説明

情報担体

【課題】重畳情報の再生が後に送信されるべき情報に依存しないビデオ情報を送信するための手段を提供する。
【解決手段】付加的な情報を別個に送信すれば、ユーザは、この付加的な情報を再生すべきか否かを選択することができる。開示される情報担体においては、記録されたビデオ信号が、前記付加的な情報をディスプレイ上に保持する持続時間に関する情報を有する。この情報担体により、前記付加的な情報を、所望の持続時間の間正確に表示することができる。ビデオ情報を伝送するためにビデオディスクまたはテープを使用する場合、これは、高速再生等のトリックモードにおいて有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ情報を表す情報信号によりディスプレイ上への再生を目的としたビデオ情報を送信する方法であって、該ビデオ情報は、基本情報と該基本情報に関連付けられる重畳情報とを有するビデオ情報を送信する方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、情報信号が記録される情報担体であって、該信号は、ディスプレイ上への再生を目的としたビデオ情報を表し、該ビデオ情報は、基本情報と該基本情報に関連付けられる重畳情報とを有する情報担体に関する。
【0003】
本発明はさらに、前記方法において使用される情報を受信するための装置及び送信するための装置に関する。
【背景技術】
【0004】
このような方法、情報担体及び装置は、国際特許公開第92/00647号から既知である。基本情報がアナログビデオ情報であるようなビデオ信号は、レーザディスクにより伝送される。この場合、ディジタルエンコードされたサブタイトル情報が、ディジタルオーディオ信号のサブコード内に前記ビデオ情報とは別個に重畳情報としてレーザディスク上に記録される。このサブコード情報が生成される場合、前記サブタイトル情報が、テキストが示されるべき瞬時も指示するファイルから読出される。この場合、サブタイトルは、この瞬時に対応するオーディオ信号サブコード内に記録される。再生時、一度これらサブタイトルが前記サブコードから復元されると、これらサブタイトルは表示される。
【0005】
この既知の方法の問題点は、テレビジョンスクリーン上に表示されるサブタイトルが次のサブタイトルを受信するまでとどまっていることであり、ゆえに、サブタイトルが、例えば、シーンが変化する場合においてスクリーン上に長く残りすぎ得ることである。これは、次のサブタイトルを受信しない、例えば、高速再生または逆方向再生等のレーザディスクのトリックモードが使用される場合特に生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、重畳情報の再生が後に送信されるべき情報に依存しないビデオ情報を送信するための手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明によれば、冒頭に規定されるタイプの方法は、前記重畳情報が、該重畳情報が表示されるべき期間を示す時間情報を有することを特徴とする。本発明による方法は、例えば、前記重畳情報をいかなる所望の期間の間テレビジョンスクリーン上に示すことができる点で有利である。これは、前記重畳情報の表示を前記基本情報とよりリンクさせることができることを提供する。
【0008】
本発明による方法に関する実施例は、前記時間情報が、前記重畳情報が前記ディスプレイ上に現れ得る瞬時からの合計期間を示す持続時間を有することを特徴とする。この実施例は、所定の持続時間を簡単に表示中にカウントできる点で有利である。他の利点は、高速再生または高速逆再生モードにおいて、前記重畳情報を依然元の持続時間の間表示可能にすることを達成する。
【0009】
本発明による方法に関する他の実施例は、前記基本情報が、該基本情報の相対時間を示す時間コードを含み、前記時間情報は、当該重畳情報が前記ディスプレイから除去されるべき相対的な瞬時を示す除去時間を含むことを特徴とする。この実施例は、再生時に、前記持続時間を、前記除去時間と実行相対時間(the running relative time)とを比較することにより簡単に決定することができる点で有利である。より進んだ相対時間が分かった瞬間、前記重畳情報は前記ディスプレイから除去される。
【0010】
本発明による方法に関する他の実施例は、前記基本情報がビデオ情報を有し、前記重畳情報がグラフィック情報を有することを特徴とする。この実施例は、前記基本情報が動画像であり、前記重畳情報が任意に重畳されるべきグラフィック画像である点で有利である。
【0011】
本発明による方法に関する他の実施例は、前記重畳情報がサブタイトルテキストを有することを特徴とする。この実施例は、サブタイトルテキストを任意に前記基本情報に重畳できる点で有利である。
【0012】
本発明による方法に関する他の実施例は、前記基本情報がディジタル圧縮されたビデオ情報を有することを特徴とする。この実施例は、前記基本情報と前記重畳情報との両方を、ディジタルシンボルにより表されて、同様に送信可能である点で有利である。
【0013】
本願第2の発明によれば、冒頭に規定されるタイプの情報担体は、前記重畳情報が、該重畳情報が表示されるべき期間を示す時間情報を有することを特徴とする。本発明による情報担体は、例えば、前記重畳情報を、該重畳情報に次いで読出される他の情報とは無関係に、所望の持続時間の間テレビジョンスクリーン上に表示可能である点で有利である。前記ビデオ情報のプロバイダに対しては、持続時間を再生装置とは無関係に決定することができる点で有利である。
【0014】
本願第3の発明によれば、冒頭に規定されるタイプの情報信号を受信するための手段及び前記重畳情報と組合わされる前記基本情報を表すビデオ信号を生成するための組合せ手段を有する装置において、前記情報信号から前記時間情報を復元するための手段を有し、前記組合せ手段が前記時間情報の関数として前記重畳情報を表示するように構成されることを特徴とする。本発明による装置は、所望の持続時間の間、前記重畳情報を、情報をテレビジョンスクリーン上に表示するために、前記基本情報と組合わせることができ、この情報は、該重畳情報に次いで受信される他の情報とは無関係である点で有利である。
【0015】
本願第4の発明によれば、冒頭に規定されるタイプの情報信号を生成するための生成手段及び前記情報信号を送信するための手段を有する装置において、前記時間情報を生成するための手段を有し、前記生成手段が前記重畳情報に前記時間情報を付加するように構成されることを特徴とする。本発明による装置によれば、例えば、送信時に、後の瞬時における情報信号内に情報を含ませる必要なく、前記重畳情報を、前記基本情報と共にどのくらいの長さ表示すべきかを決定できる点で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載の実施例を参照してより明白に説明されるであろう。
【0017】
図面に記載された構成要素と同一の構成要素には、同一の参照番号が付されている。
【0018】
第1図は、ビデオ情報が表示されているテレビジョンスクリーン1を示している。このビデオ情報は、第1a図に示されるように前記テレビジョンスクリーンの全画面にわたって表示される基本情報2を有している。この基本情報2は、フィルム映像またはテレビジョンプログラム等の動画像により形成されても良い。この基本情報はまた、アニメーションや、さらには写真画像を有しても良い。第1b図は、グラフィック情報3を重畳情報として表示する前記と同一の基本情報2を示している。例えば、基本情報2は、背景において同一のままであるかもしれないが、一方、繰り返し新しい音符が重畳情報として表示されても良い。第1c図は、フィルムに対して使用可能であるような重畳情報としてサブタイトルテキスト4を示している。テレビジョンシステムにおいて、重畳情報は、送信の前に基本情報と組合わされ、この重畳情報は、基本情報の各映像に従って送信される。例えば前述の国際特許公開第92/00647号においてなされるように個別に重畳情報を送信することにより、一つ以上の重畳情報を従って送信することは可能である。この場合、ユーザは、例えば、複数の言語から選択することができまた、完全にサブタイトル4を省くことができる。
【0019】
第2図は、ビデオ情報を送信するためのシステムを示している。ビデオ情報は、例えば、テレビジョン信号、ネットワークを介するディジタル変調された信号若しくはVCR(ビデオカセットレコーダ)等の磁気テープ上にまたはレーザディスク、ディジタルビデオディスク等の光学ディスク上に記録された信号等の情報信号により送信される。情報信号を送信するための装置21は、ビデオ情報信号を受信装置23に向けて送信チャネル22により送信するであろう。受信装置23は、ユーザに対してビデオ信号を再生する。情報信号は、例えば、アナログPALまたはNTSCビデオ信号若しくはMPEG1またはMPEG2のディジタルエンコード及び圧縮されたビデオ信号等の基本情報の表現を少なくとも有している。さらに、この情報信号は、情報シンボルによりエンコードされた重畳情報の表現を有している。これらシンボルは、基本情報から別個に復元されても良い。重畳情報のあるページは、しばらくの後重畳情報の次のページが受信される場合に置換されるであろう。他のオプションは、新しい映像毎に従って重畳情報を送信することである。しかしながら、これは、特に、例えば、複数の言語に関するサブタイトルが送信されるような場合、かなりの送信能力を犠牲にすることになる。ビデオ信号において、前記シンボルは、水平または垂直帰線時にディジタル信号の形態に従って送信されても良い。完全にディジタル化された情報ストリームにおいて、別個のユーザデータストリームを、例えば、ディジタルデータストリームをパケットに分割し、これらパケットに情報のタイプを示すヘッダを提供することにより多重して送信しても良い。MPEG2の場合、ビデオ情報は、ITU/ISO 13818-2国際標準に記載されるようにエンコードされる。ITU/ISO 13818-1においては、エンコードされたビデオデータのエレメンタリストリームが、例えばMPEG2プログラムストリームへオーディオ及びサブタイトルを表す他のエンコードされたデータとどのように多重されるかが記載されている。MPEGにより規定されないタイプの情報は、所望に選択されるべきフォーマットで'プライベートパケット'内に含ませることができる。この場合、MPEG2は、"プライベートストリーム1"として規定されたフォーマットの付加的なヘッダを搬送し、すなわち、"プライベートストリーム2"として規定されたフォーマットを持たないパケットを識別する。サブタイトルは、例えば、プライベートストリーム1パケット内に含まれても良い。すなわち、これらパケットは、テレビジョンスクリーンへの初提示時間(initial presentation time)を示す任意の提示時間スタンプを有しても良い。次のサブタイトルの提示時間が来るまで、サブタイトルは置換されないであろう。
【0020】
本発明による情報信号においては、重畳情報は、該重畳情報がテレビジョンスクリーン上に表示されるべき持続時間を指示する時間情報を有している。重畳情報に向けられた上述のシンボルは、例えば、MPEG2ストリームのプライベートパケットで情報信号内に含まれる。ここで、これらパケットは、時間コードを含んでいる。第3図は、重畳ページの表示を制御するために重畳情報に付加することができる本発明による時間コードを持つ情報信号の例を表に示している。使用可能なビット数がパラメータ毎に与えられている。page_start_codeはページの始まりを示し、page_data_lengthはページの情報量を示し、他の制御情報、例えば、持続時間25用の領域がある。時間コードは、例えば、秒単位(または数分の1秒単位)の持続時間を示しても良い。フレーム数または使用可能なシステムクロック、例えば、MPEGにおいて90kHz、のユニット数等の異なる適切な時間ユニットを選択しても良い。この持続時間は、例えばMPEG2において提示時間スタンプの後に、重畳情報がテレビジョンスクリーン上に表示される場合始まる。
【0021】
基本情報の相対時間を示す時間コードを有する基本情報信号の場合においては、表示される基本映像に関して使用可能な時間指示(time indication)がある。この場合、時間情報は、当該重畳情報がもはやテレビジョンスクリーン上に表示されなくなる(相対的な)瞬時を示す除去時間(a time of removal)により指示されても良い。MPEG2に対する時間情報は、例えば、パケットヘッダの延長部内にまたはユーザデータ内に含まれても良い。
【0022】
第4図は、CDまたはレーザディスク等のディスク状の光学的に読出し可能な情報担体30を示している。螺旋状または同心状トラック31内に、テレビジョンスクリーン上に表示されるべきビデオ情報を表す情報信号が記録されている。CDの読出しに関する記載は、ISBN 0-85274-785-3のBrouwhuis他による"Principles of optical disc systems"に見ることができる。ビデオ情報及び情報信号は、第1図及び第2図を参照して述べられている。この場合、重畳情報は、第3図を参照して述べたように、該重畳情報がテレビジョンスクリーン上に表示されるべき持続時間を示す時間情報を有している。
【0023】
第5図は、衛星受信機またはセット−トップ−ボックス(set-top-box)がまた参照されるテレビジョン信号デコーダ等のビデオ情報を受信するための装置を示している。送信された信号は、(当該装置の一部ではない)アンテナ41を介してまたはケーブルコネクタを介して受信手段42に到達する。受信手段42において、情報信号は復元され、組合せ手段43に供給される。組合せ手段43において、ビデオ信号が、重畳情報と組合わされる基本情報から生成される。情報信号はまた、時間情報を復元するための手段44にも供給される。一方、適切な瞬時においてこの手段44は、組合せ手段43にコマンドを与え、時間情報に依存してテレビジョンスクリーンから重畳情報を除去する。ビデオ信号は、出力46を通じてユーザに供給されても良い。他の実施例においては、当該装置はまた、映像を直に再生することが可能なディスプレイ45を有する。
【0024】
第6図は、例えばCD等の情報担体30を読出すための装置を示している。この装置は、光学ビーム50によりトラック31を走査するための走査手段51を有している。当該装置はさらに、第5図の装置に対応している。受信された信号は、受信手段42に供給され、次いで、組合せ手段43及び時間コードを復元するための手段44に供給される。情報信号処理は、第5図を参照して述べられている。
【0025】
第7図は、例えばテレビジョン送信機等のビデオ情報を送信するための装置を示している。ビデオ情報は、映像生成手段62に供給される。すなわち、基本情報が入力60を介して供給され、重畳情報が別個の入力61を介して供給される。映像生成手段62は、ビデオ情報をエンコードし、情報信号を生成する。重畳情報の表示についての情報は、入力67を介して時間コード生成手段63に供給される。時間コード生成手段63は、表示持続時間に関する時間コードを生成する。持続時間は、例えば、事前に定義され、コンピュータファイル内に記憶されても良い。しかし、この持続時間はまた、サブタイトルの長さから自動的に得ても良くまた、オペレータにより手動的に得ても良い。マルチプレクサ64において、生成された時間コードは重畳情報に付加され、この後、完全な情報信号が、送信手段65において増幅され、アンテナ66を介して送信される。フィルム用のサブタイトルテキストが2言語使用可能である場合、時間コード生成手段63は、これら2言語に対して別個の時間コードを生成するであろう。この場合、受信機において、サブタイトルを付さないか、いずれかの言語のサブタイトルを付すか選択されても良い。
【0026】
第8図は、例えば、CD−ROM等の情報担体によりビデオ情報を送信するための装置を示している。最初に、マスタ情報担体が、図示の装置により作成される。この場合、このマスタ情報担体から、(図示せず)モールド及びプレスを用いて通常のプロセスにより多数の情報担体が生成される。完全な情報信号が、第7図を参照で述べたように生成手段(62、63、64)により生成される。チャネルエンコードユニット70が、ディスク状担体に対して通常のように情報信号をエンコードし、この情報は放射ユニット71に送られる。例えば、高密度レーザビーム等の放射ビーム72により、放射ユニット71は、マスタ情報担体73上に作用を生じさせる。(図示しない)通常のタイプのシステムコントローラが、ディスクの回転速度を制御し、トラック31にわたって放射ユニット71の位置決めを行う。CDシステムの他の記載に関しては、第4図を参照して述べた書名を参照されたい。他の実施例において、同様の装置は、CDレコーダブル、VCRテープまたは光学テープ等の直接記録可能な記録担体上に情報信号を記録することに適している。
【0027】
前述の装置に関する実施例は、第5、6、7及び8図の例に限定されず、重畳情報が表示持続時間を示す時間情報を有して、ビデオ情報を受信及び/または送信するためのいかなる装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1a】ビデオ情報を表示するテレビジョンスクリーンを示す。
【図1b】ビデオ情報を表示するテレビジョンスクリーンを示す。
【図1c】ビデオ情報を表示するテレビジョンスクリーンを示す。
【図2】ビデオ情報を送信するためのシステムを示す。
【図3】持続時間の情報の表を示す。
【図4】情報担体を示す。
【図5】ビデオ情報を受信するための装置を示す。
【図6】情報担体を読出すための装置を示す。
【図7】ビデオ情報を送信するための装置を示す。
【図8】情報担体によりビデオ情報を送信するための装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ上への再生を目的としたビデオ情報を表す情報信号が記録される情報担体であって、該ビデオ情報は基本情報と該基本情報に関連付けられる重畳情報とを有する情報担体において、前記重畳情報は、該重畳情報が表示されるべき期間を示す時間情報を有することを特徴とする情報担体。
【請求項2】
前記時間情報は、前記重畳情報がテレビジョンスクリーン上に現れ得る瞬時からの合計期間を示す持続時間を有することを特徴とする請求項1に記載の情報担体。
【請求項3】
前記基本情報は、該基本情報の相対時間を示す時間コードを含み、前記時間情報は、当該重畳情報が前記ディスプレイから除去されるべき相対的な瞬時を示す除去時間を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報担体。
【請求項4】
前記基本情報はビデオ情報を有し、前記重畳情報はグラフィック情報を有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の情報担体。
【請求項5】
前記重畳情報はサブタイトルテキストを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報担体。
【請求項6】
前記基本情報はディジタル圧縮されたビデオ情報を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報担体。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−228576(P2007−228576A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−29641(P2007−29641)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【分割の表示】特願平9−506485の分割
【原出願日】平成8年7月12日(1996.7.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】