説明

情報検索方法及び情報検索装置

【課題】 検索条件に該当する内容を含む有効な情報であって、閲覧できる可能性の高い情報を検索して情報の権限者に公開を依頼することができる情報検索方法を提供する。
【解決手段】 質問者の端末301からの検索要求を受信するステップと、検索要求に設定された検索ワードに該当する内容を含む候補情報をメール蓄積データベース116から検索するステップと、検索された候補情報に付加された、候補情報の受信者の属性と、検索要求を送信した質問者の属性との類似度に基づいて検索された候補情報をさらに絞り込むステップと、絞り込んだ候補情報の公開依頼を候補情報の受信者に送信するステップと、公開依頼に対する回答を受信し、公開可の回答を得た候補情報を質問者の端末301に送信するステップと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報検索方法及び情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネットワークを通じて情報を共有し、又は交換する技術が種々提案されている。例えば、メーリングリストシステムでは、複数のユーザを1つのグループとしてメールサーバに登録しておくことで、登録されたユーザ間で電子メールを用いた情報の交換を行うことができる。
また、情報の共有をさらに押し進めるために、共有のデータベースを用意しておき、このデータベースに電子メールの情報を登録する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。この技術では、第三者はデータベースに登録された電子メールのうち、公開可に設定された電子メールの情報を参照することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−185536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データベースに登録された情報の閲覧を希望する第三者は、有効な情報を得るためにデータベースに登録された情報を公開してもらわなればならない。しかしながら、どのような者に情報が公開されるのかが分からない状態で、情報を公開に設定するのは難しく、公開、非公開を設定する権限を持つ権限者は、情報を非公開に設定してしまうことが多い。従って、第三者は有効な情報を得ることができない場合も多い。
また、情報の重要度は、時期によっても異なるため、例えば、電子メールとして送信した時には情報の公開、非公開を決めにくい場合もある。すなわち、電子メールの送信時には重要な情報であっても、第三者からの閲覧要求があったときにも重要な情報のままであるか否かは分からない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、検索条件に該当する内容を含む有効な情報であって、閲覧できる可能性の高い情報を検索して情報の権限者に公開を依頼することができる情報検索方法及び情報検索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本明細書の開示では、検索者端末からの検索要求を受信するステップと、前記検索要求に設定された検索条件に該当する内容を含む候補情報をデータベースから検索するステップと、検索された候補情報に付加された、該候補情報の公開と非公開とを決定する権限を有する権限者の属性と、前記検索者端末から前記検索要求を送信した検索者の属性との類似度に基づいて前記検索された候補情報をさらに絞り込むステップと、絞り込んだ候補情報の公開依頼を前記権限者の端末に送信するステップと、前記公開依頼に対する回答を受信し、公開可の回答を得た候補情報を前記検索者端末に送信するステップと、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本明細書の開示によれば、検索条件に該当する内容を含む有効な情報であって、閲覧できる可能性の高い情報を検索して情報の権限者に公開を依頼することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、図1を参照しながら実施例1のシステム構成を説明する。
実施例1のシステムは、内部ネットワーク100に、電子メール公開装置110と、メールサーバ130と、複数の端末150−1,150−2,・・・,150−n(nは任意の自然数)とが接続されている。なお、以下では端末150−1,150−2,・・・,150−nを区別する必要のない場合には、総称して端末150と呼ぶ。
内部ネットワーク100は、例えば、企業内に敷設されたネットワークであり、具体的には、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワークである。
また、内部ネットワーク100は、インターネットや公衆回線網等の外部ネットワーク200に接続している。外部ネットワーク200には、LANやWANなどの他のネットワークが複数接続される。図1に示す例では、ネットワーク210とネットワーク220とが外部ネットワーク200に接続されている。ネットワーク210には、メールサーバ211や端末212−1,212−2,・・・212−m(mは任意の自然数)が接続されている。同様に、ネットワーク220には、メールサーバ221や端末222−1,222−2,・・・,222−k(kは任意の自然数)が接続されている。なお、端末212−1,212−2,・・・212−mや、端末222−1,222−2,・・・,222−sも区別する必要のない場合には、総称して端末212、222と呼ぶ。
なお、図1では、ルータやブリッジなどの中継機器や、ファイアウォール、プロキシサーバなどのネットワーク上に配置される装置については図示を省略している。
【0010】
メールサーバ130には、内部ネットワーク100に接続した端末150−1,150−2,・・・,150−nを利用する利用者宛ての電子メールが蓄積されている。端末150−1,150−2,・・・,150−nの利用者は、ブラウザソフトウェアを利用してメールサーバ130にアクセスし、メールサーバ130に蓄積された利用者宛ての電子メールを閲覧する。
【0011】
電子メール公開装置110は、メールサーバ130に蓄積された電子メールを取得する。そして、端末150、212、222から質問メールを受信すると、電子メール公開装置110は、質問内容に関連する電子メールを取得した電子メールから検出する。さらに、電子メール公開装置110は、検出した電子メールのうち、公開を許可される可能性の高い電子メールを絞り込む。本実施例では、質問メールの質問者の属性と、電子メールの公開、非公開を設定できる権限者(本実施例では電子メールの送信者と受信者)の属性とから絞り込む。すなわち、質問者の所属する組織と、権限者の所属する組織との近さを属性から判定して、公開を許可される可能性の高い電子メールを絞り込む。そして、電子メール公開装置110は、絞り込んだ電子メールの権限者(本実施例では、電子メールの受信者)に電子メールの公開可否を問い合わせる。
【0012】
図2に、電子メール公開装置110のハードウェア構成を示す。
電子メール公開装置110は、制御部111と、通信インターフェース115と、メール蓄積データベース116とを備えている。
制御部111は、CPU(Central Processing Unit)112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114とを備えている。制御部111内の各部と、通信インターフェース115と、メール蓄積データベース116とは内部バス117で接続されている。
【0013】
通信インターフェース115は、他の装置とデータの送受信を行う通信部である。通信インターフェース115は、内部ネットワーク100に接続された端末150やメールサーバ130と通信を行う。また、通信インターフェース115は、外部ネットワーク200に接続した端末212、222やメールサーバ211、221とも通信を行う。
【0014】
メール蓄積データベース116には、メールサーバ130から取得した電子メールが蓄積される。
【0015】
ROM113には、CPU112の実行するプログラムが格納されている。RAM114は、CPU112の作業用メモリとして使用され、CPU112の処理途中のデータや、処理結果のデータなどが一時的に保存される。
CPU112は、ROM113に格納されたプログラムを読み込んで、読み込んだプログラムに従って演算処理を行う。CPU112のプログラム制御により実現されるソフトウェア処理部の構成を図3に示す。
【0016】
ソフトウェア処理部は、通信制御手段121と、電子メール取得手段122と、関連メール検索手段123と、公開依頼先選択手段124と、問い合わせ・応答手段125と、データベース書き換え手段126とを有している。
【0017】
通信制御手段121は、通信インターフェース115を介して他の装置との通信を行う。例えば、通信制御手段121は、メールサーバ130に蓄積された電子メールを取得したり、質問者の端末301(本発明の検索者端末に該当する)から質問メールを受信したり、公開候補メールの受信者端末302に電子メールの公開依頼を通知する。なお、質問者の端末301は、内部ネットワーク100に接続された端末150や、外部ネットワーク200に接続した他の端末212、222が該当する。また、公開候補メールの受信者端末302は、内部ネットワーク100に接続された端末150が該当する。また、質問メール、公開候補メールや電子メールの公開依頼の詳細については後述する。
【0018】
電子メール取得手段122は、メールサーバ130に蓄積された電子メールを取得して、メール蓄積データベース116に保存する。
【0019】
関連メール検索手段123は、質問者から送られた質問メールに記載された検索ワードをキーワードとして、メール蓄積データベース116を検索する。
電子メール公開装置110の利用者(以下、質問者と呼ぶ)は、検索したい情報(以下、検索ワードと呼ぶ)を記載した電子メール(以下、質問メールと呼ぶ)を質問者の端末301から電子メール公開装置110に送信する。電子メール公開装置110は、質問メールを通信インターフェース115を介して通信制御手段121で受信すると、この質問メールを関連メール検索手段123に出力する。
関連メール検索手段123は、質問メールに設定された検索ワードをキーワードとしてメール蓄積データベース116を検索する。関連メール検索手段123は、本文中やタイトルなどの属性情報に検索ワードが含まれている電子メールをメール蓄積データベース116から検索する。
なお、検索ワードとして自然文を設定することもできる。関連メール検索手段123は、質問メールに設定された自然文を単語に分割し、分割した単語に近い単語が含まれる電子メールをメール蓄積データベース116を検索して探す。
検出した電子メールは、関連メールとして公開依頼先選択手段124に通知される。
【0020】
公開依頼先選択手段124は、図4に示すように質問メールの送信者(質問者)と、関連メール検索手段123で検出された関連メールの送信者及び受信者との距離を計算する。距離とは、質問メールの送信者と、関連メールの送信者又は受信者との組織的な近さを表す指標である。なお、以下では、関連メールの送信者と受信者との両者を指す場合には、当事者と呼ぶ。
公開依頼先選択手段124は、計算した質問メールの送信者と当事者との距離が所定値以内である場合に、関連メールを公開候補メールに設定する。公開候補メールに設定された電子メールは、問い合わせ・応答手段125によって公開の問い合わせを行う。
【0021】
問い合わせ・応答手段125は、公開依頼先選択手段124で選択された公開候補メールの受信者に、該当電子メールの公開を許可してよいか否かを問い合わせる電子メールを作成する。作成した電子メールは、通信制御手段121に出力され、通信制御手段121の制御によって公開候補メールの受信者端末302に送信される。
【0022】
図5には、問い合わせ・応答手段125により公開候補メールの受信者に送られる公開依頼メールの画面例を示す。この公開依頼メールには、公開候補メールの公開を依頼する依頼文書の他に、公開を依頼している質問者の氏名、所属と、公開候補メールの受信日と、公開候補メールの送信者と、公開候補メールの内容とが記載されている。また、公開依頼メールには、公開候補メールの公開、非公開を設定する画面のURL(Uniform Resource Locator)が表示され、この画面へのリンク情報が張られている。
公開依頼メールを受信した公開候補メールの受信者は、公開依頼メールのリンク情報を選択して、電子メール公開装置110によって提供される図6に示す公開、非公開設定画面を表示させる。そして、公開候補メールの受信者は、非公開設定画面から公開候補メールの公開、非公開を設定する。公開候補メールの受信者が公開候補メールに対して設定できるパターンは3つある。1つ目は、公開候補メールを質問者だけではなく全ユーザに公開する設定である。2つ目は、公開候補メールの公開を禁止にする設定である。3つ目は、質問者に対してだけ公開候補メールの公開を許可する設定である。
公開候補メールの受信者によって公開、非公開設定画面から公開候補メールの公開、非公開が設定されると、設定された情報が回答情報として電子メール公開装置110に送信される。
【0023】
電子メール公開装置110は、公開候補メールの公開、非公開を設定した回答情報を通信インターフェース115を介して通信制御手段121で受信する。通信制御手段121は、受信した公開候補メールの公開、非公開を設定した回答情報を問い合わせ・応答手段125に出力する。
【0024】
問い合わせ・応答手段125は、公開候補メールの公開、非公開を設定した回答情報を受信して、質問者に対する応答メールを作成する。
公開候補メールの受信者に送った公開依頼メールに対する回答情報が全て非公開に設定された場合、問い合わせ・応答手段125は、「公開可能な電子メールはありません」といった内容の応答メールを作成する。
また、問い合わせ・応答手段125は、公開候補メールの受信者からの回答情報に、「公開候補メールの公開を質問者に限って許可する」との回答があった場合、該当の公開候補メールを公開メールとして質問者の端末301に送信する。
また、問い合わせ・応答手段125は、公開候補メールの受信者からの回答情報に、「全ての質問者に公開候補メールを公開する」との回答があった場合、該当の公開候補メールを公開メールとして質問者の端末301に送信する。さらに、問い合わせ・応答手段125は、データベース書き換え手段126に該当公開候補メールの属性情報の書き換えを依頼する。
【0025】
なお、公開メールの件数が多い場合には、質問者の端末301に直接公開メールを送信するのではなく、公開メールに関する情報を送信して、質問者が閲覧する電子メールを選択できるようにしてもよい。図7に応答メールの画面例を示す。図7に示す応答メールには、公開を許可された公開メールの送信者名、受信者名、送信者、受信者の所属部署名、公開メールの受信日時、時刻情報、質問者と公開メールの送信者又は受信者との距離情報、該当した検索ワードなどが表示される。
【0026】
データベース書き換え手段126は、問い合わせ・応答手段125から通知された公開候補メールの属性情報を書き換える。すなわち、データベース書き換え手段126は、全ユーザへの公開を許可された公開候補メールの公開属性を公開可を示す属性「1」に書き換える(図13参照)。
【0027】
次に、関連メールから公開候補メールを選択する方法について図8〜図10を参照しながら詳細に説明する。
電子メールには、電子メールの本文以外に、電子メールの中継履歴を示すヘッダ情報も記録されている。公開依頼先選択手段124は、ヘッダ情報を参照して公開候補メールを選択する。図8に電子メールのヘッダ情報の一例を示す。
ヘッダ情報には、図8に示すように電子メールの中継履歴を記録した[Received]が含まれる。この[Received]には、電子メールが届くまでに経由したサーバの情報(以下、サーバ情報と呼ぶ)や、日時などが中継履歴情報として記録されている。
【0028】
例えば、図9に示す端末222から内部ネットワーク100内の端末150に電子メールが送信されたとする。この場合の電子メールの転送経路を図9に点線で示す。端末222から送信された電子メールは、端末222が利用するメールサーバ221から非武装地帯に置かれたメールサーバ310に転送される。さらにメールサーバ310から内部ネットワーク100内に配置されたメールサーバ130に転送される。従って、端末222から送信された電子メールのヘッダ情報には、メールサーバ221とメールサーバ310とのサーバ情報が記録される。
【0029】
公開依頼先選択手段124は、関連メールのうち、公開属性が公開不可になっている電子メールを選択する。選択した電子メールを公開候補メールとして、公開依頼先選択手段124は、公開候補メールのヘッダ情報から中継履歴情報を取り出す。そして、公開依頼先選択手段124は、取り出した中継履歴情報のうち、公開候補メールの送信者に近い側から所定数と、公開候補メールの受信者に近い側から所定数とを選択する。公開候補メールの送信者に近い側の中継履歴情報を送信者側中継履歴情報と呼ぶ。また、公開候補メールの受信者に近い側の中継履歴情報を受信者側中継履歴情報と呼ぶ。送信者に最も近い中継履歴情報は、送信者の利用するメールサーバのサーバ情報に該当し、受信者に最も近い中継履歴情報は、受信者の利用するメールサーバのサーバ情報に該当する。
なお、図8に示す例では、送信者側中継履歴情報の上に受信者側中継履歴情報が表示されている。これは、ヘッダ情報の形式が、時間的に古い中継履歴情報の上に新しい中継履歴情報を記録していく形式であるからである。もちろん、中継履歴情報が古いものの下に新しい中継履歴情報を記録していくヘッダ情報の形式であってもよい。この場合、上側が送信者側中継履歴情報となり、下側が受信者側中継履歴情報となる。
また、関連メールのうち、公開属性が公開可になっている電子メールは、問い合わせ・応答手段125に通知され、公開メールとして質問者の端末301に送信される。
【0030】
また、公開依頼先選択手段124は、質問者からの質問メールについても同様に、ヘッダ情報から中継履歴情報(以下、質問メール中継履歴情報と呼ぶ)を取り出す。
【0031】
次に、公開依頼先選択手段124は、送信者側中継履歴情報と、受信者側中継履歴情報とをナンバリングする。例えば、送信者側中継履歴情報がN(Nは任意の自然数)個あった場合、送信者に近い側から1,2,3,・・・,Nと番号を付ける。同様に受信者側中継履歴情報がM個(Mは任意の自然数)個あった場合、受信者に近い側から1,2,3,・・・,Mと番号を付ける。
【0032】
次に、公開依頼先選択手段124は、関連メールのヘッダ情報から取り出した送信者側中継履歴情報と、質問メールのヘッダ情報から取り出した質問メール中継履歴情報とを比較する。例えば、送信側中継履歴情報が(ddd-vv.xxx.yyy.zzz.jp)であり、質問メールの中継履歴情報が(wxyz.lll.yyy.jp)であったとする。公開依頼先選択手段124は、中継履歴情報の先頭から最初のピリオードまでの情報を消去して、消去した中継履歴情報同士を比較する。上述の例では、(xxx.yyy.zzz.jp)と(lll.yyy.jp)とを比較する。比較は、中継履歴情報同士の完全一致又は部分一致を検出して判定する。また、部分一致には、中継履歴情報のピリオドで区切られた部分のうち連続する部分で一致する場合と、ピリオドで区切られた部分のうちの不連続の部分で一致する場合とがある。連続する部分での一致とは、例えば、(wxyz.lll.yyy.jp)と(wxyz.lll.ZZZ.jp)との(wxyz)と(lll)での一致である。また、不連続の部分での一致とは、(xxx.yyy.zzz.jp)と(lll.yyy.stu.jp)との(yyy)と(jp)での一致である。
なお、比較手順の詳細については、図17に示すフローチャートを参照しながら後ほど説明する。また、公開依頼先選択手段124は、受信者中継履歴情報についても同様に質問メールの質問メール中継履歴情報との比較を行う。
【0033】
比較の結果、送信者側中継履歴情報と質問メールの中継履歴情報とで完全一致又は部分一致を検出すると、一致を検出した関連メールの中継履歴情報の番号と質問メールの中継情報の番号との和を求める。例えば、図10(A)に示す例では、送信者側中継履歴情報の1番目と、質問メール中継履歴情報の2番目が完全一致又は部分一致したので、和は「3」となる。求めた和が質問者と公開候補メールの送信者との組織的な近さを表す距離となる。同様に、受信者側中継履歴情報と質問メールの中継履歴情報とで部分一致を検出すると、一致を検出した関連メールの中継履歴情報の番号と質問メールの中継情報との番号の和を求める。図10(B)に示す例では、受信者側中継履歴情報の4番目と質問メール中継履歴情報の2番目が完全一致又は部分一致したので、和は「6」となる。求めた和が質問者と公開候補メールの受信者との組織的な近さを表す距離となる。
【0034】
電子メールの中継履歴情報は、組織の構成を反映した情報となる。例えば、大企業では、組織毎にメールサーバが設置されるので、中継履歴情報から組織同士の近さ、すなわち、質問者と、公開候補メールの送信者又は受信者との属性の類似度を判定することができる。
また、職制変更が頻繁に行われる大企業では、組織構成を管理テーブルで管理すると、管理テーブル自体の管理が煩雑になってしまう。そこで、質問者と公開候補メールの送信者又は受信者との組織的な近さを、電子メールの中継履歴情報から判定することで、管理テーブルを設けて必要がなくなり、管理の手間を削減することができる。
【0035】
公開依頼先選択手段124、求めた距離の値をRAM114に保存する。図11には、RAM114に記録されるデータの管理テーブルの構成を示す。図11に示すようにRAM114には、質問者と公開候補メールの当事者との距離の値と、電子メールを識別するID(identifier)と、公開候補メールの受信者のメールアドレスとが関連付けて記録される。
また、公開依頼先選択手段124は、送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との両方で、質問メール中継履歴情報との一致を検出した場合には、値の小さい方を距離に選択する。例えば、図10(A),(B)に示す例では質問者と公開候補メールの送信者との距離は「3」で、質問者と公開候補メールの受信者との距離は「6」となる。従って、質問者と公開候補メールの送信者との距離「3」が選択される。
【0036】
公開依頼先選択手段124は、質問者と全ての公開候補メールの当事者との距離を求めると、求めた距離を値の小さい順にソートする。そして、公開依頼先選択手段124は、距離の値の小さいほうから予め設定された個数の公開候補メールを選択して、選択した公開候補メールの受信者に公開の可否を問い合わせる。図12(A)には、距離の値の小さい方から上位6個を選択した例を示す。
距離の値が小さいほど質問者と公開候補メールの当事者との組織的な距離が近いということ表している。このため、距離の値の小さい公開候補メールを選択して公開依頼のメールを送信することで、公開候補メールが公開される可能性を高めることができる。
また、距離が予め設定された値よりも小さい公開候補メールを選択して、選択した公開候補メールの受信者に公開の可否を問い合わせるように公開依頼先選択手段124を設定してもよい。図12(B)には、距離の値が4以下の公開候補メールを選択した例を示す。
【0037】
図13には、メール蓄積データベース116の管理テーブルの構成を示す。図13に示すようにメール蓄積データベース116には、公開属性、ID、宛先情報、送信者情報、件名、ヘッダ情報、本文などが記録されている。公開属性はフラグによって管理され、「1」が記録されていると該当の電子メールは、全ユーザに公開okを表している。また、「0」が記録されていると該当の電子メールは公開を許可されていないことを示す。
宛先情報は、該当の電子メールの宛先となるメールアドレスを示す。すなわち、公開候補メールの受信者のメールアドレスを示す。また、送信者情報は、公開候補メールの送信者のメールアドレスを示す。メール蓄積データベース116には、この他に、電子メールのアドレス情報と、社内での所属部署や役職などの属性情報とが関連付けて記録されている。
【0038】
次に、図14〜図17に示すフローチャートを参照しながら制御部111の処理手順を説明する。
まずは、図14に示すフローチャートを参照しながら制御部111の処理の流れの全体像を説明する。
制御部111は、質問者の端末301から質問メールを受信すると(ステップS1/YES)、関連メール検索手段123によりメール蓄積データベース116を検索する(ステップS2)。関連メール検索手段123は、質問メールに設定された検索ワードを検索キーとして、本文やタイトルなどの属性情報に検索ワードが含まれている電子メールをメール蓄積データベース116から検出する。
関連メールを検出すると、制御部111は関連メールの中から、公開属性が非公開のメールを検出し、これを公開候補メールに設定する(ステップS3)。公開属性が公開の関連メールは、公開メールとして質問者の端末301に送信される。
【0039】
次に、制御部111は公開依頼先選択手段124により質問者と、公開候補メールの当事者との距離を計算する(ステップS4)。
公開依頼先選択手段124は、公開候補メールのヘッダ情報として記録された「Received」を参照して、送信者側中継履歴情報と、受信者側中継履歴情報とを取り出す。また、公開依頼先選択手段124は、質問メールのヘッダ情報として記録された「Received」を参照して、質問メール中継履歴情報を取り出す。そして、公開依頼先選択手段124は、取り出した送信者側中継履歴情報と、質問メール中継履歴情報とを比較して、質問者と公開候補メールの送信者の距離を計算する。同様に、公開依頼先選択手段124は、質問者と公開候補メールの受信者との距離も計算する(ステップS4)。なお、公開依頼先選択手段124は、送信者側中継履歴情報と受信側中継履歴情報との両方で、質問メール中継履歴情報との完全一致又は部分一致を検出することができなかった場合、処理中の電子メールを公開候補メールから除外する。
【0040】
質問者と公開候補メールの送信者との距離と、質問者と公開候補メールの受信者との距離とを算出した公開依頼先選択手段124は、算出した距離に基づいて公開依頼先を選択する(ステップS5)。公開依頼先選択手段124は、選択した公開依頼先に関する情報(電子メールアドレス)を問い合わせ・応答手段125に通知する。制御部111は問い合わせ・応答手段125を用いて、通知を受けたすべての公開依頼先に公開依頼メールを送信する(ステップS6)。
【0041】
制御部111は、公開依頼メールを送信した公開依頼先から回答メールを受信すると(ステップS7/YES)、問い合わせ・応答手段125で回答メールの設定を判定する(ステップS9)。公開依頼先からの回答が全ユーザへの公開OKであった場合(ステップS9/YES)、制御部111は、データベース書き換え手段126により全ユーザへの公開OKに設定された公開候補メールの属性を変更する(ステップS10)。メール蓄積データベース116には、電子メールの属性情報が記録されているので、データベース書き換え手段126は、該当電子メールの公開属性を示すフラグを公開OKを示す値「1」に設定する。
また、制御部111は、公開OKに設定された回答メールを受信した場合には(ステップS11/YES)、質問者の端末301に応答メールを送信する(ステップS12)。ここでの公開OKに設定された回答メールには、全ユーザへの公開OKに設定された回答と、質問者への公開だけを許可するに設定された回答とが含まれる。応答メールには、公開を許可された公開メールの送信者名、受信者名、送信者、受信者の所属部署名、公開メールの受信日時、時刻情報、質問者と公開メールの送信者又は受信者との距離情報、該当した検索ワードなどが表示される。
【0042】
応答メールを送信した質問者から公開メールの取得要求があると(ステップS13/YES)、制御部111は質問者の端末301に取得要求のあった公開メールを送信する(ステップS14)。この後、制御部111は、ステップS8に戻って、公開依頼メールの送信から一定時間を経過したか否かを判定する。また、ステップS11で公開OKに設定された公開依頼メールを受信することができなかった場合にも(ステップS11/NO)、制御部111はステップS8に戻って、公開依頼メールの送信から一定時間を経過したか否かを判定する。
公開依頼メールを公開依頼先に送信してから一定時間を経過すると(ステップS8)、制御部111はこの処理を終了する。
【0043】
このように本実施例は、公開候補メールの当事者と質問メールの送信者との属性、すなわち、組織的な距離を比較して公開依頼を送信する公開候補メールを選択している。従って、検索条件に該当する内容を含む有効な情報であって、閲覧できる可能性の高い情報を検索して、検索した情報の公開を依頼することができる。
【0044】
次に、図15に示すフローチャートを参照しながら上述したステップS3の詳細な手順について説明する。
制御部111は、質問メールを受信すると、メール蓄積データベース116を検索して、質問メールに設定された検索ワードを含む関連メールを検出する(ステップS21)。この検索処理により取得した関連メールの件数をS件(Sは任意の整数)とする。制御部111は、取得した関連メールの公開属性を参照して、公開OKに設定された関連メールを抽出する(ステップS22)。なお、ここでは公開OKに設定された関連メールの件数がT件であったとする(Tは、T≦Sの条件を満たす任意の整数)。制御部111は、公開OKに設定されたT件の関連メールを公開メールとして、公開メールに関する情報を記載した応答メールを質問者の端末301に送信する(ステップS23)。次に、制御部111は、送信したM件の公開メールを関連メールから削除し(ステップS24)、質問者の端末301に送信せずに残っている電子メールを公開候補メールに設定する(ステップS25)。
【0045】
次に、図16に示すフローチャートを参照しながら質問者と公開候補メールの当事者との距離を判定する手順を説明する。
制御部111は、まず、質問メールのヘッダ情報から「Received」を取得し、質問メール中継履歴情報を取り出す(ステップS31)。
次に、取り出した質問メール中継履歴情報を質問者に近い側からナンバリングする(ステップS32)。質問者に最も近い質問メール中継履歴情報が、質問者の利用するメールサーバの情報に該当する。また、質問者から最も遠い質問メール中継履歴情報が、電子メール公開装置110の情報に該当する。
【0046】
次に、制御部111は、公開候補メールのヘッダ情報から「Received」を取得し、送信者側中継履歴情報と、受信者側中継履歴情報とを取り出す(ステップS33)。次に、制御部111は、取り出した送信者側中継履歴情報を送信者に近い側からナンバリングする。同様に、制御部111は、受信者側中継履歴情報を受信者に近い側からナンバリングする(ステップS34)。次に、制御部111は、質問メールの質問メール中継履歴情報と送信者側中継履歴情報とを比較する。同様に、制御部111は、質問メールの質問メール中継履歴情報と受信者側中継履歴情報とを比較する(ステップS35)。
質問メール中継履歴情報と送信者側中継履歴情報との完全一致又は部分一致を検出すると(ステップS26/YES)、制御部111は一致した質問メール中継履歴情報の番号と、送信者側中継履歴情報の番号とをRAM114に記録する。同様に、質問メール中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との完全一致又は部分一致を検出すると(ステップS26/YES)、制御部111は、一致した質問メール中継履歴情報の番号と、受信者側中継履歴情報の番号とをRAM114に記録する。
【0047】
次に、制御部111は、完全一致又は部分一致した中継履歴情報の番号の和を求め、質問者と送信者、又は質問者と受信者との距離を求める(ステップS37)。完全一致又は部分一致した質問メール中継履歴情報の番号と送信者側中継履歴情報の番号との和を質問者と送信者との距離とする。同様に、完全一致又は部分一致した質問メール中継履歴情報の番号と受信者側中継履歴情報の番号との和を質問者と受信者との距離とする。
同一の公開候補メールで、送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報とが質問メール中継履歴情報と一致する場合、制御部111は加算した値の小さい方を該当する公開候補メールの距離として選択する。
次に、制御部111は、加算した値を値の小さい順にソートする(ステップS38)。電子メール公開装置110は、予め設定された設定値値と加算値とを比較して、加算値が設定値よりも小さい公開候補メールの受信者端末302に、該当公開候補メールの公開を依頼する。
【0048】
次に、図17に示すフローチャートを参照しながら上述したステップS35の詳細について説明する。なお、このフローは、質問メール中継履歴情報と送信者側中継履歴情報との一致を検出するフローについて説明する。
まず、制御部111は、質問メール中継履歴情報を識別する変数iと、送信者側中継履歴情報を識別する変数jとを1に設定する(ステップS51)。次に、制御部111は、i=1番目の質問メール中継履歴情報とj=1番目の送信者側中継履歴情報とが完全一致又は部分一致するか否かを判定する(ステップS52)。比較の結果、中継履歴情報が完全一致又は部分一致すると判定すると(ステップS52/YES)、質問メール中継履歴情報を識別する番号i=1と、送信者側中継履歴情報を識別する番号j=1とをRAM114に記録する(ステップS53)。また、中継履歴情報が完全一致又は部分一致しないと判定すると(ステップS52/NO)、制御部111はjの値を1インクリメントする(ステップS54)。そして、制御部111はi=1番目の質問メール中継履歴情報とj=2番目の送信者側中継履歴情報とが完全一致又は部分一致するか否かを判定する(ステップS52)。
制御部111はこの処理を、j=N(Nは、送信者側中継履歴情報の総数を表す)まで繰り返し行う(ステップS55)。制御部111は、j=Nとなると、iの値を1インクリメントすると共にjを1に設定し(ステップS56)、i=2番目の質問メール中継履歴情報と、j=1番目の送信者側中継履歴情報とを比較する。以後、制御部111はこの処理をi=W,j=Nとなるまで繰り返し行う(ステップS57)。なお、Wは、質問メール中継履歴情報の総数を表す変数である。i=W番目の質問メール中継履歴情報と、j=N番目の送信者側中継履歴情報との比較が終了すると(ステップS57)、制御部111はこの処理を終了する。
なお、質問メール中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との一致を検出するフローも同一の手順で行われるため、処理の詳細については説明を省略する。
【実施例2】
【0049】
添付図面を参照しながら本発明の第2実施例を説明する。なお、第2実施例の構成は、第1実施例とほぼ同一である。このため、第2実施例については、第1実施例と異なる部分についてだけ説明する。
本実施例においても、送信者側中継履歴情報と質問メール中継履歴情報とを比較して両者の一致又は部分一致を検出する。同様に受信者側中継履歴情報と質問メール中継履歴情報とを比較して両者の一致又は部分一致を検出する。このとき、送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との両方が質問メール中継履歴情報と一致する公開候補メールと、どちらか一方が質問メール中継履歴情報と一致する公開候補メールとが存在する。送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との両方が質問メール中継履歴情報と一致する公開候補メールを両方一致メールと呼ぶ。また、送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報とのいずれか一方が質問メール中継履歴情報と一致する公開候補メールを片方一致メールと呼ぶ。
上述した実施例1では、送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との両方が質問メールの質問メール中継履歴情報に一致した場合に、距離の値の小さい方を選択して公開候補メールの当事者との距離としていた。本実施例では、両方一致メールの優先度を片方一致メールの優先度よりも高く設定する。すなわち、質問者の所属が、公開候補メールの送信者と受信者の両方の所属に近い程、公開の可能性の高い有効な電子メールであると判定する。
【0050】
図18にRAM114に記録される管理テーブルの構成を示す。図18に示すようにRAM114には、公開候補メールの送信者と質問者との距離の値(以下、送信者距離と略記する)と、公開候補メールの受信者と質問者との距離の値(以下、受信者距離と略記する)とが記録されている。
公開依頼先選択手段124は、図18に示すRAM114の管理テーブルを参照して送信者距離と受信者距離とを加算し、両方一致メールの距離の値を算出する。また、公開依頼先選択手段124は、片方一致メールの距離の値も算出する。そして、公開依頼先選択手段124は、図19に示すように両方一致メールを上位に、片方一致メールを下位にソートする。
【0051】
なお、公開候補メールの送信者又は受信者に重みを与えることで、送信者又は受信者に近い電子メールを重視するように設定することもできる。
例えば、送信者を重視するときには、送信者距離を2倍にして受信者距離に加算する。すなわち、2倍する前の送信者距離が小さいほど、両方一致メールの距離の値も小さくなる。逆に、2倍する前の送信者距離が大きいほど、両方一致メールの距離の値は大きくなる。
【0052】
図20に示すフローチャートを参照しながら実施例2の制御部111の処理手順を説明する。
なお、図20に示すフローチャートのうち、ステップS37までの処理は実施例1で説明済みであるので、ステップS37以降の処理について説明する。
制御部111は、質問者と公開候補メールの送信者との距離と、質問者と公開候補メールの受信者との距離の少なくとも一方を求める(ステップS37)。次に、制御部111は、両方一致メールがあるか否かを判定する(ステップS39)。すなわち、送信者側中継履歴情報と受信者側中継履歴情報との両方が質問メールの質問メール中継履歴情報と一致した公開候補メールが存在するか否かを判定する。両方一致メールが存在しないと判定すると(ステップS39/NO)、制御部111は、質問者と送信者、又は質問者と受信者との距離の値を値の小さい順にソートする。
【0053】
また、両方一致メールが存在すると判定すると(ステップS39/YES)、制御部111は、両方一致メールの送信者距離と受信者距離との和を求める(ステップS42)。制御部111は、求めた値をRAM114に保存する。次に、制御部111は、両方一致メールの距離の値を値の小さい順にソートする(ステップS43)。
また、制御部111は、片方一致メールの距離の値を値の小さい順にソートする(ステップS44)。そして、制御部111は、距離の値が小さい順に両方一致メールをソートする。さらに、制御部111は、距離の値が小さい順に片方一致メールをソートして、図19に示すように両方一致メールの下位に並べる。
【0054】
このように本実施例は、公開候補メールの送信者及び受信者と、質問者との組織的な距離が近い公開候補メールの優先度を高く設定することができる。従って、より公開が許可される可能性の高い公開候補メールを選択することができる。
【実施例3】
【0055】
添付図面を参照しながら本発明の第3実施例について説明する。
上述した実施例1及び2では、公開依頼先選択手段124によって質問者と公開候補メールの送信者又は受信者との距離が計算され、距離に応じて公開依頼のメールを送信する公開候補メールを絞り込んでいた。
しかし、距離の値の制約を緩く設定すると、計算した距離に差が出なかった場合、ほとんどすべての公開候補メールの受信者に公開依頼メールが送信される可能性がある。逆に距離の値の制約を厳しく設定すると、公開依頼メールがほとんど送信されない可能性がある。また、特定のユーザの電子メールがメール蓄積データベース106に多く蓄積されていた場合、公開依頼メールが特定ユーザに集中してしまう可能性がある。
【0056】
そこで、本実施例では、公開依頼メールを送信する前に、公開候補メールから公開メールを絞り込む条件(以下、絞り込み条件)と、絞り込んだ結果とを質問者に通知し、絞り込み条件を質問者で変更できるようにする。絞り込み条件には、距離の値と、公開依頼メールを送信する公開候補メールの数と、公開依頼メールを送信する宛先当たりの最大メール数とが含まれる。
質問者は、設定した絞り込み条件と、絞り込まれた公開候補メールの数との通知を電子メール公開装置110から受けて、絞り込み条件を変更する。例えば、電子メール公開装置110によって通知された公開候補メールの数が少なかった場合には、距離の条件を緩和し、距離の値が「3」以内の公開候補メールから距離の値が「5」以内の公開候補メールに変更する。また、電子メール公開装置110によって通知された公開候補メールの数が多い場合には、公開候補メールの最大値を制限したり、1つの宛先への公開依頼メールの送信数を制限するように変更する。
【0057】
図21に示すフローチャートを参照しながら本実施例の電子メール公開装置110の処理手順を説明する。
制御部111は、公開候補メールから絞り込み条件に当てはまる電子メールを抽出する(ステップS61)。上述した実施例1、2のように公開候補メールの当事者と質問メールの質問者との距離の値を求めて、距離に応じて公開依頼のメールを送信する公開候補メールを絞り込む。
次に、制御部111は、絞り込んだ公開候補メールから宛先(受信者の電子メールアドレス)を取り出し、宛先ごとにカウントする(ステップS62)。次に、制御部111は、質問者に、絞り込み条件と、絞り込んだ公開候補メールの数と、宛先ごとの公開候補メールの数とを通知する(ステップS63)。質問者の端末301に通知した制御部111は、質問者からの応答を待機する。質問者から、通知した絞り込み条件でOKとの操作入力がなされると(ステップS64/YES)、絞り込んだ公開候補メールの受信者の電子メールアドレスに、公開依頼のメールを送信する(ステップS65)。また通知した絞り込み条件でOKとの操作入力がなされなかった場合には(ステップS64/NO)、制御部111は質問者からの絞り込み条件の入力を待つ。そして、質問者より絞り込み条件の入力を受け付けると(ステップS67/YES)、受け付けた絞り込み条件でもう一度公開候補メールを絞り込む(ステップS61)。そして、制御部111は、上述したように宛先ごとの公開候補メール数をカウントし(ステップS62)、質問者に、絞り込み条件と、絞り込んだ公開候補メール数と、宛先ごとの公開候補メール数とを通知する。
【0058】
このように本実施例は、公開候補メールの絞り込み条件を質問者が自由に設定することができる。従って、公開される電子メールの件数を質問者が設定することもできる。また、電子メールの公開を依頼する宛先ごとに公開候補メールの数をカウントするので、1つの宛先に大量の公開依頼のメールが送信されないようにすることができる。
【0059】
上述した実施例は、本発明の好適な実施の例である。但しこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
例えば、上述した実施例では、電子メール公開装置110を内部ネットワーク100内に配置していた。これ以外に、例えば、インターネットユーザ同士で電子メールを共有したい場合には、電子メール公開装置110を図1に示す外部ネットワーク200上に配置することもできる。また、上述した実施例では、メールサーバ130を電子メール公開装置110を配置した内部ネットワーク100内に配置している。しかし、電子メール公開装置110が、図9に示すファイアウォールを超えて電子メールを取得に行くことが可能であれば、メールサーバを図9に示すメールサーバ221やメールサーバ310の位置に配置することもできる。
また、上述した実施例では、公開候補メールの受信者に公開候補メールの公開を依頼しているが、公開候補メールの送信者に公開候補メールの公開を依頼してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】電子メール公開装置が接続された内部ネットワークの構成と、内部ネットワークが接続する外部ネットワークの構成を示す図である。
【図2】電子メール公開装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】電子メール公開装置のソフトウェア構成を示す図である。
【図4】公開候補メールの絞り込み方法を概念的に示す図である。
【図5】公開候補メールの受信者の端末に表示される公開依頼メールの一例を示す図である。
【図6】公開候補メールの受信者が公開依頼メールに対して回答情報を設定する画面の一例を示す図である。
【図7】質問者の端末に表示される公開メールの一覧を示す図である。
【図8】関連メールのヘッダ情報から送信者側中継履歴情報と、受信者側中継履歴情報とを取得する方法を説明するための図である。
【図9】公開候補メールの送信経路を示す図である。
【図10】(A)は送信者と質問者の距離を求める方法を説明するための図であり、(B)は受信者と質問者の距離を求める方法を説明するための図である。
【図11】RAMに記録される管理テーブルの構成を示す図である。
【図12】公開依頼メールを受信者に送信する公開候補メールの候補を選択する方法を示す図である。
【図13】メール蓄積データベースの管理テーブルの構成を示す図である。
【図14】電子メール公開装置の動作概要を示すフローチャートである。
【図15】関連メールから公開候補メールを選択する手順を示すフローチャートである。
【図16】公開候補メールの送信者又は受信者と質問者との距離を計算する処理手順を示すフローチャートである。
【図17】質問メール中継履歴情報と送信者側中継履歴情報との比較手順を示すフローチャートである。
【図18】実施例2でRAMに記録される管理テーブルの構成を示す図である。
【図19】実施例2の公開候補メールのソート方法を説明するための図である。
【図20】実施例2の公開候補メールの送信者及び受信者と、質問者との距離を計算する処理手順を示すフローチャートである。
【図21】公開候補メールを絞り込む条件を変更する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
110 電子メール公開装置
111 制御部
112 CPU
113 ROM
114 RAM
115 通信インターフェース
116 メール蓄積データベース
121 通信制御手段
122 電子メール取得手段
123 関連メール検索手段
124 公開依頼先選択手段
125 問い合わせ・応答手段
126 データベース書き換え手段
130、211、221 メールサーバ
150、212、222 端末
301 質問者の端末(検索者端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索者端末からの検索要求を受信するステップと、
前記検索要求に設定された検索条件に該当する内容を含む候補情報をデータベースから検索するステップと、
検索された候補情報に付加された、該候補情報の公開と非公開とを決定する権限を有する権限者の属性と、前記検索者端末から前記検索要求を送信した検索者の属性との類似度に基づいて前記検索された候補情報をさらに絞り込むステップと、
絞り込んだ候補情報の公開依頼を前記権限者の端末に送信するステップと、
前記公開依頼に対する回答を受信し、公開可の回答を得た候補情報を前記検索者端末に送信するステップと、
を有することを特徴とする情報検索方法。
【請求項2】
前記検索要求は電子メールで前記検索者端末から送信された情報であり、前記候補情報は電子メールで送信者から受信者に送信された情報であって、
前記絞り込むステップは、前記検索者の属性を表す前記検索要求の中継履歴情報と、前記権限者の属性を表す前記検索された候補情報の中継履歴情報との一致を検出して前記検索された候補情報を絞り込むことを特徴とする請求項1記載の情報検索方法。
【請求項3】
前記中継履歴情報は、前記検索要求と前記候補情報とのそれぞれの中継を担当した中継装置の識別情報を中継順に記録した情報であり、
前記絞り込むステップは、前記検索要求を最初に中継した中継装置の識別情報から一致を検出した検索要求の中継履歴情報までの中継履歴情報の数と、前記候補情報を最初に中継した中継装置の識別情報から一致を検出した候補情報の中継履歴情報までの数との和を前記検索者と前記候補情報の送信者との組織的な距離を示す値とし、該距離を示す値がより小さい候補情報を類似度の高い候補情報と判定することを特徴とする請求項2記載の情報検索方法。
【請求項4】
前記中継履歴情報は、前記検索要求と前記候補情報とのそれぞれの中継を担当した中継装置の識別情報を中継順に記録した情報であり、
前記絞り込むステップは、前記検索要求を最初に中継した中継装置の識別情報から一致を検出した前記検索要求の中継履歴情報までの中継履歴情報の数と、前記候補情報を受信したメールサーバの識別情報から一致を検出した前記候補情報の中継履歴情報までの数との和を前記検索者と前記候補情報の受信者との組織的な距離を示す値とし、該距離を示す値がより小さい候補情報を類似度の高い候補情報と判定することを特徴とする請求項2記載の情報検索方法。
【請求項5】
前記中継履歴情報は、前記検索要求と候補情報とのそれぞれの中継を担当した中継装置の識別情報を中継順に記録した情報であり、
前記絞り込むステップは、前記候補情報を最初に中継した中継装置の識別情報から数えて所定数以内の中継履歴情報である送信側中継履歴情報と、前記検索要求の中継履歴情報との一致を検出するステップと、
前記候補情報を受信したメールサーバの識別情報からさかのぼって所定数以内の中継履歴情報である受信側中継履歴情報と、前記検索要求の中継履歴情報との一致を検出するステップとを有し、
前記送信側中継履歴情報と前記受信側中継履歴情報との両方で前記検索要求の中継履歴情報との一致を検出した候補情報を類似度の高い候補情報であると判定することを特徴とする請求項2記載の情報検索方法。
【請求項6】
検索者端末からの検索要求を受信する受信手段と、
前記検索要求に設定された検索条件に該当する内容を含む候補情報をデータベースから検索する検索手段と、
検索された候補情報に付加された、該候補情報の公開と非公開とを決定する権限を有する権限者の属性と、前記検索者端末から前記検索要求を送信した検索者の属性との類似度に基づいて前記検索された候補情報をさらに絞り込む絞り込み手段と、
絞り込んだ候補情報の公開依頼を前記権限者の端末に送信する送信手段と、を有し、
前記受信手段で受信した前記公開依頼に対する回答が公開可に設定された候補情報を、前記送信手段で前記検索者端末に送信することを特徴とする情報検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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