説明

情報処理装置

【課題】ディスプレイパネルを開閉した際に電源オフ状態から電源復帰させるのに電源オフ状態時に電源コントローラへの電源供給を不要とした情報処理装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、電力の供給を制御する電源コントローラと、電源コントローラに電力を供給する回路を備え、回路は、ディスプレイパネル開閉検知スイッチからのディスプレイパネルが開かれた旨の出力信号に基づいて電源コントローラに電力を供給し、電力を供給された電源コントローラは、上記出力信号に基づいて自装置を電源オフ状態から電源オン状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式ディスプレイパネルをもつノート型パーソナル・コンピュータ等において、ディスプレイパネルの開閉操作に連携して電源を自動的にオン/オフする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉式ディスプレイパネルをもつノート型パーソナル・コンピュータ等は、スタンバイ状態としてのS5(電源オフ状態)の電源をディスプレイパネルの開閉操作に連携して自動的にオンするように設定することで、ユーザによりディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とする操作がされた場合にS5(電源オフ状態)から電源復帰することができる。
【0003】
以下、図面を参照して、従来のノート型パーソナル・コンピュータ等において、ディスプレイパネルの開閉操作に連携して電源を自動的にオン/オフする処理を説明する。
ノート型パーソナル・コンピュータは装置本体に所定の回動範囲をもって開閉自在に支持されたディスプレイパネルの開閉状態を検知するディスプレイパネル開閉検知スイッチを備え、ここではディスプレイパネルを開いたときハイ(H)レベル("1"レベル)、閉じたときロウ(L)レベル("0"レベル)となるパネル開閉検知信号(LID SIGNAL)を出力する。なお、以下では、ディスプレイパネルの開閉状態をLID(0/1=close/open)として説明する場合がある。
【0004】
電源コントローラ(EC)は装置本体内の各電源を集中管理し制御する。装置本体に実装されるメインバッテリ又はACアダプタの出力電源を一次電源として装置本体内の各コンポーネントの動作用二次電源を得る電源回路を主な制御対象とするが、ここでは上記のディスプレイパネルの開閉を判定し開閉操作に伴う連携処理も行う。
【0005】
以下では、ノート型パーソナル・コンピュータがS5(電源オフ状態)で、メインバッテリのみが接続されている場合を前提として説明する。
【0006】
まず、従来の電源コントローラ(EC)の状態が電源オン、かつ、電源スイッチと装置本体のCPUチップセットとの接続が電源コントローラ(EC)経由である場合について説明する。
図5を参照すると、電源スイッチ(POWSW)およびディスプレイパネル開閉検知スイッチ(図中ではLIDと表示)は共に電源コントローラ(EC)のみに信号を出力する。そして電源コントローラ(EC)がCPUチップセット(Chipset)にそれぞれの信号を送信する。
なお、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作されていないときハイ(H)レベル("1"レベル)、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作されたときロウ(L)レベル("0"レベル)となる検知信号を出力する。
ノート型パーソナル・コンピュータがS5(電源オフ状態)で、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作された場合、および、ユーザによりディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とする操作がされた場合にノート型パーソナル・コンピュータの電源復帰(パワーオン:POWON)処理が実行される。
【0007】
関連技術として、リジュームモードが設定可能な開閉式ディスプレイパネルをもつポータブルコンピュータにおいて、ディスプレイパネルの開閉操作に連携して電源を自動的にオン/オフする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
次に、従来の電源コントローラ(EC)の状態が電源オフ、かつ、電源スイッチ(POWSW)と装置本体のCPUチップセットとの接続が電源コントローラ(EC)経由であり、かつ、ACアダプタ接続時やメインバッテリ駆動時で電源スイッチ(POWSW)のユーザによる押下げ操作時に電源コントローラ(EC)に電源供給する電源コントローラ(EC)電源供給回路を含む場合について説明する。
図6を参照すると、電源スイッチ(POWSW)は電源コントローラ(EC)電源供給回路および電源コントローラ(EC)に信号を出力する。ディスプレイパネル開閉検知スイッチ(図中ではLIDと表示)は電源コントローラ(EC)のみに信号を出力する。そして電源コントローラ(EC)がCPUチップセット(Chipset)にそれぞれの信号を送信する。
なお、電源スイッチ(POWSW)が電源コントローラ(EC)電源供給回路に出力する信号は、ユーザにより押下げ操作されていないときハイ(H)レベル("1"レベル)、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作されたときロウ(L)レベル("0"レベル)となる検知信号について、ロウ(L)レベル("0"レベル)信号で電源コントローラ(EC)への電源供給を開始するものとなる(0/1=供給開始/−)。
【0009】
ノート型パーソナル・コンピュータがS5(電源オフ状態)で、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作された場合、電源コントローラ(EC)電源供給回路が電源コントローラ(EC)への電源供給を開始(電源オン)し、電源を供給(電源オン)された電源コントローラ(EC)は、電源スイッチ(POWSW)から電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作された検知信号を受け取り、電源復帰(パワーオン:POWON)処理が実行される。
したがって、電源コントローラ(EC)の状態が電源オフのままであると、仮にユーザによりディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とする操作がされた場合であっても、その検知信号を電源コントローラ(EC)は受け取れず、結果としてノート型パーソナル・コンピュータの電源復帰(パワーオン:POWON)処理が実行されることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−108214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図6に示すような上記の技術では、ノート型パーソナル・コンピュータのディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とした際にS5(電源オフ状態)から電源復帰(パワーオン:POWON)させるためには、S5(電源オフ状態)のときにも電源コントローラ(EC)電源供給回路等からの電源コントローラ(EC)への電源供給が必要であった。
【0012】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、ディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とした際にS5(電源オフ状態)から電源復帰させるために、S5(電源オフ状態)のときに電源コントローラ(EC)へ電源供給しておくことを不要とした情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の情報処理装置は、電力の供給を制御する電源コントローラと、該電源コントローラに電力を供給する回路を備える情報処理装置であって、
前記回路は、ディスプレイパネル開閉検知スイッチからのディスプレイパネルが開かれた旨の出力信号に基づいて前記電源コントローラに電力を供給し、
電力を供給された前記電源コントローラは、前記ディスプレイパネル開閉検知スイッチからのディスプレイパネルが開かれた旨の前記出力信号に基づいて自装置を電源オフ状態から電源オン状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、S5(電源オフ状態)のときに電源コントローラ(EC)へ電源供給しておかなくてもディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とした際にS5(電源オフ状態)から電源復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係るノート型パーソナル・コンピュータの構成を説明する図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態に係るノート型パーソナル・コンピュータの構成を説明する図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係るパワーオン(POWON)判定回路について説明する図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態に係るパワーオン(POWON)判定回路の信号の変化について説明する図である。
【図5】従来のノート型パーソナル・コンピュータの構成を説明する図である。
【図6】従来のノート型パーソナル・コンピュータの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本実施の形態における情報処理装置としてのノート型パーソナル・コンピュータの基本的な構成は、上述した図5ないしは図6に示すノート型パーソナル・コンピュータと同様であるので重複する説明は省略する。
【0018】
図1を参照すると、本実施の形態のノート型パーソナル・コンピュータは、図6に示すものとは立ち上がり検出回路が設けられている点で異なる。
なお、図1では、図6と同様に、電源コントローラ(EC)の状態が電源オフ、かつ、電源スイッチ(POWSW)と装置本体のCPUチップセット(Chipset)との接続が電源コントローラ(EC)経由であり、かつ、電源コントローラ(EC)に電源供給する電源コントローラ(EC)電源供給回路を含む場合について説明する。
【0019】
電源スイッチ(POWSW)は電源コントローラ(EC)電源供給回路および電源コントローラ(EC)に信号を出力する。また、ディスプレイパネル開閉検知スイッチ(図中ではLIDと表示)は立ち上がり検出回路および電源コントローラ(EC)に信号を出力する。そして電源コントローラ(EC)がCPUチップセット(Chipset)にそれぞれの信号を送信する。
なお、ディスプレイパネル開閉検知スイッチ(図中ではLIDと表示)が立ち上がり検出回路に出力する信号は、ディスプレイパネルを開いたときハイ(H)レベル("1"レベル)、閉じたときロウ(L)レベル("0"レベル)となるパネル開閉検知信号(LID SIGNAL)である。立ち上がり検出回路は、この信号の0/1の切り替わりを検出して立ち上がり信号を出力し(1/0=立ち上がり/−)、立ち上がり信号についての1/0を反転し、ロウ(L)レベル("0"レベル)信号で電源コントローラ(EC)への電源供給を開始するものとなる(0/1=供給開始/−)。
【0020】
したがって、ノート型パーソナル・コンピュータがS5(電源オフ状態)で、ユーザによりディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とする操作がされた場合、立ち上がり検出回路からの信号に基づき電源コントローラ(EC)電源供給回路が電源コントローラ(EC)への電源供給を開始(電源オン)し、電源を供給(電源オン)された電源コントローラ(EC)は、ディスプレイパネル開閉検知スイッチからユーザによりディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とする操作がされた検知信号を受け取り、電源復帰(パワーオン:POWON)処理が実行される。
【0021】
なお、図6と同様に、ノート型パーソナル・コンピュータがS5(電源オフ状態)で、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作された場合にも、電源コントローラ(EC)電源供給回路が電源コントローラ(EC)への電源供給を開始(電源オン)し、電源を供給(電源オン)された電源コントローラ(EC)は、電源スイッチ(POWSW)から電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作された検知信号を受け取り、電源復帰(パワーオン:POWON)処理が実行される。
【0022】
以下、本発明の第二の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態における情報処理装置としてのノート型パーソナル・コンピュータの基本的な構成は、上述した第一の実施の形態に示すノート型パーソナル・コンピュータと同様であるので重複する説明は省略する。
【0024】
図2を参照すると、本実施の形態のノート型パーソナル・コンピュータは、図1に示す上述した第一の実施の形態に示すものとはパワーオン(POWON)判定回路が設けられている点で異なる。パワーオン(POWON)判定回路は上述の立ち上がり検出回路の機能を併せ持つことでよい。
なお、図2では、電源コントローラ(EC)の状態が電源オフ、かつ、電源スイッチ(POWSW)と装置本体のCPUチップセット(Chipset)との接続が電源コントローラ(EC)経由であり、かつ、電源コントローラ(EC)に電源供給する電源コントローラ(EC)電源供給回路を含み、さらに電源復帰(パワーオン:POWON)処理を命じるパワーオン(POWON)信号を装置本体のCPUチップセット(Chipset)に直接出力することも可能な場合について説明する。
【0025】
電源スイッチ(POWSW)はパワーオン(POWON)判定回路および電源コントローラ(EC)に信号を出力する。また、ディスプレイパネル開閉検知スイッチ(図中ではLIDと表示)はパワーオン(POWON)判定回路および電源コントローラ(EC)に信号を出力する。そして電源コントローラ(EC)がCPUチップセット(Chipset)にそれぞれの信号を送信する。
【0026】
図3はパワーオン(POWON)判定回路について説明する図である。図4はパワーオン(POWON)判定回路の信号の変化について説明する図である。
CPUチップセット(Chipset)がパワーオン(POWON)判定回路に出力する信号は、S5(電源オフ状態)でないときハイ(H)レベル("1"レベル)、S5(電源オフ状態)であるときロウ(L)レベル("0"レベル)となる信号である。
ディスプレイパネル開閉検知スイッチ(図中ではLIDと表示)がパワーオン(POWON)判定回路に出力する信号は、ディスプレイパネルを開いたときハイ(H)レベル("1"レベル)、閉じたときロウ(L)レベル("0"レベル)となるパネル開閉検知信号(LID SIGNAL)である。パワーオン(POWON)判定回路は、この信号の0/1の切り替わりを検出して立ち上がり波形検出信号とする(1/0=LIDclose→open/−)。
パワーオン(POWON)判定回路は、さらにS5(電源オフ状態)であり、かつ、ユーザによりディスプレイパネルを閉じた状態から開いた状態とする操作がされた(LIDclose→open)場合、ロウ(L)レベル("0"レベル)とし、そうでない場合、ハイ(H)レベル("1"レベル)とする。
パワーオン(POWON)判定回路は、ロウ(L)レベル("0"レベル)信号で電源復帰(パワーオン:POWON)処理を命じるパワーオン(POWON)信号を装置本体のCPUチップセット(Chipset)に直接出力する(0/1=S0⇔S3、S4、S5/−)。これによりS5(電源オフ状態)やS3(スリープ状態)、S4(休止状態)からS0(パワーオン状態)となる。
【0027】
また、電源スイッチ(POWSW)がパワーオン(POWON)判定回路に出力する信号は、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作されたときでないときハイ(H)レベル("1"レベル)、電源スイッチ(POWSW)がユーザにより押下げ操作されたときロウ(L)レベル("0"レベル)となる信号である。
パワーオン(POWON)判定回路は、ロウ(L)レベル("0"レベル)信号で電源復帰(パワーオン:POWON)処理を命じるパワーオン(POWON)信号を装置本体のCPUチップセット(Chipset)に直接出力する(0/1=S0⇔S3、S4、S5/−)。これによりS5(電源オフ状態)やS3(スリープ状態)、S4(休止状態)からS0(パワーオン状態)となる。
【0028】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、ノート型パーソナル・コンピュータの機能を実現するためのプログラムを装置に読込ませて実行することにより装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を制御する電源コントローラと、該電源コントローラに電力を供給する回路を備える情報処理装置であって、
前記回路は、ディスプレイパネル開閉検知スイッチからのディスプレイパネルが開かれた旨の出力信号に基づいて前記電源コントローラに電力を供給し、
電力を供給された前記電源コントローラは、前記ディスプレイパネル開閉検知スイッチからのディスプレイパネルが開かれた旨の前記出力信号に基づいて自装置を電源オフ状態から電源オン状態とすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記回路は、電源スイッチが押下げ操作された旨の出力信号に基づいて前記電源コントローラに電力を供給し、
電力を供給された前記電源コントローラは、前記電源スイッチが押下げ操作された旨の前記出力信号に基づいて自装置を電源オフ状態から電源オン状態とすることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ディスプレイパネル開閉検知スイッチからのディスプレイパネルが開かれた旨の前記出力信号および自装置本体のCPUチップセットからの自装置が電源オフ状態である旨の信号に基づいて、自装置を電源オフ状態から電源オン状態とする処理を命じる信号を自装置本体のCPUチップセットに直接出力する回路を備えることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215943(P2011−215943A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84185(P2010−84185)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】