説明

情報検索装置およびその装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】検索条件を保存し、保存した検索条件をアイコンで表示することにより、同一の検索条件で定期的に検索を行う場合等の検索処理の利便性の向上を図ること。
【解決手段】検索条件に基づいて該当する文書を検索する検索サーバ103と、検索サーバ103で該当する情報の検索処理を行った後、検索処理に用いた検索条件の保存が指定されると、検索条件のファイルおよびアイコンを生成して検索条件を保存すると共に、生成したアイコンを画面表示して、画面表示されたアイコンが選択されると、該当する検索条件を検索サーバ103に出力するクライアント100と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索条件を保存し、保存した検索条件をアイコンで表示することにより、同一の検索条件で定期的に検索を行う場合等の検索処理の利便性の向上を図った情報検索装置およびその装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの発達に伴って、紙を媒体として記録され、また保存されていた文書についても、電子化された情報として取り扱うことが一般的となり、大量の電子化された文書がデータベースに蓄積されることとなっている。
【0003】
ところで、大量の電子化された文書が蓄積されていくに従って、大量の文書の中から所望の文書を容易に探し出すことができる検索技術が重要となってくる。特に、誰もがコンピュータを用いて作業を行う今日にあっては、特殊な手法を用いることなく、コンピュータの初心者であっても簡単に所望の文書を検索できるような検索システムを構築することが重要なポイントとなる。
【0004】
検索の容易化を図るための1つの手法として、人間が通常用いる自然言語を用いて検索条件を入力することができるようにする技術を挙げることができる。この技術は、近年の自然言語処理技術の発達に伴って、多くの検索システムに取り入れられつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の検索システムにおいては、検索条件を自然言語で入力できるようにして、検索条件を入力する作業を容易にしているが、同一の検索条件で検索を行う場合には、再度検索条件を入力し直さなければならないという問題があった。
【0006】
また、入力した検索条件を保存しておき、保存した検索条件を読み出して検索を行うことができるようにしたものも開発されてはいるが、検索条件の保存や読み出しのための操作が複雑で、使い勝手が悪いという問題点があった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、検索条件を保存し、保存した検索条件をアイコンで表示することにより、同一の検索条件で定期的に検索を行う場合等の検索処理の利便性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の情報検索装置は、検索条件に基づいて、該当する情報の検索処理を行う検索手段を備えた情報検索装置において、前記検索条件の保存を指定するための指定手段と、前記指定手段を介して前記検索条件の保存が指定されると、前記検索条件のファイルおよびアイコンを生成して前記検索条件を保存する検索条件保存手段と、前記検索条件保存手段で生成したアイコンを画面表示するアイコン表示手段と、前記アイコン表示手段で画面表示されたアイコンを選択するための選択手段と、を備え、前記検索手段が、前記選択手段を介して選択されたアイコンに基づいて、該当する情報を検索するものである。
【0009】
また、本発明の情報検索装置は、上記に記載の情報検索装置において、さらに、前記検索条件保存手段で保存した検索条件毎に、少なくとも前記検索手段による前回の検索結果を第1の検索結果として保持する検索結果保持手段と、予め設定された検索実行条件に基づいて、前記検索手段を制御して所定のタイミングで前記検索処理を実行させる検索実行制御手段と、前記検索実行制御手段の制御に基づいて前記検索処理を行った結果を第2の検索結果として入力し、入力した第2の検索結果と前記検索結果保持手段に保持された第1の検索結果とを比較して、前記第1および第2の検索結果が同一か否かを判定する検索結果判定手段と、を備え、前記アイコン表示手段が、前記検索結果判定手段の判定結果を入力し、前記第1および第2の検索結果が異なる場合に、前記アイコンの表示色または/および表示形態を変更するものである。
【0010】
さらに、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記に記載の情報検索装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したものである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の情報検索装置によれば、検索条件の保存を指定するための指定手段と、指定手段を介して検索条件の保存が指定されると、検索条件のファイルおよびアイコンを生成して検索条件を保存する検索条件保存手段と、検索条件保存手段で生成したアイコンを画面表示するアイコン表示手段と、アイコン表示手段で画面表示されたアイコンを選択するための選択手段と、を備え、検索手段は、選択手段を介して選択されたアイコンに基づいて、該当する情報を検索するため、所望のアイコンを選択するだけで、該当する情報を検索し、画面表示することができる。したがって、同一の検索条件で定期的に検索を行う場合等において、検索処理の利便性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明の情報検索装置によれば、上記に記載の情報検索装置において、さらに、検索条件保存手段で保存した検索条件毎に、少なくとも検索手段による前回の検索結果を第1の検索結果として保持する検索結果保持手段と、予め設定された検索実行条件に基づいて、検索手段を制御して所定のタイミングで検索処理を実行させる検索実行制御手段と、検索実行制御手段の制御に基づいて検索処理を行った結果を第2の検索結果として入力し、入力した第2の検索結果と検索結果保持手段に保持された第1の検索結果とを比較して、第1および第2の検索結果が同一か否かを判定する検索結果判定手段と、を備え、アイコン表示手段は、検索結果判定手段の判定結果を入力し、第1および第2の検索結果が異なる場合に、アイコンの表示色または/および表示形態を変更するため、ユーザは自ら検索処理を行って確認するまでもなく、情報が更新されていることを知ることができる。したがって、いちいちアイコンを選択して検索を行い、情報が更新されているか否かを確認する手間を省略することができ、定期的に情報の更新状況を確認したい場合の利便性の向上を図ることができる。
【0013】
さらに、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、上記に記載の情報検索装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したため、このプログラムをコンピュータに実行させることにより、所望のアイコンを選択するだけで、該当する情報を検索し、画面表示することができ、同一の検索条件で定期的に検索を行う場合等において、検索処理の利便性の向上を図ることができる情報検索装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の情報検索装置およびその装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
〔実施の形態1〕
図1は、実施の形態1の情報検索装置のシステム構成図である。図1に示す情報検索装置は、検索条件を保存し、保存した検索条件をアイコンで表示することができる機能を有した複数のクライアント100と、文書DB(データベース)101に格納された文書から転置ファイル102を生成すると共に、ベクトル空間検索を行うことができる検索エンジン(例えば、CLARITECH社のCLARIT等)を備え、クライアント100から検索条件を入力し、入力した検索条件に基づいて、転置ファイル102を用いて該当する文書を検索し、検索した文書のリストをクライアント100に出力する検索サーバ103と、上記クライアント100や検索サーバ103等を接続するネットワーク104と、から構成されている。
【0016】
図1において、文書DB101は、クライアント100等で作成された複数の文書を格納したものであり、格納される文書は、ワープロ文書や、SGML,HTML等の構造化文書等、いかなる種類の文書であっても良い。実施の形態1においては、文書DB101に格納された文書を検索対象とするが、検索対象となる文書をこの文書DB101中の文書に限定するものではない。
【0017】
転置ファイル102は、文書DB101中の複数の文書と、これら複数の文書それぞれから後述する方法で抽出した複数の索引語との関係を規定することにより、ある索引語が各文書それぞれにおいてどの程度重要な語彙であるかをベクター表現を用いて示したものであって、この索引語を用いて該当する文書を検索することができるようにしたものである。
【0018】
具体的には、1つの文書を予め定めた複数のセンテンスからなるサブドキュメント単位に区切り、サブドキュメントから上記索引語となる名詞句を抽出して、抽出した名詞句それぞれについて、サブドキュメント中の出現頻度,文書DB101全体における分布等の統計情報を求め、求めた名詞句毎の統計情報を用いて各サブドキュメントをベクター表現に変換する。そして、変換したサブドキュメントのベクター表現に基づいて、文書のベクター表現を生成する。転置ファイル102は、このようにしてベクター表現された文書DB101中の文書を格納するものである。
【0019】
なお、各索引語には、対応する文書中の重要度に応じた重み付けを行うことができる。また、文書のベクター表現については、実際の検索を行う際に、サブドキュメントのベクター表現に基づいて生成することにしても良い。
【0020】
また、クライアント100および検索サーバ103は、パーソナルコンピュータやワークステーション等によって構成される。図2は、クライアント100のブロック構成図である。クライアント100は、特定の内容の文書を検索するための条件を記述した検索条件のファイルおよびアイコンを生成して検索条件を保存・管理すると共に、この検索条件を検索サーバ103に出力し、検索サーバ103から検索条件に該当する文書のリストを入力して、検索した文書の一覧を表示するものである。
【0021】
図2において、入力装置200は、キーボードおよびマウス等からなり、特定の内容の文書を検索するための条件を記述した検索条件の入力、入力した検索条件に基づく検索処理の実行の指定、入力した検索条件のファイルおよびアイコンの生成の指定、生成したアイコンを選択することによる検索処理の実行の指定等を行うためのものである。ここで、検索条件は、検索したい文書の特徴を自然言語で記述した文章や、検索式、キーワードの集合、検索したい文書の例となる文書等のいずれであっても良い。検索条件を文書とする場合には、その文書のファイル名を指定することができる。また、検索条件には、ファイル名,作成日および作成者等の制約条件を含めることができる。
【0022】
検索条件管理部201は、入力装置200で入力した検索条件のファイルおよびアイコンを生成して検索条件を保存・管理すると共に、入力装置200を介してアイコンが選択されると、選択されたアイコンに基づいて、該当する検索条件を検索サーバ103に出力し、該当する文書のリストを入力して、検索した文書の一覧の表示処理を制御するものである。
【0023】
検索条件ファイル格納部202は、検索条件のファイルおよびアイコンの描画情報とを関連づけて格納するものである。
【0024】
出力装置203は、CRT等からなり、検索条件ファイル格納部202に格納されたアイコンの描画情報に基づいて、検索条件のアイコンを画面表示すると共に、検索サーバ103から入力した検索結果である文書リストを表示するものである。
【0025】
入出力部204は、入力装置200,出力装置203およびネットワーク104と検索条件管理部201とのインターフェイスとなるものである。
【0026】
また、図3は、検索サーバ103の処理を示す概略ブロック図である。検索サーバ103は、文書DB101中の文書のベクター表現を生成して転置ファイル102に登録する処理と、ベクトル空間法を利用した検索処理を用いて、検索条件206に該当する文書を検索する処理を行うものである。
【0027】
検索サーバ103において、転置ファイル102に登録する処理は、自然言語処理モジュール300と、データベース・ビルド・コンポーネント304とによって行われる。具体的に、自然言語処理モジュール300は、文書DB101から文書を入力し、文書のフォーマットの認識処理や、品詞情報等を格納した辞書301および各単語の係り受け等を解析するための文法辞書302を用いて形態素解析,構文解析,名詞句抽出等の解析処理を行い、上述したサブドキュメント毎の名詞句リストを含むドキュメント・セット303を生成する。データベース・ビルドコンポーネント304は、自然言語処理モジュール300で生成したドキュメント・セット303を入力し、入力したドキュメント・セット303中の各サブドキュメントをベクター表現に変換すると共に、サブドキュメントのベクター表現に基づいて、文書のベクター表現を生成して転置ファイル102に登録する。
【0028】
一方、文書を検索する処理は、自然言語処理モジュール300と、クエリー・ビルド・コンポーネント305と、検索エンジン307とによって行われる。具体的に、自然言語処理モジュール300は、クライアント100から検索条件206を入力し、品詞情報等を格納した辞書301および各単語の係り受け等を解析するための文法辞書302を用いて形態素解析,構文解析,名詞句抽出等の解析処理を行い、検索条件206中の名詞句のリストを含むドキュメント・セット303を生成する。クエリー・ビルド・コンポーネント305は、ドキュメント・セット303を入力し、検索条件206を構成する各名詞句について、検索条件206中の出現頻度,文書DB101全体における分布等の統計情報を求め、求めた統計情報を用いて検索条件206をベクター表現に変換したクエリー・ドキュメント306を生成する。検索エンジン307は、クエリー・ビルド・コンポーネント305で生成したクエリー・ドキュメント306を入力し、転置ファイル102中の各文書のベクトルとクエリー・ドキュメント306のベクトルとを比較して、クエリー・ドキュメント306との類似度に応じたスコアを各文書に付与し、所定の閾値を超えるスコアが付与された文書リスト308を検索結果として出力する。
【0029】
なお、図1においては、文書DB101および転置ファイル102をネットワーク104に単独に接続した構成を示したが、これらを検索サーバ103に直接接続する構成としても良い。また、図1においては、実施の形態1の情報検索装置をネットワーク104を介したシステムで構成するように示したが、クライアント100と検索サーバ103の処理を1つのコンピュータで行うようにすることもできる。
【0030】
次に、上述した構成を備えた情報検索装置の動作について、(1)転置ファイルの生成処理,(2)文書の検索処理,(3)アイコン(ファイル)の生成処理,(4)生成したアイコンを用いた文書の検索処理の順で詳細に説明する。
【0031】
(1)転置ファイルの生成処理
図4は、転置ファイルの生成処理を示すフローチャートである。検索サーバ103は、新たな文書が文書DB101に登録された場合(S401)、この文書を入力して転置ファイル102に登録するための処理を開始する(S402)。
【0032】
検索サーバ103において、自然言語処理モジュール300は、ステップS402で入力した文書を解析する処理を行う(S403)。具体的には、入力した文書がワープロ文書,HTML等の構造化文書等、いかなるフォーマットの文書であるかを判定する処理を行う。その後、辞書301および文法辞書302を用いて形態素解析,係り受け等の構文解析を行い、文書を複数のサブドキュメントに区分すると共に、区分したサブドキュメントから名詞句を抽出する等の処理を行う。
【0033】
そして、自然言語処理モジュール300は、ステップS403における処理の結果に基づいて、サブドキュメント毎に名詞句リストを生成し、生成した名詞句リストを含むドキュメント・セット303を生成する(S404)。
【0034】
その後、データベース・ビルド・コンポーネント304は、自然言語処理モジュール300で生成したドキュメント・セット303を入力し、文書のベクター表現を生成して転置ファイル102に登録する処理を行う(S405)。
【0035】
具体的には、ドキュメント・セット303中のサブドキュメントの各名詞句を転置ファイル102の索引語として、サブドキュメント中の出現頻度,文書DB101全体における分布等の統計情報を求め、求めた名詞句毎の統計情報を用いてサブドキュメントをベクター表現に変換する。この処理をドキュメント・セット303中の全てのサブドキュメントについて行い、変換したサブドキュメントのベクター表現に基づいて、文書のベクター表現を生成して転置ファイル102に登録する。
【0036】
(2)文書の検索処理
次に、上述したようにして登録した検索条件に基づいて、該当する文書を検索するための処理について説明する。図5は文書の検索処理を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の情報検索装置は、検索条件206のファイルおよびアイコンを生成して保存・管理するものであるが、ここでは、保存・管理の対象となる検索条件206を入力し、少なくとも1回検索処理を行い、最適な検索結果を得ることができることを確認した後に初めてその検索条件のファイルおよびアイコンを生成するものとする。だだし、入力した検索条件206について、検索処理を行うことなく、直ちにファイルおよびアイコンを生成して保存することにしても良い。
【0037】
クライアント100の検索条件管理部201は、入力装置200において検索条件206の入力があると(S501)、入力装置200を介して検索条件206を入力する(S502)。ここでは、検索条件206の一例として、「マイクロプロセッサの開発動向」を入力したものとする。
【0038】
続いて、検索条件管理部201は、入力装置200を介して検索要求を入力すると、ステップS502で入力した検索条件206を検索サーバ103に出力する(S503)。
【0039】
検索サーバ103は、クライアント100から検索条件206を入力し、自然言語処理モジュール300において、検索条件206の解析処理を行う(S504)。具体的には、辞書301および文法辞書302を用いて形態素解析,係り受け等の構文解析処理を行う。
【0040】
そして、自然言語処理モジュール300は、ステップS504での解析結果に基づいて、検索条件206から転置ファイル102中の索引語に対応する名詞句を抽出し、名詞句からなるドキュメント・セット303を生成する(S505)。
【0041】
続いて、クエリー・ビルド・コンポーネント305は、自然言語処理モジュール300からドキュメント・セット303を入力し、入力したドキュメント・セット303を構成する各名詞句について、検索条件206中の出現頻度,文書DB101全体における分布等の統計情報を求め、求めた統計情報を用いてドキュメント・セット303をベクター表現に変換したクエリー・ドキュメント306を生成する(S506)。
【0042】
検索エンジン307は、クエリー・ビルド・コンポーネント305で生成したクエリー・ドキュメント306を入力し、転置ファイル102中の各文書のベクター表現とクエリー・ドキュメント306(検索条件のベクター表現)を比較して、クエリー・ドキュメント306との類似度に応じたスコアを各文書に付与する(S507)。すなわち、ベクトル空間法による検索処理が実行される。
【0043】
なお、類似度に応じたスコアは、各文書とクエリー・ドキュメント306との類似度を余弦距離に基づいて表現したものであり、スコアが大きい文書がよりクエリー・ドキュメント306と類似していることを表している。
【0044】
そして、検索エンジン307は、予め設定されたスコアの閾値に基づいて、閾値を超えるスコアが付与された文書を選択し、選択した文書に基づいて、文書リスト308を生成して、検索結果として出力する(S508)。
【0045】
図6は、文書リスト308の一例を示す説明図である。図6に示すように、文書リスト308にはクエリー・ドキュメント306との類似度に応じたスコアのランキング,文書名,作成日等が表示される。実施の形態1においては、ステップS502で入力した検索条件206が「マイクロプロセッサの開発動向」であるため、マイクロプロセッサに関する文書がリストアップされている。
【0046】
クライアント100の検索条件管理部201は、検索サーバ103から文書リスト308を入力し、入力した文書リスト308に基づいて、上位のランキングの文書から順に、文書名を一覧表示する(S509)。
【0047】
図7は、検索した文書を一覧表示した様子の一例を示す説明図である。ユーザは、図7に示した文書の一覧から所望の文書を選択することにより、選択した文書を画面表示することができる。また、ユーザは、この検索結果に基づいて、検索条件206を登録しても良いかを判断し、図7に示すアイコン登録ボタン700を選択することにより、検索条件206のファイルおよびアイコンを生成する作業に入る。一方、検索条件206を変更した方が好ましいを判断した場合には、検索条件206を変更した後、必要に応じて再度検索処理を行い、アイコン登録ボタン700を選択する。
【0048】
(3)アイコン(ファイル)の生成処理
図7に示したアイコン登録ボタン700が選択されると、検索条件管理部201は、検索条件206のファイルおよびアイコンを生成する処理を行う。具体的には、例えば、アイコンを一覧表示してユーザに所望のアイコンを選択させる処理、必要に応じてアイコンに名称を付ける処理および検索条件206のファイルを生成する処理等を行い、検索条件206のファイルとアイコンの描画情報とを関連づけて、検索条件ファイル格納部202に格納する。
【0049】
このようにして、検索条件206のファイルおよびアイコンを生成すると、図8に示すように、クライアント100のデスクトップ800に検索条件206のアイコン801〜803が画面表示されることになる。図8において、例として挙げた検索条件「マイクロプロセッサの開発動向」は、アイコン801として表示されている。なお、図8においては、デスクトップ800に検索条件206のアイコンを表示することにしたが、表示する場所をデスクトップ800に限定するものではない。
【0050】
(4)生成したアイコンを用いた検索処理
次に、上述したようにして生成したアイコンを用いた検索処理について説明する。アイコンを用いて検索処理を行うには、図8に示したように表示されたアイコン801〜803のいずれかを入力装置200で選択するだけで良い。
【0051】
具体的には、例えば、アイコン801が選択されたとすると、クライアント100の検索条件管理部201は、選択されたアイコン801に該当する検索条件を検索条件ファイル格納部202から読み出して、検索サーバ103に出力する。検索サーバ103は、図5を用いて説明したようにして検索処理を行い、文書リスト308をクライアント100に出力する。検索条件管理部201は、検索サーバ103から文書リスト308を入力し、入力した文書リスト308に基づいて、図7に示したような文書一覧を画面表示する。その結果、ユーザは、一覧表示された文書のいずれかを選択することにより、所望の文書について閲覧,加工等を行うことができる。なお、検索処理の詳細については、図5を用いて説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
このように、実施の形態1の情報検索装置によれば、検索条件206をアイコンとして登録することができるようにしたため、所望のアイコンを選択するだけで、該当する情報を検索し、画面表示することができる。したがって、同一の検索条件206で定期的に検索を行う場合等において、検索処理の利便性の向上を図ることができる。
【0053】
また、検索条件206をアイコンとして登録しておくことにより、コンピュータの初心者であっても容易に情報の検索を行うことができる。すなわち、アイコンを選択するのみであるため、ユーザに検索処理を意識させることがなく、まるで情報が分類されたフォルダ(またはディレクトリ)を開く感覚で検索処理を行うことができる。
【0054】
なお、生成した検索条件206のファイルを他のユーザに配布することができ、他人数のユーザで同一の検索条件206を共有することもできる。
【0055】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2の情報検索装置について説明する。実施の形態2の情報検索装置は、実施の形態1の情報検索装置において、保存された検索条件206に基づいて、定期的に該当する情報を検索して前回の検索結果と比較し、検索結果が前回と異なる場合に、アイコンの表示色または/および表示形態を変更して、情報が更新されていることをユーザに通知することができるようにしたものである。
【0056】
図9は、実施の形態2の情報検索装置におけるクライアント100のブロック構成図である。図9に示すクライアント100は、図2に示した構成以外に、保存された検索条件206毎に、少なくとも前回の検索結果である文書リスト308を格納する文書リスト格納部900と、保存された検索条件206に基づいて、検索処理を定期的に行うタイミングを規定した検索実行条件を格納する検索実行条件格納部901と、検索実行条件格納部901に格納された検索実行条件に基づいて、検索処理の実行を制御する検索実行管理部902と、検索実行管理部902の制御によって実行された検索処理によって得た文書リスト308と文書リスト格納部900に格納された文書リスト308とを比較し、2つの文書リスト308が同一であるか否かを判定する判定部903とを備えている。
【0057】
次に、実施の形態2の情報検索装置の動作について説明する。図10は、実施の形態2の情報検索装置における検索処理を示すフローチャートである。
【0058】
まず、ユーザは、入力装置200を操作して検索条件管理部201に指示を出し、検索処理を定期的に実行するための検索実行条件を入力する。例えば、起動時に実行,毎日0:00に実行,月曜日の0:00に実行等を検索条件206として規定することができる。また、検索条件ファイル毎に異なる検索実行条件を設定することもできる。入力された検索実行条件は、検索実行条件格納部901に格納される。
【0059】
なお、ここで検索処理を説明するにあたり、文書リスト格納部900には、各検索条件ファイルの検索条件206に基づいて検索処理を行った際の文書リスト308が格納されているものとする。
【0060】
そして、検索実行管理部902は、検索実行条件格納部901に格納された検索実行条件を参照し、検索を実行すべき時間になったか否かを判定する(S1001)。ステップS1001において、検索を実行すべき時間になったと判定した場合、検索実行管理部902は、検索条件ファイル格納部202から該当する検索条件206を読み出して、検索サーバ103に出力する。
【0061】
検索サーバ103は、クライアント100から検索条件206を入力し、入力した検索条件206に基づいて検索処理を実行し、検索結果として文書リスト308を出力する(S1002)。なお、検索処理の詳細については、実施の形態1において図5を用いて説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0062】
クライアント100の判定部903は、検索サーバ103から文書リスト308を入力すると、文書リスト格納部900から該当する検索条件206の前回の文書リスト308を入力して比較する(S1003)。
【0063】
ステップS1004において、判定部903が2つの文書リスト308の内容が同一であると判定した場合、該当する検索条件206についての検索処理を終了する。
【0064】
一方、ステップS1004において、判定部903が2つの文書リスト308の内容が異なると判定した場合、検索条件管理部201は、該当する検索条件206のアイコンの表示色または/および表示形態を変更する処理を行って検索処理を終了する(S1005)。
【0065】
以上の処理が各検索条件ファイル毎に行われ、必要に応じてアイコンの表示色や表示形態が変更される。ユーザは、アイコンの表示色や表示形態が変更されている場合に、その検索条件206に該当する情報,即ち文書DB101中の情報が更新されていることを知ることができる。
【0066】
このように、実施の形態2の情報検索装置によれば、保存された検索条件206に基づいて、定期的に該当する情報を検索して前回の検索結果と比較し、検索結果が前回と異なる場合に、アイコンの表示色または/および表示形態を変更するため、ユーザは自ら検索処理を行って確認するまでもなく、情報が更新されていることを知ることができる。したがって、いちいちアイコンを選択して検索を行い、情報が更新されているか否かを確認する手間を省略することができ、定期的に情報の更新状況を確認したい場合の利便性の向上を図ることができる。
【0067】
また、実施の形態1および2の情報検索装置において、検索した情報に関して、ユーザが検索結果としてふさわしいと思う情報やふさわしくないと思う情報については、その結果を情報管理サーバ103にフィードバックすることができる。すなわち、ユーザは、検索結果としてふさわしいと思う情報に対して、正の重み、例えば「+」を指定することができ、検索結果としてふさわしくないと思う情報に対して負の重み、例えば「−」を指定することができる。その結果、入力した重みが正の指定である場合には、転置ファイル102中の該当する情報の重みが強化され、入力した重みが負の指定である場合には、情報の重みが弱められる。
【0068】
また、実施の形態1および2の情報検索装置においては、登録した検索条件206について、文書を検索する処理を行う毎にベクター表現に変換する処理が必要となるが、検索条件ファイル格納部202に検索条件206を格納する際に、検索条件206をベクター表現に変換して格納することにして、ベクター表現に変換する処理を1回で済むようにすることができる。
【0069】
また、ベクトル空間法による検索処理を行うことを前提として実施の形態1および2の情報検索装置について説明したが、ベクトル空間法による検索処理ではなく、ブーリアン検索による検索処理を用いることにしても良い。
【0070】
さらに、実施の形態1および2で説明した情報検索装置は、予め用意されたプログラムをコンピュータやワークステーションで実行することによって実現される。このプログラムは、ハードディスク,フレシキブルディスク,CD−ROM,MO,DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、上記記録媒体を介して、またはネットワークを介して配布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1の情報検索装置のシステム構成図である。
【図2】図1に示したクライアントのブロック構成図である。
【図3】図1に示した検索サーバの処理を示す概略ブロック図である。
【図4】実施の形態1の情報検索装置において、転置ファイルの生成処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1の情報検索装置において、文書の検索処理を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1の情報検索装置において、文書リストの一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の情報検索装置において、検索した文書を一覧表示した様子の一例を示す説明図である。
【図8】実施の形態1の情報検索装置において、検索条件のアイコンを画面表示した様子の一例を示す説明図である。
【図9】実施の形態2の情報検索装置におけるクライアントのブロック構成図である。
【図10】実施の形態2の情報検索装置における検索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
100 クライアント
101 文書DB
102 転置ファイル
103 検索サーバ
104 ネットワーク
200 入力装置
201 検索条件管理部
202 検索条件ファイル格納部
203 出力装置
204 入出力部
206 検索条件
300 自然言語処理モジュール
301 辞書
302 文法辞書
303 ドキュメント・セット
304 データベース・ビルド・コンポーネント
305 クエリー・ビルド・コンポーネント
306 クエリー・ドキュメント
307 検索エンジン
308 文書リスト
700 アイコン登録ボタン
800 デスクトップ
801〜803 アイコン
900 文書リスト格納部
901 検索実行条件格納部
902 検索実行管理部
903 判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索条件に基づいて、該当する情報の検索処理を行う検索手段を備えた情報検索装置において、
前記検索条件の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって検索条件が入力されると、前記検索条件のファイルおよび前記検索条件に関連づけされたアイコンを生成して前記検索条件を保存する検索条件保存手段と、
前記検索条件保存手段で生成されたアイコンを画面表示するアイコン表示手段と、
前記アイコン表示手段で画面表示されたアイコンを選択させるための選択手段と、を備え、
前記検索手段は、前記入力手段によって検索条件が入力されると、当該検索条件に基づいて、該当する情報の検索処理を行うとともに、前記選択手段によって前記アイコンが選択された場合に、前記アイコンに関連づけされた検索条件に基づいて、該当する情報の再検索処理を行うことを特徴とする情報検索装置。
【請求項2】
さらに、前記検索処理または前記再検索処理を行った結果の各情報に対して、検索結果としてふさわしい情報であるか、検索結果としてふさわしくない情報であるかの少なくともいずれか一方の指定を受け付けるフィードバック手段と、
前記フィードバック手段によって受け付けられた指定に基づいて、前記入力手段によって入力された検索条件または当該検索条件に基づいて生成された情報の重み付けを変更する変更手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の情報検索装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−120169(P2006−120169A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315471(P2005−315471)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【分割の表示】特願平9−200628の分割
【原出願日】平成9年7月25日(1997.7.25)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】