情報媒体およびその製造方法
【課題】厚さ方向におけるモジュールの位置のばらつきを防止するとともに、製造時間を短くすることができる情報媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、一対のフレーム11,12と、これらのフレーム11,12に内設され、表示素子13を有するモジュール14と、モジュール14の一部を被覆する接着層15と、フレーム11,12およびモジュール14を挟持する一対の基材16,17と、を備え、フレーム11,12は、基材16,17の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、フレーム11,12に、モジュール14を嵌入する嵌入部11a,12aが設けられ、フレーム12に、嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13bに当接する当接部12bが設けられたことを特徴とする。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、一対のフレーム11,12と、これらのフレーム11,12に内設され、表示素子13を有するモジュール14と、モジュール14の一部を被覆する接着層15と、フレーム11,12およびモジュール14を挟持する一対の基材16,17と、を備え、フレーム11,12は、基材16,17の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、フレーム11,12に、モジュール14を嵌入する嵌入部11a,12aが設けられ、フレーム12に、嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13bに当接する当接部12bが設けられたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路を有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体は、電気的な回路を有するモジュールを備えている。また、この情報媒体では、モジュールを、基材に対して所定の位置に配置するためにフレームが用いられている。すなわち、この情報媒体は、モジュールが所定の位置に内設されたフレームが、接着剤を介して、一対の基材で挟持された構造をなしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−236937号公報
【特許文献2】特開2004−110142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような情報媒体は、各部材を順次積層する工程を経て製造されるため、ラミネートの回数が多くなり、製品1つあたりの製造時間が長くなるという問題があった。
また、大面積の部材を用いて、積層、一括ラミネートする製造方法では、モジュールの位置が厚さ方向にばらつくおそれがあり、日本工業規格 JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される動的曲げ強さ、動的ねじれ特性などのばらつきの原因となるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、厚さ方向におけるモジュールの位置のばらつきを防止するとともに、製造時間を短くすることができる情報媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報媒体は、一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の情報媒体の製造方法は、一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた情報媒体の製造方法であって、第一基材における第二基材に対向させる面に、モジュールを嵌入する嵌入部が設けられた第一フレームを接合する工程Aと、前記第二基材における第一基材に対向させる面に、前記モジュールを嵌入する嵌入部、および、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた第二フレームを接合する工程Bと、前記第一フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入する工程Cと、前記第一フレームおよび前記モジュールに、前記第二フレームを重ね合わせて、前記第二フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入し、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に前記当接部を当接するとともに、前記第一フレームと前記第二フレームを接合する工程Dと、前記工程Bと前記工程Cの間において、前記第一フレームの嵌入部内に、接着剤を塗布する工程E、または、前記工程Cと前記工程Dの間において、前記第一フレームおよび前記モジュールの前記第二基材と対向させる面に接着剤を塗布する工程Fとのいずれか一方または両方と、を有し、前記工程Aと前記工程Bを順不同に行い、前記工程Aと前記工程Bからなる工程の群と、前記工程Cとを順不同に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報媒体によれば、一対のフレームを用い、このフレームに内設されたモジュールが、一対の基材で挟持されたので、厚さ方向におけるモジュールの位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
【0009】
本発明の情報媒体の製造方法によれば、一方の基材に接合したフレームと、他方の基材に接合したフレームとを用い、2つのフレームの間に、モジュールを内設するので、厚さ方向におけるモジュールの位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、第一基材に対する印刷工程を示す概略平面図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、第二基材に対する印刷工程を示す概略平面図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられる第一フレームシートを示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられる第二フレームシートを示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられ、第一基材シートと第一フレームシートからなる積層シートを個片化した状態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられ、第二基材シートと第二フレームシートからなる積層シートを個片化した状態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Eを示す概略斜視図である。
【図11】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Fおよび工程Dを示す概略斜視図である。
【図13】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図14】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、裁断する工程を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の情報媒体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状であり、一対のフレーム11,12(第一フレーム11、第二フレーム12)と、これらのフレーム11,12に内設され、表示素子13を有するモジュール14と、モジュール14の一部を被覆する接着層15と、フレーム11,12およびモジュール14を挟持する一対の基材16,17(第一基材16、第二基材17)とから概略構成されている。
【0013】
すなわち、情報媒体10は、モジュール14を内設したフレーム11,12が、第一基材16および第二基材17に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。また、接着層15は、第一基材15および第二基材16と、モジュール14との間の一部、並びに、第一フレーム11と第二フレーム12の間に介在している。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム11,12にモジュール14を内設するとは、フレーム11,12の内側にモジュール14を設けることを言う。
【0014】
第一基材16の第二基材17と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面(外面)」と言う。)16aには、非印刷部18aを有し、種々の印刷からなる印刷層18が設けられている。なお、非印刷部18aは、印刷層18が設けられていない部分であり、モジュール14を構成する表示素子13の表示部13aと対向する窓部をなしている。
第二基材17の第一基材16と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面(外面)」と言う。)17aには、種々の印刷からなる印刷層19が設けられている。
【0015】
第一フレーム11は、第一基材16の第二基材17と対向する面(以下、「他方の面」と言う。)16bに、接着剤または熱融着により接合されている。接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止し、情報媒体10の寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第一基材16に対して、第一フレーム11を熱融着することがより好ましい。
【0016】
また、第一フレーム11の内側には、モジュール14を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール14の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。さらに、この嵌入部11aは、モジュール14を嵌入した場合、表示素子13の表示部13aが第一基材16における非印刷部18aに対向する位置に配置されるように設けられている。
【0017】
第二フレーム12は、第二基材17の第一基材16と対向する面(以下、「他方の面」と言う。)17bに、接着剤または熱融着により接合されている。接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止し、情報媒体10の寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第二基材17に対して、第二フレーム12を熱融着することがより好ましい。
【0018】
また、第二フレーム12の内側には、モジュール14を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール14の外形とほぼ形状が等しい嵌入部12aが設けられている。さらに、第二フレーム12の内側には、嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13b、すなわち、モジュール14における他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部12bが設けられている。これにより、第一フレーム11を接合した第一基材16と、第二フレーム12を接合した第二基材17とを重ね合わせた場合、表示素子13の表示部13aが、第一基材16における非印刷部18aに当接または近接して配置され、表示素子13の表示部13aの視認性が高くなる。なお、当接部12bは、第二フレーム12において、嵌入部12aなどが設けられていない部分であり、第二フレーム12の他の部分と厚さが等しくなっている。
【0019】
また、第一フレーム11と第二フレーム12は厚さが等しくなっている。そして、第一フレーム11と第二フレーム12を重ね合わせた場合の厚さは、モジュール14の厚さとほぼ等しくなっており、第一フレーム11および第二フレーム12に嵌入されたモジュール14の表面(両面)は、第一フレーム11および第二フレーム12の表面(第一フレーム11と第二フレーム12が互いに接する面とは反対側の面)とほぼ同一面をなしている。
より詳細には、第一フレーム11と第二フレーム12は厚さが等しいので、第一フレーム11には、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分が嵌入されており、第二フレーム12には、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分が嵌入されている。また、表示素子13は、第一フレーム11のみに嵌入されており、表示素子13の裏面13bは第二フレーム12の当接部12bに当接している。
【0020】
さらに、第一基材16と第二基材17は、厚さが等しくなっている。
【0021】
このように、厚さが等しい第一フレーム11と第二フレーム12により、厚さが等しい第一基材16と第二基材17、および、これらに内設されたモジュール14が挟持されているので、情報媒体10は、第一フレーム11と第二フレーム12の合わせ目(境界線)を境にして、ほぼ対称な構成をなしている。すなわち、情報媒体10は、その厚さ方向と垂直な中心線にてほぼ対称な構成をなしている。
【0022】
第一フレーム11および第二フレーム12の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0023】
モジュール14としては、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示素子12および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0024】
表示素子13としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。
【0025】
モジュール14がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0026】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0027】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0028】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0029】
モジュール14がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0030】
接着層15をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化する接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
【0031】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物などが挙げられる。
【0032】
このような接着剤としては、一般的なカード基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)に対し、JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される試験方法によって測定される層間剥離強度が、JIS X6301「識別カード−物理的特性」に規定される0.35N/mm以上(望ましくは0.5N/mm以上)である接着剤であれば自由に選択される。
【0033】
また、接着層15を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層15を任意の色に着色することもできる。
【0034】
第一基材16および第二基材17としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0035】
印刷層18,19は、情報媒体10を隠蔽するための装飾用の印刷や、情報媒体10に関連する情報などを表示する印刷からなるものである。
【0036】
この情報媒体10は、第一フレーム11と第二フレーム12を用い、モジュール14を内設した第一フレーム11と第二フレーム12が、第一基材16と第二基材17で挟持されたので、厚さ方向におけるモジュール14の位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
また、第一フレーム11と第二フレーム12の合わせ目(境界線)を境にして、ほぼ対称な構成をなしているから、第一フレーム11を接合した第一基材16と、第二フレーム12を接合した第二基材17との間で、厚さの差異に起因する熱収縮が生じるのを防止できる。
また、第二フレーム12の嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13bに当接する当接部12bが設けられているので、表示素子13の表示部13aが、第一基材16における非印刷部18aに当接または近接して配置され、表示素子13の表示部13aの視認性を高くすることができる。さらに、表示素子13は、モジュール14における他の部分よりも厚さが薄くなっているため、その裏面13bに当接部12bが当接されているので、情報媒体10の内部において、モジュール14が安定に配置される。
【0037】
なお、この実施形態では、接着層15がモジュール14の一部、すなわち、モジュール14の本体部分と表示素子13を接続している部分を被覆している場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールの表面全面と、第一基材および/または第二基材との間に接着層が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、第一フレーム11と第二フレーム12が、接着層15を介して接着された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一フレームと第二フレームが熱融着されていてもよい。
【0038】
また、この実施形態では、第一基材16の一方の面16aに印刷層18が設けられ、かつ、第二基材17の一方の面17aに印刷層19が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の他方の面や、第二基材の他方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【0039】
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、表示素子13を有するモジュール14を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールが表示素子を備えていなくてもよい。
【0040】
「情報媒体の製造方法」
次に、図2〜図14を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
【0041】
まず、図2に示すように、第一基材シート16Aの一方の面16aに、最終的なカード形状の外郭線18bを有するとともに、非印刷部18aを有する印刷層18を等間隔に多数設ける。
【0042】
なお、第一基材シート16Aには、予めそれぞれの印刷層18の短辺の一方に隣接する位置に、間隔を置いて一対の貫通穴16cが設けられている。この貫通穴16cは、後段の工程において、第一基材シート16Aと他の部材を重ね合わせる際の基準となるものである。また、この貫通穴16cを基準として、印刷層18を位置決めする。さらに、第一基材シート16Aには、それぞれの印刷層18および貫通穴16c,16cを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線16d,16eが設けられている。基準線16dは、第一基材シート16Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線16eは、第一基材シート16Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
第一基材シート16Aとしては、上記の第一基材16をなす基材と同様のものが用いられる。
【0043】
また、図3に示すように、工程Aとは別に、第二基材シート17Aの一方の面17aに、最終的なカード形状の外郭線19aを有する印刷層19を等間隔に多数設ける。
【0044】
なお、第二基材シート17Aには、予めそれぞれの印刷層19の短辺の一方に隣接する位置に、間隔を置いて一対の貫通穴17cが設けられている。この貫通穴17cは、後段の工程において、第一基材シート17Aと他の部材を重ね合わせる際の基準となるものである。また、この貫通穴17cを基準として、印刷層19を位置決めする。さらに、第二基材シート17Aには、それぞれの印刷層19および貫通穴17c,17cを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線17d,17eが設けられている。基準線17dは、第二基材シート17Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線17eは、第二基材シート17Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
第二基材シート17Aとしては、上記の第二基材17をなす基材と同様のものが用いられる。
【0045】
また、第一基材シート16Aと第二基材シート17Aの厚さは等しくなっている。
【0046】
また、所定の厚さの基材シートを打ち抜き加工するなどして、図4に示すように、その厚さ方向に貫通し、モジュール14を嵌入する嵌入部11aが等間隔に多数設けられた第一フレームシート11Aを作製する。
第一フレームシート11Aには、それぞれの嵌入部11aの一辺に隣接する位置、かつ、第一フレームシート11Aと第一基材シート16Aを重ねた場合、第一基材シート16Aの貫通穴16cと重なり合う位置に、所定の間隔を置いて一対の貫通穴11bが設けられている。
【0047】
また、第一フレームシート11Aには、それぞれの嵌入部11aおよび貫通穴11b,11bを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線11c,11dが設けられている。基準線11cは、第一フレームシート11Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線11dは、第一フレームシート11Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
さらに、第一フレームシート11Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの短辺に沿って延在する溝11e,11eが設けられている。また、第一フレームシート11Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの長辺に沿って延在する溝11f,11fが設けられている。また、第一フレームシート11Aの基準線11c,11dは、第一フレームシート11Aと第一基材シート16Aを重ね合わせた場合、第一基材シート16Aの基準線16d,16eと重なる位置に設けられている。
第一フレームシート11Aをなす基材としては、上記の第一フレーム11をなす基材と同様のものが用いられる。
【0048】
また、所定の厚さの基材シートを打ち抜き加工するなどして、図5に示すように、その厚さ方向に貫通し、モジュール14を嵌入する嵌入部12aが等間隔に多数設けられるとともに、嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13bに当接する当接部12bが設けられた第二フレームシート12Aを作製する。
第二フレームシート12Aには、それぞれの嵌入部12aの一辺に隣接する位置、かつ、第二フレームシート12Aと第二基材シート17Aを重ねた場合、第二基材シート17Aの貫通穴17bと重なり合う位置に、所定の間隔を置いて一対の貫通穴12cが設けられている。
なお、当接部12bは、第二フレームシート12Aにおいて、打ち抜き加工がなされていない部分である。
【0049】
また、第二フレームシート12Aには、それぞれの嵌入部12aおよび貫通穴12c,12cを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線12d,12eが設けられている。基準線12dは、第二フレームシート12Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線12eは、第二フレームシート12Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
さらに、第二フレームシート12Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの短辺に沿って延在する溝12f,12fが設けられている。また、第二フレームシート12Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの長辺に沿って延在する溝12g,12gが設けられている。また、第二フレームシート12Aの基準線12d,12eは、第二フレームシート12Aと第二基材シート17Aを重ね合わせた場合、第二基材シート17Aの基準線17d,17eと重なる位置に設けられている。
第二フレームシート12Aをなす基材としては、上記の第二フレーム12をなす基材と同様のものが用いられる。
【0050】
また、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの厚さは等しくなっている。
【0051】
次いで、図6に示すように、第一基材シート16Aの他方の面16bに、第一フレームシート11Aを、接着剤または熱融着により接合し、第一基材シート16Aと第一フレームシート11Aからなる積層シートを形成する(工程A)。
【0052】
この工程Aにおいて、第一基材シート16Aの他方の面16bに、第一フレームシート11Aを接合する際、接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止して、第一基材シート16Aと第一フレームシート11Aの寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第一基材シート16Aに対して、第一フレームシート11Aを熱融着することがより好ましい。
また、この工程Aでは、第一基材シート16Aの一対の貫通穴16cと、第一フレームシート11Aの一対の貫通穴11bとを重ね合わせる。これにより、第一基材シート16Aに対して第一フレームシート11Aを位置決めすることができる。
【0053】
また、図7に示すように、工程Aとは別に、第二基材シート17Aの他方の面17bに、第二フレームシート12Aを、接着剤または熱融着により接合し、第二基材シート17Aと第二フレームシート12Aからなる積層シートを形成する(工程B)。
【0054】
この工程Bにおいて、第二基材シート17Aの他方の面17bに、第二フレームシート12Aを接合する際、接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止して、第二基材シート17Aと第二フレームシート12Aの寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第二基材シート17Aに対して、第二フレームシート12Aを熱融着することがより好ましい。
また、この工程Bでは、第二基材シート17Aの一対の貫通穴17cと、第二フレームシート12Aの一対の貫通穴12cとを重ね合わせる。これにより、第二基材シート17Aに対して第二フレームシート12Aを位置決めすることができる。
【0055】
次いで、図8に示すように、第一基材シート16Aと第一フレームシート11Aからなる積層シートを、上記の基準線11c,11d(基準線16d,16e)に沿って裁断して、個片化(分割)する。
【0056】
また、図9に示すように、第二基材シート17Aと第二フレームシート12Aからなる積層シートを、上記の基準線12d,12e(基準線17d,17e)に沿って裁断して、個片化(分割)する。
【0057】
次いで、図10に示すように、第一基材シート16Aに接合した第一フレームシート11Aの嵌入部11a内に、接着剤塗布装置のノズルなどから吐出した接着剤15Aを塗布する(工程E)。
【0058】
接着剤15Aとしては、上記の接着層15を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一フレームシート11Aの嵌入部11aに対する接着剤15Aの塗布量は、特に限定されないが、モジュール14の大きさ、第一フレームシート11Aの嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0059】
次いで、図11に示すように、第一基材シート16Aに接合した第一フレームシート11Aの嵌入部11aに、表示素子13を有するモジュール14を嵌入する(工程C)。
【0060】
この工程Cでは、表示素子13の表示部13aが第一基材シート16Aにおける非印刷部18aに対向する位置に配置されるように、第一フレームシート11Aの嵌入部11aに、モジュール14を嵌入する。
また、この工程Cでは、第一基材シート16Aに対して、モジュール14を押圧することにより、第一基材シート16Aとモジュール14の間に、接着剤15Aを展開させる。
このとき、第一フレームシート11Aの嵌入部11aには、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分を嵌入し、また、表示素子13の厚さ方向において、表示素子13の全てを嵌入する。
【0061】
次いで、図12に示すように、第一フレームシート11Aの第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面(第二基材シート17Aおよび第二フレームシート12Aと対向させる面)11g、並びに、モジュール14の第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面(第二基材シート17Aおよび第二フレームシート12Aと対向させる面)14aに、接着剤塗布装置のノズルなどから吐出した接着剤15Bを塗布する(工程F)。
【0062】
接着剤15Bとしては、上記の接着層15を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一フレームシート11Aの第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面11g、および、モジュール14の第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面14aに対する接着剤15Bの塗布量は、特に限定されないが、モジュール14の大きさ、第二フレームシート12Aの嵌入部12aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0063】
次いで、図12、図13に示すように、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に塗布した接着剤15Bを介して、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを重ね合わせて、第二フレームシート12Aの嵌入部12aに、モジュール14を嵌入し、モジュール14の表示素子13の裏面13bに、第二フレームシート12Aの当接部12bを当接するとともに、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aを突き合わせて、接合する(工程D)。
【0064】
この工程Dでは、第一基材シート16Aの貫通穴16cおよび第一フレームシート11Aの貫通穴11bと、第二基材シート17Aの貫通穴17cおよび第二フレームシート12Aの貫通穴12cとを重ね合わせるように、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを重ね合わせる。すなわち、第一基材シート16Aの貫通穴16c、第一フレームシート11Aの貫通穴11b、第二基材シート17Aの貫通穴17c、および、第二フレームシート12Aの貫通穴12cが連通するように、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを重ね合わせる。
これにより、第一基材シート16Aの一方の面16aに設けた印刷層18の外郭線18bと、第二基材シート17Aの一方の面17aに設けた印刷層19の外郭線19aとを重ね合わせることができる。
【0065】
また、この工程Dでは、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に対して、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを押圧することにより、第二基材シート17Aとモジュール14の間、および、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に、接着剤15Bを展開させる。
この工程Dでは、第二基材シート17Aとモジュール14の間、および、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に展開させた接着剤15Bの余剰分を、第一フレームシート11Aおよび第二フレームシート12Aの外縁に、裾拡がりするように展開させる。これにより、接着剤15Bの余剰分は、第一フレームシート11Aの外縁部に設けられた溝11e,11e,11f,11f、および/または、第二フレームシート12Aの外縁部に設けられた溝12f,12f,12g,12gに流入する。その結果、第二基材シート17Aとモジュール14の間、および、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間には、これらの接合に必要な量の接着剤15Bが存在するようになる。
このとき、第二フレームシート12Aの嵌入部12aには、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分を嵌入する。
【0066】
次いで、第一基材シート16A、第一フレームシート11A、接着剤15A、モジュール14、接着剤15B、第二フレームシート12Aおよび第二基材シート17Aから構成される積層体を加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)する(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤15A,15Bを硬化させて、接着層15を形成するとともに、前記の積層体を一体化する。
【0067】
次いで、図14に示すように、第一基材シート16A、第一フレームシート11A、接着層15、モジュール14、第二フレームシート12Aおよび第二基材シート17Aから構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層18aの外郭線18a、印刷層19aの外郭線19a)に沿って裁断して、情報媒体10を得る。
【0068】
この工程では、上記の積層体の裁断により、接着剤15Bの余剰分も分離、除去される。
【0069】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、第一基材シート16Aに接合した第一フレームシート11Aと、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aとを用い、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に、モジュール14を内設するので、厚さ方向におけるモジュール14の位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
また、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの合わせ目(境界線)を境にして、ほぼ対称な構造の情報媒体10を製造することができるので、得られた情報媒体10において、第一フレーム11を接合した第一基材16と、第二フレーム12を接合した第二基材17との間で、厚さの差異に起因する熱収縮が生じるのを防止できる。したがって、得られた情報媒体10は、寸法安定性に優れ、収縮によるしわなどの外観不良が生じない。
【0070】
なお、この実施形態では、大面積の第一基材シート16A、第一フレームシート11A、第二フレームシート12Aおよび第二基材シート17Aを用いた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化(分割)された第一基材、第一フレーム、第二フレームおよび第二基材を用い、第一基材および第二基材に印刷層を設けた後、それぞれの基材にフレームを接合したものを用いてもよい。
【0071】
また、この実施形態では、工程Bと工程Cの間に、工程Eを行い、工程Cと工程Dの間に、工程Fを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Eまたは工程Fのいずれか一方、あるいは、工程Eと工程Fの両方を行ってもよい。すなわち、この実施形態において、工程Eのみを行う場合、第一フレームシート11Aの嵌入部11a内に塗布した接着剤15Aの余剰分を、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に展開し、その接着剤で、2つのフレームシートを接合する。また、工程Fのみを行う場合、第一フレームシート11Aには、モジュール14を嵌入するのみとする。
【0072】
また、この実施形態では、工程A、工程Bおよび工程Cを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程A、工程Bおよび工程Cを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、例えば、工程Bにて、第二基材に第二フレームを接合した後、工程Aにて、第一基材に第一フレームを接合してもよい。また、例えば、工程Cにて、第一フレームの嵌入部に、モジュールを嵌入した後、工程Aと工程Bを行ってもよい。
【0073】
また、この実施形態では、第一基材シート16Aの一方の面16aに印刷層18を設け、かつ、第二基材シート17Aの一方の面17aに印刷層19を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材シートの他方の面や第二基材シートの他方の面に印刷層を設けてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム(第一フレーム)、11A・・・第一フレームシート、12・・・フレーム(第二フレーム)、12A・・・第二フレームシート、13・・・表示素子、14・・・モジュール、15・・・接着層、16・・・基材(第一基材)、16A・・・第一基材シート、17・・・基材(第二基材)、17A・・・第二基材シート、18,19・・・印刷層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路を有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体は、電気的な回路を有するモジュールを備えている。また、この情報媒体では、モジュールを、基材に対して所定の位置に配置するためにフレームが用いられている。すなわち、この情報媒体は、モジュールが所定の位置に内設されたフレームが、接着剤を介して、一対の基材で挟持された構造をなしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−236937号公報
【特許文献2】特開2004−110142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような情報媒体は、各部材を順次積層する工程を経て製造されるため、ラミネートの回数が多くなり、製品1つあたりの製造時間が長くなるという問題があった。
また、大面積の部材を用いて、積層、一括ラミネートする製造方法では、モジュールの位置が厚さ方向にばらつくおそれがあり、日本工業規格 JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される動的曲げ強さ、動的ねじれ特性などのばらつきの原因となるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、厚さ方向におけるモジュールの位置のばらつきを防止するとともに、製造時間を短くすることができる情報媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報媒体は、一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の情報媒体の製造方法は、一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた情報媒体の製造方法であって、第一基材における第二基材に対向させる面に、モジュールを嵌入する嵌入部が設けられた第一フレームを接合する工程Aと、前記第二基材における第一基材に対向させる面に、前記モジュールを嵌入する嵌入部、および、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた第二フレームを接合する工程Bと、前記第一フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入する工程Cと、前記第一フレームおよび前記モジュールに、前記第二フレームを重ね合わせて、前記第二フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入し、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に前記当接部を当接するとともに、前記第一フレームと前記第二フレームを接合する工程Dと、前記工程Bと前記工程Cの間において、前記第一フレームの嵌入部内に、接着剤を塗布する工程E、または、前記工程Cと前記工程Dの間において、前記第一フレームおよび前記モジュールの前記第二基材と対向させる面に接着剤を塗布する工程Fとのいずれか一方または両方と、を有し、前記工程Aと前記工程Bを順不同に行い、前記工程Aと前記工程Bからなる工程の群と、前記工程Cとを順不同に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報媒体によれば、一対のフレームを用い、このフレームに内設されたモジュールが、一対の基材で挟持されたので、厚さ方向におけるモジュールの位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
【0009】
本発明の情報媒体の製造方法によれば、一方の基材に接合したフレームと、他方の基材に接合したフレームとを用い、2つのフレームの間に、モジュールを内設するので、厚さ方向におけるモジュールの位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、第一基材に対する印刷工程を示す概略平面図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、第二基材に対する印刷工程を示す概略平面図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられる第一フレームシートを示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられる第二フレームシートを示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられ、第一基材シートと第一フレームシートからなる積層シートを個片化した状態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態で用いられ、第二基材シートと第二フレームシートからなる積層シートを個片化した状態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Eを示す概略斜視図である。
【図11】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Fおよび工程Dを示す概略斜視図である。
【図13】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図14】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、裁断する工程を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の情報媒体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状であり、一対のフレーム11,12(第一フレーム11、第二フレーム12)と、これらのフレーム11,12に内設され、表示素子13を有するモジュール14と、モジュール14の一部を被覆する接着層15と、フレーム11,12およびモジュール14を挟持する一対の基材16,17(第一基材16、第二基材17)とから概略構成されている。
【0013】
すなわち、情報媒体10は、モジュール14を内設したフレーム11,12が、第一基材16および第二基材17に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。また、接着層15は、第一基材15および第二基材16と、モジュール14との間の一部、並びに、第一フレーム11と第二フレーム12の間に介在している。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム11,12にモジュール14を内設するとは、フレーム11,12の内側にモジュール14を設けることを言う。
【0014】
第一基材16の第二基材17と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面(外面)」と言う。)16aには、非印刷部18aを有し、種々の印刷からなる印刷層18が設けられている。なお、非印刷部18aは、印刷層18が設けられていない部分であり、モジュール14を構成する表示素子13の表示部13aと対向する窓部をなしている。
第二基材17の第一基材16と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面(外面)」と言う。)17aには、種々の印刷からなる印刷層19が設けられている。
【0015】
第一フレーム11は、第一基材16の第二基材17と対向する面(以下、「他方の面」と言う。)16bに、接着剤または熱融着により接合されている。接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止し、情報媒体10の寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第一基材16に対して、第一フレーム11を熱融着することがより好ましい。
【0016】
また、第一フレーム11の内側には、モジュール14を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール14の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。さらに、この嵌入部11aは、モジュール14を嵌入した場合、表示素子13の表示部13aが第一基材16における非印刷部18aに対向する位置に配置されるように設けられている。
【0017】
第二フレーム12は、第二基材17の第一基材16と対向する面(以下、「他方の面」と言う。)17bに、接着剤または熱融着により接合されている。接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止し、情報媒体10の寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第二基材17に対して、第二フレーム12を熱融着することがより好ましい。
【0018】
また、第二フレーム12の内側には、モジュール14を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール14の外形とほぼ形状が等しい嵌入部12aが設けられている。さらに、第二フレーム12の内側には、嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13b、すなわち、モジュール14における他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部12bが設けられている。これにより、第一フレーム11を接合した第一基材16と、第二フレーム12を接合した第二基材17とを重ね合わせた場合、表示素子13の表示部13aが、第一基材16における非印刷部18aに当接または近接して配置され、表示素子13の表示部13aの視認性が高くなる。なお、当接部12bは、第二フレーム12において、嵌入部12aなどが設けられていない部分であり、第二フレーム12の他の部分と厚さが等しくなっている。
【0019】
また、第一フレーム11と第二フレーム12は厚さが等しくなっている。そして、第一フレーム11と第二フレーム12を重ね合わせた場合の厚さは、モジュール14の厚さとほぼ等しくなっており、第一フレーム11および第二フレーム12に嵌入されたモジュール14の表面(両面)は、第一フレーム11および第二フレーム12の表面(第一フレーム11と第二フレーム12が互いに接する面とは反対側の面)とほぼ同一面をなしている。
より詳細には、第一フレーム11と第二フレーム12は厚さが等しいので、第一フレーム11には、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分が嵌入されており、第二フレーム12には、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分が嵌入されている。また、表示素子13は、第一フレーム11のみに嵌入されており、表示素子13の裏面13bは第二フレーム12の当接部12bに当接している。
【0020】
さらに、第一基材16と第二基材17は、厚さが等しくなっている。
【0021】
このように、厚さが等しい第一フレーム11と第二フレーム12により、厚さが等しい第一基材16と第二基材17、および、これらに内設されたモジュール14が挟持されているので、情報媒体10は、第一フレーム11と第二フレーム12の合わせ目(境界線)を境にして、ほぼ対称な構成をなしている。すなわち、情報媒体10は、その厚さ方向と垂直な中心線にてほぼ対称な構成をなしている。
【0022】
第一フレーム11および第二フレーム12の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0023】
モジュール14としては、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示素子12および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0024】
表示素子13としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。
【0025】
モジュール14がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0026】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0027】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0028】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0029】
モジュール14がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0030】
接着層15をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化する接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
【0031】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物などが挙げられる。
【0032】
このような接着剤としては、一般的なカード基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)に対し、JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される試験方法によって測定される層間剥離強度が、JIS X6301「識別カード−物理的特性」に規定される0.35N/mm以上(望ましくは0.5N/mm以上)である接着剤であれば自由に選択される。
【0033】
また、接着層15を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層15を任意の色に着色することもできる。
【0034】
第一基材16および第二基材17としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0035】
印刷層18,19は、情報媒体10を隠蔽するための装飾用の印刷や、情報媒体10に関連する情報などを表示する印刷からなるものである。
【0036】
この情報媒体10は、第一フレーム11と第二フレーム12を用い、モジュール14を内設した第一フレーム11と第二フレーム12が、第一基材16と第二基材17で挟持されたので、厚さ方向におけるモジュール14の位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
また、第一フレーム11と第二フレーム12の合わせ目(境界線)を境にして、ほぼ対称な構成をなしているから、第一フレーム11を接合した第一基材16と、第二フレーム12を接合した第二基材17との間で、厚さの差異に起因する熱収縮が生じるのを防止できる。
また、第二フレーム12の嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13bに当接する当接部12bが設けられているので、表示素子13の表示部13aが、第一基材16における非印刷部18aに当接または近接して配置され、表示素子13の表示部13aの視認性を高くすることができる。さらに、表示素子13は、モジュール14における他の部分よりも厚さが薄くなっているため、その裏面13bに当接部12bが当接されているので、情報媒体10の内部において、モジュール14が安定に配置される。
【0037】
なお、この実施形態では、接着層15がモジュール14の一部、すなわち、モジュール14の本体部分と表示素子13を接続している部分を被覆している場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールの表面全面と、第一基材および/または第二基材との間に接着層が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、第一フレーム11と第二フレーム12が、接着層15を介して接着された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一フレームと第二フレームが熱融着されていてもよい。
【0038】
また、この実施形態では、第一基材16の一方の面16aに印刷層18が設けられ、かつ、第二基材17の一方の面17aに印刷層19が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の他方の面や、第二基材の他方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【0039】
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、表示素子13を有するモジュール14を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールが表示素子を備えていなくてもよい。
【0040】
「情報媒体の製造方法」
次に、図2〜図14を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
【0041】
まず、図2に示すように、第一基材シート16Aの一方の面16aに、最終的なカード形状の外郭線18bを有するとともに、非印刷部18aを有する印刷層18を等間隔に多数設ける。
【0042】
なお、第一基材シート16Aには、予めそれぞれの印刷層18の短辺の一方に隣接する位置に、間隔を置いて一対の貫通穴16cが設けられている。この貫通穴16cは、後段の工程において、第一基材シート16Aと他の部材を重ね合わせる際の基準となるものである。また、この貫通穴16cを基準として、印刷層18を位置決めする。さらに、第一基材シート16Aには、それぞれの印刷層18および貫通穴16c,16cを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線16d,16eが設けられている。基準線16dは、第一基材シート16Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線16eは、第一基材シート16Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
第一基材シート16Aとしては、上記の第一基材16をなす基材と同様のものが用いられる。
【0043】
また、図3に示すように、工程Aとは別に、第二基材シート17Aの一方の面17aに、最終的なカード形状の外郭線19aを有する印刷層19を等間隔に多数設ける。
【0044】
なお、第二基材シート17Aには、予めそれぞれの印刷層19の短辺の一方に隣接する位置に、間隔を置いて一対の貫通穴17cが設けられている。この貫通穴17cは、後段の工程において、第一基材シート17Aと他の部材を重ね合わせる際の基準となるものである。また、この貫通穴17cを基準として、印刷層19を位置決めする。さらに、第二基材シート17Aには、それぞれの印刷層19および貫通穴17c,17cを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線17d,17eが設けられている。基準線17dは、第二基材シート17Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線17eは、第二基材シート17Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
第二基材シート17Aとしては、上記の第二基材17をなす基材と同様のものが用いられる。
【0045】
また、第一基材シート16Aと第二基材シート17Aの厚さは等しくなっている。
【0046】
また、所定の厚さの基材シートを打ち抜き加工するなどして、図4に示すように、その厚さ方向に貫通し、モジュール14を嵌入する嵌入部11aが等間隔に多数設けられた第一フレームシート11Aを作製する。
第一フレームシート11Aには、それぞれの嵌入部11aの一辺に隣接する位置、かつ、第一フレームシート11Aと第一基材シート16Aを重ねた場合、第一基材シート16Aの貫通穴16cと重なり合う位置に、所定の間隔を置いて一対の貫通穴11bが設けられている。
【0047】
また、第一フレームシート11Aには、それぞれの嵌入部11aおよび貫通穴11b,11bを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線11c,11dが設けられている。基準線11cは、第一フレームシート11Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線11dは、第一フレームシート11Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
さらに、第一フレームシート11Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの短辺に沿って延在する溝11e,11eが設けられている。また、第一フレームシート11Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの長辺に沿って延在する溝11f,11fが設けられている。また、第一フレームシート11Aの基準線11c,11dは、第一フレームシート11Aと第一基材シート16Aを重ね合わせた場合、第一基材シート16Aの基準線16d,16eと重なる位置に設けられている。
第一フレームシート11Aをなす基材としては、上記の第一フレーム11をなす基材と同様のものが用いられる。
【0048】
また、所定の厚さの基材シートを打ち抜き加工するなどして、図5に示すように、その厚さ方向に貫通し、モジュール14を嵌入する嵌入部12aが等間隔に多数設けられるとともに、嵌入部12aにモジュール14を嵌入した場合、表示素子13の裏面13bに当接する当接部12bが設けられた第二フレームシート12Aを作製する。
第二フレームシート12Aには、それぞれの嵌入部12aの一辺に隣接する位置、かつ、第二フレームシート12Aと第二基材シート17Aを重ねた場合、第二基材シート17Aの貫通穴17bと重なり合う位置に、所定の間隔を置いて一対の貫通穴12cが設けられている。
なお、当接部12bは、第二フレームシート12Aにおいて、打ち抜き加工がなされていない部分である。
【0049】
また、第二フレームシート12Aには、それぞれの嵌入部12aおよび貫通穴12c,12cを有する領域を個片化(分割)するための基準となる基準線12d,12eが設けられている。基準線12dは、第二フレームシート12Aの短辺に沿って等間隔に設けられている。また、基準線12eは、第二フレームシート12Aの長辺に沿って等間隔に設けられている。
さらに、第二フレームシート12Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの短辺に沿って延在する溝12f,12fが設けられている。また、第二フレームシート12Aには、個片化された場合の各領域の外縁部において、それぞれの長辺に沿って延在する溝12g,12gが設けられている。また、第二フレームシート12Aの基準線12d,12eは、第二フレームシート12Aと第二基材シート17Aを重ね合わせた場合、第二基材シート17Aの基準線17d,17eと重なる位置に設けられている。
第二フレームシート12Aをなす基材としては、上記の第二フレーム12をなす基材と同様のものが用いられる。
【0050】
また、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの厚さは等しくなっている。
【0051】
次いで、図6に示すように、第一基材シート16Aの他方の面16bに、第一フレームシート11Aを、接着剤または熱融着により接合し、第一基材シート16Aと第一フレームシート11Aからなる積層シートを形成する(工程A)。
【0052】
この工程Aにおいて、第一基材シート16Aの他方の面16bに、第一フレームシート11Aを接合する際、接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止して、第一基材シート16Aと第一フレームシート11Aの寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第一基材シート16Aに対して、第一フレームシート11Aを熱融着することがより好ましい。
また、この工程Aでは、第一基材シート16Aの一対の貫通穴16cと、第一フレームシート11Aの一対の貫通穴11bとを重ね合わせる。これにより、第一基材シート16Aに対して第一フレームシート11Aを位置決めすることができる。
【0053】
また、図7に示すように、工程Aとは別に、第二基材シート17Aの他方の面17bに、第二フレームシート12Aを、接着剤または熱融着により接合し、第二基材シート17Aと第二フレームシート12Aからなる積層シートを形成する(工程B)。
【0054】
この工程Bにおいて、第二基材シート17Aの他方の面17bに、第二フレームシート12Aを接合する際、接着剤の熱収縮などによる寸法不良が生じるのを防止して、第二基材シート17Aと第二フレームシート12Aの寸法安定性を向上するには、接着剤の使用量を少なくすることが好ましく、接着剤を使用することなく、第二基材シート17Aに対して、第二フレームシート12Aを熱融着することがより好ましい。
また、この工程Bでは、第二基材シート17Aの一対の貫通穴17cと、第二フレームシート12Aの一対の貫通穴12cとを重ね合わせる。これにより、第二基材シート17Aに対して第二フレームシート12Aを位置決めすることができる。
【0055】
次いで、図8に示すように、第一基材シート16Aと第一フレームシート11Aからなる積層シートを、上記の基準線11c,11d(基準線16d,16e)に沿って裁断して、個片化(分割)する。
【0056】
また、図9に示すように、第二基材シート17Aと第二フレームシート12Aからなる積層シートを、上記の基準線12d,12e(基準線17d,17e)に沿って裁断して、個片化(分割)する。
【0057】
次いで、図10に示すように、第一基材シート16Aに接合した第一フレームシート11Aの嵌入部11a内に、接着剤塗布装置のノズルなどから吐出した接着剤15Aを塗布する(工程E)。
【0058】
接着剤15Aとしては、上記の接着層15を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一フレームシート11Aの嵌入部11aに対する接着剤15Aの塗布量は、特に限定されないが、モジュール14の大きさ、第一フレームシート11Aの嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0059】
次いで、図11に示すように、第一基材シート16Aに接合した第一フレームシート11Aの嵌入部11aに、表示素子13を有するモジュール14を嵌入する(工程C)。
【0060】
この工程Cでは、表示素子13の表示部13aが第一基材シート16Aにおける非印刷部18aに対向する位置に配置されるように、第一フレームシート11Aの嵌入部11aに、モジュール14を嵌入する。
また、この工程Cでは、第一基材シート16Aに対して、モジュール14を押圧することにより、第一基材シート16Aとモジュール14の間に、接着剤15Aを展開させる。
このとき、第一フレームシート11Aの嵌入部11aには、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分を嵌入し、また、表示素子13の厚さ方向において、表示素子13の全てを嵌入する。
【0061】
次いで、図12に示すように、第一フレームシート11Aの第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面(第二基材シート17Aおよび第二フレームシート12Aと対向させる面)11g、並びに、モジュール14の第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面(第二基材シート17Aおよび第二フレームシート12Aと対向させる面)14aに、接着剤塗布装置のノズルなどから吐出した接着剤15Bを塗布する(工程F)。
【0062】
接着剤15Bとしては、上記の接着層15を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一フレームシート11Aの第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面11g、および、モジュール14の第一基材シート16Aと対向する面とは反対側の面14aに対する接着剤15Bの塗布量は、特に限定されないが、モジュール14の大きさ、第二フレームシート12Aの嵌入部12aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0063】
次いで、図12、図13に示すように、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に塗布した接着剤15Bを介して、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを重ね合わせて、第二フレームシート12Aの嵌入部12aに、モジュール14を嵌入し、モジュール14の表示素子13の裏面13bに、第二フレームシート12Aの当接部12bを当接するとともに、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aを突き合わせて、接合する(工程D)。
【0064】
この工程Dでは、第一基材シート16Aの貫通穴16cおよび第一フレームシート11Aの貫通穴11bと、第二基材シート17Aの貫通穴17cおよび第二フレームシート12Aの貫通穴12cとを重ね合わせるように、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを重ね合わせる。すなわち、第一基材シート16Aの貫通穴16c、第一フレームシート11Aの貫通穴11b、第二基材シート17Aの貫通穴17c、および、第二フレームシート12Aの貫通穴12cが連通するように、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを重ね合わせる。
これにより、第一基材シート16Aの一方の面16aに設けた印刷層18の外郭線18bと、第二基材シート17Aの一方の面17aに設けた印刷層19の外郭線19aとを重ね合わせることができる。
【0065】
また、この工程Dでは、第一フレームシート11Aおよびモジュール14に対して、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aを押圧することにより、第二基材シート17Aとモジュール14の間、および、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に、接着剤15Bを展開させる。
この工程Dでは、第二基材シート17Aとモジュール14の間、および、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に展開させた接着剤15Bの余剰分を、第一フレームシート11Aおよび第二フレームシート12Aの外縁に、裾拡がりするように展開させる。これにより、接着剤15Bの余剰分は、第一フレームシート11Aの外縁部に設けられた溝11e,11e,11f,11f、および/または、第二フレームシート12Aの外縁部に設けられた溝12f,12f,12g,12gに流入する。その結果、第二基材シート17Aとモジュール14の間、および、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間には、これらの接合に必要な量の接着剤15Bが存在するようになる。
このとき、第二フレームシート12Aの嵌入部12aには、表示素子13以外の部分では、モジュール14の厚さ方向において、モジュール14の半分を嵌入する。
【0066】
次いで、第一基材シート16A、第一フレームシート11A、接着剤15A、モジュール14、接着剤15B、第二フレームシート12Aおよび第二基材シート17Aから構成される積層体を加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)する(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤15A,15Bを硬化させて、接着層15を形成するとともに、前記の積層体を一体化する。
【0067】
次いで、図14に示すように、第一基材シート16A、第一フレームシート11A、接着層15、モジュール14、第二フレームシート12Aおよび第二基材シート17Aから構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層18aの外郭線18a、印刷層19aの外郭線19a)に沿って裁断して、情報媒体10を得る。
【0068】
この工程では、上記の積層体の裁断により、接着剤15Bの余剰分も分離、除去される。
【0069】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、第一基材シート16Aに接合した第一フレームシート11Aと、第二基材シート17Aに接合した第二フレームシート12Aとを用い、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に、モジュール14を内設するので、厚さ方向におけるモジュール14の位置を安定させることができるとともに、製造時間を短くすることができる。
また、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの合わせ目(境界線)を境にして、ほぼ対称な構造の情報媒体10を製造することができるので、得られた情報媒体10において、第一フレーム11を接合した第一基材16と、第二フレーム12を接合した第二基材17との間で、厚さの差異に起因する熱収縮が生じるのを防止できる。したがって、得られた情報媒体10は、寸法安定性に優れ、収縮によるしわなどの外観不良が生じない。
【0070】
なお、この実施形態では、大面積の第一基材シート16A、第一フレームシート11A、第二フレームシート12Aおよび第二基材シート17Aを用いた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化(分割)された第一基材、第一フレーム、第二フレームおよび第二基材を用い、第一基材および第二基材に印刷層を設けた後、それぞれの基材にフレームを接合したものを用いてもよい。
【0071】
また、この実施形態では、工程Bと工程Cの間に、工程Eを行い、工程Cと工程Dの間に、工程Fを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Eまたは工程Fのいずれか一方、あるいは、工程Eと工程Fの両方を行ってもよい。すなわち、この実施形態において、工程Eのみを行う場合、第一フレームシート11Aの嵌入部11a内に塗布した接着剤15Aの余剰分を、第一フレームシート11Aと第二フレームシート12Aの間に展開し、その接着剤で、2つのフレームシートを接合する。また、工程Fのみを行う場合、第一フレームシート11Aには、モジュール14を嵌入するのみとする。
【0072】
また、この実施形態では、工程A、工程Bおよび工程Cを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程A、工程Bおよび工程Cを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、例えば、工程Bにて、第二基材に第二フレームを接合した後、工程Aにて、第一基材に第一フレームを接合してもよい。また、例えば、工程Cにて、第一フレームの嵌入部に、モジュールを嵌入した後、工程Aと工程Bを行ってもよい。
【0073】
また、この実施形態では、第一基材シート16Aの一方の面16aに印刷層18を設け、かつ、第二基材シート17Aの一方の面17aに印刷層19を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材シートの他方の面や第二基材シートの他方の面に印刷層を設けてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム(第一フレーム)、11A・・・第一フレームシート、12・・・フレーム(第二フレーム)、12A・・・第二フレームシート、13・・・表示素子、14・・・モジュール、15・・・接着層、16・・・基材(第一基材)、16A・・・第一基材シート、17・・・基材(第二基材)、17A・・・第二基材シート、18,19・・・印刷層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、
前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、
前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、
前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられたことを特徴とする情報媒体。
【請求項2】
一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた情報媒体の製造方法であって、
第一基材における第二基材に対向させる面に、モジュールを嵌入する嵌入部が設けられた第一フレームを接合する工程Aと、
前記第二基材における第一基材に対向させる面に、前記モジュールを嵌入する嵌入部、および、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた第二フレームを接合する工程Bと、
前記第一フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入する工程Cと、
前記第一フレームおよび前記モジュールに、前記第二フレームを重ね合わせて、前記第二フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入し、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に前記当接部を当接するとともに、前記第一フレームと前記第二フレームを接合する工程Dと、
前記工程Bと前記工程Cの間において、前記第一フレームの嵌入部内に、接着剤を塗布する工程E、または、前記工程Cと前記工程Dの間において、前記第一フレームおよび前記モジュールの前記第二基材と対向させる面に接着剤を塗布する工程Fとのいずれか一方または両方と、を有し、
前記工程A、前記工程Bおよび前記工程Cを順不同に行うことを特徴とする情報媒体の製造方法。
【請求項1】
一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、
前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、
前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、
前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられたことを特徴とする情報媒体。
【請求項2】
一対のフレームと、これらのフレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記モジュールの一部を被覆する接着層と、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記フレームは、前記一対の基材の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、前記フレームに、前記モジュールを嵌入する嵌入部が設けられ、前記一対のフレームの一方に、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた情報媒体の製造方法であって、
第一基材における第二基材に対向させる面に、モジュールを嵌入する嵌入部が設けられた第一フレームを接合する工程Aと、
前記第二基材における第一基材に対向させる面に、前記モジュールを嵌入する嵌入部、および、前記嵌入部に前記モジュールを嵌入した場合、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に当接する当接部が設けられた第二フレームを接合する工程Bと、
前記第一フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入する工程Cと、
前記第一フレームおよび前記モジュールに、前記第二フレームを重ね合わせて、前記第二フレームの嵌入部に、前記モジュールを嵌入し、前記モジュールにおける他の部分よりも厚さの薄い部分の裏面に前記当接部を当接するとともに、前記第一フレームと前記第二フレームを接合する工程Dと、
前記工程Bと前記工程Cの間において、前記第一フレームの嵌入部内に、接着剤を塗布する工程E、または、前記工程Cと前記工程Dの間において、前記第一フレームおよび前記モジュールの前記第二基材と対向させる面に接着剤を塗布する工程Fとのいずれか一方または両方と、を有し、
前記工程A、前記工程Bおよび前記工程Cを順不同に行うことを特徴とする情報媒体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−53610(P2012−53610A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194848(P2010−194848)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]