説明

情報管理プログラム及び知識情報共有システム

【課題】更新前の外部情報を参照して作成された情報に対しては、当該情報が作成された時点での外部情報を表示することにより、情報を有効に活用することを可能とする。
【解決手段】情報収集部54は、情報源60から外部情報(第1の情報)を収集する。情報収集部54は、情報源60で収集された第1の情報が更新されたことを検知する。差分検出部55は、情報収集部54によって情報源60で第1の情報が更新されたことが検知された場合に、情報収集部54によって収集された第1の情報を参照して作成された内部情報(第2の情報)が存在するか否かを判定する。差分検出部55は、第2の情報が存在することが判定された場合に、情報収集部54によって収集された第1の情報のうち、少なくとも第2の情報が作成された際に参照された部分を差分情報として検出する。情報検索・表示部56は、差分情報を、第2の情報の参照元として提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から情報を収集する情報管理プログラム及び知識情報共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばネットワーク上に分散して存在する外部の情報を情報源から収集し、収集された情報を蓄積するシステムが知られている。このシステムによれば、複数のユーザによって当該収集された情報を例えば検索または共有することが可能である。
【0003】
このようなシステムでは、ユーザは、例えば当該システムに蓄積された情報を参照することにより、当該情報を加工し、新たな情報を作成することができる(例えば、特許文献1を参照)。このシステムでは、ユーザによって新たに作成された情報も検索または共有することができる。
【0004】
また、例えばネットワーク上に分散された情報を収集するにあたって、各情報の更新の頻度と同程度の頻度で情報参照を行う技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。この先行技術によれば、クローラあるいはロボットと呼ばれる収集モジュールが収集元の情報の更新日時情報をもとに、収集済みの情報を更新するか否かを判別し、検索用のインデックスを再作成することができる。
【0005】
また、特許文献1には、ある情報に対して付加された評価情報を希望するユーザに通知する技術についても記載されている。この先行技術によれば、組織内での知識共有への動機付けがなされ、情報公開と組織における情報共有化を促進できる。
【特許文献1】特開2003−196546号公報
【特許文献2】特開平10−49553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した先行技術においてシステム内部に収集された外部の情報を参照して新たな情報が作成された場合に、当該参照された外部の情報が情報源で更新された場合を想定する。この場合、システム内部では、参照された外部の情報が情報源で更新されたことが検知される。すると、システム内部に収集された外部の情報(更新前の外部情報)は、情報源で更新された外部の情報(更新後の外部情報)に置き換えられる(更新される)。
【0007】
この場合、参照元である更新前の外部情報に関連付けてシステム内部で作成された情報の意味が失われてしまうおそれがある。例えば、更新前の外部情報に対する評価情報を付加している場合では、当該更新前の外部情報が更新後の外部情報に置き換えられることにより、更新前の外部情報が失われるため当該評価情報が不要になってしまうケースが考えられる。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでありその目的は、更新前の外部情報を参照して作成された情報に対応付けて、当該情報が作成された時点での外部情報(更新前の外部情報)を管理することにより、当該情報の背景知識が失われることを防止し、情報を有効に活用するプログラム及び情報共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様によれば、知識情報共有システムのコンピュータによって実行される情報管理プログラムであって、前記コンピュータに、前記知識情報共有システムの外部に存在する情報源から第1の情報を収集するステップと、前記収集された第1の情報を第1の格納手段に格納するステップと、前記第1の格納手段に格納された第1の情報を参照して作成された第2の情報を第2の格納手段に格納するステップと、前記情報源を監視することにより、前記情報源で第1の情報が更新されたことを検知するステップと、前記情報源で第1の情報が更新されたことが検知された場合に、前記1の情報を参照して作成された第2の情報が前記第2の格納手段に存在するかを判定するステップと、前記第2の情報が存在することが判定された場合に、前記第1の格納手段に格納された第1の情報のうち、少なくとも前記第2の情報が作成された際に参照された部分を差分情報として検出するステップと、前記第2の情報の参照元として前記検出された差分情報を提示するステップとを実行させる情報管理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部から収集された情報を参照して作成された情報に対応付けて、当該情報が作成された時点での外部から収集された情報を管理することにより、当該情報の背景知識が失われることを防止し、情報を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る知識情報共有システムを含むクライアント−サーバシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
図1のクライアント−サーバシステムは、主として、コンピュータ(サーバコンピュータ)10と、複数のクライアント端末とから構成される。複数のクライアント端末はクライアント端末20を含む。クライアント端末20上では、コンピュータ10を利用するクライアントソフトウェアが動作する。クライアントソフトウェアは例えばブラウザである。クライアント端末20を含む複数のクライアント端末は、例えばインターネットのようなネットワーク30を介してコンピュータ10と接続されている。なお、図1にはクライアント端末20以外のクライアント端末は省略されている。
【0014】
コンピュータ10は、ハードディスクドライブのような外部記憶装置40と接続されている。この外部記憶装置40は、コンピュータ10によって実行されるプログラム41を格納する。コンピュータ10及び外部記憶装置40は、知識情報共有システム50を構成する。
【0015】
図2は、図1に示される知識情報共有システム50の主として機能構成を示すブロック図である。知識情報共有システム50は、インタフェース51、情報登録部52、利用情報管理部53、情報収集部54、差分検出部55及び情報検索・表示部56を有する。本実施形態において、これらの各部51乃至56は、図1に示されるコンピュータ10が外部記憶装置40に格納されているプログラム41を実行することにより実現されるものとする。このプログラム41は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布可能である。また、このプログラム41が、ネットワーク30を介してコンピュータ10にダウンロードされても構わない。
【0016】
また、知識情報共有システム50は、内部リソースデータベース(DB)42、利用情報保存部43、外部リソースDB44及び差分情報保存部45を含む。本実施形態において、これらは、外部記憶装置40に格納される。
【0017】
インタフェース51は、クライアント端末20を含むクライアント端末と知識情報共有システム50との間のデータの入出力を行う。インタフェース51は、例えばユーザ(利用者)がクライアント端末を操作して作成した情報(以下、内部情報と称する)または情報検索の要求を入力する。また、インタフェース51は、クライアント端末の例えばブラウザに情報を送信する。
【0018】
ここで、内部情報には、ユーザによって、既に内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44に格納されている情報が例えば参照されて作成された新たな情報が含まれる。具体例として、内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44に既に格納されている複数の情報の内容を抜粋して作成された情報、または、内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44に既に格納されている情報に対する評価やコメントとして作成された情報等が挙げられる。
【0019】
情報登録部52は、インタフェース51によって入力された内部情報を受取る。情報登録部52は、受取られた内部情報を内部リソースデータベース(第2の格納手段)42に格納(蓄積)する。また、情報登録部52は、利用情報を取得するための指示を利用情報管理部53に対して行う。
【0020】
利用情報は、上記したような例えばある情報が参照されて作成された内部情報が存在する場合において、当該情報同士の関係を示す情報である。以下、内部情報が作成される際に、参照された情報を参照元として説明する。
【0021】
利用情報管理部53は、情報登録部52からの指示に応じて利用情報を取得する。利用情報管理部53は、取得された利用情報を利用情報保存部43に格納する。また、利用情報管理部53は、差分検出部55または情報検索・表示部56からの問い合わせに基づいて、内部リソースデータベース42、利用情報保存部43または外部リソースデータベース44を参照する。
【0022】
情報収集部54は、知識情報共有システム50の外部に存在する情報源(システム外部リソース)60から、例えばネットワーク30を介して情報(第1の情報)を収集する。ここで、情報収集部54によって情報源60から収集された情報を外部情報とする。
【0023】
情報収集部54は、情報源60から特定の収集条件、例えば収集の起点、収集件数または収集する情報の属性に基づいて外部情報を収集する。この収集条件は、ユーザによって設定可能である。また、情報収集部54は、収集された外部情報を外部リソースデータベース(第1の格納手段)44に格納する。
【0024】
また、情報収集部54は、予め設定された時間(期間)毎に情報源60を監視することにより、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報が情報源60において更新されたことを検知する。このとき、情報収集部54は、外部情報に含まれる例えば更新日を示す情報に基づいて更新されたことを検知する。情報収集部54は、更新された外部情報を情報源60から収集する。情報収集部54は、この更新された外部情報を差分検出部55送信する。
【0025】
以下、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報が情報源60において更新された場合において、情報源60から収集された更新された外部情報を更新後の外部情報、当該外部リソースデータベース44に格納されている外部情報を更新前の外部情報として説明する。
【0026】
差分検出部55は、外部リソースデータベース44を参照して、情報収集部54によって送信された更新後の外部情報と外部リソースデータベース44に格納されている更新前の外部情報との差分を検出する。また、差分検出部55は、外部リソースデータベース44に格納されている更新前の外部情報を参照して作成された内部情報(第2の情報)が存在するか否かを利用情報管理部53に問い合わせる。つまり、更新前の外部情報が参照元であるか否かを問い合わせる。差分検出部55は、検出された差分の量または利用情報管理部53への問い合わせの結果に応じて、更新前の外部情報のうち、少なくとも参照元として参照された部分を差分情報として差分情報保存部45に格納する。また、差分検出部55は、外部リソースデータベース44に格納されている更新前の外部情報を更新後の外部情報に更新する。
【0027】
情報検索・表示部56は、インタフェース51によって入力された情報検索の要求に応じて、内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44に格納されている情報(内部情報、外部情報)のうち、当該要求に合致する情報を検索する。情報検索・表示部56は、例えば要求に合致する情報をインタフェース51を介してユーザに提示(表示)する。情報検索・表示部56は、例えば要求に合致する情報をユーザに提示する際、当該情報に関係する情報例えば参照元をリンクとして提示するために、利用情報管理部53に問い合わせる。また、情報検索・表示部56は、差分情報保存部45に格納されている差分情報をインタフェース51を介してユーザに表示する機能を有する。
【0028】
図3は、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報440のデータ構造の一例を示す。
【0029】
外部情報440は、属性441及び属性値442から構成される。属性441は、ID、URL、作成(登録)者、更新日、タイトル及び本文の各項目を含む。IDは、外部リソースデータベース44内での同一性を保障するために知識情報共有システム50により付与された一意な数値である。URLは、例えば外部情報440がWebサイト(情報源60)から収集された場合において、当該外部情報440が存在するWebサイトのURLを示す。作成者は、外部情報440が収集された情報源60において当該外部情報440を作成し、当該情報源60に登録したユーザを示す。更新日は、外部情報440が情報源60において更新された日を示す。タイトルは、外部情報440のタイトルを示す。本文は、外部情報440の本文を示す。
【0030】
属性値442は、属性441に含まれる各項目に対応付けられて、外部情報440の各値が示される。
【0031】
図3の例では、IDは「0054122」であり、URLは「http://www.aaa.bbb.cc.z.com/ab/product/marumaru.html」であり、作成者は「山田太一郎」であり、更新日は「2006/6/15」であり、タイトルは「製品情報 ナレッジマネジメント総合プラットフォーム○○」であり、本文には外部情報440によって示される内容が示されている。
【0032】
図4は、内部リソースデータベース42に格納されている内部情報420のデータ構造の一例を示す。
【0033】
内部情報420は、上記した外部情報440と同様に、属性421及び属性値422から構成される。属性421は、ID、作成日、作成者、タイトル、本文及び参照IDの各項目を含む。IDは、内部リソースデータベース42内での同一性を保障するために知識情報共有システム50により付与される一意な数値である。作成日は、内部情報420が作成された日を示す。作成者は、例えばクライアント端末を操作して内部情報420を作成したユーザを示す。参照IDは、内部情報420に参照元(内部情報または外部情報)が存在する場合には、当該参照元のIDを示す。タイトルは、内部情報420のタイトルを示す。本文は、内部情報420の本文を示す。
【0034】
属性値422は、属性421に含まれる各項目に対応付けられて、内部情報420の各値が示される。
【0035】
図4の例では、IDは「100006943」であり、作成日は「2006/7/01」であり、作成者は「山田太一郎」であり、タイトルは「ナレッジマネジメント商品 価格調査報告」であり、本文には内部情報420によって示される内容が示されており、参照IDは「00054122」及び「4506607」である。
【0036】
次に、図5乃至図7を参照して、利用情報のデータ構造の一例について説明する。ここでは、例えば図4に示す内部情報420が、参照元の1つとして前述した図3に示す外部情報440を参照して作成されたものとして説明する。
【0037】
利用情報は、情報関係データ及び参照内容データを含む。図5は、利用情報に含まれる情報関係データ430のデータ構造の一例を示す。図6及び図7は、利用情報に含まれる参照内容データ431及び432のデータ構造の一例を示す。
【0038】
情報関係データ430は、内部リソースデータベース42に格納されている内部情報と当該内部情報の参照元との関係を示す。参照内容データは、情報関係データに示される参照元が参照されている範囲(の内容)を示す。
【0039】
図5に示すように、情報関係データ430は、上記した外部情報440または内部情報420と同様に、属性430a及び属性値430bから構成される。属性430aは、例えばFROM_1、FROM_2、TO、関係種別及び作成日時の各項目を含む。
【0040】
FROM_1及びFROM_2は、参照内容データのIDを示す。TOは、内部リソースデータベース42に格納されている内部情報のIDを示す。これらにより、TOに示される内部情報が、FROM_1及びFROM_2に示される参照内容データに示される参照元の内容から作成されたことが示される。関係種別は、TOに示される内部情報とFROM_1及びFROM_2に示される参照内容データによって示される参照元との関係を示す。作成日は、情報関係データ430が作成された日時を示す。属性値430bは、属性430aに含まれる各項目に対応付けられて、利用情報の各値が示される。
【0041】
図5の例では、FROM_1は「I_00034543(参照内容データ431のID)」であり、FROM_2は「I_94566710(参照内容データ432のID)」であり、TOは「100006943(内部情報420のID)」であり、関係種別は「複数データからの集約」であり、作成日時は「2006/12/23」である。
【0042】
なお、関係種別には、「複数のデータからの集約」以外にも、例えば「コメント付け」、「補足情報」または「レビジョンアップ(改訂)」等が含まれる。
【0043】
図6に示すように、情報関係データ430のFROM_1に示される参照内容データ431は、属性431a及び属性値431bから構成される。属性431aは、ID、対象、データID、参照範囲及び参照内容の各項目を含む。IDは、利用情報保存部43内で参照内容データを特定するための一意な数値である。対象は、参照内容データ431によって示される参照元が格納されている場所(内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44)を示す。データIDは、対象に示される内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44内での参照内容データ431によって示される参照元のIDである。参照範囲は、内部情報が作成された際に、データIDに示される参照元の参照された範囲を示す。参照内容は、参照範囲に示される範囲に含まれる参照元の内容を示す。
【0044】
図6の例では、IDは「I_00034543」であり、対象は「外部リソースデータベース」であり、データIDは「00054122」であり、参照範囲は「13行目−16行目」であり、参照内容にはデータIDによって示される情報(ここでは外部情報440)の13行目から16行目に示される内容が示されている。
【0045】
つまり、参照内容データ431は、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報440の「本文」の一部を参照して利用している場合の例である。
【0046】
図7に示すように、情報関係データ430のFROM_2に示される参照内容データ432は、属性432a及び属性値432bから構成される。属性432aは、ID、対象、データID及び範囲の各項目を含む。ID、対象、データID及び参照範囲の各項目の内容は、上記した参照内容データ431と同様である。
【0047】
図7の例では、IDは「I_94566710」であり、対象は「内部リソースデータベース」であり、データIDは「4506607」であり、参照範囲は「リンクとして参照」である。
【0048】
つまり、参照内容データ432は、内部リソースデータベース42内のデータIDが「4506607」である内部情報をリンクとして参照する場合の例である。
【0049】
次に、図8及び図9を参照して、図3に示す外部情報440が情報源60において更新された場合に、外部情報440の内容の推移例について具体的に説明するための図である。図8は、外部情報440が情報源60において、更新日「2006/7/11」に更新された外部情報445の一例である。図9は、外部情報445が情報源60において、更新日「2006/09/25」に更新された外部情報447の一例である。
【0050】
図8に示される範囲445a内に示される例えば文字は、外部情報440が外部情報445に更新された場合に、変更された部分を示す。また、範囲445bは、前述した図6の参照内容データ431の参照範囲に示される範囲である。
【0051】
同様に、図9に示される範囲447a及び447b内に示される例えば文字は、外部情報445が外部情報447に更新された場合に、変更された部分を示す。また、範囲447cは、上記した範囲445bと同様に、参照内容データ431の参照範囲に示される範囲である。
【0052】
なお、図8及び図9に示された範囲445a、445b、447a、447b、447cは、本実施形態をわかりやすくするために設けられているものであって、実際の外部情報445及び447内では他の本文と同様の形式のテキストで表現されている。
【0053】
次に、図10のフローチャートを参照して、更新前の外部情報と更新後の外部情報との差分を検出し、更新前の外部情報を差分情報保存部45に格納する処理について説明する。ここでは、外部情報を外部情報Xとして説明する。
【0054】
まず、情報収集部54は、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報Xと情報源60の外部情報Xとの更新日を示す情報を比較する。情報源60の外部情報Xの更新日の方が新しい場合、情報収集部54は、外部情報Xが更新されたことを検知する。この場合、情報収集部54は、情報源60の外部情報Xを収集する。以下、外部情報Xが更新されたことが検知された時点において、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報Xを更新前の外部情報X1、収集された情報源60の外部情報Xを更新後の外部情報X2として説明する。
【0055】
次に、差分検出部55は、更新前の外部情報X1を参照元として利用または参照して作成された内部情報が内部リソースデータベース42に存在するか否かを、利用情報管理部53に問い合わせる。利用情報管理部53は、差分検出部55からの問い合わせに応じて、利用情報保存部43を参照する。利用情報管理部53は、利用情報保存部43に格納されている利用情報に基づいて、更新前の外部情報X1を参照元として利用または参照して作成された内部情報が存在するか否かを判定する(ステップS1)。利用情報管理部53は、その結果を差分検出部55に送信する。
【0056】
差分検出部55は、更新前の外部情報X1を参照して作成された内部情報が存在する場合(ステップS1のYES)、更新前の外部情報X1と更新後の外部情報X2の内容とを参照する(ステップS2)。差分検出部55は、当該参照した結果、利用情報に含まれる参照範囲に示される部分の内容が変更されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0057】
ここで、ステップ3の処理について上記した図3、図8及び図9に示す外部情報440、外部情報445及び外部情報447を例に具体的に説明する。
【0058】
まず、外部情報440が外部情報445に更新された場合を想定する。この場合、範囲445a内の文字が変更されているが、範囲445aは、範囲445bに含まれていない。つまり、利用情報に含まれる参照範囲に示される部分である範囲445b内の文字は変更されていない。この場合、図10のステップS2の処理では、利用情報に含まれる参照範囲に示される部分の内容が更新により変更されていないと判定される。
【0059】
次に、外部情報445が外部情報447に更新された場合を想定する。この場合、範囲447a及び447b内の文字が変更されており、かつ範囲447a及び447bは範囲447cに含まれている。つまり、利用情報に含まれる参照範囲に示される部分である範囲447c内の文字は変更されている。この場合、図10のステップS2の処理では、利用情報に含まれる参照範囲に示される部分の内容が更新により変更されていると判定される。
【0060】
再び図10に戻ると、差分検出部55は、利用情報に含まれる参照範囲に示される部分の内容が更新により変更されていると判定した場合(ステップS3のYES)、当該変更が加えられたテキスト量を例えば評価式F(x)によって評価する(ステップS4)。
【0061】
この評価式の一例として、評価式F(x)=Σ(更新前の外部情報X1の参照範囲に含まれている部分の更新文字数)/Σ(更新前の外部情報X1の参照範囲に含まれている部分の総文字数)*(更新前の外部情報X1の更新文字数)/(更新前の外部情報X1の総文字数)が考えられる。なお、この評価式F(x)の演算子「Σ」は、更新前の外部情報X1を参照して作成された情報が複数存在する場合に、当該複数の情報分を足し合わせることを意味する。
【0062】
差分検出部55は、上記した評価式F(x)の値が、予め定義されている閾値より大きいか否かを判定する(ステップS5)。
【0063】
差分検出部55は、評価式F(x)の値が閾値より大きい場合(ステップS5のYES)、更新前の外部情報X1の参照範囲内の部分を差分情報として、外部情報Xを示す外部情報IDに対応付けて差分情報保存部45に格納する(ステップS6)。
【0064】
一方、差分検出部55は、評価式F(x)の値が閾値より小さい場合(ステップS5のNO)、外部リソースデータベース44に格納されている更新前の外部情報X1を更新後の外部情報X2に更新する(ステップS7)。
【0065】
なお、上記した評価式F(x)では、更新前の外部情報X1の参照範囲内で更新文字数が多い場合、評価式F(x)の値が大きくなる。また、同様に、更新前の外部情報X1全体での更新文字数が多い場合でも、評価式F(x)の値は大きくなる。つまり、この処理では、更新前の外部情報X1において、参照範囲内で(更新による)変更が多い場合または全体として(更新による)変更が多い場合に、当該参照範囲内の部分が差分情報として格納される可能性が高くなる。
【0066】
また、上記した評価式F(x)は、テキストの変更量のみに基づいて評価式F(x)の値を算出するものであるが、参照範囲内の文中の例えば「価格」または「日付」に関する内容が変更されている場合には、既定の重みを乗ずるような評価式としても良い。
【0067】
一方、上記したステップS1、S3においてNOの場合、ステップS7の処理が実行される。
【0068】
図11は、差分情報保存部45に格納されている差分情報450のデータ構造の一例を示す。
【0069】
差分情報450は、属性451及び属性値452から構成される。属性451は、差分情報ID、外部情報ID、外部情報更新日、範囲及び内容の各項目を含む。差分情報IDは、差分情報保存部45内で差分情報を特定するための一意な数値である。外部情報IDは、差分情報450に対応する外部情報(更新後の外部情報)を示すIDである。外部情報更新日は、外部情報IDに示される外部情報が参照された時点の内容に更新された日を示す。範囲は、外部情報IDによって示される外部情報のどの部分についての差分情報であるかを示す。内容は、差分情報450によって示される内容(本文)を示す。
【0070】
図11の例では、差分情報IDは「000001」であり、外部情報IDは「00054122」であり、外部情報更新日は「2006/06/15」であり、範囲は「13行−16行」であり、内容には外部情報更新日に更新された外部情報IDによって示される外部情報の、範囲に示される内容が示されている。
【0071】
次に、図12のフローチャートを参照して、ユーザに対して差分情報を表示する処理手順について説明する。
【0072】
まず、ユーザは、内部リソースデータベース42または外部リソースデータベース44に格納されている情報のうち、ユーザに対して表示する情報(リソース)として例えば情報検索の要求に合致する内部情報を指定したものとする(ステップS11)。
【0073】
情報検索・表示部56は、インタフェース51を介してクライアント端末のブラウザにより、ユーザによって指定された内部情報を当該端末に表示させる(ステップS12)。
【0074】
ここで、表示された内部情報の参照元として外部情報(参照元の外部情報)が存在するものとする。ユーザによって、参照元の外部情報を表示する指示がされた場合(ステップS13のYES)、差分情報検出部55は、当該参照元の外部情報に対応する差分情報が存在するか否かを判定する(ステップS14)。
【0075】
差分情報検出部55は、参照元の外部情報に対応する差分情報が存在する場合には(ステップS14のYES)、当該差分情報を選出する(ステップS15)。なお、参照元の外部情報に対応する差分情報が複数存在する場合には、例えば参照元の外部情報を参照して作成された内部情報の作成日、差分情報の外部情報更新日または参照範囲に基づいて、取り込まれた(参照された)時点での参照元の外部情報の内容を示す差分情報を選出する。
【0076】
情報検索・表示部56は、クライアント端末の例えばブラウザにより、参照元の外部情報の参照範囲の部分を、差分情報検出部55によって選出された差分情報の内容に置き換えて表示させる(ステップS16)。
【0077】
差分情報の内容に置き換えて表示された参照元の外部情報に代えて、最新(現時点)の参照元の外部情報を表示する指示がされた場合には(ステップS17のYES)、外部リソースデータベース44に格納されている参照元の外部情報がそのまま表示される。
【0078】
一方、ステップS13において、ユーザによって参照元の外部情報を表示する指示がされない場合は、上述したステップS14乃至ステップS18の処理は実行されない。
【0079】
また、ステップS17において、差分情報の内容に置き換えて表示された参照元の外部情報に代えて、最新の参照元の外部情報を表示する指示がされない場合、上述したステップS18の処理は実行されない。
【0080】
また、ステップS14において、ユーザによって表示の指示がされた外部情報に対応する差分情報が存在しない場合、ステップS18の処理が実行される。
【0081】
なお、ステップS12において、参照元の外部情報に対応する差分情報が存在する場合には、内部情報をユーザに対して表示する際にその旨を示す例えばマークを表示する構成でも良い。この構成によれば、ユーザは、上記したマークを確認することによって、表示されている内部情報が最新の内容を参照して作成された情報か否かを判断することが可能となる。
【0082】
次に、図3乃至図9及び図11を参照して、知識情報共有システム50の動作について具体的に説明する。
【0083】
情報収集部54によって、図3に示す外部情報440が収集され、以後の収集により、図8に示す外部情報445が収集された場合を想定する。この場合、図6に示す参照内容データの参照範囲に示される、外部情報445の範囲445b内には更新による変更がないため、外部情報445の範囲445b内の部分は差分情報として差分情報保存部45に格納されない。
【0084】
一方、情報収集部54によって、図3に示す外部情報440が収集され、以後の収集により、図9に示す外部情報447が収集された場合を想定する。この場合、図6に示す参照内容データの参照範囲に示される、外部情報447の範囲447c内には範囲447a及び447bで更新による変更がある。ここで、評価式F(x)の値が閾値より大きいと仮定すると、外部情報440の参照範囲の部分は差分情報として差分情報保存部45に格納される。このとき、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報440は、外部情報447に更新される。
【0085】
以後、ユーザの指定により、図4の内部情報を表示した場合を想定する。この場合、ユーザによって図4に示される参照ID(00054122)に示される外部情報の表示が指示された場合には、外部リソースデータベース44に格納されている外部情報447はそのまま表示されない。この場合、外部情報447の範囲447cの部分は、差分情報保存部45に格納されている差分情報によって示される外部情報440の参照範囲の部分に置き換えられて表示される。
【0086】
上記したように本実施形態においては、外部情報が情報源60において更新された場合に、更新前の外部情報を差分情報として差分情報保存部45に格納することができる。これにより、外部情報が更新された場合であっても、更新前の外部情報を参照して作成された情報に対応付けて、参照された時点での外部情報(更新前)を管理することが可能になり、更新前の外部情報を参照して作成された情報の背景情報が失われることを防止できる。これにより、知識情報共有システム50で共有する情報の精度(正確さ)が失われることを防止することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態においては、更新前の外部情報の参照された範囲のみを差分情報として差分情報保存部45に格納することで、差分情報保存部45に格納する情報量を必要最低限にすることが可能である。
【0088】
また、更新前の外部情報と更新後の外部情報との表示を切り替えることが可能であるため、ユーザは、参照された時点での情報と最新の情報がどのように変わっているかを確認することが可能となる。
【0089】
なお、本実施形態においては、更新前の外部情報の参照されている範囲を差分情報として検出するものとして説明したが、更新前の外部情報のうち、更新前の外部情報の参照されている部分を含む範囲をユーザに選択させる構成であっても良い。この場合では、ユーザによって選択された範囲が、差分情報として検出される。このため、更新前の外部情報の参照されている部分以外についても、差分情報として検出することが可能となる。
【0090】
また、更新前の外部情報の本文の要約を差分情報として検出する構成であっても良い。この場合、更新前の外部情報の参照されている範囲を中心に要約を作成することで、背景情報が失われることを防止できるだけでなく、更新前の外部情報全体について差分情報として検出することができる。
【0091】
また、更新前の外部情報の参照されている範囲に、テキスト化することができない情報例えば画像情報が含まれる場合には、当該画像情報をイメージのまま保存する構成であっても構わない。
【0092】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る知識情報共有システムを含むクライアント−サーバシステムのハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】図1の知識情報共有システム50の主として機能構成を示すブロック図。
【図3】外部リソースデータベース44に格納されている外部情報440のデータ構造の一例を示す図。
【図4】内部リソースデータベース42に格納されている内部情報420のデータ構造の一例を示す図。
【図5】利用情報に含まれる情報関係データ430のデータ構造の一例を示す図。
【図6】利用情報に含まれる参照内容データ431のデータ構造の一例を示す図。
【図7】利用情報に含まれる参照内容データ432のデータ構造の一例を示す図。
【図8】外部情報440が情報源60において更新された外部情報445の一例を示す図。
【図9】外部情報445が情報源60において更新された外部情報447の一例を示す図。
【図10】更新前の外部情報と更新後の外部情報との差分を検出し、更新前の外部情報を差分情報保存部45に格納する処理手順を示すフローチャート。
【図11】差分情報保存部45に格納されている差分情報450のデータ構造の一例を示す図。
【図12】ユーザに対して差分情報を表示する処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0094】
10…コンピュータ、20…クライアント端末、30…ネットワーク、40…外部記憶装置、42…内部リソースデータベース(第2の格納手段)、43…利用情報保存部、44…外部リソースデータベース(第1の格納手段)、45…差分情報保存部、50…情報共有システム、51…インタフェース、52…情報登録部、53…利用情報管理部、54…情報収集部、55…差分検出部、56…情報検索・表示部、60…情報源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
知識情報共有システムのコンピュータによって実行される情報管理プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記知識情報共有システムの外部に存在する情報源から第1の情報を収集するステップと、
前記収集された第1の情報を第1の格納手段に格納するステップと、
前記第1の格納手段に格納された第1の情報を参照して作成された第2の情報を第2の格納手段に格納するステップと、
前記情報源を監視することにより、前記情報源で第1の情報が更新されたことを検知するステップと、
前記情報源で第1の情報が更新されたことが検知された場合に、前記第1の情報を参照して作成された第2の情報が前記第2の格納手段に存在するかを判定するステップと、
前記第2の情報が存在することが判定された場合に、前記第1の格納手段に格納された第1の情報のうち、少なくとも前記第2の情報が作成された際に参照された部分を差分情報として検出するステップと、
前記第2の情報の参照元として前記検出された差分情報を提示するステップと
を実行させることを特徴とする情報管理プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記第1の情報を参照して前記第2の情報が作成された場合に、当該第1の情報のうち、当該第2の情報が作成された際に参照された部分を示す情報を利用情報格納手段に格納するステップと、
前記利用情報格納手段に格納されている情報、前記第1の格納手段に格納されている第1の情報及び前記情報源で更新された第1の情報に基づいて、前記第2の情報が作成された際に参照された部分が、更新によって変更されたかを判定するステップとを更に実行させ、
前記第2の情報が作成された際に参照された部分が更新によって変更されたと判定された場合、前記検出するステップにおいて、少なくとも当該部分を差分情報として検出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報管理プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記第1の格納手段に格納された第1の情報のうち、前記差分情報として検出される前記参照された部分を含む範囲をユーザに選択させるステップを更に具備し、
前記検出するステップにおいて、前記選択された範囲に含まれる内容を前記差分情報として検出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報管理プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、
前記第2の情報の参照元として提示された前記差分情報を、前記情報源で更新された第1の情報にユーザからの指示に応じて切り替えるステップを更に実行させることを特徴とする請求項1記載の情報管理プログラム。
【請求項5】
各種情報を有する外部の情報源から第1の情報を収集する収集手段と、
前記収集手段によって収集された第1の情報を格納する第1の格納手段と、
前記第1の格納手段に格納された第1の情報を参照して作成された第2の情報を格納する第2の格納手段と、
前記情報源の第1の情報及び前記第1の格納手段に格納された第1の情報の更新日を示す情報に基づいて、前記情報源で第1の情報が更新されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記情報源で第1の情報が更新されたことが検知された場合に、前記第1の情報を参照して作成された第2の情報が前記第2の格納手段に存在するかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2の情報が存在することが判定された場合に、前記第1の格納手段に格納された第1の情報のうち、少なくとも前記第2の情報が作成された際に参照された部分を差分情報としてとして検出する差分検出手段と、
前記第2の参照元として前記差分検出手段によって検出された差分情報を提示する提示手段と
を具備することを特徴とする知識情報共有システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−27074(P2008−27074A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197311(P2006−197311)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】