説明

情報処理装置および画像形成装置

【課題】バスのロックを自動的に解除することによってユーザーの利便性を向上させることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】この情報処理装置では、バス制御部140は、複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後に、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバス1に対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因するバス1のロックを検知したとき、完了信号をバス1に対して代理で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置を含む様々な装置(たとえば、画像形成装置など)において、処理要求を行うデバイス、および、処理要求を受けるデバイスを互いにバスで接続した制御システムが採用されている。たとえば、処理要求を行うデバイスはバスマスターと称され、処理要求を受けるデバイスはバススレーブと称される。
【0003】
このような情報処理装置では、バスマスターからバススレーブに処理要求が送信され、バススレーブがバスマスターからの要求処理を実施する。このため、バスマスターに異常が発生すると、バススレーブに適切な処理要求が送信されず、バススレーブによって制御される機構部が誤動作する恐れがある。
【0004】
そこで、従来では、バスマスターに異常が発生したときに、そのバスマスターの異常をバススレーブに検出させ、バススレーブから機構部への制御信号をリセットさせる技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このようにすると、バススレーブによって制御される機構部は誤動作せずに停止するので、機構部が誤動作することに起因する不都合の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−154928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、複数のバスマスターおよびバススレーブが同一のバスに接続されている。この構成の場合、通常では、所定のバスマスターがバスを使用している最中に、所定のバスマスター以外の他のバスマスターはバスを使用することができない。したがって、たとえば、所定のバスマスターがバスを使用している最中に所定のバスマスターに異常が発生すると、所定のバスマスターによるバスの使用が継続した状態となり、その状態が解消されるまで、所定のバスマスター以外の他のバスマスターはバスを使用することができない(バスがロックする)。このため、バスのロックを解除するための操作(たとえば、装置全体を再起動する操作)をユーザーに行ってもらう必要がある。その結果、ユーザーからすると利便性が悪い。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、バスのロックを自動的に解除することによってユーザーの利便性を向上させることが可能な情報処理装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、データの伝達経路であるバスと、バスを介してデータの送受信を行う複数のデバイスと、バスがロックしていないか否かを検知するバス制御部と、を備えている。そして、バス制御部は、複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後に、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバスに対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因するバスのロックを検知したとき、完了信号をバスに対して代理で送信することにより、バスのロックを解除する。
【0009】
ここで、複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後、通常であれば、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバスに対して完了信号が送信されるまで、処理要求元のデバイスがバスの使用を継続する。したがって、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバスに対して完了信号の送信が無い場合には、処理要求元のデバイスによるバスの使用が継続され、バスがロックした状態となる。このため、バスのロックの発生原因となったデバイス以外のデバイスがバスを使用することができなくなる。この場合、ユーザーからすると、装置全体を再起動するなどの何らかの操作を行わなければならず、利便性が悪い。
【0010】
そこで、本発明の情報処理装置では、バス制御部は、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバスに対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因するバスのロックを検知したとき、完了信号をバスに対して代理で送信する。このため、処理要求元のデバイスによるバスの使用を終わらせることができ、バスのロックが自動的に解除される。これにより、バスのロックを解除するための操作をユーザーに行わせる必要がなくなるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0011】
上記の構成において、好ましくは、バス制御部は、バスに対して完了信号を代理で送信した後、バスのロックの発生原因となったデバイスにバスへのアクセスを行わせない。ここで、従前にバスのロックの発生原因となったデバイスが再びバスにアクセスして処理要求を行うと、従前と同じようにバスがロックする可能性がある。
【0012】
しかし、本発明の情報処理装置では、バス制御部は、バスのロックの発生原因となったデバイスにバスへのアクセスを行わせない。このため、従前と同じようにバスがロックするのを抑制することができる。
【0013】
上記の構成において、より好ましくは、バスにアクセスするためのスイッチ部をさらに備え、バス制御部は、バスに対して完了信号を代理で送信した後、バスのロックの発生原因となったデバイスとバスとの接続の遮断をスイッチ部に行わせる。このように構成すれば、容易に、バスのロックの発生原因となったデバイスにバスへのアクセスを行わせないようにすることができる。
【0014】
上記の構成において、好ましくは、バス制御部は、バスのロックの発生原因となったデバイスのみをリセットする。このように構成すれば、バスのロックの発生原因となったデバイスに異常が発生していた場合に、容易に、そのデバイスを異常状態から復帰させることができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、上記の情報処理装置を含んでいる。このように構成された画像形成装置では、バスのロックを自動的に解除することができ、それによってユーザーの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、バスのロックを自動的に解除することによってユーザーの利便性を向上させることが可能な情報処理装置および画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による情報処理装置を含む画像形成装置の全体構成図
【図2】本発明の一実施形態による情報処理装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図3】本発明の一実施形態による情報処理装置に含まれるバス制御部の機能を説明するための図
【図4】本発明の一実施形態による情報処理装置の動作(バスのロックを解除するときの動作)を説明するためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態による情報処理装置150を含む画像形成装置100の全体構成について説明する。
【0019】
本実施形態の画像形成装置100は、たとえば、コピー、プリンター、スキャナーおよびファックスなどの複数種のジョブの実行が可能な複合機である。そして、この画像形成装置100は、操作パネル101、画像読取部102、給紙部103、搬送路104、画像形成部105および定着部106などを備える。なお、以下の説明では、給紙部103、搬送路104、画像形成部105および定着部106を含む機構部をエンジン部107と称する場合もある。
【0020】
操作パネル101は、表示面がタッチパネルで覆われた液晶表示部11を含む。この液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよび設定キー(ソフトキー)が表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。また、操作パネル101には、数値入力が必要な設定指示を受け付けるためのテンキー12や、各種ジョブの実行開始の指示を受け付けるためのスタートキー13なども設けられている。
【0021】
画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。そして、画像読取部102は、載置読取用コンタクトガラス21に載置される原稿を読み取る際、露光ランプの光を原稿に照射し、反射光を受けたイメージセンサーの出力値をA/D変換した後、A/D変換後のデータに対して各種補正(シェーディング補正など)を施すことによって、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる。
【0022】
また、画像読取部102には、原稿カバー22が設けられている。そして、載置読取用コンタクトガラス21による原稿の読み取り時には、載置読取用コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えることができるようになっている。なお、この原稿カバー22に原稿搬送装置としての機能を持たせても良い。この場合には、原稿カバー22によって、送り読取用コンタクトガラス23に原稿を1枚ずつ送ることができるようになる。
【0023】
給紙部103は、用紙Pを収容するカセット31を複数有し、それら複数のカセット31に収容された用紙Pを搬送路104に供給する。この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー32や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー対33などが設けられている。
【0024】
搬送路104は、装置内部において用紙Pを搬送する。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、画像形成部105および定着部106をこの順番で通過し、排出トレイ41にまで導かれる。この搬送路104には、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラー対42が設けられている。さらに、用紙Pを画像形成部105の手前で待機させ、タイミングを合わせて画像形成部105に送り出すレジストローラー対43も設けられている。
【0025】
画像形成部105は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。画像形成部105は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56などを含んでいる。
【0026】
トナー像の形成プロセスおよびトナー像の用紙Pへの転写プロセスとしては、まず、感光体ドラム51を回転駆動させ、その感光体ドラム51の表面を帯電装置52で所定電位に帯電させる。また、露光装置53は、画像データに基づき光ビームLを出力し、感光体ドラム51の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム51の表面に静電潜像を形成する。続いて、現像装置54は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
【0027】
そして、転写ローラー55は、感光体ドラム51の表面に圧接する。この後、レジストローラー対43がタイミングを計り、転写ローラー55と感光体ドラム51との間に用紙Pを進入させる。このとき、転写ローラー55には所定の電圧が印加される。これによって、感光体ドラム51の表面のトナー像が用紙Pに転写される。なお、転写プロセスが終わると、クリーニング装置56は、感光体ドラム51の表面に残留するトナーなどを除去する。
【0028】
定着部106は、用紙Pに転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。この定着部106は、発熱源を内蔵する定着ローラー61と、定着ローラー61に圧接される加圧ローラー62とを含んでいる。そして、トナー像が転写された用紙Pは、定着ローラー61と加圧ローラー62との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着され、印刷が完了する。そして、印刷済みの用紙Pは、搬送路104に導かれ、搬送ローラー対42によって排出トレイ41に送られる。
【0029】
次に、図2を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0030】
画像形成装置100の装置全体の制御は、主制御部110が行う。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111を含む。また、主制御部110(CPU111)は、記憶部112とバス1を介して接続されている。記憶部112は、ROM112a、RAM112bおよびHDD112cなどからなる。なお、主制御部110に記憶部112が設けられていても良い。
【0031】
そして、主制御部110は、バス1を介して、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部107(給紙部103、搬送路104、画像形成部105および定着部106)と接続される。これにより、主制御部110は、記憶部112に記憶された各種のプログラムおよびデータに基づき、全体制御や演算などを行う。
【0032】
操作パネル101は、CPUなどからなる表示制御部101aを含み、表示制御部101aは、操作パネル101の表示制御を行う。画像読取部102は、CPUなどからなる読取制御部102aを含み、読取制御部102aは、画像読取部102の読取制御を行う。エンジン部107は、CPUなどからなるエンジン制御部107aを含み、エンジン制御部107aは、エンジン部107の制御(たとえば、各種回転体を回転させるモーターのオン/オフの制御)を行う。
【0033】
また、主制御部110は、バス1を介して画像処理部120と接続される。画像処理部120は、たとえば、画像処理専用のASICやメモリーなどからなっている。そして、画像処理部120は、画像データに対して、濃度変換処理、拡大/縮小処理、回転処理、および、圧縮/伸張処理などの各種画像処理を施す。なお、画像処理部120は、たとえば、複数のブロックに分割される場合がある(本実施形態では、第1画像処理部121および第2画像処理部122の2つに分割されている場合を例にとる)。そして、この場合には、第1画像処理部121および第2画像処理部122のうちのいずれか一方のみが画像処理を行うこともあるし、第1画像処理部121および第2画像処理部122の両方が画像処理を行うこともある。
【0034】
さらに、主制御部110は、バス1を介して通信部130と接続される。この通信部130は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、通信ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる。さらに、たとえば、通信部130にモデムなどを内蔵しても良く、この場合、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる。
【0035】
このように、本実施形態では、複数のデバイスが共通のバス1に接続され、複数のデバイス間のデータ通信が共通のバス1を介して行われる。なお、この実施形態においては、記憶部112、表示制御部101a、読取制御部102a、エンジン制御部107a、画像処理部120および通信部130などがデバイスに相当し、これら複数のデバイスを含むバスシステムが情報処理装置150に相当する。そして、情報処理装置150の各デバイスは、バスマスター(処理要求を行うデバイス)にもなり得るし、バススレーブ(処理要求を受けるデバイス)にもなり得る。
【0036】
ところで、複数のバスマスターが共通のバス1に接続される情報処理装置150においては、複数のバスマスターは同時にバス1を使用することはできない。したがって、この情報処理装置150には、各バスマスターのバス1の使用を調停するためのバス制御部140が設けられている。なお、このバス制御部140の機能を主制御部110に持たせても良い。
【0037】
たとえば、バススレーブにアクセスしようとするバスマスターは、バススレーブへのアクセスに際して、バス制御部140にバス1の使用許可を要求する旨の信号を送信する。バス制御部140は、現時点でバス1が使用されているか否かを判断し、バス1が使用されていなければ、バス1の使用許可を要求したバスマスターにバス1の使用許可を付与する旨の信号を返信する。
【0038】
なお、2つ以上のバスマスターからバス1の使用許可の要求があり、それによってバス1の使用許可の要求が競合する場合がある。このため、複数のバスマスターには、たとえば、バス1の使用に関する優先順位が設定されている。そして、バス制御部140は、2つ以上のバスマスターから同時にバス1の使用許可を要求された場合、バス1の使用許可を要求した2以上のバスマスターのうち、優先順位の高いバスマスターに優先的にバス1の使用許可を付与する旨の信号を送信する。
【0039】
これにより、バス制御部140からバス1の使用許可を付与されたバスマスターは、バス1を使用することができるようになる。そして、バス制御部140は、バス1の使用許可を付与したバスマスターがバス1を使用している間、他のバスマスターにバス1の使用許可を付与しない。すなわち、バス1の使用許可が付与されたバスマスター以外のバスマスターは、バス1を使用することができない。
【0040】
バス制御部140からバス1の使用許可を付与されたバスマスターは、バススレーブに対して、何らかの処理を要求する。一例を挙げると、バスマスターが画像処理部120であり、バススレーブが記憶部112である場合、画像処理部120は、記憶部112に対して、画像データの書き込みや読み出しを要求する。そして、処理が完了すると、バスマスターまたはバススレーブは、バス1に対して処理完了を示す完了信号を送信する。
【0041】
ここで、たとえば、バス1を使用している一対のデバイス(バスマスターおよびバススレーブ)のいずれかに何らかの異常が発生していると、その一対のデバイス間で処理要求の送受信がなされたとしても、処理が行われず、バス1に対して完了信号が送信されない場合がある。このような場合には、バス1が使用中のままとなり、他のデバイスがバス制御部140にバス1の使用許可を要求したとしても、他のデバイスはバス1の使用権を得ることができない(バス1を使用することができない)。すなわち、バス1がロックされた状態で維持される。そして、バス1がロックすると、画像形成装置100を再起動しなければならず、ユーザーにとっては利便性が悪い。
【0042】
このような不都合を解消するため、本実施形態のバス制御部140は、複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後に、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバス1に対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因するバス1のロックが発生していないか否かを検知する。そして、バス制御部140は、バス1のロックを検知したとき、完了信号をバス1に対して代理で送信することにより、バス1のロックを解除する。
【0043】
具体的に言うと、図3に示すように、バス制御部140は、ロック検知回路141および代理応答回路142を含んでいる。なお、ロック検知回路141および代理応答回路142がバス制御部140とは別個に設けられていても良い。
【0044】
ロック検知回路141は、バス1がロックしたことを検知するための回路である。たとえば、ロック検知回路141は、一対のデバイス間で処理要求の送受信がなされた後、予め定められた時間内にバス1に対する完了信号の送信が無ければ、バス1がロックしたと判断する。あるいは、ロック検知回路141は、一対のデバイス間で処理要求の送受信がなされた後、予め定められた時間内に処理が行われなければ、バス1がロックしたと判断する。なお、バス1のロックを検知するときに判断基準となる時間は、たとえば、現実的に有り得ない程度の長い時間に設定しておけば良い。そして、ロック検知回路141は、バス1のロックを検知すると、検知結果を代理応答回路142に通知する。
【0045】
代理応答回路142は、バス1がロックしたことをロック検知回路141から通知されると、完了信号をバス1に対して代理で送信する。これにより、一対のデバイス間のバス1を介しての通信が終了するので、バス1が開放される。
【0046】
ただし、バス1が開放された後、従前にバス1のロックの発生原因となったデバイスが再びバス1にアクセスすると、バス1のロックを引き起こす可能性が高い。そこで、本実施形態のバス制御部140は、バス1に対して完了信号を代理で送信した後、バス1のロックの発生原因となったデバイスにバス1へのアクセスを行わせないようにする。
【0047】
具体的には、デバイスとバス1との間にスイッチ部2(たとえば、トランジスタなどを含む部分)が接続されており、そのスイッチ部2のオン/オフの制御をバス制御部140が行うようになっている。そして、バス制御部140は、バス1に対して完了信号を代理で送信した後、バス1のロックの発生原因となったデバイスとバス1との間の遮断をスイッチ部2に行わせる。
【0048】
さらに、バス制御部140は、バス1のロックの発生原因となったデバイスのみにリセット信号を送信してリセットする。これにより、バス1のロックの発生原因となったデバイスに異常が発生していれば、そのデバイスが異常状態から復帰する可能性がある。このとき、たとえば、バス制御部140は、バス1のロックの発生原因となったデバイスとバス1との間を遮断した後、バス1のロックの発生原因となったデバイスをリセットする。この後、バス制御部140は、リセットしたデバイスとバス1との間の接続をスイッチ部2に行わせる。これにより、従前にバス1のロックの発生原因となったデバイスは、再びバス1にアクセスすることができる。
【0049】
なお、図示しないが、電源(図示せず)とデバイスとの間にリセット回路を設け、バス1のロックの発生原因となったデバイスへの電源投入を遮断することによってリセットするようにしても良い。
【0050】
次に、図4を参照して、バス1がロックした後、バス制御部140がバス1のロックを解除するまでの動作について説明する。
【0051】
まず、図4のフローのスタート時点では、たとえば、バス1の使用権が第1画像処理部121(処理要求元のデバイス、バスマスター)に割り当てられ、その第1画像処理部121が記憶部112(処理要求先のデバイス、バススレーブ)に処理要求を行おうとしている。そして、第1画像処理部121が記憶部112に処理要求を行ったとき、図4のフローがスタートする。
【0052】
ステップS1において、バス制御部140(ロック検知回路141)は、第1画像処理部121(処理要求元のデバイス)が記憶部112(処理要求先のデバイス)に処理要求したことを示す処理要求信号を受信する。
【0053】
ステップS2において、バス制御部140(ロック検知回路141)は、バス1がロックしていないか否かを検知する。そして、バス1がロックしていなければ、ステップS3に移行し、バス制御部140は、第1画像処理部121(処理要求元のデバイス)と記憶部112(処理要求先のデバイス)との間で行われる処理を続行させる。その一方、バス1がロックしていれば、ステップS4に移行する。なお、バス1がロックしているということは、第1画像処理部121に異常が発生している可能性が高い。
【0054】
ステップS4に移行すると、バス制御部140(代理応答回路142)は、完了信号をバス1に対して代理で送信する。これにより、バス1のロックが解除される。
【0055】
ステップS5において、バス制御部140は、第1画像処理部121(処理要求元のデバイス)とバス1との間の接続の遮断をスイッチ部2に行わせる。このため、第1画像処理部121は、バス1にアクセスすることができなくなる。しかし、第1画像処理部121以外のデバイス(たとえば、第2画像処理部122)は、バス1にアクセスすることができる。したがって、この場合には、たとえば、以降の画像処理を第2画像処理部122のみで行わせるようにすれば、ジョブを中断させる必要はない。
【0056】
ステップS6において、バス制御部140は、第1画像処理部121(処理要求元のデバイス)のみをリセットする。このようにすると、第1画像処理部121が異常状態から復帰する場合がある。
【0057】
ステップS7において、バス制御部140は、リセットした第1画像処理部121(リセットしたデバイス)とバス1との接続をスイッチ部2に行わせる。これにより、第1画像処理部121は、バス1にアクセスすることができる。そして、ステップS6の動作で第1画像処理部121が異常状態から復帰していれば、次に第1画像処理部121が処理を行うとき、バス1がロックすることはない。
【0058】
本実施形態では、上記のように、バス制御部140は、複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後に、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバス1に対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因するバス1のロックを検知したとき、完了信号をバス1に対して代理で送信する。
【0059】
ここで、複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後、通常であれば、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバス1に対して完了信号が送信されるまで、処理要求元のデバイスがバスの使用を継続する。したがって、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバス1に対して完了信号の送信が無い場合には、処理要求元のデバイスによるバス1の使用が継続され、バス1がロックした状態となる。このため、バス1のロックの発生原因となったデバイス以外のデバイスがバス1を使用することができなくなる。この場合、ユーザーからすると、装置全体を再起動するなどの何らかの操作を行わなければならず、利便性が悪い。
【0060】
そこで、本実施形態では、バス制御部140は、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスからバス1に対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因するバス1のロックを検知したとき、完了信号をバス1に対して代理で送信する。このため、処理要求元のデバイスによるバス1の使用を終わらせることができ、バス1のロックが自動的に解除される。これにより、バス1のロックを解除するための操作をユーザーに行わせる必要がなくなるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、バス制御部140は、バス1に対して完了信号を代理で送信した後、バス1のロックの発生原因となったデバイスにバス1へのアクセスを行わせない。ここで、従前にバス1のロックの発生原因となったデバイスが再びバス1にアクセスして処理要求を行うと、従前と同じようにバス1がロックする可能性がある。
【0062】
しかし、本実施形態では、バス制御部140は、バス1のロックの発生原因となったデバイスにバス1へのアクセスを行わせない。このため、従前と同じようにバス1がロックするのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、バス制御部140は、バス1に対して完了信号を代理で送信した後、バス1のロックの発生原因となったデバイスとバス1との接続の遮断をスイッチ部2に行わせる。このように構成すれば、容易に、バス1のロックの発生原因となったデバイスにバス1へのアクセスを行わせないようにすることができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、バス1のロックの発生原因となったデバイスのみをリセットする。このように構成すれば、バス1のロックの発生原因となったデバイスに異常が発生していた場合に、容易に、そのデバイスを異常状態から復帰させることができる。
【0065】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 バス
2 スイッチ部
100 画像形成装置
140 バス制御部
150 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの伝達経路であるバスと、
前記バスを介してデータの送受信を行う複数のデバイスと、
前記バスがロックしていないか否かを検知するバス制御部と、を備え、
前記バス制御部は、前記複数のデバイスのうちのいずれかのデバイスが他のデバイスに処理要求を行った後に、処理要求元のデバイスまたは処理要求先のデバイスから前記バスに対して処理完了を示す完了信号の送信が無いことに起因する前記バスのロックを検知したとき、前記完了信号を前記バスに対して代理で送信することにより、前記バスのロックを解除することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記バス制御部は、前記バスに対して前記完了信号を代理で送信した後、前記バスのロックの発生原因となったデバイスに前記バスへのアクセスを行わせないことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記バスにアクセスするためのスイッチ部をさらに備え、
前記バス制御部は、前記バスに対して前記完了信号を代理で送信した後、前記バスのロックの発生原因となったデバイスと前記バスとの接続の遮断を前記スイッチ部に行わせることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記バス制御部は、前記バスのロックの発生原因となったデバイスのみをリセットすることを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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