説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】筆記箇所から目を一旦逸らすことなく、現在指定されている編集モードの種類を容易に確認可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する。特定の筆記操作が実行された表示画面16上での実行位置60を取得する。そして、特定の筆記操作の実行時点において指定されていた編集モードに関するモード画像64を、実行位置60の周辺に一時的に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、表示画面上に画像を表示する表示部と、この表示画面を介した筆記入力により画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する情報処理装置が普及している。そして、操作性を向上させるためのユーザ・インターフェースに関する技術が種々提案されている。
【0003】
特許文献1では、操作ウィンドウを、主ウィンドウの周辺位置に常時配置する表示方法が提案されている。これにより、操作中の視線の移動が少なくて済むので、操作性が向上する旨が記載されている。
【0004】
特許文献2では、スタイラスペンのスイッチ部のオン操作に応じて、タッチの際、直前に操作した選択内容をタッチした領域に呼び出し表示する方法が提案されている。これにより、スタイラスペンの移動範囲を小さくすることが可能である旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−248544号公報
【特許文献2】特開2009−25861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、B5〜A4判サイズ相当の大面積の表示画面を備える情報処理装置を用いて、この表示画面の略全面に画像を表示させる場合、特許文献1及び2に開示された装置及び方法では、以下のような不都合が生じ得る。
【0007】
ユーザは、画像の編集作業に集中する余り、現在指定されている編集モードを失念することがある。この場合、ユーザは、表示画面上に配置されたアイコンに視線を遣り、編集モードの種類を確認した上で編集作業を続行する。しかし、ユーザは、アイコンの位置を確認するために筆記箇所から目を一旦逸らすので、筆記箇所の位置を瞬時に想起できない場合や、位置を特定するために時間を要する場合がある。すなわち、ユーザは、直近の筆記箇所や、現在指定されている編集モードの種類を常に記憶しなければならず、筆記操作に専念できない不都合があった。
【0008】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、筆記箇所から目を一旦逸らすことなく、現在指定されている編集モードの種類を容易に確認可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報処理装置は、表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置であって、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部と、特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得する実行位置取得部と、前記特定の筆記操作の実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部とを有することを特徴とする。
【0010】
このように、特定の筆記操作の実行時点において指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部を設けたので、特定の筆記操作を実行することでモード画像の呼び出し表示が可能になる。これにより、ユーザは、筆記箇所から目を一旦逸らすことなく、現在指定されている編集モードの種類を容易に確認できる。しかも、実行位置の周辺に一時的にモード画像を表示させるので、編集作業の邪魔にならず便宜である。
【0011】
また、前記特定の筆記操作を検出する特定操作検出部をさらに有することが好ましい。
【0012】
さらに、前記編集モードの指定に供されるアイコンが前記表示画面上に配置されている場合、前記特定操作検出部は、前記表示画面のうち前記アイコンの配置領域を除く残余の領域に対し、前記特定の筆記操作の検出を有効にすることが好ましい。
【0013】
さらに、前記視覚効果付与部は、ユーザの利き手に応じて前記モード画像の表示位置を変更するように前記視覚効果を付与することが好ましい。
【0014】
さらに、前記特定の筆記操作は、シングルタップ、ダブルタップ及びロングタップのうちいずれか1つであることが好ましい。
【0015】
さらに、前記モード画像は、前記編集モードを指定するためのメニューの呼び出し機能を兼ね備えることが好ましい。
【0016】
さらに、前記モード画像は、前記編集モードに対応付けられたアイコンと同一の又は類似する画像であることが好ましい。
【0017】
さらに、前記モード画像は、前記編集モードに関する文字情報を含む画像であることが好ましい。
【0018】
さらに、前記画像の校正に用いられることが好ましい。
【0019】
本発明に係る情報処理方法は、表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置を用いた方法であって、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定するステップと、特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得するステップと、前記特定の筆記操作の実行時点において指定されていた編集モードに関するモード画像を、取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示するステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るプログラムは、表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置を、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部、特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得する実行位置取得部、前記特定の筆記操作の実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムによれば、特定の筆記操作の実行時点において指定されていた編集モードに関するモード画像を、実行位置の周辺に一時的に表示させるようにしたので、特定の筆記操作を実行することでモード画像の呼び出し表示が可能になる。これにより、ユーザは、筆記箇所から目を一旦逸らすことなく、現在指定されている編集モードの種類を容易に確認できる。しかも、実行位置の周辺に一時的にモード画像を表示させるので、編集作業の邪魔にならず便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る情報処理装置の正面図である。
【図2】図1に示す情報処理装置の機能ブロック図である。
【図3】図1に示す情報処理装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【図4】図4A及び図4Bは、編集モードの想起表示の際の画面遷移を表す概略説明図である。
【図5】図5A及び図5Bは、編集モードの想起表示の際の画面遷移を表す概略説明図である。
【図6】第1変形例に係る想起表示の概略説明図である。
【図7】第2変形例に係る想起表示の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る情報処理方法について、これを実施する情報処理装置との関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置10の正面図である。
【0025】
情報処理装置10は、概略矩形状の本体部12と、本体部12の一面に設けられ且つ該一面の略全体を占める面積を有する表示部14と、表示部14との接触部位(形状は、点、線、又は領域のいずれであってもよい。)を検出することで筆記入力する筆記入力部15(図2参照)とを備えている。表示部14の表示画面16上には、校正画像18(本図では、正面視の女性の顔画像)が表示されている。そして、表示画面16の左下隅部には、校正画像18に重畳して、アイコン20が表示されている。このアイコン20は、タッチの回数に応じて編集モードを切り替える第1アイコン22と、筆記モード・消しゴムモードに切り替える第2アイコン24と、校正作業の終了・設定の保存を指示する第3アイコン26とから構成される。例えば、ユーザによる所定の操作、例えば、第1アイコン22を所定の回数だけタッチすることで、注釈モードが選択される。また、第2アイコン24を所定の回数だけタッチすることで、筆記モードが選択される。
【0026】
ところで、情報処理装置10は、種々の目的・用途で使用してもよい。特に、画像を校正する際には、校正画像18を効率的に確認するため、表示画面16全体を隈なく見渡すことがある。この場合、本発明に係る構成を採ることが一層効果的である。
【0027】
この情報処理装置10を用いて校正作業を行う場合、操作回数を極力減らしつつも校正画像18全体が見渡せるように、表示部14(表示画面16)は、例えばB5〜A4判サイズ相当の大面積を有することが望ましい。そして、迅速且つ効率的に作業するため、ユーザは、利き手(例えば、右手Rh)のみならず、両手(右手Rh及び左手Lh)を用いて作業する場合がある。すなわち、ユーザは、利き手である右手Rhでタッチペン28(スタイラスペン)を把持し、タッチペン28の先端部29で表示画面16上をなぞって筆記入力する。一方、ユーザは、左手Lhの指先30でアイコン20を適宜タッチし、筆記モード・消しゴムモード等の各種モードを切り替える。
【0028】
図2は、図1に示す情報処理装置10の機能ブロック図である。CPU等からなる図示しない制御部は、ROM、RAM等の記録媒体(例えば、後述するデータ格納部42)に格納されたプログラムを読み出し実行することで、これらの機能を実現可能である。
【0029】
本体部12は、外部装置からの電気信号を送受信する通信部32と、通信部32から受信された校正データ(校正画像18を表す画像データ)に対して表示に適した各種信号処理を施す信号処理部34と、信号処理部34により信号処理された校正データから表示制御信号を生成し、表示部14に画像(校正画像18や注釈情報を含む。)を表示させる表示制御部36と、筆記入力部15からの筆記入力の特徴に基づいて筆記情報(各種モードの切り替え指示や、入力された注釈情報を含む。)を解釈する筆記情報解釈部38と、筆記情報解釈部38により解釈された筆記情報に応じた図形、記号、アイコン等の表示用画像を作成する画像作成部40と、筆記情報解釈部38により解釈された筆記情報等を格納するデータ格納部42とを備える。
【0030】
ここで、注釈情報には、文字、図形、記号、模様、色彩又はこれらを組み合わせた画像情報、ASCII等の文字コードを組み合わせたテキスト情報のみならず、音声情報、映像情報等が含まれる。
【0031】
表示部14は、表示制御部36により生成された表示制御信号に基づいて画像(校正画像18や注釈情報を含む。)を表示する。表示部14は、カラー表示可能な表示モジュールであり、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)、無機ELパネル等で構成されてもよい。
【0032】
筆記入力部15は、表示部14を介して直接入力可能なタッチパネル検出器である。検出方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電結合方式等を含む種々の方式を用いてもよい。
【0033】
信号処理部34は、画像の拡縮処理、トリム処理、ICCプロファイルによるカラーマッチング処理、画像のエンコード処理・デコード処理等を含む信号処理を適宜行う。
【0034】
筆記情報解釈部38は、入力された注釈情報を解釈する機能の他、特定の筆記操作を検出する特定操作検出部44と、特定の筆記操作が実行された表示画面16上での位置(以下、実行位置という。)を取得する実行位置取得部46と、ユーザの利き手に関する情報(以下、利き手情報という。)を入力する利き手情報入力部48と、複数の編集モードの中から1つの編集モード(以下、指定モードという場合がある。)を指定する編集モード指定部50とをさらに備える。
【0035】
画像作成部40は、筆記情報に応じた図形、記号、アイコン等の表示用画像を作成する機能の他、指定モードに関するモード画像64(図4B参照)を作成するモード画像作成部52と、モード画像作成部52により作成されたモード画像64に対して視覚効果を付与する視覚効果付与部54とをさらに備える。
【0036】
データ格納部42は、RAM等のメモリで構成されている。データ格納部42は、本発明に係る情報処理方法に必要な各種データを格納する機能の他、注釈情報及びその一時データを格納する注釈情報格納部56を備える。
【0037】
本実施の形態に係る情報処理装置10は以上のように構成される。続いて、情報処理装置10の動作について、図3のフローチャート及び図2の機能ブロック図を主に参照しながら説明する。
【0038】
先ず、利き手情報入力部48は、ユーザの利き手情報を入力する(ステップS1)。具体的には、利き手情報入力部48は、ユーザによるマニュアル操作、例えば、図示しない設定画面を介して、利き手情報を入力する。ここでは、「利き手は右手Rhである」旨の利き手情報が入力されたとする。
【0039】
なお、利き手情報入力部48は、タッチ操作の傾向を考慮して、ユーザの利き手を検出可能に構成してもよい。例えば、筆記入力部15は、指先30と表示部14との接触領域であって、所定時間を超えて継続してタッチ状態である領域を検出する。そして、利き手情報入力部48は、接触領域に一層近い長辺(左長辺)の反対側である右側を利き手と判別する。
【0040】
次いで、ユーザは、校正画像18の編集作業を実施する(ステップS2)。編集作業の都度、注釈情報の付与方法に適した編集モードを適宜指定する。ユーザによるアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作に応じて、編集モード指定部50は、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する。ここでは、アルファベットの「A」が表記された第1アイコン22(図1参照)が選択され、テキスト情報を入力可能な「テキスト入力モード」が指定されたとする。
【0041】
なお、編集モードには、種々の形態で注釈情報を付与する入力モード、既に付与された注釈情報の書式を設定する書式モード、及び、既に付与された注釈情報の全部又は一部を削除する削除モード(消しゴムモード)のうち少なくとも1つが含まれる。入力モードの具体例として、上記したテキストの他、ペン字、矩形、円、線、マーク、音声等を入力する各モードが挙げられる。書式モードの具体例として、色(線、枠、塗り潰し等)、線の形状(実線、破線等)、補助符号(下線、枠線)を設定する各モードが挙げられる。
【0042】
ところで、ユーザは、校正画像18の編集作業に集中する余り、指定モードの種類を失念する場合がある。図4Aに示すように、ユーザは、アイコン20の配置位置(表示画面16の左下隅部)に視線を遣ることなく、タッチペン28の先端部29周辺のいずれかの箇所(以下、実行位置60という。)で、矢印T1の軌道に沿ったシングルタップ(特定の筆記操作)を実行する。
【0043】
次いで、特定操作検出部44は、特定の筆記操作が実行されたか否かを判別する(ステップS3)。ここで、特定の筆記操作には、上記したシングルタップの他、ダブルタップ、3回以上の連続タップ、ロングタップ等が含まれる。すなわち、筆記操作の誤検出を防止するため、編集作業中に一般的に実行され得る筆記操作とは異なり、且つ、互いに区別可能な操作であることが好ましい。
【0044】
なお、ユーザの視野は、表示画面16上の略中央部に常に存在するとは限らない。そこで、表示画面16上の略全面において特定の筆記操作の検出を有効にすることが好ましい。具体的には、表示画面16のうち、アイコン20の配置領域を除く残余の領域(検出可能領域62)内において、シングルタップの有無を検出してもよい。
【0045】
実行されていないと判別された場合、上記した特定の筆記操作を受け付けるまでステップS2に留まる。一方、実行されたと判別された場合、次のステップ(S4)に進む。
【0046】
次いで、実行位置取得部46は、ステップS3で検出された特定の筆記操作の実行位置60を取得する(ステップS4)。すなわち、実行位置取得部46は、筆記入力部15から、実行位置60の二次元座標を取得する。
【0047】
次いで、モード画像作成部52は、ステップS2で指定された指定モードに関するモード画像64を作成する(ステップS5)。具体的には、モード画像作成部52は、編集モード指定部50から、特定の筆記操作を検出した時点での指定モードの種類を取得する。図4A例では、モード画像作成部52は、「テキスト入力モード」である旨の情報を取得した後、テキスト入力モードに関するモード画像64を作成する。なお、モード画像作成部52は、本ステップの実行の都度にモード画像64を作成してもよいし、データ格納部42に予め格納されたモード画像64のデータを読み出してもよい。
【0048】
次いで、表示部14は、モード画像64の想起表示を開始する(ステップS6)。本明細書中における「想起表示」とは、現時点での指定モードの種類をユーザに想起させる目的で、この指定モードに関するモード画像64を適時に表示することを意味する。画像作成部40は、初期状態としてのモード画像64を表示制御部36に供給する。そして、表示制御部36は、表示部14にモード画像64を表示させる。
【0049】
図4Bに示すように、第1アイコン22と同一の形態を有するモード画像64は、校正画像18に重畳して、実行位置60の周辺に表示される。これにより、ユーザは、タッチペン28の先端部29から目を一旦逸らすことなく、モード画像64を視認できる。すなわち、ユーザは、モード画像64の形態から、現時点での指定モード(図4A例では、テキスト入力モード)を観念・想起できる。特に、モード画像64が、第1アイコン22と同一の又は類似する画像である場合、編集モードの種類を容易に観念できるので一層好ましい。
【0050】
なお、図4Bでは、実行位置60の周辺を、実行位置60を中心とする円領域(半径r)として表記している。半径rは、0〜100mmの範囲であることが望ましく、10〜50mmの範囲であることがさらに好ましい。
【0051】
また、モード画像64は、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)に配置されるので、右手Rhの陰に隠れることなく表示内容を視認できる。同様の理由から、モード画像64は、実行位置60の上方側又は下方側(換言すれば、利き手側を除くいずれかの側)に配置されてもよい。
【0052】
次いで、画像作成部40は、想起表示の開始時点から所定の時間が経過したか否かを判別する(ステップS7)。ここで、所定の時間は任意に設定してもよいが、ユーザにストレスを感じさせない程度(概ね0.5〜3秒間)が好ましい。
【0053】
所定の時間が経過していないと判別された場合、本体部12は、経過時間に応じてモード画像64を変形・表示させる(ステップS8)。具体的には、画像作成部40によるモード画像64の変形処理と、表示制御部36によるモード画像64等の表示制御とを順次繰り返すことで実現される。
【0054】
視覚効果付与部54は、モード画像64に対して視覚効果を付与する。ここで、視覚効果とは、画像の表示形態を経時的に変形させることで、視覚的に注意を喚起する効果全般をいう。視覚効果の一例として、ポップアップ、スクロール、ズームイン/アウト等が挙げられるが、これらに限定されない。以下、フェードアウト効果の一例について説明する。
【0055】
図4Bに示すように、モード画像64は、想起表示の開始時点から1秒間経過するまで継続して表示される。ここで、モード画像64は、透過度がないか、あるいは極めて低い画像である。すなわち、モード画像64が配置された部位に関し、ユーザは、「A」なる表記を視認できるのみで、校正画像18を視認できない。
【0056】
図5Aに示すように、モード画像65は、想起表示の開始時点から1〜2秒の間、継続して表示される。ここで、モード画像65は、モード画像64と比べて高い透過度を有する画像である。すなわち、モード画像65が配置された部位に関し、ユーザは、「A」なる表記、及び校正画像18の両方を視認できる。
【0057】
図5Bに示すように、モード画像66は、想起表示の開始時点から2秒を経過した後、非表示にされる。すなわち、モード画像66が配置された部位に関し、ユーザは、校正画像18を視認できるのみで、「A」なる表記を視認できない。
【0058】
このように、時間の経過に従って、モード画像64の透過度を徐々に高くしつつ表示することで、モード画像64の消滅(想起表示の終了)を演出できる。
【0059】
一方、図3のステップS7に戻って、所定の時間が経過した場合、表示部14は、モード画像64〜66の表示を終了する(ステップS9)。
【0060】
なお、画像作成部40は、時間の経過により判別するのではなく、別の筆記操作の有無によって判別してもよい。例えば、筆記情報解釈部38によりタッチペン28が表示画面16から離れたと判別された場合、モード画像64の想起表示を中止するように構成してもよい。ユーザは、モード画像64の非表示のタイミングを自在に決定できるので好適である。
【0061】
最後に、筆記情報解釈部38は、編集作業の終了指示があったか否かを判別する(ステップS10)。指示がなかったと判別された場合、ステップS2に戻って、ステップS2〜S9を繰り返す。一方、指示があったと判別された場合、本体部12は、編集に関する動作を完了する。
【0062】
以上のように、特定の筆記操作の実行時点において指定されていた編集モードに関するモード画像64に対し、実行位置60の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部54を設けたので、特定の筆記操作を実行することでモード画像64の呼び出し表示が可能になる。これにより、ユーザは、筆記箇所から目を一旦逸らすことなく、現在指定されている編集モードの種類を容易に確認できる。しかも、実行位置60の周辺に一時的にモード画像64を表示させるので、編集作業の邪魔にならず便宜である。
【0063】
続いて、本実施の形態に係る情報処理方法の変形例(第1、第2変形例)について、図6及び図7を参照しながら説明する。なお、変形例において本実施の形態と同一である構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
第1変形例に係る情報処理方法において、モード画像70の形態が、本実施の形態(図4Bのモード画像64)と異なる。
【0065】
図6に示すように、表示画面16上の実行位置60の周辺には、「テキスト」なる文字が表記されたモード画像70が配置されている。このように、編集モードに関する文字情報を含むモード画像70を一時的に表示するように構成しても本実施の形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、モード画像の形態は、ユーザが、編集モードの種類(属性)を直接的に又は間接的に観念可能な画像であれば、種類の別は問わない。
【0066】
第2変形例に係る情報処理方法において、想起表示に供されるモード画像72に新たな機能を持たせた点が、本実施の形態(図4Bのモード画像64)と異なる。例えば、図4Bに示すモード画像64が表示されている間に、タッチペン28を用いて、モード画像64の箇所で、矢印T2の軌道に沿ったタッチを実行すると、表示画面16が次のように遷移される。
【0067】
図7に示すように、モード画像72が非表示になるとともに、モード画像72の左方部周辺には、矩形状の筆記メニュー74が表示される。筆記メニュー74には、複数(本図例では6つ)の編集モードを表すアイコン群が配置されている。これにより、筆記メニュー74を介して、編集モードを択一的に指定可能である。
【0068】
このように、モード画像64(図4B参照)の表示をトリガとして、筆記メニュー74を呼び出し可能に設けてもよい。すなわち、モード画像64は、編集モードを指定するための筆記メニュー74の呼び出し機能をも兼ね備えるので、ユーザは、目を一旦逸らすことなく編集モードを適宜変更可能であり、更に便宜である。
【0069】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
10…情報処理装置 12…本体部
14…表示部 15…筆記入力部
16…表示画面 18…校正画像
20…アイコン 28…タッチペン
30…指先 36…表示制御部
38…筆記情報解釈部 40…画像作成部
42…データ格納部 44…特定操作検出部
46…実行位置取得部 48…利き手情報入力部
50…編集モード指定部 52…モード画像作成部
54…視覚効果付与部 60…実行位置
62…検出可能領域 64〜66、70、72…モード画像
74…筆記メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する情報処理装置であって、
筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部と、
特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得する実行位置取得部と、
前記特定の筆記操作の実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記特定の筆記操作を検出する特定操作検出部をさらに有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記編集モードの指定に供されるアイコンが前記表示画面上に配置されている場合、
前記特定操作検出部は、前記表示画面のうち前記アイコンの配置領域を除く残余の領域に対し、前記特定の筆記操作の検出を有効にすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記視覚効果付与部は、ユーザの利き手に応じて前記モード画像の表示位置を変更するように前記視覚効果を付与することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記特定の筆記操作は、シングルタップ、ダブルタップ及びロングタップのうちいずれか1つであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記モード画像は、前記編集モードを指定するためのメニューの呼び出し機能を兼ね備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記モード画像は、前記編集モードに対応付けられたアイコンと同一の又は類似する画像であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記モード画像は、前記編集モードに関する文字情報を含む画像であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記画像の校正に用いられることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置を用いた情報処理方法であって、
筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定するステップと、
特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得するステップと、
前記特定の筆記操作の実行時点において指定されていた編集モードに関するモード画像を、取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示するステップと
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置を、
筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部、
特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得する実行位置取得部、
前記特定の筆記操作の実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−20452(P2013−20452A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153405(P2011−153405)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】