説明

情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラム

【課題】 要求に応じて利用者端末に視覚的にパスウェイを示すことができ、かつ、そのパスウェイを利用者端末において簡便に編集する環境を提供することができる情報処理装置、情報処理方法、及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】 パスウェイ情報データベース12は、タンパク質、アミノ酸、遺伝子などのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つのノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを利用者端末3において視覚的に示すためのパスウェイデータと、パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納する。検索処理部14は、パスウェイ情報データベース12に対して、検索要求受信部13が受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイを検索する。検索結果送信処理部15は、検索処理部14の検索結果で特定されるパスウェイのパスウェイデータ及び属性情報を利用者端末3へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象物間の関係を視覚的に表示するパスウェイに関する処理を行う情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体を構成する遺伝子やタンパク質同士の関係を表現する方法のひとつとして、遺伝子やタンパク質をノードとして、そのノード間の相互作用をコントロールとして視覚的に表すパスウェイが用いられている。パスウェイとは細胞内に多数存在する蛋白質がお互いに関連を持ちながら一つの現象を行う(たとえば細胞接着や細胞分裂、神経伝達物質の放出など)過程のことである。この過程において人では約3万種ある蛋白質のうち特定のものが特定の時期に働き、一つのパスウェイを形成する。そして、このパスウェイを利用することにより疾患のメカニズム等を解析することに役立てている。
【0003】
ところで、パスウェイ情報のデータベースは既に多く公開されており、公開されている情報に所定のツールを用いることでグラフ化して表示をすることもできる。例えば、サーバ上のデータベースに対してクライアントから目的とする疾患のメカニズム等を指示することにより、対応するパスウェイを画像で表示するシステムが開示されている(例えば、非特許文献1を参照。)。ここでは研究等によって人手で解明されてきたパスウェイ情報がデータベースに格納されており、それらの情報を簡単に表示できるというものである。
【0004】
この非特許文献1に対して、例えば、その前提となるパスウェイ情報の登録について人手に頼らず、自動化するシステムについて開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1では、データベースに蓄えられた膨大な論文から、相互関係を有するサブスタンス(遺伝子等)の名前を抽出し、それに基づいてサブスタンス間の新たな相互作用を導出して表示するシステムが提案されている。サブスタンスの名前と、ファンクションに関するキーワードに基づいて機械的に相互関係を抽出している。
【0005】
特許文献1では、既に確立されているパスウェイをGIF等の画像フォーマットで作成しておき、要求があったときに当該画像を表示するということが行われている。したがって、ユーザはデータベースに登録されているパスウェイをグラフィカルに表示することはできても、それを加工して別の表示をしたり、新たな相互関係を持つ遺伝子等の情報を追加したりすることも出来ないという問題がある。
【0006】
そのような中、例えば、一部の製品では、パスウェイ情報をXML形式で取り出すための技術が利用されている(例えば、非特許文献2を参照。)。非特許文献2におけるXML形式でのパスウェイ情報は、単にコントロールとノードとの関連性を定義しただけであって、ユーザが視覚的に認識しやすいようなグラフィカルに表示するための定義が含まれておらず、XML形式で取り出したパスウェイ情報はそのままでは把握しにくいという問題がある。そのため非特許文献2では、取り出したXML形式のパスウェイ情報をグラフィカルな表示をするために専用ソフトウェア等で描画の加工をしなければならない。
【0007】
更に、遺伝子解析の分野では、解明されたパスウェイ等を積極的に公開して、公開されたパスウェイに更なる研究や解析が繰り返し行われることで、効率的な遺伝子解析が促進される。例えば非特許文献2のようにXMLでパスウェイが取り出せることによってパスウェイ情報そのものが編集しやすくなり、新たな相互関係を追加しやすい環境が出来つつある。しかし、非特許文献2では、取り出したXML情報がテキストデータとしてだけの利用しかできなく、視覚的な認識ができないという不便さがある。また当該システムがスタンドアローンでしか動作しないため、積極的にパスウェイ情報を公開するには不都合であるという問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2003−186894号公報
【非特許文献1】“医薬分子設計研究所”、[online]、株式会社医薬分子設計研究所、[平成16年10月5日検索]、インターネット<URL:http://www.immd.co.jp/product_1.html>
【非特許文献2】“PathwayAssist, software for pathway analysis and visualization.”、[online]、Ariadne Genomics Inc.、[平成16年10月5日検索]、インターネット<URL:http://www.ariadnegenomics.com/products/pathway.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来のパスウェイ提供装置は、視覚的に把握できる情報であるパスウェイを表示することはできてもそれを編集できないという問題がある。更に、編集可能なテキストデータとしてXML等のフォーマットでパスウェイの情報が取り出せたとしても、編集中に視覚的にパスウェイの状態を確認できないので不便であるという問題や、編集後のパスウェイ情報であるXMLデータはテキストデータなので、視覚的なパスウェイとして公開することが出来ないという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、要求に応じて利用者端末に視覚的にパスウェイを示すことができ、かつ、そのパスウェイを利用者端末において簡便に編集する環境を提供することができる情報処理装置、情報処理方法、及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明による情報処理装置においてはネットワークを介して利用者端末からアクセス可能な情報処理装置であって、タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つのノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを利用者端末において視覚的に示すためのパスウェイデータと、パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納するパスウェイ情報データベースと、利用者端末から所望のパスウェイを検索するための検索条件を含む検索要求を受信する検索要求受信手段と、パスウェイ情報データベースに対して、検索要求受信手段が受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイを検索する検索手段と、検索手段の検索結果で特定されるパスウェイのパスウェイデータ及び属性情報を利用者端末へ送信可能な検索結果送信手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
これにより、本発明による情報処理装置は、利用者端末の要求に応じて利用者端末にパスウェイを視覚的に示すことができるとともに、視覚的に示したパスウェイの編集を可能とする環境を利用者端末に提供することができる。
【0013】
また、本発明による情報処理装置の一態様例においては、上記検索結果送信手段は、検索手段の検索結果で特定されるパスウェイの属性情報を利用者端末へ更に送信することを特徴とする。
これにより、利用者は、属性情報に含まれるパスウェイに関する詳細な情報や、パスウェイを構成するノードやコントロールに関する情報を参照することができる。
【0014】
また、本発明による情報処理装置の一態様例においては、上記編集プログラムは、利用者端末において視覚的に示されたパスウェイに含まれるノードやコントロールに対して属性情報を入力する機能を更に備えることを特徴とする。
これにより、利用者は、新規に追加するコントロールやノードに対して属性情報を付与することができる。
【0015】
また、本発明による情報処理装置の一態様例においては、上記パスウェイ情報データベースに格納される属性情報は、生物の構造に応じた階層情報を含むことを特徴とする。
これにより、生物の構造に応じた例えば臓器−組織−細胞をそれぞれ特定する階層情報を属性情報に含むため、遺伝子やタンパク質に関するパスウェイを効果的に分類することができる。
【0016】
また、本発明による情報処理装置の一態様例においては、上記利用者端末における編集作業に応じた編集結果を、ネットワークを介して利用者端末から受信する編集結果受信手段と、パスウェイ情報データベースに対して、編集結果受信手段が受信した編集結果を反映させる編集反映処理手段とを更に具備することを特徴とする。
これにより、随時編集結果を反映したパスウェイ情報データベースを、ネットワークを介して公開することができる。
【0017】
また、本発明による情報処理方法においては、ネットワークを介して利用者端末からアクセス可能な情報処理装置を用いた情報処理方法であって、利用者端末から所望のパスウェイを検索するための検索条件を含む検索要求を受信する検索要求受信ステップと、タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つのノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを利用者端末において視覚的に示すためのパスウェイデータと、パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納するパスウェイ情報データベースに対して、検索要求受信ステップで受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイを検索する検索ステップと、検索ステップの検索結果で特定されるパスウェイのパスウェイデータ及び属性情報を利用者端末へ送信する検索結果送信ステップとを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるプログラムは、ネットワークを介して利用者端末からアクセス可能な情報処理装置用のプログラムであって、利用者端末から所望のパスウェイを検索するための検索条件を含む検索要求を受信する検索要求受信ステップと、タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つのノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを利用者端末において視覚的に示すためのパスウェイデータと、パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納するパスウェイ情報データベースに対して、検索要求受信ステップで受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイを検索する検索ステップと、検索ステップの検索結果で特定されるパスウェイのパスウェイデータ及び属性情報を利用者端末へ送信する検索結果送信ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明による情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムによれば、パスウェイ情報を簡便に編集でき、かつ、編集後のパスウェイを公開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施形態におけるサーバ(情報処理装置)は、ネットワークを介して利用者端末に視覚的なパスウェイ情報を編集可能な状態で提供するサーバであり、以下にその概略構成について説明を行う。尚、本実施形態のパスウェイは、遺伝子、たんぱく質、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)、アミノ酸、及びそれらのグループのいずれかをノードで示し、ノード間の相互関係をコントロールで示すパスウェイである。図1は、本実施形態におけるサーバ及びそのサーバを含むシステムの概略構成を示す図である。
【0021】
図1において、1は、サーバであり、遺伝子やたんぱく質の関係を示すパスウェイに関するパスウェイ情報を管理すると共に、後述するネットワーク2を介して後述する利用者端末3に対して、パスウェイ情報を編集可能な状態で提供する。2は、ネットワークであり、例えばインターネットである。3は、利用者端末A、利用者端末B、利用者端末C、…(以下、単に利用者端末3とする)であり、ネットワーク2を介してサーバ1にアクセス可能なコンピュータ端末である。尚、利用者端末3は、図示していないが、マウスやキーボードなどの入力装置と、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイなどの表示装置を具備している。
【0022】
サーバ1が、利用者端末3に提供するパスウェイとは、例えば図2に示すような視覚的にノードの相互関係を把握できる画像である。図2は、本実施形態にけるパスウェイ例を示す図である。図2において、20は、パスウェイであり、遺伝子、たんぱく質、DNA、アミノ酸、及びそれらのグループいずれかを示すノードと、ノード間の相互関係を示すコントロールとから構成される相互関係図である。パスウェイ20は、ノード21〜24と、コントロール25〜28を含む構成である。
【0023】
図2において、ノード21、22、24とノード23の形が異なるように、ノードの形は、例えば遺伝子なら円、たんぱく質なら六角形というように、ノードが何を示すものであるかにより定義されている。また、各ノード21、22、24には、A、B、Dという遺伝子やたんぱく質の名称(又は識別コードなど)が付与されている。また、図2のコントロール25〜28に示すように、コントロールの形も、各ノード間の相互関係の種類、強さにより異なる。図2では、コントロールの形として、実線や点線の違いの他に、線の中央部分に四角や丸のマークが付与することで、コントロールにおける種々の違いを示している。
【0024】
また、利用者端末3の利用者は、ウェブブラウザや後述する編集プログラム上に表示されたパスウェイ20において、各ノード21〜24のいずれかをクリックすることで、クリックしたノードに関する情報(ノード属性情報)を参照することができる。同様に、利用者端末3の利用者は、表示されたパスウェイ20において、各コントロール25〜28のいずれかをクリックすることで、クリックしたコントロールに関する情報(コントロール属性情報)を参照することができる。
【0025】
本実施形態のサーバ1は、図2に示したようなパスウェイ20を、要求に応じて利用者端末3に送信すると共に、利用者端末3の画面上で直接パスウェイ20のノードやコントロールを編集可能な環境を提供し、更に、編集結果を自身が管理するパスウェイ情報に反映することができるという特徴を有する。これにより、例えば、ネットワーク2がインターネットであれば、世界中の研究者が、サーバ1に格納されるパスウェイの編集を行うことができ、サーバ1は、その編集結果を反映したパスウェイを提供できる。すなわち、最新の研究結果や理論等が反映された種々のパスウェイのデータベースを構築できる。
【0026】
次に、図1に示すサーバ1の機能構成について説明する。11は、制御部であり、サーバ1内の各処理部の制御やデータの流れの制御などを行う。12は、パスウェイ情報データベースであり、図2で示したパスウェイ20のような視覚的なパスウェイを表示するために必要なデータ(以下、パスウェイデータとする)、パスウェイの属性情報、及びパスウェイを構成するコントロールやノードのそれぞれの属性情報(コントロール属性情報及びノード属性情報)などを、パスウェイを識別する識別子に関連付けて格納している。また、パスウェイデータは、パスウェイを構成するコントロール情報及びノード情報からなり、当該コントロール情報/ノード情報の位置情報を定義する情報を含ませて全体として1つの相互関係を視覚的に示すデータである。尚、パスウェイ情報データベース12の詳細なデータ構成については後述する。
【0027】
13は、検索要求受信部であり、利用者端末3から、所望のパスウェイの検索条件を含む検索要求を、ネットワーク2及び後述する送受信処理部1Aを介して受信する。14は、検索処理部であり、パスウェイ情報データベース12から、検索要求受信部13が受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイデータを含むパスウェイ情報を検索して検索結果を出力する。
【0028】
15は、検索結果送信処理部であり、検索処理部14が出力する検索結果を、上記検索要求の送信元である利用者端末3へ送信する。また、検索結果送信処理部15は、利用者端末3において、パスウェイデータを基にパスウェイ20が表示された場合に、表示されたパスウェイに対してコントロールやノードの追加や削除などの編集を行うことができる編集プログラムを検索結果と合わせて送信する機能も備える。
【0029】
16は、編集支援処理部であり、利用者端末3において編集プログラムが実行され、編集作業が行われている間に、利用者端末3から編集に必要な情報などの要求を受けると、この要求に対応して必要な情報を提供するなどの、利用者端末3における編集の支援処理を行う。例えば、利用者端末3において、パスウェイに追加しようとしている特定のノードがある場合に、その特定のノードに関する情報を提供する。
【0030】
17は、編集結果受信部であり、利用者端末3からパスウェイに対する編集結果を、ネットワーク2及び後述する送受信処理部1Aを介して受信する。18は、編集反映処理部であり、パスウェイ情報データベース12に対して、編集結果受信部17が受信した編集結果を反映する処理を行う。これにより、利用者端末3が検索要求により当該編集結果を反映したパスウェイを参照することができるようになる。また、編集反映処理部18は、編集結果を反映する際に、編集結果により新たに追加、削除、又は変更された内容に応じて、更新したパスウェイ情報に対して、パスウェイ情報データベース12内のデータ構造に適した属性を付与する機能を更に備えてもよい。
【0031】
19は、データベース管理部であり、パスウェイ情報データベース12に格納しているパスウェイ情報に対する、更新履歴や更新内容を特定する情報を保存して、パスウェイ情報の更新管理を行なう。後述するとおり、本実施の形態ではパスウェイ情報データベース12に格納されているパスウェイ情報が読み出されたり、編集して反映されたりするが、その際「いつ」「誰が」格納したパスウェイに対して読み出し・書き込みが行われるかが重要な情報となる。従って、データベース管理部19においては、パスウェイのID毎に更新履歴が管理される。1Aは、送受信処理部であり、ネットワーク2を介して例えば利用者端末3と通信を行う。
【0032】
次に、図1に示したパスウェイ情報データベース12のデータ構成の概念について説明する。図3−1は、図1に示したパスウェイ情報データベース12における1つのパスウェイのデータ構成例を示す図である。図3−1に示すように、パスウェイ情報データベース12に格納されるパスウェイの情報は、各パスウェイを識別する情報である「パスウェイID」に関連付けて、以下に示す情報を格納する。「パスウェイ属性情報」30は、「パスウェイID」で特定されるパスウェイの属性に関する情報として、例えば人体のどの部分の細胞に関するのかや、どの疾患に関するのかなどの情報である。尚、本実施形態における「パスウェイ属性情報」30の詳細については後述する。
【0033】
「パスウェイデータ」40は、図2に示したように視覚的にパスウェイを表示するために必要なデータであり、本実施形態ではXMLをベースとするベクター・グラフィックス言語であるSVG(Scalable Vector Graphics)を用いて記述されたデータである。このように、本実施形態においてパスウェイのデータ形式は、XML等のマークアップ言語を用い、特に、SVG等の画像表示に有効な形式で格納することを特徴とする。
【0034】
「ノード属性情報」50は、「パスウェイデータ」40に含まれる各ノードの属性に関する情報である。ノードの属性の情報とは、例えばたんぱく質を示すノードであれば、たんぱく質であることを示す情報、たんぱく質名、化学構造情報、関連するDNAや化合物に関する情報やその情報の参照先の情報(URLなど)など、ノードが示すものに関する情報であれば種々の情報を格納して好適である。
【0035】
「コントロール属性情報」60は、「パスウェイデータ」40に含まれる各コントロールの属性に関する情報である。コントロールの属性の情報とは、コントロールの種類に関する情報(どのような意味付けで相互関連しているかを示す情報)、コントロールが結ぶ両ノードの相互作用や関連性の強さを示す情報、コントロールの信頼性を示す情報(相互関連を裏付ける実験データや文献など)、コントロールが成立する(ノード間の相互作用が起こる)場合の条件に関する情報などである。
【0036】
次に、図3−1に示したパスウェイ情報データベース12の格納する「パスウェイ属性情報」30のXMLデータ例を示して、その詳細を説明する。図3−2は、図3−1に示したパスウェイ情報データベース12における「パスウェイ属性情報」30のXMLデータ例を示す図である。図3−2に示すように、「パスウェイ属性情報」30は、XMLを用いて記述されており、“<pathway ・・・>”と“</pathway>”のタグで囲まれた範囲が、図3−1で示した1つのパスウェイ情報として定義されている。つまり図3−2では、2つのパスウェイのXMLデータが示されている。
【0037】
本実施形態におけるパスウェイ情報データベース12は、「パスウェイ属性情報」30として、生物体(本実施形態では人間の体)の構造に応じた階層情報(例えば、図3−2の階層情報31)を有する点に特徴がある。これは、例えば、同じアミノ酸であっても、心臓の表皮細胞における他のタンパク質との関わりと、腎臓の尿細管上皮細胞における他のタンパク質との関わりとが異なる(=異なるパスウェイとなる)場合に有効な特徴である。本実施形態のパスウェイの属性情報は、生物の構造に応じた階層情報を有するので、上記のような場合でも、効率良くパスウェイを分類して格納することが可能である。
【0038】
本実施形態における生物体の構造に応じた階層情報とは、階層情報31に示すように、個体における特定の臓器を示す臓器情報、各臓器における特定の組織を示す組織情報、各組織における特定の細胞を示す細胞情報、及び各細胞における特定の構成要素(例えば、細胞質、細胞膜、核など)を示す細胞要素情報の4つの情報から構成される。尚、生物体の構造に応じた階層情報の構成としては、上述した限りではなく、例えば、個体情報−臓器情報−組織情報−細胞情報という構成など、種々の構成を用いて好適である。ここで個体情報とは、生物の種別(例えば、人間、猿、犬などの種類)を特定する情報である。
【0039】
図3−2に示すように、「パスウェイ属性情報」30は、「パスウェイID」で特定されるパスウェイに関する以下の情報を含む構成である。階層情報31は、上述したように臓器情報−組織情報−細胞情報−細胞要素情報の各階層を特定する情報を示している。登録者情報32は、このパスウェイを登録した登録者の名称情報である。所属情報33は、登録者の所属する組織に関する情報である。バージョン情報34は、このパスウェイのバージョンに関する情報である。即ち、パスウェイは、随時更新されてバージョンアップするものである。パスウェイ名35は、このパスウェイの名称である。疾患情報36は、このパスウェイが関係する疾患に関する情報である。機能情報37は、このパスウェイが関連する他のパスウェイなどに関する情報である。
【0040】
同様に、図3−3は、図3−1に示した「パスウェイデータ」40、「ノード属性情報」50、「コントロール属性情報」60などパスウェイ情報を構成する他のデータについての例を示す図である。
【0041】
「パスウェイデータ」40である“<svg・・・>”と“</svg>”のタグで囲まれた範囲には、後述するノードやコントロールをグラフィカルに表示するための情報が記載されている部分であり、本実施の形態ではSVGを用いて記載している。例えば、“<line id="L1"・・・・・>”では、コントロールL1の線を表示するための始点・終点と色情報が定義され、更にそれを囲むように記載されている“<a xlink:href="http://www.・・・・・">”と“</a>”により、文献へのハイパーリンク情報が埋め込まれている。同様にノードN1やN2の座標や、文字列“N1”、“N2”を表示するための定義などが記載されている。
【0042】
次に「ノード属性情報」50である“<nodes>”と“</nodes>”とで囲まれた範囲には、複数のノードに関する情報が定義されている。この中で例えば、“<attr name="NodeType" value="・・・・・・">”の部分は、このノードのタイプを示すものであり「タンパク質(Protein)」やタンパク質等の「複合体(Complex)」などと定義されている。
【0043】
また「コントロール属性情報」60である“<controls>”と“</controls>”とで囲まれた範囲には、複数のコントロールに関する情報が定義されている。このコントロールがどのノード間を接続しているか、或はその接続関係を裏付ける参考論文や実験に関するデータがどこに公開されているかというURL情報に関する情報が定義される。
【0044】
このように、パスウェイのデータはXMLやSVG等のフォーマットで記載され、パスウェイ情報データベース12に格納されている。上述したデータは1つのパスウェイ1つにつき、全ての情報を1つのファイルに納めてもよいし、或は任意の単位で分けて複数ファイルで納めておいてもよい。なお、ここに示したのはあくまでも一例であり、パスウェイに関する情報はこれに限られるものではない。
【0045】
次に、図1に示したサーバ1におけるパスウェイ提供処理について説明する。
図4は、図1に示したサーバ1におけるパスウェイ提供処理を示すフロー図である。図4に示すように、まず、ステップS1において、検索要求受信部13は、利用者端末3からネットワーク2及び送受信処理部20を介してパスウェイの検索要求(検索条件を含む)を受信する。
【0046】
次に、ステップS2において、検索処理部14は、検索要求受信部13が受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイをパスウェイ情報データベース12から検索する。次に、ステップS3において、検索結果送信処理部15は、検索処理部14が出力する検索結果及びその検索結果に含まれるパスウェイを編集するための編集プログラムを検索要求元の利用者端末3へ送信する。これにより、利用者端末3においては、図2に示したパスウェイ20のような視覚的なパスウェイが表示され、かつ、表示されたパスウェイに対して編集作業を行うことができる。なお、編集プログラムは一度利用者端末3へ送信された後は、毎回送信する必要はなくなるので、利用者の要求に応じて必要な場合にのみ送信すれば良い。また、複数のパスウェイが検索結果として抽出された場合は、まず結果リストを利用者端末3へ送信し、その中から利用者が選択したパスウェイについて表示するようにしても良い。
【0047】
次に、ステップS4において、編集支援処理部16は、利用者端末3から編集支援要求を受信したか否かを判断する。ここで、編集支援要求を受信したと判断した場合(ステップS4のYES)には、ステップS5に進み、編集支援処理部16は、受信した編集支援要求に応じた支援情報を利用者端末3へ送信する。ここで編集支援要求とは、例えば利用者が新たな「ノードa」をパスウェイに追加する場合に、利用者端末3は、パスウェイ情報データベース12に格納されている「ノードa」の属性情報を参照するための編集支援要求をサーバ1へ送信する。
【0048】
次に、ステップS4において編集支援要求を受信していないと判断した場合(ステップS4のNO)には、ステップS6において、編集結果受信部17は、編集結果を利用者端末3から受信したか否かを判断する。ここで、編集結果を受信していない場合(ステップS6のNO)には、ステップS4の処理に戻る。また、編集結果を受信した場合ステップS6のYES)は、ステップS7において、編集反映処理部18は、パスウェイ情報データベース12に対して、編集結果受信部17が受信した編集結果を反映する処理を行う。
【0049】
編集プログラムは、利用者端末3へ送信された後、利用者端末3上で動作するように自動または手動でインストールされる。編集プログラムでは、視覚的に表示されたパスウェイに直接的にコントロールやノードを追加/削除できる。例えば新たにコントロールとノードを追加する際には、コントロールやノードの追加ボタンを押下することでまだパスウェイに接続されていないコントロール/ノードの一覧が画面上に表示され、マウス等のポインティングデバイスにより利用者が所望の位置に所望のコントロール/ノードを接続することができる。そして、追加したコントロールやノードについてそれぞれの属性情報を記入することにより、サーバ1から受信したパスウェイにコントロールやノードを追加する一連の処理が終わる。
【0050】
なお、上記編集処理のユーザインターフェースは一例であり、コントロールやノードで表されるグラフ(パスウェイ)を編集する機能であれば良い。また、上記編集の例ではコントロールやノードの追加について説明したが、追加だけでなく削除したり、接続位置を変更したりするなど様々な機能が設けられる。
【0051】
更に、サーバ1から受信したパスウェイデータは、SVG等の言語で記載されるものであるので、上記視覚的な編集ではなくXMLやSVGを文字列で編集しても構わない。
【0052】
編集プログラムで編集が成されたパスウェイ情報は、図3−2でも説明した通り、登録者情報32として、登録者名情報も含まれる。
【0053】
以上に示したように、サーバ1は、パスウェイ情報データベース12に格納する視覚的に把握できるパスウェイをネットワーク2経由で公開しつつ、かつ、そのパスウェイに対して編集できる編集プログラムも提供している。更に、サーバ1は、パスウェイに対する編集結果を随時パスウェイ情報データベース12に格納されるパスウェイ情報に反映することができる。これにより、本実施形態のサーバ1は、パスウェイ情報を簡便に閲覧/編集できる環境を提供し、かつ、編集後のパスウェイを公開することができる。
【0054】
ここで、図4に示したステップS7において、編集反映処理部18が行うパスウェイ情報データベース12に対して編集結果を反映させる処理の詳細について説明する。
図5は、図4に示したステップS7において、編集反映処理部18が行うパスウェイ情報データベース12に対して編集結果を反映させる処理の詳細の一例を示す図である。図5に示すように、まず、ステップS11において、編集反映処理部18は、編集結果受信部17が受信した編集結果で編集対象としているパスウェイに関する情報を、パスウェイ情報データベース12から読み出す。
【0055】
パスウェイ情報データベース12からパスウェイに関する情報を読み出す際には、データベース管理部19で管理されている更新履歴が使用される。例えばあるIDのパスウェイについて、ノードやコントロールが複数の利用者により次々に登録された場合、それらは、図3−2で示したパスウェイ属性情報30のなかの、日付やバージョン番号として記録される。そして、サーバ1側では、この更新履歴を用いて、公開する範囲を設定することが出来るようになる。この範囲指定は、日付で制限をかけたりバージョン番号で制限をかけたり、サーバ1側で任意に設定できるようになっている。
【0056】
次に、ステップS12において、編集反映処理部18は、読み出したパスウェイの属性情報と、編集結果に含まれる属性情報を比較することで、編集結果を反映しても属性情報に矛盾が生じないか等を確認する確認処理を行う。矛盾が生じると考えられるケースとしては、「胃」由来のパスウェイとして公開されたにも拘らず、利用者が「肺」由来のタンパク質に関するノードとコントロールを追加編集して返信してくる事などがある。本実施形態では図3−2でも説明したように、生物体の構造に応じた階層情報としてパスウェイの情報をパスウェイ情報データベース12に格納しているため、パスウェイ情報データベース12上のデータと利用者から返信されてきたパスウェイの属性情報同士を比較することにより効率的に矛盾を排除できるようになった。
【0057】
次に、ステップS13において、編集反映処理部18は、ステップS12の処理において属性情報に矛盾が生じないことを確認した場合は、ステップS14に進み、編集反映処理部18は、ステップS11で読み出したパスウェイに対して、編集結果を基に編集及び更新を行う。次に、ステップS15において、編集反映処理部18は、更新後のパスウェイを要求に応じて閲覧可能な状態でパスウェイ情報データベース12に格納する。これにより、更新後のパスウェイは、ネットワーク2を介して公開された状態となる。
【0058】
また、ステップS12の処理において属性情報に矛盾が生じないことを確認した場合は、編集反映処理部18は、反映処理を終了する。すなわち、ステップS12のNOの場合には、編集反映処理部18は、パスウェイ情報データベース12に対して編集結果を反映しないようにする。これにより、例えば形式的に誤った内容を含む編集結果をパスウェイ情報データベース12に反映してしまうことを防ぐことができる。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態におけるサーバ1は、SVG形式のパスウェイ情報を格納し、利用者端末3からの要求に応じて当該パスウェイ情報を送信するが、この限りではなく、例えば公開することを許可しているパスウェイ情報のみを要求に応じて送信するようにしてもよい。
【0060】
また、公開されたパスウェイ情報に対しては、容易にコントロールやノードを追加する等の編集作業が可能であり、その編集結果はサーバ1のパスウェイ情報データベース12に反映される。このように、ネットワークを介して多くの研究者が、公開されたパスウェイ情報の更新を行うことが可能であるので、サーバ1の管理するパスウェイ情報データベース12は、より有益なパスウェイのデータベースになることが期待できる。
【0061】
[応用例]
次に、上述したパスウェイ情報を編集可能な状態で提供するサーバ1の応用例として、利用者毎にパスウェイに関する情報の公開可能な範囲を制限する公開制限サービスや、利用者の指定した情報が更新された場合にその更新内容を通知する更新通知サービスや、利用者のパスウェイ情報データベースへの新規情報の登録の契機を促すポイントサービスなどの機能を更に有するサーバ1aについて説明する。
【0062】
図6は、応用例であるサーバ1aの機能構成を示すブロック図である。図6において、図1と同じ符号が付与されたブロックは、同様の機能を有するものであり、説明を省略する。尚、図6においては、利用者端末3を省略しているが、図1と同様に、ネットワーク2には利用者端末3が接続されているとする。以下、図1に示したサーバ1と異なる機能ブロックについて説明する。
【0063】
パスウェイ情報データベース12aは、図3−1に示した情報に加えて、上記公開制限サービスを実現するために公開制限テーブルを格納する。この公開制限テーブルは、各パスウェイ情報や、各パスウェイデータ、各ノード属性情報などの必要に応じた範囲の情報に対して、利用者ID別の公開可能か否かを定めるフラグ(公開可能判別フラグ)を格納するテーブルである。また、公開制限テーブルには、有効期間が設定されている。この公開制限テーブルは、利用者は自身が登録したパスウェイに関する新規情報に対して設定可能である。これにより、他の利用者への登録した新規情報の開示を、任意の情報範囲、任意の期間、任意の使用レベル(書き込み可能か、印刷可能か、複写可能かなどを定めるレベル)で制限することができる。
【0064】
検索処理部14aは、上述したパスウェイ情報データベース12aから、検索条件に応じたパスウェイデータを含むパスウェイ情報を検索して検索結果を出力する機能に加えて、検索時に公開制限テーブルを参照して検索要求元の利用者に公開可能な情報のみを開示する検索結果を出力する機能を更に有する。図8は、利用者端末3に表示される検索処理部14aの検索結果表示例を示す図である。図8に示すように、利用者端末3に表示される検索結果画面80には、mKIAAxx05、mKIAAxx07、mKIAAxx18というコードの3つの遺伝子に関する情報の表示例が示されている。検索結果画面80に示す破線81で囲む領域が非表示領域(利用者が情報を閲覧できない領域)となっている。このように、サーバ1aは、公開制限テーブルを参照して検索要求元である利用者に公開可能な情報のみを、利用者端末3に検索結果として画面表示させることができる。
【0065】
データベース管理部19aは、上述したパスウェイ情報データベース12aに格納しているパスウェイ情報の更新管理の機能に加えて、後述する利用者情報データベース60に格納している利用者情報に関する管理機能を更に有する。また、データベース管理部19aは、利用者情報データベース60に格納する後述する要求情報を参照して、更新されたパスウェイ情報(又はその一部)が、利用者が更新の通知を希望する情報であると判断した場合には、後述する更新通知処理部65へ当該情報が更新された旨を通知する。
【0066】
利用者情報データベース60は、利用者に関する種々の情報を格納する。
図7は、図6に示した利用者情報データベース60のデータ構成例を示す図である。図7に示すように、利用者情報として利用者を特定する利用者IDに関連付けて、認証処理に必要な「認証情報」、上述した公開制限サービスを含む登録処理に関する情報である「登録情報」、上述した更新通知サービスに関する設定情報である「要求情報」、上述したポイントサービスに利用するポイントに関する情報である「ポイント情報」などを格納する。
【0067】
「認証情報」には、例えば、利用者IDで特定される利用者の利用者名、パスワード、パスワードの有効期限など利用者を特定し、認証するために必要な情報が含まれている。このように、利用者を特定することで、利用者別に、公開制限サービスや更新通知サービスを行うことができると共に、サーバ1aのセキュリティ性を向上している。
【0068】
「登録情報」には、利用者IDで特定される利用者が、過去に新規情報(遺伝子情報やタンパク質情報など)を登録したパスウェイ情報データベース12aに格納されるパスウェイ情報を特定するパスウェイID、パスウェイIDで特定されるパスウェイ情報に登録した新規情報の概要や内容に関する情報、パスウェイIDで特定されるパスウェイ情報に新規情報を登録した日時、及び登録した新規情報に対する公開制限情報が含まれる。
【0069】
また、公開制限情報は、登録した新規情報の閲覧を許可する(公開対象とする)対象者(利用者)やその公開する度合いを定める公開許可レベルに関する情報と、公開を制限する期間に関する情報などが含まれる。尚、この公開制限情報に基づいて、上記公開制限テーブルが生成される。
【0070】
「要求情報」には、更新通知サービスに関する設定情報が含まれる。具体的には、図7に示すように、更新時に通知を希望する情報を特定する情報である通知希望情報、通知希望情報で通知を希望する情報が更新された際に、更新内容を通知する方法を特定する通知方法情報などが含まれる。本実施形態では、更新内容の通知方法として、利用者がログインした際にポップアップウィンドウやログイン後の初期画面において、更新内容又は更新が有った旨と更新内容へのリンクを提示する第1の方法と、電子メールにて利用者に通知する第2の方法があり、利用者は任意の方法を選択できる。
【0071】
「ポイント情報」には、利用者IDで特定される利用者が過去に新規登録したことにより蓄積したポイントに関する情報が含まれる。尚、ポイント情報に含まれるポイントとは、上述したポイントサービスに利用されるものである。ここで、ポイントサービスとは、例えば一定以上のポイントを貯めた利用者には優先的に所定の情報を公開するなどのサービスである。
【0072】
利用者認証処理部61は、利用者端末3から認証要求を受けた際に、利用者情報データベース60から「認証情報」を参照して、利用者の認証を行う。制限設定処理部62は、図3に示す処理により利用者から新規情報がパスウェイ情報に対して登録された場合に、当該新規情報に対して公開を制限するための設定画面を利用者端末3に表示し、利用者に公開制限情報の入力を促す。また、制限設定処理部62は、その設定画面において利用者が設定した公開制限情報を利用者情報データベース60に格納すると共に、その公開制限情報を基に公開制限テーブルを生成して、パスウェイ情報データベース12a内の公開制限テーブルに反映させる。
【0073】
要求設定処理部63は、利用者端末3から更新通知サービスの利用要求を受けた際に、更新通知サービスの利用に必要な情報(要求情報)を入力する設定画面を利用者端末3に表示し、利用者に要求情報の入力を促す。また、要求設定処理部63は、その設定画面において利用者が設定した要求情報を利用者情報データベース60に格納する。
【0074】
ポイント管理部64は、上述したポイントサービスを提供するポイントであって、利用者情報データベース60に格納されているポイント情報を管理する。具体的には、利用者が、パスウェイ情報データベース12aに新規情報を登録した際に、ポイント加算を行い、ポイントサービスを利用した際には、サービスの対価として所定のポイントを減算する。
【0075】
更新通知処理部65は、データベース管理部19aから利用者が更新通知を希望する情報の更新の旨を受信した場合に、利用者情報データベース60から要求情報を参照して、要求情報に含まれる通知方法情報に応じた通知を行うよう処理する。尚、更新通知処理部65は、更新内容を通知する前に、公開制限テーブルを参照して、通知先の利用者に対して当該更新内容の公開許可があるかを確認する。ここで、公開許可がなければ、通知しないようにしてもよいし、更新があった旨及び公開許可を申し込む申込み先(更新内容の登録者)に関する情報を提供してもよい。
【0076】
以上に示した構成により、サーバ1aは、公開制限サービスを実現することで、安心して利用者が新規情報を登録できる環境を提供することができる。また、更新通知サービスを実現することで、利用者が必要とする情報をタイムリーに提供することができる。また、ポイントサービスを実現することで、利用者へパスウェイ情報データベース12aへの新規情報登録による利点を認識させ、より積極的な新規情報の登録を促すことができる。
【0077】
次に、図6に示したサーバ1aにおける登録処理、更新通知処理、及び更新通知設定処理の動作について説明する。図9は、図6に示したサーバ1aにおける登録処理や更新通知に関する処理の動作例を示すフローチャートである。尚、以下の説明では、ログイン後の初期画面で更新通知の情報があれば通知するように要求情報が設定されているとする。図9に示すように、ステップS21において、利用者認証処理部61は、ログインを要求してきた利用者端末3の利用者の認証を行う。ここで、利用者が認証された場合には、次のステップS22へ進む。
【0078】
ステップS22において、更新通知処理部65は、更新通知の設定に応じて、更新通知すべき情報(以下、更新情報とする)があれば、ステップS23に進み、その更新情報をログイン後の初期画面にて通知する。また、更新通知処理部65は、通知すべき更新情報が無い場合には、次のステップS24に進む。
【0079】
ステップS24において、利用者はログイン後の初期画面において、新規情報を登録する登録処理か、更新通知に関する設定を行う更新通知かのいずれかを選択し、この選択に関する情報(登録処理or更新通知の選択を示す情報)をサーバ1aが受信したとする。ここで、登録処理の選択を示す情報を受信した場合には、ステップS25へ進み、更新通知の選択を示す情報を受信した場合には、ステップS29へ進む。
【0080】
ステップS25において、サーバ1aは、図4を用いて説明したパスウェイ提供処理と同様の処理を行う。但し、本実施形態において、上述した図4の処理と異なる点は、ステップS2〜S3における、検索処理及び検索結果の出力処理において、公開制限テーブルを参照して、公開制限されている情報は検索結果に含めないようにする処理を行う点である。
【0081】
次に、ステップS26において、制限設定処理部62は、ステップS25で登録した新規情報に対して公開制限を設定するための設定画面を利用者端末3に表示する。この設定画面において利用者が入力した情報を公開制限情報として、制限設定処理部62は、利用者情報データベース60に格納する。
【0082】
次に、ステップS27において、制限設定処理部62は、利用者情報データベース60に格納した公開制限情報を基に、公開制限テーブルを生成する。生成された公開制限テーブルは、パスウェイ情報データベース12aの対応する情報に紐付けて格納される。次に、ステップS28において、ポイント管理部64は、パスウェイ情報データベース12aに新規に登録された情報の重要度や信頼度などに応じたポイントを利用者のその時点のポイントに加算する。以上により、登録処理が終了する。
【0083】
次に、更新通知の設定処理について説明する。ステップS29において、要求設定処理部63は、更新通知サービスの利用に必要な情報(要求情報)を入力する設定画面を利用者端末3に表示し、利用者に要求情報の入力を促す。この際、既に設定済みの要求情報があれば、その情報を修正可能な状態で設定画面に含めて表示してもよい。次に、ステップS30において、要求設定処理部63は、その設定画面において利用者が設定した要求情報を利用者情報データベース60に格納する。以上により更新通知に関する設定処理が終了する。
【0084】
以上に説明したように、本実施形態のサーバ1aは、公開制限テーブルを生成することで、公開制限テーブルを用いて利用者毎にパスウェイに関する情報の公開可能な範囲を制限する公開制限サービスを実現することができる。また、サーバ1aは、要求情報を利用者情報データベース60に格納することで、利用者が望む更新情報を提供することができる。また、サーバ1aは、利用者毎のポイントを利用者情報データベース60に蓄積することで、ポイントサービスを提供することができる。
【0085】
また、上述した実施形態において、図1及び図6に示したサーバ1及びサーバ1aの各処理部は、ハードウェアとしてはメモリ及びCPU(中央演算装置)により構成され、各処理部の機能を実現する為のプログラムをメモリに読み込んでCPUが実行することによりその機能を実現させるものである。また、これに限定されるものではなく、各処理部の一部の処理又は全部の処理を専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0086】
また、上記メモリは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組合せによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より構成されるものとする。
【0087】
また、図1及び図6に示したサーバ1及びサーバ1aの各処理部は、上述したようにコンピュータがプログラムを実行することによって実現しているが、そのプログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0088】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0089】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0090】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現する為のものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0091】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施形態におけるサーバ及びそのサーバを含むシステムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態にけるパスウェイ例を示す図である。
【図3−1】図1に示したパスウェイ情報データベース12におけるデータ構成例を示す図である。
【図3−2】図3−1に示したパスウェイ情報データベース12における「パスウェイ属性情報」30のXMLデータ例を示す図である。
【図3−3】図3−1に示した「パスウェイデータ」40、「ノード属性情報」50、「コントロール属性情報」60などの構成例を示す図である。
【図4】図1に示したサーバ1におけるパスウェイ提供処理を示すフロー図である。
【図5】図4に示したステップS7において、編集反映処理部18が行うパスウェイ情報データベース12に対して編集結果を反映させる処理の詳細の一例を示す図である。
【図6】応用例であるサーバ1aの機能構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した利用者情報データベース60のデータ構成例を示す図である。
【図8】利用者端末3に表示される検索処理部14aの検索結果表示例を示す図である。
【図9】図6に示したサーバ1aにおける登録処理や更新通知設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 情報処理装置
2 ネットワーク
3 利用者端末A、B、C、…(利用者端末3)
11 制御部
12 パスウェイ情報データベース
13 検索要求受信部
14 検索処理部
15 検索結果送信処理部
16 編集支援処理部
17 編集結果受信部
18 編集反映処理部
19 データベース管理部
20 送受信処理部
12a パスウェイ情報データベース
14a 検索処理部
19a データベース管理部
61 利用者認証処理部
62 制限設定処理部
63 要求設定処理部
64 ポイント管理部
65 更新通知処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して利用者端末からアクセス可能な情報処理装置であって、
タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つの前記ノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを前記利用者端末において視覚的に示すためのパスウェイデータと、前記パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納するパスウェイ情報データベースと、
前記利用者端末から所望のパスウェイを検索するための検索条件を含む検索要求を受信する検索要求受信手段と、
前記パスウェイ情報データベースに対して、前記検索要求受信手段が受信した前記検索要求に含まれる前記検索条件に応じたパスウェイを検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果で特定されるパスウェイの前記パスウェイデータと、前記利用者端末において実行可能なプログラムであって、前記利用者端末において視覚的に示されたパスウェイに対して編集作業を可能とする編集プログラムとを前記利用者端末へ送信可能な検索結果送信手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記検索結果送信手段は、前記検索手段の検索結果で特定されるパスウェイの属性情報を前記利用者端末へ更に送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記編集プログラムは、前記利用者端末において視覚的に示された前記パスウェイに含まれるノードやコントロールに対して属性情報を入力する機能を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記パスウェイ情報データベースに格納される前記属性情報は、生物の構造に応じた階層情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記利用者端末における前記編集作業に応じた編集結果を、前記ネットワークを介して前記利用者端末から受信する編集結果受信手段と、
前記パスウェイ情報データベースに対して、前記編集結果受信手段が受信した前記編集結果を反映させる編集反映処理手段と
を更に具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して利用者端末からアクセス可能な情報処理装置を用いた情報処理方法であって、
前記利用者端末から所望のパスウェイを検索するための検索条件を含む検索要求を受信する検索要求受信ステップと、
タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つの前記ノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを前記利用者端末において視覚的に示すためのパスウェイデータと、前記パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納するパスウェイ情報データベースに対して、前記検索要求受信ステップで受信した前記検索要求に含まれる前記検索条件に応じたパスウェイを検索する検索ステップと、
前記検索ステップの検索結果で特定されるパスウェイの前記パスウェイデータ及び前記属性情報を前記利用者端末へ送信する検索結果送信ステップと
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
ネットワークを介して利用者端末からアクセス可能な情報処理装置用のプログラムであって、
前記利用者端末から所望のパスウェイを検索するための検索条件を含む検索要求を受信する検索要求受信ステップと、
タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、2つの前記ノード間における関連性を示す線であるコントロールとから構成されるパスウェイを前記利用者端末において視覚的に示すためのパスウェイデータと、前記パスウェイに関する属性情報とを少なくとも格納するパスウェイ情報データベースに対して、前記検索要求受信ステップで受信した前記検索要求に含まれる前記検索条件に応じたパスウェイを検索する検索ステップと、
前記検索ステップの検索結果で特定されるパスウェイの前記パスウェイデータ及び前記属性情報を前記利用者端末へ送信する検索結果送信ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
前記パスウェイ情報データベースは、前記パスウェイ情報データベースに格納されている各種情報に対する前記利用者別のアクセス制限に関する情報として制限情報テーブルを更に格納し、
前記検索手段は、前記パスウェイ情報データベースに対して、前記検索要求受信手段が受信した前記検索要求に含まれる前記検索条件に応じたパスウェイであって、かつ、前記制限情報テーブルを参照して前記検索要求元の利用者がアクセス許可されているパスウェイを検索することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記パスウェイ情報データベースにおいて特定の情報が更新された場合に、当該更新が行われた旨及び/又は当該更新内容を、所定の通知方法で所定の通知先に通知する更新通知手段を更に具備し、
前記特定の情報、前記所定の通知方法、及び前記通知先においては、利用者が指定可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記編集反映処理手段により前記パスウェイ情報データベースに対して前記編集結果を反映した場合に、前記編集を行った利用者を識別する利用者識別情報に関連付けて、前記利用者にポイントを付与するポイント付与手段を更に具備することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−185412(P2006−185412A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203404(P2005−203404)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(596175810)財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所 (40)
【出願人】(000191076)新日鉄ソリューションズ株式会社 (136)
【Fターム(参考)】