説明

情報表示物およびその累積方法並びに情報表示物を掛けるボード

【課題】 記載されている特定の情報を容易に確認することができると共に、収集に必要な場所を省スペース化でき、且つ回収作業も容易に行うことができる情報表示物およびその累積方法並びに情報表示物用のボードを提供することを目的とする
【解決手段】 前面に特定の情報が記載された情報表示物であって前記情報表示物に切込みを入れることで形成された差込部を備え、前記切込みが差入口として使用可能に形成されており、第1の情報表示物の前記差入口に前面側から第2の情報表示物の差込部を挿入することで、第1の情報表示物の前面に第2の情報表示物を重ねた際に前記第1の情報表示物の前記特定の情報が視認可能に表示されるように、それぞれ同一の位置に前記特定の情報が記載された情報表示物およびその累積方法並びにその情報表示物用のボードを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の情報が記載された情報表示物およびその累積方法並びに情報表示物用ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の工程からなる生産ラインにおいて、各工程における製品の生産量等を管理するために、製造に関する情報が記載されたカード状の「かんばん」と呼ばれる情報伝達ツールが用いられており、コンピュータを用いた管理や、棚やボードに設けられたポケット等にかんばんを品番ごとに収集することによる管理が一般的に行われている。
【0003】
また、このようなかんばんを収集するために、特許文献1では、在庫部品単位に付随させるためのかんばんが収容されるカンバン収容部を複数備えた在庫管理棚が開示されている。また、特許文献2では、かんばんからの情報に基づいて、組立ラインにおける部品の消費実績を把握し、当該消費実績に基づいて部品の発注情報を出力する部品情報発注システム手段を備えた部品納入指示装置が開示されており、組立ラインにおける部品の消費実績を把握するためのかんばんは、組立ラインの近くに設けられたポストに投入され、定期的に作業員によって回収されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−268725号公報
【特許文献2】特開平03−131438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンピュータを用いた管理の場合には、コンピュータ等の機材及び入力操作等を行うための人員が必要となる。また、特許文献1のようにかんばんを棚に入れる場合には、収集されたかんばんの種類が把握し難いと共に、かんばんの枚数分の収容部が設けられるため、かんばんを収集するために広いスペースが必要となる。また、特許文献2のようにかんばんをポストに投入する場合には、外部からかんばんに記載された情報を視認することが難しいため、収集されたかんばんの種類が認識し難いと共に、収集されたかんばんの枚数が把握し難い。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、記載されている特定の情報を容易に確認することができると共に、収集に必要な場所を省スペース化でき、且つ回収作業も容易に行うことができる情報表示物およびその累積方法並びに情報表示物用のボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、前面に特定の情報が記載された情報表示物であって、前記情報表示物に切込みを入れることで形成された差込部を備え、前記切込みが差入口として使用可能に形成されており、第1の情報表示物の前記差入口に第2の情報表示物の差込部を挿入することで、第1の情報表示物の前面に第2の情報表示物を重ねた際に前記第1の情報表示物の前記特定の情報が視認可能に表示されるように、それぞれ同一の位置に前記特定の情報が記載されたものである。
【発明の効果】
【0008】
(1)本発明の情報表示物によれば、前面側に他の情報表示物が重なった状態で、後面側にある情報表示物に記載された特定の情報を見ることができるので、同じ種類の情報表示物が収集されていることを容易且つ確実に確認することができる。また、第1の情報表示物の差入口に第2の情報表示物の差込部を挿入して、第1の情報表示物の前面に第2の情報表示物を掛けることで、第1の情報表示物と第2の情報表示物との長さ方向の重なりを多くすることができるので、重なっている情報表示物の全体の長さを短くすることができる。
【0009】
(2)また、情報表示物がカード状の場合には、差入口に差込部を挿入することにより、重ねられた複数の情報表示物の重なり部分を持つことによって、一度に回収することができる。また、情報表示物の重なり部分を持った状態で下から情報表示物を押し上げたり、重ねられた複数の情報表示物が自重によって容易に揃えることができるので、予め下方に回収用スロット等を配しておき、上方から自重により回収用スロットに納めたりすることにより、複数の情報表示物を一つの束として容易に回収することができる。
【0010】
(3)また、切込みが空間を有することにより、当該空間から差込部を容易に差入口に挿入することができる。
【0011】
(4)また、差込部が上側に設けられることにより、差入口に差込部を挿入して複数枚の情報表示物を重ねた状態において、1枚の情報表示物の面上に重なる情報表示物の枚数をより多くすることができるので、重ねられた情報表示物全体の長さを短くすることができる。これにより、情報表示物を収集する場所を省スペース化できるとともに、複数の情報表示物を1つの束としてより容易に回収することができる。
【0012】
(5)本発明の累積方法によれば、情報表示物の差入口に他の情報表示物の差込部を挿入して当該他の情報表示物が前面となるように重ねて、その最前面の他の前記情報表示物の前記差入口に更なる他の前記情報表示物の前記差込部を挿入することで前記情報表示物を累積することにより、前面側に情報表示物が重なった状態で、後面側の情報表示物に記載された特定の情報を見ることができるので、同じ種類の情報表示物が収集されていることを容易且つ確実に確認することができる。また、情報表示物の差入口に他の情報表示物の差込部を挿入して、情報表示物の前面に他の情報表示物を重ねることで、重なっている情報表示物の全体の長さを短くすることができる。
【0013】
(6)本発明の情報表示物用のボードによれば、最初の1枚の情報表示物を保持部により保持すれば、他の複数の情報表示物は、差入口に差込部を挿入して吊り掛けていくことにより、複数の情報表示物が重なった状態で収集することができるので、情報表示物を収集するために必要な場所を省スペース化することができる。また、情報表示物を回収する際には、保持部から情報表示物を引き上げて情報表示物の重なり部分を持って揃えることにより、容易に回収することができる。また、情報表示物用ボードには、情報表示物が所定数に到達したことを認識するための標識が備えられており、吊り掛けられた情報表示物が所定数に達したことを容易且つ確実に認識できるので、所定数の在庫部品単位が流動したこと等が容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る情報表示物前面の一例を示す概略正面図。
【図2】(a)は図1のa−a線断面図、(b)は図1のb−b線断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る情報表示物の累積方法の一例の概略説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報表示物を吊り掛けるための情報表示物用ボードの一例を示す概略模式図。
【図5】図4における累積された情報表示物についてのc−c線部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る情報表示物およびその累積方法並びに情報表示物用ボードの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本発明に係る情報表示物1は、外形状が略長方形のカード状に形成されたもので、前面には特定の情報2がそれぞれ予め決められた所定の位置に記載され、所謂かんばん等として用いられるものである。前記特定の情報2は、主に製造に関する情報であり、例えば、生産ライン名、品番、連番等の情報が示されている。情報表示物1としては、例えば、プラスチックや紙をラミネート加工したもの等が挙げられるが、特にこれらの材質に限定されるものではなく、軽量且つある程度の耐久性があり、切込み等の加工が施し易く、多少柔軟性のある材質のものであれば好適に用いることができる。
【0016】
また、情報表示部物1は、上側の中央部に上向きコの字状に切込みが入れられることにより長方形状の差込部3が形成されている。また、前記切込みは、差込部3を挿入可能な差入口4として機能し、図1、2に示すように、切込み幅を有する場合には上向きコの字状の空間Xを形成するが、単なる線状の切込みであっても良い。このように差入口4として機能する切込みは、空間Xを形成した場合には差込部3よりも幅広となっているので、差込部3を容易に挿入することができる。
【0017】
このような情報表示物1を累積して使用する場合には、図3に示すように、情報表示物(第1の情報表示物)1の前面からその差入口4に同形状の他の情報表示物(第2の情報表示物)1aの差込部3aを少しだけ後面側へ傾けて挿入し、重ねるだけで良い。更に、他の情報表示物1aの前面に3つ目の情報表示物を累積させる場合も同様に、他の情報表示物1aの差入口4aに前面から3つ目の情報表示物の差込部を挿入することにより、最も遅く挿入した情報表示物の前面が順次最前面にくるように情報表示物を累積させることができる。
【0018】
このように、情報表示物1の前面に順次他の情報表示物1aを累積することにより、図3に示すように、後面側の情報表示物1のそれぞれに記載されている特定の情報2をそのままの状態で全て視認することができる。また、どの情報表示物1でも同種の特定の情報2は、それぞれ同一の位置に記載されているので、複数の情報表示物1を累積させた場合でも、それぞれの情報表示物1に記載されている特定の情報2がそのまま視認できる。従って、同じ種類の情報表示物1が収集されているかどうかを容易に確認することができる。
【0019】
また、図3に示すように、情報表示物1,1aを累積させた場合には、情報表示物1と他の情報表示物1aとの重なり部分5ができる。この場合において、差込部3及び差入口4が上側に設けられているので、この重なり部分5を大きくすることができる。つまり、重なり部分5が大きくなることにより、複数の情報表示物1を累積させた場合にも複数の情報表示物1の全体としての長さは短くなるので、小さくまとめることができる。そして、複数の情報表示物1を回収する場合にもこの重なり部分5を持つことにより、一度に複数の情報表示物1を束として回収することができるので、効率的である。
【0020】
また、差入口4は、空間Xを有しており、差込部3の幅よりも幅方向が長く形成されている。そのため、差入口4に差込部3を挿入した場合でも左右に多少の隙間が設けられ、前面に累積されている情報表示物1aを左右に隙間分だけ移動させることができるので、情報表示物1aによって隠れている後方の情報表示物1の左右の端側に記載された情報も必要に応じて容易に確認することができる。
【0021】
次に、この情報表示物1を収集及び回収するために好適な情報表示物用ボード6について図4、5を参照しつつ説明する。図4、5に示すように、この情報表示物用ボード6は、矩形の薄板状に形成されており、情報表示物1を保持するために情報表示物1の差込部3を吊り掛けられるように形成された保持部7が情報表示物1の種類A〜P毎に複数設けられている。
【0022】
この保持部7は、情報表示物用ボード6を略長方形状にくり貫いて形成されたものであり、差込部3が吊り掛けられるように少なくとも幅方向は、差込部3の幅よりも長くなるようにくり貫かれている。図5は種類Dにおける保持部7に吊り掛けられ累積された情報表示物1についての部分拡大断面図であるが、情報表示物1は、それぞれの保持部7の上に記載されている種類と同種の情報表示物1が、図2及び図5に示すような累積方法によって順次最前面に吊り掛けられていくことにより収集されていく。
【0023】
また、図4に示すように、情報表示物用ボード6の前面には、吊り掛けられた情報表示物1が所定数に到達したことを示すために所定高さ位置で横点線にて示す標識8が設けられている。このように標識8が設けられることにより、吊り掛けられた情報表示物1が所定数に達したことを容易に認識できるので、所定数の在庫部品単位が流動したこと等が容易に把握できる。尚、この標識8の構成は、特に限定されるものなく視認可能なものであれば良い。また、図4の情報表示物用ボード6では、上側と下側でそれぞれ1つの標識8のみが設けられているが、情報表示物1の種類毎に目安となる所定数が異なる場合には、それに応じて標識8を複数設けておいても良い。また、情報表示物用ボード6の表面を磁着可能な素材で構成し、標識8として長尺な磁石等を用いることにより、標識8を取付自在に構成することも可能である。これにより、情報表示物1の種類に応じて適宜標識8の位置を容易に変更することができる。
【0024】
図4、5に示すように、情報表示物用ボード6の保持部7に吊り掛けられることにより収集された複数の情報表示物1を回収する際は、まず保持部7に差込部3が直接吊り掛けられている情報表示物1を引き上げることにより、該情報表示物1の前面に吊り掛けられている同種の複数の情報表示物1(1a)も累積された状態で保持部7から取り外すことができる。そして、この引き上げられた複数の情報表示物1の重なり部分を持って揃えることにより、複数の情報表示物1を束として容易に回収することができる。
【0025】
尚、図4、5では、情報表示物用ボード6の一部をくり貫いて保持部7を形成した場合を例に説明したが、保持部7は、このような構成に限定されるものではなく、例えば、情報表示物用ボード6の前面に差込部3が吊り掛けられるように棒状部材等を取り付けたようなものでも良い。また、情報表示物1の差入口4よりも下の部分が収納可能なポケット等を保持部7として情報表示物用ボード6の前面に設けても良い。この場合には、ポケットに収納された情報表示物1の差入口4は、ポケットの外に出ている状態でなるので、他の情報表示物1aの差込部3を情報表示物1の差入口4に挿入して順次吊り掛けることにより、図4、5のように複数の情報表示物1を収集することができる。
【0026】
また、本実施形態では、情報表示物1をかんばんとして用いることを例に説明してきたが、かんばんのみに限定されるものではなく、他の情報を表示するためのものとしても適宜用いることは可能である。
【0027】
尚、本発明の実施の形態は上述の形態に限るものではなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 情報表示物
2 特定の情報
3 差込部
4 差入口(切込み)
6 情報表示物用ボード
7 保持部
8 標識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に特定の情報が記載された情報表示物であって、
前記情報表示物に切込みを入れることで形成された差込部を備え、
前記切込みが差入口として使用可能に形成されており、
第1の情報表示物の前記差入口に前面側から第2の情報表示物の差込部を挿入することで、第1の情報表示物の前面に第2の情報表示物を重ねた際に前記第1の情報表示物の前記特定の情報が視認可能に表示されるように、それぞれ同一の位置に前記特定の情報が記載された情報表示物。
【請求項2】
前記情報表示物がカード状である請求項1に記載の情報表示物。
【請求項3】
前記切込みが空間を有する請求項1又は2に記載の情報表示物。
【請求項4】
前記差込部が情報表示物の上側に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の情報表示物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の情報表示物の前記差入口に他の情報表示物の差込部を挿入して当該他の情報表示物が前面となるように重ねることにより、最前面の前記情報表示物の前記差入口に更なる他の前記情報表示物の前記差込部を挿入することで差入口に差込部を挿入する情報表示物を順次最前面へと累積する情報表示物の累積方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の情報表示物を保持する保持部を備え、前記保持部に保持された前記情報表示物の差入口に他の前記情報表示物の差込部を挿入して当該他の情報表示物が前面となるように吊り掛けていくことにより、順次最前面に情報表示物を吊り掛けた際に、当該吊り掛けられた情報表示物が所定数に到達したことを認識可能にする標識を備えたボード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate