説明

情報処理装置、設定変更方法およびプログラム

【課題】複数の機器に対して一斉に設定変更が行われるとき、設定変更されない機器が発生することを低減できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更するための設定変更日時を設定するスケジュール設定部42と、その設定変更日時よりも前の日の設定変更日時と同じ時刻において複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する機器状態確認部43と、機器状態確認部43による確認の結果、複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させる機器状態制御部44と、設定変更日時において複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更部46と、を備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報設定変更方法およびプログラムに関し、特にネットワークに接続された機器の設定状態を変更するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線ネットワークシステムにおいて、一つのクライアント装置から新たな無線ネットワーク設定についての情報が入力されるだけで、無線通信制御装置及び全てのクライアント装置における無線ネットワーク設定が同期して変更されるようにした技術が提案されている(例えば特許文献1)。この従来技術では、設定変更時に、全てのクライアント装置の無線ネットワーク設定を同期して変更するように構成されているが、そのときにタイムアウトなどが発生して設定変更することができないこともある。その場合、従来技術は、設定変更時に変更できなかった対象リストを表示することによって、ユーザに再設定を促すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−98768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では無線ネットワークの設定に限らず、ネットワークに接続された様々な情報機器の設定状態を一括して同時に変更したい場合がある。例えば、各情報機器の内部時計を標準時の設定からサマータイムの設定に切り替える場合である。また、各情報機器において課金処理が行われるようなときに参照される課金単価などが設定された課金マップを切り替える場合もある。このような場合、ネットワークに接続されている複数の情報機器の設定状態を一斉に変更することができないと、各情報機器間における設定状態に不整合が生じる。そのような事態が生じると、設定変更されなかった情報機器は、その後に再設定が行われることにより、他の情報機器と同じ設定状態に変更される。
【0005】
しかしながら、一斉に設定変更されるタイミングで設定変更されなかった情報機器に対する再設定が行われるまでの間に、その情報機器において何らかの処理が行われてしまうこともある。この場合、情報機器は、その処理の実行完了時刻や、その処理の実行に伴う課金額などの情報を履歴情報に記録するときに、設定状態が変更される前の状態での誤った情報を履歴情報に記録してしまうこととなり、問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、一斉に設定変更が行われるタイミングで設定変更されない機器が発生することを低減できるようにした情報処理装置、設定変更方法およびプログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、複数の機器とネットワークを介して接続される情報処理装置であって、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定するスケジュール設定手段と、前記設定変更日時よりも前の日の前記設定変更日時と同じ時刻において前記複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する機器状態確認手段と、前記機器状態確認手段による確認の結果、前記複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を前記設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させる機器状態制御手段と、前記設定変更日時において、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0008】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記機器状態制御手段は、前記機器状態確認手段によって設定変更が不可能な状態である機器が確認された場合、その設定変更が不可能な状態の機器に対して少なくとも1回のデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行させるデータ送信形態を予め特定しておき、前記設定変更日時において、その設定変更が不可能な状態の機器に対し、予め特定されたデータ送信形態でデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態に移行させることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記複数の機器のそれぞれの動作状態を定期的に監視して状態監視情報に記録する監視手段を更に備え、前記機器状態制御手段は、前記機器状態確認手段によって設定変更が不可能な状態であることが確認された機器が前記設定変更日時よりも前に設定変更可能な状態となるタイミングを前記状態監視情報に基づいて特定し、その特定したタイミングで、設定変更が不可能な状態であることが確認された機器に対して前記設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行うことを特徴とする構成である。
【0010】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の情報処理装置において、前記機器状態制御手段は、前記設定変更手段による設定状態の変更が完了した後、電源を自動的にオンさせた機器の電源をオフさせることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項5にかかる発明は、請求項3又は4に記載の情報処理装置において、前記設定変更手段は、前記設定変更日時において前記複数の機器の中に設定状態を変更することができなかった機器が存在する場合、前記状態監視情報に基づいて設定状態を変更することができなかった機器が設定変更可能な状態となるタイミングを特定し、当該機器が設定変更可能な状態となったタイミングで設定状態の変更を行うことを特徴とする構成である。
【0012】
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の情報処理装置において、前記設定変更手段による設定状態の変更が完了した場合に、前記設定変更日時から設定状態の変更が完了したタイミングまでの間に記録された履歴情報を書き換える書換手段をさらに備えることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置において、前記機器状態制御手段が設定変更不可能な状態の機器を設定変更可能な状態に移行させることができない場合、予め定められたユーザに対し、前記機器状態確認手段によって設定変更が不可能な状態であることが確認された機器の電源を前記設定変更日時にオンにしておくように通知する通知手段を更に備えることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項8にかかる発明は、ネットワークに接続されている複数の機器の設定状態を変更する設定変更方法であって、(a)前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定するステップと、(b)前記設定変更日時よりも前の日の前記設定変更日時と同じ時刻において前記複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認するステップと、(c)前記ステップ(b)における確認の結果、前記複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を前記設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させるステップと、(d)前記設定変更日時において、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の設定変更方法において、前記ステップ(c)は、前記ステップ(b)において設定変更が不可能な状態である機器が確認された場合、その設定変更が不可能な状態の機器に対して少なくとも1回のデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行させるデータ送信形態を予め特定しておき、前記設定変更日時において、その設定変更が不可能な状態の機器に対し、予め特定されたデータ送信形態でデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態に移行させることを特徴とする構成である。
【0016】
請求項10にかかる発明は、請求項8又は9に記載の設定変更方法において、(e)前記複数の機器のそれぞれの動作状態を定期的に監視して状態監視情報に記録するステップを更に有し、前記ステップ(c)は、前記ステップ(b)において設定変更が不可能な状態であることが確認された機器が前記設定変更日時よりも前に設定変更可能な状態となるタイミングを前記状態監視情報に基づいて特定し、その特定したタイミングで、設定変更が不可能な状態であることが確認された機器に対して前記設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行うことを特徴とする構成である。
【0017】
請求項11にかかる発明は、請求項10に記載の設定変更方法において、前記ステップ(c)は、前記ステップ(d)による設定状態の変更が完了した後、電源を自動的にオンさせた機器の電源をオフさせることを特徴とする構成である。
【0018】
請求項12にかかる発明は、請求項10又は11に記載の設定変更方法において、前記ステップ(d)は、前記設定変更日時において前記複数の機器の中に設定状態を変更することができなかった機器が存在する場合、前記状態監視情報に基づいて設定状態を変更することができなかった機器が設定変更可能な状態となるタイミングを特定し、当該機器が設定変更可能な状態となったタイミングで設定状態の変更を行うことを特徴とする構成である。
【0019】
請求項13にかかる発明は、請求項12に記載の設定変更方法において、(f)前記ステップ(d)による設定状態の変更が完了した場合に、前記設定変更日時から設定状態の変更が完了したタイミングまでの間に記録された履歴情報を書き換えるステップをさらに有することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項14にかかる発明は、請求項8乃至13のいずれかに記載の設定変更方法において、(g)前記ステップ(c)が設定変更不可能な状態の機器を設定変更可能な状態に移行させることができない場合、予め定められたユーザに対し、前記ステップ(b)において設定変更が不可能な状態であることが確認された機器の電源を前記設定変更日時にオンにしておくように通知するステップを更に有することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項15にかかる発明は、複数の機器とネットワークを介して接続される情報処理装置において実行されるプログラムであって、前記情報処理装置を、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定するスケジュール設定手段、前記設定変更日時よりも前の日の前記設定変更日時と同じ時刻において前記複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する機器状態確認手段、前記機器状態確認手段による確認の結果、前記複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を前記設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させる機器状態制御手段、および、前記設定変更日時において、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更手段、として機能させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、設定変更日時よりも前の日の設定変更日時と同じ時刻において複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認し、複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合には、その設定変更が不可能な状態の機器を設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させるように構成される。そのため、設定変更日時において一斉に設定変更が行われるタイミングで設定変更されない機器が発生することを低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【図2】情報機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】情報機器における電力供給状態の状態遷移の一例を示す図である。
【図4】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】情報処理装置において記憶装置に予め記憶される機器管理情報の一例を示す図である。
【図6】情報処理装置においてCPUがプログラムを実行することによって実現される機能構成の一例を示すブロック図である。
【図7】スケジュール設定部によって登録される設定情報の一例を示す図である。
【図8】情報処理装置のCPUによって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】機器状態確認処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】一括設定変更処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】未設定機器変更処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態であるネットワークシステムの概略構成を示す図である。このネットワークシステムは、情報処理装置1と、コンピュータ2と、複数の情報機器3a,3b,3c,3dとを有し、これらがLAN(Local Area Network)などのネットワーク4に接続された構成である。
【0026】
情報処理装置1は、例えばサーバコンピュータなどによって構成され、ネットワーク4を介して複数の情報機器3a,3b,3c,3dを管理する装置である。この情報処理装置1は、ネットワーク4を介して複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を変更することも可能である。
【0027】
コンピュータ2は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成される。このコンピュータ2は、例えばネットワークシステムの管理者によって使用される。管理者は、コンピュータ2を操作することによって、情報処理装置1に対して、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を一括して変更する日時を指示したり、その設定変更の内容などを指示したりすることができるようになっている。
【0028】
複数の情報機器3a,3b,3c,3dはそれぞれ、例えば複合機やプリンタ、ファクシミリなどの装置である。本実施形態では、複数の情報機器3a,3b,3c,3dが全て複合機として構成される場合を例示する。ただし、それら複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれに搭載されている機能は異なっていても良い。尚、図例では、4台の情報機器3a,3b,3c,3dがネットワーク4に接続される場合を示しているが、情報機器の台数は4台に限られるものではない。
【0029】
情報処理装置1は、ハードディスク装置などによって構成される不揮発性の記憶装置1aを備えている。この記憶装置1aには、機器管理情報7と、状態監視情報8と、設定情報9とが記憶される。機器管理情報7は、情報処理装置1の管理対象である複数の情報機器3a,3b,3c,3dに関する情報が予め登録された情報である。また状態監視情報8は、複数の情報機器のそれぞれの動作状態が記録された情報である。情報処理装置1は、ネットワーク4を介して定期的に複数の情報機器3a,3b,3c,3dの動作状態を監視するように構成されており、状態監視情報8には定期的に行われる監視結果がその都度記録される。設定情報9は、情報処理装置1がコンピュータ2から指示される設定変更日時などを登録しておくための情報である。
【0030】
情報処理装置1は、記憶装置1aに設定情報9が記憶されている場合、その設定情報9に登録されている設定変更日時となったタイミングで、複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対して一斉に設定変更を実施する。
【0031】
図2は、情報機器3a,3b,3c,3dのハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、情報機器3a,3b,3c,3dはそれぞれ、全体制御部10と、操作パネル11と、プリンタ部12と、スキャナ部13と、FAX部14と、ネットワークインタフェース15と、時計回路16と、記憶装置17と、電源管理部18とを備えており、これらがデータバス19を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。尚、図例では、複数の情報機器3a,3b,3c,3dがそれぞれ同一の構成である場合を示しているが、これに限られず、各機器が異なる構成であっても構わない。例えば、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの中に、スキャナ部13やFAX部14を備えてない機器があっても良い。
【0032】
全体制御部10は、各部の動作を制御するものであり、CPU10aと、メモリ10bとを備えて構成される。CPU10aは、記憶装置17に予めインストールされているプログラム20を読み出して実行することにより、各種演算処理を行うと共に、全体制御部10における制御動作を行うものである。メモリ10bは、CPU10aがプログラム20を実行することによって発生する一時的なデータなどを記憶するためのものである。
【0033】
操作パネル11は、ユーザが情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれを操作する際のユーザインタフェースとなるものである。この操作パネル11は、表示部11aと、操作部11bとを備えており、表示部11aに対して操作案内画面を表示すると共に、操作部11bに対して行われるユーザの操作に基づいて全体制御部10に操作信号を出力するように構成される。
【0034】
プリンタ部12は、例えば電子写真方式で印刷用紙などのシート材に画像を形成することにより、印刷出力を行う処理部である。このプリンタ部12は、全体制御部10から指示される印刷ジョブを実行することにより、印刷出力を行う。
【0035】
スキャナ部13は、原稿を読み取って画像データを生成する処理部である。原稿を読み取って生成した画像データは、ネットワークインタフェース15を介して外部に出力されたり、或いは、記憶装置17の所定の記憶領域に保存されたりする。スキャナ部13は、全体制御部10から指示されるスキャンジョブに基づいて原稿の読み取り動作を行うことにより、画像データを生成する。
【0036】
FAX部14は、図示しない公衆電話回線を介してFAXデータの送受信を行う処理部である。例えば、FAXデータを受信すると、FAX部14は、そのFAXデータを全体制御部10に出力する。また、FAXデータ送信時には、FAX部14は、送信対象となる画像データを取得し、全体制御部10から指示されるFAXジョブに基づいて外部の宛先にFAXデータを送信する。
【0037】
ネットワークインタフェース15は、情報機器3a,3b,3c,3dをネットワーク4に接続するためのものである。情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれは、このネットワークインタフェース15を介してネットワーク4に接続されている情報処理装置1やコンピュータ2とのデータ通信を行う。このネットワークインタフェース15には、CPU15aが設けられている。このCPU15aは、ネットワーク4に送出されるデータが自身宛のデータであるか否かを判別し、自身宛のデータであればそのデータをネットワーク4から受信する。例えば、受信したデータがpingコマンドなどの導通確認コマンドである場合、CPU15aは、その導通確認コマンドに対する応答信号を生成して応答する。またCPU15aは、導通確認コマンド以外のデータを受信した場合、その受信したデータを全体制御部10に出力する。またCPU15aは、全体制御部10から指示されるデータをネットワーク4に送出する処理も行う。
【0038】
時計回路16は、いわゆるリアルタイムクロックであり、各情報機器3a,3b,3c,3dの内部において現在時刻を刻み続ける機能を有している。この時計回路16には図示しない内部電源が設けられている。そのため、各情報機器3a,3b,3c,3dに外部からの電源供給が行われていない場合でも、時計回路16は内部電源により現在時刻を刻み続けることが可能である。
【0039】
記憶装置17は、例えばハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶手段である。この記憶装置17には、上述したように全体制御部10のCPU10aで実行されるプログラム20が記憶されている。また、記憶装置17には、プログラム20の他に、各情報機器3a,3b,3c,3dの状態を外部に公開するための情報であるMIB(Management Information Base)21と、各情報機器3a,3b,3c,3dにおいて課金対象となるジョブの実行が行われた場合に課金処理を行うために参照される課金マップ22と、各情報機器3a,3b,3c,3dにおいてジョブの実行などが行われた場合にその履歴が記録される履歴情報23とが記憶されている。
【0040】
MIB21には、各情報機器3a,3b,3c,3dの状態を示す様々な情報が記録されている。ネットワークインタフェース15を介して外部からMIB21にアクセスすることにより、外部の装置がMIB21に記録されている情報を参照したり、MIB21に記録されている情報の書き換えを行ったりすることができる。
【0041】
課金マップ22は、例えばジョブごとに課金単価が記録された情報である。各情報機器3a,3b,3c,3dには、同じ課金単価が記録された課金マップ22が記憶される。そのため、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのうちのいずれでジョブの実行が行われてもユーザへの課金額は同じ額となるように統一されている。
【0042】
履歴情報23には、各情報機器3a,3b,3c,3dにおいて実行されたジョブに関する情報が履歴として記録される。例えば、実行されたジョブの種類、ジョブの実行を指示したユーザ、ジョブの実行開始時刻、ジョブの実行完了時刻、ジョブの実行に伴って算出された課金額などの情報が履歴情報23に記録される。
【0043】
電源管理部18は、図示しない外部電源から上述した各部に対する電力供給状態を制御する処理部である。図3は、電源管理部18によって制御される電力供給状態の状態遷移を示す図である。
【0044】
まず、電源オフ状態ST1にあるとき、電源管理部18は、外部電源からの電力を遮断し、各部への電力供給を行わない。この電源オフ状態ST1にあるときに、例えばユーザが電源スイッチをオンに操作すると、電源管理部18は、各部への電力供給を開始し、電源オフ状態ST1から通常動作状態ST2へと移行させる。この通常動作状態ST2は、上述した各部に対して正常に電力が供給されている状態であり、全体制御部10がプリンタ部12、スキャナ部13又はFAX部14のそれぞれの動作をさせてジョブの実行を行うことができる状態である。
【0045】
また電源管理部18は、ユーザによる手動操作によって電源スイッチがオンにされない場合でも、予め設定されたターンオン時刻になると各部への電力供給を自動的に開始するタイマー機能を備えており、そのためのターンオン時刻が記録されたタイマー設定情報18aを保持している。したがって、電源管理部18は、時計回路16から出力される現在時刻が予め設定されたターンオン時刻になると、電源オフ状態ST1から通常動作状態ST2へと移行させ、ジョブの実行を可能な状態とする。
【0046】
さらに電源管理部18は、各部の動作状態を監視し、所定の条件を満たすことにより、電力供給状態を省電力モードへと移行させるように構成される。図例では、省電力モードとして、3つの省電力モードST3,ST4,ST5がある。
【0047】
第1省電力モードST3は、通常動作状態ST2から移行する1段階目の省電力モードである。電源管理部18は、例えば、通常動作状態ST2においてジョブの実行がなく、操作パネル11がユーザによって操作されていない状態であって、且つ、ネットワークインタフェース15がネットワーク4からデータを受信していない状態が所定時間以上継続した場合、通常動作状態ST2から第1省電力モードST3へと移行させる。この第1省電力モードST3では、電源管理部18の制御によって操作パネル11における表示部11aがオフに切り替えられる。この第1省電力モードST3において、ユーザが操作パネル11を操作した場合、或いは、ネットワークインタフェース15がデータを受信した場合に、電源管理部18が第1省電力モードST3から通常動作状態ST2へと復帰させ、ジョブの実行を可能な状態とする。
【0048】
第1省電力モードST3において、ユーザが操作パネル11を操作せず、しかもネットワークインタフェース15がデータを受信しない状態が所定時間以上継続すると、電源管理部18は、第1省電力モードST3から2段階目の第2省電力モードST4へと移行させる。この第2省電力モードST4では、電源管理部18の制御によって更に全体制御部10に供給される電力がオフに切り替えられる。この第2省電力モードST4においては、ユーザが操作パネル11を操作した場合、或いは、ネットワークインタフェース15がデータを受信した場合に、電源管理部18が第2省電力モードST4から通常動作状態ST2へと復帰させ、ジョブの実行を可能な状態とする。
【0049】
ただし、この第2省電力モードST4においては、ネットワークインタフェース15がデータを受信した場合でも、電源管理部18が通常動作状態ST2に復帰させないこともある。例えば、第2省電力モードST4は、第1省電力モードよりも節電効果が大きいため、その状態をなるべく長時間継続させるために、電源管理部18は、ネットワークインタフェース15が導通確認コマンドなどのような重要性の低いデータを受信した場合には通常動作状態ST2への復帰を行わない。これに対し、ネットワークインタフェース15が印刷ジョブのような重要性の高いデータを受信した場合、電源管理部18は、全体制御部10への電力供給を開始して通常動作状態ST2に復帰させる。このように電源管理部18は、第2省電力モードST4にあるときに、ネットワークインタフェース15がデータを受信した場合には、その受信したデータの種類によって通常動作状態ST2に復帰させたり、或いは、復帰させなかったりすることがある。尚、ネットワークインタフェース15がどのようなデータを受信したときに第2省電力モードST4から通常動作状態ST2へと移行するかは、各情報機器3a,3b,3c,3dに搭載されている機能や、各情報機器3a,3b,3c,3dのモデルなどによって異なることもある。
【0050】
第2省電力モードST4において、ユーザが操作パネル11を操作せず、しかもネットワークインタフェース15がデータを受信しない状態が所定時間以上継続すると、電源管理部18は、第2省電力モードST4から3段階目の第3省電力モードST5へと移行させる。この第3省電力モードST5では、電源管理部18の制御によって更にネットワークインタフェース15に供給される電力がオフに切り替えられる。そのため、この第3省電力モードST5に移行すると、情報機器3a,3b,3c,3dは、ネットワーク4を介してデータを受信することができなくなる。ただし、この第3省電力モードST5においても、ユーザが操作パネル11を操作すると、電源管理部18は、第5省電力モードST5から通常動作状態ST2へと復帰させ、ジョブの実行を可能な状態とする。
【0051】
上記のような構成において、全体制御部10は、例えば通常動作状態ST2であるときに、情報処理装置1から設定状態を変更するための指示を受信すると、その指示に基づいて設定変更を行う。これに対し、例えば通常動作状態ST2でないとき、全体制御部10は、情報処理装置1からの指示に基づく設定変更を行うことはできない。したがって、全体制御部10が情報処理装置1からの指示に基づいて正常に設定変更を行うためには、情報処理装置1から設定変更の指示が送信されるまでに電力供給状態を通常動作状態ST2に移行させておく必要がある。
【0052】
次に情報処理装置1について説明する。図4は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示すように、情報処理装置1は、CPU30と、メモリ31と、ネットワークインタフェース32と、記憶装置1aとを備えており、これらがデータバス33を介してデータの入出力を行うことができる構成である。尚、このような情報処理装置1は、例えば一般的なパーソナルコンピュータ(PC)によって構成されるものであっても構わない。
【0053】
記憶装置1aには、上述したように機器管理情報7と、状態監視情報8と、設定情報9とが記憶される他、情報処理装置1に予めインストールされるプログラム34が記憶される。CPU30は、記憶装置1aからプログラム34を読み出して実行することにより、後述する各種処理部として機能し、ネットワーク4を介して複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれの設定状態を変更する。メモリ31は、CPU30がプログラム34を実行することに伴って発生する一時的なデータなどを記憶するためのものである。ネットワークインタフェース32は、情報処理装置1をネットワーク4に接続するためのものである。CPU30は、このネットワークインタフェース32を介して外部とのデータ通信を行う。
【0054】
図5は、記憶装置1aに予め記憶される機器管理情報7の一例を示す図である。図5に示すように、機器管理情報7には、情報処理装置1が管理する複数の情報機器3a,3b,3c,3dに関する情報が登録されている。すなわち、機器管理情報7には、各情報機器3a,3b,3c,3dの名称7a、IPアドレス7b、モデル7c、搭載機能7dなどに関する情報が登録されている。
【0055】
情報処理装置1において、CPU30が必要に応じて、このような機器管理情報7を参照することにより、管理対象である各情報機器3a,3b,3c,3dに関する情報を取得することができる。例えば、図5に示す機器管理情報7には、上述したタイマー機能を備えていない情報機器が登録されることもある。そのような場合、その情報機器に対応するモデル7cの欄を参照すれば、その情報機器がタイマー機能を備えていないモデルであることを特定することができる。また機器管理情報7に登録されている情報機器3a,3b,3c,3dがプリント機能やFAX機能を備えているか否かということも、搭載機能7dの欄を参照すれば判別することができる。すなわち、CPU30は、後述する各種処理部として機能するとき、必要に応じて、図5に示すような機器管理情報7を参照することにより、管理対象である各情報機器3a,3b,3c,3dがどのような機能を備えた装置であるかを把握することが可能である。
【0056】
図6は、CPU30がプログラム34を実行することによって実現される機能構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、CPU30は、プログラム34を実行することにより、機器監視部41、スケジュール設定部42、機器状態確認部43、機器状態制御部44、通知部45、設定変更部46および履歴情報書換部47として機能する。
【0057】
機器監視部41は、機器管理情報7に登録されている複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対し、定期的にステータスポーリングなどを行うことによって各情報機器3a,3b,3c,3dの動作状態を監視する処理部である。この機器監視部41がネットワークインタフェース32を介してステータスポーリングを送出する間隔は、特に限定するものではないが、例えば1時間間隔などに設定される。この場合、機器監視部41は、CPU30において1時間ごとに機能し、複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対してステータスポーリングを送出し、ステータスポーリングに対する返答が得られた情報機器を稼働状態である判別する。またステータスポーリングに対する返答が得られなかった情報機器は休止状態であると判別する。そして機器監視部41は、各情報機器3a,3b,3c,3dについての動作状態の判別結果を状態監視情報8に記録する。このとき、状態監視情報8には、ステータスポーリングが送出された日時も記録される。
【0058】
状態監視情報8は、上記のように機器監視部41によって定期的に監視される各情報機器3a,3b,3c,3dの動作状態がログとして累積的に記録される情報となる。つまり、状態監視情報8には、例えば1時間ごとに、各情報機器3a,3b,3c,3dが稼働状態であるか休止状態であるかが記録される。それ故、このような状態監視情報8を参照すれば、各情報機器3a,3b,3c,3dが日常において稼働状態となる時間帯を予測することができるようになる。
【0059】
上記のような機器監視部41は、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を変更する予定の有無にかかわらず、CPU30において日常的に機能する処理部である。これに対し、スケジュール設定部42、機器状態確認部43、機器状態制御部44、通知部45、設定変更部46および履歴情報書換部47は、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を変更する予定がある場合に機能する処理部となっている。以下、これらについて説明する。
【0060】
スケジュール設定部42は、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を変更するスケジュールを設定する処理部である。例えばCPU30がネットワークインタフェース32を介して複数の情報機器3a,3b,3c,3dの一括設定変更を行うための管理者からの指示を受信した場合に、このスケジュール設定部42が機能する。スケジュール設定部42は、その指示に基づいて一括設定変更のスケジュールを設定し、設定情報9を記憶装置1aに登録する。
【0061】
図7は、スケジュール設定部42によって登録される設定情報9の一例を示す図である。図7に示すように、この設定情報9は、一括設定変更を行う設定変更日時と、一括設定変更における具体的な変更処理の内容を示す設定変更内容と、一括設定変更の対象となる情報機器を示す対象機器とが登録される情報である。スケジュール設定部42は、受信された指示に含まれる情報に基づいて図7に示すような設定情報9を生成し、記憶装置1aに登録する。図7の例では、設定情報9が、複数の情報機器3a,3b,3c,3dにおける時計回路16の時刻を標準時からサマータイムに切り替えるための設定変更を、設定変更日時に一斉に行う情報となっている。ただし、一括設定変更における具体的な変更処理の内容は、図7に示すように、時計回路16の時刻を標準時からサマータイムに切り替えるものに限られない。例えば、時計回路16の時刻をサマータイムから標準時に切り替えるものであっても良い。また、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれに記憶されている課金マップ22を古いデータから新しいデータに変更するものであっても良い。さらには、複数の情報機器3a,3b,3c,3dにおけるその他の設定状態を変更するものであっても構わない。
【0062】
また、スケジュール設定部42は、一括設定変更の指示において指定されている設定変更日時を設定情報9に登録する。このとき、スケジュール設定部42は、指定されている設定変更日時までに少なくとも24時間以上の準備期間を確保することができることを条件として、設定情報9を登録する。このような準備期間としては、1週間以上の期間を確保できることがより好ましい。スケジュール設定部42が設定情報9の登録を行うとき、設定変更日時までの残り時間が24時間未満である場合、例えば、管理者に対して設定変更日時の再設定を促すメッセージをコンピュータ2に送信することにより、設定変更日時までに少なくとも24時間以上の準備期間を確保できるようにする。したがって、スケジュール設定部42によって複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を一括して変更するスケジュールが設定されると、その一括設定変更が実際に行われるまでに、少なくとも24時間の準備期間が確保されることになる。
【0063】
尚、課金マップ22などのデータを別のデータに変更する場合を除き、時計回路16の時刻をサマータイムに切り替えたり、或いは標準時に戻したりする設定変更は、管理者からの指示がない場合であっても、スケジュール設定部42は、情報処理装置1の設置されている地域などの情報に基づいて自動的に設定情報9を登録することが可能である。そのため、スケジュール設定部42は、必ずしも管理者からの指示に基づいて設定情報9を登録するものに限られず、自動的に設定情報9を登録するものであっても良い。ただし、この場合は、一括設定変更を行う設定変更日時までに少なくとも1週間以上の準備期間を確保することが好ましい。
【0064】
上記のようにして一括設定変更を行うためのスケジュールが設定されると、次にCPU30において機器状態確認部43が機能する。この機器状態確認部43は、上述した準備期間中に機能し、一括設定変更が行われる設定変更日時よりも前の日の設定変更日時と同じ時刻において、設定変更の対象機器である複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する処理部である。機器状態確認部43は、例えば準備期間が1週間以上ある場合には、一括設定変更が行われる設定変更日時と、同じ曜日で、且つ同じ時刻において、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する。また例えば準備期間が1週間に満たない場合には、一括設定変更が行われる前日の設定変更日時と同じ時刻において、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する。
【0065】
この機器状態確認部43は、設定変更可能な状態であるか否かを確認するとき、例えば次のような処理を行う。機器状態確認部43は、まず複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれに対し、pingコマンドなどの導通確認コマンドを送信する。そして導通確認コマンドに対する応答信号を受信した場合、機器状態確認部43は、その応答信号を送信した情報機器が設定変更可能な状態であるか否かを確認する。例えば、機器状態確認部43は、その情報機器が使用されるうえで特に影響のない情報(例えば情報機器のニックネームなどが登録されている情報)を書き換える処理を行い、実際にその書き換えが情報機器に反映されるか否かを確認する。すなわち、機器状態確認部43は、応答信号を送信した情報機器に対し、実際の一括設定変更時に行われる設定変更とは異なる仮の設定変更をトライする。
【0066】
その結果、仮の設定変更が情報機器において正常に反映された場合、機器状態確認部43は、その情報機器を設定変更が可能な状態であると判別する。これに対し、仮の設定変更が情報機器において正常に反映されなかった場合、機器状態確認部43は、その情報機器を設定変更が不可能な状態であると判別する。
【0067】
また始めに送信した導通確認コマンドに対する応答信号を送信しない情報機器が存在する場合、機器状態確認部43は、そのような情報機器に対する仮の設定変更をトライすることなく、そのような情報機器を設定変更が不可能な状態であると判別する。
【0068】
このようにして、一括設定変更が行われる設定変更日時よりも前の日の設定変更日時と同じ時刻において、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かが確認される。このような確認処理により、実際に一括設定変更が行われる設定変更日時において、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれがどのような状態となっているかを予め確認しておくことができるようになる。そして機器状態確認部43による確認処理の結果、設定変更が不可能な状態の情報機器が特定された場合、次にCPU30において機器状態制御部44が機能する。
【0069】
機器状態制御部44は、機器状態確認部43による確認の結果、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの中に設定変更が不可能な状態である情報機器が存在している場合、その設定変更が不可能な状態の情報機器が、一括設定変更が行われる設定変更日時において設定変更可能な状態となるように制御する。
【0070】
この機器状態制御部44は、まず機器状態確認部43による確認処理が終了した直後に機能し、機器状態確認部43によって設定変更が不可能な状態であると確認された情報機器に対してデータ送信を行う。このとき、機器状態制御部44は、様々なデータ送信形態でデータ送信を行うように構成される。例えば、機器状態制御部44は、設定変更が不可能な状態である情報機器に、ウェイクアップ信号を送信したり、MIB21の情報を書き換える情報を送信したり、印刷ジョブを送信したり、或いは、FAXデータを送信したりする。このようなデータ送信を行うことによって、情報機器は、設定変更が不可能な状態から設定変更が不可能な状態へと移行することがある。そのため、機器状態制御部44は、それぞれ異なる形態でのデータ送信を行う都度、そのデータ送信によって情報機器が設定変更可能な状態へと移行したか否かを確認する。そして設定変更可能な状態へと移行したことを確認した場合、機器状態制御部44は、そのデータ送信形態をデータ送信形態特定情報44aに記録して保存する。
【0071】
つまり、機器状態制御部44は、一括設定変更が行われる設定変更日時となる前に、設定変更が不可能な状態の情報機器を設定変更可能な状態へ移行させることができるデータ送信形態を予め特定し、その特定したデータ送信形態をデータ送信形態特定情報44aに記録しておくように構成される。このようなデータ送信形態特定情報44aには、特定されたデータ送信形態と、情報機器とが互いに1対1で関連付けられた情報が記録される。尚、データ送信形態特定情報44aは、例えば記憶装置1aにおける所定の記憶領域などに格納して保存される。
【0072】
そして機器状態制御部44は、一括設定変更が行われる設定変更日時となるタイミングで再び機能し、データ送信形態特定情報44aを読み出す。そしてデータ送信形態特定情報44aに記録されている情報機器に対し、予め特定しておいたデータ送信形態でデータ送信を行う。例えば、ウェイクアップ信号、MIB21の情報を書き換える情報、印刷ジョブ、および、FAXデータのうちの予め特定されているデータを情報機器に送信する。その結果、一括設定変更が行われるタイミングで、その情報機器を、設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行させることができるようになる。
【0073】
一方、機器状態制御部44は、上述したようにデータ送信形態を特定するために、機器状態確認部43によって設定変更が不可能な状態であると確認された情報機器に対し、予め定められたいくつかの手法でデータ送信を行ってもその情報機器が設定変更可能な状態へと移行しないこともある。この場合、機器状態制御部44は、機器管理情報7を参照することにより、その情報機器がタイマー機能を備えているモデルであるか否かを判断する。その結果、その情報機器がタイマー機能を備えている場合、機器状態制御部44は、その情報機器のタイマー設定情報18aにアクセスし、そのタイマー設定情報18aに記録されているターンオン時刻に設定変更日時を追加記録する。
【0074】
しかし、例えばその情報機器が電源オフ状態ST1や第3省電力モードST5である場合、機器状態制御部44は、上記のようなターンオン時間の追加記録を正常に行うことができない。そこで、そのような場合には、状態監視情報8を参照することにより、その情報機器が稼働状態となる時間帯を特定し、その特定した時間帯に追加記録を行うようにすれば良い。
【0075】
機器状態制御部44は、情報機器のタイマー設定情報18aに予め設定変更日時をターンオン時刻として設定しておくことにおり、一括設定変更が行われるタイミングで、その情報機器を通常動作状態ST2に移行させることができるようになり、設定変更可能な状態とすることができる。
【0076】
また、機器状態確認部43によって設定変更が不可能な状態であると確認された情報機器がタイマー機能を備えていない場合、機器状態制御部44は、設定変更日時に情報機器を自動的にターンオンさせることができない。したがって、このような場合には、CPU30において通知部45が機能する。
【0077】
通知部45は、機器状態制御部44が設定変更不可能な状態の情報機器を設定変更可能な状態に移行させることができない場合に機能する処理部である。この通知部45は、例えば管理者などの予め定められているユーザに対し、機器状態確認部43によって設定変更が不可能な状態であることが確認された情報機器の電源を設定変更日時にオンにしておくように予め通知する。このような通知は、例えば電子メールを送信することによって行われる。通知部45が予め定められているユーザに対して設定変更日時よりも前に通知を行っておくことにより、その通知を受けたユーザは指定された情報機器の電源を設定変更日時に手動操作でオンするようになる。その結果、一括設定変更が行われるタイミングで、その情報機器を設定変更可能な状態とすることができる。
【0078】
次に、設定変更部46は、設定情報9に登録されている設定変更日時に機能する処理部である。この設定変更部46は、設定変更日時となったタイミングで、設定情報9に基づいて設定変更対象である複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を一括して設定変更する処理を行う。
【0079】
例えば、各情報機器3a,3b,3c,3dにおける時計回路16の時刻を標準時からサマータイム、或いは、サマータイムから標準時に切り替える場合、設定変更部46は、各情報機器3a,3b,3c,3dに対し、時刻の設定を所定時間(例えば1時間)進めたり、或いは遅らせたりするための制御信号を送信する。これにより、この制御信号を受信する各情報機器3a,3b,3c,3dは、時計回路16の時刻を標準時からサマータイム、或いは、サマータイムから標準時に切り替える。
【0080】
また例えば、各情報機器3a,3b,3c,3dにおける課金マップ22を新しいデータに変更する場合、設定変更部46は、各情報機器3a,3b,3c,3dに対して課金マップ22の変更を指示すると共に、課金マップ22の新しいデータを送信する。これにより、新しいデータを受信する各情報機器3a,3b,3c,3dは、課金マップ22を古いデータから新しいデータに変更する。尚、課金マップ22に限らず、他のデータを変更する場合もこれと同様である。
【0081】
このような設定変更が行われる直前において複数の情報機器3a,3b,3c,3dの中に設定変更が不可能な状態の情報機器が存在する場合であっても、上述した機器状態制御部44による制御によって、その情報機器は、設定変更が行われるタイミングで、設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行する。そのため、設定変更部46は、従来よりも多くの情報機器に対して一括して設定変更を適用させることができるようになる。
【0082】
ところで、設定変更部46が設定変更日時となったタイミングで一括設定変更を行っても、その一括設定変更を適用させることができない情報機器が生じることもある。例えば、通知部45がユーザに対して予め特定の情報機器の電源をオンにしておくことを通知していたにもかかわらず、そのユーザが電源をオンにする手動操作を忘れてしまった場合に、そのような事態が発生する。このような場合、設定変更部46は、設定変更日時に一括設定変更を適用させることができなかった情報機器を特定すると共に、状態監視情報8を読み出し、その特定した情報機器が次に稼働状態となるタイミングを予測する。その後、設定変更部46は、その予測したタイミングで、一括設定変更を適用させることができなかった情報機器に対して再度設定変更を行う。
【0083】
このように設定変更日時に一括して設定変更を行うことができなった情報機器が存在する場合、その情報機器が次に稼働状態となるタイミングで設定変更部46が再び設定変更を行うことにより、その情報機器が休止状態から稼働状態となるタイミングで設定変更を反映させることができる。これにより、設定変更部46は、設定変更日時に一括して設定変更を行うことができなった情報機器がユーザによって使用される前に、その設定変更を適用することができるようになる。
【0084】
尚、状態監視情報8に記録されている情報は、上述したように機器監視部41が例えば1時間間隔で取得された各情報機器3a,3b,3c,3dの動作状態に関する情報である。そのため、設定変更日時に一括して設定変更を行うことができなった情報機器が仮に午前7時に稼働状態となることが状態監視情報8に記録されていたとしても、実際にその情報機器が稼働状態となるのは午前6時30分である可能性もある。そこで、設定変更部46は、状態監視情報8に基づいて情報機器が次に稼働状態となるタイミングが午前7時であると予測した場合、その予測したタイミングよりも前に稼働状態となることに備え、その予測したタイミングよりも所定時間(例えば1時間)前から、その情報機器に対してステータスポーリングを比較的短い時間間隔(例えば1分間隔)で送出する。そしてそのステータスポーリングに対する返答が得られたタイミングで、その情報機器が稼働状態になったと判断し、設定変更を行うように構成することが好ましい。このような構成により、設定変更部46は、設定変更日時に一括して設定変更を行うことができなった情報機器が稼働状態になったと判断されるタイミングで即時に設定変更を行うことができるようになる。
【0085】
また設定変更部46が上記のようにして設定変更日時に一括して設定変更を行うことができなった情報機器に対してその後に再度の設定変更を行う場合でも、その再度の設定変更が完了した時点で既にその情報機器がユーザによって使用されている可能性もある。その場合、その情報機器には、設定変更日時以降に実行されたジョブに関する情報が履歴情報23に既に記録された状態となっている。そこで、設定変更部46は、設定変更日時よりも後に再度の設定変更を行った情報機器がある場合、その情報機器に記憶されている履歴情報23を読み出し、設定変更日時よりも後に記録された履歴が存在するか否かを判別する。その結果、設定変更日時よりも後に記録された履歴が存在する場合、設定変更部46は、次に履歴情報書換部47を機能させる。
【0086】
履歴情報書換部47は、設定変更部46による設定変更の処理が完了した場合に、設定変更日時からその設定変更の処理が全て完了したタイミングまでの間に記録された履歴情報23を書き換える処理部である。例えば、設定変更部46によって時計回路16の時刻が設定変更された場合、履歴情報書換部47は、履歴情報23において設定変更日時以降に記録されたジョブの実行開始時刻又はジョブの実行完了時刻を、設定変更後の時刻に書き換える。また例えば、設定変更部46によって課金マップ22の設定変更が行われた場合、履歴情報書換部47は、履歴情報23において設定変更日時以降に記録された課金額を、設定変更後の課金マップ22に基づいて算出される課金額に書き換える。このように履歴情報書換部47が、情報機器の履歴情報23を書き換えることにより、設定変更日時以降に記録された誤った情報を正しい情報に修正することができる。
【0087】
ただし、本実施形態では、上述したように設定変更日時において設定変更が不可能な状態であると予測される情報機器は、その設定変更日時となる直前に設定変更が可能な状態となるように制御される。また、設定変更日時において設定変更されなかった情報機器は、その後に稼働状態となるタイミングで設定変更が行われる。そのため、設定変更日時以降にその設定変更が適用されていない情報機器がユーザによって使用されることは比較的稀なケースであり、通常は、上述した履歴情報書換部47が履歴情報23の書き換えを行うことなく、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの設定状態を変更する処理が終了する。
【0088】
次に、上記のように構成される情報処理装置1における具体的な動作について説明する。図8乃至図11は、情報処理装置1のCPU30によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、情報処理装置1に電源が投入されることに伴ってCPU30がプログラム34を実行することにより行われる。
【0089】
情報処理装置1は、図8に示す処理を開始すると、機器監視部41による監視タイミングであるか否かを判断する(ステップS1)。監視タイミングである場合(ステップS1でYES)、情報処理装置1は、上述した機器監視部41を機能させ、動作状態監視処理を実行する(ステップS2)。この処理では、情報処理装置1は、機器管理情報7に登録されている複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対し、ステータスポーリングなどを行うことによって各情報機器3a,3b,3c,3dの動作状態を監視する。そして、その結果を状態監視情報8に記録する。また、この動作状態監視処理は、上述したように例えば1時間間隔などの一定時間ごとに行われる。そのため、前回の動作状態監視処理が実行されてから所定時間が経過していない場合(ステップS1でNO)には、動作状態監視処理(ステップS2)は行われずにスキップする。
【0090】
次に情報処理装置1は、一括設定変更のスケジュール設定を行うか否かを判断する(ステップS3)。ここでは、例えば、コンピュータ2から管理者によって入力された一括設定変更のための指示を受信した場合に、YESと判断される。その場合、情報処理装置1は、スケジュール設定処理を実行する(ステップS4)。すなわち、情報処理装置1は、コンピュータ2から受信する一括設定変更のための指示に基づいて、一括設定変更を行うスケジュールを設定した設定情報9を生成し、記憶装置1aに登録する。尚、ステップS3において、新たなスケジュールの設定を行わない場合(ステップS3でNO)には、スケジュール設定処理(ステップS4)は行われずにスキップする。
【0091】
次に情報処理装置1は、一括設定変更のスケジュールが設定されているか否かを判断する(ステップS5)。この判断は、記憶装置1aに一括設定変更が未だ実施されていない設定情報9が登録されているか否かを確認することによって行われる。
【0092】
その結果、一括設定変更のスケジュールが設定されている場合(ステップS5でYES)、情報処理装置1は、機器状態確認部43による機器状態確認タイミングであるか否かを判断する(ステップS6)。ここでは、設定情報9に登録されている設定変更日時よりも前の日の設定変更日時と同じ時刻であるか否かが判断される。そして設定変更日時と同じ時刻である機器状態確認タイミングとなっている場合(ステップS6でYES)、情報処理装置1は、機器状態確認処理を実行する(ステップS7)。これに対し、機器状態確認タイミングではない場合(ステップS6でNO)、機器状態確認処理(ステップS7)は行われずにスキップする。
【0093】
また、一括設定変更のスケジュールが設定されている場合(ステップS5でYES)、情報処理装置1は、設定変更部46による一括設定変更のタイミングであるか否かを判断する(ステップS8)。ここでは、設定情報9に登録されている設定変更日時になったか否かが判断される。そして現在の時刻が設定情報9に登録されている設定変更日時である場合(ステップS8でYES)、情報処理装置1は、一括設定変更処理を実行する(ステップS9)。これに対し、一括設定変更のタイミングではない場合(ステップS8でNO)、一括設定変更処理(ステップS9)は行われずにスキップする。
【0094】
尚、ステップS5の判断を行った結果、一括設定変更のスケジュールが設定されていない場合(ステップS5でNO)、上述したステップS6〜S9の処理は行われずにスキップする。
【0095】
次に情報処理装置1は、未設定フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS10)。未設定フラグとは、一括設定変更処理(ステップS9)が実行された場合において、その一括設定変更処理で設定変更を行うことができない情報機器が生じることによりセットされるフラグである。そのため、この未設定フラグがセットされている場合(ステップS10でYES)、情報処理装置1は、設定変更が行われていない未設定の情報機器の設定状態を変更するために未設定機器変更処理を実行する(ステップS11)。ただし、未設定フラグがセットされていない場合(ステップS10でNO)には、未設定機器変更処理(ステップS11)は行われずにスキップする。その後、情報処理装置1において行われる処理は図8に示すようにステップS1に戻る。そして上述した処理が繰り返し実行される。
【0096】
次に図9は、機器状態確認処理(ステップS7)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1は、この処理を開始すると、記憶装置1aから設定情報9を読み出す(ステップS20)。情報処理装置1は、その設定情報9に登録されている対象機器の中から、確認対象となる情報機器を1つ選択し(ステップS21)、その選択した情報機器に対して導通確認コマンドを送信する(ステップS22)。その後、情報処理装置1は、導通確認コマンドを送信した情報機器から応答を受信したか否かを判断し(ステップS23)、応答を受信すれば(ステップS23でYES)、仮の設定変更を実行する(ステップS24)。この仮の設定変更では、例えば、情報機器のニックネームなどを書き換える処理が行われ、書き換えが正常に行えた場合には、元のニックネームなどに戻す処理も行われる。
【0097】
そして情報処理装置1は、その情報機器が設定変更可能な状態であるか否かを判断する(ステップS25)。ここでは、その情報機器に対して、仮の設定変更を正常に行うことができた場合に設定変更可能な状態であると判断され、仮の設定変更を行うことができなかった場合には設定変更が不可能な状態であると判断される。情報機器が設定変更可能な状態であると判断された場合(ステップS25でYES)、処理はステップS32へと進む。
【0098】
一方、導通確認コマンドに対する応答を受信しなかった場合(ステップS23でNO)、又は、導通確認コマンドに対する応答を行った情報機器が設定変更不可能な状態であると判断された場合(ステップS25でNO)、情報処理装置1は、データ送信形態特定処理を実行する(ステップS26)。このデータ送信形態特処理では、様々なデータ送信形態で情報機器にデータ送信を行うことにより、その情報機器が設定変更不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行したか否かが確認される。そして情報処理装置1は、データ送信形態特定処理(ステップS26)を行った結果、その情報機器が設定変更可能な状態へと移行したか否かを判断する(ステップS27)。
【0099】
データ送信形態特定処理によって情報機器が設定変更可能な状態へと移行した場合(ステップS27でYES)、情報処理装置1は、その情報機器を設定変更可能な状態へと移行させることができるデータ送信形態を特定して記憶する(ステップS28)。この場合、その後の処理はステップS32へと進む。
【0100】
これに対し、データ送信形態特定処理を行っても情報機器が設定変更可能な状態へと移行しなかった場合(ステップS27でNO)、情報処理装置1は、例えば機器管理情報7を参照することにより、その情報機器がタイマー機能を備えているか否かを判断する(ステップS29)。そして情報機器がタイマー機能を備えている場合(ステップS29でYES)、情報処理装置1は、その情報機器のタイマー設定情報18aに記録されているターンオン時刻に一括設定変更を行う設定変更日時を追加記録することにより、設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行う(ステップS30)。そして、その後の処理はステップS32へと進む。尚、このステップS30の処理は、設定変更日時となる前であって、その情報機器が稼働状態となっている時間帯に行うようにしても良い。
【0101】
また、設定変更が不可能な状態である情報機器がタイマー機能を備えていない場合(ステップS29でNO)、情報処理装置1は、例えば管理者などの予め定められているユーザに対し、その情報機器の電源を設定変更日時にオンにしておくように要請するための通知を送信する(ステップS31)。その後の処理はステップS32へと進む。
【0102】
そして情報処理装置1は、設定情報9に登録されている全ての対象機器について上記ステップS21〜S31の処理を行ったか否かを判断する(ステップS32)。その結果、未確認の情報機器が存在すれば、ステップS21に戻って上述した処理を繰り返す。一方、全ての情報機器の確認処理を終了した場合(ステップS32でYES)には、機器状態確認処理(ステップS7)を終了する。
【0103】
情報処理装置1は、上記のような機器状態確認処理(ステップS7)を一括設定変更が行われる設定変更日時の前に行っておくことにより、設定変更日時となるタイミングで、設定情報9に対象機器として登録されている情報機器を設定変更可能な状態に移行させることができるようになる。
【0104】
次に図10は、一括設定変更処理(ステップS9)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1は、設定変更日時となったタイミングで、この処理を開始すると、まず記憶装置1aから設定情報9を読み出し(ステップS40)、その設定情報9に登録されている対象機器の中から、設定変更の対象となる情報機器を1つ選択する(ステップS41)。情報処理装置1は、その選択した情報機器に対し、設定変更可能な状態へ移行させるためのデータ送信形態が記憶されているか否かを判断し(ステップS42)、データ送信形態が記憶されている場合(ステップS42でYES)、そのデータ送信形態で、選択した情報機器にデータ送信を行う(ステップS43)。これにより、選択された情報機器は、設定変更不可能な状態であっても、情報処理装置1から送信されるデータを受信することにより、設定変更可能な状態へと移行する。尚、選択した情報機器に関連付けて、データ送信形態が記憶されていない場合には、ステップS43の処理は行われずにスキップする。
【0105】
続いて情報処理装置1は、選択した情報機器に対し、設定情報9に登録されている設定変更を実行する(ステップS44)。例えば、時計回路16の時刻を変更したり、課金マップ22のデータを変更したり、或いは、その他の設定状態を変更する処理が行われる。設定変更を実行した後、情報処理装置1は、正常に設定変更を行うことができたか否かを判断する(ステップS45)。その結果、設定変更を正常に行うことができなかった場合(ステップS45でNO)、情報処理装置1は、その情報機器に対応して未設定フラグをセットする(ステップS46)。一方、設定変更が正常終了した場合(ステップS45でYES)、未設定フラグのセットは行わない。
【0106】
そして情報処理装置1は、設定情報9に登録されている全ての対象機器について上記ステップS41〜S46の処理を行ったか否かを判断する(ステップS47)。その結果、未だ設定変更を行っていない情報機器が存在すれば、ステップS41に戻って上述した処理を繰り返す。一方、全ての情報機器に対する設定変更を行った場合(ステップS47でYES)には、一括設定変更処理(ステップS9)を終了する。
【0107】
情報処理装置1は、上記のような一括設定変更処理(ステップS9)を行うことにより、設定変更日時となったタイミングで、設定情報9に対象機器として登録されている複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれに対し、同じ設定変更をほぼ同時に行うことができるようになる。
【0108】
次に図11は、未設定機器変更処理(ステップS11)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。未設定フラグが設定されているとき、情報処理装置1がこの処理を開始すると、まず状態監視情報8を読み出す(ステップS50)。そして情報処理装置1は、一括設定変更処理で設定変更されなかった未設定の情報機器を1つ選択する(ステップS51)。情報処理装置1は、その選択した情報機器に対応する状態監視情報8を参照し、その情報機器が次に稼働状態(通常動作状態ST2)となるタイミングを予測する(ステップS52)。そして現在時刻を取得し、現在時刻がその予測したタイミングまで所定時間内の時刻となっているか否かを判断する(ステップS53)。
【0109】
その結果、その情報機器が稼働状態になると予測したタイミングまで所定時間以内である場合(ステップS53でYES)、情報処理装置1は、その情報機器に対してステータスポーリングなどの応答要求を送信する(ステップS54)。そして情報機器から応答があったか否かを判断し(ステップS55)、応答がない場合には応答要求の送信を繰り返す。情報処理装置1が応答要求の送信を繰り返し行うことにより、情報機器が稼働状態となったタイミングでその情報機器から応答を受信することができるようになる。情報処理装置1は、情報機器から応答を受信した場合(ステップS55でYES)、その情報機器に対する設定変更を実行する(ステップS56)。そして選択した情報機器に対応する未設定フラグをリセットする(ステップS57)。
【0110】
その後、情報処理装置1は、設定変更を行った情報機器の履歴情報23を取得し(ステップS58)、設定変更日時以降の履歴が記録されているか否かを判断する(ステップS59)。その結果、設定変更日時以降の履歴が履歴情報23に記録されている場合(ステップS59でYES)、情報処理装置1は、その履歴を設定変更後の内容に書き換えて履歴情報23を更新する(ステップS60)。ただし、設定変更日時以降に記録された履歴がない場合(ステップS59でNO)、ステップS60の処理はスキップする。
【0111】
また、未設定の情報機器が稼働状態になると予測したタイミングまでの残り時間が、所定時間を越えている場合(ステップS53でNO)、上述したステップS54〜S60の処理は行われずにスキップする。
【0112】
そして情報処理装置1は、他に未設定フラグがセットされている情報機器が存在するか否かを判断し(ステップS61)、他の情報機器がある場合にはステップS51に戻って上述した処理を繰り返す。これに対し、他の情報機器がない場合には、この未設定機器変更処理(ステップS11)を終了する。
【0113】
情報処理装置1は、上記のような未設定機器変更処理(ステップS11)を行うことにより、設定変更日時に行われる一括設定変更処理において設定変更されなかった情報機器に対して設定変更を行うことができるようになる。
【0114】
以上のように本実施形態の情報処理装置1は、複数の情報機器3a,3b,3c,3dとネットワーク4を介して接続されている。この情報処理装置1は、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定し、その設定変更日時よりも前の日の設定変更日時と同じ時刻において、それら複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する。そして、その確認の結果、複数の情報機器3a,3b,3c,3dの中に設定変更が不可能な状態である情報機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の情報機器を設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させるように構成されている。
【0115】
このような構成によれば、設定変更日時において、情報処理装置1がそれら複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれの設定状態を一括変更する際には、各情報機器3a,3b,3c,3dが設定変更可能となっている状態で一括設定変更を行うことができるようになる。特に本実施形態では、設定変更日時の直前に、各情報機器3a,3b,3c,3dが電源オフ状態ST1や省電力モードST3,ST4,ST5となっている場合でも、そのような情報機器を通常動作状態ST2へと復帰させて一括設定変更を行うことができる。したがって、本実施形態の情報処理装置1によれば、複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対して一斉に設定変更が行われるタイミングで設定変更されない情報機器が発生することを低減することができるようになる。
【0116】
また本実施形態において上述した機器状態制御部44は、機器状態確認部43によって設定変更が不可能な状態である情報機器が確認された場合、その設定変更が不可能な状態の情報機器に対して少なくとも1回のデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行させることができるデータ送信形態を予め特定しておく。そして設定変更日時において、機器状態制御部44は、その設定変更が不可能な状態の情報機器に対し、予め特定しておいたデータ送信形態でデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態に移行させる構成である。このような構成によれば、複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対して一括設定変更が行われるタイミングで、各情報機器を設定変更可能な状態に移行させることができるようになる。
【0117】
また本実施形態において上述した機器状態制御部44は、機器状態確認部43によって設定変更が不可能な状態であることが確認された情報機器がタイマー機能を備えている場合、そのタイマー機能を利用して情報機器が設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行う構成である。このような構成によれば、複数の情報機器3a,3b,3c,3dに対して一括設定変更が行われるタイミングで、各情報機器の電源を自動的にオンさせて設定変更可能な状態に移行させることができるようになる。また、情報機器のタイマー機能を利用して電源を自動的にオンさせる設定を行う場合には、その情報機器が設定変更日時よりも前に設定変更可能な状態となるタイミングを状態監視情報8に基づいて特定し、その特定したタイミングで、設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行うようにしても良い。このような構成にすれば、より確実に、設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行うことができるようになる。
【0118】
また機器状態制御部44は、上記のようにして設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行った場合には、設定変更部46による設定状態の変更が完了した後、電源を自動的にオンさせた情報機器の電源をオフにするように構成することが好ましい。このような構成を採用すれば、情報機器がユーザによって使用されない時間帯であるにもかかわらず、その情報機器に対する設定変更が完了した後にも電源供給が継続されることを防止することができるようになる。
【0119】
また本実施形態において上述した設定変更部46は、設定変更日時において複数の情報機器3a,3b,3c,3dの中に設定状態を変更することができなかった情報機器が存在する場合、状態監視情報8に基づいて設定状態を変更することができなかった情報機器が設定変更可能な状態となるタイミングを特定し、その情報機器が設定変更可能な状態となったタイミングで設定状態の変更を行う構成である。このような構成によれば、設定変更日時において一括して設定変更を行うことができなかった情報機器が存在する場合でも、その情報機器が次に設定変更可能な状態となるタイミングで即時に設定状態の変更を行うことができるようになる。
【0120】
また本実施形態の情報処理装置1は、設定変更部46による設定状態の変更が完了した場合に、設定変更日時から設定状態の変更が完了したタイミングまでの間に記録された履歴情報23を書き換える履歴情報書換部47を備えている。そのため、仮に、設定変更日時から設定状態の変更が完了するタイミングまでの間に既に情報機器がユーザによって使用されている場合でも、その情報機器に記録されている履歴情報23を書き換えることができるため、誤った情報が履歴情報23に記録されることを防止することが可能である。
【0121】
また本実施形態の情報処理装置1は、機器状態制御部44が設定変更不可能な状態の情報機器を設定変更可能な状態に移行させることができない場合、予め定められたユーザに対し、設定変更が不可能な状態の情報機器の電源を設定変更日時にオンにしておくように通知を行う構成である。そのため、通知を受けたユーザは、設定変更日時に情報機器の電源を手動操作でオンにすることにより、その情報機器を設定変更可能な状態とすることができる。
【0122】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能であることは言うまでもない。
【0123】
例えば、上述した実施形態では、情報処理装置1がサーバコンピュータで構成される場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば情報処理装置1は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などで構成されるものであっても構わない。
【0124】
また上述した実施形態では、複数の情報機器3a,3b,3c,3dのそれぞれが複合機やプリンタ、ファクシミリなどの装置である場合を例示した。しかし、情報機器3a,3b,3c,3dは、そのような装置に限られるものでもない。すなわち、情報機器3a,3b,3c,3dは、ネットワーク4を介して何からの設定状態が変更されるものであれば良い。
【符号の説明】
【0125】
1 情報処理装置
3a,3b,3c,3d 情報機器
4 ネットワーク
7 機器管理情報
8 状態監視情報
9 設定情報
23 履歴情報
41 機器監視部(監視手段)
42 スケジュール設定部(スケジュール設定手段)
43 機器状態確認部(機器状態確認手段)
44 機器状態制御部(機器状態制御手段)
45 通知部(通知手段)
46 設定変更部(設定変更手段)
47 履歴情報書換部(書換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器とネットワークを介して接続される情報処理装置であって、
前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定するスケジュール設定手段と、
前記設定変更日時よりも前の日の前記設定変更日時と同じ時刻において前記複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する機器状態確認手段と、
前記機器状態確認手段による確認の結果、前記複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を前記設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させる機器状態制御手段と、
前記設定変更日時において、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記機器状態制御手段は、前記機器状態確認手段によって設定変更が不可能な状態である機器が確認された場合、その設定変更が不可能な状態の機器に対して少なくとも1回のデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行させるデータ送信形態を予め特定しておき、前記設定変更日時において、その設定変更が不可能な状態の機器に対し、予め特定されたデータ送信形態でデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態に移行させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の機器のそれぞれの動作状態を定期的に監視して状態監視情報に記録する監視手段を更に備え、
前記機器状態制御手段は、前記機器状態確認手段によって設定変更が不可能な状態であることが確認された機器が前記設定変更日時よりも前に設定変更可能な状態となるタイミングを前記状態監視情報に基づいて特定し、その特定したタイミングで、設定変更が不可能な状態であることが確認された機器に対して前記設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記機器状態制御手段は、前記設定変更手段による設定状態の変更が完了した後、電源を自動的にオンさせた機器の電源をオフさせることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定変更手段は、前記設定変更日時において前記複数の機器の中に設定状態を変更することができなかった機器が存在する場合、前記状態監視情報に基づいて設定状態を変更することができなかった機器が設定変更可能な状態となるタイミングを特定し、当該機器が設定変更可能な状態となったタイミングで設定状態の変更を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定変更手段による設定状態の変更が完了した場合に、前記設定変更日時から設定状態の変更が完了したタイミングまでの間に記録された履歴情報を書き換える書換手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記機器状態制御手段が設定変更不可能な状態の機器を設定変更可能な状態に移行させることができない場合、予め定められたユーザに対し、前記機器状態確認手段によって設定変更が不可能な状態であることが確認された機器の電源を前記設定変更日時にオンにしておくように通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
ネットワークに接続されている複数の機器の設定状態を変更する設定変更方法であって、
(a)前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定するステップと、
(b)前記設定変更日時よりも前の日の前記設定変更日時と同じ時刻において前記複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認するステップと、
(c)前記ステップ(b)における確認の結果、前記複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を前記設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させるステップと、
(d)前記設定変更日時において、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更するステップと、
を有することを特徴とする設定変更方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)は、前記ステップ(b)において設定変更が不可能な状態である機器が確認された場合、その設定変更が不可能な状態の機器に対して少なくとも1回のデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態へと移行させるデータ送信形態を予め特定しておき、前記設定変更日時において、その設定変更が不可能な状態の機器に対し、予め特定されたデータ送信形態でデータ送信を行うことにより設定変更が不可能な状態から設定変更可能な状態に移行させることを特徴とする請求項8に記載の設定変更方法。
【請求項10】
(e)前記複数の機器のそれぞれの動作状態を定期的に監視して状態監視情報に記録するステップを更に有し、
前記ステップ(c)は、前記ステップ(b)において設定変更が不可能な状態であることが確認された機器が前記設定変更日時よりも前に設定変更可能な状態となるタイミングを前記状態監視情報に基づいて特定し、その特定したタイミングで、設定変更が不可能な状態であることが確認された機器に対して前記設定変更日時に電源を自動的にオンさせる設定を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の設定変更方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)は、前記ステップ(d)による設定状態の変更が完了した後、電源を自動的にオンさせた機器の電源をオフさせることを特徴とする請求項10に記載の設定変更方法。
【請求項12】
前記ステップ(d)は、前記設定変更日時において前記複数の機器の中に設定状態を変更することができなかった機器が存在する場合、前記状態監視情報に基づいて設定状態を変更することができなかった機器が設定変更可能な状態となるタイミングを特定し、当該機器が設定変更可能な状態となったタイミングで設定状態の変更を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の設定変更方法。
【請求項13】
(f)前記ステップ(d)による設定状態の変更が完了した場合に、前記設定変更日時から設定状態の変更が完了したタイミングまでの間に記録された履歴情報を書き換えるステップをさらに有することを特徴とする請求項12に記載の設定変更方法。
【請求項14】
(g)前記ステップ(c)が設定変更不可能な状態の機器を設定変更可能な状態に移行させることができない場合、予め定められたユーザに対し、前記ステップ(b)において設定変更が不可能な状態であることが確認された機器の電源を前記設定変更日時にオンにしておくように通知するステップを更に有することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の設定変更方法。
【請求項15】
複数の機器とネットワークを介して接続される情報処理装置において実行されるプログラムであって、前記情報処理装置を、
前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更日時を設定するスケジュール設定手段、
前記設定変更日時よりも前の日の前記設定変更日時と同じ時刻において前記複数の機器のそれぞれが設定変更可能な状態であるか否かを確認する機器状態確認手段、
前記機器状態確認手段による確認の結果、前記複数の機器の中に設定変更が不可能な状態である機器が存在する場合、その設定変更が不可能な状態の機器を前記設定変更日時において設定変更可能な状態に移行させる機器状態制御手段、および、
前記設定変更日時において、前記複数の機器のそれぞれにおける設定状態を変更する設定変更手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−3638(P2013−3638A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131032(P2011−131032)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】