情報記録再生装置及びデータ管理方法
【課題】記録容量の大きな記録装置において、情報の記録に用いられる記録領域を平均化することによって、記録媒体を効率的に使用可能な情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】この発明の1つの実施の形態は、第1の記録領域と第1の記録領域とは異なる第2の記録領域を有し、映像及びオーディオデータを保持する記録装置201と、入力された記録対象情報を、本編部分のデータと本編に付属する付属部分のデータとに区分するチャプタ設定処理部80と、境界設定部により区分された本編部分のデータと付属部分のデータとを、それぞれ記録装置の第1の記録領域と第2の記録領域に記録する記録制御部30と、を有し、記録する映像の種類に拘わらず、記録装置を効率的に使用できる。
【解決手段】この発明の1つの実施の形態は、第1の記録領域と第1の記録領域とは異なる第2の記録領域を有し、映像及びオーディオデータを保持する記録装置201と、入力された記録対象情報を、本編部分のデータと本編に付属する付属部分のデータとに区分するチャプタ設定処理部80と、境界設定部により区分された本編部分のデータと付属部分のデータとを、それぞれ記録装置の第1の記録領域と第2の記録領域に記録する記録制御部30と、を有し、記録する映像の種類に拘わらず、記録装置を効率的に使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地表波や放送衛星から供給される公衆向け放送やケーブルネットワークなどにより配信される映像信号及びおよびオーディオ信号を含む情報を記録し、また既に記録した情報を再生する情報記録再生装置及びデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画情報(映像信号)やオーディオ信号(音声信号)を受信して再生するテレビ受信器や受信した動画およびオーディオを記録して保存できる録画再生装置(ビデオレコーダ)や動画撮像装置(ビデオカメラ)などの普及と発展は、めざましい。また、既にパーソナルコンピュータにおいても、テレビ放送を受信して映像や音声を再生できる機能が標準仕様として用意されている場合も少なくない。
【0003】
このような、多くの情報の記録には、ハードディスク装置に代表される記録装置の記録容量の向上と低価格化も大きく寄与している。
【0004】
しかしながら、記録装置の大容量化に伴って記録(保存)される情報も多くなり、情報の種類毎に異なる記録領域に記録し、再生時には情報の種類毎に連続して再生可能とする記録方法も既に実用化されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、受信手段で受信した放送波の音声信号の変化からCM(コマーシャルメッセージ)を検出して本編と分離して記憶し、再生時に、本編を連続して再生した後でCMを再生する録画再生装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−135728
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の文献においては、「記録媒体は、コマーシャルメッセージ放送を記録する記録領域と、それ以外の放送波を記録する記録領域と、に分割されている。」という記述があるが、記録媒体として記録容量の大きなハードディスク装置を用いる場合、ハードディスク装置の特定の記録領域への記録とその領域からの再生が繰り返されることが予想される。
【0007】
すなわち、ハードディスク装置においても、一部の記録領域に対する高頻度の繰り返し記録と再生は、記録領域の劣化を招き、残りの記録容量が十分であるにも拘らず、一部の記録領域への記録が困難となる場合があり、記録領域内において、複数の個所へ分散して記録することが好ましい。反面、分散箇所が多すぎると、シーク/アクセスに際して記録再生ヘッドが移動される時間が増大するのみならず、未記録領域が広範囲に分散することにより、記録再生ヘッド及びその駆動機構かかる負担が増大することになる。
【特許文献1】特開2002−135728 この発明の目的は、記録容量の大きな記録装置において、情報の記録に用いられる記録領域を平均化することによって、記録する映像の種類に拘わらず、記録装置を効率的に使用可能な情報記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、第1の記録領域と第1の記録領域とは異なる第2の記録領域を有し、映像及びオーディオデータを保持する記録装置と、入力された記録対象情報を、本編部分のデータと本編に付属する付属部分のデータとに区分する境界設定部と、前記境界設定部により区分された本編部分のデータと付属部分のデータとを、それぞれ前記記録装置の第1の記録領域と第2の記録領域に記録する記録制御部と、を有することを特徴とする情報記録再生装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明の1つの実施の形態を用いることで、ハードディスク等の記録容量の大きな記録媒体にデータを記録する際に、記録領域内でデータ記録時の記録位置を変更することにより、ハードディスク内のフラグメントを抑制することが可能になり、記録用途に使用できない小容量の空きエクステントの発生を抑えることができる。これにより、ハードディスクに記録可能な容量(使用可能容量)を向上させることができる。
【0010】
また、記録量が平均化されることにより、記録する映像の種類や大きさに拘わりなく、ハードディスク(HDD)に代表される記録容量の大きな記録メディアを効率的に使用することが可能になる。
【0011】
さらに、情報の記録と再生において、記録領域の先頭に近い特定の記録領域における高頻度のアクセスが緩和され、記録領域の内の一部分が劣化することも、抑止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1には、本発明が適用された記録再生装置(映像録画装置)の全体のブロック構成を示している。この実施の形態では、記録媒体としてDVD−Rなどの光ディスクとハードディスクの双方を取り扱うことができる装置(HDD付DVD−VRレコーダ)として示しているが、記録媒体として半導体メモリなどを、適宜併用してもよい。
【0014】
図1の映像録画装置(情報記録再生装置)は、2種類のディスクドライブ部を有する。また、図1において、左側は記録部の主なブロックを示し、右側は再生部の主なブロックを示している。
【0015】
図1に示す映像録画装置1は、ビデオファイルを構築できる情報記録媒体である第1のメディアとしての光ディスクMへの情報の書き込み及び光ディスクMからの情報の再生を実行するディスクドライブ部101、及び第2のメディアとしてのハードディスクへの情報の書き込み及びハードディスクからの情報の再生を実行するハードディスクドライブ部(HDD)201を有する。なお、光ディスクMとしては、HD(High Definition) DVD規格やDVD規格のそれぞれにおいて、任意に書き換えが可能な「−RAM」及び「±RW」や、書き換えができないが記録が可能な「±R」、記録層が2層で記録容量がさらに増大された−DLなどが利用可能である。また、ディスクドライブ部101は、光ディスクMに対する回転制御系、レーザ駆動系(図示しないが、波長が650nmの赤色の光を出射する赤色レーザ素子、あるいは405nmもしくはそれ以下の波長の青色の光を出射する青色レーザを用いる)、光学系などを有する。
【0016】
映像録画装置1はまた、ディスクドライブ部101及びハードディスクドライブ部201に記録データを供給し、また、それぞれのドライブ部で再生された信号を受け取るデータプロセッサ部111を有する。データプロセッサ部111は、記録ならびに再生単位のデータを取り扱うもので、詳述しないが、バッファ回路、変調・復調回路、エラー訂正部などを含む。
【0017】
映像録画装置1は、録画側を構成するエンコーダ部50と、再生側を構成するデコーダ部60と、装置本体の動作を制御する主制御ブロック(MPU(マイクロプロセッシングユニット)またはCPU(セントラルプロセッシングユニット)を含み、システム制御部と称されることもある)30とを主たる構成要素としている。
【0018】
エンコーダ部50は、複数のエンコーダによって構成され、各エンコーダは入力されたアナログビデオ信号やアナログオーディオ信号をデジタル化するビデオ用及びオーディオ用のアナログデジタルコンバータと、ビデオエンコーダと、オーディオエンコーダとを有する。さらに、副映像エンコーダも含む。
【0019】
エンコーダ部50の出力は、バッファメモリを含むフォーマッタ51にて、HD DVD規格あるいはDVD規格のフォーマットに変換され、先のデータプロセッサ部111に供給される。エンコーダ部50には、A/V(A,オーディオ/V,ビデオ)入力部41からの外部アナログビデオ信号と外部アナログオーディオ信号、あるいはTVチューナ部42からのアナログビデオ信号とアナログオーディオ信号が入力される。
【0020】
なお、エンコーダ部50は、直接圧縮されたデジタルビデオ信号やデジタルオーディオ信号が直接入力されるときは、圧縮デジタルビデオ信号やデジタルオーディオ信号を直接フォーマッタ51に供給することもできる。また、エンコーダ部50は、アナログ−デジタル変換されたデジタルビデオ信号やオーディオ信号を、ビデオミキシング部71やオーディオセレクタ76に直接供給することもできる。
【0021】
エンコーダ部50に含まれるビデオエンコーダにおいては、デジタルビデオ信号はMPEG2(またはMPEG1もしくはMPEG4−AVC)規格に基づいた可変ビットレートで圧縮されたデジタルビデオ信号に変換される。同エンコーダ部50においては、デジタルオーディオ信号は、MPEGまたはAC−3規格に基づいて固定ビットレートで圧縮されたデジタルオーディオ信号、あるいはリニアPCMのデジタルオーディオ信号に変換される。
【0022】
なお、エンコーダ部50に含まれるビデオエンコーダにおいては、さらに、AV入力部41に、例えば副映像信号の独立出力端子付のDVDビデオプレーヤから副映像信号が入力された場合、あるいはこのようなデータ構成のDVDビデオ信号が放送波としてTVチューナ部42で受信された場合に、DVDビデオ信号中の副映像信号が副映像エンコーダでエンコード(ランレングス符号化)され、副映像のビットマップが得られる。
【0023】
エンコードされたデジタルビデオ信号、デジタルオーディオ信号及び副映像データは、ビデオパック、オーディオパック及び副映像パックとして、フォーマッタ51にてパック化される。個々のパックは、さらに集合されて、DVD-ビデオ規格で規定されたフォーマット(DVDビデオフォーマット)や、DVD-レコーディング規格で規定されたフォーマット(DVD−VRフォーマット)に変換される。
【0024】
図1に示した映像記録装置1においては、フォーマッタ51でフォーマットされた情報(ビデオ、オーディオ、副映像データなどのパック)及び作成された管理情報を、データプロセッサ部111を介してハードディスクドライブ部201あるいはディスクドライブ部101に供給し、ハードディスク(HDD)あるいは光ディスクMに記録することができる。また、ハードディスク(HDD)あるいは光ディスクMに記録された情報を、データプロセッサ部111、ディスクドライブ部101を介して光ディスクMあるいはハードディスクに記録することもできる。また、ハードディスク(HDD)あるいは光ディスクMに記録されている番組のビデオオブジェクトの一部を削除したり、異なるビデオオブジェクトをつなげたり、といった編集処理を行うこともできる。
【0025】
主制御ブロック(システム制御部)30は、詳述しないが、MPUもしくはCPUと、制御プログラム等(各フローチャート図で説明される制御を行なうファームウエア等)が書きこまれたファームウエアROMと、プログラムの実行に必要なワークエリアを提供するワークRAM(SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory))などを含んでいる。主制御ブロック30のMPUは、ファームウエアROMに格納された制御プログラムに従い、RAMをワークエリアとして用いて、欠陥場所検出、未記録領域検出、録画情報記録位置設定、UDF記録、AVアドレス設定、履歴情報検索処理などを実行する。
【0026】
すなわち、主制御ブロック30は、システム全体を統括制御するために必要な情報処理部を有するもので、ファームウエアROM、ワークRAM、ディレクトリ検出部のほか、図示しないがVMG(全体のビデオ管理情報)情報作成部、コピー関連情報検知部、コピー及びスクランブリング情報処理部(RDI処理部)、パケットヘッダ処理部、シーケンスヘッダ処理部、アスペクト比情報処理部などを備える。
【0027】
ここで、この装置においては、情報記録媒体のデータ記録領域に対して、アドレスとデータのサイズの情報とを用いてアクセス単位を表すエクステントが定義されており、前記エクステントの複数を含み、ファイルを管理するファイルエントリーを利用することでデータの記録再生を行っている。主制御ブロック30はさらに、ファイルエントリー管理部301を含み、ファイルエントリー管理部301には、エクステント管理部302が含まれる。なお、エクステント管理部302は、削除対象エクステント処理部310、記録済みエクステント管理部311、記録可能エクステント管理部312がある。
【0028】
主制御ブロック30の実行結果のうち、ユーザに通知すべき内容は、映像録画装置1に一体に設けられた表示部43に表示されるか、または映像録画装置1に接続されるモニタディスプレイ75に、OSD(On Screen Display,オンスクリーンディスプレイ)表示される。
【0029】
また、主制御ブロック30は、映像録画装置1を動作させるための操作信号を入力するキー入力部44を有する。キー入力部44は、例えば映像録画装置の本体上に設けた操作スイッチ類や、あるいはリモコン装置などに相当する。また、キー入力部44は、有線通信または無線通信あるいは光通信や赤外線通信などの手段を用いて接続されたパーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。いずれの形態であるにせよ、ユーザがキー入力部44を操作することにより、入力された映像音声信号の録画処理や録画されたコンテンツの再生処理、あるいは録画されたコンテンツに対する編集処理などを施すことができる。
【0030】
なお、主制御ブロック30がディスクドライブ部111、ハードディスクドライブ部201、データプロセッサ部111、エンコーダ部50および/またはデコーダ部60などを制御するタイミングは、STC(System Time Clock,システムタイムクロック)38からの時間データに基づいて規定される。なお、録画や再生の動作は、通常は、STC38からのタイムクロックに同期して実行されるが、それ以外の処理はSTC38とは独立したタイミングで実行されてもよい。
【0031】
デコーダ部60は、パック構造を持つDVDフォーマットの信号から、個々のパックを分離して取り出すセパレータと、パック分離やその他の信号処理実行時に使用するメモリと、セパレータで分離された主映像データ(ビデオパックの内容)をデコードするV(Video,ビデオ)デコーダと、セパレータで分離された副映像データ(副映像パックの内容)をデコードするSP(Sub Pack,サブパック)デコーダと、セパレータで分離されたオーディオデータ(オーディオパックの内容)をデコードするA(Audio,オーディオ)デコーダとを有する。また、詳述しないが、デコーダ部60は、デコードされた主映像にデコードされた副映像を適宜合成し、主映像にメニュー、ハイライトボタン、字幕やその他の副映像を重ねて出力するビデオプロセッサを備えている。
【0032】
デコーダ部60の出力ビデオ信号は、ビデオミキシング(Vミキシング)部71に入力される。ビデオミキシング部71では、テキストデータの合成が行われる。また、ビデオミキシング部71には、TVチューナ42やA/V入力部41からの信号を直接取り込むラインもまた接続されている。ビデオミキシング部71には、バッファとして用いるフレームメモリ72が接続されている。また、ビデオミキシング部71の出力がアナログ出力の場合は、I/F(インタフェース)73を介して外部出力され、デジタル出力の場合は、デジタル−アナログ(D/A)変換器74を介して外部へ出力される。
【0033】
デコーダ部60の出力オーディオ信号は、セレクタ76を介してデジタル−アナログ変換器(D/A)77でアナログ変換され、外部に出力される。セレクタ76は、主制御ブロック30からのセレクト信号により制御される。なお、セレクタ76は、TVチューナ42やA/V入力部41からのデジタル信号を直接モニターする時、エンコーダ部50をスルー(Pass thourgh)した信号を、直接選択することも可能である。
【0034】
なお、エンコーダ部50のフォーマッタ51では、録画中、各切り分け情報を作成し、定期的に主制御ブロック30のMPUへ送る(GOP先頭割り込み時などの情報)。切り分け情報としては、VOBUのパック数、VOBU先頭からのIピクチャのエンドアドレス、VOBUの再生時間などである。同時に、アスペクト情報処理部からの情報を録画開始時にMPUへ送り、MPUはVOBストリーム情報(STI)を作成する。なお、STIは、解像度データ、アスペクトデータなどを保存し、再生時、各デコーダ部において、この情報(STI)を元に、初期設定が行われる。
【0035】
また、図1に示した映像録画装置1では、ビデオファイルは、1ディスクに1ファイルとしている。一方、データをアクセス(シーク)している間に、途切れないで再生を続けるために、最低限連続する情報単位(サイズ)を決めている。この単位を、エクステント(またはCDA)という。エクステントのサイズは、例えばECC(エラー訂正コード)ブロック(16セクタ)の倍数であり、ファイルシステムでは、このエクステントの単位で記録を行っている。
【0036】
データプロセッサ部111は、エンコーダ部50のフォーマッタ51からVOBU単位のデータを受け取り、エクステント単位のデータを、ディスクドライブ部101あるいはハードディスクドライブ部201に供給している。
【0037】
一方、主制御ブロック30のMPUは、記録したデータを再生するために必要な管理情報を作成し、データ記録終了のコマンドが認識できた時点で、作成した管理情報をデータプロセッサ部111に送る。これにより、管理情報がハードディスク/光ディスクに記録される。従って、エンコードが行われているとき、エンコーダ部50から主制御ブロック30のMPUは、データ単位の情報(切り分け情報など)を受け取る。
【0038】
また、主制御ブロック30のMPUは、記録開始時には、記録(録画)対象すなわち光ディスクまたはハードディスクから読み取った管理情報(ファイルシステム)を認識し、各ディスクの未記録エリアを認識し、データプロセッサ部111を介して(記録対象の)ディスク上に、データ記録エリアを設定している。
【0039】
なお、映像録画装置1では、例えば録画対象がテレビ放送の任意の番組であるような場合に、録画したテレビ番組等を再生する場合に、例えばCM(コマーシャルメッセージ)などの本編部分に付属する部分を本編とは独立して再生することにより、本編部分を連続して再生することが要望されている。このため、主制御ブロック30には、さらに、「本編以外」の情報であって、例えば「CM部分」を抽出するための、図2〜図5により後段に説明するチャプタ境界設定処理部80が接続されている。
【0040】
ところで、上述した映像録画装置1において、映像を録画する場合、例えばハードディスク部(HDD)201などの書き換え可能なデータ記録メディアに映像及びオーディオデータを記録し、あるいは繰り返し再生する場合、特定の記録領域に高頻度でアクセスされることにより、その記録領域を劣化させることがある。また、録画したテレビ番組等を再生する場合に、例えばCM(コマーシャルメッセージ)などの本編部分に付属する部分を本編とは独立して再生することにより、本編部分を連続して再生することが要望されている。なお、録画済のテレビ番組からCMなどの本編部分に付属する部分を削除することも可能であるが、その場合は、比較的短い記録領域(CMなどを除いた際に残る記録可能領域)が複数点在し、HDD内のデータが複雑な状態で管理されることになる。このことは、ハードディスクへのシーク/アクセスに際して、記録再生ヘッド及びその駆動機構にかかる負担を増大することになる。
【0041】
このような背景から、映像を記録する際に、映像/音声などを解析することで、例えばCM(コマーシャルメッセージ)を抽出し、ハードディスクドライブ部(HDD)201内のハードディスクに、本編部分とCM部分(本編に付属する部分)を区分して記録することにより、本編部分を連続して再生する際に、記録再生ヘッドが移動される時間を低減可能で、しかも記録再生ヘッド及びその駆動機構にかる負担を抑制できる。
【0042】
しかしながら、多くの場合、本編部分と本編部分に付属する部分とは、その長さ(時間的比率)が大きく異なり、また、通常の再生においては、特定の記録領域(本編部分)に高頻度でアクセスされることになるため、本編部分が記録される記録領域が劣化する、という記録済記録領域の不均一化(非平均化)が生じることになる。このため、実際に映像を記録する場合には、ハードディスクの記録領域を予め複数、例えば2に分割し、本編部分の記録に利用された記録領域の大きさが、予め割り当てられている記録領域の大きさに占める割合が所定の比率を超えた場合に、本編部分の記録に割り当てられる記録領域と付属する部分の記録に割り当てられる記録領域とを入れ替えることにより、ハードディスクの記録領域の均一な利用も促進される。
【0043】
なお、CM(コマーシャルメッセージ)などの本編部分に付属する部分は、図2〜図5により以下に説明するチャプタ境界設定処理部により、容易に抽出できる。
【0044】
図2において、チャプタ境界設定処理部80は、映像構造化処理部80pにより取得された第1の区切り情報(チャプタ分割点)と、任意区間検出処理部80qにより取得された第2の区切り情報(任意区間情報又は音声区間情報又はCM区間情報)に基づいて、「CM」が含まれていることを検出する。なお、映像構造化処理部80においては、第2の区切り情報で設定された任意区間内に、第1の区切り情報が存在する場合には、この第1の区切り情報を非採用とする。また、図3は、図2に説明したチャプタ境界設定処理部80の動作を説明するために、主要部を抜き出したものである。
【0045】
図2に示す任意区間検出処理部80qは、無音検出装置81を含む。
【0046】
無音検出装置81は、所定時間音声レベルが閾値以下の部分を無音部として検出する。
【0047】
無音検出装置81は、無音情報を出力し、無音時刻記録装置82に供給する。
【0048】
無音部時刻記録装置82は、番組における無音部が判定された時刻の情報である無音時刻情報を保持する。
【0049】
無音時刻記録装置82に記録された無音時刻情報は、無音部間隔計算装置83にて処理される。
【0050】
無音部間隔計算装置83は、さらにブロック化すると無音部と次の無音部との時間間隔が一定時間(A)の倍数であるかどうかを判定する無音部時間間隔計測部83aと、時間間隔が一定時間(A)の倍数であれば、無音部の検出をカウントする無音部カウント処理部83bと、無音部のカウント数が閾値(B)個以上あれば、最初と最後に現れた無音部に対して、区切り情報を設定する無音部の条件判定部83cとを含む。
【0051】
図3に示されるように、入力すなわちA/V入力部41あるいはTEVチューナ部42から供給される映像信号と音声信号は、映像構造化処理部80p、任意区間検出処理部80qに入力される。
【0052】
それぞれに入力された映像信号および音声信号は、第1の区切り情報(構造化情報と称される)と、第2の区切り情報(任意区間情報と称される)は、チャプタ境界設定処理部80rに入力される。
【0053】
チャプタ境界設定部80rは、第1と第2の区切り情報を重ねた第3の区切り情報を得る。但し、所定の条件に当てはまるチャプタ分割点は、不採用とし、採用されたチャプタ分割点を記録装置13の管理情報に挿入する。
【0054】
図23は、チャプタ境界設定処理部80の動作をさらに詳細に説明している。
【0055】
任意の番組の時間方向(時刻の一連の変化、通常は積算)に対して、映像構造化処理部80pにより、c1、c2、…、c5のように、チャプタ分割点(第1の区切り情報)が検出されたとする。
【0056】
一方、同じ番組の時間方向に対して、任意区間検出処理部80qは、第2の区切り情報m1、m2、m3、m4を検出し、任意区間をm1とm2の間、とm3とm4の間に設定しているものとする。
【0057】
すると、任意区間(m1−m2)に、映像構造化処理部80pにより検出された区切り情報c3が存在する。このような場合、区切り情報c3を否採用とする。
【0058】
これにより、チャプタ分割点が、任意区間内(例えばステレオを音声が連続するような区間)に付加されることがない。任意の区間とは、例えば音声モードが変化せず連続している区間、あるいは、ステレオモードが連続している区間などである。さらには、所定帯域内の音声周波数が連続しているような区間である。
【0059】
なお、図2ないし図4に示したチャプタ境界設定処理部および任意区間検出処理部においては、図5に示すように、任意区間検出処理部80qを、CM区間検出用として用いることもできる。
【0060】
例えば、m1−m2の区間と、m3−m4の区間がCM区間として検出されたものとする。このCM区間(m1−m2)に、映像構造化処理部80pにより検出された区切り情報c3が存在するものとする。このような場合、区切り情報c3を否採用とする。これにより、CM区間内にチャプタ分割点が設定されることがない。
【0061】
実際に映像を記録する場合には、上述した図2〜図5によりCM部分を検出し、例えば図6(a)および(b)に示すように、2つに分割されたハードディスクドライブ部(HDD)201内の本編部分の記録に利用される部分(第1の記録領域の記録位置A)と付属する部分の記録に利用される部分(第2の記録領域の記録領域B)のそれぞれに、本編部分と付属する部分とを、順に記録すればよい。
【0062】
より詳細には、図8に示すように、ハードディスクドライブ部(HDD)201のハードディスクを初期化する際に、初期記録位置を設定する<81ブロック>。このとき、例えば記録領域を概ね中央(中心)付近で2つに分割し、先頭側の領域を記録領域A(第1の記録領域)、中央から最後までの領域を記録領域B(第2の記録領域)とする。この状態が、図6(a)に対応する。
【0063】
次に、2つに区分されたハードディスクの記録領域のうちの第1の記録領域(記録領域A)に、例えば本編部分を記録し、第2の記録領域(記録位置B)に、本編に付属する部分を記録すればよい<82ブロック>。この状態が、図6(b)に対応する。
【0064】
なお、ユーザから要求があった場合には、例えば記録領域B(第2の記録領域)に記録されている付属する部分が消去される<83ブロック>。この状態が、図6(c)に対応する。
【0065】
以下、実際の映像の記録においては、図9に示すように、上記図2〜図5に従って、本編部分(必ず再生されるであろう、本編データ)と付属部分(場合によっては再生されないかも知れない、付属データ)とが識別される<91ブロック:記録データの解析(本編データ/付属データ)>。
【0066】
続いて、<91ブロック>による判定の結果<92ブロック>を元に、本編部分と付属部分が、それぞれのデータの属性(本編/付属)に基いて、異なる記録位置に記録される<93ブロック(本編→記録位置Aから記録),94ブロック(付属→記録位置Bから記録)>。
【0067】
以下、予約された録画終了時間あるいは(ユーザにより)録画停止が指示されるまでの間、<91ブロック>〜<94ブロック>が繰り返されて、番組が録画される<95ブロック>。
【0068】
この方法により、本編部分のデータ及び付属部分のデータを一箇所にまとめて記録することが可能となる。また、付属部分のデータを削除した場合においても、ハードディスクの記録領域において、残ったデータが(細切れに、かつ比較的短い記録領域に)分割(細分化)された状態になることが防止される。
【0069】
図10は、図9に示した録画動作の別の実施の形態の一例を示す。
【0070】
図8及び図6を用いて、ハードディスクドライブ部(HDD)201の記録領域を、例えば2つに分割して、本編部分と付属部分とを別々に記録することは、既に説明したが、多くの場合、本編部分と本編部分に付属する部分とは、その長さ(時間的比率)が大きく異なり、また、通常の再生においては、特定の記録領域(本編部分)に高頻度でアクセスされることになるため、本編部分が記録される記録領域が劣化する、という記録済記録領域の不均一化(非平均化)が生じることになるが知られている。
【0071】
このため、図10に示すように、実際に映像を記録する場合には、ハードディスクドライブ(HDD)部201内のハードディスクの記録領域を、例えば2つに分割し、本編部分の記録に利用された記録領域の大きさが、予め割り当てられている記録領域A(第1の記録領域)の大きさに占める割合が所定の比率、あるいは予め設定された閾値を超えた場合に、本編部分の記録に割り当てられる記録領域(記録領域A)と付属する部分の記録に割り当てられる記録領域(記録領域B)とを入れ替える(以降、本編部分を記録領域Bに記録し、付属部分を記録領域Aに記録する)ことにより、ハードディスクの記録領域の均一な利用が促進される。
【0072】
より詳細には、図9の<95ブロック>において、指定された録画動作が終了した時点で、個々の記録領域(記録領域A,記録領域B)のそれぞれにデータが記録されている量を計算し<101ブロック:記録位置A,Bでの記録量の計算>、記録量(使用比率(または占有量)あるいは記録可能残量)の偏りが所定の値よりも大きいことが判断された場合<102ブロック:記録位置A,記録位置Bでの記録容量の使用比率に一定以上の偏りがある>、引き続く(次回の)記録時から、記録位置Aに記録するデータと記録位置Bに記録するデータとを入れ替える<103ブロック:記録位置A,Bを交換する>ことにより、記録済記録領域の不均一化(非平均化)すなわち偏りの発生を抑えることができる。
【0073】
なお、図7(a)〜(c)に示すように、記録位置A(第1の記録領域)と記録位置B(第2の記録領域)のそれぞれに対して記録容量の閾値Ca,Cbを設け、図11により説明するように、直前の記録(録画)終了時に、記録位置A、記録位置Bのそれぞれにおける記録済量を計算し<111ブロック:記録位置A,Bでの記録量の計算>、総記録量が閾値以上の値となった場合<112ブロック:記録位置Aでの記録量が閾値Ca以上>あるいは<113ブロック:記録位置Bでの記録量が閾値Cb以上(図7(b)が対応)>に達したことが検知された時点で、次の記録時の記録位置Aと記録位置Bを交替する<114ブロック:記録位置A,Bを交換する>ようにしてもよい。
【0074】
この場合、引き続いて、記録(録画)が繰り返されると、記録領域Bに関連づけて記録領域A内に移動された閾値Cbと、記録領域Aに関連づけて記録領域B内に移動された閾値Caとにより、さらにそれぞれの記録領域の記録量(使用比率(または占有量)あるいは記録可能残量)に偏りが生じることが抑止される。
【0075】
すなわち、図11に示した手法によっても、記録位置Aと記録位置Bの間で記録容量を平均化することが可能となる。
【0076】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、ハードディスク等の記録容量の大きな記録媒体にデータを記録する際に、記録領域内でデータ記録時の記録位置を変更することにより、ハードディスク内のフラグメントを抑制することが可能になり、記録用途に使用できない小容量の空きエクステントの発生を抑えることができる。これにより、ハードディスクに記録可能な容量(使用可能容量)を向上させることができる。
【0077】
また、記録量が平均化されることにより、記録する映像の種類や大きさに拘わりなく、ハードディスク(HDD)に代表される記録容量の大きな記録メディアを効率的に使用することが可能になる。
【0078】
さらに、情報の記録と再生において、記録領域の先頭に近い特定の記録領域における高頻度のアクセスが緩和され、記録領域の内の一部分が劣化することも、抑止される。
【0079】
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施の形態が適用される情報記録再生装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した映像記録装置に組み込まれるチャプタ境界設定処理部の実施形態の一例を示す概略図。
【図3】図2に示したチャプタ境界設定処理部による(1つの番組の)区分の方法の一例を説明する概略図。
【図4】図3に示したチャプタ境界設定処理部による(1つの番組の)区分の方法の別の一例を説明する概略図。
【図5】図4に示したチャプタ境界設定処理部による(1つの番組の)区分の方法のさらに別の一例を説明する概略図。
【図6】図1に示した情報記録再生装置において、HDD(ハードディスクドライブ)内の記録領域を複数(例えば2つ)に分割して、(録画対象の番組の)本編部分と付属部分とをそれぞれの記録領域に区分して記録する状態を模式的に示す概略図。
【図7】図1に示した情報記録再生装置において、HDD(ハードディスクドライブ)内の記録領域を複数(例えば2つ)に分割して、(録画対象の番組の)本編部分と付属部分とをそれぞれの記録領域に区分して記録するとともに、記録領域を変更して記録領域毎の使用率の不均一さを抑止する例を模式的に示す概略図。
【図8】図6に示したハードディスク内の記録領域を分割(区分)する手続きの一例を説明する概略図。
【図9】図8に示した手続きにより区分(分割)されたハードディスク内の記録領域への情報(データ)の記録の手続きの一例を説明する概略図。
【図10】図8に示した手続きにより記録された情報区分(分割)されたハードディスク内の記録領域への情報(データ)の記録に引き続く、記録領域の変更の手続きの一例を説明する概略図。
【図11】図8に示した手続きにより記録された情報区分(分割)されたハードディスク内の記録領域への情報(データ)の記録に引き続く、記録領域の変更の手続きの別の一例を説明する概略図。
【符号の説明】
【0081】
1…情報記録再生装置(映像録画装置)、30…主制御ブロック(システム制御部)、38…STC(システムタイムクロック)、41…A/V入力部、42…チューナ部、50…エンコーダ部、60…デコーダ部、80…チャプタ境界設定処理部、80p…映像構造化処理部、80q…任意区間検出処理部、101…ディスクドライブ部、111…データプロセッサ部、201…ハードディスクドライブ(HDD)部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、地表波や放送衛星から供給される公衆向け放送やケーブルネットワークなどにより配信される映像信号及びおよびオーディオ信号を含む情報を記録し、また既に記録した情報を再生する情報記録再生装置及びデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画情報(映像信号)やオーディオ信号(音声信号)を受信して再生するテレビ受信器や受信した動画およびオーディオを記録して保存できる録画再生装置(ビデオレコーダ)や動画撮像装置(ビデオカメラ)などの普及と発展は、めざましい。また、既にパーソナルコンピュータにおいても、テレビ放送を受信して映像や音声を再生できる機能が標準仕様として用意されている場合も少なくない。
【0003】
このような、多くの情報の記録には、ハードディスク装置に代表される記録装置の記録容量の向上と低価格化も大きく寄与している。
【0004】
しかしながら、記録装置の大容量化に伴って記録(保存)される情報も多くなり、情報の種類毎に異なる記録領域に記録し、再生時には情報の種類毎に連続して再生可能とする記録方法も既に実用化されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、受信手段で受信した放送波の音声信号の変化からCM(コマーシャルメッセージ)を検出して本編と分離して記憶し、再生時に、本編を連続して再生した後でCMを再生する録画再生装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−135728
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の文献においては、「記録媒体は、コマーシャルメッセージ放送を記録する記録領域と、それ以外の放送波を記録する記録領域と、に分割されている。」という記述があるが、記録媒体として記録容量の大きなハードディスク装置を用いる場合、ハードディスク装置の特定の記録領域への記録とその領域からの再生が繰り返されることが予想される。
【0007】
すなわち、ハードディスク装置においても、一部の記録領域に対する高頻度の繰り返し記録と再生は、記録領域の劣化を招き、残りの記録容量が十分であるにも拘らず、一部の記録領域への記録が困難となる場合があり、記録領域内において、複数の個所へ分散して記録することが好ましい。反面、分散箇所が多すぎると、シーク/アクセスに際して記録再生ヘッドが移動される時間が増大するのみならず、未記録領域が広範囲に分散することにより、記録再生ヘッド及びその駆動機構かかる負担が増大することになる。
【特許文献1】特開2002−135728 この発明の目的は、記録容量の大きな記録装置において、情報の記録に用いられる記録領域を平均化することによって、記録する映像の種類に拘わらず、記録装置を効率的に使用可能な情報記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、第1の記録領域と第1の記録領域とは異なる第2の記録領域を有し、映像及びオーディオデータを保持する記録装置と、入力された記録対象情報を、本編部分のデータと本編に付属する付属部分のデータとに区分する境界設定部と、前記境界設定部により区分された本編部分のデータと付属部分のデータとを、それぞれ前記記録装置の第1の記録領域と第2の記録領域に記録する記録制御部と、を有することを特徴とする情報記録再生装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明の1つの実施の形態を用いることで、ハードディスク等の記録容量の大きな記録媒体にデータを記録する際に、記録領域内でデータ記録時の記録位置を変更することにより、ハードディスク内のフラグメントを抑制することが可能になり、記録用途に使用できない小容量の空きエクステントの発生を抑えることができる。これにより、ハードディスクに記録可能な容量(使用可能容量)を向上させることができる。
【0010】
また、記録量が平均化されることにより、記録する映像の種類や大きさに拘わりなく、ハードディスク(HDD)に代表される記録容量の大きな記録メディアを効率的に使用することが可能になる。
【0011】
さらに、情報の記録と再生において、記録領域の先頭に近い特定の記録領域における高頻度のアクセスが緩和され、記録領域の内の一部分が劣化することも、抑止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1には、本発明が適用された記録再生装置(映像録画装置)の全体のブロック構成を示している。この実施の形態では、記録媒体としてDVD−Rなどの光ディスクとハードディスクの双方を取り扱うことができる装置(HDD付DVD−VRレコーダ)として示しているが、記録媒体として半導体メモリなどを、適宜併用してもよい。
【0014】
図1の映像録画装置(情報記録再生装置)は、2種類のディスクドライブ部を有する。また、図1において、左側は記録部の主なブロックを示し、右側は再生部の主なブロックを示している。
【0015】
図1に示す映像録画装置1は、ビデオファイルを構築できる情報記録媒体である第1のメディアとしての光ディスクMへの情報の書き込み及び光ディスクMからの情報の再生を実行するディスクドライブ部101、及び第2のメディアとしてのハードディスクへの情報の書き込み及びハードディスクからの情報の再生を実行するハードディスクドライブ部(HDD)201を有する。なお、光ディスクMとしては、HD(High Definition) DVD規格やDVD規格のそれぞれにおいて、任意に書き換えが可能な「−RAM」及び「±RW」や、書き換えができないが記録が可能な「±R」、記録層が2層で記録容量がさらに増大された−DLなどが利用可能である。また、ディスクドライブ部101は、光ディスクMに対する回転制御系、レーザ駆動系(図示しないが、波長が650nmの赤色の光を出射する赤色レーザ素子、あるいは405nmもしくはそれ以下の波長の青色の光を出射する青色レーザを用いる)、光学系などを有する。
【0016】
映像録画装置1はまた、ディスクドライブ部101及びハードディスクドライブ部201に記録データを供給し、また、それぞれのドライブ部で再生された信号を受け取るデータプロセッサ部111を有する。データプロセッサ部111は、記録ならびに再生単位のデータを取り扱うもので、詳述しないが、バッファ回路、変調・復調回路、エラー訂正部などを含む。
【0017】
映像録画装置1は、録画側を構成するエンコーダ部50と、再生側を構成するデコーダ部60と、装置本体の動作を制御する主制御ブロック(MPU(マイクロプロセッシングユニット)またはCPU(セントラルプロセッシングユニット)を含み、システム制御部と称されることもある)30とを主たる構成要素としている。
【0018】
エンコーダ部50は、複数のエンコーダによって構成され、各エンコーダは入力されたアナログビデオ信号やアナログオーディオ信号をデジタル化するビデオ用及びオーディオ用のアナログデジタルコンバータと、ビデオエンコーダと、オーディオエンコーダとを有する。さらに、副映像エンコーダも含む。
【0019】
エンコーダ部50の出力は、バッファメモリを含むフォーマッタ51にて、HD DVD規格あるいはDVD規格のフォーマットに変換され、先のデータプロセッサ部111に供給される。エンコーダ部50には、A/V(A,オーディオ/V,ビデオ)入力部41からの外部アナログビデオ信号と外部アナログオーディオ信号、あるいはTVチューナ部42からのアナログビデオ信号とアナログオーディオ信号が入力される。
【0020】
なお、エンコーダ部50は、直接圧縮されたデジタルビデオ信号やデジタルオーディオ信号が直接入力されるときは、圧縮デジタルビデオ信号やデジタルオーディオ信号を直接フォーマッタ51に供給することもできる。また、エンコーダ部50は、アナログ−デジタル変換されたデジタルビデオ信号やオーディオ信号を、ビデオミキシング部71やオーディオセレクタ76に直接供給することもできる。
【0021】
エンコーダ部50に含まれるビデオエンコーダにおいては、デジタルビデオ信号はMPEG2(またはMPEG1もしくはMPEG4−AVC)規格に基づいた可変ビットレートで圧縮されたデジタルビデオ信号に変換される。同エンコーダ部50においては、デジタルオーディオ信号は、MPEGまたはAC−3規格に基づいて固定ビットレートで圧縮されたデジタルオーディオ信号、あるいはリニアPCMのデジタルオーディオ信号に変換される。
【0022】
なお、エンコーダ部50に含まれるビデオエンコーダにおいては、さらに、AV入力部41に、例えば副映像信号の独立出力端子付のDVDビデオプレーヤから副映像信号が入力された場合、あるいはこのようなデータ構成のDVDビデオ信号が放送波としてTVチューナ部42で受信された場合に、DVDビデオ信号中の副映像信号が副映像エンコーダでエンコード(ランレングス符号化)され、副映像のビットマップが得られる。
【0023】
エンコードされたデジタルビデオ信号、デジタルオーディオ信号及び副映像データは、ビデオパック、オーディオパック及び副映像パックとして、フォーマッタ51にてパック化される。個々のパックは、さらに集合されて、DVD-ビデオ規格で規定されたフォーマット(DVDビデオフォーマット)や、DVD-レコーディング規格で規定されたフォーマット(DVD−VRフォーマット)に変換される。
【0024】
図1に示した映像記録装置1においては、フォーマッタ51でフォーマットされた情報(ビデオ、オーディオ、副映像データなどのパック)及び作成された管理情報を、データプロセッサ部111を介してハードディスクドライブ部201あるいはディスクドライブ部101に供給し、ハードディスク(HDD)あるいは光ディスクMに記録することができる。また、ハードディスク(HDD)あるいは光ディスクMに記録された情報を、データプロセッサ部111、ディスクドライブ部101を介して光ディスクMあるいはハードディスクに記録することもできる。また、ハードディスク(HDD)あるいは光ディスクMに記録されている番組のビデオオブジェクトの一部を削除したり、異なるビデオオブジェクトをつなげたり、といった編集処理を行うこともできる。
【0025】
主制御ブロック(システム制御部)30は、詳述しないが、MPUもしくはCPUと、制御プログラム等(各フローチャート図で説明される制御を行なうファームウエア等)が書きこまれたファームウエアROMと、プログラムの実行に必要なワークエリアを提供するワークRAM(SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory))などを含んでいる。主制御ブロック30のMPUは、ファームウエアROMに格納された制御プログラムに従い、RAMをワークエリアとして用いて、欠陥場所検出、未記録領域検出、録画情報記録位置設定、UDF記録、AVアドレス設定、履歴情報検索処理などを実行する。
【0026】
すなわち、主制御ブロック30は、システム全体を統括制御するために必要な情報処理部を有するもので、ファームウエアROM、ワークRAM、ディレクトリ検出部のほか、図示しないがVMG(全体のビデオ管理情報)情報作成部、コピー関連情報検知部、コピー及びスクランブリング情報処理部(RDI処理部)、パケットヘッダ処理部、シーケンスヘッダ処理部、アスペクト比情報処理部などを備える。
【0027】
ここで、この装置においては、情報記録媒体のデータ記録領域に対して、アドレスとデータのサイズの情報とを用いてアクセス単位を表すエクステントが定義されており、前記エクステントの複数を含み、ファイルを管理するファイルエントリーを利用することでデータの記録再生を行っている。主制御ブロック30はさらに、ファイルエントリー管理部301を含み、ファイルエントリー管理部301には、エクステント管理部302が含まれる。なお、エクステント管理部302は、削除対象エクステント処理部310、記録済みエクステント管理部311、記録可能エクステント管理部312がある。
【0028】
主制御ブロック30の実行結果のうち、ユーザに通知すべき内容は、映像録画装置1に一体に設けられた表示部43に表示されるか、または映像録画装置1に接続されるモニタディスプレイ75に、OSD(On Screen Display,オンスクリーンディスプレイ)表示される。
【0029】
また、主制御ブロック30は、映像録画装置1を動作させるための操作信号を入力するキー入力部44を有する。キー入力部44は、例えば映像録画装置の本体上に設けた操作スイッチ類や、あるいはリモコン装置などに相当する。また、キー入力部44は、有線通信または無線通信あるいは光通信や赤外線通信などの手段を用いて接続されたパーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。いずれの形態であるにせよ、ユーザがキー入力部44を操作することにより、入力された映像音声信号の録画処理や録画されたコンテンツの再生処理、あるいは録画されたコンテンツに対する編集処理などを施すことができる。
【0030】
なお、主制御ブロック30がディスクドライブ部111、ハードディスクドライブ部201、データプロセッサ部111、エンコーダ部50および/またはデコーダ部60などを制御するタイミングは、STC(System Time Clock,システムタイムクロック)38からの時間データに基づいて規定される。なお、録画や再生の動作は、通常は、STC38からのタイムクロックに同期して実行されるが、それ以外の処理はSTC38とは独立したタイミングで実行されてもよい。
【0031】
デコーダ部60は、パック構造を持つDVDフォーマットの信号から、個々のパックを分離して取り出すセパレータと、パック分離やその他の信号処理実行時に使用するメモリと、セパレータで分離された主映像データ(ビデオパックの内容)をデコードするV(Video,ビデオ)デコーダと、セパレータで分離された副映像データ(副映像パックの内容)をデコードするSP(Sub Pack,サブパック)デコーダと、セパレータで分離されたオーディオデータ(オーディオパックの内容)をデコードするA(Audio,オーディオ)デコーダとを有する。また、詳述しないが、デコーダ部60は、デコードされた主映像にデコードされた副映像を適宜合成し、主映像にメニュー、ハイライトボタン、字幕やその他の副映像を重ねて出力するビデオプロセッサを備えている。
【0032】
デコーダ部60の出力ビデオ信号は、ビデオミキシング(Vミキシング)部71に入力される。ビデオミキシング部71では、テキストデータの合成が行われる。また、ビデオミキシング部71には、TVチューナ42やA/V入力部41からの信号を直接取り込むラインもまた接続されている。ビデオミキシング部71には、バッファとして用いるフレームメモリ72が接続されている。また、ビデオミキシング部71の出力がアナログ出力の場合は、I/F(インタフェース)73を介して外部出力され、デジタル出力の場合は、デジタル−アナログ(D/A)変換器74を介して外部へ出力される。
【0033】
デコーダ部60の出力オーディオ信号は、セレクタ76を介してデジタル−アナログ変換器(D/A)77でアナログ変換され、外部に出力される。セレクタ76は、主制御ブロック30からのセレクト信号により制御される。なお、セレクタ76は、TVチューナ42やA/V入力部41からのデジタル信号を直接モニターする時、エンコーダ部50をスルー(Pass thourgh)した信号を、直接選択することも可能である。
【0034】
なお、エンコーダ部50のフォーマッタ51では、録画中、各切り分け情報を作成し、定期的に主制御ブロック30のMPUへ送る(GOP先頭割り込み時などの情報)。切り分け情報としては、VOBUのパック数、VOBU先頭からのIピクチャのエンドアドレス、VOBUの再生時間などである。同時に、アスペクト情報処理部からの情報を録画開始時にMPUへ送り、MPUはVOBストリーム情報(STI)を作成する。なお、STIは、解像度データ、アスペクトデータなどを保存し、再生時、各デコーダ部において、この情報(STI)を元に、初期設定が行われる。
【0035】
また、図1に示した映像録画装置1では、ビデオファイルは、1ディスクに1ファイルとしている。一方、データをアクセス(シーク)している間に、途切れないで再生を続けるために、最低限連続する情報単位(サイズ)を決めている。この単位を、エクステント(またはCDA)という。エクステントのサイズは、例えばECC(エラー訂正コード)ブロック(16セクタ)の倍数であり、ファイルシステムでは、このエクステントの単位で記録を行っている。
【0036】
データプロセッサ部111は、エンコーダ部50のフォーマッタ51からVOBU単位のデータを受け取り、エクステント単位のデータを、ディスクドライブ部101あるいはハードディスクドライブ部201に供給している。
【0037】
一方、主制御ブロック30のMPUは、記録したデータを再生するために必要な管理情報を作成し、データ記録終了のコマンドが認識できた時点で、作成した管理情報をデータプロセッサ部111に送る。これにより、管理情報がハードディスク/光ディスクに記録される。従って、エンコードが行われているとき、エンコーダ部50から主制御ブロック30のMPUは、データ単位の情報(切り分け情報など)を受け取る。
【0038】
また、主制御ブロック30のMPUは、記録開始時には、記録(録画)対象すなわち光ディスクまたはハードディスクから読み取った管理情報(ファイルシステム)を認識し、各ディスクの未記録エリアを認識し、データプロセッサ部111を介して(記録対象の)ディスク上に、データ記録エリアを設定している。
【0039】
なお、映像録画装置1では、例えば録画対象がテレビ放送の任意の番組であるような場合に、録画したテレビ番組等を再生する場合に、例えばCM(コマーシャルメッセージ)などの本編部分に付属する部分を本編とは独立して再生することにより、本編部分を連続して再生することが要望されている。このため、主制御ブロック30には、さらに、「本編以外」の情報であって、例えば「CM部分」を抽出するための、図2〜図5により後段に説明するチャプタ境界設定処理部80が接続されている。
【0040】
ところで、上述した映像録画装置1において、映像を録画する場合、例えばハードディスク部(HDD)201などの書き換え可能なデータ記録メディアに映像及びオーディオデータを記録し、あるいは繰り返し再生する場合、特定の記録領域に高頻度でアクセスされることにより、その記録領域を劣化させることがある。また、録画したテレビ番組等を再生する場合に、例えばCM(コマーシャルメッセージ)などの本編部分に付属する部分を本編とは独立して再生することにより、本編部分を連続して再生することが要望されている。なお、録画済のテレビ番組からCMなどの本編部分に付属する部分を削除することも可能であるが、その場合は、比較的短い記録領域(CMなどを除いた際に残る記録可能領域)が複数点在し、HDD内のデータが複雑な状態で管理されることになる。このことは、ハードディスクへのシーク/アクセスに際して、記録再生ヘッド及びその駆動機構にかかる負担を増大することになる。
【0041】
このような背景から、映像を記録する際に、映像/音声などを解析することで、例えばCM(コマーシャルメッセージ)を抽出し、ハードディスクドライブ部(HDD)201内のハードディスクに、本編部分とCM部分(本編に付属する部分)を区分して記録することにより、本編部分を連続して再生する際に、記録再生ヘッドが移動される時間を低減可能で、しかも記録再生ヘッド及びその駆動機構にかる負担を抑制できる。
【0042】
しかしながら、多くの場合、本編部分と本編部分に付属する部分とは、その長さ(時間的比率)が大きく異なり、また、通常の再生においては、特定の記録領域(本編部分)に高頻度でアクセスされることになるため、本編部分が記録される記録領域が劣化する、という記録済記録領域の不均一化(非平均化)が生じることになる。このため、実際に映像を記録する場合には、ハードディスクの記録領域を予め複数、例えば2に分割し、本編部分の記録に利用された記録領域の大きさが、予め割り当てられている記録領域の大きさに占める割合が所定の比率を超えた場合に、本編部分の記録に割り当てられる記録領域と付属する部分の記録に割り当てられる記録領域とを入れ替えることにより、ハードディスクの記録領域の均一な利用も促進される。
【0043】
なお、CM(コマーシャルメッセージ)などの本編部分に付属する部分は、図2〜図5により以下に説明するチャプタ境界設定処理部により、容易に抽出できる。
【0044】
図2において、チャプタ境界設定処理部80は、映像構造化処理部80pにより取得された第1の区切り情報(チャプタ分割点)と、任意区間検出処理部80qにより取得された第2の区切り情報(任意区間情報又は音声区間情報又はCM区間情報)に基づいて、「CM」が含まれていることを検出する。なお、映像構造化処理部80においては、第2の区切り情報で設定された任意区間内に、第1の区切り情報が存在する場合には、この第1の区切り情報を非採用とする。また、図3は、図2に説明したチャプタ境界設定処理部80の動作を説明するために、主要部を抜き出したものである。
【0045】
図2に示す任意区間検出処理部80qは、無音検出装置81を含む。
【0046】
無音検出装置81は、所定時間音声レベルが閾値以下の部分を無音部として検出する。
【0047】
無音検出装置81は、無音情報を出力し、無音時刻記録装置82に供給する。
【0048】
無音部時刻記録装置82は、番組における無音部が判定された時刻の情報である無音時刻情報を保持する。
【0049】
無音時刻記録装置82に記録された無音時刻情報は、無音部間隔計算装置83にて処理される。
【0050】
無音部間隔計算装置83は、さらにブロック化すると無音部と次の無音部との時間間隔が一定時間(A)の倍数であるかどうかを判定する無音部時間間隔計測部83aと、時間間隔が一定時間(A)の倍数であれば、無音部の検出をカウントする無音部カウント処理部83bと、無音部のカウント数が閾値(B)個以上あれば、最初と最後に現れた無音部に対して、区切り情報を設定する無音部の条件判定部83cとを含む。
【0051】
図3に示されるように、入力すなわちA/V入力部41あるいはTEVチューナ部42から供給される映像信号と音声信号は、映像構造化処理部80p、任意区間検出処理部80qに入力される。
【0052】
それぞれに入力された映像信号および音声信号は、第1の区切り情報(構造化情報と称される)と、第2の区切り情報(任意区間情報と称される)は、チャプタ境界設定処理部80rに入力される。
【0053】
チャプタ境界設定部80rは、第1と第2の区切り情報を重ねた第3の区切り情報を得る。但し、所定の条件に当てはまるチャプタ分割点は、不採用とし、採用されたチャプタ分割点を記録装置13の管理情報に挿入する。
【0054】
図23は、チャプタ境界設定処理部80の動作をさらに詳細に説明している。
【0055】
任意の番組の時間方向(時刻の一連の変化、通常は積算)に対して、映像構造化処理部80pにより、c1、c2、…、c5のように、チャプタ分割点(第1の区切り情報)が検出されたとする。
【0056】
一方、同じ番組の時間方向に対して、任意区間検出処理部80qは、第2の区切り情報m1、m2、m3、m4を検出し、任意区間をm1とm2の間、とm3とm4の間に設定しているものとする。
【0057】
すると、任意区間(m1−m2)に、映像構造化処理部80pにより検出された区切り情報c3が存在する。このような場合、区切り情報c3を否採用とする。
【0058】
これにより、チャプタ分割点が、任意区間内(例えばステレオを音声が連続するような区間)に付加されることがない。任意の区間とは、例えば音声モードが変化せず連続している区間、あるいは、ステレオモードが連続している区間などである。さらには、所定帯域内の音声周波数が連続しているような区間である。
【0059】
なお、図2ないし図4に示したチャプタ境界設定処理部および任意区間検出処理部においては、図5に示すように、任意区間検出処理部80qを、CM区間検出用として用いることもできる。
【0060】
例えば、m1−m2の区間と、m3−m4の区間がCM区間として検出されたものとする。このCM区間(m1−m2)に、映像構造化処理部80pにより検出された区切り情報c3が存在するものとする。このような場合、区切り情報c3を否採用とする。これにより、CM区間内にチャプタ分割点が設定されることがない。
【0061】
実際に映像を記録する場合には、上述した図2〜図5によりCM部分を検出し、例えば図6(a)および(b)に示すように、2つに分割されたハードディスクドライブ部(HDD)201内の本編部分の記録に利用される部分(第1の記録領域の記録位置A)と付属する部分の記録に利用される部分(第2の記録領域の記録領域B)のそれぞれに、本編部分と付属する部分とを、順に記録すればよい。
【0062】
より詳細には、図8に示すように、ハードディスクドライブ部(HDD)201のハードディスクを初期化する際に、初期記録位置を設定する<81ブロック>。このとき、例えば記録領域を概ね中央(中心)付近で2つに分割し、先頭側の領域を記録領域A(第1の記録領域)、中央から最後までの領域を記録領域B(第2の記録領域)とする。この状態が、図6(a)に対応する。
【0063】
次に、2つに区分されたハードディスクの記録領域のうちの第1の記録領域(記録領域A)に、例えば本編部分を記録し、第2の記録領域(記録位置B)に、本編に付属する部分を記録すればよい<82ブロック>。この状態が、図6(b)に対応する。
【0064】
なお、ユーザから要求があった場合には、例えば記録領域B(第2の記録領域)に記録されている付属する部分が消去される<83ブロック>。この状態が、図6(c)に対応する。
【0065】
以下、実際の映像の記録においては、図9に示すように、上記図2〜図5に従って、本編部分(必ず再生されるであろう、本編データ)と付属部分(場合によっては再生されないかも知れない、付属データ)とが識別される<91ブロック:記録データの解析(本編データ/付属データ)>。
【0066】
続いて、<91ブロック>による判定の結果<92ブロック>を元に、本編部分と付属部分が、それぞれのデータの属性(本編/付属)に基いて、異なる記録位置に記録される<93ブロック(本編→記録位置Aから記録),94ブロック(付属→記録位置Bから記録)>。
【0067】
以下、予約された録画終了時間あるいは(ユーザにより)録画停止が指示されるまでの間、<91ブロック>〜<94ブロック>が繰り返されて、番組が録画される<95ブロック>。
【0068】
この方法により、本編部分のデータ及び付属部分のデータを一箇所にまとめて記録することが可能となる。また、付属部分のデータを削除した場合においても、ハードディスクの記録領域において、残ったデータが(細切れに、かつ比較的短い記録領域に)分割(細分化)された状態になることが防止される。
【0069】
図10は、図9に示した録画動作の別の実施の形態の一例を示す。
【0070】
図8及び図6を用いて、ハードディスクドライブ部(HDD)201の記録領域を、例えば2つに分割して、本編部分と付属部分とを別々に記録することは、既に説明したが、多くの場合、本編部分と本編部分に付属する部分とは、その長さ(時間的比率)が大きく異なり、また、通常の再生においては、特定の記録領域(本編部分)に高頻度でアクセスされることになるため、本編部分が記録される記録領域が劣化する、という記録済記録領域の不均一化(非平均化)が生じることになるが知られている。
【0071】
このため、図10に示すように、実際に映像を記録する場合には、ハードディスクドライブ(HDD)部201内のハードディスクの記録領域を、例えば2つに分割し、本編部分の記録に利用された記録領域の大きさが、予め割り当てられている記録領域A(第1の記録領域)の大きさに占める割合が所定の比率、あるいは予め設定された閾値を超えた場合に、本編部分の記録に割り当てられる記録領域(記録領域A)と付属する部分の記録に割り当てられる記録領域(記録領域B)とを入れ替える(以降、本編部分を記録領域Bに記録し、付属部分を記録領域Aに記録する)ことにより、ハードディスクの記録領域の均一な利用が促進される。
【0072】
より詳細には、図9の<95ブロック>において、指定された録画動作が終了した時点で、個々の記録領域(記録領域A,記録領域B)のそれぞれにデータが記録されている量を計算し<101ブロック:記録位置A,Bでの記録量の計算>、記録量(使用比率(または占有量)あるいは記録可能残量)の偏りが所定の値よりも大きいことが判断された場合<102ブロック:記録位置A,記録位置Bでの記録容量の使用比率に一定以上の偏りがある>、引き続く(次回の)記録時から、記録位置Aに記録するデータと記録位置Bに記録するデータとを入れ替える<103ブロック:記録位置A,Bを交換する>ことにより、記録済記録領域の不均一化(非平均化)すなわち偏りの発生を抑えることができる。
【0073】
なお、図7(a)〜(c)に示すように、記録位置A(第1の記録領域)と記録位置B(第2の記録領域)のそれぞれに対して記録容量の閾値Ca,Cbを設け、図11により説明するように、直前の記録(録画)終了時に、記録位置A、記録位置Bのそれぞれにおける記録済量を計算し<111ブロック:記録位置A,Bでの記録量の計算>、総記録量が閾値以上の値となった場合<112ブロック:記録位置Aでの記録量が閾値Ca以上>あるいは<113ブロック:記録位置Bでの記録量が閾値Cb以上(図7(b)が対応)>に達したことが検知された時点で、次の記録時の記録位置Aと記録位置Bを交替する<114ブロック:記録位置A,Bを交換する>ようにしてもよい。
【0074】
この場合、引き続いて、記録(録画)が繰り返されると、記録領域Bに関連づけて記録領域A内に移動された閾値Cbと、記録領域Aに関連づけて記録領域B内に移動された閾値Caとにより、さらにそれぞれの記録領域の記録量(使用比率(または占有量)あるいは記録可能残量)に偏りが生じることが抑止される。
【0075】
すなわち、図11に示した手法によっても、記録位置Aと記録位置Bの間で記録容量を平均化することが可能となる。
【0076】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、ハードディスク等の記録容量の大きな記録媒体にデータを記録する際に、記録領域内でデータ記録時の記録位置を変更することにより、ハードディスク内のフラグメントを抑制することが可能になり、記録用途に使用できない小容量の空きエクステントの発生を抑えることができる。これにより、ハードディスクに記録可能な容量(使用可能容量)を向上させることができる。
【0077】
また、記録量が平均化されることにより、記録する映像の種類や大きさに拘わりなく、ハードディスク(HDD)に代表される記録容量の大きな記録メディアを効率的に使用することが可能になる。
【0078】
さらに、情報の記録と再生において、記録領域の先頭に近い特定の記録領域における高頻度のアクセスが緩和され、記録領域の内の一部分が劣化することも、抑止される。
【0079】
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施の形態が適用される情報記録再生装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した映像記録装置に組み込まれるチャプタ境界設定処理部の実施形態の一例を示す概略図。
【図3】図2に示したチャプタ境界設定処理部による(1つの番組の)区分の方法の一例を説明する概略図。
【図4】図3に示したチャプタ境界設定処理部による(1つの番組の)区分の方法の別の一例を説明する概略図。
【図5】図4に示したチャプタ境界設定処理部による(1つの番組の)区分の方法のさらに別の一例を説明する概略図。
【図6】図1に示した情報記録再生装置において、HDD(ハードディスクドライブ)内の記録領域を複数(例えば2つ)に分割して、(録画対象の番組の)本編部分と付属部分とをそれぞれの記録領域に区分して記録する状態を模式的に示す概略図。
【図7】図1に示した情報記録再生装置において、HDD(ハードディスクドライブ)内の記録領域を複数(例えば2つ)に分割して、(録画対象の番組の)本編部分と付属部分とをそれぞれの記録領域に区分して記録するとともに、記録領域を変更して記録領域毎の使用率の不均一さを抑止する例を模式的に示す概略図。
【図8】図6に示したハードディスク内の記録領域を分割(区分)する手続きの一例を説明する概略図。
【図9】図8に示した手続きにより区分(分割)されたハードディスク内の記録領域への情報(データ)の記録の手続きの一例を説明する概略図。
【図10】図8に示した手続きにより記録された情報区分(分割)されたハードディスク内の記録領域への情報(データ)の記録に引き続く、記録領域の変更の手続きの一例を説明する概略図。
【図11】図8に示した手続きにより記録された情報区分(分割)されたハードディスク内の記録領域への情報(データ)の記録に引き続く、記録領域の変更の手続きの別の一例を説明する概略図。
【符号の説明】
【0081】
1…情報記録再生装置(映像録画装置)、30…主制御ブロック(システム制御部)、38…STC(システムタイムクロック)、41…A/V入力部、42…チューナ部、50…エンコーダ部、60…デコーダ部、80…チャプタ境界設定処理部、80p…映像構造化処理部、80q…任意区間検出処理部、101…ディスクドライブ部、111…データプロセッサ部、201…ハードディスクドライブ(HDD)部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録領域と第1の記録領域とは異なる第2の記録領域を有し、映像及びオーディオデータを保持する記録装置と、
入力された記録対象情報を、本編部分のデータと本編に付属する付属部分のデータとに区分する境界設定部と、
前記境界設定部により区分された本編部分のデータと付属部分のデータとを、それぞれ前記記録装置の第1の記録領域と第2の記録領域に記録する記録制御部と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記記録装置の第1の記録領域には本編部分のデータが記録され、前記記録装置の第2の記録領域には付属部分のデータが記録されることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記記録装置の第1の記録領域と前記第2の記録領域は、少なくとも一方の記録領域に記録されたデータの量に基いて、交換されることを特徴とする請求項1または2記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記記録装置の第1の記録領域と前記第2の記録領域は、それぞれ記録可能な記録容量に対する記録データ量の閾値を有し、いずれかの記録領域に記録されたデータが閾値に達した時点で、前記記録装置の第1の記録領域と前記第2の記録領域が交換されることを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
記録媒体の記録領域を初期化し、
初期化された記録領域を少なくとも2つの記録領域として管理可能に区分し、
記録対象であるデータを、第1のデータ群と、第1のデータ群に付属する第2のデータ群とに識別し、
識別されたそれぞれのデータ群を、区分された2つの記録領域に、順に記録する
ことを特徴とするデータ管理方法。
【請求項6】
第1のデータ群と第2のデータ群に区分されたデータは、少なくとも一方の記録領域に記録されたデータ量が所定の大きさに達した時点で、それまでに記録されていた記録領域とは異なる記録領域に記録されることを特徴とする請求項5記載のデータ管理方法。
【請求項7】
それぞれの記録領域は、記録可能な記録容量に対する記録データ量の閾値を有し、いずれかの記録領域に記録された記録データ量が閾値に達した時点で、第1のデータ群と第2のデータ群が記録される記録領域が交換されることを特徴とする請求項5記載のデータ管理方法。
【請求項1】
第1の記録領域と第1の記録領域とは異なる第2の記録領域を有し、映像及びオーディオデータを保持する記録装置と、
入力された記録対象情報を、本編部分のデータと本編に付属する付属部分のデータとに区分する境界設定部と、
前記境界設定部により区分された本編部分のデータと付属部分のデータとを、それぞれ前記記録装置の第1の記録領域と第2の記録領域に記録する記録制御部と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記記録装置の第1の記録領域には本編部分のデータが記録され、前記記録装置の第2の記録領域には付属部分のデータが記録されることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記記録装置の第1の記録領域と前記第2の記録領域は、少なくとも一方の記録領域に記録されたデータの量に基いて、交換されることを特徴とする請求項1または2記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記記録装置の第1の記録領域と前記第2の記録領域は、それぞれ記録可能な記録容量に対する記録データ量の閾値を有し、いずれかの記録領域に記録されたデータが閾値に達した時点で、前記記録装置の第1の記録領域と前記第2の記録領域が交換されることを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
記録媒体の記録領域を初期化し、
初期化された記録領域を少なくとも2つの記録領域として管理可能に区分し、
記録対象であるデータを、第1のデータ群と、第1のデータ群に付属する第2のデータ群とに識別し、
識別されたそれぞれのデータ群を、区分された2つの記録領域に、順に記録する
ことを特徴とするデータ管理方法。
【請求項6】
第1のデータ群と第2のデータ群に区分されたデータは、少なくとも一方の記録領域に記録されたデータ量が所定の大きさに達した時点で、それまでに記録されていた記録領域とは異なる記録領域に記録されることを特徴とする請求項5記載のデータ管理方法。
【請求項7】
それぞれの記録領域は、記録可能な記録容量に対する記録データ量の閾値を有し、いずれかの記録領域に記録された記録データ量が閾値に達した時点で、第1のデータ群と第2のデータ群が記録される記録領域が交換されることを特徴とする請求項5記載のデータ管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−15887(P2009−15887A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173036(P2007−173036)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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