説明

情報処理装置

【課題】 情報処理装置に対してユーザが直感的で分かり易く操作やコマンド入力を行うことができるユーザ・インターフェース環境の提案。
【解決手段】 ペンに公開モード/非公開モードの切り替えスイッチを設け、同一文書に対して、公開版(公開アノテーションのみ閲覧可能)と非公開版(公開アノテーションと非公開アノテーション併せて閲覧可能)を作成。(切り替えスイッチでなく、個別のペンにしてもよい)
「キャプチャ/ボタン」操作時のペンID情報とアノテーション時のペンID情報との関係に基づき、アノテーションのキャプチャする画像情報への保存属性を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、及び情報処理装置間の情報のやり取りを制御する情報入出力システム及びその制御方法に関し、特に、情報処理装置に対してユーザが直感的で分かり易く操作やコマンド入力を行うことができるユーザ・インターフェース環境の提案に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、会議システムも、旧来のホワイトボード、OHP主体のものから、大型ディスプレイに電子情報を表示し、参加者が個々に持ち寄った電子情報を効率的に共有し、更には、ネットワーク情報を表示する電子会議システムが急速に発達しつつある。更に、上記大型ディスプレイに表示された情報に対し、操作者が更に、ペン、或いは、タッチパネル等の指示手段によりメモや注釈(以下アノテーションと示す)を付加し、参加者に注目箇所を明示し、更には、会議での検討事項を表示情報に対し、付加的に追加して、議事録として残す、といった使われ方が想定され、それに関連する技術が広く用いられている。
【0003】
更に、上記大型ディスプレイを中心とした会議システムには、多数の参加者が想定され、それぞれ上記アノテーションを付与した場合、それぞれの参加者の属性によりそのアノテーションのもつ意味も異なってくる。また、アノテーションが付加され記憶された加工情報を記録として残しておき、後に加工情報を参照する場合にも、目的により特定の参加者が参加した加工情報のみが必要であったり、また、セキュリティーの面で、特定の者のみが上記加工情報を閲覧できるといった公開を一定レベルで制限する公開属性(アクセス権)を上記加工情報に付加する必要性も生じており、これに関する技術も種々提案されている。
【0004】
例えば、[特許文献1]に於いて、画像ファイルにアノテーションを含む付加情報そしてアノテーションの日付、書き込み位置、色等の属性を付加し、検索する手法が記載されている。更に、[特許文献2]に於いて、文書にアノテーションし、そのアノテーションの属性を設定し、その属性には、公開属性である階層属性を含み、アノテーション属性で文書を検索する技術が提案されている。
また、[特許文献3]に於いて、上記アノテーション自体の属性設定、管理に関しての技術が提案されている。更に、[特許文献4]に於いて、固有のデバイスIDを電子データとして有する操作手段による入力結果をその入力操作手段に固有のデバイスIDと関連付けて記録する入力情報記憶手段を備えるコンピュータシステムに関しての技術が提案されている。
【0005】
一方、昨今のコンピュータシステムにおいて、表示装置に表示した表示情報をそのまま画像情報として取り込み記憶するいわゆる画像キャプチャ技術を上記会議システムに用い、会議に用いる資料を予め必要なだけ取り込んでおき、プレゼン時にその取り込んだ資料に対して上記アノテーションを行いながら説明、議論をしてゆくという機会も増えている。その際の画像取り込みに関しては、[特許文献5]において、画面上に表示されたボックスのアイコンを押下すことで、画像データにアイコンのスタンプIDを記憶し、画像データの分類及び整理において文字入力すること無く簡単に検索を行う技術、及び、[特許文献6]において、単一の機密画像データに対して複数のパスワードを設け(記憶し)、パスワードに応じて、オリジナル画像データ、「取り扱い注意」文字付データ等を選択的に印字出力出る、といった、取り込み情報に対して付加情報を付与する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−228874号公報
【特許文献2】特開平11−120191号公報
【特許文献3】特開2004−199406号公報
【特許文献4】特開2003−345505号公報
【特許文献5】特許第03434729号明細書
【特許文献6】特許第03487136号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の様に、アノテーションを含む文書に関しては[特許文献1]、[特許文献2]に於いて、及び、アノテーション自体に関しては[特許文献3]に於いて、公開属性を設定する技術は公知技術であるが、従来の技術に於いては、公開属性を設定する際に、ユーザーがその都度階層属性を設定する作業が生じ、或いは、ログイン時のユーザーIDとパスワードの入力手続きによる認証と各入力データごとに公開属性設定手続きが必要であり、手続きの面で煩雑さが生じ、直感的な操作性を妨げる面があった。また、公開属性を設定する場合に、上記アノテーションを含む文書に設定する場合と、アノテーション自体に設定する場合と、では、目的効果、及び、必要とされる技術が異なる。
【0008】
また、前記[特許文献4]に於いては、個人ユニークユーザーログイン後のペンIDと入力データを関連付けて記録すれば、次回同一ペンでログイン時に関連付けられたデータを呼び出せるというもので、ペンのIDによるアノテーション対象情報に対するアクセス権(公開属性)設定に関する技術ではないので、複数のユーザーが、その目的及び必要に応じて、その対象アノテーション情報のみならず、他のアノテーション、及び、アノテート対象情報も含めて、会議記録を参照しようとする場合には対応できない。
【0009】
つまり、以上の従来技術では、複数のユーザーが参加する会議で用いられる会議システムにおける様々な資料に対して、そのユーザーに対応した複数ペン或いは複数IDによる複数のアノテーションが付加された場合、共有ファイルとしての公開属性設定に関して操作上の課題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記課題に基づき、電子ホワイトボード機能及び表示情報に対して電子ペン等により付加情報を付与する機能を有する電子会議システムに於いて、会議に使用する資料、及び、使用した結果の資料に対する公開属性、つまり、セキュリティ情報を自然で簡便な方法で設定することにより、会議システムを複数人数で使用する場合の煩雑な設定操作によるストレスが軽減され、操作性が向上する、直感的なユーザ・インターフェース環境を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に於いては、画像表示装置と、該画像表示装置の画面に画像情報或いは文書情報或いは描画情報の表示情報を表示する表示手段と、該画像表示装置の画面上の該表示情報に対し指示を行う座標入力手段と、
該座標入力手段に備えられた固有の識別情報保持手段と、
指示を行った際の上記座標入力手段の識別情報に基づいた保存条件を上記画像表示装置に表示された表示情報に付与することを特徴とする。
【0012】
更には、本発明に於いては、上記表示装置に表示された表示情報に対しアノテーション情報を上記座標入力手段による指示に基づき入力し表示するアノテーション情報表示手段を有し、上記アノテーションを入力した座標入力手段の識別情報に基づき、該アノテーション情報が含まれる上記画像表示装置に表示された表示情報の保存条件として公開属性を付与する公開属性制御手段を有することを特徴とする。
【0013】
更に、本発明に於いては、該画像表示装置に対し入力可能な、複数の識別情報を有する該座標入力手段を有し、上記表示装置に表示された表示情報に対し指示を行い、アノテーション情報を入力した座標入力手段の複数の識別情報を識別する複数識別情報識別手段、及び、複数識別情報識別手段の識別結果を基に上記表示装置に表示された表示情報の保存条件として公開属性を付与する公開属性制御手段を有することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明に於いては、上記表示情報の画像データ或いは文書データを取り込み記憶する手段を有し、該画像データ或いは文書データを取り込む際に指示を行った上記座標入力手段の識別情報と該表示情報に対しアノテーション情報を入力する上記座標入力手段の識別情報を比較する比較手段を有し、該比較結果に基づいて、上記表示情報とアノテーション情報の保存条件を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子ホワイトボード機能及び表示情報に対して電子ペン等により付加情報を付与する機能を有する電子会議システムに於いて、電子ペンに備えられた識別情報に基づいて、会議に使用する資料、及び、使用した結果の資料に対する公開属性、つまり、セキュリティ情報を自然で簡便な方法で設定することができ、会議システムを複数人数で使用する場合の煩雑な設定操作によるストレスが軽減され、操作性が向上する、直感的なユーザ・インターフェース環境を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】発明を実施するための最良の形態に係る基本的な全体概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る表示情報及び記憶される加工済表示情報を示す説明図
【図3】本発明の第1の実施例に係る専用ペンに係わる構成図
【図4】本発明の第1の実施例に係るフローチャートを示す図
【図5】本発明の第2の実施例に係る表示情報及び記憶される加工済表示情報を示す説明図
【図6】本発明の第2の実施例に係るフローチャートを示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1に基づき説明する。図中1は表示情報であり、表示するための画像情報或いは文書情報或いは描画情報である。この表示情報1を単に表示するのみの場合には、2で示される表示情報・公開属性制御部を通じて、3の表示制御部により、大型の表示装置、例えばリア・プロジェクション・ディスプレイ、フロント・プロジェクション・ディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等の4の表示部により表示される。また、この表示部4の表示領域に重なるようにして5の座標入力装置が配置されており、この座標入力装置5の専用ペン6により、上記表示部4の画面の所望の箇所を指示し、座標入力することにより、この入力された座標情報が7の付加情報(アノテーション)処理部に送られ、ここで前記表示情報・公開属性制御部2からの表示情報に重畳したアノテーション情報として処理され、前記表示制御部3を通して、前記表示部4でアノテーションが付加された状態で表示される。
【0018】
更に、本発明に於いては、前記専用ペン6は、更に内蔵する識別情報により複数種類存在し、その内部に識別情報記憶部6−1−1が設けられている場合には、専用ペン6−1として、その固有の識別情報が記憶されており、上記表示部4の画面の所望の箇所を指示し、座標入力した際に、同時にこの専用ペン6−1固有の識別情報が発せられ、前記座標入力装置5により検出された識別情報は、ペン識別情報検出部8に送られ、その識別情報に対応付けられた属性を識別して、例えば、その識別情報が上記アノテーションの線の線種、色等の情報の場合には、前記7の付加情報(アノテーション)処理部に送られ、前記表示制御部3を通して、前記表示部4でその属性に応じたアノテーションが付加された状態で表示される。更に、前記ペン識別情報検出部8において、公開属性に関する識別情報が検出された場合には、この情報は前記表示情報・公開属性制御2に送られる。前記表示情報・公開属性制御部2に於いては、識別情報記憶部6−1の識別情報、特に、公開属性に関する識別情報を識別し、その識別情報に対応した専用ペン6−1で入力されたアノテーションを対応付ける。更に、その識別情報の内容を判断して、その内容に対応した公開属性を前記アノテーションが付加された表示情報1のファイルに対応させて、表示情報記憶部9に記憶する。更に、その後、表示要求処理をした場合には、その処理内容に基づいて、前記表示情報・公開属性制御2は、表示要求者の公開属性を識別し、その属性に応じて表示情報記憶部9からその公開属性に適合した表示情報1を、前記表示制御部3を通して、前記表示部4で表示する。
【0019】
尚、上記専用ペンはそれぞれ個別の独立した識別情報を有するものが複数用意されており、識別情報記憶部6−2−1を内蔵する専用ペン6−2の場合には、識別情報記憶部6−1−1と独立に設定された識別情報を保持しており、ペン識別情報検出部8、及び、表示情報・公開属性制御部2において、専用ペン6−1とは独立の専用ペン6−2の識別情報として認識され処理される。従って、前記表示情報・公開属性制御2に於いては、同一の表示情報1のファイルに対して、専用ペン6−1と専用ペン6−2の2つの識別情報に対応した前記アノテーションを識別した場合には、その2つの識別情報で指定された公開属性に対して判断を行い、表示情報1のファイルとしての公開属性を決定し、表示情報記憶部9に記憶(保存)する。
【0020】
[第1の実施例]
本発明の第1の実施例に係わり、図2〜図4を用いて説明を行う。図2は、本発明の情報処理装置で扱う表示情報、及び、実際に使用した時の加工された表示情報及び記憶される加工済表示情報を示す説明図である。まず、表示情報1である画像情報或いは文書情報は、本発明の情報処理装置の本体の電子ホワイトボード機能を有する座標入力装置5と一体となった表示部4に表示され、その後、専用ペン6により、操作者が、表示部4上の所望の箇所を指示することで座標入力装置5で座標が検出され、この座標情報を基に表示情報1に重畳して表示することにより、アンダーライン、図形、記号、手書き文字等のメモや注釈つまりアノテーション10を図のように描画することができる。
【0021】
この専用ペン6は、図3に示すように切り替えスイッチ6−1−2、6−2−2が備えられている。この切り替えスイッチにより、操作者の要求により、公開属性が「公開」のモードと「非公開」のモードに切り替えることができる。つまり、操作者が、これからアノテート(=上記アノテーションを付加すること)する内容をその後の記録として残す際に公開したいか、特定の人以外には非公開としたいか、を考えた上で選択するための切り替えスイッチである。その切り替えて選択した公開属性の公開モードの識別情報は、それぞれの専用ペン6−1及び6−2の前記識別情報記憶部6−1−1、及び6−2−1に記憶されている。尚、図2の説明では、わかりやすくするために、予め公開モードに前記切り替えスイッチ6−1−2で設定され、そのような公開属性に関する識別情報を有する専用ペン6−1と予め非公開モードに前記切り替えスイッチ6−2−2で設定され、そのような公開属性に関する識別情報を有する専用ペン6−2の2本の専用ペンで入力した状態を示しているが、これは、複数の操作者でそれぞれの公開属性をその操作者に割り当てている場合等に有用な使用例である。一方、一人の操作者で、そのアノテーションの内容により公開属性を変える場合には、それぞれ専用の公開属性の機能を割り当てた専用ペンを持ち替える手間を考えると、1本の専用ペン6−1のみで、必要に応じて上記切り替えスイッチ6−1−2を切り替えるように使用しても良い。
【0022】
以上の様に、元の表示情報1に対して、様々な公開属性を持ったアノテーション10が付加され加工された情報は、前記表示情報・公開属性制御部2により公開属性関連識別情報に関して判断を行い、個々のアノテーションに対してではなく、その加工後の表示情報全体のファイルに対して公開属性を付与し、記憶作業を行う。このフローに関しては、図4を用いて後で説明するが、結果として、図2に示すような、非公開アノテーションを含まない公開アノテーションと元の表示情報よりなる公開用保存情報と、非公開アノテーションと公開アノテーションと元の表示情報よりなる非公開用保存情報の2種類の保存形態を持った保存ファイルが作成される。
【0023】
尚、上記図3に於ける専用ペン6に関する説明では、切り替えスイッチ6−1−2、6−2−2が備えられている構成を示したが、「公開」のモードと「非公開」のモードを設定する手段は他の手段でも良く、また、切替手段が無くとも、専用ペン6が異なるごとに、予め上記前記識別情報記憶部に対し、直接異なる識別情報を製造時に書き込んでおいても良い。更には、指紋、静脈等の生体認証手段を前記専用ペン6の指保持部に備え、専用ペン6を握った使用者を認識し、予め登録した使用者に対応する公開属性情報と照合して、その公開属性識別情報を設定するシステムとしても良い。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施例を説明するためのフローチャートである。まずステップS100で前記付加情報(アノテーション)処理部7に於いて、前記座標入力装置5の座標情報により前記専用ペン6による描画状態、つまり、表示情報1或いは表示情報1が特段に存在しないいわゆるホワイトボード状態に対するアノテーション(ホワイトボードの場合には、描画情報)を検出する。次に、ステップS110でペン識別情報検出部8において、専用ペン6からの識別情報を検出する。次に、ステップS120で、前記ペン識別情報検出部8において、公開属性に関する識別情報が検出された場合には、この情報は前記表示情報・公開属性制御2に送られる。次に、ステップS130で前記表示情報・公開属性制御部2に於いて、公開属性に関する識別情報を識別し、その識別情報に対応した専用ペン6−1で入力されたアノテーションを対応付ける。そして、ステップS135で、保存操作が行われたか、つまり、一連のアノテーション操作に一定の区切りがついて、或いは、会議が終了し、保存、記憶作業に入ったかどうかを検出し、もし、保存操作が行われた場合には、次のステップに進む。保存操作が行われ無い場合には、また、ステップ100に戻って、前記アノテーションに伴う処理を繰り返す。次に、ステップS140で同じく前記表示情報・公開属性制御部2に於いて、対象となる元の表示情報1の一区切りを1単位のファイルとしてそのファイルに対し、前記公開属性に関する識別情報が、公開属性と、非公開属性の2種類あるか、公開属性か、或いは、非公開属性のどちらか1種類のみか を判断する。前記公開属性に関する識別情報が、公開属性と、非公開属性の2種類あると判断された場合には、ステップS142で、公開属性が「公開」のアノテーションのみの公開ファイルと、公開属性が「非公開」のアノテーションが含まれる非公開ファイルをそれぞれ作成し、表示情報記憶部9に記憶する。
【0025】
一方、前記公開属性に関する識別情報が、公開属性か、或いは、非公開属性のどちらか1種類のみの場合には、ステップS144で、そのアノテーションの公開属性に対応した公開属性を上記ファイルに付与し、表示情報記憶部9に記憶(保存)する。
【0026】
以上の本発明の第1の実施例によると、電子ホワイトボード機能及び表示情報に対して電子ペン等により付加情報を付与する機能を有する電子会議システムに於いて、電子ペンに備えられた識別情報に基づいて、会議に使用する資料、及び、使用した結果の資料に対する公開属性、つまり、セキュリティ情報を自然で簡便な方法で設定することができる。つまり、アノテーションごとにいちいちメニューを開いて選択する作業を行うことなく、予め使用するペンに対して公開属性を設定しておけば、操作者は、そのペンの設定をそのペンのスイッチにより変更、或いは、異なる設定のペンに持ち替えるまでは、アノテーションの入力のみに専念することができ、煩雑な設定操作によるストレスが軽減され、操作性が向上する、直感的なユーザ・インターフェース環境を提供することが可能となる。
【0027】
また、会議システムを複数人数で使用する場合には、予め、その使用者ごとに異なる公開属性に対応した識別情報を設定したペンをそれぞれが使用することにより、一度その操作者に公開属性を設定してしまえば、アノテーション入力ごとに公開属性を設定する必要がなく、アノテーションの入力のみに専念することができ、煩雑な設定操作によるストレスが軽減され、操作性が向上する、直感的なユーザ・インターフェース環境を提供することが可能となる。また、前述の通り、ペン自体に指紋或いは静脈認証等の生体認証手段を装着し、そのペンを握った操作者の認証結果と予め登録しておいた操作者ごとの公開属性レベルを照合させれば、ペンに対してさえも公開属性を設定する手間を省かれ、煩雑な設定を意識することなく、自然な感じで、操作者の属性に確実に応じたセキュリティ環境を構築することが可能となる。
【0028】
更に、本発明の大きな特徴は、単純にアノテーションごとの公開属性そのままアノテーションごと個別に記憶(保存)するのではなく、種々の公開属性が設定された複数のアノテーションが付加された元の表示情報のファイルに対して、アノテーションの公開属性の関係に基づき公開属性を設定することにある。これにより、複数の操作者が参加する、大型画面を持つ入出力一体型会議システムにおいて、公開属性の異なるアノテーション入力に対し、効果的なファイルの公開属性設定が可能になる。上記実施例においては、アノテーションの公開属性を公開と非公開の2レベルに設定したが、この様な単純二者択一レベルではなく、例えば、操作者ごとにA、B、Cの識別情報を設定しておき、対象表示情報ファイルにA、B、及び、A、C、及び、A、B、Cの組み合わせの場合には、公開属性を設定、一方、Aが含まれないB、Cのみの組み合わせの場合には非公開属性を設定するというより複雑な判断アルゴリズムを前記表示情報・公開属性制御部2で用いても良い。この様に、本発明の実施例においては、複数の操作者が係わるより多様な会議形態においても柔軟に対応することができる。
【0029】
[第2の実施例]
本発明の第2の実施例に係わり、図5〜図6を用いて説明を行う。図5は、本発明の情報処理装置で扱う表示情報の取り込みからその取り込んだ表示情報へのアノテーション付加、及び、その後の加工された情報の保存状態を示す説明図である。最初に取り込む(キャプチャする)対象である画像情報或いは文書情報を主とした表示情報1を表示させ、画像取り込みボタン11を専用ペン6−1で指示する。専用ペン6−1には、前述の様に内蔵する識別情報記憶部6−1−1にその専用ペン6−1固有の識別情報が記憶されている。次に、その取り込んだ表示画像に対して画像取り込みボタン11を押したのと同じ専用ペン6−1で図の様に描画によりアノテーション10の付加を行う。これは、例えば、プレゼンテーション時に、その発表者がその発表のために取り込んだ発表原稿(資料)を表示し、それを表示しながら、発表者が参加者に向かって説明するときに、例えば、上記表示情報1の説明箇所である強調する部分に対してアンダーライン等を描画するなど、説明の補助手段としてのアノテーションが考えられる。この場合のアノテーション10−1は、通常説明上の補助手段として付加するものであり、格別新たな情報を付加するものではない場合が多い。
【0030】
次に、識別情報が専用ペン6−1と異なる専用ペン6−2で同じ表示情報1に対してアノテーション10−2を付加する。専用ペン6−2が専用ペン6−1と異なるということは、上記表示情報1を取り込んだときに使用した専用ペン6−1の使用者と異なる使用者である場合を想定しており、この使用者はプレゼンテーションを行うのではなく、その表示情報に対して例えば意見や新たな提案事項を思いついた場合などを想定すると、アノテーションの内容は、表示情報1に新たな情報を付加する場合となると考えられる。
【0031】
この専用ペン6−1によるアノテーションと専用ペン6−2によるアノテーションとが混在した状態は、前記表示部4に表示された状態では問題無いが、この情報を保存する場合には、元の表示情報1に対して、新たに付加された情報のみを残して、単に説明時に付加された情報は除いた整理した形態で保存することが望まれる。そこで、本発明の第2の実施例においては、保存時には、図に示すように、表示情報1を取り込むときに使用した専用ペン6−1によるアノテーション10−1は除いた形で、専用ペン6−2によるアノテーション10−2のみが付加情報として保存される。
【0032】
図6は、本発明の第2の実施例を説明するためのフローチャートである。まず画像を取り込むための表示情報1を表示した状態で、ステップ210で画像取り込みボタン11が押されたかどうかを判断する。押されたと判断するとステップ220で、ペン識別情報検出部8において、その画像取り込みボタン11を指示した専用ペン6の識別情報を検出し記憶する。次に、ステップ230で、付加情報(アノテーション)処理部7に於いて、上記表示情報1に付加されたアノテーション情報を検出し、ステップ240で、ペン識別情報検出部8において、そのアノテーションを入力したときの専用ペンの識別情報を検出し記憶する。次に、ステップ250で、表示情報・公開属性制御部2に於いて、上記画像取り込みボタン11を指示した専用ペン6の識別情報と、アノテーションを入力したときの専用ペンの識別情報が一致するかどうかを判断する。もし一致したならば、ステップ252でそのアノテーションにそのアノテーションは対象表示情報に付加して保存しないというフラグである非保存識別子を付与する。もし一致しなければ、ステップ254でそのアノテーションにそのアノテーションは対象表示情報に付加して保存するというフラグである保存識別子を付与する。次に、ステップ260で、上記アノテーション後の表示情報に対して保存、記憶作業に入ったかどうかを検出し、もし、保存操作が行われた場合には、次のステップに進む。保存操作が行われ無い場合には、また、ステップ230に戻って、前記アノテーションに伴う処理を繰り返す。保存操作が行われた場合には、ステップS270で同じく前記表示情報・公開属性制御部2に於いて、対象となる元の表示情報1の一区切りを1単位のファイルとしてそのファイルに対し、非保存識別子を付与されたアノテーション情報は除き、上記保存識別子を付与されたアノテーション情報のみを 元の取り込んだ画像である表示情報の付加情報として一体的に、表示情報記憶部9に保存を行う。
【0033】
上記、第2の実施例に於いては、上記画像取り込みボタン11を指示した専用ペン6の識別情報と、アノテーションを入力したときの専用ペンの識別情報が一致した場合に、保存時にそのアノテーション情報を除く処理を行ったが、その会議の目的により、逆の判定条件としても良い。つまり、上記画像取り込みボタン11を指示した専用ペン6の識別情報と、アノテーションを入力したときの専用ペンの識別情報が一致した場合にのみ元の表示情報と一体的に取り込みを行い、一致しない場合には除く処理としても良い。これにより、まだ未完成の表示情報の加工作業が継続中の場合などで、その表示情報を取り込んだ使用者本人のみがその表示情報に対して情報を付加でき、誤って他の使用者が書き込みを行っても、それは、保存時には取り除く、といった使い方も可能になる。更には、上記いずれかの判定条件を組み合わせ、或いは、別の第3、或いはそれ以上の専用ペン6の識別情報を含んだ判定条件アルゴリズムとし、より、複雑なアノテーション情報を付加した場合にも、効果的に整理された保存条件、更には、公開属性を自動的に付与するようにしても良い。
【0034】
以上の本発明の第2の実施例により、電子ホワイトボード機能及び表示情報に対して電子ペン等により付加情報を付与する機能を有する電子会議システムに於いて、表示情報取り込み時の電子ペンに備えられた識別情報とアノテーション付加時の電子ペンに備えられた識別情報との関係によりに基づいて、会議に使用する資料、及び、使用した結果の資料に対する最良の保存形態を自然で簡便な方法で設定することがでる。
【符号の説明】
【0035】
1 表示情報
2 表示情報・公開属性制御部
3 表示制御部
4 表示部
5 座標入力装置
6 専用ペン
7 付加情報(アノテーション)処理部
8 ペン識別情報検出部
9 表示情報記憶部
10 アノテーション
11 画像取り込みボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置と、該画像表示装置の画面に画像情報或いは文書情報或いは描画情報の表示情報を表示する表示手段と、該画像表示装置の画面上の該表示情報に対し指示を行う座標入力手段と、
該座標入力手段に備えられた固有の識別情報保持手段と、
指示を行った際の上記座標入力手段の識別情報に基づいた保存条件を上記画像表示装置に表示された表示情報に付与することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
上記第1項記載に於いて、上記表示装置に表示された表示情報に対しアノテーション情報を上記座標入力手段による指示に基づき入力し表示するアノテーション情報表示手段を有し、上記アノテーションを入力した座標入力手段の識別情報に基づき、該アノテーション情報が含まれる上記画像表示装置に表示された表示情報の保存条件として公開属性を付与する公開属性制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
上記第2項記載に於いて、該画像表示装置に対し入力可能な、複数の識別情報を有する該座標入力手段を有し、上記表示装置に表示された表示情報に対し指示を行い、アノテーション情報を入力した座標入力手段の複数の識別情報を識別する複数識別情報識別手段、及び、複数識別情報識別手段の識別結果を基に上記表示装置に表示された表示情報の保存条件として公開属性を付与する公開属性制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
上記第1項記載に於いて、上記表示情報の画像データ或いは文書データを取り込み記憶する手段を有し、該画像データ或いは文書データを取り込む際に指示を行った上記座標入力手段の識別情報と該表示情報に対しアノテーション情報を入力する上記座標入力手段の識別情報を比較する比較手段を有し、該比較結果に基づいて、上記表示情報とアノテーション情報の保存条件を決定することを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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