説明

情報処理装置および動画像データの送信方法

【課題】例えば、動画像データの字幕文データに含まれるDRCSで動的に定義された外字フォントを、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式への変換後においても表示することを可能とした情報処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、受信手段と、文字情報変換手段と、送信手段と、を具備する。受信手段は、動画像データと前記動画像データに関する第1の文字情報とを受信する。文字情報変換手段は、前記動画像データに関する前記第1の文字情報を、前記動画像データの送信先である外部機器が表示可能な第2の文字情報に変換する。送信手段は、前記動画像データと前記動画像データに関する前記第2の文字情報とを前記外部機器に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、デジタルテレビジョン放送番組データを録画可能で、かつ、録画したデジタルテレビジョン放送番組データを携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等に転送可能なパーソナルコンピュータやビデオレコーダ等に好適な字幕文データの変換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動画像データを再生可能な電子機器が広く普及している。例えば、大容量のHDD(Hard Disk Drive)を搭載するデスクトップ型のパーソナルコンピュータを使って大量の動画コンテンツを蓄積し、動画再生機能を備えた携帯型の音楽プレーヤに必要に応じてコピーしておいて外出先や移動中に楽しむといった利用法も一般的になっている。
【0003】
また、最近では、字幕文データをメイン画像データとは別に設け、これらを多重化して動画像データを構成することも行われている。これにより、例えば多国語の字幕文で動画像データを観賞することも可能となる。
【0004】
ところで、この字幕文データ中には、標準的な文字データ以外に、各仕様毎に独自に定義した外字データが混在する場合がある。そのため、ある外字仕様に基づいて作成された字幕文データを、異なる外字仕様に準拠したプレーヤで表示する場合には、外字データを表示するための何らかの方策が必要となる。このようなことから、外字データの互換性を維持する仕組みが、これまでも種々提案されている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−242259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(13セグメント中の12セグメントを使った)フルセグメント放送されるテジタルテレビジョン放送番組データに含まれる字幕文データは、DRCS(Dynamic Re-definable Charater Set)で動的に外字フォントが定義可能である。一方、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式では、動的に外字フォントを定義する機能がない。そのため、DRCSで動的に外字フォントが定義された字幕文データを含むデジタルテレビジョン放送番組データを、Timed Text形式であることを前提に字幕文データを処理するプレーヤで再生する場合には、外字が表示できないため字幕文全体の表示が崩れるおそれがあった。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、例えば、動画像データの字幕文データに含まれるDRCSで動的に定義された外字フォントを、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式への変換後においても表示することを可能とした情報処理装置および動画像データの送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、情報処理装置は、受信手段と、文字情報変換手段と、送信手段と、を具備する。受信手段は、動画像データと前記動画像データに関する第1の文字情報とを受信する。文字情報変換手段は、前記動画像データに関する前記第1の文字情報を、前記動画像データの送信先である外部機器が表示可能な第2の文字情報に変換する。送信手段は、前記動画像データと前記動画像データに関する前記第2の文字情報とを前記外部機器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の利用形態の一例を示す図。
【図2】同実施形態の情報処理装置が備える字幕変換装置の構成を示す図。
【図3】同実施形態の情報処理装置が備える字幕変換装置のDRCS変換処理部によって作成されるDRCS変換データの一構成例を示す図。
【図4】同実施形態の情報処理装置が備える字幕変換装置の具体的な処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の利用形態の一例を示す図である。この情報処理装置1は、例えば、放送局2aから放送されるデジタルテレビジョン放送番組データを受信し、または、インターネット経由で放送サーバ2bからデジタルテレビジョン放送番組データを受信して、再生や録画を行うテレビジョン機能(TV機能)を有するパーソナルコンピュータとして実現されている。この情報処理装置1が受信するデジタルテレビジョン放送番組データは、フルセグメント放送用の高画質動画像データである。
【0012】
また、本情報処理装置1は、TV機能によって録画したデジタルテレビジョン放送番組データを、動画再生機能を備えた携帯電話機3にコピーする機能も有する。ここでは、携帯電話機3は、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式であることを前提として、動画像データ中に含まれる字幕文データを処理するものとする。一方、フルセグメント放送されるデジタルテレビジョン放送番組データに含まれる字幕文データは、DRCS(Dynamic Re-definable Charater Set)で動的に外字フォントが定義可能である。前述のTimed Text形式では、動的に外字フォントを定義する機能がない。よって、場合によっては(動的に定義された外字フォントが字幕文データに含まれている場合には)、携帯電話機3でのデジタルテレビジョン放送番組データの再生時に支障を来すおそれがある。そこで、本情報処理装置1は、DRCSで定義された外字フォントをTimed Text形式への変換後においても表示できるように字幕文データの変換を実行する字幕変換装置100を備えるものであり、以下、この字幕変換装置100による字幕文データの変換原理について詳述する。
【0013】
図2は、本情報処理装置1が備える字幕変換装置100の構成を示す図である。
【0014】
図2に示すように、本字幕変換装置100は、入力PESバッファ101、コンテンツ情報管理部102、字幕管理データ処理部103、字幕文変換処理部104、DRCS変換処理部105、DRCS変換データ格納部106、字幕文結合処理部107および出力バッファ108を有している。
【0015】
本字幕変換装置100には、表示対象の字幕文データが格納されるPESパケットと表示制御用の字幕文管理データが格納されるPESパケットとが入力され、それぞれ入力PESバッファ101に蓄積される。また、本字幕変換装置100は、この字幕文データが属するデジタルテレビジョン放送番組データに関する放送局や番組名、放送時間、ジャンルといったコンテンツ情報も、コンテンツ情報管理部102によって入力する。
【0016】
入力PESバッファ101にPESパケットが蓄積された後、字幕文管理データは、制御情報の解析を行う字幕管理データ処理部103に送られ、一方、字幕文データは、字幕文変換処理部104に送られ、書式変換や8単位符号からUnicodeへの文字コード変換処理等が行われることにより、Timed Text形式への変換が行われる。この時、字幕文管理データまたは字幕文データにDRCSが格納されていたならば、DRCS変換処理部105によるDRCS変換処理が実行されることになる。
【0017】
まず、このDRCS変換処理部105によるDRCS変換処理を行う際に使用するDRCS変換データについて説明する。図3は、DRCS変換処理部105によって作成されてDRCS変換データ格納部106に登録されるDRCS変換データの一構成例を示す図である。
【0018】
DRCSは、ビットマップデータと識別用のDRCS符号およびタイプ(1バイトDRCS/2バイトDRCS)とによって外字フォントを動的に定義する。そこで、本字幕変換装置100は、DRCS変換データを、図3に示すように、入力されたDRCSのビットマップデータ(a1)、DRCS符号・タイプ(a2)および番組パラメータ(放送局,番組名,録画時刻,ジャンル:a3)と、変換時に設定した文字符号(a4)および変換時に生成したフォントデータ(a5)との組み合わせによって構成する。
【0019】
DRCSが入力されると、DRCS変換処理部105によって、ビットマップデータがフォントデータへと変換され、また、文字符号が設定されて、(入力されたビットマップデータ、DRCS符号・タイプ、番組パラメータと共に)DRCS変換データとしてDRCS変換データ格納部106に登録される。このフォントデータは、デジタルテレビジョン放送番組データのコピー先である携帯電話機3の仕様に基づき、ビットマップフォントとしても、または、アウトラインフォントとすることも可能である。
【0020】
以降、DRCS変換処理部105にDRCSが入力されると、DRCS変換データ格納部106内のDRCS変換データと比較され、同一のビットマップデータが登録されていない場合に、前述の変換処理が行われ、これによって作成されたDRCS変換データがDRCS変換データ格納部106に追加登録されていく、というのが基本的な処理の流れである。なお、このDRCS変換データは、字幕変換処理終了後もデータとして保存しておき、再利用してもよい。
【0021】
次に、図4のフローチャートを参照して、本字幕変換装置100の具体的な処理の流れについて説明する。
【0022】
まず、DRCS変換処理部105は、字幕管理データの更新有無をチェックする(ステップS1)。字幕管理データが更新されると、DRCS内におけるビットマップデータとDRCS符号との対応関係がクリアされるため、更新された場合は(ステップS1のYES)、DRCS変換データ格納部106に格納されたDRCS変換データ中のDRCS符号・タイプのフィールド(図3のa2)をすべてクリアする(ステップS2)。
【0023】
一方、字幕管理データの更新がなかった場合(ステップS1のNO)、DRCS変換処理部105は、入力されたDRCSの符号およびタイプをキーとして、DRCS変換データ格納部106内の検索を実行する(ステップS3)。もし、DRCS符号およびタイプがマッチするDRCS変換データが検出された場合(ステップS4のYES)、既に、このDRCSについての変換処理は行われていることになるため、この処理を終了する。
【0024】
このサーチでDRCS符号およびタイプがマッチするDRCS変換データが検出されなかった場合(ステップS4のNO)、DRCS変換処理部105は、今度は、入力されたDRCSのビットマップデータとDRCS変換データ中のビットマップデータのマッチングを行う(ステップS5)。ビットマップデータの数が多い場合は、番組パラメータの任意の項目を利用して、絞り込みやマッチング順のソート等を行うようにしてもよい。
【0025】
このサーチでもマッチしなかった場合(ステップS6のNO)、DRCS変換処理部105は、DRCSのビットマップデータからフォントを生成する(ステップS7)。前述したように、生成するフォントは、ビットマップフォントでもアウトラインフォントでもよく、ビットマップフォントに変換する場合には、所定の複数サイズのフォントデータを生成する。なお、このとき、入力されたビットマップデータによっては変換ができない場合があるが、その場合、特定の記号(空白や○、□等)に変換するようにしてもよい。
【0026】
また、DRCS変換処理部105は、このようにしてDRCSのビットマップデータから生成したフォントに対して文字コードを設定する。設定する文字コードとしては、例えば、UnicodeのPrivate Use Areaのような自由に設定可能な符号を指定する。DRCS変換処理部105は、この生成した文字コードおよび設定した文字コードを、入力されたDRCSのビットマップデータおよび符号・タイプと共にDRCS変換データとしてDRCS変換データ格納部106に登録する。これにより、字幕文データ中にDRCSが指定されている場合には、字幕文変換処理部104は、文字コード変換処理の際に、当該DRCS変換処理部105によって設定された文字コードを指定することになる。
【0027】
そして、字幕変換装置100は、字幕文変換処理部104によって生成されたTimed Textのデータを出力バッファ108経由で出力すると共に、DRCS変換処理部105によって生成された(DRCS変換データ格納部106中の)フォントデータを出力する。
【0028】
このように、本情報処理装置1によれば、例えば、動画像データの字幕文データに含まれるDRCSで動的に定義される外字フォントを、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式への変換後においても表示することが実現される。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…情報処理装置、2a…放送局、2b…放送サーバ、3…携帯電話機、100…字幕変換装置、101…PESバッファ、102…コンテンツ情報管理部、103…字幕管理データ処理部、104…字幕文変換処理部、105…DRCS変換処理部、106…DRCS変換データ格納部、107…字幕文結合処理部、108…出力バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データと前記動画像データに関する第1の文字情報とを受信する受信手段と、
前記動画像データに関する前記第1の文字情報を、前記動画像データの送信先である外部機器が表示可能な第2の文字情報に変換する文字情報変換手段と、
前記動画像データと前記動画像データに関する前記第2の文字情報とを前記外部機器に送信する送信手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の文字情報は、前記動画像データに関する字幕文データである請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文字情報変換手段は、前記第1の文字情報内で動的に定義されるフォントを、前記第2の文字情報用の文字コードが一意に割り当てられるフォントに変換する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記文字情報変換手段は、変換後のフォントとして、ビットマップフォントまたはアウトラインフォントを生成する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の文字情報は、DRCS(Dynamic Re-definable Character Set)によって動的に外字フォントが定義されるものであり、前記第2の文字情報は、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式で作成されるものである請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置における動画像データの送信方法であって、
動画像データと前記動画像データに関する第1の文字情報とを受信し、
前記動画像データに関する前記第1の文字情報を、前記動画像データの送信先である外部機器が表示可能な第2の文字情報に変換し、
前記動画像データと前記動画像データに関する前記第2の文字情報とを前記外部機器に送信する、
動画像データの送信方法。
【請求項7】
前記第1の文字情報は、前記動画像データに関する字幕文データである請求項6記載の動画像データの送信方法。
【請求項8】
前記第1の文字情報内で動的に定義されるフォントを、前記第2の文字情報用の文字コードが一意に割り当てられるフォントに変換する請求項6に記載の動画像データの送信方法。
【請求項9】
変換後のフォントとして、ビットマップフォントまたはアウトラインフォントを生成する請求項8に記載の動画像データの送信方法。
【請求項10】
前記第1の文字情報は、DRCS(Dynamic Re-definable Character Set)によって動的に外字フォントが定義されるものであり、前記第2の文字情報は、3GPP TS 26.234で規定されるTimed Text形式で作成されるものである請求項6に記載の動画像データの送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235526(P2012−235526A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172222(P2012−172222)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2009−93218(P2009−93218)の分割
【原出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】