説明

情報処理装置

【課題】 機能拡張のための媒体を挿入するカードスロット実装に伴う大型化を抑制することのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 本体筐体11の正面部110と、正面部110と略垂直をなす右側面部111とを切欠いてカードスロット117を設ける。カードスロット117の短手方向の長さは、カード媒体20の短手方向の長さよりも短く、カード媒体20のカードスロット117への挿入時には、カード媒体20が右側面部111を貫通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばExpressCard/54等に準拠したカード型媒体が挿入される情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばPC(Personal Computer)等の情報処理装置は多機能化が急速に進んでおり、PCカードやオプションカード、ExpressCard/54、ExpressCard/34等を接続して機能拡張を図ることができるPCが普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、PC本体の機能を拡張するために、2つのコネクタが実装されるオプションカードが挿入される電子機器の筐体構造について記載されている。特許文献1記載の筐体構造では、オプションカードの取出口を筐体の二面に持つことで、種々のオプションカードを実装可能としている。
【0004】
尚、ExpressCardはPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)がPCカードの後継として規格を策定したものである。
【特許文献1】特開平7−175554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機能拡張のために例えばExpressCard/54等の媒体が挿入されるカードスロットを設けると、装置が大型化する問題がある。特に携帯性が重視されるノート型のPCでは装置の小型化への要求が強く、この問題は顕著となる。
【0006】
尚、特許文献1記載の情報処理装置は、オプションカードの取出口を二面に持っているが、オプションカード全体が筐体内に挿入されるようになっており、装置の小型化を図ることはできない。
【0007】
そこで本発明は、機能拡張のための媒体を挿入するカードスロット実装に伴う大型化を抑制することのできる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、機能拡張のためのカード型媒体が挿入される情報処理装置において、前記情報処理装置の側面をなす第1の側面部及び第2の側面部が接する端部付近に設けられ、前記カード型媒体が挿入されるスロットと、前記第1の側面部に対向する前記スロットの端部であって、前記カード型媒体を挿入する挿入方向の端部に設けられる、前記カード型媒体が接続されるコネクタと、前記第1の側面部及び前記第2の側面部が接する端部付近に、前記第1の側面部及び前記第2の側面部に一体として形成され、前記スロットに前記カード型媒体を挿入するための開口部とを備え、前記カード型媒体の前記コネクタへの接続時に、前記カード型媒体は前記第2の側面部を貫通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機能拡張のための媒体を挿入するカードスロット実装に伴う大型化を抑制することのできる情報処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の情報処理装置について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の実施例に係るノートPCを示す斜視図である。ノートPC10には、ExpressCard/54に準拠したカード媒体20が装着可能となっている。図1(a)はカード媒体20非装着時のノートPC10の斜視図、図1(b)はカード媒体20装着時のノートPC10の斜視図である。
【0012】
ノートPC10は、大きく分けて本体筐体11と、表示筐体12とから構成される。表示筐体12は、本体筐体11に対して回動部13で回動自在に取り付けられる。
【0013】
本体筐体12には、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等が搭載されるマザーボード(図示せず)が実装される。本体筐体12は、略直方体形状を成し、キーボード110aが搭載される上面110と、上面110に対向する下面111とを備える。更に、上面110及び下面111と略垂直を為す側面として、回動部13の回動軸と平行な正面部112と、正面部112に対向する背面部113と、正面部112及び背面部と略垂直を成す右側面部114と、右側面部114に対向し、正面部112及び背面部113に略垂直に設けられる左側面部115とを備える。尚、正面部112及び右側面部114は、正面部112及び右側面部114の一辺をなす端部116で接する。
【0014】
正面部112及び右側面部114は端部116の一部で切欠かれ、正面部112には正面切欠部112aが、右側面部114には右側面切欠部114aがそれぞれ形成される。さらに、正面切欠部112a及び右側面切欠部114aから本体筐体11内側に向けて、カード媒体20が挿入されるカードスロット117が設けられている。
【0015】
尚、カードスロット117の正面部112と対向する面には、カード媒体20が接続されるコネクタ(図1には図示せず、図2参照)が設けられている。即ち、カード媒体20は正面切欠部112aから挿入され(図1(a)矢印A方向)、コネクタに接続される。
【0016】
そして、図1(a)に示すように、右側面部114には、カード媒体20の非挿入時に右側面切欠部114aを覆うようにシャッター118が取り付けられている。シャッター118は、右側面部114の奥行方向に摺動可能であり、図1(b)に示すように、カード媒体20のカードスロット117への挿入の際に、シャッター118はカード媒体20に押されて摺動するようになっている。
【0017】
また、図1(b)に示すように、カードスロットの幅(即ち、正面切欠部112aの長手方向の距離)は、カード媒体20の幅よりも短い。これにより、カード媒体20装着時には、カード媒体20の一部が本体筐体11の右側面部114の外部に突出することとなる。換言すると、カード媒体20の装着時には、カード媒体20は右側面部114を貫通する。
【0018】
表示筐体12は、略直方体形状を成し、LCD(Liquid Crystal Display)120aが実装される表示筐体下面部120と、表示筐体下面部120に対向する表示筐体上面部121とを備える。更に、表示筐体下面部120及び表示筐体上面部121と略垂直を為す側面として、回動部13の回動軸に並行する表示筐体正面部122と、表示筐体正面部122に対向する表示筐体背面部123と、表示筐体正面部122及び表示筐体背面部123に略垂直に設けられる表示筐体右側面部124と、表示筐体右側面部124に対向し、表示筐体正面部122及び表示筐体背面部123に略垂直に設けられる表示筐体左側面部125とを備える。
【0019】
図2は、カード媒体20のカードスロット117への挿入について示す図である。図2(a)はカード媒体20の非装着時、図2(b)はカード媒体20の装着時を示す図である。
【0020】
カード媒体20は、ノートPC10が有するコネクタに接続されるコネクタ部202と、コネクタ部202と対向するカード媒体正面部203と、コネクタ部202及びカード媒体正面部203に其々一辺で接するカード媒体左側面部204と、カード媒体正面部203と一辺で接し、カード媒体左側面部204に対向するカード媒体第1右側面部205と、コネクタ部202と一辺で接し、カード媒体左側面部204に対向するカード媒体第2右側面部206とを備える。
【0021】
カード媒体20は、先述の通りExpressCard/54に準拠している。カード媒体20の長手方向の長さ、即ちカード媒体左側面部204の長手方向の長さ(図2(a)の距離a)は75mm、コネクタ部202の長手方向の長さ(図2(a)の距離b)は34mm、カード媒体正面部203の長手方向の長さ(図2(a)の距離c)は54、カード媒体20の厚さ、即ちコネクタ部202、カード媒体正面部203、カード媒体左側面部204、カード媒体第1右側面部205、及びカード媒体第2右側面部206の短手方向の長さ(図2(a)の垂直方向、図2には図示せず)は5mmである。
【0022】
即ち、コネクタ部202の長手方向の長さ(図2(a)の距離b)よりもカード媒体正面部203の長手方向の長さ(図2(a)の距離c)の方が長く、カード媒体第1右側面部205方向に突出した形状となっている。この部分を突出部201とする。
【0023】
尚、カード媒体20は、情報処理装置10の機能拡張のために装着されるものであり、内部にメモリやHDDを有することにより記憶媒体としての機能や、無線通信のアンテナとしての機能等をノートPC10に提供することができる。
【0024】
先述の通り、カードスロット117には、正面部112と対向するようにコネクタ119が設けられている。コネクタ119にはカード媒体20のコネクタ部202が接続される。
【0025】
更に、右側面部114を切欠く右側面切欠部114aを覆うように、シャッター118が右側面部114に取り付けられる。シャッター118はカード媒体20のカードスロット117への挿入(図2(a)の矢印A方向)の際に、突出部201がシャッター118を押し、シャッター118は右側面部111の奥行方向に摺動する(図2(a)の矢印B方向)。
【0026】
先述の通り、カードスロット117の幅、即ち正面切欠部112aの長手方向の距離は、カード媒体20の幅、即ちカード媒体正面部203の長手方向の長さ(図2(a)の距離c)よりも短いので、カード媒体20のコネクタ115への接続時には、図2(b)に示すように、カード媒体20の突出部201の一部が右側面部114よりも外部に突出することとなり、右側面部114をカード媒体20が貫通する。
【0027】
以上説明したように、本実施例によれば、カード媒体20を挿入するカードスロット117を本体筐体11の正面部112と右側面部114とが接する端部116に設け、カード媒体20のコネクタ119への装着時に、カード媒体20の一部が右側面部114の外部に突出するようにしている。これにより、カード媒体20全体が本体筐体11の中に収まるようにする場合と比べてカードスロット117の大きさを小さく抑えることができ、結果、カードスロット117実装に伴う大型化を抑制することができる。
【0028】
また、カードスロット117を、本体筐体11の正面部112の中央に設ける場合と比して、本体筐体11内部に実装されるマザーボードを効率よく配置することができるようになる。
【0029】
カード媒体20の一部が本体筐体11外部に突出するので、例えばこの突出する部分にアンテナが埋め込まれているカード媒体20の場合には、無線の受信感度の向上を図ることができる。
【0030】
カード媒体20の一部が本体筐体110の外部に突出することで、ユーザは当該突出部201を持ってカード媒体20をノートPC10から取り外せばよく、カード媒体20全体が筐体内に収まる場合に必要となる、カード媒体20を取り外すための機構を無くすことも可能となる。更に、カード媒体20の突出する部分を例えば人差し指で押し出すことによりカード媒体20を取り出すことができるので、カード媒体20を引っ張り出す場合よりも取り出しやすい。
【0031】
本実施例では、右側面部114の切欠を覆うシャッター118を設ける。これにより、例えば埃等の異物がカードスロット117内に入ることを抑制することができる。
【0032】
尚本実施例では、ExpressCard/54に準拠したカード媒体20を例に説明したが、これに限られるものではなく、コネクタの幅よりも広い幅を持つ媒体が挿入される情報処理装置であれば良い。
【0033】
また、本実施例ではカードスロット117は正面部112及び右側面部114を切欠いて設けられたが、他の側面を切欠いてカードスロット117が設けても良く、例えば図3のように正面部112と、左側面部115とを切欠いてカードスロット117を設けてもよい。
【0034】
さらに、カードスロット117は表示筐体部12に設けてもよく、図4に示すように、表示筐体正面部122と、表示筐体右側面部124とを切欠いて設けたり、図5に示すように、表示筐体正面部122と、表示筐体左側面部125とを切欠いて設けたりしても良い。
【0035】
これらの場合であっても、カード媒体20全体が表示筐体12の中に収まるようにする場合と比べてカードスロット117の大きさを小さく抑えることができ、結果、カードスロット117実装に伴う大型化を抑制することができる。
【0036】
また、カード媒体20の一部が筐体外部に突出するので、例えばこの突出部分にアンテナが埋め込まれているカード媒体20の場合には、無線の受信感度の向上を図ることができる。特に、ノートPC10使用時には、表示筐体12が本体筐体11より開放されるので、表示筐体12にカードスロット117を設けることにより放射特性の良好な位置に配されることとなる。
【0037】
さらに、図4に示すように、カード媒体20の装着時に、カード媒体20が表示筐体右側面部124のみならず、表示筐体正面部122も貫通するようにカードスロット117を設ける、即ち2つの側面部をカード媒体20が貫通するように設ければ、表示筐体右側面部124の外部に突出する部分に垂直偏波のアンテナを、表示筐体正面部122の外部に突出する部分に水平偏波のアンテナを設けることにより、受信感度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1に係るノートPCの斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係るノートPCのカードスロットへのカード媒体の挿入について示す図。
【図3】本発明の変形例に係るノートPCの斜視図。
【図4】本発明の変形例に係るノートPCの斜視図。
【図5】本発明の変形例に係るノートPCの斜視図。
【符号の説明】
【0039】
10・・・ノートPC
11・・・本体筐体
12・・・表示筐体
13・・・回動部
20・・・カード媒体
110・・・上面部
110a・・・キーボード
111・・・下面部
112・・・正面部
113・・・背面部
114・・・右側面部
115・・・左側面部
116・・・端部
117・・・カードスロット
118・・・シャッター
119・・・コネクタ
120・・・表示筐体下面部
120a・・・LCD
121・・・表示筐体上面部
122・・・表示筐体正面部
123・・・表示筐体背面部
124・・・表示筐体右側面部
125・・・表示筐体左側面部
201・・・突出部
202・・・コネクタ部
203・・・カード媒体正面部
204・・・カード媒体左側面部
205・・・カード媒体第1右側面部
206・・・カード媒体第2右側面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能拡張のためのカード型媒体が挿入される情報処理装置において、
前記情報処理装置の側面をなす第1の側面部及び第2の側面部が接する端部付近に設けられ、前記カード型媒体が挿入されるスロットと、
前記第1の側面部に対向する前記スロットの端部であって、前記カード型媒体を挿入する挿入方向の端部に設けられる、前記カード型媒体が接続されるコネクタと、
前記第1の側面部及び前記第2の側面部が接する端部付近に、前記第1の側面部及び前記第2の側面部に一体として形成され、前記スロットに前記カード型媒体を挿入するための開口部と
を備え、
前記カード型媒体の前記コネクタへの接続時に、前記カード型媒体は前記第2の側面部を貫通すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記カード型媒体の非挿入時に、前記第2の側面部の切欠を閉塞する閉塞部
をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記閉塞部は、前記第2の側面部に、前記カード型媒体の挿入方向に摺動可能に設けられること
を特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コネクタは、ExpressCard/54に準拠した前記カード型媒体が接続されること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の情報処理装置において、
本体筐体と、
前記本体筐体に対し、回動部で回動可能に取り付けられた表示筐体部と
をさらに備え、
前記第1の側面部及び前記第2の側面部は、其々前記表示筐体部の側面を成し、
前記第1の側面部又は前記第2の側面部は、前記回動部の回動軸と対向する前記表示筐体部の側面を成すこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記カード型媒体の前記コネクタへの接続時に、前記カード型媒体は前記第1の側面部を貫通すること
を特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の情報処理装置において、
本体筐体と、
前記本体筐体に対し、回動部で回動可能に取り付けられた表示筐体部と
をさらに備え、
前記第1の側面部及び前記第2の側面部は、其々前記本体筐体部の側面を成し、
前記第1の側面部又は前記第2の側面部は、前記回動部の回動軸と対向する前記本体筐体部の側面を成すこと
を特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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