説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】可変印刷装置に適用される雛型データから確認用レコードを生成し、この確認用レコードを用いて、可変印刷装置の印刷物に生じる不都合を容易に確認できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】可変データのレコード毎の印刷物を印刷する可変印刷装置8に適用されて、入力されるレコードの各々に応じて印刷画像を生成する雛型データから、型枠データを抽出する型枠データ抽出部21と、抽出された型枠データから、印刷画像の構成要素となる要素画像を各型枠が変化させて出力することにより構成可能な印刷画像のうちの少なくとも一部の印刷画像に対応するレコードを、確認用レコードとして生成する確認用レコード生成部22と、確認用レコードと雛型データとに従って生成される印刷画像を、確認用画像データとして生成する確認用画像データ生成部23と、を含むことを特徴とする情報処理装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトメールや帳票等、入力される可変データに応じた内容の印刷物を印刷する可変印刷装置が知られている。この可変印刷装置はバリアブルプリント装置、バリアブル印刷装置とも呼ばれる。複数の項目データを有する複数のレコードを含む可変データが、印刷物の雛型を規定する雛型データ(テンプレート)に入力されると、各レコードに応じた内容の印刷画像が生成され、可変印刷装置がこれに基づき印刷することで、可変データの各レコードに応じた印刷物が得られる。
【0003】
なお、複数のレコードに含まれる複数種類のデータフィールド(項目)の各データ表示サイズに基づいて、当該データフィールドのデータを差し込むためのそれぞれのフィールド領域をページ内にレイアウトする情報処理装置が特許文献1で提案されている。特許文献1における情報処理装置では、各レコード中の同一データフィールド名のフィールドデータそれぞれから、例えば、最も平均的なコンテンツサイズ(データ表示サイズ)を有するフィールドデータを選定することによって、それぞれのフィールド領域がページ内にレイアウトされることとなる。
【特許文献1】特開2006−48539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、可変印刷装置に適用される雛型データから確認用レコード(テストデータ)を生成し、この確認用レコードを用いて、可変印刷装置で印刷される可変データに基づく印刷物に生じる不都合を容易に確認できる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、可変データのレコード毎の印刷物を印刷する可変印刷装置に適用されて、入力される前記レコードの各々に応じて印刷画像を生成する雛型データから、前記印刷画像の各構成要素となる要素画像を、前記レコードの内容に応じて変化させると共に、前記印刷画像において配置する位置を決定して該要素画像を出力する型枠を規定する型枠データを抽出する型枠データ抽出手段と、前記型枠データ抽出手段によって抽出された前記型枠データから、前記各型枠が前記要素画像を変化させるために前記レコードが備えるべき内容的条件を導出し、前記各型枠における該内容的条件に従って、前記各型枠が前記要素画像を変化させて出力することにより構成可能な前記印刷画像のうちの少なくとも一部の前記印刷画像に対応する前記レコードを、前記雛型データが生成する前記印刷画像を確認するための確認用レコードとして生成する確認用レコード生成手段と、前記確認用レコード生成手段によって生成された前記確認用レコードと、該確認用レコードの入力を受け入れる前記雛型データとに従って生成される前記印刷画像を、確認用画像データとして生成する確認用画像データ生成手段と、を含むことを特徴とする情報処理装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載された情報処理装置であって、前記レコードは、前記レコードの属性を示す属性データを含み、前記確認用レコード生成手段は、前記属性データの内容に応じて前記要素画像を所定候補の中から選択することによって変化させる少なくとも1つの前記型枠を規定する前記型枠データから、前記要素画像を該所定候補の中から該型枠が選択するために前記属性データが備えるべき前記内容的条件を導出する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1乃至2に記載された情報処理装置であって、前記レコードは、前記印刷画像におけるいずれかの部分で生成される対象となる印刷対象データを含み、前記確認用レコード生成手段は、前記印刷対象データの内容を前記要素画像に反映することによって前記要素画像を変化させる少なくとも1つの前記型枠を規定する前記型枠データから、前記印刷対象データの内容を前記要素画像に該型枠が反映するために前記印刷対象データが備えるべき前記内容的条件を導出する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載された情報処理装置であって、前記確認用レコード生成手段は、前記印刷対象データの内容を前記印刷画像における前記要素画像の表示サイズを変えて前記型枠が反映するために前記印刷対象データが備えるべき前記内容的条件を導出し、該型枠における前記内容的条件に従って、前記表示サイズが異なる要素画像を出力する前記印刷対象データを含む前記確認用レコードを生成する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の情報処理装置であって、前記型枠データ抽出手段において、前記型枠データが抽出される前記雛型データは、前記可変印刷装置に前記レコード毎の印刷物を印刷させるための前記可変データに従って、予め設計された雛型データである、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の情報処理装置であって、前記確認用レコード生成手段は、前記確認用レコードを生成する際に、該確認用レコードの少なくとも一部に、前記可変データにおけるいずれかの前記レコードを用いる、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の情報処理装置は、前記確認用画像データ生成手段が生成した前記確認用画像データの印字速度を、前記可変印刷装置の特性を示す情報に従って評価する印字速度評価手段をさらに含む、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0012】
請求項8の発明は、可変データのレコード毎の印刷物を印刷する可変印刷装置に適用されて、入力される前記レコードの各々に応じて印刷画像を生成する雛型データから、前記印刷画像の各構成要素となる要素画像を、前記レコードの内容に応じて変化させると共に、前記印刷画像において配置する位置を決定して該要素画像を出力する型枠を規定する型枠データを抽出する型枠データ抽出手段、前記型枠データ抽出手段によって抽出された前記型枠データから、前記各型枠が前記要素画像を変化させるために前記レコードが備えるべき内容的条件を導出し、前記各型枠における該内容的条件に従って、前記各型枠が前記要素画像を変化させて出力することにより構成可能な前記印刷画像のうちの少なくとも一部の前記印刷画像に対応する前記レコードを、前記雛型データが生成する前記印刷画像を確認するための確認用レコードとして生成する確認用レコード生成手段、及び、前記確認用レコード生成手段によって生成された前記確認用レコードと、該確認用レコードの入力を受け入れる前記雛型データとに従って生成される前記印刷画像を、確認用画像データとして生成する確認用画像データ生成手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1又は請求項8の発明によれば、可変印刷装置に適用される雛型データに含まれる型枠データから確認用レコードを生成し、この確認用レコードを用いて印刷画像に生じる不都合を容易に確認できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、少なくとも1つの型枠が、属性データの内容に応じて所定候補の中から選択することによって出力する要素画像を変化させる場合に、型枠データから導き出される属性データの内容的条件に従って、確認用レコードを生成することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、少なくとも1つの型枠が、印刷対象データの内容を反映することによって出力する要素画像を変化させる場合に、型枠データから導き出される印刷対象データの内容的条件に従って、確認用レコードを生成することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、少なくとも1つの型枠が、印刷対象データの内容を反映することによって出力する要素画像を変化させる場合に、型枠データから、出力する要素画像の表示サイズを変えて印刷対象データの内容を反映させる内容的条件を導き出して、雛型データが生成する印刷画像の不都合を容易に確認できる確認用レコードを生成することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、可変印刷装置で印刷物を印刷させる対象となる可変データを用いて設計された雛型データから型枠データを抽出して、雛型データが生成する印刷画像において発生する可能性がある不都合を確認できる確認用データを生成することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、確認用レコードを生成する際に、可変データにおけるいずれかのレコードを用いて、可変印刷装置で印刷されることとなる印刷物に近い確認用画像データを生成し、印刷画像の不都合を正確に視認できる。
【0019】
請求項7の発明によれば、確認用レコードと雛型データにしたがって生成された確認用画像データの印字速度が評価されるため、可変印刷装置の処理にかかる負荷を見積もることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
まず、図1は、本発明の実施形態にかかる情報処理装置1を含むネットワーク構成図の一例を示す図である。同図に示すように、本実施形態にかかる情報処理装置1は、WANやLANなどのネットワーク7を介して、可変印刷装置8の各々とデータ通信可能に接続されている。この可変印刷装置8は、例えば、プリント機能や複写機能等を備えた複合機であって、本実施形態では、ダイレクトメールを送付する各顧客に対して相応しい内容となる印刷物を、雛型データ設計者が設計した雛型データと、ダイレクトメールの送付対象者である顧客のデータからなる可変データとを用いて順次印刷する機能を備えている。なお、複合機は、一般にMFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれることがある。
【0022】
雛型データは、入力される可変データに応じて生成する印刷画像の雛型を示すデータである。この雛型データの設計者は、情報処理装置1を用いて雛型データを設計し、各可変印刷装置8に雛型データを提供する。可変印刷装置8は、年齢や性別等の顧客に関する諸情報を顧客に関連付けて記録している可変データを別途取得し、該可変データの各レコードを、提供された雛型データに入力することによって印刷画像を生成して、各レコード(顧客)に相応しい内容となる印刷物を順次印刷する。また、この印刷画像とは、所定のデータ形式によって表された印刷物を印刷する際に用いられる画像データのことであり、例えば、ビットマップ形式で記述されたデータ、PDL(Page Description Language)言語で記述されたデータ等が含まれる。
【0023】
特に本実施形態における情報処理装置1は、雛型データが生成する印刷画像を確認するための確認用レコードを生成する等の機能を備え、雛型データの設計者は、確認用レコードを生成した雛型データと、確認用レコードとを用いて生成される確認用の印刷画像(以下、確認用画像データ)を視認して、レイアウト上の不都合が生じているか否か等を確認することができる。以下、かかる機能を実現する情報処理装置1のハードウェア構成と機能的構成について説明する。
【0024】
図2は、本実施形態にかかる情報処理装置1のハードウェア構成と機能的構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、制御部2と、記憶部3と、通信部4と、UI部5と、表示部6とを含んで構成される。この情報処理装置1は、例えば、据え置き型、又は可搬型のPCであり、そのUI部5を介したユーザの操作によって情報処理装置1が備える諸機能が実現される。
【0025】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスである。制御部2は、型枠データ抽出部21、確認用レコード生成部22、確認用画像データ生成部23、印字速度評価部24の各機能ブロックを含んでおり、本発明の実施形態にかかるプログラムを実行することによって各機能が実現される。このプログラムは、例えばCD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な各種の情報記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、インターネット等の通信手段を介して提供されてもよい。各機能の詳細については後述する。
【0026】
記憶部3は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子、ならびにハードディスク等によって構成される。この記憶部3は、制御部2が実行する上記プログラム(ソフトウェア)を格納している。また、この記憶部3は、制御部2の処理過程で利用される種々のデータを記憶し、これらを保持するワークメモリとしても動作する。
【0027】
通信部4は、ネットワークボード等によって構成される。この通信部4は、各種データ送受信する機能を担う。
【0028】
UI部5は、入力用デバイス(キーボード、マウス等)によって構成される。このUI部5は、ユーザからの入力を受け入れて、その入力内容を制御部2に出力する。
【0029】
表示部6は、液晶ディスプレイ等によって構成される。この表示部6は、制御部2から出力された内容を表示して、情報処理装置1のユーザはその内容を認識することができる。
【0030】
ここで、制御部2に含まれる各機能ブロックが実現する機能について、図3及び図4を用いて詳細に述べる。図3は、情報処理装置1が雛型データに基づいて確認用画像データを生成する処理の一例を概念的に説明する図である。まず、図3に示される雛型データにおいては、印刷画像の構成要素となる要素画像を出力する型枠(フォーム)が、型枠データによって規定されている。そして、各型枠によって出力される要素画像は、入力される可変データのレコードの内容に応じて変化させられるとともに、印刷画像において配置される位置が決定されることとなる。図4は、情報処理装置1における処理で用いられる、顧客のデータからなる可変データ、型枠データ、及び確認用レコードの一例を示す図である。本実施形態における可変データ(図4(a))は、顧客の識別情報を示すIDに、年齢、性別、職業、住所を示す情報が関連付けられているデータであり、図4(b)に示される型枠データは、かかる可変データから各レコード毎の印刷物を印刷する雛型データに含まれるデータであり、図4(c)に示される確認用レコードは、雛型データに含まれる型枠データに基づいて生成されたデータである。なお、本実施形態では、図4(b)に示すように型枠A〜Dと、可変データにおける各項目(年齢、性別、職業、住所)とが、各項目の内容的条件と共に関連付けられているが、各項目の内容についての出力をする型枠を指定する情報を可変データに含めることとしてもよい。
【0031】
図3における処理では、まず、型枠データ抽出部21は、雛型データ91から型枠データ92を抽出する。次に、確認用レコード生成部22は、型枠データ92から確認用レコード94を生成する。この際、確認用レコード生成部22は、可変データ93をも用いて確認用レコード94を生成してもよい。そして、確認用画像データ生成部23は、雛型データ91と確認用レコード94とを用いて、確認用画像データ95を生成する。そして、確認用画像データ95が表示部6に表示されたり、通信部4を介していずれかのプリンタ装置に送信されて印刷されることによって、情報処理装置1を用いて雛型データを設計する者は、確認用画像データ95を視認できる。また、生成された確認用画像データ95の印刷速度の評価を、印字速度評価部24が行うこととしてもよい。
【0032】
型枠データ抽出部21は、予め設計されている雛型データから型枠データを抽出する。この雛型データは、記憶部3に保持されて型枠データ抽出部21が読み出すことによって取得されたり、通信部4を介して型枠データ抽出部21に提供されるものである。ここで型枠とは、例えば雛型データ91における型枠A〜Dのように、印刷画像の構成要素となる各要素画像の印刷画像における配置位置を決定し、顧客データの内容に応じた要素画像を、その配置位置に出力させるための情報である。このように雛型データには、各型枠をそれぞれ規定している型枠データが含まれている(図4(b))。型枠による要素画像の配置位置の決定は、予め所定の位置に決定されているものであってもよいし、可変データにおけるレコードの内容に従って決定されてもよいし、他の型枠が出力する要素画像に従って決定してもよい。図4(b)に記載される配置位置は、雛型データによって生成される印刷画像上の座標を示し、型枠A〜Dによる要素画像の配置位置は予め決定されている。また、型枠による要素画像は、可変データのレコードの内容に応じて、図形や画像、文字列の内容を変化させて出力されることとなる。この際、可変データのレコードの内容に応じて、これらの図形や画像の印刷画像における表示サイズや色使い等の表示態様、文字列のフォントの種類や大きさ色使い等の表示態様を変化させて出力されてもよい。印刷画像では、可変データのレコードに応じて要素画像が変化して型枠から出力されて、様々な要素画像が様々な表示態様や配置により生成されることとなる。
【0033】
ここで、型枠による可変データのレコードの内容に応じた要素画像の変化とは、例えば、顧客の年齢や性別等の、顧客自身の特長によって可変データのレコードを分類できる属性を示す属性データに従って、出力される要素画像を型枠が所定の候補から選択することである。図4(b)で示すように、本実施形態では、年齢に応じて型枠Aで出力される画像が選択され、性別に応じて型枠Bで出力される文字列が選択される。型枠による所定の候補の選択は、型枠によって予め用意された図形や画像や文字列を示すファイルを選択することによってなされる。所定の候補は、内容自体が異なる複数の画像データやテキストデータであってもよいし、表示態様のみが異なる複数の画像データやテキストデータであってもよい。これらのデータは、型枠に関連付けられて雛型データに含まれて保持される。そして、雛型データに従って印刷画像が生成される際に、型枠が可変データのレコードに応じたファイルを選択して出力する。また、型枠に関連つけられて記憶部3等の記憶領域に保持されてもよい。この場合には、印刷画像が生成される際に、可変データのレコードの内容に応じたデータを記憶部3から選択して読み出すことにより要素画像を出力する。
【0034】
また、型枠による可変データのレコードの内容に応じた要素画像の変化とは、例えば、印刷画像におけるいずれかの部分で生成される対象となる印刷対象データの内容を、型枠が要素画像に反映することである。図4(b)で示すように、本実施形態では、顧客の職業を示すデータの内容が型枠Cで出力される要素画像に反映され、顧客の住所を示すデータの内容が型枠Dで出力される要素画像に反映される。印刷対象データの内容の要素画像への反映は、住所や職業を示すデータの一部の反映であってもよいし、文字列を表示する範囲を示す表示サイズやフォント、文字の大きさ等の表示態様を印刷対象データに応じて変更して反映させることとしてもよい。
【0035】
確認用レコード生成部22は、各型枠が出力できる要素画像によって構成可能な印刷画像に対応する可変データのレコードを、確認用レコードとして、型枠データに基づいて生成する。ここで、確認用レコードは、各型枠が出力できる要素画像を各型枠毎に決定して組み合わせることによって構成可能な印刷画像のうち、少なくとも一部の印刷画像に対応する可変データのレコードであればよい。例えば、各型枠において表示サイズが大きくて印刷画像の視認性に影響しやすい要素画像を出力して、これらを組み合わせた印刷画像に対応する確認用レコードを、確認用レコード生成部22は生成してもよい。また、印刷画像の視認性に影響しない要素画像を出力する型枠の出力は維持しつつ、他の型枠の要素画像を変更した異なる複数の印刷画像に対応する確認用レコードを生成してもよい。
【0036】
図4(b)に示すように、型枠データにおける各型枠には、要素画像を変化させるために可変データのレコードが備えるべき内容に関する条件(内容的条件)を示す情報と、要素画像を配置する位置を示す情報が関連付けられている。例えば、型枠Aでは、顧客の年齢に従った内容的条件を満足する画像が選択されて要素画像が出力され、型枠Cでは、1文字以上5文字以下という顧客の職業を示す情報の内容的条件を満足するように、要素画像が反映されることとなる。確認用レコード生成部22は、型枠データから各型枠において規定される内容的条件を導き出して、この内容的条件を満足するように、顧客の年齢や顧客の職業を示す文字列を決定することによって、確認用レコードを生成する。図4(c)は、このようにして生成された確認用レコードの一例を示す図である。確認用レコードは、確認用画像データを生成して視認性を確認するための可変データのレコードであるから、必ずしも可変データのレコードとして必要十分なデータを備えている必要はなく、少なくとも雛型データが印刷画像を生成するのに必要なデータを備えていればよい。
【0037】
属性データ及び、印刷対象データは、本実施形態における顧客のデータ(可変データのレコード)に含まれる。本実施形態における雛型データに含まれる各型枠の少なくとも1つは、属性データを受け入れて、画像や文字列を選択して要素画像を出力させる型枠、または、印刷対象データを受け入れて、その内容を要素画像に反映して出力させる型枠であり、型枠データによって規定されている。
【0038】
図5は、型枠Aと型枠Dとが規定されている型枠データ(図5(a))と、該型枠データにおける内容的条件に従って生成した確認用レコード(図5(b))を示す図である。この確認用レコードは、型枠Aが「画像a」「画像b」「画像c」のいずれかを選択して出力する顧客の年齢と、型枠Dが要素画像に反映して出力する顧客の住所(例えば、「X」または「A県B市C町1−2−3XXXXXXXXX」)とを、組み合わせて生成できるすべての顧客データである。
【0039】
また、確認用レコード生成部22は、印刷画像における表示サイズが変わるように印刷対象データの内容を決定して、表示サイズが異なる印刷対象データの要素画像を出力する複数の確認用レコードを生成してもよい。印刷対象データが反映される要素画像の表示サイズが、例えば、反映される文字数によって変化する場合には、例えば、図5(b)に示すように「X」または「A県B市C町1−2−3XXXXXXXXX」を印刷対象データの内容として決定することにより、表示サイズを変更することができる。なお、印刷対象データを反映する型枠は、文字の大きさを変更すると共に要素画像の表示サイズを一定にして、印刷対象データの内容を反映することとしてもよい。
【0040】
また、確認用レコード生成部22が、確認用レコードを生成する際には、雛型データから抽出した型枠データとともに可変データのいずれかのレコードを用いて生成してもよい。例えば、図4(a)に示すような、可変データのレコードにおいて記載されている情報である「A県B市C町1−2−3」を用いて、図5(b)のような確認用レコードを生成することにより、雛型データの設計者は、印刷画像を視認する際に型枠Dにいかなる情報が出力されるかを認識することができる。また、可変データのレコードにおける属性情報において頻度の高い属性を調べ、頻度の高い属性に従って確認用レコードを生成することとしてもよい。
【0041】
確認用画像データ生成部23は、雛型データに確認用レコードを入力して生成される印刷画像を、確認用画像データとして生成する。この雛型データは、型枠データ抽出部21が型枠データを抽出したのと同一の雛型データであり、確認用レコードに対応する印刷画像が、確認用画像データとして生成される。情報処理装置1を用いて雛型データを設計する者は、この確認用画像データを表示部6に表示させて視認したり、確認用画像データに基づく印刷物を視認することにより、例えば、要素画像が重複している等の印刷画像に発生する不都合を確認することができる。
【0042】
さらに制御部2は、確認用画像データ生成部23が生成した確認用画像データにおける印字速度を、各可変印刷装置8の印字特性を示す情報に従って評価する印字速度評価部24を備えてもよい。各可変印刷装置8は、雛型データによって生成された印刷画像を、ラスターデータやビットマップデータに展開し、紙等のシート状の画像記録媒体に転写することとなる。ここで、印字特性を示す情報とは、例えば、データ種別(テキスト、画像、バーコード等)と印字速度との関係を示す情報や、印刷画像をラスタライズしたり、ビットマップに展開する際のキャッシュ処理特性を示す情報である。印刷画像が複雑な構成になる程、ラスタライズ等に時間がかかる。また、雛型データにおける各型枠によって出力される要素画像のデータ種別の印字速度が遅い程、可変印刷装置8の印刷処理には時間がかかる。印字速度評価部24は、これらの情報に従って、確認用画像データの印字速度を見積もる。印字速度評価部24が印字速度を事前に評価することにより、情報処理装置1を用いる雛型データの設計者は各可変印刷装置8の性能を考慮した雛型データの設計ができる。
【0043】
図6は、確認用画像データを生成して印字速度を評価する処理のフローの一例を示す図である。まず、S101では、制御部2は、予め設計されている雛型データを記憶部3から読み出すことによって取得して、型枠データを抽出する。この雛型データは、各顧客への印刷物を印刷するための顧客データからなる可変データを用いて設計されたものであってもよいし、顧客データからなる可変データを用いずに設計されたものであってもよい。次に、S102では、制御部2は、抽出された型枠データから、各型枠に関連付けられている内容的条件を導出する。この内容的条件は、各型枠が出力する要素画像を決定するために、顧客データからなる可変データのレコードの内容が満たすべき条件を示している。さらにS103では、制御部2が、各型枠が出力できる要素画像に対応する可変データのフィールドの内容を組み合わせることにより、確認用レコードを生成する。各型枠は、可変データのレコードの一部となるフィールドで示される内容(例えば、顧客の年齢)によって、出力する要素画像を決定される。図5(a)に示される型枠データの場合には、型枠Aが画像a、画像b、画像cを出力することとなる各年齢と、型枠Dが出力できる上限と下限となる文字数(1文字〜20文字)の文字列とを組み合わせてできる可変データのレコードを、確認用レコードとして生成する。そして、S104では、制御部2は、S103で生成された確認用レコードを、記憶部3から読み出した予め設計されている雛型データに入力して、視認性を確認するための確認用画像データを生成する。最後に、S105では、制御部2は、生成された確認用画像データを、可変印刷装置8の印字特性を示す情報に従って印字速度を評価する。情報処理装置1を用いて雛型データを設計する者は、各確認用画像データの印字速度の評価値を比較する。雛型データの設計者は、例えば、印字速度が遅い確認用画像データに従って、可変印刷装置8を用いて顧客に対するダイレクトメールを所定数印刷する場合の印刷時間を想定することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、可変印刷装置8に適用する雛型データに入力する可変データを顧客のデータとしているが、必ずしも顧客のデータである必要はなく、例えば、社員のデータや商品のデータ等、各フィールドにおいて様々な値をとるレコードからなる可変データであればよい。
【0045】
なお、情報処理装置1は、雛型データを設計する装置であってもよいし、図2に示すようなハードウェア構成と機能的構成のみからなる装置であってもよい。また、情報処理装置1は、雛型データを設計するシステムに組み込まれるものであってもよく、かかるシステムでは、雛型データの設計、及び、設計された雛型データを各可変印刷装置に提供する処理等も行われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態にかかる情報処理装置1を含むネットワーク構成図の一例を示す図である。
【図2】本実施形態にかかる情報処理装置1のハードウェア構成と機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる情報処理装置1が雛型データに基づいて確認用画像データを生成する処理の一例を概念的に説明する図である。
【図4】本実施形態にかかる情報処理装置1の処理で用いられる顧客データ(可変データ)、型枠データ、及び確認用レコードの一例を示す図である。
【図5】型枠データと、該型枠データにおける内容的条件に従って生成した確認用レコードの一例を示す図である。
【図6】確認用画像データを生成して印字速度を評価する処理のフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 情報処理装置、2 制御部、3 記憶部、4 通信部、5 UI部、6 表示部、7 ネットワーク、8 可変印刷装置、21 型枠データ抽出部、22 確認用レコード生成部、23 確認用画像データ生成部、24 印字速度評価部、91 雛型データ、92,92A 型枠データ、93 顧客データ(可変データ)、94,94A 確認用レコード、95 確認用画像データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変データのレコード毎の印刷物を印刷する可変印刷装置に適用されて、入力される前記レコードの各々に応じて印刷画像を生成する雛型データから、前記印刷画像の各構成要素となる要素画像を、前記レコードの内容に応じて変化させると共に、前記印刷画像において配置する位置を決定して該要素画像を出力する型枠を規定する型枠データを抽出する型枠データ抽出手段と、
前記型枠データ抽出手段によって抽出された前記型枠データから、前記各型枠が前記要素画像を変化させるために前記レコードが備えるべき内容的条件を導出し、前記各型枠における該内容的条件に従って、前記各型枠が前記要素画像を変化させて出力することにより構成可能な前記印刷画像のうちの少なくとも一部の前記印刷画像に対応する前記レコードを、前記雛型データが生成する前記印刷画像を確認するための確認用レコードとして生成する確認用レコード生成手段と、
前記確認用レコード生成手段によって生成された前記確認用レコードと、該確認用レコードの入力を受け入れる前記雛型データとに従って生成される前記印刷画像を、確認用画像データとして生成する確認用画像データ生成手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された情報処理装置であって、
前記レコードは、前記レコードの属性を示す属性データを含み、
前記確認用レコード生成手段は、前記属性データの内容に応じて前記要素画像を所定候補の中から選択することによって変化させる少なくとも1つの前記型枠を規定する前記型枠データから、前記要素画像を該所定候補の中から該型枠が選択するために前記属性データが備えるべき前記内容的条件を導出する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1乃至2に記載された情報処理装置であって、
前記レコードは、前記印刷画像におけるいずれかの部分で生成される対象となる印刷対象データを含み、
前記確認用レコード生成手段は、前記印刷対象データの内容を前記要素画像に反映することによって前記要素画像を変化させる少なくとも1つの前記型枠を規定する前記型枠データから、前記印刷対象データの内容を前記要素画像に該型枠が反映するために前記印刷対象データが備えるべき前記内容的条件を導出する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載された情報処理装置であって、
前記確認用レコード生成手段は、前記印刷対象データの内容を前記印刷画像における前記要素画像の表示サイズを変えて前記型枠が反映するために前記印刷対象データが備えるべき前記内容的条件を導出し、該型枠における前記内容的条件に従って、前記表示サイズが異なる要素画像を出力する前記印刷対象データを含む前記確認用レコードを生成する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の情報処理装置であって、
前記型枠データ抽出手段において、前記型枠データが抽出される前記雛型データは、前記可変印刷装置に前記レコード毎の印刷物を印刷させるための前記可変データに従って、予め設計された雛型データである、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の情報処理装置であって、
前記確認用レコード生成手段は、前記確認用レコードを生成する際に、該確認用レコードの少なくとも一部に、前記可変データにおけるいずれかの前記レコードを用いる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の情報処理装置は、
前記確認用画像データ生成手段が生成した前記確認用画像データの印字速度を、前記可変印刷装置の特性を示す情報に従って評価する印字速度評価手段をさらに含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
可変データのレコード毎の印刷物を印刷する可変印刷装置に適用されて、入力される前記レコードの各々に応じて印刷画像を生成する雛型データから、前記印刷画像の各構成要素となる要素画像を、前記レコードの内容に応じて変化させると共に、前記印刷画像において配置する位置を決定して該要素画像を出力する型枠を規定する型枠データを抽出する型枠データ抽出手段、
前記型枠データ抽出手段によって抽出された前記型枠データから、前記各型枠が前記要素画像を変化させるために前記レコードが備えるべき内容的条件を導出し、前記各型枠における該内容的条件に従って、前記各型枠が前記要素画像を変化させて出力することにより構成可能な前記印刷画像のうちの少なくとも一部の前記印刷画像に対応する前記レコードを、前記雛型データが生成する前記印刷画像を確認するための確認用レコードとして生成する確認用レコード生成手段、及び、
前記確認用レコード生成手段によって生成された前記確認用レコードと、該確認用レコードの入力を受け入れる前記雛型データとに従って生成される前記印刷画像を、確認用画像データとして生成する確認用画像データ生成手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−276924(P2009−276924A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126277(P2008−126277)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】