説明

情報処理装置、情報処理方法

【課題】 効率の良い印刷技術を提供すること。
【解決手段】 印刷管理表600は、デフォルトで用いる印刷設定をファイル毎に保持しているテーブル情報を、ユーザ毎に管理している。CPU103は、第1のファイルを印刷するために着目ユーザから入力された印刷設定が、着目ユーザのテーブル情報に保持されている第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定であるか否かを判断する。より高品位の印刷を行うための印刷設定であると判断したとする。この場合、CPU103は、第1のファイルとは異なる第2のファイルを印刷する指示が着目ユーザから入力された場合には、着目ユーザのテーブル情報に保持されている第2のファイルの印刷設定を、より高品位の印刷を行うための印刷設定に更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理を行うための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、会社や学校、研究機関等で会議や集会を行う際には、事前に会議資料をメールに添付したり共有ファイルサーバ上に置いて配布することが広く行われている。また、会議の内容をより深く理解するために、会議参加者が事前に会議資料を印刷して重要な箇所にマーキングを行い、それをそのまま会議に持ち込むことも広く行われている。
【0003】
また、経費削減のために、さほど重要ではない会議の資料はカラーではなく白黒で印刷したり、1枚に2ページ分をまとめて印刷する2UP印刷や両面印刷で済ますことが広く行われている。また、会議において重要な人物、例えば社長や顧客、に対してはカラーで印刷し、一般従業員に対しては白黒で印刷するような使い分けも広く行われている。
【0004】
特許文献1では、事前に資料を印刷した参加者を記録し、会議主催者が重複して資料の印刷を行わないようにする技術が開示されている。また、会議主催者が既に資料を印刷してしまった際には参加者にその旨を通知し、参加者が重複して資料の印刷を行わないようにする技術が開示されている。
【0005】
特許文献2では、参加者毎に資料印刷の要否、資料の印刷モードを指定可能にし、参加者毎に異なる印刷要求を印刷システムが記憶しておくことで会議主催者の資料印刷業務を簡単化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-268252号公報
【特許文献2】特開2006-277340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、会議資料を印刷するときの印刷グレード、すなわち、1枚にまとめて印刷するページ数を表すUP数や、カラー・白黒の違いや精細度を表す印刷品質を考慮した印刷管理を行っていない。このため、ある参加者が高グレード印刷を望む傾向があったとしても、その参加者は毎回デフォルトの印刷設定を変更して高グレードな印刷を行う必要があり煩雑である。また、会議主催者が会議資料をまとめて印刷する際にも、上記の特別な参加者に対しては印刷設定を毎回変更してやる必要があり煩雑である。
【0008】
特許文献2では、ある会議資料について参加者ごとに印刷済みかどうかを管理していない。このため、参加者と会議主催者とが重複して会議資料を印刷してしまう無駄が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、効率の良い印刷技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。即ち、デフォルトで用いる印刷設定をファイル毎に保持しているテーブル情報を、ユーザ毎に管理している手段と、第1のファイルを印刷するために着目ユーザから入力された印刷設定が、該着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が、より高品位の印刷を行うための印刷設定であると判断し、且つ前記第1のファイルとは異なる第2のファイルを印刷する指示が前記着目ユーザから入力された場合には、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第2のファイルの印刷設定を、より高品位の印刷を行うための印刷設定に更新する更新手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、効率の良い印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】システムの機能構成例を示すブロック図。
【図2】システムの機能構成例を示すブロック図。
【図3】印刷管理表600の構成例を示す図。
【図4】印刷管理表600の構成例を示す図。
【図5】印刷管理表600の構成例を示す図。
【図6】印刷画面の一例を示す図。
【図7】印刷管理装置100が行う処理のフローチャート。
【図8】印刷管理装置100が行う処理のフローチャート。
【図9】印刷管理装置100が行う処理のフローチャート。
【図10】印刷管理装置100が行う処理のフローチャート。
【図11】電子メールの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0014】
[第1の実施形態]
以下では、会議用の資料を印刷する場合における実施形態を説明するが、学校の授業、講習会、研究発表会等、如何なる資料の印刷を行う場合であっても、以下の実施形態は同様に適用することができるのは明らかである。
【0015】
先ず、本実施形態に係るシステムの機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係るシステムは、印刷管理装置100、印刷装置200、クライアント装置300、を有し、それぞれの装置は、LANやインターネット等のネットワーク400に接続されている。然るにそれぞれの装置はこのネットワーク400を介して互いにデータ通信を行うことができる。
【0016】
先ず、情報処理装置として機能する印刷管理装置100について説明する。印刷管理装置100は、会議に参加する各参加者(ユーザ)と、各会議資料のファイルと、を管理するためのものである。
【0017】
通信IF101は、印刷管理装置100をネットワーク400に接続するためのもので、印刷管理装置100は、この通信IF101を介してネットワーク400に接続されている他の装置とのデータ通信を行う。
【0018】
RAM102は、プログラム用記憶領域104やデータ用記憶領域105からロードされたコンピュータプログラムやデータを記憶するためのエリアや、CPU103が処理を実行する際に用いるワークエリアなどを有する。即ち、RAM102は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0019】
CPU103は、RAM102に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行することで、印刷管理装置100を構成する各部の動作制御を行うと共に、印刷管理装置100が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0020】
プログラム用記憶領域104は、ハードディスクドライブ装置など、コンピュータプログラムを保持可能な記憶装置でもって実現される。プログラム用記憶領域104には、印刷管理装置100が行うものとして後述する各処理をCPU103に実行させるためのコンピュータプログラムが格納されており、このコンピュータプログラムは、CPU103によりRAM102にロードされる。
【0021】
データ用記憶領域105は、ハードディスクドライブ装置など、データを保持可能な記憶装置でもって構成され、このデータは、CPU103によりRAM102にロードされる。データ用記憶領域105には、会議資料500のデータ、会議の参加者毎に会議資料500の印刷設定を管理する印刷管理表600のデータ、が格納されている。なお、会議資料500のデータは印刷管理装置100以外の装置に格納しておいても良く、その場合、印刷管理装置100は必要な会議資料500のデータをこの装置からRAM102にダウンロードすることになる。また、外部のファイル共有サーバ上の会議資料500のデータを指しているショートカットやリンクをデータ用記憶領域105に格納しておいても良い。
【0022】
なお、図1では、プログラム用記憶領域104とデータ用記憶領域105とは別個の記憶装置としている。しかし、1つの記憶装置内にそれぞれの記憶領域を設けることで、プログラム用記憶領域104とデータ用記憶領域105とをこの1つの記憶装置で実現させても良い。
【0023】
次に、印刷装置200について説明する。印刷装置200は、プリンタや複写機など、外部から与えられたデータに基づいて印刷を行う機能を有する装置である。然るに、この機能を有する装置であれば、この印刷装置200に適用することができる。
【0024】
通信IF201は、印刷装置200をネットワーク400に接続するためのもので、印刷装置200は、この通信IF201を介してネットワーク400に接続されている他の装置とのデータ通信を行う。
【0025】
印刷実行部202は、通信IF201を介して印刷管理装置100から受信した会議資料500のデータを用いて、同じく通信IF201を介してクライアント装置300から受信した印刷設定に従った印刷を、紙などの印刷媒体に対して行う。これにより、会議資料を作成することができる。
【0026】
次に、クライアント装置300について説明する。クライアント装置300は、所望の会議資料を印刷するための印刷指示を、印刷管理装置100及び印刷装置200に対して行うものである。
【0027】
通信IF301は、クライアント装置300をネットワーク400に接続するためのもので、クライアント装置300は、この通信IF301を介してネットワーク400に接続されている他の装置とのデータ通信を行う。
【0028】
RAM302は、プログラム用記憶領域304からロードされたコンピュータプログラムやデータを記憶するためのエリアや、CPU303が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアなどを有する。即ち、RAM302は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0029】
CPU303は、RAM302に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行することで、クライアント装置300全体の動作制御を行うと共に、クライアント装置300が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0030】
UI(ユーザインターフェース)デバイス306は、キーボードやマウスなど、ユーザが操作することでCPU303に各種の指示を入力可能なデバイスにより構成されている。
【0031】
UI表示部305は、CRTや液晶画面などにより構成されている表示装置であって、CPU303による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。なお、UI表示部305がタッチパネル式の表示画面を有する表示装置である場合、UIデバイス306は、この表示画面上に表示されるボタンなどの指示部であっても良い。
【0032】
プログラム用記憶領域304は、ハードディスクドライブ装置など、コンピュータプログラムやデータを保持可能な記憶装置でもって実現される。プログラム用記憶領域304には、クライアント装置300が行うものとして後述する各処理をCPU303に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが格納されている。このコンピュータプログラムやデータは、CPU303によりRAM302にロードされる。
【0033】
次に、上記の構成を有するシステムの動作について説明する。以下では説明を簡単にするために、会議参加者はAさんとBさんの二人とする。また、データ用記憶領域105に格納されている上記会議資料500のデータは、会議資料1のデータと会議資料2のデータと、から成るものとする。そして以下では、Aさんがクライアント装置300を用いて会議資料1の印刷指示を入力した後、Bさんが会議資料1、会議資料2の順に印刷指示を入力した場合における上記システムの動作について説明する。
【0034】
しかし、以下の説明の本質は、会議参加者の数や会議資料の数等、特定の条件に依存するものではなく、これらの条件が如何なるものであっても、以下の説明は同様に適用することができる。
【0035】
先ずAさんは、クライアント装置300のUIデバイス306を用いて自身の識別情報(パスワードなど)を入力する。CPU303はこの識別情報と、予めクライアント装置300に設定されたAさんの識別情報との比較を行うことで、このAさんを認証する。認証技術については様々なものがあり、何れの認証技術を用いても良い。
【0036】
認証が成功すれば、CPU303はその旨をUI表示部305に表示するので、Aさんはこれを確認した後、UIデバイス306を用いて印刷管理装置100に対するアクセス指示を入力する。CPU303はこのアクセス指示を検知すると、印刷管理装置100に対してアクセスし、印刷管理装置100が提供する印刷画面を要求する。この要求には、Aさんの識別情報が含まれているものとする。
【0037】
印刷管理装置100のCPU103はこの要求を検知すると、データ用記憶領域105に格納されている全ての会議資料のデータのファイル名、即ち会議資料1のデータのファイル名(会議資料1)、会議資料2のデータのファイル名(会議資料2)を収集する。
【0038】
また、CPU103は、クライアント装置300から印刷画面の要求を検知すると、この要求に含まれている識別情報を読み出す。ここではこの識別情報はAさんの識別情報である。そしてCPU103は印刷管理表600から、この読み出した識別情報に対応するデフォルトの印刷設定を取得する。
【0039】
このときの印刷管理表600の構成例を図3に示す。図3に示す如く、印刷管理表600には、Aさんに対する情報、Bさんに対する情報、が登録されている。Aさんに対する情報には、Aさんが特別参加者であるか否かを示すフラグ(特別参加者フラグ)、会議資料(会議資料1、会議資料2)毎の印刷設定(デフォルト設定、印刷時設定)及び後述のかさ上げ済みフラグ、、が含まれている。Bさんに対する情報も同様の情報を含む。
【0040】
デフォルト設定は、会議資料を登録した人がその登録時に設定したものである。例えば、会議資料1に対するデフォルト設定は、会議資料1を印刷管理装置100に登録した人がその登録時に設定した印刷設定である。もちろん、デフォルト設定として用いるものはこれに限るものではない。
【0041】
然るにCPU103は、クライアント装置300から受信した上記要求中の識別情報がAさんの識別情報である場合、「Aさんに対して予め設定された会議資料1のデフォルトの印刷設定、会議資料2のデフォルトの印刷設定」を印刷管理表600から取得する。
【0042】
そしてCPU103は、印刷画面のデータに加え、会議資料1のファイル名、会議資料2のファイル名、「Aさんに対して予め設定された、会議資料1のデフォルトの印刷設定、会議資料2のデフォルトの印刷設定」を、クライアント装置300に送信する。
【0043】
クライアント装置300のCPU303は、印刷管理装置100から送信されたこれらの情報を受信すると、図6に例示するような印刷画面をUI表示部305に表示する。このような印刷画面を表示するためのアプリケーションは、Webブラウザ上で動くWebアプリケーションであっても、クライアント装置300にインストールされたローカルアプリケーションであっても構わない。
【0044】
図6に例示する如く、印刷画面における印刷対象の枠内には、印刷管理装置100から受信したファイル名、即ち、会議資料1のデータのファイル名(会議資料1)、会議資料2のデータのファイル名(会議資料2)を表示する。これによりAさんは、この枠内で会議資料1、会議資料2のうち印刷対象をUIデバイス306を用いて指定することができる。
【0045】
また、図6に例示する如く、印刷設定の枠内には、印刷管理装置100から送信されたデフォルトの印刷設定のうち、印刷対象の枠内で選択された会議資料のデフォルトの印刷設定を表示する。図6では、印刷対象の枠内では会議資料1が選択されているので、印刷設定の枠内には、会議資料1のデフォルトの印刷設定が表示されている。然るに、AさんがUIデバイス306を用いて印刷対象の枠内で会議資料2を選択すると、CPU303はこれを検知し、印刷管理装置100から受信したデフォルトの印刷設定のうち、会議資料2のデフォルトの印刷設定を印刷設定の枠内に表示する。
【0046】
この印刷画面では、会議資料1のデフォルトの印刷設定としてUP数(1枚の紙に対して印刷するページ数)のデフォルト設定=2、印刷品質(白黒、カラー、高精細カラー)のデフォルト設定=白黒が表示されている。
【0047】
AさんはUIデバイス306を用いて、図6に例示するような印刷画面を操作することで、会議資料の印刷設定を変更することができる。図6の場合、会議資料1について、UP数の増減を行ったり、印刷品質を白黒、カラー、高精細カラーの何れかに変更したり、することができる。そしてその後、Aさんが図6の印刷画面において「印刷実行」を指示すると、CPU303は、印刷装置200及び印刷管理装置100に対して、Aさんの識別情報及び印刷設定を含む、会議資料1の印刷指示を送信する。図6の場合、会議資料1を、「UP数=2、印刷品質=白黒」という印刷設定に従って印刷する指示を印刷装置200及び印刷管理装置100に対して送信する。もちろん、印刷設定を変更しない場合であっても、Aさんが図6の印刷画面において「印刷実行」を指示すると、CPU303は、印刷装置200及び印刷管理装置100に対して、Aさんの識別情報及び印刷設定を含む、会議資料1の印刷指示を送信する。
【0048】
この送信後、印刷管理装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図8を用いて説明する。ステップS201で印刷管理装置100のCPU103は、クライアント装置300から会議資料1の印刷指示を受信すると、図3の印刷管理表600から、印刷指示に含まれているAさんの識別情報に対応する、会議資料1のデフォルトの印刷設定を取得する。そしてCPU103は、この取得した会議資料1のデフォルトの印刷設定と、この印刷指示に含まれている印刷設定と、を比較する。
【0049】
この比較では、どちらの印刷設定が、より高品位な印刷を行うための印刷設定であるのかを判断する。例えば、(印刷指示に含まれている印刷設定中のUP数)<(Aさんの識別情報に対応する会議資料1のデフォルトのUP数)である場合、印刷指示に含まれている印刷設定の方がより高品位な印刷を行うための印刷設定であると判断することができる。また、印刷設定中の印刷品質については、より高品位な印刷を行う印刷設定は、高精細カラー、カラー、白黒、の順である。然るに、例えば、印刷指示に含まれている印刷設定中の印刷品質=カラー、Aさんの識別情報に対応する会議資料1のデフォルトの印刷品質=白黒であるとする。この場合、印刷指示に含まれている印刷設定の方がより高品位な印刷を行う為の印刷設定であると判断することができる。
【0050】
図8では、識別情報(Aさん若しくはBさん)をP、会議資料の種別(会議資料1若しくは会議資料2)をMとし、PとMで決まるデフォルトの印刷設定をD[P、M]、印刷指示内の(PとMとで決まる)印刷設定をA[P、M]としている。そしてステップS201では、D[P、M]よりもA[P、M]がより高品位な印刷を行う(グレードが高い)印刷設定であるのか否かを判断している。
【0051】
この判断の結果、D[P、M]よりもA[P、M]がより高品位な印刷を行う(グレードが高い)印刷設定である場合には処理はステップS202に進む。一方、A[P、M]よりもD[P、M]がより高品位な印刷を行う(グレードが高い)印刷設定である場合には本処理を終了する。
【0052】
ステップS202では、CPU103は、図3の印刷管理表600において、Aさんの特別参加者フラグをTRUEに更新する。なお、この特別参加者フラグの初期値はFALSEであるものとする。
【0053】
なお、この図8のフローチャートに従った処理に加えて、印刷管理装置100のCPU103は、クライアント装置300から会議資料1の印刷指示を受信すると、データ用記憶領域105から会議資料1のデータを読み出して印刷装置200に対して送信する。
【0054】
これにより印刷装置200の印刷実行部202は、クライアント装置300から受信した印刷指示に含まれている印刷設定に従って、印刷管理装置100から受信した会議資料1のデータを用いた印刷を行う。
【0055】
次に、Bさんが同様にしてクライアント装置300を操作して認証情報を入力し、この認証情報の認証成功後、印刷画面を印刷管理装置100に対して要求する。そしてこの要求に応じて印刷管理装置100からダウンロードした印刷画面において、会議資料1のデフォルトの印刷設定を、より高品位な印刷を行うための印刷設定に変更したとする。即ち、Bさんが図6の印刷画面において、UP数を下げたり、印刷品質を上げたりするなど、より高品位な印刷を実現する印刷設定を設定したとする。そしてこの設定の後、Bさんが図6の印刷画面において「印刷実行」を指示すると、印刷管理装置100には上記の通り、Bの識別情報及び印刷設定を含む、会議資料1の印刷指示が送信される。印刷管理装置100のCPU103は、クライアント装置300から会議資料1の印刷指示を受信すると、図8のフローチャートに従った処理を行う。即ち、ステップS201ではCPU103は、図3の印刷管理表600から、この印刷指示に含まれているAさんの識別情報に対応する、会議資料1のデフォルトの印刷設定を取得する。そしてCPU103は、この取得した会議資料1のデフォルトの印刷設定と、この印刷指示に含まれている印刷設定と、を比較する。
【0056】
この場合、印刷指示に含まれている印刷設定は上記の通り、デフォルトの印刷設定よりもより高品位な印刷を実現する印刷設定となっているので、処理はステップS202に進む。ステップS202ではCPU103は、図3の印刷管理表600において、Bさんの特別参加者フラグをTRUEに更新する。
【0057】
このとき、図3の印刷管理表600は図4に示す如く変化する。図4に示す如く、Bさんの特別参加者フラグはTRUEとなっており、また、印刷指示に含まれている印刷設定が、Bさん及び会議資料1に対応する印刷時設定として登録されている。図4に示す如く、印刷指示によれば、デフォルトの印刷設定ではUP数=2であったところを1に変更し、デフォルトの印刷設定では印刷品質が「白黒」であったところを「カラー」に変更している。即ちこの印刷指示による印刷設定は、デフォルトの印刷設定よりも高品位な印刷を実現するための印刷設定となっている。また、Aさんについても同様に、Aさんが会議資料1の印刷を指示したときの印刷設定が、Aさん及び会議資料1に対応する印刷時設定として登録されている。図4において下線を引いている箇所が、図3からの変更部分である。そして以降は会議資料1のときと同様、印刷装置200は、この印刷指示に従って、会議資料1を印刷する。
【0058】
この後、印刷管理装置100のCPU103は、各参加者の特別参加者フラグを参照する。そしてCPU103は、特別参加者フラグがTRUEとなっている参加者の、未だ印刷時設定が登録されていない会議資料のデフォルトの印刷設定に対して、※で示している項目、即ち、かさ上げ済みフラグをTRUEに更新する。なお、このかさ上げ済みフラグの初期値はFALSEであるものとする。
【0059】
そしてCPU103は、かさ上げ済みフラグがTRUEとなっている印刷設定、即ち、未だ印刷時設定が登録されていない会議資料のデフォルトの印刷設定を、より高品位な印刷を実現するための印刷設定に更新する。図4の場合、Bさんの特別参加者フラグはTRUEとなっているので、Bさんについて未だ印刷時設定が登録されていない会議資料2のデフォルトの印刷設定を、より高品位な印刷を実現するための印刷設定に更新する。更新後の印刷管理表600を図5に示す。
【0060】
図5に示す如く、会議資料2のデフォルトの印刷設定で定義されているUP数は4→2と更新されている。また、会議資料2のデフォルトの印刷設定で定義されている印刷品質は「カラー」→「高精細カラー」と更新されている。即ち、1段階だけより高品位な印刷を実現するための印刷設定に更新されている。図5において下線を引いている箇所が、図4からの変更部分である。
【0061】
会議資料1の印刷後に印刷管理装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図7を用いて説明する。ステップS101ではCPU103は、印刷管理表600内の各特別参加者フラグのうち、TRUEとなっている特別参加者フラグを特定する。図7では、識別情報Pで決まる特別参加者フラグをV[P]としているので、V[P]=TRUEであるか否かを判断することになる。
【0062】
この判断の結果、V[P]=TRUEの場合には処理はステップS102に進み、V[P]=FALSEである場合には、本処理を終了する。ステップ102では、CPU103は、次に印刷する会議資料をMとすると、D[P、M]に対応するかさ上げ済みフラグ=TRUEであるか否かを判断する。この判断の結果、D[P、M]に対応するかさ上げ済みフラグ=TRUEである場合には、処理はステップS103に進み、D[P、M]に対応するかさ上げ済みフラグ=FALSEである場合には、本処理は終了する。ステップS103では、CPU103は、D[P、M]をより高品位な印刷を実現するための印刷設定に更新する(グレードをかさ上げする)。
【0063】
デフォルト設定は、図6の印刷画面を表示させたときの印刷設定に反映されるため、会議資料1の印刷で高グレード印刷を選んだBさんは、会議資料2の印刷では特にUI操作で印刷設定を変更しなくても高グレード印刷を行うことが可能である。なお、印刷画面においてデフォルト設定より低グレードな印刷設定を選んだ場合には、特別参加者フラグをFALSEに更新するようにしても構わない。
【0064】
ここで、CPU103が会議資料1、会議資料2の何れかの更新を検知した場合に、印刷管理装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図9を用いて説明する。以下では、更新された会議資料をMとしている。
【0065】
ステップS302においてCPU103は印刷管理表600内を参照し、P及びMで特定される印刷時設定A[P、M]に何らかの印刷設定が登録されているか否かを判断する。
【0066】
この判断の結果、何らかの印刷設定がなされている(A[P、M]が空ではない)場合、処理はステップS303に進み、何らかの印刷設定がなされていない(A[P、M]が空)場合には次のPについてステップS302以降を繰り返す(ステップS301)。
【0067】
ステップS303ではCPU103は、Pで特定される参加者に対して、図11に例示するような電子メールを送信することで、Mが更新された旨を通知する。なおこの場合、印刷管理装置100内のデータ用記憶領域105には、参加者の識別情報と、この参加者のメールアドレスと、のセットが、参加者毎に予め登録されているものとする。もちろん、通知の方法は電子メールに限定するものではない。次にステップS304においてCPU103は、A[P、M]に対して設定されている印刷設定を削除し、A[P、M]を空にする。このように、全てのPについてステップS302からS304の処理を行う(ステップS301)。
【0068】
なお、会議主催者が会議開始前にまとめて会議資料を印刷する場合に印刷管理装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図10を用いて説明する。先ず、ステップS401においてCPU103は、クライアント装置300から送信された送信指示に含まれている印刷設定Rが空である(印刷設定がない)か否かを判断する。この判断の結果、空である場合には処理はステップS411に進み、空ではない場合には処理はステップS402に進む。
【0069】
ステップS402では、ステップS403,S404,S405の処理を全てのPについて繰り返す。ステップS403では、A[P、M]よりも印刷設定Rの方がより高品位な印刷を実現するための印刷設定であるか否かを判断する。この判断の結果、A[P、M]よりも印刷設定Rの方がより高品位な印刷を実現するための印刷設定である場合には、処理はステップS404に進む。一方、印刷設定RよりもA[P、M]の方がより高品位な印刷を実現するための印刷設定である場合には、処理はステップS402に戻り、次のPについて以降の処理を行う。
【0070】
ステップS404では、印刷対象の会議資料Mのデータと、印刷設定Rと、を印刷装置200に対して送信する。なお、クライアント装置300がこの印刷設定Rを印刷管理装置100及び印刷装置200に対して送信する場合、ステップS404では印刷設定Rの送信は行わなくても良い。ステップS405では、A[P、M]をRに更新する。
【0071】
一方、ステップS411では、ステップS412〜S416の処理を、全てのPについて繰り返す。ステップS412では、A[P、M]が空であるか否かを判断する。この判断の結果、空である場合には、処理はステップS413に進む。一方、空ではない場合には、ステップS412に戻り、次のPについて以降の処理を行う。
【0072】
ステップS413では、図7のフローチャートに従った処理を行う。ステップS414では、印刷設定RとしてD[P、M]を用いるように設定する。ステップS415では、印刷対象の会議資料Mのデータと、印刷設定Rと、を印刷装置200に対して送信する。なお、クライアント装置300がこの印刷設定Rを印刷管理装置100及び印刷装置200に対して送信する場合、ステップS404では印刷設定Rの送信は行わなくても良い。ステップS405では、A[P、M]にRを設定する。
【0073】
なお、本実施形態では、特別参加者フラグを1列しか設けず、印刷設定のうちどれか1つでもグレードアップした場合はフラグを立てていた。しかし、印刷設定の個々の属性、例えばUP数や印刷品質ごとに特別参加者フラグを設けても良い。
【0074】
上記実施形態における印刷管理装置100は、次のような構成を基本とするもので、次の構成を有していれば、その構成には様々な変形例が考え得る。先ず、印刷管理装置100は、デフォルトで用いる印刷設定をファイル毎に保持しているテーブル情報を、ユーザ毎に管理していることを前提とする。
【0075】
この前提の元、第1のファイルを印刷するために着目ユーザから入力された印刷設定が、着目ユーザのテーブル情報に保持されている第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定であるか否かを判断する。この判断の結果、より高品位の印刷を行うための印刷設定であると判断したとする。その場合、第1のファイルとは異なる第2のファイルを印刷する指示が着目ユーザから入力されると、着目ユーザのテーブル情報に保持されている第2のファイルの印刷設定を、より高品位の印刷を行うための印刷設定に更新する。
【0076】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、印刷管理装置100と印刷装置200とは別個の装置としていたが、図2に示すように、印刷管理装置100を印刷管理部210として印刷装置200内に組み込むようにしても良い。
【0077】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デフォルトで用いる印刷設定をファイル毎に保持しているテーブル情報を、ユーザ毎に管理している手段と、
第1のファイルを印刷するために着目ユーザから入力された印刷設定が、該着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、より高品位の印刷を行うための印刷設定であると判断し、且つ前記第1のファイルとは異なる第2のファイルを印刷する指示が前記着目ユーザから入力された場合には、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第2のファイルの印刷設定を、より高品位の印刷を行うための印刷設定に更新する更新手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記着目ユーザから入力された前記第1のファイルの印刷設定で定義されている、1枚の印刷媒体に対して印刷するページ数が、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定で定義されている、1枚の印刷媒体に対して印刷するページ数よりも少ない場合には、前記着目ユーザから入力された前記第1のファイルの印刷設定が、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定である、と判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、
前記着目ユーザから入力された前記第1のファイルの印刷設定がカラーの印刷設定であって、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定が白黒の印刷設定である場合には、前記着目ユーザから入力された前記第1のファイルの印刷設定が、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定である、と判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
更に、
前記更新手段により更新された印刷設定に従って前記第2のファイルを印刷する印刷手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の管理手段が、デフォルトで用いる印刷設定をファイル毎に保持しているテーブル情報を、ユーザ毎に管理している工程と、
前記情報処理装置の判断手段が、第1のファイルを印刷するために着目ユーザから入力された印刷設定が、該着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第1のファイルの印刷設定よりも、より高品位の印刷を行うための印刷設定であるか否かを判断する判断工程と、
前記情報処理装置の更新手段が、前記判断工程で、より高品位の印刷を行うための印刷設定であると判断し、且つ前記第1のファイルとは異なる第2のファイルを印刷する指示が前記着目ユーザから入力された場合には、前記着目ユーザのテーブル情報に保持されている前記第2のファイルの印刷設定を、より高品位の印刷を行うための印刷設定に更新する更新工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置が有する各手段として機能させるための、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−59229(P2012−59229A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204866(P2010−204866)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】