説明

情報提供装置

【課題】安価で豊富なコンテンツデータを、個人が簡単に、時間および場所に制約されることなく提供し、再生することができる情報提供システムを提供する。
【解決手段】放送波を受信するチューナ部102と、受信した放送波から得られたコンテンツデータを圧縮する圧縮部105,112と、圧縮部105,112によって圧縮されたコンテンツデータを記憶する記憶装置106と、記憶装置106に記憶されたコンテンツデータを伸張して再生信号にする伸張部113と、コンテンツデータを出力する出力装置300に再生信号を出力する外部出力端子114と、携行可能な携帯型情報端末からの光信号からなる要求信号を受け、記憶装置106に記憶され圧縮されたコンテンツデータを光信号に変換し携帯型情報端末へ送信する赤外線データ送受信部107とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送等の放送波から得られるコンテンツデータを提供する情報提供システムおよび情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2002−123438号公報には、インターネットに接続された情報提供装置に動画を含む各種コンテンツデータを蓄積しておき、それを赤外線信号などを用いて携帯型端末に高速に転送した後、携帯型端末を用いてコンテンツを再生する技術が開示されている。
また、本願出願人は、テレビ放送波を受信してコンテンツデータをハードディスクに圧縮記録しておき、記録時より後に伸張・再生して、通常のNTSC(National Television System Committee)信号を得て、これをテレビジョンモニター、スピーカ等の出力装置から映像や音声の出力を行う、商品名「クリップオン」という商品を商品化している。
さらに、テレビジョンチューナーを備えたパーソナルコンピュータを用いて、テレビジョン放送波を受信してコンテンツデータを着脱型の半導体メモリーに圧縮記録し、その着脱型の半導体メモリーをPDA(Personal Data Assistant) に装着した後、PDAを用いてそのコンテンツを再生・伸張して映像・音声出力を行う技術が知られている(2000年9月21日発表 シャープ社報道資料)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、テレビジョン放送波を受信して得たコンテンツをハードディスクや半導体メモリー等の記録媒体に一旦記録しておき、この記録されたコンテンツをPDA等の携帯型情報端末において再生できると、時間と場所の制約を受けずにコンテンツを視聴することが可能となる。
上記のコンテンツデータを携帯型情報端末において再生するには、テレビジョン放送波を受信して得たコンテンツデータを、ハードディスクや半導体メモリー等の記録媒体に一旦記録しておき、このコンテンツデータを携帯型情報端末に移しかえる、あるいは、複写する必要がある。
コンテンツデータを携帯型情報端末に移しかえるには、たとえば、半導体メモリーにテレビジョン放送波を受信して得たコンテンツデータを記憶し、この半導体メモリーを携帯型情報端末に装着すればよいが、半導体メモリーを着脱する必要があり、手間がかかるという問題がある。
また、記録媒体に記録したコンテンツデータを赤外線信号に変換し、この赤外線信号を携帯型情報端末で受信することによりコンテンツデータの携帯型情報端末への複写が非接触で可能になるが、コンテンツデータの送受信に長時間を要する可能性がある。
さらに、記録媒体に記録したコンテンツデータを携帯型情報端末へ複写する場合、著作権の観点から、個人的に視聴する以外の複製を防止する必要がある。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題に鑑みて成されたものであって、その目的は、テレビジョン放送等の放送波を受信して得たコンテンツを携帯型情報端末に迅速に提供でき、また、当該コンテンツの個人的な視聴以外の複製を防止できる情報提供システムおよび情報提供装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報提供装置は、放送波を受信する放送波受信手段と、受信した放送波から得られたコンテンツデータを圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段によって圧縮されたコンテンツデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたコンテンツデータを伸張して再生信号にする伸張手段と、コンテンツデータを出力する出力装置に前記再生信号を出力する外部出力手段と、携行可能な携帯型情報端末からの光信号からなる要求信号を受け、前記記憶手段に記憶され圧縮されたコンテンツデータを光信号に変換し当該携帯型情報端末へ送信するデータ送受信手段とを有する。
【0006】
好適には、前記圧縮手段は、前記コンテンツデータを第1の圧縮率で圧縮する第1の圧縮手段と、前記第1の圧縮手段で圧縮されるコンテンツデータと共通のコンテンツデータを前記第1の圧縮率よりも低い第2の圧縮率で圧縮する第2の圧縮手段とを有し、前記携帯型情報端末にコンテンツデータを提供する場合には、前記第1の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを読みだして前記データ送受信手段に出力し、前記出力装置に再生信号を出力する場合には、前記第2の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを読み出し、前記伸張手段により伸張させ、得られた再生信号を前記外部出力手段に出力する。
【0007】
本発明の情報提供システムでは、放送波を受信して得られたコンテンツデータが情報提供装置の記憶手段に圧縮して記憶される。このコンテンツデータが携帯型情報端末から要求された場合には、圧縮されたコンテンツデータが光信号に変換され、携帯型情報端末に送信される。
携帯型情報端末では、受信した圧縮されたコンテンツデータを記憶手段に記憶する。この記憶手段に記憶されたコンテンツデータは、伸張され出力手段によって再生される。
【0008】
本発明の情報提供装置では、放送波を受信して得られたコンテンツデータが情報提供装置の記憶手段に圧縮して記憶される。
このコンテンツデータが携帯型情報端末から要求された場合には、圧縮されたコンテンツデータが光信号に変換され、携帯型情報端末に送信される。
また、コンテンツデータを出力装置で再生する場合には、記憶手段に記憶されたコンテンツデータが伸張されて再生信号となり、これが外部出力手段を通じて出力装置に出力される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、豊富な放送番組の中から好みの番組を選択、記録し、短時間に転送し、ユーザの好みの場所・時間で再生することが可能となる。
また、本発明によれば、長期間安定したコンテンツデータの転送が可能となり、かつ著作権法を遵守することが可能となる。
また、本発明によれば、利用者は場所や時間の制約無く、短時間に数多くの記録済みコンテンツの把握が可能となり、このようなコンテンツの中から好みのものを選択し、後から大画面の出力装置で鑑賞することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報提供システムの一実施形態に係る情報提供装置の構成図である。
【図2】本発明の情報提供システムの一実施形態に係る携帯型情報端末である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る情報提供装置の構成図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態に係る情報提供装置の構成図である。
【図5】情報提供装置において記録装置に記録されるコンテンツデータの構成例を説明するための図である。
【図6】情報提供装置において記録装置に記録されるコンテンツデータの他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1の実施形態
図1は本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける情報提供装置の構成図であり、図2は図1の情報提供装置からコンテンツの提供を受ける携帯型情報端末の構成図である。
本実施形態に係る情報提供システムは、図1に示す情報提供装置101と図2に示す携帯型情報端末201とを有する。情報提供装置101は所定の場所の設置され、携帯型情報端末201はユーザにより任意の場所に携行可能になっている。
図1において、情報提供装置101は、チューナ部103と、制御処理部104と、圧縮部105と、記憶装置106と、赤外線データ送受信部107とを有する。
なお、チューナ部103は本発明の放送波受信手段の一実施態様であり、圧縮部105は本発明の圧縮手段の一実施態様であり、記憶装置106は本発明の記憶手段の一実施態様であり、赤外線データ送受信部107は本発明の装置側データ送受信手段である。
【0012】
チューナ部103は、アンテナ102と接続されている。このアンテナ102によってアナログ伝送されるテレビジョン放送波が受信される。アンテナ102で受信したテレビジョン放送波をチューナ部103が受信し、チューナ部103において、選択された番組(チャンネル)のベースバンド信号が得られる。このベースバンド信号は、ディジタル信号に変換され制御処理部103に出力され、ビデオ信号とオーディオ信号に分離される。
【0013】
圧縮部105は、制御処理部103を経由して入力されたビデオ信号とオーディオ信号からなるコンテンツデータを所定の圧縮方法により圧縮する。圧縮方法は、たとえば、MPEG(Motion Picture Experts Group)2やMPEG4のような周知の圧縮・伸張規格に規定された圧縮方法を用いることができる。
【0014】
記憶装置106は、圧縮部105で圧縮されたビデオ信号とオーディオ信号からなるコンテンツデータを記憶する。
記憶装置106には、ハードディスクドライブ(HDD)や半導体メモリーを用いることができるが、後述するように、携帯型情報端末201にコンテンツデータを転送する観点からは、読み出し速度が速いSDRAM等の半導体メモリーを用いるのが好ましい。
【0015】
赤外線データ送受信部107は、制御処理部104から入力されるデータを赤外線発光ダイオード等の素子を用いて変調し、赤外線信号Daとして送信する。 また、赤外線データ送受信部107は、赤外線信号Dbをフォトトランジスタダイオード等の素子を用いて受信、復調して制御処理部104に出力する。
なお、赤外線データ送受信部107は、データ送信には、たとえば、480Mbps(ビット/秒)程度の高速なデータ転送が可能な素子および変調方式を用い、データ受信には、4Mbps(ビット/秒)程度のデータ送信時よりも低速のデータ転送を行う素子および変調方式が用いられている。
【0016】
制御処理部104は、情報提供装置101を総合的に制御する。具体的には、チューナ部103が受信したベースバンド信号を圧縮部105に送信したり、記憶装置106に記憶されたコンテンツデータを読みだして、赤外線データ送受信部107に出力したり、赤外線データ送受信部107が受信した信号を受けて所定の処理を行う等の各種処理を行う。
【0017】
携帯型情報端末201は、図2に示すように、赤外線データ送受信部202と、制御処理部203と、画像音声出力部204と、記憶装置205と、伸張部206と、操作部207とを有する。
なお、赤外線データ送受信部202は本発明の端末側データ送受信手段の一実施形態であり、画像音声出力部204は本発明の出力手段の一実施態様であり、伸張部206は本発明の伸張手段の一実施態様であり、記憶装置205は本発明の記憶手段の一実施態様である。
【0018】
赤外線データ送受信部202は、情報提供装置101の赤外線データ送受信部107との間で赤外線信号Da,Dbの送受信を行う。具体的には、制御処理部203から入力されるデータを赤外線発光ダイオード等の素子を用いて変調し、赤外線信号Dbとして送信する。また、赤外線データ送受信部202は、情報提供装置101からの赤外線信号Daをフォトトランジスタダイオード等の素子を用いて受信、復調し制御処理部203に出力する。
【0019】
記憶装置205は、赤外線データ送受信部202によって受信した情報提供装置101からのコンテンツデータが制御処理部203を経由して記憶される。
この記憶装置205は、携帯型情報端末201の外部からアクセスできないようになっている。このため、記憶装置205から読みだされたコンテンツデータは、後述する画像音声出力部204にのみ出力される。
記憶装置205は、たとえば、半導体メモリーが用いられる。また、記憶装置205に記憶されるコンテンツデータは、上記したように圧縮されている。
【0020】
伸張部206は、記憶装置205から読みだされたコンテンツデータを情報提供装置101側の圧縮方法に対応した伸張方法で伸張する。伸張部206で伸張されたビデオ信号およびオーディオ信号からなるコンテンツデータは、制御処理部203を経由して画像音声出力部204に出力される。
【0021】
画像音声出力部204は、画像表示装置および音声出力装置で構成される。この画像音声出力部204は、伸張部206で伸張されたビデオ信号およびオーディオ信号を再生し、画像表示および音声出力を行う。
【0022】
操作部207は、再生操作部208と、転送内容選択部209と、記録内容選択部210とを有する。
操作部207は、たとえば、携帯型情報端末201に設けられた操作ボタンおよび所要の回路で構成される。この操作部207のユーザによる操作によって、各種の操作信号が制御処理部203に入力される。制御処理部203は、入力された操作信号に応じた処理を行う。
【0023】
再生操作部208は、記憶装置205に記憶されたコンテンツデータの画像音声出力部204による再生を指示する操作信号を制御処理部203に与える。
【0024】
転送内容選択部209は、情報提供装置101内の記憶装置106に記憶されたコンテンツデータのうちどのコンテンツデータを携帯型情報端末201に転送させるかを指示する操作信号を制御処理部203に与える。この操作信号は、赤外線データ送受信部202,107を通じて情報提供装置101の制御処理部104に送られる。
【0025】
記録内容選択部210は、情報提供装置101のチューナー部103でどのコンテンツデータ(番組)を受信し、記憶装置106に記憶させるかを指示する操作信号を制御処理部203に与える。この操作信号は、赤外線データ送受信部202,107を通じて情報提供装置101の制御処理部104に送られる。
【0026】
次に、上記構成の情報提供システムにおける情報提供装置101から携帯型情報端末201へのコンテンツの提供手順の一例について説明する。
まず、ユーザは、携帯型情報端末201の転送内容選択部209の操作によって、情報提供装置101が受信し記憶するコンテンツ(番組)を指示しておく。たとえば、後で視聴したい番組が複数ある場合には、これらをまとめて指示する。
【0027】
情報提供装置101は、携帯型情報端末201の転送内容選択部209で指定されたコンテンツをチューナ部103で受信し、これを制御処理部104および圧縮部105を通じて圧縮し、記憶装置106に記憶する。
【0028】
ユーザは、情報提供装置101の記憶装置106に記憶されたコンテンツデータを携帯型情報端末201に転送したいときには、まず、情報提供装置101に対して携帯型情報端末201を赤外線信号で通信可能な場所に配置する。
そして、転送内容選択部209を操作し、受信したいコンテンツデータを選択する。これにより、情報提供装置101の記憶装置106に記憶されたコンテンツデータのうち、選択されたコンテンツデータが圧縮された状態で赤外線データ送受信部107,202を通じて携帯型情報端末201に送信される。
携帯型情報端末201に伝送されたコンテンツデータは、携帯型情報端末201の記憶装置205に記憶される。
【0029】
ユーザは、携帯型情報端末201に伝送されたコンテンツデータを再生して視聴したいときには、再生操作部208を操作する。これにより、携帯型情報端末201の記憶装置205に記憶されたコンテンツデータは、伸張部206で伸張されてビデオ信号およびオーディオ信号となり、画像音声出力部204に出力され、画像出力および音声出力が行われる。
【0030】
以上のように、本実施形態では、携帯型情報端末201によって視聴したいコンテンツデータを情報提供装置101に予め指示しておき、情報提供装置101に所望のコンテンツデータを圧縮して記憶させる。この情報提供装置101に記憶されたコンテンツデータを携帯型情報端末201に複写する際に、コンテンツデータは圧縮されており、かつ、赤外線信号に変換されて携帯型情報端末201に伝送される。コンテンツデータが圧縮されてデータ量が縮小していること、および、赤外線伝送技術は通信回線と比べて非常に高速なデータ転送が可能であることから、情報提供装置101から携帯型情報端末201へのコンテンツデータの伝送を非常に高速に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、携帯型情報端末201の記憶装置205に記憶されたコンテンツデータは、画像音声出力部204にのみ出力され、外部に出力されることがないため、携帯型情報端末201に記憶されたコンテンツデータが容易に複製されるのを防ぐことができ、個人的に視聴する目的以外の目的でコンテンツデータの複製が行われにくくなる。
【0032】
第2の実施形態
図3は、本発明の他の実施形態に係る情報提供装置の構成図である。なお、図3において、上述した第1の実施形態に係る情報提供装置101と同一の構成部分については同一の符号を使用している。
本実施形態に係る情報提供装置111と第1の実施形態に係る情報提供装置101との間で異なる構成は、第2圧縮部112、伸張部113および外部出力端子114が追加された点である。
なお、圧縮部105および第2圧縮部112は本発明の第1および第2の圧縮手段の一実施態様であり、伸張部113は本発明の伸張手段の一実施態様であり、外部出力端子114は本発明の外部出力手段の一実施態様である。
【0033】
第2圧縮部112は、チューナ部103で受信したコンテンツデータを圧縮部105の圧縮率よりも低い圧縮率で圧縮し、これを記憶装置106に記憶する。 具体的には、第2圧縮部112は、たとえば、MPEG2の圧縮・伸張規格に規定された圧縮方法で圧縮し、圧縮部105はMPEG4の圧縮・伸張規格に規定された圧縮方法で圧縮する。
圧縮部105および第2圧縮部112は、共通のコンテンツデータを圧縮するが、圧縮部105で圧縮されたコンテンツデータのデータ量は、第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータのデータ量よりも小さい。
【0034】
伸張部113は、圧縮部105および第2圧縮部112でそれぞれ圧縮され、記憶装置106に記憶されたコンテンツデータのうち、第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータを伸張し、再生信号としてのビデオ信号およびオーディオ信号とし、これを制御処理部104に出力する。制御処理部104は、このビデオ信号およびオーディオ信号を外部出力端子114に出力する。
【0035】
外部出力端子114は、出力装置300と接続され、この出力装置300に制御処理部104からのビデオ信号およびオーディオ信号を出力する。
出力装置300は、たとえば、CRT装置等の画像表示装置および音声出力装置からなる。
【0036】
上記構成の情報提供装置111は、第1の実施形態に係る携帯型情報端末201へコンテンツデータを提供するとともに、コンテンツデータを再生信号として出力装置300に出力する。
このとき、携帯型情報端末201へコンテンツデータを転送する場合には、情報提供装置111は、圧縮率の高い圧縮部105で圧縮されたコンテンツデータを送信する。
また、出力装置300でコンテンツデータを視聴する場合には、情報提供装置111は、圧縮率の低い第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータを伸張部113で伸張して再生信号とし、外部出力端子114から出力装置300へ出力する。
【0037】
たとえば、ユーザは、時間に余裕がある場合には、家庭内に置かれた出力装置300でコンテンツデータを視聴する。このとき、出力装置300に出力されるコンテンツデータは、テレビジョン放送波から得られるコンテンツデータを圧縮率の低い圧縮方式で圧縮したものであるので、画像品質や音声品質が低下せず、高画質の画像、高音質の音声を視聴することができる。
【0038】
一方、携帯型情報端末201へ伝送されるコンテンツデータは高い圧縮率で圧縮されているので、情報提供装置111から携帯型情報端末201へ非常に短時間でコンテンツデータを伝送することができる。
【0039】
第3の実施形態
図4は、本発明の第3の実施形態に係る情報提供装置の構成図である。なお、図4において、上述した第2の実施形態に係る情報提供装置111と同一の構成部分については同一の符号を使用している。
本実施形態に係る情報提供装置121と第2の実施形態に係る情報提供装置111との間で異なる構成は、情報提供装置121は、情報提供装置111の記憶装置106に代えて、記憶装置106Aおよび第2記憶装置106Aを有する点である。なお、記憶装置106Aは本発明の第1の記憶手段の一実施態様であり、第2記憶装置106Bは本発明の第2の記憶手段の一実施態様である。
【0040】
記憶装置106Aは、圧縮部105で圧縮されたコンテンツデータが記憶される。
第2記憶装置106Bは、第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータが記憶される。
記憶装置106Aは、第2記憶装置106Bよりも制御処理部106によるデータの読み出し速度が速い、たとえば、SDRAM等の半導体メモリーが用いられる。
第2記憶装置106Bは、たとえば、ハードディスクドライブ等の半導体メモリーに比べると読み出し速度は遅いが、半導体メモリーよりも大容量のデータを記憶可能で安価な記憶装置が用いられる。
【0041】
上記のように、携帯型情報端末201に伝送するためのコンテンツデータを圧縮する圧縮部105で圧縮されたコンテンツデータを記憶装置106Aで記憶することにより、記憶装置106Aのデータ読み出しに要する時間が短縮されるため、上述した第2の実施形態に比べて、情報提供装置121から携帯型情報端末201へさらに短時間でコンテンツデータを伝送することができる。
一方、第2記憶装置106Bで記憶されたコンテンツデータは、伸張部113で伸張され出力装置300へ出力される。このとき、第2圧縮部112は圧縮部105よりも圧縮率が低いため、出力装置300には高い画質および音質の画像および音声が出力される。
【0042】
第4の実施形態
本実施形態では、上述した情報提供装置111,121における制御処理部104によるコンテンツデータの管理方法について説明する。
図5は、上述した情報提供装置111,121において、記憶装置106または記録装置106A,106Bに記録されるコンテンツデータの構成例を説明するための図である。なお、本実施形態では、情報提供装置111,121における制御処理部104が本発明の管理手段の一実施態様である。
図5(a)は、圧縮部105で圧縮されたコンテンツデータ群MCD1を示しており、図5(b)は、第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータ群MCD2を示している。
【0043】
コンテンツデータ群MCD1およびコンテンツデータ群MCD2は、共通のコンテンツデータで構成されているが、コンテンツデータ群MCD1はコンテンツデータ群MCD2の各コンテンツデータ(各番組A,B,C)の一部のみとなっている。
具体的には、制御処理部104は、2時間の長さの番組A,B,Cを圧縮部105および第2圧縮部112で圧縮して記憶させる際に、番組A,B,Cの冒頭の10分間だけ圧縮部105で圧縮させて、残りは記憶させない。一方、制御処理部104は、第2圧縮部112で2時間の長さの番組A,B,Cの全部を圧縮させて記憶させる。
【0044】
上記の制御を行うことにより、ユーザは高い圧縮率で圧縮された各コンテンツデータA,B,Cの冒頭の一部を携帯型情報端末201で迅速に受け取ることができる。また、ユーザは各コンテンツデータA,B,Cの冒頭の一部を携帯型情報端末201で再生し、内容に興味を持ったときコンテンツデータを出力装置300で再生することができる。すなわち、情報提供装置111,121に多数のコンテンツデータを記憶させ、携帯型情報端末201でそれらの内容をサーチすることにより、コンテンツデータの取捨選択を場所や時間の制約を受けることなく行うことができる。
【0045】
第5の実施形態
本実施形態では、上述した情報提供装置111,121における制御処理部104によるコンテンツデータの管理方法の他の例について説明する。
図6は、上述した情報提供装置111,121において、記憶装置106または記録装置106A,106Bに記録されるコンテンツデータの構成例を説明するための図である。
図6(a)は、圧縮部105で圧縮されたコンテンツデータCD1を示しており、図6(b)は、第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータCD2を示している。
【0046】
図6に示すように、コンテンツデータCD1は、番組ラベルSr1、後再生フラッグSfおよび番組の一部データCbからなり、コンテンツデータCD2は番組ラベルSrと番組の全データCaからなる。
番組の一部データCbは、番組の全データCaの冒頭部分のデータである。
なお、番組ラベルSr1,Sr2は本発明の識別情報の一実施態様であり、後再生フラッグSfは本発明の再生選択情報の一実施態様である。
【0047】
番組ラベルSr1,Sr2は、コンテンツデータCD1,CD2を識別するために、制御処理部104がデータを圧縮記憶する際にコンテンツデータに付加する情報である。
後再生フラッグSfは、第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータを出力装置300で後で再生するか否かを決定するためのフラグである。制御処理部104は、コンテンツデータを圧縮記憶する際に、後再生フラッグSfを後で再生しない状態”0”に初期設定する。この後再生フラッグSfが”1”となると、圧縮されたコンテンツデータを出力装置300で再生することを示す。
【0048】
図6(a)に示したようなコンテンツデータCD1が情報提供装置111あるいは121に記憶された状態で、これらのコンテンツデータをユーザは携帯型情報端末201で受け取る。
そして、各コンテンツデータ(番組)の冒頭部分を携帯型情報端末201で再生し、後で視聴したいコンテンツの場合には、操作部207の操作によって後再生フラッグSfを”1”に変更する。
【0049】
ユーザは、携帯型情報端末201から情報提供装置111あるいは121との間で通信することにより、携帯型情報端末201に記録された番組ラベルSr1と後再生フラッグSfが情報提供装置111あるいは121に送られる。
その後、ユーザが再生操作部208を操作して後再生を情報提供装置111あるいは121に指示すると、情報提供装置111あるいは121の制御処理部104は後再生フラッグSf”1”であるコンテンツデータに対応する第2圧縮部112で圧縮されたコンテンツデータを出力装置300で再生する。
【0050】
上記のようなコンテンツデータの管理を行うことで、ユーザは、たとえば、外出中の空き時等において短時間で番組の冒頭部分を視聴し、予め携帯型情報端末201において好きな番組を選択しておき、帰宅したのち、出力装置300において選択した番組をじっくりと楽しむことができる。このとき、情報提供装置111あるいは121において番組の選択操作をする必要がない。
【符号の説明】
【0051】
101,111,121…情報提供措置、102…アンテナ、103…チューナー部、104…制御処理部、105…圧縮部、106…記憶装置、107…赤外線データ送受信部、112…第2圧縮部、113…伸張部、114…外部出力端子、122…第2記憶措置、201…携帯型情報端末、202…赤外線データ送受信部、203…制御処理部、204…画像音声出力部、205…記憶装置、206…伸張部、207…操作部、208…再生操作部、209…転送内容選択部、210…記録内容選択部、Sr…番組ラベル、Sf…後再生フラッグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を受信する放送波受信手段と、
受信した放送波から得られたコンテンツデータを圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮手段によって圧縮されたコンテンツデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたコンテンツデータを伸張して再生信号にする伸張手段と、
コンテンツデータを出力する出力装置に前記再生信号を出力する外部出力手段と、
携行可能な携帯型情報端末からの光信号からなる要求信号を受け、前記記憶手段に記憶され圧縮されたコンテンツデータを光信号に変換し当該携帯型情報端末へ送信するデータ送受信手段と
を有する情報提供装置。
【請求項2】
前記圧縮手段は、前記コンテンツデータを第1の圧縮率で圧縮する第1の圧縮手段と、
前記第1の圧縮手段で圧縮されるコンテンツデータと共通のコンテンツデータを前記第1の圧縮率よりも低い第2の圧縮率で圧縮する第2の圧縮手段とを有し、
前記携帯型情報端末にコンテンツデータを提供する場合には、前記第1の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを読みだして前記データ送受信手段に出力し、前記出力装置に再生信号を出力する場合には、前記第2の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを読み出し、前記伸張手段により伸張させ、得られた再生信号を前記外部出力手段に出力する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記第1の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを記憶する第1の記憶手段と、前記第2の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを記憶する第2の記憶手段とを有し、
前記第1の記憶手段の読み出し速度は、前記第2の記憶手段よりも高速である 請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
共通のコンテンツデータの全部を前記第2の圧縮手段で圧縮して前記記憶手段に記憶させ、前記共通のコンテンツデータの一部を前記第1の圧縮手段で圧縮して前記記憶手段に記憶させる管理手段を有する
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記管理手段は、前記第1および2の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータに識別情報を付加するとともに、前記第2の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータを再生するか否かの再生選択情報を前記第1の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータに付加し、前記再生選択情報の状態を前記携帯型情報端末からの操作信号に応じて書き換え、前記再生選択情報の状態に応じて前記第2の圧縮手段で圧縮されたコンテンツデータの再生を行う
請求項4に記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−273394(P2010−273394A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201397(P2010−201397)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【分割の表示】特願2002−250966(P2002−250966)の分割
【原出願日】平成14年8月29日(2002.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】