説明

情報処理装置

【課題】 他の電子機器と接続することで給電および受電が可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 制御回路195は、検出回路194によって検出されたコンピュータ1の電源状態に応じて、スイッチ196に対して、切替制御信号を送信することで、バッテリ充電回路192への電力供給を行なうか否かを切り替える。コンピュータ1がシャットダウン中や省電力状態である時に、コンピュータ1に接続されたホストPC30から電源路182を通じてバッテリ充電回路192に対して電力供給が行なわれる。コンピュータ1にUSBデバイス9が接続されている場合は、USBデバイス9とのデータの通信及びUSBデバイス9への電力供給を行ない、コンピュータ1にホストPC30が接続されている場合は、ホストPC30から電力供給を受けてコンピュータ1の充電を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に関し、特に電子機器と接続することでバッテリ充電可能な情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型のコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)など外出先に携帯して使用することを想定した情報処理装置は、いわゆるデスクトップ型の装置と比較して携帯が容易となるように小型化、軽量化されていることが多い。装置が小型化されると、本体サイズにあわせてバッテリサイズも小さくなることから、バッテリ容量を大きくするのが難しく、外出先でバッテリ残量不足になるケースが増えることが予想される。
【0003】
特許文献1には、USBホストコントローラがUSBポートに接続されたディジタルカメラなどの外部接続装置に対して電源供給を行なう機能を有する情報処理装置が開示されている。サブ電源スイッチに対する切り替え操作があると、電源コントローラは、USBホストコントローラに対して、電源供給を行なうと共に、USBホストコントローラに対して外部インタフェースを介した電源供給だけをイネーブルにする通知を行なう。USBホストコントローラは、電源コントローラからの通知に応じて、電源供給の機能だけをイネーブルにして、装置本体の起動を行わずに外部接続装置に対して電源供給を行なう。
【0004】
従って情報処理装置から周辺装置に対して電源供給を行なおうとする際に、オペレーティングシステムの起動に伴う電力を消費することなく、またオペレーティングシステムの起動を待つ必要なく、外部接続装置に対して電源供給を可能としている。
【特許文献1】特開2001−242965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された技術では、情報処理装置からディジタルカメラ等の外部接続装置に対して給電を行なうことは可能であるが、逆にディジタルカメラ等の外部接続装置から情報処理装置に対して給電する方法については何ら開示されていない。また、情報処理装置そのもののバッテリ残量が少なくなった場合、ユーザが必ずしも充電用のACアダプタを持ち歩いているとは限らず、そのような場合に情報処理装置の充電を行いたいという要請に応えることはできない。
【0006】
そこで本発明の目的は、他の電子機器と接続することで給電および受電が可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る情報処理装置は、電子機器を接続するためのコネクタが設けられた情報処理装置であって、前記コネクタを介して接続された前記電子機器とデータ信号を通信可能な通信路と、前記コネクタを介して接続された前記電子機器への給電および前記電子機器からの受電が可能な電源路と、前記情報処理装置の電源状態を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される電源状態に応じて、前記電源路を流れる電流の向きを、前記情報処理装置から前記電子機器へ給電を行なうように電流が流れる向きと、前記情報処理装置が前記電子機器から受電を行うように電流が流れる向きと、のいずれかに切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の電子機器と接続することで給電および受電が可能な情報処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では情報処理装置としてノート型のコンピュータを例に説明する。図1は本発明の実施形態に係るコンピュータを示す外観斜視図である。コンピュータ1の本体2にはディスプレイユニット3がヒンジ部4を介して回動可能に取り付けられている。ディスプレイユニット3は本体2の上面2aが開放される開き位置と、本体2の上面2aが覆われる閉じ位置とで回動可能である。ディスプレイユニット3内にはLCD(Liquid Crystal Display)5から構成される表示装置が組み込まれる。
【0010】
本体2内には複数の電子部品を搭載した図示しない回路基板が収容されている。本体2の上面2aには、ユーザによる入力操作を行うためのタッチパッド6およびキーボード7が取り付けられる。本体2内には複数の電子部品を搭載した後述する回路基板が収容されている。また、本体2の上面2aにはコンピュータ1の電源をオン/オフするための電源スイッチ8も設けられる。また本体2の側面2bには、USBデバイスを接続するためのUSBコネクタ9が設けられる。USBコネクタ9にはUSBデバイス以外に、USBクロスケーブルにより他のコンピュータも接続される。本実施形態では、コンピュータ1に接続されるUSBデバイスや他のコンピュータを総称して電子機器と言う。図1には二つのUSBコネクタ9を本体2の側面2bに設けた例を示しているが、USBコネクタ9は二つに限らず任意の数を設けることができ、側面2bに限らず例えば本体2の背面2cに設けても良い。
【0011】
図2は本発明の実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。コンピュータ1には、CPU10、ノースブリッジ11、主メモリ(RAM)12、グラフィックスコントローラ13、VRAM14、サウスブリッジ15、USBホストコントローラ151、ハードディスクドライブ(HDD)16、BIOS−ROM17、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)20、およびLCD5、タッチパッド6、キーボード7、電源スイッチ8、USBコネクタ9等が設けられている。
【0012】
CPU10は、コンピュータ1の各コンポーネントの動作を制御するプロセッサである。このCPU10は、HDD16から主メモリ(RAM)12にロードされるオペレーティングシステムおよび各種アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムを実行する。主メモリ(RAM)12は、各種データバッファの格納にも用いられる。また、CPU10は、BIOS−ROM17に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。BIOSにはBIOSドライバ群が含まれ、各BIOSドライバは、ハードウェア制御のための複数の機能をオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに提供するために、それらの機能に対応する複数のファンクション実行ルーチン群を含んでいる。
【0013】
ノースブリッジ11は、CPU10のローカルバスとサウスブリッジ15との間を接続するブリッジデバイスである。また、ノースブリッジ11は、PCI Expressバスなどを介してグラフィックスコントローラ13との通信を実行する機能も有している。さらに、ノースブリッジ11には、主メモリ(RAM)12を制御するメモリコントローラも内蔵されている。
【0014】
グラフィクスコントローラ13は本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD5を制御する表示コントローラである。このグラフィクスコントローラ13は、OSまたはアプリケーションプログラムによってビデオメモリ(VRAM)14に書き込まれた表示データに対応する映像信号をLCD5に送出する。
【0015】
サウスブリッジ15は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスおよびLPC(Low Pin Count)バスにそれぞれ接続されている。サウスブリッジ15にはUSBホストコントローラ151が内蔵される。USBホストコントローラ151は、電源供給状態に応じた電源コントローラ21からの制御により、コンピュータ1が起動されていない状態でUSBコネクタ9を介して接続された外部機器に対してバッテリ22あるいは、ACアダプタ23のような外部電源からの電力を供給することができる。
【0016】
HDD(Hard Disc Drive)16は、OSや各種のアプリケーションプログラムおよびデータファイルを格納する。USBデバイス18は図1に示したUSBコネクタ9を介して接続される。USBデバイス18はUSBバスを介してサウスブリッジ15と接続され、USBデバイス19はサウスブリッジ15に内蔵されたUSBホストコントローラ151により制御される。
【0017】
充電制御回路19は、後に詳述するように、USBコネクタ9を介して接続されたUSBデバイス18の充電の制御や、USBコネクタ9を介して接続された他の電子機器から電源供給を受けてコンピュータ1を充電する際の制御を行う。
【0018】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)20は、電源管理のためのエンベデッドコントローラと、タッチパッド5およびキーボード6などを制御するキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC20は、I2Cバスを介して接続された電源コントローラ21と共同して、ユーザによる電源スイッチ8の操作に応答してコンピュータ1をパワーオン/パワーオフする処理を実行する。電源コントローラ21は、コンピュータ1に内蔵されたバッテリ22からの電力、またはACアダプタ23を介して外部から供給される電力を用いて、コンピュータ1内の各コンポーネントに電力を供給する。また、接続されたUSBデバイス9に対してもUSBホストコントローラ151を介して電力を供給する。
【0019】
図3および図4は本発明の実施形態に係るコンピュータの使用態様を模式的に示す図である。図3はコンピュータ1とUSBデバイス18が接続された状態を示している。USBデバイス18から伸びるケーブル18aの一端に取り付けられたプラグ18bがコンピュータ1のUSBコネクタ9に接続される。コンピュータ1のシステム起動中に、USBデバイス18が接続されている時は、コンピュータ1は給電モードとして動作する。コンピュータ1はUSBケーブル18a内の電源路182を通じて、USBデバイス18に対して電力を供給することができる。
【0020】
一方、図4はコンピュータ1と他のコンピュータが接続された状態を示している。ここでは、両者を区別するため、本実施形態中で説明しているコンピュータ1をノートPCと称し、コンピュータ1に接続される他のコンピュータをここではホストPC30と称する。コンピュータ1(ノートPC)とホストPC30とは、USBクロスケーブル40を介して接続される。USBクロスケーブル40の両端にはコンピュータ1のUSBコネクタ9に接続されるプラグ40aと、ホストPC30のUSBコネクタ39に接続されるプラグ40bとが設けられる。コンピュータ1のシャットダウン中に、ホストPC30が接続されている時は、コンピュータ1は受電モードとして動作する。コンピュータ1はUSBクロスケーブル40内の電源路42を通じて、ホストPC30からコンピュータ1に対して電力を供給することができる。コンピュータ1がシャットダウン中である状態の他に、コンピュータ1がハイバネーション、スタンバイ状態の時に受電モードとして動作し、USBクロスケーブル40を介して接続されたホストPC30から電力供給を受けるようにしても良い。
【0021】
図5は本発明の実施形態に係る充電制御回路の構成を示す図である。図5ではコンピュータ1にUSBデバイス9が接続されている例を示しているが、上述のようにホストPC30が接続されることもある。コンピュータ1と、USBコネクタ9に接続されたUSBデバイス18とは、データ通信用の通信路181を通じて双方向にデジタルデータをシリアル転送することができる。また、電源線とグランド線とを含む電源路182を通じて、コンピュータ1と接続されたUSBデバイスやホストPC30に対して電力を供給することができる。
【0022】
図2に示した充電制御回路19には、USBバス電源供給回路191、バッテリ充電回路192が設けられる。USBバス電源供給回路191はUSBコネクタ9を介してコンピュータ1に接続されたUSBデバイス18やホストPC30に対して、電源路182を通じて電力を供給する。USBバス電源供給回路191とUSBコネクタ9との間の電源路182上には、電流の逆流を防止するためのダイオード193が設けられる。
【0023】
バッテリ充電回路192はコンピュータ1が受電モードとして動作している時に、ホストPC30から電力供給を受け、バッテリ22の充電を行なう。検出回路194は、コンピュータ1のシステムが起動中であるか、シャットダウン中であるか、或いはハイバネーションやサスペンド等の省電力状態に移行しているか等、コンピュータ1の電源状態を検出する。
【0024】
制御回路195は、検出回路194によって検出されたコンピュータ1の電源状態に応じて、バッテリ充電回路192とUSBコネクタ9との間に設けられたスイッチ196に対して、切替制御信号を送信する。制御回路195がスイッチ196に対して切替制御信号を送信することで、バッテリ充電回路192への電力供給を行なうか否かを切り替える。
【0025】
本実施形態では、コンピュータ1がシャットダウン中や、ハイバネーションやサスペンド等の省電力状態である時に、コンピュータ1に接続されたホストPC30から電源路182を通じてバッテリ充電回路192に対して電力供給が行なわれる。制御回路194とスイッチ195との間には電流の逆流を防止するためのダイオード197が設けられる。
【0026】
このような構成を採用することで、コンピュータ1にUSBデバイス9が接続されている場合は、USBデバイス9とのデータの通信及びUSBデバイス9への電力供給を行ない、コンピュータ1にホストPC30が接続されている場合は、ホストPC30から電力供給を受けてコンピュータ1の充電を行なうことができる。
【0027】
本実施形態のノート型コンピュータのような携帯型電子機器を、USBケーブルを介して充電することができれば、携帯型電子機器専用のACアダプタ等を持ち運ぶことが不要となり、USBクロスケーブルを用いることで他の電子機器によって充電を行なうことができる。以上の説明のように、本実施形態では、他の電子機器と接続することで給電および受電が可能な情報処理装置を提供することができる。
【0028】
本発明ではその主旨を逸脱しない範囲であれば、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を示す外観斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係るコンピュータの使用態様を模式的に示す図。
【図4】本発明の実施形態に係るコンピュータの使用態様を模式的に示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る充電制御回路の構成を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1…コンピュータ、3…ディスプレイユニット、6…タッチパッド、7…キーボード、8…電源スイッチ、9…USBコネクタ、10…CPU、11…ノースブリッジ、12…主メモリ、13…グラフィクスコントローラ、15…サウスブリッジ、16…HDD、17…BIOS−ROM、18…USBデバイス、19…充電制御回路、20…EC/KBC、21…電源コントローラ、22…バッテリ、23…ACアダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を接続するためのコネクタが設けられた情報処理装置であって、
前記コネクタを介して接続された前記電子機器とデータ信号を通信可能な通信路と、
前記コネクタを介して接続された前記電子機器への給電および前記電子機器からの受電が可能な電源路と、
前記情報処理装置の電源状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される電源状態に応じて、前記電源路を流れる電流の向きを、前記情報処理装置から前記電子機器へ給電を行なうように電流が流れる向きと、前記情報処理装置が前記電子機器から受電を行うように電流が流れる向きと、のいずれかに切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、接続された電子機器へ給電を行なう給電モードと、接続された電子機器から受電を行なう受電モードとを有し、前記情報処理装置のシステム起動中は給電モードで動作し、前記情報処理装置のシャットダウン中は受電モードで動作することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
電子機器を接続するためのコネクタが設けられた情報処理装置であって、
前記コネクタを介して接続された前記電子機器とデータ信号を通信可能な通信路と、
前記コネクタを介して接続された前記電子機器への給電および前記電子機器からの受電が可能な電源路と、
前記情報処理装置の電源状態を検出する検出回路と、
前記検出回路により検出される電源状態に応じて、前記電源路を流れる電流の向きを、前記情報処理装置から前記電子機器へ給電を行なうように電流が流れる向きと、前記情報処理装置が前記電子機器から受電を行うように電流が流れる向きと、のいずれかに切り替えるスイッチと、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記電子機器から受電を行い、前記情報処理装置に内蔵されるバッテリの充電を行うバッテリ充電回路を備えることを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−151488(P2009−151488A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327931(P2007−327931)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】