説明

情報監視システムおよび情報監視方法

【課題】本発明の実施形態は、処理時間の短縮と信頼性の向上とを図ることができる情報監視システムおよび情報監視方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、製品に関する情報を格納する製品情報格納部と、前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する解析部と、前記形態素に関する辞書情報を格納する辞書部と、前記抽出された形態素に関する情報と、前記辞書情報とに基づいて統計処理情報を作成する統計処理部と、前記統計処理情報に基づいて異常の発生を監視する監視部と、を備えた情報監視システムであって、前記監視の目的に応じて必要となる情報を前記製品情報格納部に格納された製品に関する情報の中から選別し、前記解析部に提供する情報選別部を備えたことを特徴とする情報監視システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報監視システムおよび情報監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品に関する顧客意見(VOC:Voice of customer)や修理情報などをテキストマイニングと呼ばれている手法を用いて処理する技術が知られている。
しかしながら、製品に関する情報は大量である。また、目的に応じて必要となる情報が異なる場合がある。例えば、製品の発売からの時期に応じて、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報などを区別する必要が生じる場合がある。
そのため、単に収集された情報に基づいて処理を行うようにすれば、処理時間が長くなったり信頼性が低下したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−226568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、処理時間の短縮と信頼性の向上とを図ることができる情報監視システムおよび情報監視方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、製品に関する情報を格納する製品情報格納部と、前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する解析部と、前記形態素に関する辞書情報を格納する辞書部と、前記抽出された形態素に関する情報と、前記辞書情報とに基づいて統計処理情報を作成する統計処理部と、前記統計処理情報に基づいて異常の発生を監視する監視部と、を備えた情報監視システムであって、前記監視の目的に応じて必要となる情報を前記製品情報格納部に格納された製品に関する情報の中から選別し、前記解析部に提供する情報選別部を備えたことを特徴とする情報監視システムが提供される。
【0006】
また、他の実施形態によれば、製品に関する情報を収集する工程と、前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する工程と、前記形態素に関する辞書情報を収集する工程と、前記抽出された形態素に関する情報と、前記辞書情報とに基づいて統計処理情報を作成する工程と、前記統計処理情報に基づいて異常の発生を監視する工程と、を備えた情報監視方法であって、前記監視の目的に応じて必要となる情報を前記製品に関する情報の中から選別し、前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する工程に提供する選別工程を備えたこと、を特徴とする情報監視方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係る情報監視システムを例示するためのブロック図である。
【図2】自動抽出辞書部に格納されている情報を例示するための模式図である。
【図3】基礎情報作成部において作成される共起行列を例示するための模式図である。
【図4】統計処理部において作成された統計処理情報を例示するための模式図である。
【図5】第2の重み付け部における重み付けを例示するための模式図である。
【図6】第2の重み付け部において重み付け係数を規定した状態を例示するための模式図である。
【図7】第1の重み付け部において重み付け係数を規定した状態を例示するための模式図である。
【図8】本実施の形態に係る情報監視方法について例示をするためのフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係る情報監視プログラムを実行可能なコンピュータシステムを例示するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る情報監視システムを例示するためのブロック図である。
図1に示すように、情報監視システム1には、製品情報格納部2、情報選別部3、第1の情報取得部4、解析部5、辞書部6、形態素情報格納部7、第2の情報取得部8、統計情報部9、重み付け情報格納部10、監視部11、入力部12、表示部13が設けられている。
製品情報格納部2は、製品に関する情報を格納する。例えば、コールセンタに寄せられた製品に関するクレームや意見などをまとめたコールセンタ情報2a、Webサイトへの書き込みなどで寄せられた製品に関するクレームや意見などをまとめたウェブ情報2b、フィールドエンジニアなどの情報提供者100が収集したクレームや意見などをまとめた業務情報2cなどがファイル化されて格納されている。なお、格納される情報は例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、これらの情報には、数値だけではなく自然言語のテキスト形式の文書データが多く含まれている。そのため、製品情報格納部2には、これらの情報がテキスト形式の情報(テキストデータ)として格納される。
また、これらの情報には、情報が収集された際の時間に関する情報が含まれている。この時間に関する情報は、情報選別部3により情報を選別する際に用いることができる。
【0009】
なお、コールセンタ情報2a、ウェブ情報2b、業務情報2cは、入力部12を介して製品情報格納部2に入力されるようにすることができる。
【0010】
情報選別部3は、監視の目的に応じて必要となる情報を製品情報格納部2に格納された製品に関する情報の中から選別し、解析部5に提供する。
【0011】
例えば、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報などを区別して監視する必要が生じる場合がある。その様な場合には、入力部12から入力された指定期間に関する情報と、前述したコールセンタ情報2a、ウェブ情報2b、業務情報2cに含まれている時間に関する情報とを用いて、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報を選別するようにすることができる。
この場合、入力部12から入力された指定期間に合致する時間に関する情報を含むものを選別するようにすることができる。例えば、製品の発売日からの時間を指定期間として入力し、この指定期間に含まれる情報を選別するようにすることができる。
例えば、初期不良に関する情報を選別したい場合には、製品の発売日から間もない期間を指定期間として入力するようにすることができる。偶発不良に関する情報を選別したい場合には、製品の発売日から所定の時間が経過した期間を指定期間として入力するようにすることができる。摩耗不良に関する情報を選別したい場合には、製品の発売日から相当程度の時間が経過した期間を指定期間として入力するようにすることができる。
【0012】
すなわち、情報選別部3は、製品に関する情報が収集された際の時間に関する情報を用いて、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報からなる群より選ばれた少なくとも1種を製品に関する情報の中から選別するようにすることができる。
【0013】
また、この様な時間による選別の他にも、後述する知識情報辞書部6bに格納されている情報に対する割合が所定の水準に達しないような形態素を含むものは取得しないようにすることができる。この様にすれば、発生頻度が少ない形態素に関する情報を排除することができる。
【0014】
このような選別を行うようにすれば、対象となる情報量を低減させることができるとともに余計な情報が含まれることを抑制することができる。そのため、処理時間の短縮と信頼性の向上とを図ることができる。
【0015】
第1の情報取得部4は、情報選別部3により選別された情報を取得する。
解析部5は、テキストマイニングの手法を用いて、製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する。
この場合、解析部5に設けられた形態素解析部5aにおいては、テキスト形式の文書データを単語に分解し(単語分解処理)、テキスト形式の文書データから形態素を抽出する。
また、解析部5に設けられた構文解析部5bにおいては、抽出された形態素に品詞の関連付けをする。
例えば、製品に関する情報が「映像に横線が入る。」の場合には、形態素解析部5aにおいて「映像/横線/入る/。」と分解されることで、テキスト形式の文書データから形態素が抽出される。また、構文解析部5bにおいて「映像→入る」、「横線→入る」のように抽出された形態素に品詞の関連付けをする。すなわち、いわゆる係り受けを行う。
【0016】
辞書部6は、形態素に関する辞書情報を格納する。
辞書部6には、自動抽出辞書部6a、知識情報辞書部6b、マスタ辞書部6cが設けられている。
自動抽出辞書部6aは、解析部5により抽出された形態素に関する情報を辞書情報として格納する。この際、自動抽出辞書部6aは、過去実績における不良率情報と、解析部5により抽出された形態素に関する情報とを関連付けして格納するようにすることができる。
図2は、自動抽出辞書部に格納されている情報を例示するための模式図である。
図2に示すように、自動抽出辞書部6aには過去実績における不良率情報と、解析部5により抽出された形態素に関する情報とが関連付けられて格納されている。この場合、不良率情報と形態素に関する情報との関連付けに用いる情報は入力部12から入力されるようにすることができる。例えば、抽出された形態素が含まれていたテキスト形式の文書データに対応する製品の不良率情報を入力部12から入力することで、テキスト形式の文書データを介して形態素に関する情報と不良率情報との関連付けを行うようにすることができる。
また、過去実績における不良の発生件数に基づいて、抽出された形態素の不良率に関するレベルを決定するようにすることもできる。
【0017】
知識情報辞書部6bは、フィールドエンジニアなどの情報提供者100が知得した製品に関する知識情報から抽出された形態素に関する情報を辞書情報として格納する。
マスタ辞書部6cは、自動抽出辞書部6aから提供される形態素に関する情報および不良率情報と、知識情報辞書部6bから提供される形態素に関する情報と、を辞書情報として格納する。この場合、自動抽出辞書部6aと知識情報辞書部6bとから提供されるすべての情報を辞書情報として格納するようにすることもできるし、入力部12から入力された指令などに基づいて格納される情報を選別することもできる。
形態素情報格納部7は、解析部5(形態素解析部5a、構文解析部5b)から提供された情報を格納する。この際、形態素の名称、品詞の種類、抽出された数などを併せて格納するようにすることができる。
【0018】
第2の情報取得部8は、統計情報部9において用いられる形態素に関する情報を形態素情報格納部7から取得する。また、形態素情報格納部7から取得した形態素に関する情報に対応した辞書情報をマスタ辞書部6cから取得する。
統計情報部9には、基礎情報作成部9a、重み付け変換部9b、統計処理部9cが設けられている。
基礎情報作成部9aは、第2の情報取得部8から提供された形態素に関する情報と、形態素に関する辞書情報とに基づいて、統計処理部9cにおける統計処理に用いる基礎情報を作成する。例えば、基礎情報作成部9aは、第2の情報取得部8から提供された形態素に関する情報と、形態素に関する辞書情報とに基づいて共起行列を作成するようにすることができる。
【0019】
図3は、基礎情報作成部において作成される共起行列を例示するための模式図である。 図3に例示をした共起行列は、共起語を抽出された形態素(例えば、電源、パネル、ケーブルなど)とし、概念語を製品の品種(例えば、ABCD、WXYZなど)としている。なお、図中の数値は、共起語(形態素)と概念語(製品の品種)とが抽出対象となった文書データに共起した回数を例示したものである。
【0020】
また、時間経過に伴う変動が分かるように「経過時間」の列を設けている。前述したように、コールセンタ情報2a、ウェブ情報2b、業務情報2cには、これらの情報が収集された際の時間に関する情報が含まれているので、この時間に関する情報に基づいて経過時間を求めるようにすることができる。例えば、製品の発売日を基準として、コールセンタ情報2a、ウェブ情報2b、業務情報2cに含まれている時間に関する情報から経過時間を求めるようにすることができる。
なお、「経過時間」に関する情報を入力部12から直接入力することもできる。
【0021】
重み付け変換部9bは、基礎情報作成部9aにおいて作成された基礎情報に対する重み付けを行う。すなわち、重み付け変換部9bは、統計処理情報を作成する際に所定の重み付けを行う。この際、重み付け情報格納部10から提供された重み付け係数を付与することで、基礎情報に対する重み付けを行うようにすることができる。
【0022】
重み付け変換部9bが設けられていない場合には、統計処理部9cは、抽出された形態素に関する情報と、辞書情報とに基づいて(基礎情報に基づいて)統計処理を行い統計処理情報を作成する。
重み付け変換部9bが設けられている場合には、統計処理部9cは、重み付けがされた基礎情報に基づいて統計処理を行い統計処理情報を作成する。
例えば、主成分分析に基づく多変量統計的プロセス管理(MSPC;Multivariate Statistical Process Control)の手法を用いて、重み付けがされた基礎情報を統計処理して統計処理情報を作成するようにすることができる。この場合、HotellingT2統計量とQ統計量とを同時に作成するようにすることができる。例えば、各形態素間の相関関係が保持された状態における異常の発生を監視するためにHotellingT2統計量を作成する。また、製品の発売からの時期に応じた異常を監視する場合のように各形態素間の相関関係が保持されない状態における異常の発生を監視するためにQ統計量を作成する。
【0023】
図4は、統計処理部9cにおいて作成された統計処理情報を例示するための模式図である。
すなわち、図4は、各形態素のトレンドと統計量とを表した模式グラフ図である。
図4中の形態素1〜9は対象となった形態素を表している。また、図4中のHotellingT2統計量とQ統計量は、作成された統計処理情報を例示するものである。この場合、形態素1〜9は、1つの文書データに含まれていた形態素とすることができる。また、形態素1〜9は、製品に関する情報のうち部品不良に分類されたものから抽出された形態素とすることができる。例えば、形態素1が「電源」である場合には、形態素2を「パネル」、形態素3を「映らない」などとすることができる。
【0024】
この様に、複数の形態素を併せて統計処理するようにすれば、特定の形態素の発生のトレンドのみならず、その特定の形態素の発生の原因となるような他の形態素の発生のトレンドをも併せて知ることができる。そのため、異常の発生のみならずその原因などの解析をも行うことができるようになる。
また、各形態素の相関関係を保持しながら、変動するHotelling T2とQを監視することができる。この場合、形態素間の相関関係が崩れると、Hotelling T2とQが変動する。そのため、所定の閾値をあらかじめ設定しておき、この閾値を超えた場合には異常と判断して後述する警報を発するようにすることができる。
例えば、図4の縦軸の「T2&Q統計量」における「0.8」を閾値とし、これを超えた場合には異常と判断して後述する警報を発するようにすることができる。
また、傾向不良の兆候なども知ることができる。
なお、統計処理部9cにおいて作成された統計処理情報は表示部13に表示するようにすることができる。そのため、形態素の発生のトレンドを管理者が視認することができるので、後述する警報が発せられる前の段階の異常の兆候をも捉えることが可能となる。
【0025】
重み付け情報格納部10は、重み付け変換部9bに重み付け係数を提供する。重み付け情報格納部10には、自動抽出辞書部6aに格納されている形態素に対する重み付け係数が格納された第1の重み付け情報格納部10aと、知識情報辞書部6bに格納されている形態素に対する重み付け係数が格納された第2の重み付け情報格納部10bとが設けられている。そして、重み付け変換部9bで処理される形態素に応じて第1の重み付け情報格納部10aまたは第2の重み付け情報格納部10bから適切な重み付け係数が提供されるようになっている。
【0026】
図5は、第2の重み付け部における重み付けを例示するための模式図である。
図5における列は、損害の程度(市場品質コスト)や傾向不良へ発展するリスクの程度などに基づく区分けであり、Levelの数値が高いものほど監視の必要性が高いことを表している。この場合、特定の形態素が組み合わされた場合の重要度に基づいて「Level」を決定するようにしている。例えば、「パネル」と「縦、横、縞」の組み合わせを監視の必要性が高い「Leve4」としている。
なお、形態素の組合せは、過去において傾向不良と判断された事案から抽出したものを検討し、必要と判断されたものは適宜追加するようにすることができる。
図5における行は、形態素の有する意味の重要度(単語における重要度)に基づく区分けであり、Levelの数値が高いものほど監視の必要性が高いことを表している。すなわち、図5においては、右上方になるほど監視の必要性が高くなるような形態素となる。この場合、フィールドエンジニアなどの情報提供者100が収集した情報に基づいて「Level」を決定するようにすることができる。
この場合、図5に例示をした区画毎(形態素毎)に重み付け係数を規定するようにすることができる。例えば、右上方になるほど重み付け係数が大きくなるように区画毎に重み付け係数を規定するようにすることができる。
図6は、第2の重み付け情報格納部10bにおいて重み付け係数を規定した状態を例示するための模式図である。
図6は、図5において例示をした区画毎に重み付け係数を規定した状態を例示するものである。すなわち、監視の必要性が高い右上方になるほど高い重み付け係数を付与するようにしている。なお、列、行における「Level」に関しては図5において例示をしたものと同様である。
この様にして規定された重み付け係数は、重み付け変換部9bに提供され、基礎情報作成部9aにおいて作成された基礎情報に対する重み付けを行う際に用いられることになる。
【0027】
図7は、第1の重み付け情報格納部10aにおいて重み付け係数を規定した状態を例示するための模式図である。
図7における列は、過去実績における不良の発生件数に基づく区分けであり、Levelの数値が高いものほど監視の必要性が高いことを表している。この場合、損害の程度(市場品質コスト)や傾向不良へ発展するリスクの程度などの実績値に基づいて「Level」を決定するようにすることができる。
また、図5に例示をしたものと同様に、特定の形態素が組み合わされた場合の重要度に基づいて「Level」を決定するようにしている。例えば、「パネル」と「歪む」の組み合わせを監視の必要性が比較的高い「Leve3」としている。
なお、形態素の組合せは、過去において傾向不良と判断された事案から抽出したものを検討し、必要と判断されたものは適宜追加するようにすることができる。
また、Level0は、自動抽出辞書部6aに新たに格納された形態素が第1の重み付け情報格納部10aに格納されていない場合、すなわち、過去実績において抽出されていない新たな形態素が発生した場合に重み付けを行うためのものである。なお、Level0は、第2の重み付け情報格納部10bにおいて設けるようにしてもよい。例えば、図6に例示をした模式図にLevel0を設けるようにすることもできる。
【0028】
また、図7における行は、形態素の発生頻度に基づく区分けであり、Levelの数値が高いものほど監視の必要性が高いことを表している。すなわち、図5においては、右上方になるほど監視の必要性が高くなるような形態素となる。この場合、「形態素の発生頻度」としては、例えば、「形態素の発生件数/問い合わせ件数」としたり、「形態素の発生件数/販売台数」としたりすることができる。
この場合、図7に例示をした区画毎(形態素毎)に重み付け係数を規定するようにすることができる。例えば、右上方になるほど重み付け係数が大きくなるように区画毎に重み付け係数を規定するようにすることができる。
【0029】
なお、例示をした重み付け方法に限定されるわけではなく、区分けの仕方などは適宜変更することができる。また、重み付け係数は監視の必要性の違いが相対的に分かるようにするものであればよい。例えば、監視の必要性が高くなるほど重み付け係数の値が小さくなるようにすることもできる。
【0030】
監視部11は、統計処理情報に基づいて異常の発生を監視する。例えば、監視部11は、統計処理部9cにおいて作成された統計処理情報を監視し、異常が発生した場合には警報を出力する。例えば、図4において例示をした統計処理情報を所定の閾値を用いて監視し、閾値を超えた場合には異常が発生したと判断して警報を出力するようにすることができる。
【0031】
入力部12は、情報監視システム1に設けられた要素に対して情報や指令などを入力するためのものとすることができる。入力部12は、例えば、キーボードやマウスなどとすることができる。
例えば、入力部12を介して製品情報格納部2にコールセンタ情報2a、ウェブ情報2b、業務情報2cなどを入力することができる。
また、例えば、入力部12を介して自動抽出辞書部6aに不良率情報と形態素に関する情報との関連付けに用いる情報を入力することができる。
また、例えば、入力部12を介して入力された指令などに基づいてマスタ辞書部6cに格納される情報を選別することができる。
【0032】
表示部13は、情報監視システム1に設けられた要素からの出力を表示する。表示部13は、例えば、フラットパネルディスプレイなどにより構成されるものとすることができる。
例えば、監視部11より出力された警報や発生した異常の内容などを表示するようにすることができる。
また、例えば、統計処理部9cにおいて作成された統計処理情報を表示するようにすることができる。すなわち、図4に例示をした様な統計処理情報のグラフ図を表示するようにすることができる。
【0033】
本実施の形態に係る情報監視システム1によれば、監視の目的に応じて必要となる情報を選別することができる。また、知識情報辞書部6bに格納されている情報に対する割合が所定の水準に達しないような形態素を含むものは取得しないようにすることもできる。
【0034】
そのため、対象となる情報量を低減させることができるとともに余計な情報が含まれることを抑制することができるので、処理時間の短縮と信頼性の向上とを図ることができる。
【0035】
次に、本実施の形態に係る情報監視方法について例示をする。
なお、情報監視システム1において例示をしたものと同様の事項についての説明は適宜省略する。
図8は、本実施の形態に係る情報監視方法について例示をするためのフローチャートである。
まず、製品に関する情報と、その情報が収集された際の時間に関する情報とを収集する(ステップS1)。
次に、監視の目的に応じて必要となる情報を選別する(ステップS2)。
すなわち、監視の目的に応じて必要となる情報を製品に関する情報の中から選別する。 この場合、監視の目的に応じて指定した指定期間に関する情報と、情報が収集された際の時間に関する情報と、に基づいて監視の目的に応じて必要となる情報を選別するようにすることができる。
すなわち、指定期間に含まれた時間に関する情報を含むものを選別するようにすることができる。例えば、製品の発売日からの時間を指定期間として、この指定期間に含まれる情報を選別するようにすることができる。
この場合、初期不良に関する情報を選別したい場合には、製品の発売日から間もない期間を指定期間とすることができる。偶発不良に関する情報を選別したい場合には、製品の発売日から所定の時間が経過した期間を指定期間とすることができる。摩耗不良に関する情報を選別したい場合には、製品の発売日から相当程度の時間が経過した期間を指定期間とすることができる。
【0036】
すなわち、製品に関する情報が収集された際の時間に関する情報を用いて、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報からなる群より選ばれた少なくとも1種を製品に関する情報の中から選別するようにすることができる。
【0037】
また、この様な時間による選別の他にも、フィールドエンジニアなどの情報提供者100が知得した製品に関する知識情報から抽出された形態素に関する辞書情報に対する割合が所定の水準に達しないような形態素を含むものは取得しないようにすることができる。この様にすれば、発生頻度が少ない形態素に関する情報を排除することができる。
【0038】
次に、選別された情報をテキストマイニングの手法を用いて解析する(ステップS3)。すなわち、テキストマイニングの手法を用いて、選別された製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する。なお、テキストマイニングの手法は既知の技術を適用させることができるので、詳細な説明は省略する。
次に、抽出された形態素に関する情報を収集して辞書情報とする(ステップS4−1)。
この際、過去実績における不良率情報と、抽出された形態素に関する情報とを関連付けして辞書情報とするようにすることができる。
次に、フィールドエンジニアなどの情報提供者100が知得した製品に関する知識情報から抽出された形態素に関する辞書情報と、ステップS4−1において作成された辞書情報と、からマスタ辞書情報を作成する(ステップS5)。
【0039】
一方、ステップS3において解析された情報を収集する(ステップS4−2)。
すなわち、抽出された形態素に関する情報を収集する。
次に、ステップS4−2において収集された形態素に関する情報と、ステップS5において作成されたマスタ辞書情報とに基づいて基礎情報を作成する(ステップS6)。
例えば、基礎情報として共起行列を作成するようにすることができる。
【0040】
次に、ステップS6において作成された基礎情報に対して重み付けを行う(ステップS7)。
重み付けは、予め規定された重み付け係数を用いて行うようにすることができる。
次に、重み付けがされた基礎情報を統計処理して統計処理情報を作成する(ステップS8)。
例えば、主成分分析に基づく多変量統計的プロセス管理(MSPC;Multivariate Statistical Process Control)の手法を用いて、重み付けがされた基礎情報を統計処理するようにすることができる。
【0041】
なお、重み付けが行われない場合には、抽出された形態素に関する情報と、辞書情報とに基づいて(基礎情報に基づいて)統計処理情報を作成する。
【0042】
次に、統計処理情報を監視し、異常が発生した場合には警報を出力する(ステップS9)。
例えば、所定の閾値を用いて統計処理情報を監視し、閾値を超えた場合には異常が発生したと判断して警報を出力するようにすることができる。
この場合、HotellingT2統計量とQ統計量とを同時に監視するようにすることができる。例えば、各形態素間の相関関係が保持された状態における異常の発生をHotellingT2統計量を用いて監視するようにすることができる。また、製品の発売からの時期に応じた異常を監視する場合のように各形態素間の相関関係が保持されない状態における異常の発生をQ統計量を用いて監視するようにすることができる。
【0043】
本実施の形態に係る情報監視方法によれば、監視の目的に応じて必要となる情報を選別することができる。また、フィールドエンジニアなどの情報提供者100が知得した製品に関する知識情報から抽出された形態素に関する辞書情報に対する割合が所定の水準に達しないような形態素を含むものは取得しないようにすることもできる。
そのため、対象となる情報量を低減させることができるとともに余計な情報が含まれることを抑制することができるので、処理時間の短縮と信頼性の向上とを図ることができる。
【0044】
次に、本実施の形態に係る情報監視プログラムについて例示をする。
本実施の形態に係る情報監視プログラムは、コンピュータに、前述した情報監視方法を実行させるものとすることができる。
図9は、本実施の形態に係る情報監視プログラムを実行可能なコンピュータシステムを例示するためのブロック図である。
図9に示すように、コンピュータシステム200には、コンピュータ201、入力部12、表示部13が設けられている。
コンピュータ201には、各種の情報処理を実行する演算部201a、情報を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などの一時格納部201b、情報の送受信を制御する入出力部201c、本実施の形態に係る情報監視プログラムが格納される格納部201dなどが設けられている。
なお、コンピュータ201に設けられた各要素には既知の技術を適用することができるのでこれらの詳細な説明は省略する。
【0045】
一連の情報監視方法を実行させるために、本実施の形態に係る情報監視プログラムが、コンピュータ201に設けられた格納部201dに格納される。情報監視プログラムは、例えば、記録媒体に格納された状態でコンピュータ201に供給され、読み出されることでコンピュータ201に設けられた格納部201dに格納されるようにすることができる。なお、LAN(Local Area Network)などを介して、情報監視プログラムがコンピュータ201に設けられた格納部201dに格納されるようにすることもできる。
【0046】
そして、格納部201dに格納された情報監視プログラムは一時格納部201bに読み出され、演算部201aにおいて各種の演算が行われる。この際、必要な情報は入力部12から入力され、必要に応じて演算結果などが表示部13に表示されるようにすることができる。
【0047】
この場合、格納部201dには、以下の手順を実行する情報監視プログラムが格納されるようにすることができる。
(1)製品に関する情報と、その情報が収集された際の時間に関する情報とを収集する手順。
(2)監視の目的に応じて必要となる情報を選別する手順。
(3)選別された情報をテキストマイニングの手法を用いて解析する手順。
(4−1)抽出された形態素に関する情報を収集して辞書情報とする手順。
(4−2)(3)において解析された情報を収集する手順。
(5)フィールドエンジニアなどの情報提供者100が知得した製品に関する知識情報から抽出された形態素に関する辞書情報と、(4−1)において作成された辞書情報と、からマスタ辞書情報を作成する手順。
(6)(4−2)において収集された形態素に関する情報と、(5)において作成されたマスタ辞書情報とに基づいて基礎情報を作成する手順。
(7)(6)において作成された基礎情報に対して重み付けを行う手順。
(8)重み付けがされた基礎情報を統計処理して統計処理情報を作成する手順。
(9)統計処理情報を監視し、異常が発生した場合には警報を出力する手順。
なお、各手順の内容は、情報監視システム1や情報監視方法において例示をしたものと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態に係る情報監視プログラムは、前述の順序に従って時系列的に実行されるようにしてもよいし、必ずしも時系列的に実行されなくとも並列的あるいは選別的に実行されるようにしてもよい。
また、本実施の形態に係る情報監視プログラムは、単一の演算部により処理されるものであってもよいし、複数の演算部によって分散処理されるものであってもよい。
【0048】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びそれと等価とみなされるものの範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
例えば、情報監視システム1が備える各要素の配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 情報監視システム、2 製品情報格納部、3 情報選別部、4 第1の情報取得部、5 解析部、6 辞書部、7 形態素情報格納部、8 第2の情報取得部、9 統計情報部、10 重み付け部、11 監視部、12 入力部、13 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品に関する情報を格納する製品情報格納部と、
前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する解析部と、
前記形態素に関する辞書情報を格納する辞書部と、
前記抽出された形態素に関する情報と、前記辞書情報とに基づいて統計処理情報を作成する統計処理部と、
前記統計処理情報に基づいて異常の発生を監視する監視部と、
を備えた情報監視システムであって、
前記監視の目的に応じて必要となる情報を前記製品情報格納部に格納された製品に関する情報の中から選別し、前記解析部に提供する情報選別部を備えたことを特徴とする情報監視システム。
【請求項2】
前記製品に関する情報には、前記製品に関する情報が収集された際の時間に関する情報が含まれており、
前記情報選別部は、前記時間に関する情報を用いて、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報からなる群より選ばれた少なくとも1種を前記製品に関する情報の中から選別すること、を特徴とする請求項1記載の情報監視システム。
【請求項3】
前記形態素に関する情報と、前記辞書情報と、基づいて作成された基礎情報に対する重み付けを行う重み付け変換部をさらに備え、
前記統計処理部は、重み付けがされた前記基礎情報に基づいて統計処理を行い統計処理情報を作成すること、を特徴とする請求項1または2に記載の情報監視システム。
【請求項4】
製品に関する情報を収集する工程と、
前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する工程と、
前記形態素に関する辞書情報を収集する工程と、
前記抽出された形態素に関する情報と、前記辞書情報とに基づいて統計処理情報を作成する工程と、
前記統計処理情報に基づいて異常の発生を監視する工程と、
を備えた情報監視方法であって、
前記監視の目的に応じて必要となる情報を前記製品に関する情報の中から選別し、前記製品に関する情報から形態素に関する情報を抽出する工程に提供する選別工程を備えたこと、を特徴とする情報監視方法。
【請求項5】
前記製品に関する情報には、前記製品に関する情報が収集された際の時間に関する情報が含まれており、
前記選別工程において、前記時間に関する情報を用いて、初期不良に関する情報、偶発不良に関する情報、摩耗不良に関する情報からなる群より選ばれた少なくとも1種が前記製品に関する情報の中から選別されること、を特徴とする請求項4記載の情報監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−68928(P2012−68928A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213715(P2010−213715)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】