
【0071】
(その他の実施形態)
本実施形態は、上述した構成に限られるものではない。
例えば、上述した実施形態では、AR提供サーバ100がタグの制御に係る各種の情報を保持する構成を採用したが、AR提供サーバ100とは異なる装置(データベースサーバ等)がタグの制御に係る各種の情報を保持する構成を採用してもよい。
また、例えば、AR提供サーバ100で行われる処理の全部又は一部をクライアント端末200で行ってもよいし、クライアント端末200で行われる処理の全部又は一部をAR提供サーバ100で行ってもよい。
また、タグのAR画像は、現実空間画像上の表示形態の一例であり、タグの内容データ等をもとに生成されるタグの内容を示すテキストオブジェクト、音声データ、動画データなどであってもよい。この場合も、テキストオブジェクトなどは、AR提供サーバ100で生成されてもよいし、クライアント端末200で生成されてもよい。
【0072】
また、説明の便宜上、タグの位置データや禁止エリアの範囲データが二次元平面の場合を例に説明したが、三次元空間で設定・登録してもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、位置(クライアント端末200の位置、禁止エリアの位置)に応じてタグの貼付を制御する構成であるが、この構成に加えて或いは代えて、規定された時間帯であるときにタグの貼付を許可するなど、時間に応じてタグの貼付を制御する構成を採用してもよい。
付言するならば、上述した構成については、適宜組み合わせて採用することができる。
また、上述した構成によれば、タグの貼付を適切に制御することができる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
41 受信部
42 送信部
43 位置判定部
44 タグ情報管理部
100 AR提供サーバ
200 クライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部を有する情報処理装置であって、
端末装置から指定されたタグの貼付位置を示すタグ位置情報を受信する受信手段と、
前記記憶部から読み出したタグを貼れないエリアを示すエリア情報と前記タグ位置情報とから前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれているか否かを判断し、前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれていると判断した場合、前記エリアにおいてタグを貼ることができないことを示す貼付不可情報を前記端末装置に送信する貼付制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記タグ位置情報、前記タグの内容を示す内容情報、及び前記端末装置の位置を示す位置情報を、前記端末装置から受信し、
前記貼付制御手段は、前記端末装置の位置を示す位置情報或いは前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれていないと判断した場合、前記内容情報と前記タグ位置情報とを関連付けて前記記憶部に格納することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部には、前記エリアのエリア情報に、前記エリアにタグを貼ることが許可される権限を示す権限情報が関連付けられて記憶され、
前記受信手段は、前記端末装置の権限に関する権限情報を前記端末装置から受信し、
前記貼付制御手段は、前記端末装置の位置を示す位置情報或いは前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれていると判断した場合、前記記憶部から読み出した前記エリアの権限情報と前記端末装置の権限情報とから前記エリアにタグを貼ることが許可されているか否かを更に判断し、前記エリアにタグを貼ることが許可されていないと判断したとき、前記貼付不可情報を前記端末装置に送信することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記エリア情報とは二次元平面或いは三次元空間で示された範囲であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記タグ位置情報は、前記端末装置、前記情報処理装置、又は、前記端末装置および情報処理装置とは異なる計算機より指定されたタグの貼付位置を示す、二次元平面或いは三次元空間で特定される位置情報であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部から読み出したエリア情報と前記端末装置、前記情報処理装置、又は、前記端末装置および情報処理装置とは異なる計算機より指定されたエリア情報とを比較して両エリアが重なるか否かを判断し、両エリアが重ならないと判断した場合、前記端末装置、前記情報処理装置、又は、前記端末装置および情報処理装置とは異なる計算機より指定されたエリア情報を前記記憶部に格納する格納手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記受信手段は、前記端末装置の権限に関する権限情報を前記端末装置から受信し、
前記格納手段は、前記記憶部から読み出したエリア情報と前記端末装置より指定されたエリア情報とを比較して両エリアが重なると判断した場合、前記端末装置の権限情報が前記記憶部に記憶された前記エリア情報に関連する規定の権限情報よりも上位の権限情報であるとき、前記端末装置より指定されたエリア情報を前記記憶部に格納することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
記憶部を有する情報処理装置が実行するAR提供方法であって、
端末装置から指定されたタグの貼付位置を示すタグ位置情報を受信する受信工程と、
前記記憶部から読み出したタグを貼れないエリアを示すエリア情報と前記タグ位置情報とから前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれているか否かを判断し、前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれていると判断した場合、前記エリアにおいてタグを貼ることができないことを示す貼付不可情報を前記端末装置に送信する貼付制御工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
記憶部を有するコンピュータを、
端末装置から指定されたタグの貼付位置を示すタグ位置情報を受信する受信手段と、
前記記憶部から読み出したタグを貼れないエリアを示すエリア情報と前記タグ位置情報とから前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれているか否かを判断し、前記タグ位置情報が前記エリア情報に含まれていると判断した場合、前記エリアにおいてタグを貼ることができないことを示す貼付不可情報を前記端末装置に送信する貼付制御手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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