説明

情報記録再生装置

【課題】 ビデオカメラに搭載する記録媒体のハードディスクの大容量化を図りながら小型で信頼性の高いビデオカメラを提供する。
【解決手段】記録媒体であるハードディスクをハンドグリップ部に搭載させる構成において、光ディスクカバーにハードディスクカバーをスライド方向で契合、契止し。前記記録媒体カバーの契止部材による契止状態を外部から特定の解除部材によってのみ契止解除可能とされる内部空間に載置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
「一般に従来の撮像装置では、カセットテープとカセットテープ以外の記録媒体、すなわち異なる種類の記録媒体を持つものにおいては、使用者は一方の記録媒体を取り出したいにも関らず、カセットカバーを開くたびに他方の記録媒体が出てくる。そのため操作がしづらく、また他方の記録媒体の収納部が作動し、他方の記録媒体が出てくることに伴って無駄な電力を消費する。」という課題を、
「本発明の撮像装置は、複数の撮影モードを有し、撮影モードに対応する異なる種類の着脱可能な記録媒体を持つ撮像装置であって、撮影モードに応じて、一方の記録媒体の着脱動作を禁止する」という手段を用いて解決することが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−193678号公報((0004)(0006)参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ビデオカメラは、ディジタル記録技術の開発に伴なって情報の記録媒体を多様化する状況にある。すなわち、記録媒体は、ビデオテープのみならず、光ディスク、ハードディスク、メモリカード等種々の媒体をそれぞれの特徴を生かして搭載され、しかも、ビデオカメラは、複数の記録媒体を組み合わせて搭載することにより記録、保存等の使い勝手を向上させている。
【0005】
このように複数の記録媒体を用いるビデオカメラは記録、保存等の使い勝手が向上するが、それぞれの記録媒体の故障等に迅速に対応すべく、メンテナンスの容易性の確保も必要とされる。
【0006】
この点、特許文献1では複数の記録媒体を搭載するビデオカメラについての記載はあるものの、各記録媒体のメンテナンス容易性の確保については考慮されていない。
【0007】
さらに、複数の記録媒体を搭載することや、ビデオカメラに内蔵するハードディスク容量を大容量化することはビデオカメラの大型化のおそれがあるが、特許文献1ではビデオカメラ小型化のための各記録媒体搭載位置や、配置についての考慮がされていない。
【0008】
そこで、本発明ではこれらの課題を解決できるビデオカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では一例として特許請求の範囲記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使い勝手のよいビデオカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。 図1は、本発明におけるビデオカメラの概要を示す外観斜視図である。図2は、本発明におけるビデオカメラにおいて、記録媒体である光ディスクを装着するために記録媒体カバーを開いた状態を示した外観斜視図である。図8は従来のビデオカメラの概要を示す外観斜視図である。 図1、図2、図8におけるビデオカメラ1は、記録媒体として光ディスク2、およびハードディスク3を搭載するものであり、図2において示すように、光ディスク2は、ビデオカメラ1の本体に装着し、ハードディスクは、記録媒体カバー5内に例えば精密ドライバー等の特別の工具によって取り出せるように一体的に保持されている。光ディスク2の直径は約80mmである。
【0012】
ビデオカメラ本体側の筐体4には、被写体を光学的に入射する光学レンズ部6、撮影時・再生時に映像等を表示するビューファインダ7、および液晶表示部8(図面の背面側に配置されて記載の無い)などをメカフレーム(図示せず)を介して保持している。さらには、ビデオカメラ本体側の筐体4には、光ディスク2を本体に装着するために開閉自在とされた記録媒体カバー5を保持している。光ディスク2のビデオカメラ1への着脱は、従来の記録媒体の着脱と同様に記録媒体カバー5の開閉によって、ビデオカメラ1の光ディスク2の装着部材に着脱して行う構成である。ここで、本発明の記録媒体の1つであるハードディスク3の設置は、ビデオカメラ1の小型化のために、記録媒体カバー5内に設けている。
【0013】
図8のビデオカメラでは、1インチ型のハードディスクが使用されており、その外形の概略寸法は図示の通りである。また、ハードディスクは光ディスクカバー51とハードディスクカバー52により形成される空間に固定されている。ハードディスクカバー52を固定するために使用されているネジのうち、光ディスク2の記録面と垂直方向のネジは図示の通り58a、62、63の3本である。ネジ58aはハードディスクカバー52の外側から設置し、ネジ62、63は光ディスクカバー51側から設置される。それぞれのネジはハードディスクの面より外側に配置される。
【0014】
このように、従来の1インチ型のハードディスクであれば、対角線の寸法が約50mmであり、光ディスク2の直径より小さい。そのため、光ディスク2の記録面と垂直方向にネジを複数設けてもビデオカメラ全体を大型化することなくハードディスクカバー52を固定することができていた。
【0015】
一方、本発明で用いる1.8インチ型ハードディスクの外形の概略寸法を図1に示す。このように、本発明で用いるハードディスクは対角線の寸法が約89.2mmとなり、光ディスク2の直径よりも大きくなる。そのため、1.8インチ型ハードディスクを用いる場合に、光ディスク2の記録面と垂直方向にネジを複数設けるとビデオカメラ全体が大型化することとなる。
【0016】
そこで、本発明のハードディスク3の装着状態を説明する。図3は、本発明の記録媒体の1つであるハードディスク3を搭載する記録媒体カバー5を示す外観斜視図である。図4は、図3の記録媒体カバー5の内側からみた斜視図である。図5は、本発明における記録媒体カバー5の分解斜視図である。
【0017】
図5に示すように、記録媒体カバー5は、光ディスクカバー51とハードディスクカバー52とで構成され、ハードディスク3は、周辺部を緩衝部材54によって保持された状態で、光ディスクカバー51とハードディスクカバー52で挟持するようにして内蔵した一体構成である。さらに記録媒体カバー5を本体側の筐体4に対し回動自在に開閉するための回動支持部材55が、図示しないネジ等によって記録媒体カバー5に一体に契合している。また、光ディスク2と回動支持板55の間には、光ディスク2との接触を回避するための緩衝部材59を貼付している。
【0018】
ここで、ビデオカメラ1の撮影にあたってビデオカメラ1の支持は、液晶表示装置の取り付け面と、反対面に取り付けられているハンドグリップバンド9によって行う。ハンドグリップバンド9の下から手を通して、記録媒体カバー5のハードディスクカバー52を手の平で包み込むようにし、光ディスクカバー51の上辺部に指の先端を沿えながら、ハンドグリップバンド9によって手の甲側を押させることによりなされる。搭載されるハードディスク3の記録容量はできる限り大きくすることによってビデオカメラ1の使用態様を拡大できることから、極力大きなディスクサイズのハードディスクを搭載させることが好ましい。ただ、前述するように、ハードディスクの配置場所は、ビデオカメラ1を支持するハンドグリップ部分とされるが搭載されるハードディスクが手による支持方法によって限定され難い構成とすることが望まれる。
【0019】
図3に示されるように、ハードディスクカバー52を白抜き矢印の示す方向よりスライドさせて光ディスクカバー51と契合する構造としている。すなわち、契合するスライド方向は、ハンドグリップを握る方向と直交する方向である。ハードディスクカバー52のスライド方向の後方部には複数個の契合爪56を設けている。ハードディスクカバー52の契合爪56は、光ディスクカバー51に設けられている被契合部材57と契合して,互いに位置決めされて保持される。その契合後にハードディスクカバー52のスライド方向の前端部において、ネジ58bにより螺合している。このようにハードディスクを載置したハンドグリップ部におけるハードディスクカバー52と光ディスクカバー51との契合を手で握る方向と直交させることにより、変形等によって契合が緩むことを回避させることができ、ハードディスク装着状態を安定にすることが可能である。
【0020】
図6は、ハードディスクカバー52を取り外した状態のビデオカメラの外観図である。図中、光ディスクの外形と、光ディスクカバー外周端を破線で示している。図7は、ハードディスクカバーが設置されている状態での図6のAA’間の断面図を簡易的に示した図である。
【0021】
このように、ハードディスクカバーから従来のネジ62、63を排除し、契合爪56を57と契合させることにより、ハードディスクカバーと光ディスクカバーの外周端を一致させ、ハードディスク固定部材の省スペース化を図ることができる。そのため、1.8インチ型のハードディスク、すなわち光ディスクの直径より大きい寸法を有するハードディスクを安定にビデオカメラに設置しつつ、ビデオカメラ全体の大型化を防止することが可能となる。このようにして、ハードディスクの大容量化と、ビデオカメラの大型化防止を両立することができる。
【0022】
さらには、光ディスクカバー51とハードディスクカバー52との契止は、スライドによって自動的に回動する契止部60によって行われる。ここで、前述の契合爪56は弾性変形をすることなく57と契合する部材であるのに対し、契止部60も爪状の部材であるが、契止される際に一度弾性変形してから光ディスクカバー51と契止される部材である。ハードディスク3の故障等によってハードディスク3の取り外しを必要とする場合には、例えばピンセット等の先端が鋭い特定の工具を緩衝部材59に設けられた2個の穴61に差し込んで、光ディスクカバー51に設けられた開口を通して契止部60の光ディスクカバー51とハードディスクカバー52の契止を解除可能にしている。この構成は、ユーザによって間違えてハードディスク3の離脱を行われないようにしたものであり、ハードディスク3の装着に関する安全性を確保している。
【0023】
また、従来のビデオカメラと比較して、ハードディスクカバーの固定に用いていたネジ62、63を排除し、爪状の契止部60を用いて固定しているため、ハードディスクカバーの着脱が容易となる。これにより、例えばハードディスク故障時等、ハードディスクカバーを取り外さなければならない場合のメンテナンスの容易性が確保できる。
【0024】
上記の構成によって、ハードディスクドライブを搭載したビデオカメラにおいて、ユーザによってハードディスクドライブの着脱を回避するとともに、ハードディスクの故障時に修理可能なように取り外し可能としながら、小型で、信頼性を有するビデオカメラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明におけるビデオカメラの概要を示す外観斜視図である。
【図2】本発明のビデオカメラにおいて、記録媒体である光ディスクを装着するために記録媒体カバーを開いた状態を示した外観斜視図である。
【図3】本発明の記録媒体の1つであるハードディスクを搭載する記録媒体カバーを示す外観斜視図である。
【図4】本発明における図3の記録媒体カバー5の内側からみた斜視図である。
【図5】本発明における記録媒体カバー5の分解斜視図である。
【図6】本発明におけるビデオカメラの外観図である。
【図7】本発明におけるビデオカメラの断面図である。
【図8】従来のビデオカメラの外観斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ビデオカメラ
2 光ディスク
3 ハードディスク
4 本体側筐体
5 記録媒体カバー 51 光ディスクカバー 52 ハードディスクカバー
54 緩衝部材 55回動支持部材 56 契合爪 57 被契合部材
58a、58b、62、63 ネジ 59緩衝部材 60契止部
6 光学レンズ部
7 ビューファインダ
8 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を記録する記録媒体としてハードディスクと、光ディスクとを搭載するビデオカメラにおいて、
前記ビデオカメラの筐体は、本体側筐体と、前記本体側筐体に回動自在に開閉される記録媒体カバーとで構成され、
前記記録媒体カバーは、光ディスクカバーにハードディスクカバーをスライドさせて嵌合し、契合部材によって契止する構造となし、
前記光ディスクは、前記記録媒体カバーを回動によって開閉し、前記ビデオカメラの本体側筐体内に着脱自在に載置され、
前記ハードディスクは、前記光ディスクカバーと前記ハードディスクカバーとで構成された内部空間に、前記記録媒体カバーの契止部材による契止状態を外部から特定の解除部材によってのみ契止解除可能とされる状態で載置された
ことを特徴とするビデオカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオカメラにおいて、
前記光ディスクカバーと前記ハードディスクカバーの契合は、前記ハードディスクカバーを前記光ディスクに設けられた案内部材を介し、スライド操作によって前記光ディスクカバーに対し契合離脱する構造とし、
前記光ディスクカバーのスライド方向の後方部分において前記光ディスクカバーと契合する爪部材を設け、スライドによって所定位置に契合された状態で、少なくとも前記ディスクカバーのスライド方向の前方においてネジにより螺合して契合する
ことを特徴とするビデオカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のビデオカメラにおいて、
前記ハードディスクカバーのスライド方向は、ハンドグリップの握り方向と略直交する方向である
ことを特徴とするビデオカメラ。
【請求項4】
ハードディスクを駆動するハードディスクドライブと、光ディスクを駆動する光ディスクドライブとを有する情報記録再生装置であって、
本体筐体と、記録媒体カバーとを有し、
前記光ディスクは前記本体筐体と前記記録媒体カバーの間に着脱自在に載置され、
前記記録媒体カバーは光ディスクカバーとハードディスクカバーを有し、前記本体筐体に対して回動して開閉するように設置され、
前記ハードディスクと平行な面の対角線寸法が前記光ディスクの直径より長い前記ハードディスクドライブは前記光ディスクカバーと前記ハードディスクカバーの間に設置され、かつ、前記ハードディスクカバーは前記光ディスクカバーにスライドして嵌合するツメ部を有し前記ハードディスクカバーと前記光ディスクカバーの外周端が一致するように前記ツメ部により嵌合して設置されることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項5】
請求項4記載の情報記録再生装置であって、
前記本体筐体は制御基盤を有し、
前記記録媒体カバーが開閉するヒンジ部に前記ハードディスクドライブと前記基盤とを接続する回線が配置されたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項6】
請求項4記載の情報記録再生装置であって、
前記光ディスクドライブの回転中心と前記ハードディスクの回転中心とがずれていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項7】
請求項4〜6いずれか一項記載の情報記録再生装置であって、
前記ハードディスクドライブは1.8インチ型ハードディスクドライブであることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項8】
請求項4〜7いずれか一項記載の情報記録再生装置であって、
前記光ディスクの直径は80mmであることを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−141445(P2008−141445A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325137(P2006−325137)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】