説明

情報表示装置

【課題】情報を表示するために電圧が印加される電極が島状に孤立したものであっても、その電極に電圧を印加するための配線による視認性低下を回避する。
【解決手段】ベース基材13上に表示電極11a,11bに電圧を印加するために形成された配線12a,12bの両側に、ベース基材13上における形成高さが、配線12a,12bのベース基材13上における形成高さよりも高いダミー電極14を配線12a,12bに沿って形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置された2つの電極層間に挟み込まれた情報表示層において電極層に印加される電圧に基づいて情報を表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する表示装置として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。これらの表示装置は、それぞれ一長一短を有しており、例えば、CRTディスプレイは、視野角が広いものの奥行きサイズが厚く、また、液晶ディスプレイは、奥行きサイズが薄いものの視野角が狭く、また、プラズマディスプレイは、視野角が広く奥行きサイズが薄いものの消費電力が多い。
【0003】
近年、上述したような表示装置に加えて、デジタル情報を紙のように薄い表示媒体に表示する薄型の情報表示装置が普及しはじめている。このような薄型の情報表示装置としては、例えば、対向配置された2つの電極層間に、帯電性粒子が液体内に分散した情報表示層を挟み込み、2つの電極層に電圧が印加された場合に帯電性粒子が液体内を移動することにより、情報を表示する電気泳動ディスプレイがある(例えば、特許文献1参照。)。このような薄型の情報表示装置は、紙のように薄いために携帯がしやすいとともに、消費電力が少なく、また視野角が広く、さらには、電極に印加する電圧によって表示される情報を書き換えることができるとともに、電源を切断した場合でも表示内容を保持できることから、今後のさらなる普及が予想される。
【0004】
図4は、一般的な電気泳動ディスプレイの積層構造を示す図であり、(a)は全体の積層構造を示す図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0005】
一般的な電気泳動ディスプレイは図4(a)に示すように、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板122の一方の面に透明電極(例えば、ITO:Indium Tin Oxide)121が形成されてなる透明導電膜基板120と、ベース基材113上に積層された絶縁層115との間に情報表示層130が挟み込まれて構成されている。
【0006】
絶縁層115の情報表示層130に対向する面には、情報表示層130を用いて情報を表示するための複数の表示電極111が形成されており、また、絶縁層115の情報表示層130とは反対側の面には、表示電極111に電圧を印加するための配線112が形成されており、複数の表示電極111は、絶縁層115に形成された導通部114を介して配線112に接続されている。
【0007】
情報表示層130は、図4(b)に示すように、隔壁131とシール層134とで囲まれた領域に、帯電性粒子133が分散した隔壁内液体132が収容されて構成されている。隔壁131は、底部と、情報表示層130の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側がベース基材113に対向するように積層されており、開口した側にシール層134が積層されている。
【0008】
上記のように構成された電気泳動ディスプレイにおいては、表示電極111に選択的に電圧が印加されると、隔壁内液体132内にて帯電性粒子133がクーロン力で移動し、表示電極111と透明電極121のいずれか一方の側に引き寄せられる。そして、隔壁内液体132が染料または顔料で着色されており、帯電性粒子133が高屈折率の光散乱成分を含むため、透明導電膜基板120側から見た場合、表示電極111側に帯電性粒子133が引き寄せられた領域が着色された状態に見え、また、透明電極121側に帯電性粒子133が引き寄せられた領域が白色に見え、これら見える色の違いによって所望の情報が表現されることになる。
【0009】
ここで、上述したような電気泳動ディスプレイにおいては、表示電極111と配線112とを接続するために絶縁層115に導通部114を形成する必要があるが、表示電極111に電圧を印加するための配線112をベース基材113の表示電極111と同一面に配置することにより、絶縁層115に導通部114を形成する必要がなくなり、そのための工程が不要となり、さらには、絶縁層115自体も不要となり、コストダウンを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−114302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したように、表示電極に電圧を印加するための配線をベース基材の表示電極と同一面に配置した場合、表示電極に配線を介して選択的に電圧が印加されると、情報表示部の配線に対向する領域においても、上述したように隔壁内液体内にて帯電性粒子がクーロン力で移動し、透明導電膜基板側から見た場合、配線側に帯電性粒子が引き寄せられた領域が着色された状態に見え、また、透明電極側に帯電性粒子が引き寄せられた領域が白色に見え、そのため、表示電極によって表示される情報の視認性が低下してしまう。特に、表示電極が島状に孤立したものである場合、その表示電極から延びた配線による色の表示は目立つため、表示される情報の視認性が大きく低下してしまうという問題点がある。
【0012】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、情報を表示するために電圧が印加される電極が島状に孤立したものであっても、その電極に電圧を印加するための配線による視認性低下を回避することができる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層の前記ベース基材とは反対側に対向配置された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層とを有し、前記第1の電極層が、島状に孤立した電極を具備し、前記第1の電極層を構成する電極に電圧を印加することにより、前記情報表示層を一方の面側から見た場合に、前記情報表示層の前記第1の電極層を構成する電極に対向する領域にて当該電極に印加された電圧に応じた色を表示する情報表示装置において、
前記孤立した電極に接続されて前記ベース基材上に形成され、前記孤立した電極に電圧を印加するための配線と、
前記ベース基材上の前記配線の両側に該配線に沿って配置され、前記ベース基材の前記情報表示層側の表面からの高さが、前記配線の前記ベース基材上における形成高さよりも高い土手部材とを有することを特徴とする。
【0014】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材上に形成された第1の電極層を構成する電極に電圧が印加されると、情報表示層を一方の面側から見た場合に、情報表示層の第1の電極層を構成する電極に対向する領域にてその電極に印加された電圧に応じた色が表示されるが、この際、第1の電極層を構成する電極には、ベース基材上に形成された配線を介して電圧が印加されることになる。第1の電極層は、島状に孤立した電極を具備しており、この電極に対してもベース基材上に形成された配線を介して電圧が印加されることになる。そのため、この配線に対向する領域においてもその配線を介して電極に印加される電圧に応じて、電極に対向する領域と同様の色が表示されることになり、電極が島状に孤立していることから、配線による色の表示が目立ってしまう。ここで、島状に孤立した電極に接続された配線の両側には、ベース基材の情報表示層側の表面からの高さが、配線のベース基材上における形成高さよりも高い土手部材が配線に沿って形成されているため、この土手部材によって、島状に孤立した電極に接続された配線と情報表示層との間隔が、第1の電極層を構成する電極と情報表示層との間隔よりも広くなる。それにより、情報表示層のこの配線に対向する領域においては、島状に孤立した電極に印加された電圧の影響が小さくなり、島状に孤立した電極に印加される電圧に応じた色が表示されにくくなる。そのため、情報表示層のうち、島状に孤立した電極に接続された配線に対向する領域においては、島状に孤立した電極に電圧が印加された場合であってもその電圧による色の変化が小さく、それにより、第1の電極層が島状に孤立した電極を有するものであっても、その電極に配置された配線による視認性低下が回避されることになる。
【0015】
また、土手部材を電極及び配線と同一の材料から構成すれば、土手部材と電極及び配線とを1つの工程にてベース基材上に形成することができ、土手部材と電極及び配線との位置合わせが不要となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明においては、情報表示層を用いて情報を表示するために電圧が印加される第1の電極層が有する島状に孤立した電極に接続されてベース基材上に形成された配線の両側に、ベース基材の情報表示層側の表面からの高さが、その配線のベース基材上における形成高さよりも高い土手部材を配線に沿って形成したため、その土手部材によって、孤立した電極に接続された配線と情報表示層との間隔が、第1の電極層を構成する電極と情報表示層との間隔よりも広くなり、それにより、情報表示層のこの配線に対向する領域においては、島状に孤立した電極に印加された電圧の影響が小さくなり、島状に孤立した電極に印加される電圧に応じた色が表示されにくくなる。このように、ベース基材上に形成された配線の両側に、ベース基材の情報表示層側の表面からの高さが、その配線のベース基材上における形成高さよりも高い土手部材を配線に沿って形成することにより、情報を表示するために電圧が印加される電極が島状に孤立したものであっても、その電極に電圧を印加するための配線による視認性低下を回避することができる。
【0017】
また、土手部材が電極及び配線と同一の材料から構成されているものにおいては、土手部材と電極及び配線とを1つの工程にてベース基材上に形成することができ、土手部材と電極及び配線との位置合わせを不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の情報表示装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図、(d)は(b)に示した表示装置用電極基板の表面図、(e)は(d)に示したB−B’断面図、(f)は(d)に示したC−C’断面図である。
【図2】図1に示した情報表示装置1にてダルマの目を可変表示する際の動作を説明するための図であり、(a)はダルマの目を白色表示する際の表示電極近傍の断面を示す図、(b)はダルマの目を着色表示する際の表示電極近傍の断面を示す図、(c)は表示電極に電圧が印加された場合の配線近傍の断面を示す図である。
【図3】図1に示した情報表示装置におけるダルマの絵の見え方を説明するための図であり、(a)はダルマの目の紙面に向かって右側を着色表示、左側を白色表示した際の全体の見え方を示す図、(b)は(a)に示した状態における表示電極及び配線が形成された領域の近傍の見え方を示す図、(c)はダルマの目を両方とも着色表示した際の全体の見え方を示す図、(d)は(c)に示した状態における表示電極及び配線が形成された領域の近傍の見え方を示す図である。
【図4】一般的な電気泳動ディスプレイの積層構造を示す図であり、(a)は全体の積層構造を示す図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の情報表示装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図、(d)は(b)に示した表示装置用電極基板10の表面図、(e)は(d)に示したB−B’断面図、(f)は(d)に示したC−C’断面図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、ベース基材13上に第1の電極層を構成する表示電極11a,11bが形成された表示装置用電極基板10と、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板22の一方の面に第2の電極層である透明電極(例えば、ITO)21が形成されてなる透明導電膜基板20との間に情報表示層30が挟み込まれて構成された電気泳動ディスプレイである。すなわち、第1の電極層を構成する表示電極11a,11bと第2の電極層である透明電極21とが、情報表示層30を介して対向配置されている。
【0022】
透明基板22には、図1(a)に示すように、この情報表示装置1にて表示する情報に応じた形状にマスク印刷40が施されており、このマスク印刷40は、表示する情報の外側の全面にも施されている。本形態においては、ダルマの絵を表示するものであるため、ダルマの顔の輪郭や髭の部分にマスク印刷40が施されているとともに、ダルマの外側の部分にマスク印刷が施されている。
【0023】
情報表示層30は図1(c)に示すように、隔壁31とシール層34とで囲まれた領域に、帯電性粒子33が分散した隔壁内液体32が収容されて構成されている。そして、表示装置用電極基板10、情報表示層30及び透明導電膜基板20は、透明電極21と表示電極11a,11bとが、隔壁31とシール層34とで囲まれた領域に収容された隔壁内液体32を介して対向するように積層されている。なお、隔壁31は、底部と、情報表示層30の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を、例えば130μm□で複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側が表示装置用電極基板10に対向するように積層されており、開口した側にシール層34が積層されている。
【0024】
表示装置用電極基板10は図1(d)に示すように、PET等からなるベース基材13の一方の面に、表示電極11a,11bと、表示電極11a,11bにそれぞれ電圧を印加するための配線12a,12bとが形成されるとともに、配線12a,12bの両側に配線12a,12bに沿って土手部材となるダミー電極14が形成されて構成されている。表示電極11a,11bは、ベース基材13の一方の面上に、表示される情報に応じたパターンで形成されている。本形態は、上述したようにダルマの絵を表示するものであって、ダルマの目を可変表示するためにダルマの目となる部分に表示電極11a,11bが設けられている。そのため、これら表示電極11a,11bは、島状に孤立したものとなっている。また、表示電極11a,11bにそれぞれ電圧を印加するための配線12a,12bは、その一端がそれぞれ表示電極11a,11bに接続され、そこからダルマの絵となる領域の外側に引き出され、他端が、表示電極11a,11bに電圧を印加するための回路(不図示)に接続されている。また、ダミー電極14は、ベース基材13の配線12a,12bが形成された面に形成されているが、図1(e)に示すように、ベース基材13上における形成高さが、配線12a,12bのベース基材13上における形成高さよりも高くなっている。また、図1(f)に示すように、ダミー電極14は、ベース基材13上における形成高さが、表示電極11a,11bのベース基材13上における形成高さと同等となっている。
【0025】
上記のように構成された表示装置用電極基板10においては、ベース基材13上に印刷を施すことによって表示電極11a,11b、配線12a,12b及びダミー電極14を形成することができる。例えば、ベース基材13上に、銀ペーストやカーボンペースト等の導電ペーストや導電インキを用いてスクリーン印刷によって表示電極11a,11b、配線12a,12b及びダミー電極14を印刷することが考えられる。このようにスクリーン印刷によって表示電極11a,11b、配線12a,12b及びダミー電極14を形成した場合、配線12a,12bの幅が狭いことから、表示電極11a,11b及びダミー電極14が形成される領域における導電ペーストや導電インキの塗布量と、配線12a,12bが形成される領域における導電ペーストや導電インキの塗布量とを互いに異ならせる制御を行わなくても、配線12a,12bのベース基材13上における形成高さを、表示電極11a,11b及びダミー電極14上における形成高さよりも低くすることができる。その際、配線12a,12bの幅は、36〜48μmを下限値として設定することが好ましい。
【0026】
以下に、上記のように構成された情報表示装置1の動作について説明する。
【0027】
図2は、図1に示した情報表示装置1にてダルマの目を可変表示する際の動作を説明するための図であり、(a)はダルマの目を白色表示する際の表示電極11b近傍の断面を示す図、(b)はダルマの目を着色表示する際の表示電極11b近傍の断面を示す図、(c)は表示電極11bに電圧が印加された場合の配線12b近傍の断面を示す図である。なお、本例においては、図1に示したダルマの目の紙面に向かって左側、すなわち、表示電極11bに対向する領域の色を可変表示する場合について説明するが、図1に示したダルマの目の紙面に向かって右側、すなわち、表示電極11aに対向する領域の色を可変表示する場合についても同様である。
【0028】
図1に示した情報表示装置1においてダルマの目の紙面に向かって左側を白色表示する場合は、透明電極21をGND電位とし、また、ベース基材13に形成された配線12bを介して、表示電極11bにマイナスの電圧を印加する。
【0029】
すると、隔壁31及びシール層34で囲まれた領域に収容された隔壁内液体32が誘電性物質からなり、帯電性粒子33がマイナス電位に帯電しているものであることから、帯電性粒子33が隔壁内液体32内をクーロン力で移動し、図2(a)に示すように、マイナスの電圧が印加された表示電極11bが形成された領域においては帯電性粒子33が透明電極21側に引き寄せられる。
【0030】
そして、隔壁内液体32が染料または顔料で着色されており、帯電性粒子33が高屈折率の光散乱成分を含むため、この情報表示装置1を透明導電膜基板20側から見た場合、表示電極11bが形成された領域、すなわち、図1に示した情報表示装置1においてダルマの目の紙面に向かって左側が白色に見えるようになる。
【0031】
また、図1に示した情報表示装置1においてダルマの目の紙面に向かって左側を着色表示する場合は、透明電極21をGND電位とし、また、ベース基材13に形成された配線12bを介して、表示電極11bにプラスの電圧を印加する。
【0032】
すると、上記同様に帯電性粒子33が隔壁内液体32内をクーロン力で移動し、図2(b)に示すように、プラスの電圧が印加された表示電極11bが形成された領域においては帯電性粒子33が表示電極11b側に引き寄せられる。
【0033】
そして、上述したように、隔壁内液体32が染料または顔料で着色されており、帯電性粒子33が高屈折率の光散乱成分を含むため、この情報表示装置1を透明導電膜基板20側から見た場合、表示電極11bが形成された領域、すなわち、図1に示した情報表示装置1においてダルマの目の紙面に向かって左側が着色された状態に見えるようになる。
【0034】
なお、これらの状態において、情報表示層30のうち、表示電極11a,11bに対向しない領域においては、帯電性粒子33が隔壁内液体32内に分散した状態となっており、それにより、情報表示装置1を透明導電膜基板20側から見た場合、白色と着色された色との中間色に見えている。
【0035】
ここで、上述したように表示電極11bにプラスまたはマイナスの電圧が印加された場合、表示電極11bには配線12bを介してプラスまたはマイナスの電圧が印加されていることから、配線12bと情報表示層30との間隔が、表示電極11bと情報表示層30との間隔と同じ場合、配線12bに対向する領域においても、帯電性粒子33が透明電極21と配線12bとのいずれか一方に引き寄せられ、透明導電膜基板20側から見た場合に白色または着色された状態に見えることとなる。ところが、この配線12bは、ダルマの絵とは無関係であるため、配線12bに対向する領域が白色または着色された状態に見えてしまうと、ダルマの絵のデザインが損なわれて視認性が低下してしまう。特に、表示電極11bが島状に孤立しているものであることから、表示電極11bまで延びる配線12bに対向する領域にて見える色が目立ってしまう。
【0036】
そこで、本形態においては、上述したように、配線12bの両側に配線12bに沿って、ベース基材13上における形成高さが、配線12bのベース基材13上における形成高さよりも高いダミー電極14を設けている。そのため、図2(c)に示すように、配線12bが形成された領域の近傍においては、ダミー電極14が情報表示層30の隔壁31の底部に当接しているものの、このダミー電極14が土手のように作用して配線12bと情報表示層30の隔壁31とが当接していない。そして、ダミー電極14のベース基材13上における形成高さが、上述したように、表示電極11a,11bのベース基材13上における形成高さと同等であることから、配線12bと情報表示層30との間隔が、表示電極11a,11bと情報表示層30との間隔よりも広くなっている。このような構成においいては、帯電性粒子33が、印加された電圧によって隔壁内液体33内をクーロン力で移動するものであることから、配線12bと情報表示層30との間隔が広がることによって印加された電圧の影響が小さくなると、図2(c)に示すように帯電性粒子33の移動が少なくなり、それにより、情報表示層30の配線12bに対向する領域においては、情報表示装置1を透明導電膜基板20側から見た場合、表示電極11a,11bに対向しない領域と同様に、白色と着色された色との中間色に見えることになる。
【0037】
図3は、図1に示した情報表示装置1におけるダルマの絵の見え方を説明するための図であり、(a)はダルマの目の紙面に向かって右側を着色表示、左側を白色表示した際の全体の見え方を示す図、(b)は(a)に示した状態における表示電極11a,11b及び配線12a,12bが形成された領域の近傍の見え方を示す図、(c)はダルマの目を両方とも着色表示した際の全体の見え方を示す図、(d)は(c)に示した状態における表示電極11a,11b及び配線12a,12bが形成された領域の近傍の見え方を示す図である。
【0038】
本形態における情報表示装置1は、選挙の当選祝い等に用いることができる。
【0039】
まず、図3(a)に示すように、図1に示した情報表示装置1におけるダルマの絵において、紙面に向かって右側を着色表示、左側を白色表示しておく。これは、上述したように、透明電極21をGND電位とし、また、ベース基材13に形成された配線12aを介して表示電極11aにプラスの電圧を印加するとともに、配線12bを介して表示電極11bにマイナスの電圧を印加することにより、表示電極11aが形成された領域においては帯電性粒子33を表示電極11a側に引き寄せ、表示電極11bが形成された領域においては帯電性粒子33を透明電極21側に引き寄せ、それにより、表示電極11aが形成された領域、すなわち、ダルマの目の紙面に向かって右側を着色表示し、表示電極11bが形成された領域、すなわち、ダルマの目の紙面に向かって左側を白色表示する。
【0040】
この際、表示電極11aには配線12aを介してプラスの電圧が印加され、また、表示電極11bには配線12bを介してマイナスの電圧が印加されていることから、配線12aにはプラスの電圧が印加され、また、配線12bにはマイナスの電圧が印加されているが、上述したように、配線12a,12bの両側に配線12a,12bに沿って形成されたダミー電極14によって、配線12a,12bと情報表示層30との間隔が、表示電極11a,11bと情報表示層30との間隔よりも広くなっているため、図3(b)に示すように、プラスの電圧が印加された配線12aに対向する領域は、着色表示されずに、表示電極11a,11bに対向しない領域と同様に白色と着色された色との中間色に見え、また、マイナスの電圧が印加された配線12bに対向する領域においても、白色表示されずに、表示電極11a,11bに対向しない領域と同様に白色と着色された色との中間色に見えるようになる。
【0041】
その後、選挙に当選する等した場合、図3(c)に示すように、図1に示した情報表示装置1におけるダルマの目の両方とも着色表示する。これは、上述したように、透明電極21をGND電位とし、また、ベース基材13に形成された配線12a,12bを介して表示電極11a,11bにプラスの電圧を印加することにより、表示電極11a,11bが形成された領域において帯電性粒子33を表示電極11a,11b側に引き寄せ、それにより、表示電極11a,11bが形成された領域、すなわち、ダルマの目の両方とも着色表示する。なお、ダルマの目の紙面に向かって右側においては、図3(a)に示した状態においても着色表示となっているため、表示電極11aに改めてプラスの電圧を印加することなく、着色表示とすることができる。
【0042】
この際、表示電極11a,11bには配線12a,12bを介してプラスの電圧が印加されていることから、配線12a,12bにはプラスの電圧が印加されているが、上述したように、配線12a,12bの両側に配線12a,12bに沿って形成されたダミー電極14によって、配線12a,12bと情報表示層30との間隔が、表示電極11a,11bと情報表示層30との間隔よりも広くなっているため、図3(d)に示すように、プラスの電圧が印加された配線12a,12bに対向する領域は、着色表示されずに、表示電極11a,11bに対向しない領域と同様に白色と着色された色との中間色に見えるようになる。
【0043】
これにより、この情報表示装置1を透明導電膜基板20側から見た場合、表示電極11a,11bに対向する領域が白色または着色された状態となって、ダルマの目が入っている状態と入っていない状態とを表現することができるようになる。そして、表示電極11a,11bに対向しない領域においては、マスク印刷40が施された領域を除く全ての領域において、白色と着色された色との中間色に見えることになり、表示されたダルマの絵の中に、ダルマの目を表示するための白色や着色された色によって、表示とは無関係の線等が入ってしまうことがない。特に、ダルマの目を表示するための表示電極11a,11bのように島状に孤立しているものであっても、その表示電極11a,11bまで延びる配線12a,12bに対向する領域にて表示には無関係の色が目立って表示されてしまうことがない。
【0044】
このように本形態においては、ベース基材13上に表示電極11a,11bに電圧を印加するために形成された配線12a,12bの両側に、ベース基材13上における形成高さが、配線12a,12bのベース基材13上における形成高さよりも高いダミー電極14を配線12a,12bに沿って形成することにより、情報を表示するために電圧が印加される表示電極11a,11bが島状に孤立したものであっても、その表示電極11a,11bに電圧を印加するための配線12a,12bによる視認性低下を回避することができる。
【0045】
なお、本形態においては、情報表示層30の配線12a,12bに対向する領域が、透明導電膜基板20側から見た場合に、白色と着色された色との中間色に見えるものを例に挙げて説明したが、この領域にて見える色は、白色と着色された色との厳密な中間色に限らない。これは、表示電極11a,11bに印加する電圧の大きさや、配線12a,12bと情報表示層30との間隔、または、情報表示層30における帯電性粒子33の移動特性によって決まるものである。
【0046】
また、本形態においては、ダミー電極14が土手のように作用して配線12a,12bと情報表示層30の隔壁31とが当接しておらず、それにより、配線12a,12bと情報表示層30との間隔が、表示電極11a,11bと情報表示層30との間隔よりも広くなり、配線12a,12bにおいて、印加された電圧の影響が小さくなる場合について説明したが、配線12a,12bと情報表示層30の隔壁31とが当接しているものの、ダミー電極14が土手のように作用して配線12a,12bと情報表示層30の隔壁31との密着の程度が、表示電極11a,11bと情報表示層30の隔壁31との密着の程度よりも低い場合であっても、その密着の程度の違いによって、配線12a,12bにおいて印加された電圧の影響が小さくなれば、上記同様の作用が生じることになる。
【0047】
また、本形態においては、表示電極11a,11bに印加された電圧に応じて白色と着色された色とが表示されるものを例に挙げて説明したが、表示電極11a,11bに印加された電圧に応じて表示される色は、互いに識別可能な2色であればこれらの色に限らない。
【0048】
また、本形態においては、表示電極11a,11bに電圧を印加するための配線12a,12bの両側に形成される土手部材として、表示電極11a,11b及び配線12a,12bと同一の材料からなるダミー電極14を例に挙げて説明したが、樹脂等からなるものであってもよく、また、ベース基材13上に形成するのではなく、情報表示層30の表示装置用電極基板10に対向する面において、情報表示層30と表示装置用電極基板10とが積層された場合に配線12a,12bの両側に沿う領域に形成しておいてもよい。その場合、土手部材は、情報表示層30と表示装置用電極基板10とが積層された場合にベース基材13に当接し、ベース基材13の情報表示層30側の表面からの高さが、配線12a,12bのベース基材13上における形成高さよりも高いものとなる。ただし、本形態のように、土手部材を表示電極11a,11b及び配線12a,12bと同一の材料からなるダミー電極14とすれば、土手部材を表示電極11a,11b及び配線12a,12bと同一の工程にてベース基材13上に形成することができ、土手部材の表示電極11a,11b及び配線12a,12bとの位置合わせが不要となる。
【0049】
また、本形態においては、情報表示層30として、隔壁内液体32に分散した帯電性粒子33が、表示電極11a,11bに対する電圧印加によって表示電極11a,11b側または透明電極21側に移動して表示が切り替わる垂直型電気泳動方式の薄型表示部材を例に挙げて説明したが、情報表示層30としては、表示電極によって電圧が印加されることにより情報を表示する情報表示層を有するものであれば、コレステリック液晶や電子粉粒タイプのもの等、適宜適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 情報表示装置
10 表示装置用電極基板
11a,11b 表示電極
12a,12b 配線
13 ベース基材
14 ダミー電極
20 透明導電膜基板
21 透明電極
22 透明基板
30 情報表示層
31 隔壁
32 隔壁内液体
33 帯電性粒子
34 シール層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層の前記ベース基材とは反対側に対向配置された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層とを有し、前記第1の電極層が、島状に孤立した電極を具備し、前記第1の電極層を構成する電極に電圧を印加することにより、前記情報表示層を一方の面側から見た場合に、前記情報表示層の前記第1の電極層を構成する電極に対向する領域にて当該電極に印加された電圧に応じた色を表示する情報表示装置において、
前記孤立した電極に接続されて前記ベース基材上に形成され、前記孤立した電極に電圧を印加するための配線と、
前記ベース基材上の前記配線の両側に該配線に沿って配置され、前記ベース基材の前記情報表示層側の表面からの高さが、前記配線の前記ベース基材上における形成高さよりも高い土手部材とを有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示装置において、
前記土手部材は、前記電極及び配線と同一の材料から構成されている情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150065(P2011−150065A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9969(P2010−9969)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】