説明

情報掲示装置

【課題】画面に表示されている情報を簡単な操作でユーザが入手できるようにする。
【解決手段】表示パネル10の画面にユーザが近づいたとき、検出部12がユーザを検出すると、ユーザの通信ボックス51が画面に表示される。ユーザは、必要な情報ファイルのアイコン50をドラッグ&ドロップの操作によって、通信ボックス51に入れる。情報ファイルを添付ファイルとする電子メールが作成される。電子メールが検出されたユーザの情報処理装置2宛に送信される。ユーザは、自己所有の情報処理装置2において、必要な情報を取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のディスプレイを用いた会議等に利用される情報掲示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
会議や打ち合わせ等において、各種の資料や報告書といった情報をユーザに開示するために、大型のディスプレイを備えた情報掲示装置が使用される。情報掲示装置は、会議の参加者から提供された情報ファイルを画面に表示する。
【0003】
そして、会議に参加したユーザが、表示された情報ファイルから必要な情報ファイルを入手したいとき、ユーザは、パソコン、携帯電話等の情報処理装置を用いて、当該情報ファイルを取得する。例えば、ユーザの情報処理装置が、情報掲示装置あるいは情報ファイルを保存しているサーバにアクセスして、記録媒体にコピーする、あるいは情報ファイルを添付した電子メールを作成して、ユーザのアドレス宛に電子メールを送信する。
【0004】
しかし、ユーザにとって、所望する情報ファイルを入手するための操作が煩雑となる。特許文献1に記載されているように、情報掲示装置が情報ファイルの保管場所情報をユーザが携帯する端末装置に送信する。ユーザは、端末装置を通じて情報ファイルにアクセスして、この情報ファイルを入手する。これによって、簡単な操作で必要な情報ファイルを提供することができる。
【特許文献1】特開2002−49595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報ファイルの保管場所情報を取得するには、ユーザは携帯電話等の端末装置を所持していなければならない。また、保管場所情報を端末装置に送信するために、情報掲示装置での操作が必要となる。しかも、会議で使用された多くの情報ファイルの中から目的の情報ファイルを捜すのに時間がかかる。このように、ユーザが必要な情報を入手するには、依然としてユーザは負担を強いられる。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、ユーザに負担をかけずに、簡単な操作で必要な情報ファイルを取得できるようにした情報掲示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画面に情報ファイルを表示する表示部と、情報処理装置と通信を行う通信部と、画面の近傍にいるユーザを検出する検出部とを備え、表示部は、検出されたユーザの通信ボックスを表示し、通信部は、表示されている情報ファイルを通信ボックスに入れる操作がされたとき、当該情報ファイルを情報処理装置に送信する。
【0008】
ユーザが、情報ファイルが通信ボックスに入れる操作をすると、自動的に指定された情報処理装置に情報ファイルが送信される。ユーザは情報ファイルを通信ボックスに入れる操作を行うだけでよく、その他の操作が不要となる。
【0009】
この通信ボックスは、ユーザに応じて決められた送信先情報を有し、通信部は、送信先の情報処理装置に情報ファイルを送信する。したがって、ユーザが所有する情報処理装置宛に情報ファイルを送信することができ、ユーザは必要な情報を簡単に入手できる。
【0010】
表示部は、複数のユーザに対する共同通信ボックスを表示し、通信部は、表示されている情報ファイルが共同通信ボックスに入れられる操作がされたとき、各ユーザに応じて決められた複数の情報処理装置に情報ファイルを送信する。複数のユーザが検出されたとき、表示部は、共同通信ボックスを表示する。
【0011】
共同通信ボックスを設けることにより、1回の操作で画面の近傍にいるユーザ全員の情報処理装置に情報ファイルを送信できる。これによって、複数のユーザは、同じ情報ファイルを簡単に入手することができる。
【0012】
また、共同通信ボックスは、予め登録されたユーザの送信先情報を有し、通信部は、登録されたユーザ全員の情報処理装置に情報ファイルを送信する。この共同通信ボックスでは、画面の近傍にいるユーザだけでなく、画面の近くにいないユーザあるいは会議等に欠席したユーザをも送信先に設定されている。したがって、1回の操作で、情報に関係する全てのユーザに情報ファイルを送信することができる。
【0013】
表示部は、ユーザの特徴に応じた位置に通信ボックスを表示する。また、表示部は、画面に近づいたユーザの位置に応じて通信ボックスを表示する。さらに、表示部は、同一のユーザの複数の通信ボックスを表示する。このように、ユーザに合わせた位置に通信ボックスを表示することができるので、通信ボックスの使い勝手がよくなる。
【0014】
通信部は、決められた情報処理装置に情報ファイルを送信できないとき、ユーザのアクセスが可能なサーバに送信する。ユーザの情報処理装置において情報ファイルを取得できなくても、サーバに情報ファイルが送信されるので、ユーザはサーバを通じて情報ファイルを入手できる。
【0015】
通信部は、表示されている情報ファイルが通信ボックスに入れられる操作がされてから所定時間の待機後、送信する。所定時間の間に、ユーザは他の情報ファイルを通信ボックスに入れる操作を行える。したがって、1回の操作で複数の情報ファイルを送信することができる。
【0016】
通信ボックスは、ユーザの個人情報を保存する記憶部から取得した個人情報に基づいて作成され、表示部は、検出されたユーザに応じて作成された通信ボックスを表示する。記憶部は、外部のサーバとされ、通信部は、サーバと通信を行って、個人情報を取得する。なお、記憶部は、情報掲示装置内の記憶部であってもよい。個人情報を利用して、通信ボックスに送信先を自動的に割り当てることができる。さらに、個人情報にユーザの特徴が含まれていると、ユーザに応じて適切な位置に通信ボックスを表示できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ユーザに応じて作成され表示される通信ボックスに情報ファイルを入れるといった簡単な操作によって、ユーザは必要な情報を確実に手元に入手することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本実施形態の情報掲示装置を備えた情報表示システムを図1に示す。本システムは、情報掲示装置1、情報処理装置2およびサーバ3によって構成され、これらがLANあるいはインターネットといったネットワークを通じて通信可能に接続される。情報掲示装置1は、例えば会議室やショールーム、店舗等のように多数の人が集まる場所に設置される。
【0019】
情報掲示装置1は、画面に各種の画像を表示する表示部4と、表示部4を制御する制御装置5とから構成される。表示部4と制御装置5とは分離され、通信ケーブルにより通信可能に接続される。あるいは表示部4と制御装置5との間で、無線通信を行うようにしてもよい。また、表示部4と制御装置5とが一体化されたものであってもよい。
【0020】
表示部4は、液晶ディスプレイといった表示パネル10と、タッチペンあるいは指による入力操作が可能なタッチパネル11とからなる。表示パネル10の画面の前面にタッチパネル11が配置される。
【0021】
表示部4には、画面の近傍にいるユーザを検出するための検出部12が設けられている。検出部12は、RFID(RadioFrequency Identification)を利用して、画面に近づいてくるユーザを検出し、ユーザのID情報を取得する。すなわち、検出部12は、ユーザが所持するIDカード等の非接触ICカードと無線通信するリーダとされる。検出部12は、表示部4の上部に取り付けられ、画面の前方が通信可能な領域とされる。なお、なお、ユーザは、IDカードに限らず、アクティブRFIDタグあるいはパッシブRFIDタグを搭載した小型通信機器を携帯していればよい。
【0022】
ユーザが通信可能な領域に入ってきたときに、検出部12は、IDカードと情報をやり取りする。この無線通信の開始によって、ユーザが画面の近傍にいることが検出されるとともに、IDカードからID情報が取得される。
【0023】
また、検出部12は、画面に近づいたユーザの位置を検出する。すなわち、IDカードから発せられる電波に基づいて、ユーザが接近してくる方向を検知する。この位置検知によって、画面に対するユーザの位置を検出することができる。この位置検知の代わりに、カメラを用いて、ユーザを撮影して、ユーザの位置を検出してもよい。あるいは距離センサにより、ユーザまでの距離を計測して、ユーザの位置を検出してもよい。以上のことから、検出部12は、ユーザの位置を検出する位置検出機能と、ユーザを特定するための識別機能とを有していればよく、複数のセンサを組み合わせるとよい。
【0024】
制御装置5として、パソコンが使用され、ネットワークに接続される。制御装置5は、表示パネル10を駆動制御する表示制御部20と、タッチパネル11からの入力を検知するタッチパネル制御部21と、検出部12からの入力信号を処理するユーザ検出制御部22と、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等からなる記憶部23と、各部を制御するコントロール部24とを有する。
【0025】
表示制御部20は、通信インターフェース25を介して表示パネル10と接続され、コントロール部24からの画面データに基づいて、表示パネル10に駆動信号を出力して、画面に画像を表示させる。タッチパネル制御部21は、通信インターフェース26を介してタッチパネル11と接続され、ユーザが入力操作したときにタッチパネル11から出力される検出信号を受けて、ユーザが操作した入力位置情報を生成し、コントロール部24に出力する。
【0026】
ユーザ検出制御部22は、通信インターフェース27を介して検出部12と接続され、検出部12からの出力信号に基づいてユーザの接近を判断して、ユーザ位置情報を生成するとともに、接近してきたユーザのID情報を取得する。そして、これらの情報をコントロール部24に出力する。
【0027】
記憶部23は、入力された各種のデータを保存する。例えば、画面に表示する情報ファイルデータ30を保存する。そして、本システムを会議に使用可能とするために、記憶部23は、運用テーブル31、初期設定テーブル32、表示位置テーブル33、表示サイズテーブル34、表示属性テーブル35、通信ボックス用データテーブル36、会議出席者テーブル37を有している。なお、情報掲示装置は会議以外にも広告、掲示板として使用可能であり、使用目的に応じて、必要なテーブルが適宜作成される。
【0028】
コントロール部24は、CPU、ROM、RAMを有し、搭載されたプログラムにしたがって、画面に画像を表示するための処理を実行する。また、コントロール部24は、情報処理装置2やサーバ3との通信処理を行う通信部28を有する。
【0029】
通信部28は、通信インターフェース29を介してネットワークに接続される。通信部28は、TCP/IP等の所定の通信プロトコルにしたがってネットワークを通じて情報処理装置2あるいはサーバ3と通信を行う。なお、ネットワークへの通信は、有線あるいは無線のいずれであってもよい。さらに、通信部28は、無線通信インターフェースを介して携帯電話等の携帯端末装置と赤外線、ブルートゥース(登録商標)による無線通信を行う。また、カードインターフェースを介してICカードやメモリカードとデータ通信したり、USBポートを介してUSB機器ともデータ通信を行う。
【0030】
情報処理装置2は、パソコンとされ、複数のユーザがそれぞれ所有している。各情報処理装置2は、それぞれメールアドレスおよびIPアドレスを有しており、情報掲示装置1、他の情報処理装置2およびサーバ3との間で電子メールの送受信やデータの送受信を行う。
【0031】
図1に示すように、ユーザA、X、Y、Zの各氏は、それぞれ情報処理装置A、X、Y、Zを所有して、各情報処理装置A、X、Y、Zにメールアドレスがそれぞれ設定されている。ユーザAは2台の情報処理装置A1、A2を所有し、それぞれ異なるメールアドレスが設定されている。
【0032】
複数のサーバ3がネットワークに接続されている。1つのサーバ3は、本システムの管理サーバAとして機能する。このサーバ3は、予め登録されたユーザの情報を管理する。サーバ3の記憶部40は、管理テーブル41を有し、管理テーブル41には、ユーザのID情報、ユーザの個人情報、情報処理装置2のメールアドレス、IPアドレス、ドメイン名といった送信先情報が記憶されている。個人情報および送信先情報は、ユーザ毎にID情報に関連付けて管理される。また、他のサーバ3は、ファイルサーバBとして使用される。
【0033】
情報掲示装置1は、情報ファイルが入力されると、情報ファイルを記憶部23に保存する。情報ファイルは、情報処理装置2やサーバ3等の外部機器から通信部28を通じて入力される。また、情報ファイルは、制御装置5においてアプリケーションにより作成されたり、通信部28を通じてメモリカード等から直接入力される。
【0034】
そして、制御装置5は、入力された情報ファイルのアイコン50を表示部4の画面に表示させる。画面の近くにいるユーザは、表示された情報ファイル中の情報を見ることができる。ユーザが表示されている情報ファイルの中から必要な情報ファイルを入手したいとき、情報掲示装置1は、ユーザのワンタッチ操作で指定された情報ファイルを指定された送信先に自動的に送信する。
【0035】
制御装置5は、この自動送信を実行させるために、表示部4の画面に通信ボックス51を表示させる。この通信ボックス51は、画面の近傍にいるユーザに応じて、ユーザ毎に作成される。ユーザがドラッグ&ドロップの操作により、表示されている情報ファイルのアイコン50を通信ボックス51に入れると、制御装置5は、入れられた情報ファイルを添付ファイルにして、電子メールを作成する。電子メールの送信先は、通信ボックス51毎に設定されている。制御装置5は、通信部28を制御して、通信ボックス51に応じて指定された送信先に電子メールを送信する。この送信先は、ユーザの情報処理装置2である。
【0036】
次に、本情報表示システムを会議システムに利用したときの情報掲示装置1の動作を図2〜5にしたがって説明する。情報掲示装置1において会議システムのプログラムが起動されると、制御装置5のコントロール部24は、記憶部23の初期設定テーブル32から初期データを読み込み(S1)、初期設定を行う。コントロール部24は、会議のために選択された情報ファイルデータ30を記憶部23から読み出す(S2)。そして、コントロール部24は、初期データおよび情報ファイルデータ30に基づいて、初期画面用の画像データを生成して(S3)、画像データを表示制御部20に出力する。表示制御部20は、画像データに基づく駆動信号を表示パネル10に出力する。表示パネル10は、初期画面を表示する(S4)。このとき、選択された情報ファイルのアイコン50が画面に表示される。
【0037】
会議中、図6に示すように、表示部10の画面には、複数の情報ファイルが表示される。ここでは、情報ファイルの表示形態はアイコン50とされるが、表示形態としては、情報ファイルを開いたときのウィンドウであってもよい。
【0038】
ユーザが画面に近づくと、検出部12は、このユーザの接近を検出する(S5)。ユーザ検出制御部22は、検出部12からの出力信号に応じてユーザ位置情報を生成し、ユーザ位置情報をコントロール部24に出力する。また、検出部12は、ユーザのIDカードからID情報を受信すると、ID情報をコントロール部24に出力する。コントロール部24は、ユーザ位置情報およびID情報を取得する(S10)と、記憶部23の運用テーブル31に格納する。
【0039】
コントロール部24は、検出されたユーザのID情報が取得済みであるかを確認する(S11)。すなわち、新しく取得したID情報と同じID情報が運用テーブル31に保存されているか否かをチェックする。
【0040】
取得済みでないとき、コントロール部24は、通信ボックス51に対する設定を確認する。すなわち、会議の出席者全員を対象とする共同通信ボックスが有効か無効かの設定を初期設定テーブル32においてチェックする(S12)。
【0041】
この設定が有効でないとき、コントロール部24は、検出したユーザに関する情報を管理サーバ3に問い合わせる。通信部28が、ID情報を管理サーバ3に送信する(S13)。管理サーバ3は、受け取ったID情報を管理テーブル41と照合して、登録されているユーザAであることを確認すると、このユーザの個人情報および送信先情報を制御装置5に送信する。コントロール部24は、ユーザAの個人情報および送信先情報を取得する(S14)と、これらの情報を記憶部23の通信ボックス用データテーブル36に格納する。
【0042】
コントロール部24は、個人情報および送信先情報に基づいて、ユーザA用の通信ボックス51を作成するとともに、ユーザAの個人情報に基づいて、通信ボックス51の表示位置を決める。通信ボックス51には、送信先としてもユーザAのメールアドレスがリンクされる。そして、コントロール部24は、通信ボックス51の画面データを作成し、表示制御部20に出力する(S15)。表示制御部20は、画面データに応じて表示パネル10に駆動信号を出力する。表示パネル10の画面の決められた表示位置にユーザA用の通信ボックス51が表示される。図6に示すように、通信ボックス51はアイコンによって表示される。
【0043】
なお、登録されていないユーザの場合、管理サーバ3は、制御装置5に未登録ユーザであることを通知する。コントロール部24は、通信ボックス51を作成しない。
【0044】
S12において、共同通信ボックスが有効に設定されているとき、コントロール部24は、記憶部23の会議出席者テーブル37を参照して、会議に参加する各ユーザのID情報を読み出す(S16)。会議に参加するユーザは予め登録され、各ユーザに関する情報は管理サーバ3に記憶される。コントロール部24は、管理サーバ3から会議の参加者全員のID情報を取得し、会議出席者テーブル37に格納しておく。
【0045】
コントロール部24は、管理サーバ3から出席者全員の個人情報および送信先情報を取得し、これらの情報に基づいて共同通信ボックスを作成する。共同通信ボックスは、会議に参加する全てのユーザのメールアドレスとリンクされる。そして、コントロール部24からの指示により、表示パネル10の画面に共同通信ボックスが表示される。このとき、検出されたユーザAの通信ボックス51も表示される。
【0046】
画面に近づいたユーザAが表示されている情報ファイルを入手したいとき、図7に示すように、ユーザAは、タッチパネル11を利用して、所望の情報ファイルを通信ボックス51にドラッグ&ドロップする送信操作を行う。
【0047】
コントロール部24は、タッチパネル11に対するユーザの操作を監視している(S20)。ユーザがタッチパネル11を操作したとき、タッチパネル制御部21は、この操作に応じた入力位置情報を生成して、コントロール部24に出力する。コントロール部24は、入力位置情報を取得する(S21)。そして、コントロール部24は、入力位置情報に基づいて、入力位置が情報ファイルの表示位置であるかを判断する(S22)。すなわち、コントロール部24は、入力位置と記憶部23の表示位置テーブル33に記憶されている情報ファイルの表示位置とを比較することにより、両位置が一致するかの判断を行う。
【0048】
コントロール部24は、情報ファイルに対して操作されたと判断したとき、ユーザの操作に応じて表示処理を行う(S23)。表示パネル10の画面に、ユーザの手の動きに合わせて情報ファイルが移動する様子が表示される。
【0049】
図8に示すように、ユーザが情報ファイルを通信ボックス51に入れる操作をしたとき、コントロール部24は、入力位置情報から操作の終了位置が通信ボックス24の表示位置であるかを判断する(S25)。コントロール部24は、情報ファイルが通信ボックス51に入れられたと判断すると、送信する情報ファイルを特定して、この情報ファイルを記憶部23の通信ボックス用データテーブル36にリストアップする。画面には、情報ファイルが入った状態の通信ボックス51が表示される。これにより、ユーザは、情報ファイルが送信されることを確認できる。
【0050】
そして、コントロール部24は、送信待機時間をチェックする(S26)。送信待機時間は、情報ファイルが通信ボックス51に入れられた後、電子メールを送信するまでの時間である。この時間は、予め設定され、初期設定テーブル32に格納される。
【0051】
送信待機時間が0の場合、コントロール部24は、通信ボックス51内に情報ファイルがあることを確認してから(S27)、この情報ファイルを添付ファイルにして、宛先をユーザAのメールアドレスとする電子メールを作成する。そして、通信部28が、ユーザAの情報処理装置2宛に電子メールを送信する(S29)。その後、コントロール部24は、送信操作に関連した情報をリセットして、リセット後の画面データを生成する(S29)。表示パネル10には、図6に示す画面が表示され、情報掲示装置1は、次の操作を待ち受ける状態となる。なお、S27において、通信ボックス51内に情報ファイルがないとき、コントロール部24は操作待ちの状態となる。
【0052】
情報処理装置2は、電子メールを受信して、添付されている情報ファイルを記憶部に保存する。これによって、ユーザは、必要な情報をドラッグ&ドロップによるワンタッチ操作で入手することができる。
【0053】
S20において、ユーザがタッチパネル11に何も操作しないとき、あるいはS22において、送信操作とは異なる操作をしたとき、コントロール部24は、送信する情報ファイルがあるかを確認する(S6)。情報ファイルがあれば、情報ファイルは送信され、情報ファイルがなければ、コントロール部24は操作待ちの状態となる。また、ユーザが情報ファイルに対して送信操作以外の操作をしたとき、コントロール部24は、操作の終了位置から操作の内容を判断し(S25)、この操作に応じた処理を行った後、コントロール部24は操作待ちの状態となる。
【0054】
画面に表示されている通信ボックス51は、ユーザが画面から離れても表示されたままである。S5において、同じユーザが画面に近づいたことが検出されたとき、コントロール部24は、ID情報の取得済みのユーザであることを認識する(S11)と、送信する情報ファイルがあるかを確認する(S6)。情報ファイルがあれば、情報ファイルは送信され、情報ファイルがなければ、コントロール部24は操作待ちの状態となる。
【0055】
なお、検出部12は、画面の近傍にいるユーザを常に検出しているので、ユーザが画面から離れたとき、このユーザの通信ボックス51が画面から消去されるようにしてもよい。コントロール部24は、ユーザが画面から離れたことを検出すると、このユーザの通信ボックス51を画面から消去するように表示パネル10を制御する。
【0056】
S6およびS26において、送信待機時間が0以外の時間に設定されているとき、コントロール部24は、次の送信操作の有無を監視する。図9に示すように、設定時間内にユーザAが他の情報ファイルを通信ボックス51に入れる送信操作を行うと、コントロール部24は、通信ボックス51に入れられた全ての情報ファイルを通信ボックス用データテーブル36にリストアップする。設定時間経過すると、コントロール部24は、複数の情報ファイルを添付ファイルとする電子メールを作成して、情報処理装置2宛に送信する。したがって、複数の情報ファイルを1回の電子メールで送信することができるので、ユーザは関連する複数の情報を一度に入手できる。例えば会議毎にまとめて情報を取得でき、情報の整理がしやすくなる。
【0057】
また、図10に示すように、表示パネル10の画面に、会議に出席したユーザ全員用の共同通信ボックス52が表示されているとき、ユーザが、共同通信ボックス52に情報ファイルを入れる送信操作を行う。コントロール部24は、この操作に応じて出席者全員の情報処理装置2宛ての電子メールを作成して、情報ファイルを各情報処理装置2に送信する。したがって、1回の操作でユーザ全員に情報ファイルを送信することができる。このような共同通信ボックス52を利用することにより、会議の議事録を送信するのに役立つ。
【0058】
上記の会議出席者全員用の共同通信ボックス52が表示されていないとき、別の共同通信ボックス53が表示される。すなわち、図11に示すように、他のユーザが画面に近づいたとき、検出部12が、このユーザの接近を検出すると、コントロール部24は、検出されたユーザのID情報に基づいて、管理サーバ3から当該ユーザの個人情報および送信先情報を取得する。そして、コントロール部24は、新しいユーザの通信ボックス51を作成し、表示パネル10の画面に通信ボックス51を表示させる。複数のユーザが検出されたとき、各ユーザの通信ボックス51が画面に表示される。
【0059】
このとき、コントロール部24は、各ユーザが共有できる共同通信ボックス53を作成し、この共同通信ボックス53も表示させる。個々の通信ボックス51は、各ユーザに応じた個別の送信先である情報処理装置2のメールアドレスとリンクしている。共同通信ボックス53は、検出された複数のユーザ、例えばユーザA、ユーザY、ユーザZの各情報処理装置2のメールアドレスとリンクしている。
【0060】
ユーザが、情報ファイルを共同通信ボックス53に入れる操作をしたとき、コントロール部24は、各ユーザの情報処理装置2に情報ファイルを添付した電子メールを送信する。したがって、複数のユーザに対して、1回の操作によって情報ファイルが送信されるので、ユーザの操作性をよくすることができる。
【0061】
上記の通信ボックス51は、個人情報に基づいて作成される。個人情報には、ユーザの特徴が含まれる。制御装置5は、通信ボックス51の表示位置をユーザの特徴に応じて決める。すなわち、コントロール部24は、ユーザの個人情報を取得したとき、ユーザの身体的な特徴を抽出する。例えば、ユーザの身長を抽出する。そして、コントロール部24は、ユーザの身長に合わせて、画面の上下方向における通信ボックス51の表示位置を決める。決められた表示位置に通信ボックス51が表示される。
【0062】
図12に示すように、背の高いユーザに対しては、通信ボックス51は高い位置に表示される。背の低いユーザに対しては、通信ボックス51は低い位置に表示される。したがって、ユーザは情報ファイルを通信ボックス51に入れる操作を行いやすくなる。
【0063】
ユーザの特徴として、利き手がある。コントロール部24は、ユーザの個人情報から利き手を抽出し、利き手に応じて、画面の左右方向における通信ボックス51の表示位置を決める。図13に示すように、ユーザが右利きの場合、通信ボックス51は画面の右側に表示され、左利きの場合、通信ボックス51は画面の左側に表示される。これによって、ユーザはドラッグ&ドロップの操作をスムーズに行うことができる。
【0064】
また、検出部12は画面の近傍にいるユーザの位置を検出する。コントロール部24は、検出されたユーザ位置情報に基づいて、通信ボックス51の表示位置を決める。図14に示すように、通信ボックス51は、ユーザがいる位置に近い画面上の表示位置に表示される。ユーザはドラッグ&ドロップの操作をするとき、大きく移動する必要がなくなり、操作性がよくなる。
【0065】
コントロール部24は、現在のユーザ位置を認識している。そこで、コントロール部24は、ユーザの移動に応じて、通信ボックス51が移動するように表示処理を行う。これによって、ユーザの近くに通信ボックス51は常に表示されることになり、情報ファイルを移動させる距離が短くなる。
【0066】
1人のユーザが複数の情報処理装置2を所有している場合がある。そして、各情報処理装置2に、個別のメールアドレスを有している。例えば、ユーザAが2つのメールアドレスを持っている。ユーザAが画面に近づいたことが検出されたとき、コントロール部24は、管理サーバ3からユーザAの個人情報を取得し、2つのメールアドレスの存在を認識する。コントロール部24は、メールアドレス毎に通信ボックス51を作成する。
【0067】
図15に示すように、画面には、2つの通信ボックス51が表示される。A1の通信ボックス51に情報ファイルが入れられると、電子メールはA1の情報処理装置2宛に送信される。A2の通信ボックス51に情報ファイルが入れられると、電子メールはA2の情報処理装置2宛に送信される。したがって、ユーザは目的に合わせて情報ファイルを振り分けて、送信することができる。ユーザは情報を整理する手間を省ける。
【0068】
ところで、制御装置5がユーザの情報処理装置2に電子メールを送信したとき、通信エラーによって情報ファイルを送信できないことがある。あるいは、ユーザの情報処理装置2にトラブルが発生して、通信できない場合がある。また、ユーザの情報処理装置2がメールアドレスを有していない場合がある。
【0069】
このような場合、図16に示すように、制御装置5は、情報ファイルを添付した電子メールをファイルサーバBに送信する。ファイルサーバBは、受信した情報ファイルを記憶部40に保存する。このとき、コントロール部24は、ファイルサーバBに送信したというメッセージを画面に表示させる。ユーザは、メッセージを見て、ファイルサーバBに必要な情報があることを認識する。そして、ユーザは、後でファイルサーバBにアクセスして、情報ファイルを入手する。これによって、ユーザは必要な情報を確実に入手できる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。情報処理装置は、インターネット等のネットワークに接続できる通信機能を有すればよく、携帯電話、携帯情報端末、画像処理装置であってもよい。通信ボックスからの情報ファイルの送信は、電子メールに限らず、情報処理装置のIPアドレスあるいはドメイン名宛に直接データ送信を行ってもよい。また、送信先情報として、ファクシミリ番号を設定する。制御装置は、情報ファイルを画像データに変換して、電話回線に接続されたモデムを介して情報処理装置としてのファクシミリ装置にファクシミリ送信する。あるいは情報処理装置のIPアドレス宛にインターネットFAXにより、情報ファイルを送信してもよい。
【0071】
情報掲示装置がユーザの個人情報や送信先情報を管理してもよい。ユーザは、制御装置に対して個人情報や送信先情報を入力すると、コントロール部は、ユーザを登録して、入力された情報を記憶部に保存する。あるいは、会議が行われるとき、情報掲示装置が管理サーバから個人情報や送信先情報を取得する。これにより、管理サーバとの通信を省くことができ、通信ボックスを表示するまでの処理を早く行うことができる。
【0072】
情報ファイルを通信ボックスに入れる送信操作として、通信ボックスを必要とする情報ファイルまでドラッグ&ドロップしてもよい。なお、送信操作は、タッチパネルでの操作に限らず、マウス等のポインティングデバイスを使用してもよい。また、通信ボックスに設定されている送信先を追加、変更できるようにしてもよい。コントロール部は、送信操作する前に、送信先の追加、変更を受け付ける、あるいは送信する直前に、追加、変更の確認を行う。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の情報表示システムおよび情報掲示装置の概略構成図
【図2】表示されている情報ファイルを送信するときのフローチャート
【図3】表示されている情報ファイルを送信するときのフローチャート
【図4】表示されている情報ファイルを送信するときのフローチャート
【図5】表示されている情報ファイルを送信するときのフローチャート
【図6】ユーザが画面に近づいて、通信ボックスが表示されたときの様子を示す図
【図7】ユーザが情報ファイルをドラッグ&ドロップするときの様子を示す図
【図8】情報ファイルを送信するときの様子を示す図
【図9】複数の情報ファイルを送信するときの様子を示す図
【図10】会議出席者全員に情報ファイルを送信するときの様子を示す図
【図11】画面に近づいた複数のユーザに情報ファイルを送信するときの様子を示す図
【図12】ユーザの身長に合わせて通信ボックスを表示したときの様子を示す図
【図13】ユーザの利き手に合わせて通信ボックスを表示したときの様子を示す図
【図14】ユーザの位置に合わせて通信ボックスを表示したときの様子を示す図
【図15】1人のユーザに対して2つの通信ボックスを表示したときの様子を示す図
【図16】情報ファイルをユーザの情報処理装置の代わりにファイルサーバに送信するときの様子を示す図
【符号の説明】
【0074】
1 情報掲示装置
2 情報処理装置
3 サーバ
4 表示部
5 制御装置
10 表示パネル
11 タッチパネル
12 検出部
23 記憶部
24 コントロール部
28 通信部
50 情報ファイルのアイコン
51 通信ボックス
52 共同通信ボックス
53 共同通信ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に情報ファイルを表示する表示部と、情報処理装置と通信を行う通信部と、画面の近傍にいるユーザを検出する検出部とを備え、表示部は、検出されたユーザの通信ボックスを表示し、通信部は、表示されている情報ファイルを通信ボックスに入れる操作がされたとき、当該情報ファイルを情報処理装置に送信することを特徴とする情報掲示装置。
【請求項2】
通信ボックスは、ユーザに応じて決められた送信先情報を有し、通信部は、送信先の情報処理装置に情報ファイルを送信することを特徴とする請求項1記載の情報掲示装置。
【請求項3】
表示部は、複数のユーザに対する共同通信ボックスを表示し、通信部は、表示されている情報ファイルが共同通信ボックスに入れられる操作がされたとき、各ユーザに応じて決められた複数の情報処理装置に情報ファイルを送信することを特徴とする請求項2記載の情報掲示装置。
【請求項4】
複数のユーザが検出されたとき、表示部は、共同通信ボックスを表示することを特徴とする請求項3記載の情報掲示装置。
【請求項5】
共同通信ボックスは、予め登録されたユーザの送信先情報を有し、通信部は、登録されたユーザ全員の情報処理装置に情報ファイルを送信することを特徴とする請求項3記載の情報掲示装置。
【請求項6】
表示部は、ユーザの特徴に応じた位置に通信ボックスを表示することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の情報掲示装置。
【請求項7】
表示部は、画面に近づいたユーザの位置に応じて通信ボックスを表示することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の情報掲示装置。
【請求項8】
表示部は、同一のユーザの複数の通信ボックスを表示することを特徴とする請求項2記載の情報掲示装置。
【請求項9】
通信部は、決められた情報処理装置に情報ファイルを送信できないとき、ユーザのアクセスが可能なサーバに送信することを特徴とする請求項3記載の情報掲示装置。
【請求項10】
通信部は、表示されている情報ファイルが通信ボックスに入れられる操作がされてから所定時間の待機後、送信することを特徴とする請求項3記載の情報掲示装置。
【請求項11】
通信ボックスは、ユーザの個人情報を保存する記憶部から取得した個人情報に基づいて作成され、表示部は、検出されたユーザに応じて作成された通信ボックスを表示することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の情報掲示装置。
【請求項12】
記憶部は、外部のサーバとされ、通信部は、サーバと通信を行って、個人情報を取得することを特徴とする請求項11記載の情報掲示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−146364(P2009−146364A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326068(P2007−326068)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】