説明

情報処理装置及びタッチ動作認識方法

【課題】本発明は、ユーザのタッチ動作に応じたコマンドを正確に認識できるようにする。
【解決手段】本発明は、表示部2のタッチパネル15に対してタッチ動作されたタッチ地点と、アンタッチ動作されたアンタッチ地点とに基づいてタッチ動作の移動量を算出し、その移動量に応じてタッチ動作が押下操作であるかジェスチャー操作であるかを判別することにより、押下操作に応じたコマンドであるのか、或いはジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかを正確に認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びタッチ動作認識方法に関し、例えば持ち運び自在なポータブルナビゲーションデバイスに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)においては、クレードルを介して車両のダッシュボードに装着し、かつ取り外しできるようになされている。
【0003】
この種のPNDでは、クレードルを介してダッシュボードに装着された場合には当該PNDがカーナビゲーションとして用いられ、ダッシュボードから取り外された場合にはパーソナルナビゲーションとして用いられるようになされている。
【0004】
このPNDは、手軽にユーザが持ち運びながら使用することができることを主な用途としている関係上、当該PNDとは別にリモコンを用いるよりも、液晶ディスプレイの前面に設けられたタッチパネルを介してユーザからのコマンドを受け付けるユーザインタフェースが採用されている。
【0005】
一方、表示一体型タブレットに対して指を使ったポインティング操作によってページ捲りを行う電子ブック表示制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004-348755公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでかかる構成のPNDにおいては、目的地をユーザに選択させるため複数の目的地候補を表示し、それが複数ページ分も存在する場合、目的地を決定するまでにページ捲り操作をユーザに行わせる必要がある。
【0007】
その際、PNDでは、上述した電子ブック表示制御装置のような指を使ったポインティング操作に応じてページ切換処理を行う場合、ユーザの指先でページ捲りボタンではなく誤って目的地候補をタッチしてしまった瞬間に当該目的地候補に対する押下操作が行われたと誤認識してしまうことが多く、ポインティング操作を行おうとしているユーザの意思を必ずしも正確に反映できないことがあるという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ユーザのタッチ動作に応じたコマンドを正確に認識し得る情報処理装置及びタッチ動作認識方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の情報処理装置においては、前面にタッチパネルが設けられた表示手段と、タッチパネルに対してタッチ動作されたタッチ地点と、アンタッチ動作されたアンタッチ地点とに基づいてタッチ動作の移動量を算出する移動量算出手段と、移動量に応じてタッチ動作が押下操作であるかジェスチャー操作であるかを判別する操作判別手段と、押下操作に応じたコマンドであるのか、或いはジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかを認識するコマンド認識手段とを設けるようにする。
【0010】
これにより情報処理装置では、タッチ動作が押下操作であるのかジェスチャー操作であるのかをタッチ動作の移動量に基づいて判別し、その押下操作に応じたコマンドであるのか或いはジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかを正確に認識することができる。
【0011】
また本発明のタッチ動作認識方法においては、表示手段における前面のタッチパネルに対してタッチ動作されたタッチ地点をタッチ地点認識手段によって認識するタッチ地点認識ステップと、タッチ地点認識ステップの後、タッチパネルに対してアンタッチ動作されたアンタッチ地点をアンタッチ地点認識手段によって認識するアンタッチ地点認識ステップと、タッチ地点とアンタッチ地点とに基づいてタッチ動作の移動量を移動量算出手段によって算出する移動量算出ステップと、移動量に応じてタッチ動作が押下操作であるかジェスチャー操作であるかを操作判別手段によって判別する操作判別ステップと、押下操作に応じたコマンドであるのか或いはジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかをコマンド認識手段によって認識するコマンド認識ステップとを有するようにする。
【0012】
これによりタッチ動作認識方法では、タッチ動作が押下操作であるのかジェスチャー操作であるのかをタッチ動作の移動量に基づいて判別し、その押下操作に応じたコマンドであるのか或いはジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかを正確に認識することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タッチ動作が押下操作であるのかジェスチャー操作であるのかをタッチ動作の移動量に基づいて判別し、その押下操作に応じたコマンドであるのか或いはジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかを正確に認識することができ、かくしてユーザのタッチ動作に応じたコマンドを正確に認識し得る情報処理装置及びタッチ動作認識方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)PNDの全体外観構成
図1において、1は全体として本発明のポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)を示し、4.8型の液晶ディスプレイが搭載された表示部2を有し、当該表示部2に対して地図、現在位置アイコンPST及び目的地までの走行経路等を提示するようになされている。
【0016】
またPND1は、車両のダッシュボード上に吸盤3Aを介して取付けられたクレードル3によって当該PND1が保持されると共に電気的に接続され、車両のバッテリーから供給される電力によって動作すると共に、クレードル3から取り外されたときには内蔵のバッテリーから供給される電力によって独立した状態でも動作するようになされている。
【0017】
(2)PNDの回路構成
図2に示すようにPND1は、マイクロコンピュータ構成の制御部16が基本プログラムに従って全体を統括制御すると共に、ハードディスク等に格納された種々のアプリケーションプログラムに従って各種ナビゲーション処理や後述するコマンド認識処理等を実行するようになされている。
【0018】
実際上PND1は、GPSアンテナ11によって受信した複数のGPS衛星からの衛星信号S1をGPSモジュール12によってそれぞれ復調し、その結果得られる軌道データと、複数のGPS衛星から車両までの距離データとに基づいて車両の現在位置を正確に測位し、その現在位置データS2をルート探索部13へ送出する。
【0019】
因みに、軌道データとは、GPS衛星がどのような軌道で周回しているかを示す詳細軌道情報(パラメータ)であり、車両の現在位置を正確に測位するために少なくとも3個のGPS衛星から取得しておく必要があるものである。
【0020】
ルート探索部13は、現在位置データS2に基づいて、車両の現在位置を含む周辺の地図データS3を地図データ格納部14から読み出し、現在位置からユーザによって設定された目的地までの走行ルートを探索し、その走行ルートを含む経路案内地図を生成した後、その経路案内地図データS4を液晶ディスプレイでなる表示部2へ送出する。
【0021】
表示部2は、図3に示すように、経路案内地図データS4に応じた案内地図画像G1を表示することにより、現在位置アイコンPSTから目的地(図示せず)までの走行経路をユーザに対して目視確認させ得るようになされている。
【0022】
ところでPND1の制御部16は、案内地図画像G1の左下方に設けられているアプリケーションメニューボタンMBが押下操作されたことに応じた命令S7を、タッチパネル15を介して受け取ると、各種データ格納部17からアプリケーションメニュー画面データS5を読み出す。
【0023】
そしてPND1の制御部16は、図4に示すように、アプリケーションメニュー画面データS5に応じたアプリケーションメニュー画面G2を表示部2に表示する。このアプリケーションメニュー画面G2では、音楽再生を行うための音楽ボタンB1、ビデオ再生を行うためのビデオボタンB2、目的地又は立寄地の候補となり得るPOI(Point Of Interest)を提示するためのガイドブックボタンB3が、ユーザのタッチ動作による選択対象として設けられている。
【0024】
PND1の制御部16は、アプリケーションメニュー画面G2のガイドブックボタンB3がタッチ動作されたことを、タッチパネル15(図2)を介して認識すると、各種データ格納部17からガイドブックボタンB3に対応付けられたブックセレクト画面データS6を読み出す。
【0025】
そしてPND1の制御部16は、図5に示すように、ブックセレクト画面データS6に応じたブックセレクト画面G3を表示部2に表示する。このブックセレクト画面G3では、ガイドブックの選択対象として例えば「100スポット」項目KL1、「1000スポット」項目KL2、「イルミネーション情報 無料版」項目KL3、「駅弁サーチ・無料版2」項目KL4等が一覧表示されており、これらを上下方向へスクロールさせるための上ボタンUB1及び下ボタンDB1が設けられている。
【0026】
さらにブックセレクト画面G3では、「戻る」ボタンBB1が設けられており、当該「戻る」ボタンBB1がユーザによってタッチ動作されたとき、PND1の制御部16は、ブックセレクト画面G3からアプリケーションメニュー画面G2へ、表示部2の表示内容を元に戻すようになされている。
【0027】
PND1の制御部16は、ブックセレクト画面G3の例えば「1000スポット」項目KL2がタッチ動作されたことを、タッチパネル15を介して認識したとき、当該「1000スポット」項目KL2に対してパスワードが設定されているのであれば、各種データ格納部17からパスワード入力要求画面データS7を読み出す。
【0028】
そしてPND1の制御部16は、図6に示すように、パスワード入力要求画面データS7に応じたパスワード入力要求画面G4を表示部2に表示する。パスワード入力要求画面G4では、パスワード入力欄IP、アルファベットキーAK、数字キーNK、削除キーDK、確定キーEKが設けられていると共に、パスワード入力欄IPのカーソルCSを左右へ移動させるための左ボタンLB1、右ボタンRB1、及び戻るボタンBB2等が設けられている。
【0029】
この場合も、PND1の制御部16は、「戻る」ボタンBB2がタッチ動作されたとき、パスワード入力要求画面G4からブックセレクト画面G3へ表示部2の表示内容を元に戻すようになされている。
【0030】
PND1の制御部16は、パスワード入力要求画面G4のパスワード入力欄IPにアルファベットキーAKや、数字キーNK等に対するタッチ動作に応じて入力されたパスワードを表示し、確定キーEKに対するタッチ動作に応じて当該パスワード入力欄IPに表示したパスワードを確定するようになされている。
【0031】
PND1の制御部16は、パスワード入力要求画面G4のパスワード入力欄IPに入力されたパスワードに基づいて認証が出来たとき、各種データ格納部17からスポットセレクト画面データS8を読み出す。
【0032】
そしてPND1の制御部16は、図7に示すように、スポットセレクト画面データS8に応じたスポットセレクト画面G5を表示部2に表示する。スポットセレクト画面G5では、目的地又は立寄地の候補となり得るPOIとして例えば「G0001 城南公園」、「G0002 ゴールドブリッジ」、「G0003 ポートサイドタワー」、「G0004 夢見が丘」等のスポット項目SA1〜SA4が一覧表示されており、これらを上下方向へスクロールさせるための上ボタンUB2及び下ボタンDB2が設けられている。
【0033】
さらにスポットセレクト画面G5では、「戻る」ボタンBBが3設けられており、当該「戻る」ボタンBB3がタッチ動作されたとき、PND1の制御部16は、スポットセレクト画面G5からブックセレクト画面G3へ、その表示内容を戻すようになされている。
【0034】
PND1の制御部16は、スポットセレクト画面G5の例えば「G0001 城南公園」のスポット項目SA1がタッチ動作されたことを、タッチパネル15を介して認識したとき、各種データ格納部17から「G0001 城南公園」に関する紹介ページ画面データS8を読み出す。
【0035】
そしてPND1の制御部16は、図8に示すように、紹介ページ画面データS8に応じた紹介ページ画面G6を表示部2に表示する。この紹介ページ画面G6には、ガイドブック名表示欄TL1、写真表示欄GA、スポット項目名表示欄NL1、場所特定情報表示欄AL、上述した案内地図画像G1(図3)へ戻すための「地図へ」ボタンMB1及び戻るボタンBB4が設けられている。
【0036】
なお紹介ページ画面G6は、画面中央下方に次ページへ進ませるための矢印表示されたネクストボタンNT1と、1つ前のページへ戻すための矢印表示されたバックボタンBK1とが設けられており、ネクストボタンNT1がタッチ動作された場合、PND1の制御部16は各種データ格納部17から「城南公園」に関する次の詳細ページ画面データS9を読み出す。
【0037】
そしてPND1の制御部16は、図9に示すように、詳細ページ画面データS9に応じた詳細ページ画面G7を表示部2に表示する。この詳細ページ画面G7では、ガイドブック名表示欄TL2、スポット項目名表示欄NL2、「G0001 城南公園」の詳細な内容を表した詳細内容表示欄DL、案内地図画像G1(図3)へ戻すための「地図へ」ボタンMB2及び戻るボタンBB5が設けられている。
【0038】
これによりPND1の制御部16は、詳細ページ画面G7の詳細内容表示欄DLをユーザに対して目視確認させることにより、「G0001 城南公園」の詳細な内容を認識させ、目的地又は立寄地として設定するべきか否かを判断させ得るようになされている。
【0039】
ところで、この場合も、詳細ページ画面G7は、画面中央下方に次ページへ進ませるための矢印表示されたネクストボタンNT2と、1つ前のページへ戻すための矢印表示されたバックボタンBK2とが設けられており、バックボタンNT2がタッチ動作された場合、PND1の制御部16は各種データ格納部17から上述した「G0001 城南公園」に関する紹介ページ画面G6へ表示部2の内容を戻すようになされている。
【0040】
これに加えてPND1の制御部16は、この紹介ページ画面G6から次の詳細ページ画面G7へ進ませる(すなわちページを捲る)際、又は詳細ページ画面G7から紹介ページ画面G6へ戻す(すなわちページを戻す)際、ネクストボタンNT1、NT2、バックボタンBK1、BK2に対するタッチ動作によって行うのではなく、表示部2のタッチパネル15に対する指先のジェスチャー操作に応じたコマンドを理解し、そのコマンドに応じてページ捲り処理やページ戻し処理等を行い得るようになされており、その内容について次に説明する。
【0041】
(3)コマンド認識処理手順
図9に示すように、実際上、PND1の制御部16は、ハードディスクから起動したアプリケーションプログラムであるコマンド認識処理プログラムに従って、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、ユーザの指先によるタッチパネル15に対するタッチ動作を認識すると、次のステップSP2へ移る。
【0042】
ステップSP2においてPND1の制御部16は、ユーザの指先がタッチパネル15から離れたときのアンタッチ動作を認識すると、次のステップSP3へ移る。
【0043】
ステップSP3においてPND1の制御部16は、ステップSP1で認識したタッチ動作の地点から、ステップSP2で認識したアンタッチ動作の地点までの表示部2上における指先の移動量を算出し、次のステップSP4へ移る。
【0044】
ステップSP4においてPND1の制御部16は、ステップSP3で算出した指先の移動量が所定の閾値(例えば5mm)以下であるか否かを判定し、肯定結果が得られた場合、それは移動量が殆ど無い状態であって、指先のドラッグ動作に基づくジェスチャー操作ではないと認識し、次のステップSP5へ移る。
【0045】
ステップSP5においてPND1の制御部16は、指先の動きがジェスチャー操作ではないので、図11に示すように、アンタッチ動作したときの地点に何らかのボタン例えばネクストボタンNT1が存在するか否かを判定する。
【0046】
ここで否定結果が得られると、このことはジェスチャー操作でもなく、かつボタン操作でもないことを表しており、このときPND1の制御部16は、コマンドの入力が無かったものと認識し、次のステップSP8へ移って何ら処理を行うことなく終了する。
【0047】
これに対して、ステップSP5で肯定結果が得られると、このことは例えばネクストボタンNT1に対する押下操作であることを表しており、このときPND1の制御部16は次のステップSP6へ移る。
【0048】
ステップSP6においてPND1の制御部16は、この場合ネクストボタンNT1に対する押下操作に応じたコマンドであると理解し、例えば表示部2に表示している紹介ページ画面G6(図8)から次の詳細ページ画面G7(図9)へ表示内容を切り換え、次のステップSP8へ移って処理を終了する。
【0049】
一方、ステップSP4で否定結果が得られると、このことはステップSP3で算出した指先の移動量が所定の閾値(例えば5mm)を超えており、それは図12に示すような表示部2上を指先で左側から右側へ向かってなぞるように動かしたときのドラッグ動作に基づくジェスチャー操作であることを表しており、このときPND1の制御部16は次のステップSP7へ移る。
【0050】
ステップSP7においてPND1の制御部16は、ジェスチャー操作のパターンに応じた例えばページ捲りコマンドを認識し、そのページ捲りコマンドに応じて紹介ページ画面G6(図8)から次の詳細ページ画面G7(図9)へ切り換えることにより、あたかも本を捲るかのようにページ捲り処理を行った後、次のステップSP8へ移って処理を終了する。
【0051】
例えばPND1の制御部16は、指先で右側から左側へ向かってなぞるような動きのパターンでなるジェスチャー操作が行われたことを認識したときは、上述したページ捲り動作を行い、指先で左側から右側へ向かってなぞるような動きのパターンでなるジェスチャー操作が行われたことを認識したときは詳細ページ画面G7(図9)から紹介ページ画面G6(図8)へ戻すかのようなページ戻し処理を行うようになされている。
【0052】
またPND1の制御部16は、指先で三角形を描くようなパターンのジェスチャー操作が行われたことを認識したときは、それが自宅までの走行経路を探索して提示するという意味のコマンドであると理解し、現在位置から自宅までの走行経路を表示部2に表示するようになされている。
【0053】
さらにPND1の制御部16は、指先で右回転による円を描くようなパターンのジェスチャー操作が行われたことを認識したときは、表示部2に表示中の地図を拡大表示し、指先で左回転による円を描くようなパターンのジェスチャー操作が行われたことを認識したときは、表示部2に表示中の地図を縮小表示するようになされている。
【0054】
(4)動作及び効果
以上の構成において、PND1の制御部16は、ユーザの指先が表示部2をタッチ動作し、その後アンタッチ動作されるまでの移動量に基づいて単なるボタンの押下操作であるか、或いはドラッグ動作に基づくジェスチャー操作であるかを判別し、押下操作又はジェスチャー操作に応じたコマンドを理解し、所定の処理を実行する。
【0055】
すなわちPND1の制御部16は、例え指先が表示部2に表示された何らかのボタンをタッチ動作したとしても、その指先がアンタッチ動作されるまでは、押下操作であるのかジェスチャー操作であるかを判別することがない。
【0056】
従ってPND1の制御部16は、ユーザが指先でジェスチャー操作を行うつもりであるにも拘わらず、偶然、何らかのボタンが存在する場所をタッチ動作の起点としたときであっても、それが押下操作であると誤判断することを回避することができる。
【0057】
またPND1の制御部16は、何らかのボタンに対してタッチ動作が行われた後、指先の移動量が閾値以下の範囲でアンタッチ動作が行われた場合、それがジェスチャー操作であると誤認識することがなく、ボタンに対する押下操作であると正確に認識することができる。
【0058】
以上の構成によれば、PND1の制御部16は、タッチ動作が行われたとき、それが瞬間的なボタンに対する押下操作であるのか、ドラッグ動作によるジェスチャー操作であるのかを正確に判別し、押下操作又はジェスチャー操作に応じたコマンドに従った所定の処理を正確かつ確実に実行することができる。
【0059】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、タッチ動作からアンタッチ動作までの指先の移動量に基づいて押下操作であるか或いはジェスチャー操作であるかを判別する際に、5mmの閾値を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示部2の表示面積やボタンのサイズ等の種々の要因によって、閾値の長さを5mm以外の任意の長さに設定して判別するようにしても良い。
【0060】
また上述の実施の形態においては、ジェスチャー操作のパターンとして、上述したような指先で右側から左側へ向かってなぞるような動き、指先で左側から右側へ向かってなぞるような動き、指先で三角形を描くような動き、或いは指先で右回転又は左回転による円を描くような動きを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、×や□を描くような指先の動きや、画面を叩くような指先の動き等のその他種々の動きをジェスチャー操作のパターンとして用いるようにしても良い。
【0061】
さらに上述の実施の形態においては、表示部2に表示したボタンとは無関係に画面上をタッチ動作及びアンタッチ動作したときの移動量に基づいてジェスチャー操作であることを認識するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ボタン表示がない画面上の領域をタッチ動作及びアンタッチ動作したときの移動量に基づいてジェスチャー操作であることを認識するようにしても良い。
【0062】
さらに上述の実施の形態においては、PND1の制御部16がハードディスクから起動したアプリケーションプログラムであるコマンド認識処理プログラムに従、ルーチンRT1のコマンド認識処理手順(図10)を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CD(Compact Disc)や半導体メモリ等の記録媒体からインストールしたコマンド認識処理プログラムや、インターネットからダウンロードしたコマンド認識処理プログラム、その他種々のルートによってインストールしたコマンド認識処理プログラムに従って上述したコマンド認識処理手順を実行するようにしても良い。
【0063】
さらに上述の実施の形態においては、表示手段としての表示部2、移動量算出手段、操作判別手段及びコマンド認識手段としての制御部16によって本発明の情報処理装置としてのPND1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる表示手段、移動量算出手段、操作判別手段及びコマンド認識手段によって本発明の情報処理装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の情報処理装置及びタッチ動作認識方法は、例えばPND以外のダッシュボード固定式ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機及びゲーム機等のタッチパネルを搭載した種々の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】PNDの全体外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】PNDの回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図3】案内地図画像を示す略線図である。
【図4】アプリケーションメニュー画面を示す略線図である。
【図5】ブックセレクト画面を示す略線図である。
【図6】パスワード入力要求画面を示す略線図である。
【図7】スポットセレクト画面を示す略線図である。
【図8】紹介ページ画面を示す略線図である。
【図9】詳細ページ画面を示す略線図である。
【図10】コマンド認識処理手順を示すフローチャートである。
【図11】アンタッチ操作の説明に供する略線図である。
【図12】ジャスチャー操作の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0066】
1……PND、2……表示部、3……クレードル、11……GPSアンテナ、12……GPSモジュール、13……ルート探索部、14……地図データ格納部、15……タッチパネル、16……制御部、17……各種データ格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にタッチパネルが設けられた表示手段と、
上記タッチパネルに対してタッチ動作されたタッチ地点と、アンタッチ動作されたアンタッチ地点とに基づいて上記タッチ動作の移動量を算出する移動量算出手段と、
上記移動量に応じて上記タッチ動作が押下操作であるかジェスチャー操作であるかを判別する操作判別手段と、
上記押下操作に応じたコマンドであるのか、或いは上記ジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかを認識するコマンド認識手段と
を具えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
上記動作判別手段は、上記移動量が所定の閾値を超える場合、上記ジェスチャー操作であると判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
上記コマンド認識手段は、上記ジェスチャー操作のパターンに対応付けられた上記コマンドを認識する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
上記動作判別手段は、上記移動量が所定の閾値以下であり、上記アンタッチ動作されたときのアンタッチ地点にボタンが表示されていた場合、当該ボタンに対する上記押下操作であると判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
表示手段における前面のタッチパネルに対してタッチ動作されたタッチ地点をタッチ地点認識手段によって認識するタッチ地点認識ステップと、
上記タッチ地点認識ステップの後、上記タッチパネルに対してアンタッチ動作されたアンタッチ地点をアンタッチ地点認識手段によって認識するアンタッチ地点認識ステップと、
上記タッチ地点と上記アンタッチ地点とに基づいて上記タッチ動作の移動量を移動量算出手段によって算出する移動量算出ステップと、
上記移動量に応じて上記タッチ動作が押下操作であるかジェスチャー操作であるかを操作判別手段によって判別する操作判別ステップと、
上記押下操作に応じたコマンドであるのか、或いは上記ジェスチャー操作に応じたコマンドであるのかをコマンド認識手段によって認識するコマンド認識ステップと
を有することを特徴とするタッチ動作認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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