説明

情報処理装置

【課題】筐体の先端を薄くすることができると共に筐体の上面と記憶装置の間に通信等を行うモジュールが配置できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、互いに対向し合う底面と上面およびこれら底面と上面に連なる前面を有する筐体と、前記筐体の内部に前記上面に略平行に配置されると共に一部に切り欠き部を有する主回路基板と、前記切り欠き部の領域に少なくとも本体の一部が配置された記憶装置とを備え、前記記憶装置は、前記主回路基板の基板面に対して前記本体の設置面が所定の角度を有すると共に前記本体の前記筐体の前面に近い側面が前記筐体の上面に近づく方向に傾斜された状態で上記筐体の内部に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置が収容された情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯が容易で、かつ高機能なノートブックタイプのPC(Personal Computer)が種々提供されている。この種のコンピュータは、箱形をなす筐体と、この筐体の後部に開閉可能に取り付けられたフラットパネル形のディスプレイユニッットとを備えている。上記筐体の内部には、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)、あるいはフロッピー(登録商標)ディスクドライブといった記憶装置が収容されている。
【0003】
電子情報機器に関し、フロッピー(登録商標)ディスク等のメディア用の挿入口の改良に関するものであって、外部記憶装置にメディアを挿脱するための挿入口をその側面に備えた電子情報器機において、当該挿入口はその長手方向が当該電子情報器機の前後方向を基準として、斜め前下がりに形成されている電子情報器機が考案されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−052715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノートブックタイプのPCは、筐体の内部に主回路基板とHDDあるいはSSD等の記憶装置が収容されている。主回路基板は通常矩形であり、基板厚さが2mm以下の平板である。HDDは例えば2.5型の場合には、幅69.85mm、奥行き100mm、厚さ9.5mmの略直方体の形状をしており、後部に電源及び信号用のコネクタが設置されている。主回路基板とHDDあるいはSSDといった記憶装置は、コネクタ同士またはコネクタとフレキシブルなケーブルを用いて接続されている。
【0006】
従来、主回路基板の基板面と記憶装置の設置面(幅方向と奥行き方向によって形成される面)は、平行に配置されていた。記憶装置の上面に通信等を行うモジュール類などを配置すると製品厚みの増加となり、薄くしようとすると記憶装置の上面に通信等を行うモジュール類を配置できず製品サイズの増加となっていた。
【0007】
最近のノートブックタイプのPCは、これを持ち運ぶ際の取扱いを容易にするため、筐体の薄形化が押し進められている。記憶装置はPCの前面側に配置される場合があり、主回路基板の基板面と記憶装置の設置面が平行であると、PCの寸法を薄くするには支障があった。
【0008】
また、筐体の厚み寸法が増大すると、電子機器の美観を損なう問題があるため、この観点からも外形を薄く見せる工夫が必要されていた。また、PCのケースや鞄に収納する際に出し入れが容易となるようにPCの外形の周囲が薄い形状となっていることも要求されていた。
【0009】
本発明は上記したような事情に鑑み成されたものであって、筐体の先端を薄くすることができると共に筐体の上面と記憶装置の間に通信等を行うモジュールが配置できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、筐体と、前記筐体の内部に収容され一部に切り欠き部を有する主回路基板と、前記切り欠き部の領域に少なくとも本体の一部が配置され、前記主回路基板の基板面に対して前記本体の設置面が所定の角度を有する記憶装置とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の情報処理装置は、互いに対向し合う底面と上面およびこれら底面と上面に連なる前面を有する筐体と、前記筐体の内部に前記上面に略平行に配置されると共に一部に切り欠き部を有する主回路基板と、前記切り欠き部の領域に少なくとも本体の一部が配置された記憶装置とを備え、前記記憶装置は、前記主回路基板の基板面に対して前記本体の設置面が所定の角度を有すると共に前記本体の前記筐体の前面に近い側面が前記筐体の上面に近づく方向に傾斜された状態で上記筐体の内部に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、情報処理装置の筐体の先端を薄くすることができると共に筐体の上面と記憶装置の間に通信等を行うモジュールが配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による情報処理装置の概観を示した斜視図。
【図2】主回路基板の形状の例を示した図。
【図3】主回路基板と記憶装置の位置関係と接続の状態を示した図。
【図4】情報処理装置を側面から見た概略の断面図。
【図5】記憶装置の固定の方法を示した図。
【図6】主回路基板と記憶装置の位置関係の他の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による情報処理装置1の概観を示す斜視図である。情報処理装置1は、略偏平な四角形箱状をなすベースユニット2と、フラットパネル形のディスプレイユニット3とを備えている。ベースユニット2は、その外郭を構成する筐体4を有している。この筐体4は、互いに対向し合う底面5aと上面5bおよびこれら底面5aおよび上面5bに連なる前面5c、左側面5d,右側面5eおよび後面5fを有している。
【0015】
筐体4の上面5bには、情報の入力手段としてのキーボード装置6、ディスプレイ上のポインタを動かすタッチパッド8、操作の指示を与える左ボタン9と右ボタン10、電源スイッチ11が設置されている。キーボード装置6は、多数のキー7を有し、これらキー7は、筐体4の上面5bに対し略面一に配列されている。筐体4の上面5bの後端部には、ディスプレイユニット3を支持するための凸部12a、12bが備えられている。
【0016】
ディスプレイユニット3は、薄い箱状をなすハウジング13と、このハウジング13の内部に収容された液晶ディスプレイ14とを備えている。液晶ディスプレイ14は、ハウジング13に開けた表示用開口部15を介して外方に露出されている。ハウジング13は、夫々図示しないヒンジ装置を介して筐体4の上面5bの凸部12a、12bに連結されている。このため、ディスプレイユニット3は、筐体4の上面5bを上方から覆い隠す閉じ位置と、液晶ディスプレイ14を筐体4の上面5bの後方で起立させる開き位置との間に亘って回動可能となっている。
【0017】
筐体4の内部には主回路基板16が、筐体4の上面5bに略平行に配置され筐体4内に固定されている。主回路基板16は、基板厚さが2mm以下のプリント配線板にCPU(Central Processing Unit)等の集積回路、抵抗器、コンデンサー等の多数の電子部品を表面に実装した回路基板である。主回路基板16はその一部に切り欠き部17を有している。
【0018】
主回路基板16の切り欠き部17の領域には、記憶装置19が設置されている。記憶装置19は、略箱形の形状をしており、例えば、HDDやSSDで構成されている。記憶装置19の本体20の少なくとも一部が切り欠き部17の領域に配置されている。記憶装置19は、主回路基板16の基板面に対して本体20の設置面が所定の角度を有して傾斜している。所定の角度は1度から30度である。傾斜の向きは、本体20の筐体4の前面5cに近い側面が筐体4の上面5bに近づく方向に傾斜された状態である。
【0019】
図2は、主回路基板16の形状の例を示した図である。図2においては、主回路基板16は概略矩形の形状をなしているが、これに限るものではない。主回路基板16は一部に切り欠き部17を有する。切り欠き部17の領域18をハッチングにて示す。図2においては、切り欠き部17の領域18は矩形であるが、これに限るものではない。図1に示すように記憶装置19が筐体4の前面5cに近い位置に配置されるため、切り欠き部17の領域18も筐体4の前面5cに近い位置に配置される。
【0020】
図3は、主回路基板16と記憶装置19の位置関係と接続の状態を示した図である。記憶装置19の本体20の少なくとも一部が切り欠き部17の領域18に配置されている。記憶装置19は、主回路基板16の基板面に対して本体20の設置面が所定の傾斜角度を有して傾斜している。主回路基板16のコネクタ23と記憶装置19のコネクタ24は、FPC(Flexible Printed Circuits)あるいはFFC(Flexible Flat Cable)等のフレキシブルなケーブル25を用いて接続されている。
【0021】
図4は、情報処理装置1を側面から見た概略の断面図である。断面図は図1におけるAA断面である。補助線21は主回路基板16の基板面の傾きを示した線であり、筐体4の上面5bに略平行である。補助線22は憶装置19の本体20の設置面26の傾きを示した線である。補助線21と補助線22は所定の傾斜角度θがあることを示している。従って記憶装置19の本体20は、主回路基板16の基板面に対して所定の角度θを有して傾斜している。傾斜角度θの大きさは1度から30度の範囲である。本体20の筐体4の前面5cに近い側面27が筐体4の上面5bに近づく方向に傾斜している。図4に示すように記憶装置19は、筐体4の前面5cに近い位置に配置されている。尚、図4においてケーブル25は図を省略している。
【0022】
主回路基板16は、記憶装置19の本体20の筐体4の上面5bに最も近い部位28と最も遠い部位29の間に配置されている。記憶装置19の本体20は略箱型の形状であるため、図4において最も近い部位28は、側面27の筐体4の上面5bに近い方の稜線に相当する。
【0023】
筐体4の底面5aの中で少なくとも記憶装置19の本体20と対向する部分は、記憶装置19の本体20の設置面26と略平行になるように形成されている。また筐体4の底面5aにおいて筐体4の前面5cに近い部位が、記憶装置19の本体20の設置面26と略平行になるように形成されている。あるいは、略平行ではなく、記憶装置19の本体20の設置面26の傾斜の角度と少し異なっていてもよい。例えば、1〜5度程度異なっていてもよい。このようにすることによって、情報処理装置1の筐体4の前面5cの高さを低くすることができ、それによって筐体4の先端部を薄くすることができる。筐体4を前面5c側から見たとき、先端部が薄く見えて美観が良くなると共にPCのケースや鞄に収納する際に出し入れが容易となる。また情報処理装置1全体の小型化の可能となる。
【0024】
記憶装置19を主回路基板16の基板面に対して傾斜させて配置することにより、記憶装置19の本体20と筐体4の上面5bとの間に楔状の空間ができ、特に前面5cから離れた方には大きな空間ができる。この空間を利用してここに通信等を行うモジュール30を配置することができる。通信等を行うモジュール30としては、例えば、Felica(登録商標)、TransferJet(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信モジュールがある。
【0025】
通信等を行うモジュール30を、筐体4の上面5bの内壁直下に配置することにより、筐体4の上面5bを通過して外部との通信機能・性能を向上させることができる。主回路基板16による通信遮蔽あるいは通信妨害の影響を避けることができ、良好な通信性能を確保することが可能となる。尚、通信等を行うモジュール30の代わりにブリッジメディア等の記憶媒体スロット、ミニカードスロットなどを実装した小基板等を実装してもよい。
【0026】
図5は、記憶装置19の固定の方法を示した図である。記憶装置19の本体20は略箱型の形状であり、設置面26側の周囲の4箇所の頂点と設置面26と反対側の面の周囲の4箇所の頂点の位置に弾性支持部材31が配置されている。弾性支持部材31は、筐体4の上面5bの内壁側と底面5aの内壁側にある支持部材固定部32によって支持されている。従って記憶装置19は弾性支持されており、筐体4に外部から加えられた衝撃力が伝わり難い状態となっている。
【0027】
以上のように、筐体4の底面5aにおいて筐体4の前面5cに近い部位が、記憶装置19の本体20の設置面26と略平行になるか、あるいは、略平行ではなく、記憶装置19の本体20の設置面26の傾斜の角度と少し異なる角度で傾斜するように形成されることによって、情報処理装置1の筐体4の前面5cの高さを低くすることができ、それによって筐体4の先端部を薄くすることができる。
【0028】
また、記憶装置19を主回路基板16の基板面に対して傾斜させて配置することにより、記憶装置19の本体20と筐体4の上面5bとの間に楔状の空間ができ、筐体4の上面5bの内壁と記憶装置19の間に通信等を行うモジュール30が配置できる。このことによって主回路基板16のフットプリントの縮小と筐体4の厚さを小さくすることが可能となる。
【0029】
図6は、主回路基板33と記憶装置19の位置関係の他の例を示した図である。記憶装置19の本体20の少なくとも一部が切り欠き部34の領域に配置されている。記憶装置19は、主回路基板33の基板面に対して本体20の設置面が所定の角度を有して傾斜している。図3に示した配置と異なる点は、主回路基板33の一部が記憶装置19に重なって配置されたことである。このような配置であっても、情報処理装置1の筐体4の前面5cの高さを低くすることができ、それによって筐体4の先端部を薄くすることができる。
【0030】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 情報処理装置
2 ベースユニット
3 ディスプレイユニット
4 筐体
5a 底面
5b 上面
5c 前面
5d 左側面
5e 右側面
5f 後面
6 キーボード装置
7 キー
8 タッチパッド
9 左ボタン
10 右ボタン
11 電源スイッチ
12a、12b 凸部
13 ハウジング
14 液晶ディスプレイ
15 表示用開口部
16 主回路基板
17 切り欠き部
18 領域
19 記憶装置
20 本体
21 補助線
22 補助線
23 コネクタ
24 コネクタ
25 ケーブル
26 設置面
27 側面
28 部位
29 部位
30 モジュール
31 弾性支持部材
32 支持部材固定部
33 主回路基板
34 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され一部に切り欠き部を有する主回路基板と、
前記切り欠き部の領域に少なくとも本体の一部が配置され、前記主回路基板の基板面に対して前記本体の設置面が所定の角度を有する記憶装置と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
互いに対向し合う底面と上面およびこれら底面と上面に連なる前面を有する筐体と、
前記筐体の内部に前記上面に略平行に配置されると共に一部に切り欠き部を有する主回路基板と、
前記切り欠き部の領域に少なくとも本体の一部が配置された記憶装置とを備え、
前記記憶装置は、前記主回路基板の基板面に対して前記本体の設置面が所定の角度を有すると共に前記本体の前記筐体の前面に近い側面が前記筐体の上面に近づく方向に傾斜された状態で上記筐体の内部に収容されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記主回路基板は、前記記憶装置の前記本体の前記筐体の上面に最も近い部位と最も遠い部位の間に配置されていることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記筐体の底面の中で少なくとも前記記憶装置の本体と対向する部分は、前記記憶装置の本体の前記設置面と略平行であることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記筐体の底面の中で前記筐体の前面に近い部位が、前記記憶装置の本体の前記設置面と略平行であることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−76489(P2011−76489A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228899(P2009−228899)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】