説明

情報提供装置、情報提供方法、及びプログラム

【課題】 情報提供装置の通信環境に応じてユーザが適切な通信パラメータの提供方法を選択しなければならず、使い勝手が悪い。
【解決手段】 情報提供装置は、通信を行うために用いる通信パラメータを通信装置へ提供する情報提供装置であって、通信装置と情報提供装置との間の通信を中継する中継装置が、通信パラメータを提供することができるか否かを確認し、通信装置へ直接的に通信パラメータを提供する方式と、中継装置を介して通信装置へ通信パラメータを提供する方式とから、確認結果に基づいて実行する方式を選択し、通信パラメータを、選択された方式を用いて、通信装置へ提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
通信パラメータの自動設定システムにおいて通信パラメータの提供のための方式を自動で選択する情報提供装置、情報提供方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANに代表される無線通信では、実際に通信を行う前に設定しなければならない設定項目が数多く存在する。設定項目は、例えば、ネットワーク識別子としてのSSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線通信を行うために必要な通信パラメータがあり、これらをユーザが手入力により設定するのは非常に煩雑である。
【0003】
そこで、様々なメーカーから、通信パラメータを簡単に無線機器に設定するための自動設定システムが提案されている。自動設定システムでは、接続する機器間で予め定められた手順、及びメッセージにより、一方の機器(情報提供装置)から他方の機器(通信装置)に通信パラメータを提供し、自動で通信パラメータの設定を行う。
【0004】
通信パラメータの自動設定システムにおける通信パラメータを提供する方式は、以下に説明する三つの代表的な方式がある。
【0005】
第一の方式は、情報提供装置がアクセスポイントのような中継装置を介して通信装置へ通信パラメータを提供する。非特許文献1には、この方式の一例として、情報提供装置からアクセスポイントを介して通信装置へ通信パラメータを提供する方式が記載されている。この方式によれば、情報提供装置は中継装置との接続を保ったまま、中継装置を制御して通信装置へ通信パラメータを提供することができる。また、情報提供装置と通信装置が直接通信を行えないような環境であっても、情報提供装置は通信装置へ通信パラメータを提供することができる。以下、この方式を第一制御方式という。
【0006】
第二の方式は、情報提供装置を他の機器を起動する起動装置として用いる。この方式では、情報提供装置は、通知メッセージを用いて他の機器の通信パラメータ自動設定システムを制御し、当該他の機器から通信装置へ通信パラメータを提供する。特許文献1には、この方式の一例が開示されている。この方式を用いることで、通信装置へ通信パラメータを提供する際の、情報提供装置の処理の負荷を軽減することができる。以下、この方式を第二制御方式という。
【0007】
第三の方式は、情報提供装置が通信装置と直接通信を行い、通信装置へ通信パラメータを提供する。特許文献2には、この方式の一例として、情報提供装置から通信装置へ直接通信パラメータを提供する方式が開示されている。この方式によれば、アクセスポイントのような中継装置が存在しないような環境であっても、情報提供装置は通信装置へ通信パラメータを提供することができる。以下、この方式を直接提供方式という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−267939号公報
【特許文献2】特開2008−109581号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wi−Fi CERTIFIED(TM) for Wi−Fi Protected Setup: Easing the User Experience for Home and Small Office Wi−Fi(R) Networks、http://www.wi−fi.org/wifi−protected−setup
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、一台の情報提供装置に上述の3つの方式が搭載されている場合を考える。この場合、従来は、情報提供装置はユーザにより選択された方式を実行していた。しかしながら、情報提供装置は様々な通信環境下で動作することが想定されており、起動すべき最適な方式は状況により異なる。例えば、情報提供装置がアクセスポイントを介して他の機器と通信中の場合には、アクセスポイントとの接続を維持する第一制御方式が適している。また、アクセスポイントが第二制御方式に対応している場合には、情報提供装置における提供処理の負荷軽減のため、アクセスポイントを情報提供装置として起動する第二制御方式が適している。更に、情報提供装置がアクセスポイントに接続していない場合には、直接提供方式を利用するのが望ましい。しかしながら、従来は、情報提供装置の通信環境に応じてユーザが適切な方式を選択しなければならず、使い勝手が良くないという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、通信パラメータの自動設定システムにおいて通信パラメータを提供するための方式を自動で選択可能にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の情報提供装置は、通信を行うために用いる通信パラメータを通信装置へ提供する情報提供装置であって、通信装置と前記情報提供装置との間の通信を中継する中継装置が、前記通信パラメータを提供することができるか否かを確認する確認手段と、前記通信装置へ直接的に前記通信パラメータを提供する方式と、前記中継装置を介して前記通信装置へ前記通信パラメータを提供する方式とから、前記確認手段における確認結果に基づいて実行する方式を選択する選択手段と、前記通信パラメータを、前記選択手段で選択された前記方式を用いて、前記通信装置へ提供する提供手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、情報提供装置が通信パラメータの自動設定システムにおいて通信パラメータを提供するための方式を自動で選択することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】情報提供装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】情報提供装置のソフトウェア機能構成を示すブロック図。
【図3】ネットワーク構成図。
【図4】選択処理の動作を説明するフローチャート。
【図5】直接提供方式を選択する場合のシステムの動作を説明するシーケンス図。
【図6】第一制御方式を選択する場合のシステムの動作を説明するシーケンス図。
【図7】第二制御方式を選択する場合のシステムの動作を説明するシーケンス図。
【図8】第一制御方式を優先する場合の選択処理の動作を説明するフローチャート。
【図9】第二制御方式を直接提供方式に優先する場合の選択処理の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<実施形態1>>
以下、本実施形態に係る情報提供装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(ハードウェア構成)
本実施形態に好適な事例におけるハードウェア構成について説明する。図1は、後述の情報提供装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。101は情報提供装置の全体を示す。102は、後述する記憶部103に記憶される制御プログラムを実行することにより装置全体を制御する制御部であり、CPU、MPU等のプロセッサを備えるコンピュータである。制御部102は、他の装置との間で行われる通信パラメータの自動設定処理の制御も行う。103は制御部102が実行する制御用のコンピュータプログラムや、通信パラメータ等の各種情報を記憶する記憶部である。後述する各種動作は、記憶部103に記憶された制御プログラムを制御部102が実行することにより行われる。なお、記憶部103はROM、RAM等のメモリ、又はフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどを用いることができる。
【0017】
104は無線通信を行うための無線部であり、入力データの変調など、無線信号の送受信に係る各種処理を行う。105は各種表示を行う表示部でありLCDやLEDのように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカなどの音出力が可能な機能を有する。106は通信パラメータ提供処理を開始するトリガを与える設定ボタンである。制御部102は、ユーザによる設定ボタン106の操作を検出すると、後述する通信パラメータの提供処理を実行する。107はアンテナ制御部であり、アンテナ108の動作を制御する。108はアンテナであり、外部の装置との間で無線信号を送受信する。109は、ユーザが各種入力を行うための入力部である。
【0018】
(ソフトウェア機能構成)
図2は、後述の通信パラメータの自動設定処理の動作において、情報提供装置が実行するソフトウェア機能ブロックの構成例である。201は装置全体を示している。202は通信パラメータの自動設定機能ブロックである。自動設定機能ブロック202の内容については後述する。
【0019】
203は各種通信に係る信号を送信する送信部である。送信部203は、プローブリクエストなどの検索信号を送信する。なお、プローブリクエストは、ネットワークを検索するためのネットワーク検索信号である。204は各種通信に係る信号を受信する受信部である。受信部204は、ビーコンに代表される報知信号を受信する。また、受信部204は、プローブリクエストに対する応答信号であるプローブレスポンスも受信する。なお、プローブリクエストやプローブレスポンス、及びビーコン信号には、送信元の機器の各種情報(以下、「自己情報」という)が付加される。自己情報には、例えば情報提供装置301が通信パラメータを提供する情報提供装置として起動中であることを示す情報や、実行中の自動設定方式を示す情報が含まれる。また、自己情報には例えばMACアドレスなどの送信元の機器を識別する情報が含まれる。
【0020】
205はネットワーク接続を制御するネットワーク制御部である。ネットワーク制御部205は無線LANネットワークへの接続処理を実行する。また、ネットワーク制御部205は、情報提供装置301がアクセスポイントとなる場合に、無線LANネットワークを構築し、当該ネットワークに参加する他の通信装置と通信するための処理も行う。またネットワーク制御部205は、他の機能ブロックからの問い合わせに対して情報提供装置301の通信状態を確認し、確認結果を出力する機能を有する。ネットワーク制御部205は問い合わせに対する応答として、情報提供装置301が無線LANネットワークへ接続中であるか否か、またはアクセスポイントとして通信中か否かを示す情報を出力する。
【0021】
通信パラメータの自動設定機能ブロック202は、自動設定制御部206、情報提供部207、第一制御部208、第二制御部209、対応方式確認部210、及び方式選択部211を備える。自動設定制御部206は通信パラメータの自動設定処理における各種プロトコルを制御する。自動設定制御部206は、後述の通信パラメータの自動設定処理を実行する。
【0022】
情報提供部207は、直接提供方式により、通信パラメータを直接的に通信装置へ提供する。第一制御部208は、第一制御方式に基づいて、情報提供装置が有する通信パラメータをアクセスポイント等の中継装置へ送信し、その中継装置が受信した通信パラメータを通信装置へ提供するように、当該中継装置を制御する。第二制御部209は、第二制御方式に基づいて、中継装置において通信パラメータの自動設定処理を起動し、その中継装置が有する通信パラメータを通信装置へ提供させるように、当該中継装置を制御する。第一制御部208及び第二制御部209は、制御信号を生成し、アクセスポイント等の中継装置へその制御信号を送信することにより当該中継装置を制御する。なお、以下では、提供された通信パラメータを受信する側の通信装置を受信装置という。受信装置では、情報提供装置が実行する方式によらず、同一の通信パラメータの受信処理を実行することで、通信パラメータを受信することができる。
【0023】
対応方式確認部210は、アクセスポイントから送信されるビーコンまたはプローブ応答信号の内容を解析することで、アクセスポイントが対応する通信パラメータ方式を認識する。後述の対応方式確認処理は、対応方式確認部210により実施される。211は、実行する方式を選択する方式選択部である。後述の選択処理は、方式選択部211により実施される。
【0024】
本実施形態では、通信パラメータ自動設定機能ブロックに含まれる機能ブロックが協働することで、ネットワーク識別子としてのSSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線通信を行うために必要な通信パラメータの自動設定を行う。
【0025】
(システム構成)
図3は、情報提供装置301、アクセスポイント302、受信装置303を示した図である。情報提供装置301は、先に説明した図1、図2の構成を有している。情報提供装置301はユーザの指示に応じて通信パラメータの自動設定処理を実行し、受信装置303へ通信パラメータを提供する。
【0026】
情報提供装置301の自動設定制御部206は、設定ボタン106が押下されたかどうかを監視する。ユーザにより設定ボタン106が押下されたことを検出すると、自動設定制御部206は方式選択部211を起動し、受信装置303へ通信パラメータを提供するための方式の選択処理に移行する。以下、選択処理の動作について説明する。
【0027】
(選択処理の動作)
図4は、選択処理の動作を説明するフローチャートである。図4に示す動作は、制御部102が記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0028】
選択処理に移行すると、方式選択部211はネットワーク制御部205へ情報提供装置301の通信状態を問い合わせる(S401)。具体的には、情報提供装置301がアクセスポイント、すなわち基地局として動作しているか否か、及び、アクセスポイントとして動作していない場合は、アクセスポイント302へ接続が確立しているか否かを確認する。これらの確認は、一度の確認作業として実行されてもよく、または、逐次的に実行されてもよい。
【0029】
そして、方式選択部211はネットワーク制御部205からの応答に応じて、情報提供装置301がアクセスポイントとして動作しているか否かを判定する(S402)。情報提供装置301がアクセスポイントとして動作している場合(S402でYes)、方式選択部211は、実行する方式として直接提供方式を選択する(S403)。また、情報提供装置301がアクセスポイントとして動作していない場合(S402でNo)、情報提供装置301がアクセスポイント302へ接続が確立しているか否かを判定する(S404)。そして、判定結果において、情報提供装置301がアクセスポイント302との接続を確立していない場合(S404でNo)、方式選択部211は実行する方式として直接提供方式を選択する(S403)。
【0030】
判定結果において、情報提供装置301がアクセスポイント302との接続が確立している場合(S404でYes)、方式選択部211は対応方式確認部210を起動する。そして、対応方式確認部210は、接続しているアクセスポイント302が実行可能な通信パラメータを提供する方式を確認する(S405)。この確認結果に基づき、方式選択部211はアクセスポイント302が第二制御方式に対応可能か否かを判定する(S406)。アクセスポイント302が第二制御方式に対応可能である場合は(S406でYes)、方式選択部211は実行する方式として第二制御方式を選択する(S407)。アクセスポイント302が第二制御方式に対応していない場合は(S406でNo)、方式選択部211はアクセスポイント302が第一制御方式に対応可能か否かを判定する(S408)。アクセスポイント302が第一制御方式に対応可能な場合(S408でYes)は、方式選択部211は実行する方式として第一制御方式を選択する(S409)。アクセスポイント302が第一制御方式に対応していない場合(S408でNo)は、方式選択部211は実行する方式として直接提供方式を選択する(S403)。
【0031】
方式の選択後、方式選択部211は、情報提供装置301がアクセスポイント302へ接続中か否かに応じて、提供する通信パラメータを決定する(S410、S411、S412)。ここで、情報提供装置301がアクセスポイント302へ接続中か否かの判定は、上述のS404の判定結果を流用して行うことができる。また、送信する通信パラメータの決定は、方式選択部211でなく、別途、提供パラメータ決定部(不図示)を用意し、当該提供パラメータ決定部に実行させて行ってもよい。
【0032】
具体的な通信パラメータの選択方式について説明する。情報提供装置301がアクセスポイント302へ接続している場合(S410でYes)、受信装置303との接続はアクセスポイントを介して実行することとなる。このため、方式選択部211は、アクセスポイント302へ接続するのに用いる通信パラメータを提供する通信パラメータとして決定する(S411)。一方、情報提供装置301がアクセスポイント302へ接続していない場合(S410でYes)、情報提供装置301と受信装置303とはアクセスポイントを介さず直接的に接続されることになる。このため、方式選択部211は、受信装置と直接接続するのに用いる通信パラメータを提供する通信パラメータとして決定する(S412)。この場合、情報提供装置301は受信装置303と直接通信を行うために情報提供装置301がアクセスポイントとなって無線LANインフラストラクチャネットワークを構築してもよいし、無線LANアドホックネットワークを構築してもよい。
【0033】
なお、直接提供方式を選択した場合であっても、アクセスポイント302へ接続する通信パラメータを提供する場合があることに注意すべきである。例えば、情報提供装置301がアクセスポイント302に接続しているものの、アクセスポイント302が第一制御方式と第二制御方式の両方に対応していない場合、選択される方式は直接提供方式である。しかし、この場合は、受信装置303へ送信する通信パラメータは、アクセスポイント302へ接続するための通信パラメータとすることができる。これにより、受信装置303は、受信した通信パラメータによりアクセスポイント302へ接続し、アクセスポイント302の展開する無線LANネットワークを介して情報提供装置301と接続することができる。このように、提供する通信パラメータを選択する処理を設けることで、柔軟に状況に適した通信パラメータを受信装置へ提供することが可能となる。また、アクセスポイント302が第一制御方式や第二制御方式に対応していない場合でも、受信装置303をアクセスポイント302と接続させるための通信パラメータを提供することができる。
【0034】
(システム動作)
図5は、情報提供装置301がアクセスポイント302と通信していない状態で、受信装置303の通信パラメータの受信処理を起動し、情報提供装置301で通信パラメータ提供処理を実行した場合の処理シーケンスである。
【0035】
情報提供装置301の設定ボタン106が押下されると、情報提供装置301は図4で説明した選択処理を起動し、情報提供装置301の通信状態を確認する(F501)。情報提供装置301はアクセスポイント302との間で通信を行っていないため、情報提供装置301の方式選択部211は、実行する方式として直接提供方式を選択し、情報提供部207を起動する。そして情報提供部207は、直接提供方式により受信装置303へ、直接的に通信パラメータを提供する(F502)。ここで、情報提供装置301は、アクセスポイント302と接続していないため、提供される通信パラメータは、情報提供装置301との通信を実行するための通信パラメータとなる。なお、情報提供装置301がアクセスポイントとして動作している場合に、受信装置303の通信パラメータの受信処理及び情報提供装置301の通信パラメータ提供処理を実行した場合にも上述の例と同様に動作する。
【0036】
図6は、情報提供装置301が第一制御方式に対応可能なアクセスポイント302へ接続中に、受信装置303の通信パラメータの受信処理を起動し、情報提供装置301が通信パラメータ提供処理を実行した場合の処理シーケンスである。なお、本例においては、アクセスポイントは第二制御方式に対応していないものとする。
【0037】
情報提供装置301の設定ボタン106が押下されると、情報提供装置301は図4で説明した選択処理を起動し、情報提供装置301の通信状態を確認する(F601)。情報提供装置301は接続中のアクセスポイント302が対応する通信パラメータの提供方式を確認するために、アクセスポイント302へプローブ要求信号を送信する(F602)。情報提供装置301はアクセスポイント302から受信したプローブ応答信号の内容を解析し、アクセスポイント302が第一制御方式に対応可能であり、第二制御方式に対応しないことを確認する(F603)。その後、情報提供装置301の方式選択部211は、実行する方式として第一制御方式を選択し、第一制御部208を起動する(F604)。第一制御部208は、第二制御方式により、受信装置303へ通信パラメータを提供する(F605)。なお、情報提供装置301は、アクセスポイント302へ接続しているため、提供される通信パラメータは、アクセスポイント302との通信を実行するための通信パラメータとなる。
【0038】
図7は、情報提供装置301が第二制御方式に対応するアクセスポイント302と接続中に、受信装置303の通信パラメータの受信処理を起動し、情報提供装置301が通信パラメータ提供処理を実行した場合の処理シーケンスである。
【0039】
情報提供装置301の設定ボタン106が押下されると、情報提供装置301は図4で説明した選択処理を起動し、情報提供装置301の通信状態を確認する(F701)。情報提供装置301は接続中のアクセスポイント302が対応する通信パラメータの提供方式を確認するために、アクセスポイント302へプローブ要求信号を送信する(F702)。情報提供装置301はアクセスポイント302から受信したプローブ応答信号の内容を解析し、アクセスポイント302が第二制御方式に対応可能であることを確認する(F703)。その後、情報提供装置301の方式選択部211は、実行する方式として第二制御方式を選択し、第二制御部209を起動する(F704)。第二制御部209は、アクセスポイント302へ通信パラメータの提供処理の開始を通知するメッセージを送信する(F705)。アクセスポイント302は当該メッセージに対する応答メッセージを送信後(F706)、第二制御方式により受信装置303へ通信パラメータを提供する(F707)。なお、情報提供装置301は、アクセスポイント302へ接続しているため、提供される通信パラメータは、アクセスポイント302との通信を実行するための通信パラメータとなる。提供後、アクセスポイント302は処理完了を通知するメッセージを情報提供装置301へ送信する(F708)。情報提供装置301は完了メッセージを受信すると、提供処理を終了する。
【0040】
なお、上述の説明においては、情報提供装置301は、第一制御部208、及び第二制御部209を備え、それぞれ第一制御方式、及び第二制御方式に基づき、アクセスポイント302を制御しているが、この構成に限られない。すなわち、例えば情報提供装置301は第一制御部208を備え、第二制御部209を備えなくてもよい。この場合、情報提供装置301は、自らの通信状況、及び、アクセスポイント302が第一制御方式に対応可能か否かの情報に基づき、第一制御方式と直接提供方式から実行する方式を選択する。
【0041】
以上のように、情報提供装置301に複数の方式が搭載されている場合でも、情報提供装置301は自らの通信状態と、アクセスポイント302が対応する方式を確認し、適切な方式を自動的に選択して実行する。これにより、ユーザの選択を伴わない方式の自動選択が可能となり、ユーザの利便性が向上する。また、上記実施形態では情報提供装置301がアクセスポイント302との接続を確立している場合、情報提供装置301はアクセスポイント302との接続を維持する第一制御方式または第二制御方式を直接提供方式よりも優先して選択する。これにより、情報提供装置301はアクセスポイント302を介して他の機器との通信を実行しつつ、受信装置303へ通信パラメータを提供することが可能となる。また、受信装置303において通信パラメータの自動設定が成功することにより、受信装置303がアクセスポイント302から送信された通信パラメータを受信できる位置に存在することを併せて確認することができる。
【0042】
一方、情報提供装置301がアクセスポイント302との接続が確立していない場合や、第一制御方式及び第二制御方式を実行できない場合は、方式選択部211は、実行する方式として直接提供方式を選択する。これにより、簡素な処理で受信装置303へ通信パラメータの提供を実行することができる。すなわち、アクセスポイント302を探索して第一制御方式や第二制御方式を実行することによる処理量や処理時間の増大を防ぐことができる。
【0043】
さらに、アクセスポイント302が第一制御方式、及び第二制御方式を実行可能な場合に、第二制御方式を優先して実行させることで、情報提供装置301における処理量を軽減することができる。すなわち、第二制御方式を実行することで、情報提供装置301は、アクセスポイント302を通信パラメータの提供装置として起動させ、その後の処理をアクセスポイント302が実行することにより情報提供装置301の処理負荷が抑制される。
【0044】
さらに、上述の説明においては、情報提供装置301は、自らが基地局として動作しているか否か、及びアクセスポイント302との通信が確立しているか否かなどの通信状態を判定しているが、この判定を省略することもできる。この場合、アクセスポイント302が実行可能な方式を確認し、方式選択部211は、その確認結果に基づいて、実行する方式を決定してもよい。これにより、情報提供装置301が、基地局として動作する機能がない場合でアクセスポイント302へ接続していることが明らかな場合に、選択処理を簡略化し、情報提供装置の処理量を削減することが可能となる。
【0045】
この場合、アクセスポイント302が第一制御方式に対応可能な場合に、情報提供装置301は、第一制御方式を用いることでアクセスポイント302への接続を維持したまま通信パラメータを提供することができる。さらに、アクセスポイント302が第二制御方式に対応可能な場合、通信パラメータの提供をアクセスポイント302に実行させることで、情報提供装置301の処理量を大きく削減することができる。また、アクセスポイント302が通信パラメータの提供を実行できない場合であっても、情報提供装置301が直接的に通信パラメータを受信装置へ提供することにより、通信パラメータを受信装置へ提供することが可能となる。
【0046】
<<実施形態2>>
実施形態1では、情報提供装置301がアクセスポイント302との接続を確立している場合、情報提供装置301は第一制御方式または第二制御方式を直接提供方式よりも優先して選択した。実施形態2では、情報提供装置301が直接提供方式を他の方式よりも優先して選択する場合について説明する。
【0047】
図8は、実施形態2における情報提供装置301における選択処理の動作フローチャートである。図8のステップS801からステップS804までの処理は、図4のステップS401からステップS404までの処理と同様である。
【0048】
ステップS804において、情報提供装置301がアクセスポイントとの接続が確立している場合(S804でYes)、方式選択部211は情報提供装置301が受信装置303と直接通信が可能か否かを検知する(S805)。方式選択部211は、例えば、一定期間だけ受信部204を監視し、その期間内に受信装置303から送信されたプローブ要求信号を受信した場合、情報提供装置301が受信装置303と直接通信可能であることを検知する。一方、一定の期間内に受信装置303から送信されたプローブ要求信号を受信しなかった場合、情報提供装置301は受信装置303と直接通信不可能であることを検知する。また、方式選択部211はプローブ要求信号をブロードキャスト送信し、受信装置303からプローブ応答信号を受信した場合に、情報提供装置301が受信装置303と直接通信可能であることを検知することとしてもよい。この場合、受信装置303からプローブ応答信号を受信しなかった場合、情報提供装置301は受信装置303と直接通信不可能であることを検知するようにしてもよい。
【0049】
情報提供装置が受信装置と直接通信が可能な場合(S805でYes)、方式選択部211は実行する方式として直接提供方式を選択する(S803)。また、情報提供装置301が受信装置303と直接通信ができない場合(S805でNo)、方式選択部211は対応方式確認部210を起動し、接続しているアクセスポイント302が対応する通信パラメータの提供方式を確認する(S806)。図8のステップS806からステップS813までの処理は、図4のステップS405からステップS412までの処理と同様である。
【0050】
図8の選択処理を実施することで、情報提供装置301は通信パラメータを提供する際に受信装置303とのみ通信を行うため、他の機器と通信を行う可能性がある第一の実施形態よりも通信パラメータ提供時の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0051】
<<実施形態3>>
実施形態1及び実施形態2では、アクセスポイント302が第二制御方式に対応する場合に、情報提供装置301は第二制御方式を第一制御方式よりも優先して選択する例について説明した。第三の実施形態では、情報提供装置が第一制御方式を第二制御方式よりも優先して選択する場合について説明する。
【0052】
図9は、第三の実施形態における選択処理の動作フローチャートである。図9のステップS901からステップS905までの処理は、図4のステップS401からステップS405までの処理と同様である。
【0053】
ステップS905における確認処理の後、方式選択部211は接続中のアクセスポイント302が第一制御方式に対応可能か否かを確認する(S906)。アクセスポイント302が第一制御方式に対応していない場合(S906でNo)、方式選択部211は実行する方式として直接提供方式を選択する(S903)。アクセスポイント302が第一制御方式に対応している場合(S906でYes)、方式選択部211はアクセスポイント302への接続に用いる通信パラメータ以外のパラメータを受信装置303へ提供するか否かを検出する(S907)。アクセスポイントへの接続に用いる通信パラメータ以外のパラメータとは、例えば情報提供装置301で動作するアプリケーション固有のパラメータである。また、アクセスポイント302のネットワークとは異なるネットワークの通信パラメータでもよい。
【0054】
アクセスポイントへ接続するのに用いる通信パラメータ以外のパラメータの提供を検出した場合(S907でYes)、方式選択部211は実行する方式として第一制御方式を選択する(S908)。提供パラメータとしてアクセスポイントへ接続するのに用いる通信パラメータ以外のパラメータの提供を検出しなかった場合(S907でNo)、対応方式確認部210は、アクセスポイント302が第二制御方式に対応可能か否かを確認する(S909)。アクセスポイント302が第二制御方式に対応している場合(S909でYes)、方式選択部211は実行する方式として第二制御方式を選択する(S910)。アクセスポイント302が第二制御方式に対応していない場合には、方式選択部211は実行する方式として直接提供方式を選択する(S903)。
【0055】
方式の選択後、方式選択部211は提供する通信パラメータを決定する(S911、S912、S913)。方式選択部211は情報提供装置301がアクセスポイント302へ接続中か否かを確認し(S911)、接続中の場合(S911でYes)、アクセスポイントへ接続するのに必要な通信パラメータを提供する通信パラメータとして決定する(S912)。ここで、アクセスポイントへ接続するのに用いる通信パラメータ以外のパラメータの提供を検出した場合には、当該パラメータも提供する通信パラメータとして決定する。情報提供装置301がアクセスポイントへ接続中ではない場合(S911でNo)、受信装置と直接通信を行うために必要となる通信パラメータを提供する通信パラメータとして決定する(S913)。
【0056】
図9の選択処理によれば、情報提供装置301は、自らが保持し、アクセスポイント302が保持していないパラメータが存在する場合、アクセスポイント302を介して当該パラメータを送信できる第一制御方式を選択する。これにより、情報提供装置301は、当該パラメータを受信装置303へ確実に提供することが可能となる。さらに、自らが保持し、アクセスポイント302が保持していないパラメータを提供する場合で、アクセスポイント302が第一制御方式に対応していない場合は、情報提供装置301は、直接提供方式を選択する。これにより、自らが保持し、アクセスポイント302が保持していないパラメータを受信装置へ送信できる確率が向上する。一方、情報提供装置301は、自らが保持し、アクセスポイント302が保持していないパラメータが存在しない場合は、第二制御方式を用いることで情報提供装置301の処理負荷を軽減することができる。
【0057】
以上のように、選択処理における各方式の優先度は、目的や状況に応じて異なる優先度を設定してもよい。
【0058】
<<その他の実施形態>>
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態のみに限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で、実施形態は種々に変形することが可能である。また、上記説明はIEEE802.11準拠の無線LANを例に説明した。しかしながら、本発明は、ワイヤレスUSB、MBOA、Bluetooth(登録商標)、UWB、ZigBee等の他の無線媒体において実施してもよい。また、有線LAN等の有線通信媒体において実施してもよい。ここで、MBOAは、Multi Band OFDM Allianceの略である。また、UWBは、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WINETなどが含まれる。
【0059】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を行うために用いる通信パラメータを通信装置へ提供する情報提供装置であって、
前記通信装置と前記情報提供装置との間の通信を中継する中継装置が、前記通信パラメータを提供することができるか否かを確認する確認手段と、
前記通信装置へ直接的に前記通信パラメータを提供する方式と、前記中継装置を介して前記通信装置へ前記通信パラメータを提供する方式とから、前記確認手段における確認結果に基づいて実行する方式を選択する選択手段と、
前記通信パラメータを、前記選択手段で選択された前記方式を用いて、前記通信装置へ提供する提供手段と
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記中継装置が通信パラメータを提供することができない場合は前記通信装置へ前記通信パラメータを直接的に提供する方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記中継装置が通信パラメータを提供することができる場合は前記中継装置を介して前記通信装置へ前記通信パラメータを提供する方式を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記中継装置との間で接続が確立しているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記中継装置との間で接続が確立していない場合、前記通信装置へ前記通信パラメータを直接的に提供する方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記情報提供装置と前記中継装置との間で接続が確立していない場合は前記情報提供装置との間の通信のための通信パラメータを、前記情報提供装置と前記中継装置との間で接続が確立している場合は前記中継装置との間の通信のための通信パラメータを、前記通信装置へ提供することを特徴とする請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記情報提供装置が前記通信装置と直接的に通信が可能か否かを検知する検知手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記通信装置と直接的に通信が可能であることを検知した場合、前記確認結果によらず、前記通信装置へ前記通信パラメータを直接的に提供する方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記中継装置を介して前記通信装置へ前記通信パラメータを提供する前記方式は、前記情報提供装置が有する通信パラメータを前記中継装置へ提供し、該中継装置がその提供された通信パラメータを前記通信装置へ提供するように制御する第一制御方式と、前記中継装置が有する通信パラメータを前記通信装置へ提供するように、前記情報提供装置が前記中継装置を制御する第二制御方式とを含み、
前記確認手段は、前記中継装置が前記第一制御方式、及び前記第二制御方式を実行できるか否かを確認し、
前記選択手段は、前記通信装置へ直接的に前記通信パラメータを提供する方式と、前記第一制御方式と、前記第二制御方式とから、実行する方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記選択手段は、前記中継装置が前記第二制御方式を実行できる場合、該第二制御方式を選択することを特徴とする請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記選択手段は、前記中継装置が前記第一制御方式を実行できる場合、該第一制御方式を選択することを特徴とする請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記中継装置が前記第一制御方式と前記第二制御方式のいずれをも実行できない場合、前記通信装置へ直接的に前記通信パラメータを提供する方式を選択することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記中継装置との間での接続を可能とする通信パラメータと共に送信すべき情報が存在するか否かを検出する検出手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記送信すべき情報が存在する場合であって、前記中継装置が前記第一制御方式を実行できる場合、該第一制御方式を選択することを特徴とする請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記送信すべき情報が存在する場合であって、前記第一制御方式を実行できない場合に前記通信装置へ直接的に前記通信パラメータを提供する方式を選択することを特徴とする請求項11に記載の情報提供装置。
【請求項13】
前記選択手段は、前記送信すべき情報が存在しない場合において、前記第二制御方式を実行できる場合、該第二制御方式を選択することを特徴とする請求項11又は12に記載の情報提供装置。
【請求項14】
通信を行うために用いる通信パラメータを通信装置へ提供する情報提供装置における情報提供方法であって、
確認手段が、通信装置と前記情報提供装置との間の通信を中継する中継装置が、前記通信パラメータを提供することができるか否かを確認するステップと、
選択手段が、前記通信装置へ直接的に前記通信パラメータを提供する方式と、前記中継装置を介して前記通信装置へ前記通信パラメータを提供する方式とから、前記確認手段における確認結果に基づいて実行する方式を選択するステップと、
提供手段が、前記通信パラメータを、前記選択手段で選択された前記方式を用いて、前記通信装置へ提供するステップと
を備える情報提供方法。
【請求項15】
コンピュータを請求項1から13のいずれか1項に記載の情報提供装置が備える各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238974(P2012−238974A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105649(P2011−105649)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】