説明

情報処理装置の出力装置及び出力ポートの制御方法

【課題】複数のポートへの接続デバイスを検出し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポートを出力先のポートとして選択するように構成され、優先出力ポートと優先出力ポート以外のポートの双方が接続ありのときに、優先出力ポートから接続デバイスを取り外すことなく、優先出力ポート以外のポートから出力することを可能とする情報処理装置の出力装置及び出力ポートの制御方法を提供する。
【解決手段】出力ポートに接続される接続デバイスを検出し、複数の接続ありのポートが存在する場合は優先出力ポート(ポートA)を出力先のポートとして選択する出力先決定部20と、外部制御信号に応じて、優先出力ポートでないポートBが接続ありのとき、ポートAが接続ありであっても、ポートAを接続なしの状態に設定する接続状態制御回路14とを備える情報処理装置の出力装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1系統の入力を2つのポートに排他出力する情報処理装置の出力装置及び出力ポートの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1系統の入力を2つのポートに排他出力する従来技術として、例えば、図4に示すような情報処理装置の出力装置がある。図4に示す情報処理装置の出力装置は、ポートA,Bという2つの出力ポートと出力先決定部10とを備える。出力先決定部10は、ポートAを優先出力ポートとして予め設定しておき、各々の出力ポートにモニタ等の接続デバイスが接続されているか否かを示す検出信号(ポートA,Bの検出信号)を受けて、例えばポートAにモニタが接続されている場合には常にポートAを出力先のポートとして選択する。優先出力ポートとは、接続ありの出力ポートのうち、出力先のポートとして優先して選択される出力ポートである。
具体的には、上記ポートA,Bの検出信号が、ポートA,Bにモニタが接続されているときにはHighの状態であり、モニタが未接続のときにはLowの状態であるとすると、出力先決定部10は、入力されたポートAの検出信号(入力A)がHighである場合には、常にポートAに出力する。出力先決定部10は、入力されたポートAの検出信号(入力A)がLowであり、かつ、入力されたポートBの検出信号(入力B)がHighである場合にのみ、ポートBに出力する。
【0003】
図5は、上記従来技術に従った、ポートへの接続デバイスの接続状態と出力先との対応を示す図である。図5中に示すように、ポートAとポートBのいずれにも接続デバイスが接続されていないときは、いずれの出力ポートからも出力されない。ポートAに接続デバイスが接続されておらず、ポートBに接続デバイスが接続されているときは、ポートBから出力される。ポートAに接続デバイスが接続され、ポートBに接続デバイスが接続されていないときは、ポートAから出力される。また、ポートAとポートBのいずれにも接続デバイスが接続されているときは、予め優先出力ポートとして設定されたポートであるポートAが出力ポートとして選択され、該ポートAから出力される。
なお、ディスプレイ装置に表示される映像信号の伝送経路を切り換えるものとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、映像信号ケーブルの接続状態の検出に応じて映像信号の伝送経路を切り換えることができ、映像信号ケーブルがディスプレイ装置から切り離されたときに、映像信号の伝送経路を無線通信手段に自動的に切り換える映像信号のディスプレイ装置に関して記載されている。
【特許文献1】特開平2004−29232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した図4に示す従来の情報処理装置の出力装置では、出力ポートBから出力を行う場合には、優先出力ポートであるポートAに接続された接続デバイス(例えば、モニタ)を取り外す必要がある。しかし、単純にポートBへの出力ができるようにする為に検出信号の状態を接続デバイスの有無に関わらずに制御できるようにした場合、例えば、ポートAにモニタが接続されてディスプレイ上に操作画面が表示されており、ポートBにモニタが接続されていない状態で、検出信号の状態をポートBにモニタが接続されている状態になるように制御すると、装置はポートBにモニタが接続されていないにも関わらず出力をポートBに行おうとし、ポートAへの出力を消してしまう為、操作画面が見えなくなってしまう恐れがある。
また、上記従来の情報処理装置の出力装置では、例えば、優先出力ポートとして設定されているポートAにPC(personal computer)のモニタが接続され、ポートBに大画面テレビのモニタが接続されているときに、ポートBから出力して該大画面テレビのディスプレイ上に表示するにはポートAからPCのモニタを取り外す必要があるが、例えば店頭におけるデモ表示等を行う場合に、ポートAからPCのモニタを取り外さなければ大画面テレビのディスプレイ上に表示できないのは、利便性が悪い。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、複数のポートへの接続デバイスを検出し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポートを出力先のポートとして選択するように構成された情報処理装置の出力装置であって、優先出力ポートと優先出力ポート以外のポートの双方が接続ありのときに、優先出力ポートから接続デバイスを取り外すことなく、優先出力ポート以外のポートから出力することを可能とする情報処理装置の出力装置及び出力ポートの制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、次のようにして前記課題を解決する。
(1)第1、第2の出力ポートを備え、接続デバイスを検出し、接続ありの出力ポートを自動的に出力先のポートとして選択し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポートを出力先のポートとして選択することにより、一系統の入力を第1、第2の出力ポートから排他的に出力するように構成された情報処理装置の出力装置を備える。
上記情報処理装置の出力装置に、本発明においては、アプリケーションプログラムにより設定される外部制御信号に応じて、優先出力ポート以外のポートが接続ありのとき、優先出力ポートが接続ありの状態であっても、優先出力ポートを接続なしの状態に設定する手段を付加する。
(2)第1、第2の出力ポートを備え、接続デバイスを検出し、接続ありの出力ポートを自動的に出力先のポートとして選択し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポートを出力先のポートとして選択することにより、一系統の入力を第1、第2の出力ポートから排他的に出力するように構成された情報処理装置の出力装置における出力ポートの制御方法において、本発明においては、アプリケーションプログラムにより設定される外部制御信号に応じて、優先出力ポート以外のポートが接続ありのとき、優先出力ポートが接続ありの状態であっても、優先出力ポートを接続なしの状態に設定できるようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)優先出力ポートと優先出力ポート以外のポートとに接続デバイスが接続されている場合に、該優先出力ポートを接続デバイスから取り外さなくても、外部制御信号によって指定出力先として上記優先出力ポート以外のポートを指定して、該優先出力ポート以外のポートから出力することができる。従って、例えば、優先出力ポートであるポートAにモニタが接続され、優先出力ポートでないポートBにモニタ以外の接続デバイスが接続されている状態において、ポートAに接続されているモニタを取り外すことなく、ポートBから出力することができる。また、例えば、優先出力ポートであるポートAにPCのモニタが接続され、優先出力ポートでないポートBに大画面テレビのモニタが接続されているときに、ポートAからPCのモニタを取り外すことなく、ポートBから出力して該大画面テレビのディスプレイ上に表示することが可能となる。
(2)出力先のポートを優先出力ポートから優先出力ポート以外のポートに変更したい場合に、該優先出力ポート以外のポートに接続デバイスが接続されているときにのみ、該優先出力ポート以外のポートから出力することができる。
このため、優先出力ポート以外のポートに何も接続されていないとき、このポートから出力されることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の情報処理装置の出力装置を実現するシステムボードの一例を示す図である。システムボード1は、PC等の情報処理装置の中心基板である。システムボード1は、CPU11、チップセット及びSuperI/O12、変換チップ13、接続状態制御回路14を備える。CPU11は、本発明の情報処理装置の出力装置全体を制御する。チップセット及びSuperI/O12は、ポートからの出力対象となるデータ(例えばグラフィックデータ)を出力する。また、チップセット及びSuperI/O12は、汎用出力ポート(GPO:General Purpose Output)120を備え、該GPO120を通じて、アプリケーションプログラムにより設定される外部制御信号を接続状態制御回路14に対して出力する。該外部制御信号は、PC等の情報処理装置の出力ポートであるポートA,Bのいずれを出力先のポートとするかを指定する制御信号である。この例では、ポートAが出力先のポートとして指定される場合、出力される外部制御信号は、Lowの状態であり、ポートBが出力先のポートとして指定される場合、出力される外部制御信号は、Highの状態である。
【0009】
変換チップ13は、チップセット及びSuperI/O12が出力したグラフィックデータを、ポートに接続された接続デバイス(例えばモニタ)を通じてディスプレイ(図示を省略)に表示するために適した形式のデータに変換する。また、変換チップ13は、図4を参照して前述した従来の情報処理装置の出力装置が備える出力先決定部10の機能又は図2を参照して後述する本発明の情報処理装置の出力装置が備える出力先決定部20の機能を備える。すなわち、変換チップ13は、例えばポートAを優先出力ポートとして予め設定しておき、該変換チップ13に入力されるポートAの検出信号(入力A)がHighである場合には、上記変換後のデータを常にポートAに出力し、入力されるポートAの検出信号(入力A)がLowであり、かつ、入力されるポートBの検出信号(入力B)がHighである場合にのみ、ポートBに出力する。上記ポートA,Bの検出信号は、各々の出力ポートにモニタ等の接続デバイスが接続されているか否かを示す検出信号である。
【0010】
接続状態制御回路14は、上記GPO120を通じてチップセット及びSuperI/O12が出力した外部制御信号に応じて、優先出力ポートでないポートBが接続ありのとき(入力BがHighのとき)、優先出力ポートであるポートAが接続あり(入力AがHigh)の状態であっても、ポートAを接続なしの状態に設定する(入力AをLowとする)。
【0011】
図2は、本発明の情報処理装置の出力装置の構成の一例を示す図である。図2に示す本発明の情報処理装置の出力装置は、ポートA,Bという2つの出力ポートと出力先決定部20と接続状態制御回路14とを備える。出力先決定部20は、例えばポートAを優先出力ポートとして予め設定しておき、出力先決定部20に入力されるポートAの検出信号(入力A)がHighである場合には、ポートに接続される接続デバイスへの出力対象とするデータを常にポートAに出力し、入力されるポートAの検出信号(入力A)がLowであり、かつ、入力されるポートBの検出信号(入力B)がHighである場合にのみ、該データをポートBに出力する。すなわち、出力先決定部20は、出力ポートに接続される接続デバイスを検出し、接続ありの出力ポートを自動的に出力先のポートとして選択し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポート(ポートA)を出力先のポートとして選択する。出力先決定部20が出力先のポートを選択することによって、一系統の入力がポートA又はポートBから排他的に出力される。
【0012】
接続状態制御回路14は、図1を参照して前述した接続状態制御回路14と同一の回路である。接続状態制御回路14は、NAND回路141とAND回路142とが組み合わされた回路構成を有する。図1を参照して前述したチップセット及びSuperI/O12が出力した外部制御信号と図2中に示すポートBの検出信号とが、図2中の接続状態制御回路14を構成するNAND回路141に入力される。また、図2中に示すポートAの検出信号と上記NAND回路による論理演算結果とがAND回路142に入力される。そして、AND回路142による論理演算結果が、入力Aとして出力先決定部20に入力され、ポートBの検出信号が、入力Bとして出力先決定部20に入力される。
【0013】
図3は、本発明の情報処理装置の出力装置が、各ポートの接続状態と指定出力先とに応じて決定する出力先を示す図である。
図3中に示すように、ポートAとポートBのいずれにも接続デバイスが接続されていない場合、どのポートからも出力されない。ポートAに接続デバイスが接続されておらず、ポートBに接続デバイスが接続されている場合、ポートBが出力先として決定される。また、ポートAに接続デバイスが接続されており、ポートBに接続デバイスが接続されていない場合、ポートAが出力先として決定される。
ポートA,Bのいずれにも接続デバイスが接続されており、かつ、ポートAが外部制御信号によって指定出力先(出力先のポート)として指定されている場合、図2中のAND回路142にHigh状態の検出信号が入力され、NAND回路141にHigh状態の検出信号とLow状態の外部制御信号とが入力される。従って、AND回路142から図2中の出力先決定部20に入力される入力Aは、High状態となる。その結果、出力先決定部20によって決定される出力先のポートは、ポートAとなる。
【0014】
ポートA,Bのいずれにも接続デバイスが接続されており、かつ、ポートBが外部制御信号によって指定出力先として指定されている場合、図2中のAND回路142にHigh状態の検出信号が入力され、NAND回路141にHigh状態の検出信号とHigh状態の外部制御信号とが入力される。従って、AND回路142から図2中の出力先決定部20に入力される入力Aは、Low状態となる。一方、ポートBに接続デバイスが接続されているので、出力先決定部20に入力されるポートBの検出信号(入力B)は、High状態である。その結果、出力先決定部20によって決定される出力先のポートは、ポートBとなる。
【0015】
上記のように、優先出力ポートであるポートAと優先出力ポートでないポートBのいずれにも接続デバイスが接続されており、かつ、指定出力先がポートBである場合には、図2中のNAND回路141とAND回路142とによる論理演算により、出力先決定部20に入力される入力Aは、Lowの状態となる。
すなわち、出力先決定部20は、アプリケーションプログラムにより設定されるポートA,Bのいずれを出力先のポートとするかを指定する外部制御信号に応じて、優先出力ポートでないポートBが接続ありのとき(入力BがHighのとき)、優先出力ポートであるポートAが接続あり(入力AがHigh)の状態であっても、ポートAを接続なしの状態に設定する(入力AをLowとする)手段である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上、説明したように、本発明によれば、優先出力ポートと優先出力ポート以外のポートとに接続デバイスが接続されている場合に、該優先出力ポートを接続デバイスから取り外さなくても、外部制御信号によって指定出力先として上記優先出力ポート以外のポートを指定することによって、該優先出力ポート以外のポートから出力することができる。
また、本発明によれば、出力先のポートを優先出力ポートから優先出力ポート以外のポートに変更したい場合に、該優先出力ポート以外のポートに接続デバイスが接続されているときにのみ、該優先出力ポート以外のポートから出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の情報処理装置の出力装置を実現するシステムボードの一例を示す図である。
【図2】本発明の情報処理装置の出力装置の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の情報処理装置の出力装置が、各ポートの接続状態と指定出力先とに応じて決定する出力先を示す図である。
【図4】従来の情報処理装置の出力装置の構成の一例を示す図である。
【図5】従来技術に従った、ポートへの接続デバイスの接続状態と出力先との対応を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 システムボード
10、20 出力先決定部
11 CPU
12 チップセット及びSuperI/O
13 変換チップ
14 接続状態制御回路
120 GPO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2の出力ポートを備え、接続デバイスを検出し、接続ありの出力ポートを自動的に出力先のポートとして選択し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポートを出力先のポートとして選択することにより、一系統の入力を第1、第2の出力ポートから排他的に出力するように構成された情報処理装置の出力装置において、
アプリケーションプログラムにより設定される外部制御信号に応じて、優先出力ポート以外のポートが接続ありのとき、優先出力ポートが接続ありの状態であっても、優先出力ポートを接続なしの状態に設定する手段を付加した
ことを特徴とする情報処理装置の出力装置。
【請求項2】
第1、第2の出力ポートを備え、接続デバイスを検出し、接続ありの出力ポートを自動的に出力先のポートとして選択し、複数の接続ありのポートが存在する場合は予め設定された優先出力ポートを出力先のポートとして選択することにより、一系統の入力を第1、第2の出力ポートから排他的に出力するように構成された情報処理装置の出力装置における出力ポートの制御方法であって、
アプリケーションプログラムにより設定される外部制御信号に応じて、優先出力ポート以外のポートが接続ありのとき、優先出力ポートが接続ありの状態であっても、優先出力ポートを接続なしの状態に設定する
ことを特徴とする出力ポートの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−282245(P2008−282245A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126499(P2007−126499)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】