情報記録再生装置
【課題】 映画等のコンテンツに様々な付加価値を付けることが可能な記録再生システムを得る。
【解決手段】 可換媒体1に記録された第1のデータを再生する再生手段2と、前記第1のデータに対応する第2のデーターを記録した記録再生手段3と、前記再生手段または前記記録再生手段を制御するCPU9とを備えた情報記録再生装置100であって、前記CPUは、前記第1のデータと前記第2のデータに基いて、仮想ファイルシステムを構築可能とした情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】 可換媒体1に記録された第1のデータを再生する再生手段2と、前記第1のデータに対応する第2のデーターを記録した記録再生手段3と、前記再生手段または前記記録再生手段を制御するCPU9とを備えた情報記録再生装置100であって、前記CPUは、前記第1のデータと前記第2のデータに基いて、仮想ファイルシステムを構築可能とした情報記録再生装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、情報記録再生装置および情報記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを提供する環境は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)といった物理メディアの提供から、インターネット等によるデータ配信へと変わりつつある。また、情報記録再生装置100は従来の映画の単純な再生だけではなく、様々なアプリケーションの実施が可能となり、映画等のコンテンツに付加価値を高めることが可能になった。
例えば特許文献1においては、メニュー画面からユーザーのリクエストを受けつけ、Titleクラスのインスタンスに対応したリンクを選択することで、サーバに記録された所望の映画等を選択できる。そして、各タイトル毎にリンク先情報を有することで、実際に有効なリンク先だけが再生時に有効となる構成を取っている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−369154(第8、9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、映画等の主コンテンツに付加的なコンテンツを付属させることで主コンテンツの付加価値を高めることが可能である。そして、これらのコンテンツ情報を保存する情報記録再生装置のメモリ容量の制限や付加的なコンテンツの時間的な有効性等の理由により、この付加的なコンテンツを削除する必要性が生じる場合がある。このような場合、付加的なコンテンツを単に削除すると、有効でないリンク先が再生時に残ってしまい、ユーザに誤解や装置の不良が生じた等の不安感を与える場合がある。また、付加的なコンテンツを削除する際、必要なコンテンツを誤って削除してしまうことがあった。本発明は、上記のような課題を解決する情報記録再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
可換媒体に記録された第1のデータを再生する再生手段と、前記第1のデータに対応する第2のデーターを記録した記録再生手段と、前記再生手段または前記記録再生手段を制御するCPUとを備えた情報記録再生装置であって、前記CPUは、前記第1のデータと前記第2のデータに基いて、仮想ファイルシステムを構築可能とした情報記録再生装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明における情報記録再生装置は上記のように構成されているので、可換媒体に記録された第1のデータに様々な付加価値をつけることがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における情報再生装置100の構成を示すブロック図である。図1において、1は所定のデータ(例えば、当該情報再生装置100の制御に必要な制御データ、映像または音声のデータ等)が記録された光ディスク、2は光ディスク1に記録されたデータを読み出すドライブ、3は光ディスク1と関連するデータが蓄積されたハードディスク・ドライブ(以下、HDDという)である。また、4はドライブ2、またはHDD3によって読み出されたデータをビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータに分離するデマルチプレクサ、5はオーディオデータを復調(以下、デコードという)するオーディオデコーダ部、6はビデオデータをデコードするビデオデコーダ部、7はグラフィックデータをデコードするグラフィックデコーダ部、8はビデオデータをデコードして得られる映像と、グラフィックデータをデコードして得られる画像とを重畳するビデオ重畳部である。9は、上記の各構成を制御するCPUであり、各構成に制御コマンドを送ると共に、各構成のステータスのモニタ等も行なっている。尚、図1においては、CPU9から出される制御信号等は省略した。
【0008】
次に動作について説明する。
図1において、ドライブ2は、光ディスク1に記録されたデータを読み出して、デマルチプレクサ4に出力する。またHDD3から読み出されたデータも同様にデマルチプレクサ4に出力される。なお、ドライブ2およびHDD3から出力されるデータは、光ディスク1およびHDD3に記録された映像(以下、ビデオという)に対応する前記ビデオデータ、当該ビデオデータに対応する音声の情報であるオーディオデータ、およびこのビデオデータに対応する映像に重畳される画像(以下、グラフィックという)のデータであるグラフィックデータがパケット化され、多重化されたデータである。
【0009】
デマルチプレクサ4は、入力されたデータをビデオデータ、オーディオデータおよびグラフィックデータに分離する。そして、オーディオデータをオーディオデコーダ部5に、ビデオデータをビデオデコーダ部6に、グラフィックデータをグラフィックデコーダ部7にそれぞれ出力する。なお、デマルチプレクサ4は、パケット化された各データの先頭に記述された識別子に従ってこの分離動作を行なう。
【0010】
オーディオデコーダ部5は、入力されたオーディオデータをデコードして図示しない音声出力手段に出力する。また、ビデオデコード部6は、入力されたビデオデータをデコードしてビデオ重畳部8に出力する。また、グラフィックデコーダ部7は、入力されたグラフィックデータをデコードしてビデオ重畳部8に出力する。
【0011】
ビデオ重畳部8は、ビデオデコード部6においてビデオデータをデコードして得られるビデオと、グラフィックデコーダ部7においてグラフィックデータをデコードして得られるグラフィックとを重畳して図示しない表示手段に出力する。
【0012】
図2は、光ディスク1またはHDD3に記録された、コンテンツのディレクトリ構造図である。10は、ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータが多重化されたプレゼンテーション・ファイルであり、“STREAM”はプレゼンテーション・ファイルが格納されているフォルダの名称である。11はプレゼンテーション・ファイルのデータ構造が記述された、ストリーム情報ファイルであり、“STREAM_IFO”はストリーム情報ファイルが格納されているフォルダの名称である。また前記、プレゼンテーション・ファイル10と前記ストリーム情報ファイル11は一対一で対応している。12は、タイトルの構成が記述されたタイトル・ファイルであり、“TITLE”はタイトル・ファイルが格納されているフォルダの名称である。13はタイトル・ファイルの再生に必要な、コマンドが記述されたプログラム・ファイルである。
【0013】
図3は、プレゼンテーション・ファイル10の構造を示すストリーム構成図である。ストリームはパケットと呼ばれる固定長のデータ単位により構成されている。ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータは、このパケット単位に分割された後、多重化されストリームを構成する。それぞれのパケットの先頭にはヘッダ領域があり、ヘッダ情報に記述されたID(Identification)により、パケット内のデータ識別を行う。デマルチプレクサ4は、このIDを識別して、ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータに分離する。
【0014】
図4は、ストリーム情報ファイル11のシンタックスを示す図である。“Start_PTS”は対象となるプレゼンテーション・ファイル10の最初のビデオフレームのPTS(Presentation_Time Stamp)を示し、“End_PTS”は最終のビデオフレームのPTSを示す。“num_of_video”、“num_of_audio”、“num_of_graphics”は、プレゼンテーション・ファイル10に多重化されたビデオ、オーディオ、グラフィックの数を示す。次の3つのループ文(for以下)は、“num_of_video”、“num_of_audio”、“num_of_graphics”の数だけ繰り返され、“packet_ID”はそれぞれのストリームの割り当てられるパケットのIDが記述される。“entry_map()”には、頭出し再生に必要となる情報が記述される。例えばビデオデータがMPEG2でエンコードされている場合、GOP(Group of Picture)の先頭が、頭だしポイントに相当する。本実施例ではプレゼンテーション・ファイル10のどのパケットに、GOPの先頭が存在するかが記述されている。“num_of_entry”は、頭出しポイントの総数、“entry_packet_num”は、プレゼンテーション・ファイル10の先頭からGOPの先頭までの相対パケット数である。パケットは固定長であることから、ファイルの先頭からGOP先頭までの相対バイト数は、“entry_packet_num“の値とパケット当たりのバイト数を掛けた値から算出できる。情報再生装置100は、ファイルの先頭からのバイト数から、ディスク上の頭出しポイントの位置を割り出し、頭出し再生を行う。
【0015】
図5は、タイトルの構成を示した図である。タイトルとは、プレゼンテーション・ファイル10の所定の区間が複数集まったものであり、一つのプレゼンテーション・ファイル10内の複数区間から構成される場合や、いくつかのプレゼンテーション・ファイル10のそれぞれの所定の区間から構成される場合等様々である。図6は、タイトル・ファイル12のシンタックスを示す図である。“num_of_stream”は、タイトルを構成するプレゼンテーション・ファイル10の総数、次のループ文は“num_of_stream”の数だけ繰り返される。タイトルは一つ以上のプレゼンテーション・ファイル10の所定区間から構成されており、“stream_name”は再生の対象となるプレゼンテーション・ファイル10のファイル名を示し、“In_time”“Out_time”はタイトルで再生されるプレゼンテーション・ファイル10の所定区間の再生開始時間と再生終了時間を示す。本実施例ではビデオデータのPTS(Presentation Time Stamp)を“In_time”、“Out_time”としている。“Start_packet_num”、“End_packet_num”は“In_time”、“Out_time”で指し示されるビデオフレームの、プレゼンテーション・ファイル10の先頭からの相対的なパケット数を示す。これらの情報から、情報再生装置100はプレゼンテーション・ファイル10のどの部分を再生すればよいのかを判断することができる。“num_of_video”、“num_of_audio”、“num_of_graphics”は、再生に利用するビデオ、オーディオ、グラフィックの数を示す。ストリーム情報ファイル11中にも同様のパラメータが存在するが、このストリーム情報ファイル11中のパラメータは、プレゼンテーション・ファイル10中に存在する、ビデオ、オーディオ、グラフィックの総数を指し示すのに対し、タイトル・ファイル12中のそれは、プレゼンテーション・ファイル10中のビデオ、オーディオ、グラフィックの中で、再生に利用する総数を指し示す点が異なる。続く、三つのループ文は、図4で説明したループ文と同様のため説明を省略する。
【0016】
図7は、プログラム・ファイル13のシンタックスを示す図である。“menu_title_file_name”は、ユーザーがメニューキーを押下した時に表示されるメニュー画面を表示するタイトル・ファイル名を示す。“num_of_program”はプログラムの総数を示し、次のループ文は“num_of_program”の数だけ繰り返される。“Command()”はディスクの再生に必要なコマンドの集合体を示す。メニュー画面が存在しないディスクの再生を行う場合に、この“Command()”に記述されたシーケンスに従って再生が行われる。
【0017】
図8はHDD3内のディレクトリ構造である。HDD3には、光ディスク1のコンテンツに関連した追加のデータが記録される。これらの追加のデータは例えばインターネット経由や、情報再生装置100に接続されたストレージ機器からHDD3に記録されるものである。本実施の形態では、追加コンテンツ等の付加的データの供給元については特に言及はしない。ここで付加的データとは、光ディスク1に関連するデータであり、映画に対する予告編等がこれに相当する。14はディスク単位でデータを仕分けるためのディスク・フォルダで、ある光ディスク1に関連したコンテンツのデータはすべてこのフォルダに記録されている。ディスク・フォルダ14の中の構造は、前述した光ディスク1のディレクトリ構造とほとんど同じであるため、説明は省略する。また、図8において、図2と同種のファイルに対しては、同一の図番を付している。但しHDD3のディスク・フォルダ内には、プレゼンテーション・ファイル10、ストリーム情報ファイル11、タイトル情報ファイル12のすべてのフォルダが存在するとは限らなず、一部のファイルが存在しない場合もある。特に、光ディスク1におけるファイル構成と異なる点は、付加的データを削除するのに利用する削除情報ファイル15(“delete.ifo”)の存在である。この削除情報ファイル15の説明は後で詳細に説明する。
【0018】
次に、光ディスク1内のコンテンツが再生される手順について説明をする。図9の10〜13は光ディスク1内のファイル構成の一例を示す。図6において示したシンタクスにおいて、“00001.title”、“00002.title”、“00003.title”の“num_of_stream”はそれぞれ“1”が設定されており、それぞれの”stream_name“には”00001.strm“、”00002.strm“、”00003.strm“が割り当てられている。また”program.cmd“の“menu_title_file_name”には“00001.title”が割り当てられている。この光ディスク1を情報再生装置100で再生すると、まずメニュー画面表示用に関連付けられた“00001.title”、即ち“00001.strm”の読み出しが開始される。読み出されたデータはデマルチプレクサ4で、“00001.title”で指定されたパケットIDに従って分離され、必要なデータのみがビデオデコーダ部5、オーディオデコーダ部6、グラフィックデコーダ部7に送られる。ビデオデコーダ部5でデコードされた映像と、グラフィックデコーダ部7でデコードされた映像は、重畳部8で合成され出力される。図10は重畳部8から出力されたメニュー画面18である。メニュー画面18の中には二つのボタン、ボタンA16およびボタンB17が表示されているが、これらボタンはグラフィックデータから作られており、背景の映像はビデオデータから作られている。ここで、ボタンA14には、“00002.title”を再生するコマンドが関連付けられており、ボタンB15には、“00003.title”を再生するコマンドが関連付けられている。ユーザーがボタンA16を選択すると、“00002.title”、即ち“00002.strm”が光ディスク1より読み出され、再生が行われ、ボタンB17が選択されると、“00003.title”、即ち“00003.strm”が光ディスク1より読み出され、再生が行われる。
【0019】
次に、HDD3に記録された付加的データの再生方法について説明をする。情報再生装置100が光ディスク1の中の情報と、HDD3の中の情報の両方を使って再生を行うには、HDD3の中のデータがあたかも光ディスク1の中にあるかのように、取り扱う仕組みが必要である。本実施の形態では、これを仮想ファイルシステムと呼ぶ。
【0020】
図11を用いて、光ディスク1の中のファイルと、HDD3の中のファイルから、仮想ファイルシステムを構築する方法について説明を行う。19は光ディスク1のディレクトリ構造、20はHDD3の中のディレクトリ構造、21は仮想ファイルシステムのディレクトリ構造を示す。HDD3のプレゼンテーション・ファイル10には、“00001.strm、“00004.strm”、“00005.strm”が存在するが、“00001.strm”に関しては光ディスク1にも同じファイル名が存在する。同じファイルが存在する場合は、HDD1側のファイルを優先させ、仮想ファイルシステムでのプレゼンテーション・ファイル10は、HDD3の中の“00001.strm”、“00004.strm”、“00005.strm”と光ディスク1の中の、“00002.strm”、“00003.strm”の5個のファイルで構成される。ストリーム情報ファイル11はプレゼンテーション・ファイル10と一対一のペアであるため、HDD3の中の“00001.ifo”、“00004.ifo”、“00005.ifo”と光ディスク1の中の、“00002.ifo”、“00003.ifo”の5個のファイルで構成される。タイトル・ファイル12は、HDD3の中の“00001.title”、“00004.title”、“00005.title”と光ディスク1の中の“00002.title”、“00003.title”の5個のファイルで構成される。プログラム・ファイル13はHDD3の中の“Program.cmd”が、仮想ファイルシステムのプログラム・ファイル13として扱われる。以上のように仮想ファイルシステムは構築され、情報再生装置100から、光ディスク1の中のファイルとHDD3の中のファイルは、あたかも一つのディスクの中に存在するかのように扱われる。
【0021】
次に、構築された仮想ファイルシステムの再生方法について説明する。仮想ファイルシステム内のファイルの内、光ディスク1に存在するファイルの再生手順については、既に説明した光ディスク1内のコンテンツの再生の説明と全く同様であるため、説明を省略する。仮想ファイルシステム内の、“00001.title”、“00004.title”、“00005.title”は新たに追加されるタイトル・ファイルである。“00001.title”、“00004.title”、“00005.title”の“num_of_stream”はそれぞれ“1”が設定されており、それぞれの”stream_name“には、”00001.strm“、”00004.strm“、”00005.strm“が割り当てられている。情報再生装置100の再生ソフトウェアは、まず”program.cmd“の中の“menu_title_file_name”に割り当てられた“00001.title”の再生を開始する。“00001.title”に割り当てられた“00001.strm”は、HDD3に存在するファイルであり、HDD3から“00001.strm"の読み出しが開始され、デマルチプレクサ4に送られる。デマルチプレクサ4以降の動作については、光ディスク1からの読み出しと同様であるため、説明を省略する。
【0022】
図12は仮想ファイルシステムの”00001.strm“を再生した時の、メニュー画面である。メニュー画面には、ボタンA22、ボタンB23、ボタンC24およびボタンD25の合計4個のボタンが表示されている。ここで、ボタンA22には、光ディスク1の中の“00002.title”を再生するコマンドが関連付けられ、ボタンB23には、光ディスク1の中の“00003.title”を再生するコマンドが関連付けられ、ボタンC24には、HDD3の中の“00004.title”を再生するコマンドが関連付けられ、ボタンD25には、HDD3の中の“00005.title”を再生するコマンドが関連付けられている。ユーザーがボタンA22を選択すると、光ディスク1の“00002.strm”ファイルが再生され、ボタンD25を選択すると、HDD3の“00005.strm”が再生される。よって、ユーザーは、光ディスク1に再生しているファイルが存在しているのか、HDD3に存在しているのかを意識することなく再生を行うことができる。
【0023】
以上、コンテンツをHDD3に追加記録して再生をする方法について説明をしたが、HDD3の容量には制限があり、新しいコンテンツを記録するために、過去に記録したコンテンツを削除する必要が生じる。ここでは、HDD3に追加記録したデータを削除する方法について説明する。図13は、HDD3の中のタイトルを削除するために必要となる情報が記述された削除情報ファイル15のシンタックスである。“title_txt_info()”は、タイトルを削除する際に、ユーザーがタイトルの内容を確認できるためのテキスト情報を記述する領域である。“char_code”はテキスト情報のキャラクター・コードが記述される。“txt_length”はテキスト情報に使われるデータの総バイト数であり、“text_data()”は“text_length”に記述されたバイト数のテキスト情報が記述される。“num_of_added_title”はHDD3に追加されたタイトルの数を示し、次のループ文は“num_of_added_title”の数だけ繰り返される。ループ内の“title_file_name”には、追加となっているタイトル・ファイル12のファイル名が記述される。“num_of_stream_file”には、タイトル・ファイル12に関連するプレゼンテーション・ファイル10の数が記述され、次のループ文は“num_of_stream_file”の数だけ繰り返される。“stream_file_name“には、プレゼンテーション・ファイル10の名前が記述される。この削除情報ファイルから、情報再生装置100はそれぞれのタイトルに関連するファイルを知ることができ、関連したファイルの削除を行うことでタイトル削除を行う。図14は削除情報ファイル15の一例であるが、例えば”00005.title“の”num_of_stream_file“は”1“であり、そのプレゼンテーション・ファイルは”00005.strm“である。よって”00005.title”を削除するには、“00005.strm”と、このファイルと対にある“00005.ifo”を削除することで、タイトルの削除が行われる。
【0024】
以上、説明した手順でタイトルの削除が行われる訳であるが、タイトルは削除された後においても、メニューを表示するためのタイトルである“00001.title”は、タイトルを削除する以前のファイルのままである。そのため、タイトルを削除した後においても、削除前のメニュー画面18が、削除後においても表示されてしまう。例えば、図11の仮想ファイルシステムにおいてHDD3にある“00005.title”を削除した後に、ユーザーが図12のメニュー画面18において、ボタンA22を選択したとしても、ボタンA22に関連付けられた“00005.title”が存在しないため再生が行われないといった不整合が生じてしまう。ユーザーがタイトルを削除した直後であれば、削除したことを覚えているため問題はないが、削除してから時間が経過した後や、別のユーザーが再生したときには、光ディスク1または情報再生装置100に問題があると、誤解されてしまう恐れがある。このような不整合が生じないようにする方法について、図15、図16を用いて説明をする。
【0025】
図15は、上記不整合を解決するためのHDD3の中のファイル構成を示した図である。追加タイトルの条件は、図11で説明したHDD3のファイル構成と同じである。異なる点はプレゼンテーション・ファイル10に“00001.strm”の代わりに“00001_1.strm”、“00001_2.strm”、“00001_3.strm”の3つのファイルが用意されている点である。 “00001_1.strm”は、追加したタイトルが何一つ削除されていない時に、結合するプレゼンテーション・ファイル10、“00001_2.strm”は“00004.title”が削除された場合に結合するプレゼンテーション・ファイル10、“00001_3.strm”は、“00005.title”が削除された場合に結合するプレゼンテーション・ファイル10である。例えば、“00005.title”が削除されると、“00001_3.strm”が“00001.strm”として結合され、仮想ファイルシステムは図16に示すような構成となる。この仮想ファイルシステムで再生が行われると、メニュー画面18としては、HDD3にある“00001_3.strm”が読み出され再生が行われる。図16は“00001_3.srtm”を再生した画面であり、“00002.title”にリンクしたボタンA26と“00003.title”へリンクしたボタンB27と、“00005.title”へリンクしたボタンC28の3つのボタンが表示される。以上のように、予めタイトルが削除されることを想定したメニュー画面18を複数用意しておき、最適なメニュー画面18を仮想ファイルシステムに結合することで、削除されたタイトルにリンクしたボタンの表示がされないメニュー画面18が再生される。次に、複数存在するメニュー表示用のプレゼンテーション・ファイル10から適切な、ファイルを選択して、仮想ファイルシステムに結合する方法について説明をする。
【0026】
図17は、この仮想ファイルシステムを構築するために必要となる結合情報ファイルのシンタックスの一例である。この結合情報ファイルは、例えばHDD3に存在し、以下に説明するようにHDD3内のファイルの有無の検出に応じて、ファイルの結合の制御を行なう。光ディスク1のファイル構成、HDD3のファイル構成は図16の構成と同じであるとして、シンタックスの説明をする。2行目の、“if(00004.title==1 & 00005.title==1)”は、“00004.title”と“00005.title”の二つのタイトルがHDD3に存在するかしないかによる条件分岐である。両方のファイルが存在する場合は、3行目の“00001_1.strm”を“00001.strm”として結合を行い、どちらかが存在しない場合は5行目の“else if”文を実行する。ここで“00004.title”が存在しなければ、6行目の“00001_2.strm”を“00001.strm”として結合する。“00004.title”が存在する場合は、9行目の“00001_3.strm”を“00001.strm”として結合する。“00004.title”、“00005.title”の両方が削除されている場合は、結合するファイルがHDD3に存在しないため、光ディスク1の“00001.srtrm”が結合される。図18は、図17の結合情報ファイルに従って構成される仮想ファイルシステムのファイル構成である。
【0027】
以上、説明したように、タイトルが削除されることを想定して、予め複数のメニュー画面を表示するプレゼンテーション・ファイル10を用意しておき、それらのプレゼンテーション・ファイル10を結合するためのルールを記述した結合情報ファイルを利用することで、タイトルが削除された後においても、削除されたタイトルにリンクしたボタンが表示されないメニュー画面の表示が可能となる。このように、メニュー画面にリンク先が存在しなくなったボタンを確実に削除することで、ユーザーの誤解等を回避することが可能となる。
【0028】
以上、タイトルを削除後に想定されうるメニュー画面18を持ったプレゼンテーション・ファイル10を複数用意しておき、結合情報ファイルの記述に基づいて、最適なプレゼンテーション・ファイル10を選択後に結合し、仮想ファイルシステムを構築することで、削除されたタイトルにリンクするボタンが表示されないメニュー画面18を提供する方法について説明をした。また、複数のタイトル・ファイル12を用意することでも同様の効果が得られる。タイトル・ファイル12のシンタックスの説明で既に説明したが、シンタックスの中に、プレゼンテーション・ファイル10に重畳された、複数のビデオ、オーディオ、グラフィックの中から、どのストリームを使うかの選択が可能である。また、メニュー画面18のボタンは、グラフィック・ストリームを使って表示される。即ち、プレゼンテーション・ファイル10は1つだけとし、メニュー画面18のボタンを表示するグラフィック・ストリームを複数用意しておき、タイトルの削除状態に応じて、重畳されたグラフィックスデータから、最適なグラフィック・ストリームを選択することで、同様のメニュー画面表示が可能である。
【0029】
図19は、HDD3に記録された“00001.strm”のストリーム構造を示す図である。このファイルには、3種類のIDを持ったグラフィック・ストリームが重畳されており、“ID=101“、”ID=102”、“ID=103”の3つのIDが割り当てられている。図20は、HDD3のファイル構成を示す図であり“00001_1.title”、“00001_2.title”、“00001_3.title”の3つのタイトル・ファイル12が用意されている。それぞれのタイトル・ファイル12の中で指定されたグラフィックのストリームIDはそれぞれ、“101”、“102”、“103”である。“ID=101”で表示されるメニュー画面は、何も削除されたタイトルがない場合のグラフィックス、“ID=102”で表示されるメニュー画面は、“00004.title”が削除された時のグラフィックス、“ID=103”で表示されるメニュー画面は“00005.title”が削除されたときのグラフィクスとなっている。図21は、図20のファイル構成時に最適な仮想ファイルシステムを構成する際の、結合情報ファイルのシンタックスである。“00004.title”、“00005.title”、が共に存在する場合は、“00001_1.title”を結合し、“00004.title”だけが存在しない場合は、“00001_2.title”を結合し、“00005.title”だけが存在しない場合は、“00001_3.title”を結合するように記述されている。以上説明したように、複数のタイトル・ファイル12を用意することでも、複数のプレゼンテーション・ファイル10を複数用意した場合と、同様の効果が得ることが可能である。
【0030】
以上、結合情報ファイルと、削除後のメニュー画面を想定したプレゼンテーション・ファイル10やタイトル・ファイル12を複数用意して、ファイル削除後にリンク先の無いボタンを表示しないメニュー画面の表示方法を具体的な例を挙げて説明を行ったが、本実施の形態は、メニュー画面の表示方法に効果を限定されるものではない。ファイルを削除された後の状況を予め想定し、結合用のファイルを複数用意しておき、結合情報ファイルに従い、ファイルの削除状況に最適な、仮想ファイルシステムを構築することができるものは、すべて本実施の形態に含まれるものである。また、本実施の形態では、結合情報ファイルのシンタックスとして、C言語調の記述をしているが、CPU等で理解しやすい、XML等のスクリプト言語を用いてもよい。
また、光ディスク1は、可換媒体であれば光ディスクに限るものではない。また、この可換媒体は再生可能であれば良く、リライタブル機能は必ずしも必要ではない。さらにHDD3は、追加コンテンツ等の付加データを保存できる容量があれば良く、光ディスクドライブやフラッシュメモリ等の半導体メモリを用いるもの等でも同様の動作が可能である。例えば、HDD3の替わりにフラッシュメモリ・カードのような可換の半導体メモリを用いた場合、別のパソコン等からこの半導体メモリにコンテンツを記録し、本実施の形態1に示す記録情報再生装置100に接続する等の使い方をしても同様の効果が得られる。
【0031】
以上、本実施の形態1においては、ファイルをHDD3から削除された場合でも、リンクが存在しなくなったボタン等がメニュー画面に表示されることなく、ユーザに誤解や不安感を与えることがない。また、削除を行なうコンテンツの内容をユーザに確認することができるので、必要なコンテンツを誤って削除することを防止できる。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、ユーザーがユーザーの意思でファイルを削除することを前提に説明したが、コンテンツ作成側の意図により、HDDの追加コンテンツを結合したくないケースも多々ある。例えば、映画ディスクの追加コンテンツとして、最新作の予告編などが、典型的な使われ方の一つであるが、映画の予告編がコンテンツ作成側にとって有効なのは、通常は映画館での上映が終了するまでの間である。上映が終了した後に、追加コンテンツを視聴できたとしても、宣伝としての効果は無い上、現在も映画が上映中であるかのような誤解をユーザーに与える恐れがある。よって、有効期限の切れた追加コンテンツは、期限が切れてからは仮想ファイルシステムに結合されない方がよい。また別の例として、有償の追加コンテンツで視聴期限をコンテンツ供給側が設定したい時に、視聴期限の期間が過ぎたら、追加コンテンツを仮想ファイルシステムに結合させない仕組みが必要である。
【0033】
図22は、上に述べたような時間によるコンテンツの結合制御を実現する、情報再生装置101の構成図、情報ファイルのシンタックスである。図22において、26は年月日よりも細かい分解能を持つ時計である。それ以外の構成については、図1と同様のため説明を省略する。但し、時計26は、外部(例えばネットワーク)から時間情報を得る手段がある場合、必ずしも必要な構成要素ではない。図23は、時間により、仮想ファイルシステムを最適に構成するための、結合情報ファイルのシンタックスである。図23の“num_of_date_cont_file”は、時間による結合制御を行うファイルの総数を示し、次のループ文は、“num_of_date_cont_file”の数だけ繰り返される。“title_name”は結合制御を行うタイトル情報ファイルのファイル名が記述される。“if(current_time > target_time)”は、時計26の現在時刻と、コンテンツ供給側が定めた時間(target_time)とを比較して、現在時刻が既に過ぎている場合は、“combine = 1“、過ぎていない場合は“combine = 0”とする。ここで“combine = 1”は、仮想ファイルシステムへの結合を行うことを意味し、“combine = 0”は、結合を行わないことを意味する。
【0034】
次に、図24の、具体的な結合情報ファイルの例を使って、実施の形態2の説明を行う。“00004.title”、“00005.title”の二つのタイトルが、時間による結合制御対象のタイトルであるとする。また現在の時刻は“2005/6/16”とし、“00004.title”の“target_date”は“2005/8/15”とし、“00005.title”の“target_date”は“2005/5/10”とする。3行目から“00004.title”を結合するかどうかの判定を行い、9行目からは“00005.title”を結合するかどうかの判定を行っている。現在時刻が“2005/6/16”であるのに対し、“00004.title”の有効期限は“2005/8/15”である。よって、まだ期限を過ぎていないので“combine=1”となり、仮想ファイルシステムに“00004.title”は結合される。一方、“00005.title”の有効期限は“2005/5/10”であり、有効期限を既に過ぎている。よって“combine = 0”となり、“00005.title”は仮想ファイルシステムには結合されない。このように、時間による制御機能を結合情報ファイルに取り入れることで、再生を行う時間に最適な仮想ファイルシステムを構築することが可能となる。
以上説明したように、結合情報ファイルに、時間によるコンテンツの制御機能を入れることで、ユーザーが有効期限切れコンテンツを視聴することにより、誤解が発生する恐れがなくなり、コンテンツ供給側も、思い通りの視聴期間のコントロールが可能となる。また、有効期限が切れたコンテンツは、結合時に有効期限が切れていることが判明した段階で、結合を行わないだけではなく、HDDから削除してもよい。また、結合情報ファイルの記述はC言語ライクな記述をおこなっているが、XML等のスクリプトを利用してもよい。
【0035】
以上、本実施の形態1においては、例えば映画の予告編が追加コンテンツであった場合、既に上映期間が過ぎた予告編を視聴者が見て、現在上映中であると勘違いを起こすことを防止できる。また、同様の機能を利用して、再生期限を設定した有料コンテンツの販売が可能となる。さらに、有効期限が過ぎたファイルを、仮想ファイルシステムに組み込まないだけでなく、自動的にHDD3から削除することで、ユーザーがいちいちファイルを削除する面倒がなくなる。また不要なファイル自動的に削除されることで、HDDの残り容量を有効に使うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1及び実施の形態2に係る情報記録再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における光ディスク及びHDDに記録されたコンテンツのディレクトリ構造図である。
【図3】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるプレゼンテーション・ファイル構造を示すストリームの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるストリーム情報ファイルのシンタックスである。
【図5】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるタイトル・ファイルの構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるタイトル・ファイルのシンタックスである。
【図7】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるプログラム・ファイルのシンタックスである。
【図8】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるHDD内のディレクトリ構造を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における光ディスク内のファイル構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における重畳部から出力されたメニュー画面の一例である。
【図11】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における仮想ファイルシステムの構築方法の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における仮想ファイルシステムのメニュー画面に対応するデータに基くメニュー画面の一例である。
【図13】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における削除情報ファイルのシンタックスである。
【図14】本発明の実施の形態1における削除情報ファイルの一例である。
【図15】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるメニュー画面とファイルとの関連付けの不整合を解決するためのHDDの中のファイルの構成図である。
【図16】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるメニュー画面とファイルとの関連付けの不整合が解決されたメニュー画面の一例である。
【図17】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における結合情報ファイルのシンタックスである。
【図18】本発明の実施の形態1における結合情報ファイルに従って構成される仮想ファイルシステムのファイル構成である。
【図19】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるHDDに記録されたストリーム構造とストリームIDを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるストリームIDに対応するタイトル情報ファイルを有するHDDのファイル構成図である。
【図21】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における図20のファイル構成時に最適な仮想ファイルシステムを構成する際の結合情報ファイルのシンタックスである。
【図22】本発明の実施の形態2における情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図23】本発明の実施の形態2における結合情報ファイルのシンタックスである。
【図24】本発明の実施の形態2における具体的な結合情報ファイルの一例である。
【符号の説明】
【0037】
1 光ディスク、 3 ドライブ、 2 HDD、9 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、情報記録再生装置および情報記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを提供する環境は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)といった物理メディアの提供から、インターネット等によるデータ配信へと変わりつつある。また、情報記録再生装置100は従来の映画の単純な再生だけではなく、様々なアプリケーションの実施が可能となり、映画等のコンテンツに付加価値を高めることが可能になった。
例えば特許文献1においては、メニュー画面からユーザーのリクエストを受けつけ、Titleクラスのインスタンスに対応したリンクを選択することで、サーバに記録された所望の映画等を選択できる。そして、各タイトル毎にリンク先情報を有することで、実際に有効なリンク先だけが再生時に有効となる構成を取っている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−369154(第8、9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、映画等の主コンテンツに付加的なコンテンツを付属させることで主コンテンツの付加価値を高めることが可能である。そして、これらのコンテンツ情報を保存する情報記録再生装置のメモリ容量の制限や付加的なコンテンツの時間的な有効性等の理由により、この付加的なコンテンツを削除する必要性が生じる場合がある。このような場合、付加的なコンテンツを単に削除すると、有効でないリンク先が再生時に残ってしまい、ユーザに誤解や装置の不良が生じた等の不安感を与える場合がある。また、付加的なコンテンツを削除する際、必要なコンテンツを誤って削除してしまうことがあった。本発明は、上記のような課題を解決する情報記録再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
可換媒体に記録された第1のデータを再生する再生手段と、前記第1のデータに対応する第2のデーターを記録した記録再生手段と、前記再生手段または前記記録再生手段を制御するCPUとを備えた情報記録再生装置であって、前記CPUは、前記第1のデータと前記第2のデータに基いて、仮想ファイルシステムを構築可能とした情報記録再生装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明における情報記録再生装置は上記のように構成されているので、可換媒体に記録された第1のデータに様々な付加価値をつけることがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における情報再生装置100の構成を示すブロック図である。図1において、1は所定のデータ(例えば、当該情報再生装置100の制御に必要な制御データ、映像または音声のデータ等)が記録された光ディスク、2は光ディスク1に記録されたデータを読み出すドライブ、3は光ディスク1と関連するデータが蓄積されたハードディスク・ドライブ(以下、HDDという)である。また、4はドライブ2、またはHDD3によって読み出されたデータをビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータに分離するデマルチプレクサ、5はオーディオデータを復調(以下、デコードという)するオーディオデコーダ部、6はビデオデータをデコードするビデオデコーダ部、7はグラフィックデータをデコードするグラフィックデコーダ部、8はビデオデータをデコードして得られる映像と、グラフィックデータをデコードして得られる画像とを重畳するビデオ重畳部である。9は、上記の各構成を制御するCPUであり、各構成に制御コマンドを送ると共に、各構成のステータスのモニタ等も行なっている。尚、図1においては、CPU9から出される制御信号等は省略した。
【0008】
次に動作について説明する。
図1において、ドライブ2は、光ディスク1に記録されたデータを読み出して、デマルチプレクサ4に出力する。またHDD3から読み出されたデータも同様にデマルチプレクサ4に出力される。なお、ドライブ2およびHDD3から出力されるデータは、光ディスク1およびHDD3に記録された映像(以下、ビデオという)に対応する前記ビデオデータ、当該ビデオデータに対応する音声の情報であるオーディオデータ、およびこのビデオデータに対応する映像に重畳される画像(以下、グラフィックという)のデータであるグラフィックデータがパケット化され、多重化されたデータである。
【0009】
デマルチプレクサ4は、入力されたデータをビデオデータ、オーディオデータおよびグラフィックデータに分離する。そして、オーディオデータをオーディオデコーダ部5に、ビデオデータをビデオデコーダ部6に、グラフィックデータをグラフィックデコーダ部7にそれぞれ出力する。なお、デマルチプレクサ4は、パケット化された各データの先頭に記述された識別子に従ってこの分離動作を行なう。
【0010】
オーディオデコーダ部5は、入力されたオーディオデータをデコードして図示しない音声出力手段に出力する。また、ビデオデコード部6は、入力されたビデオデータをデコードしてビデオ重畳部8に出力する。また、グラフィックデコーダ部7は、入力されたグラフィックデータをデコードしてビデオ重畳部8に出力する。
【0011】
ビデオ重畳部8は、ビデオデコード部6においてビデオデータをデコードして得られるビデオと、グラフィックデコーダ部7においてグラフィックデータをデコードして得られるグラフィックとを重畳して図示しない表示手段に出力する。
【0012】
図2は、光ディスク1またはHDD3に記録された、コンテンツのディレクトリ構造図である。10は、ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータが多重化されたプレゼンテーション・ファイルであり、“STREAM”はプレゼンテーション・ファイルが格納されているフォルダの名称である。11はプレゼンテーション・ファイルのデータ構造が記述された、ストリーム情報ファイルであり、“STREAM_IFO”はストリーム情報ファイルが格納されているフォルダの名称である。また前記、プレゼンテーション・ファイル10と前記ストリーム情報ファイル11は一対一で対応している。12は、タイトルの構成が記述されたタイトル・ファイルであり、“TITLE”はタイトル・ファイルが格納されているフォルダの名称である。13はタイトル・ファイルの再生に必要な、コマンドが記述されたプログラム・ファイルである。
【0013】
図3は、プレゼンテーション・ファイル10の構造を示すストリーム構成図である。ストリームはパケットと呼ばれる固定長のデータ単位により構成されている。ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータは、このパケット単位に分割された後、多重化されストリームを構成する。それぞれのパケットの先頭にはヘッダ領域があり、ヘッダ情報に記述されたID(Identification)により、パケット内のデータ識別を行う。デマルチプレクサ4は、このIDを識別して、ビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータに分離する。
【0014】
図4は、ストリーム情報ファイル11のシンタックスを示す図である。“Start_PTS”は対象となるプレゼンテーション・ファイル10の最初のビデオフレームのPTS(Presentation_Time Stamp)を示し、“End_PTS”は最終のビデオフレームのPTSを示す。“num_of_video”、“num_of_audio”、“num_of_graphics”は、プレゼンテーション・ファイル10に多重化されたビデオ、オーディオ、グラフィックの数を示す。次の3つのループ文(for以下)は、“num_of_video”、“num_of_audio”、“num_of_graphics”の数だけ繰り返され、“packet_ID”はそれぞれのストリームの割り当てられるパケットのIDが記述される。“entry_map()”には、頭出し再生に必要となる情報が記述される。例えばビデオデータがMPEG2でエンコードされている場合、GOP(Group of Picture)の先頭が、頭だしポイントに相当する。本実施例ではプレゼンテーション・ファイル10のどのパケットに、GOPの先頭が存在するかが記述されている。“num_of_entry”は、頭出しポイントの総数、“entry_packet_num”は、プレゼンテーション・ファイル10の先頭からGOPの先頭までの相対パケット数である。パケットは固定長であることから、ファイルの先頭からGOP先頭までの相対バイト数は、“entry_packet_num“の値とパケット当たりのバイト数を掛けた値から算出できる。情報再生装置100は、ファイルの先頭からのバイト数から、ディスク上の頭出しポイントの位置を割り出し、頭出し再生を行う。
【0015】
図5は、タイトルの構成を示した図である。タイトルとは、プレゼンテーション・ファイル10の所定の区間が複数集まったものであり、一つのプレゼンテーション・ファイル10内の複数区間から構成される場合や、いくつかのプレゼンテーション・ファイル10のそれぞれの所定の区間から構成される場合等様々である。図6は、タイトル・ファイル12のシンタックスを示す図である。“num_of_stream”は、タイトルを構成するプレゼンテーション・ファイル10の総数、次のループ文は“num_of_stream”の数だけ繰り返される。タイトルは一つ以上のプレゼンテーション・ファイル10の所定区間から構成されており、“stream_name”は再生の対象となるプレゼンテーション・ファイル10のファイル名を示し、“In_time”“Out_time”はタイトルで再生されるプレゼンテーション・ファイル10の所定区間の再生開始時間と再生終了時間を示す。本実施例ではビデオデータのPTS(Presentation Time Stamp)を“In_time”、“Out_time”としている。“Start_packet_num”、“End_packet_num”は“In_time”、“Out_time”で指し示されるビデオフレームの、プレゼンテーション・ファイル10の先頭からの相対的なパケット数を示す。これらの情報から、情報再生装置100はプレゼンテーション・ファイル10のどの部分を再生すればよいのかを判断することができる。“num_of_video”、“num_of_audio”、“num_of_graphics”は、再生に利用するビデオ、オーディオ、グラフィックの数を示す。ストリーム情報ファイル11中にも同様のパラメータが存在するが、このストリーム情報ファイル11中のパラメータは、プレゼンテーション・ファイル10中に存在する、ビデオ、オーディオ、グラフィックの総数を指し示すのに対し、タイトル・ファイル12中のそれは、プレゼンテーション・ファイル10中のビデオ、オーディオ、グラフィックの中で、再生に利用する総数を指し示す点が異なる。続く、三つのループ文は、図4で説明したループ文と同様のため説明を省略する。
【0016】
図7は、プログラム・ファイル13のシンタックスを示す図である。“menu_title_file_name”は、ユーザーがメニューキーを押下した時に表示されるメニュー画面を表示するタイトル・ファイル名を示す。“num_of_program”はプログラムの総数を示し、次のループ文は“num_of_program”の数だけ繰り返される。“Command()”はディスクの再生に必要なコマンドの集合体を示す。メニュー画面が存在しないディスクの再生を行う場合に、この“Command()”に記述されたシーケンスに従って再生が行われる。
【0017】
図8はHDD3内のディレクトリ構造である。HDD3には、光ディスク1のコンテンツに関連した追加のデータが記録される。これらの追加のデータは例えばインターネット経由や、情報再生装置100に接続されたストレージ機器からHDD3に記録されるものである。本実施の形態では、追加コンテンツ等の付加的データの供給元については特に言及はしない。ここで付加的データとは、光ディスク1に関連するデータであり、映画に対する予告編等がこれに相当する。14はディスク単位でデータを仕分けるためのディスク・フォルダで、ある光ディスク1に関連したコンテンツのデータはすべてこのフォルダに記録されている。ディスク・フォルダ14の中の構造は、前述した光ディスク1のディレクトリ構造とほとんど同じであるため、説明は省略する。また、図8において、図2と同種のファイルに対しては、同一の図番を付している。但しHDD3のディスク・フォルダ内には、プレゼンテーション・ファイル10、ストリーム情報ファイル11、タイトル情報ファイル12のすべてのフォルダが存在するとは限らなず、一部のファイルが存在しない場合もある。特に、光ディスク1におけるファイル構成と異なる点は、付加的データを削除するのに利用する削除情報ファイル15(“delete.ifo”)の存在である。この削除情報ファイル15の説明は後で詳細に説明する。
【0018】
次に、光ディスク1内のコンテンツが再生される手順について説明をする。図9の10〜13は光ディスク1内のファイル構成の一例を示す。図6において示したシンタクスにおいて、“00001.title”、“00002.title”、“00003.title”の“num_of_stream”はそれぞれ“1”が設定されており、それぞれの”stream_name“には”00001.strm“、”00002.strm“、”00003.strm“が割り当てられている。また”program.cmd“の“menu_title_file_name”には“00001.title”が割り当てられている。この光ディスク1を情報再生装置100で再生すると、まずメニュー画面表示用に関連付けられた“00001.title”、即ち“00001.strm”の読み出しが開始される。読み出されたデータはデマルチプレクサ4で、“00001.title”で指定されたパケットIDに従って分離され、必要なデータのみがビデオデコーダ部5、オーディオデコーダ部6、グラフィックデコーダ部7に送られる。ビデオデコーダ部5でデコードされた映像と、グラフィックデコーダ部7でデコードされた映像は、重畳部8で合成され出力される。図10は重畳部8から出力されたメニュー画面18である。メニュー画面18の中には二つのボタン、ボタンA16およびボタンB17が表示されているが、これらボタンはグラフィックデータから作られており、背景の映像はビデオデータから作られている。ここで、ボタンA14には、“00002.title”を再生するコマンドが関連付けられており、ボタンB15には、“00003.title”を再生するコマンドが関連付けられている。ユーザーがボタンA16を選択すると、“00002.title”、即ち“00002.strm”が光ディスク1より読み出され、再生が行われ、ボタンB17が選択されると、“00003.title”、即ち“00003.strm”が光ディスク1より読み出され、再生が行われる。
【0019】
次に、HDD3に記録された付加的データの再生方法について説明をする。情報再生装置100が光ディスク1の中の情報と、HDD3の中の情報の両方を使って再生を行うには、HDD3の中のデータがあたかも光ディスク1の中にあるかのように、取り扱う仕組みが必要である。本実施の形態では、これを仮想ファイルシステムと呼ぶ。
【0020】
図11を用いて、光ディスク1の中のファイルと、HDD3の中のファイルから、仮想ファイルシステムを構築する方法について説明を行う。19は光ディスク1のディレクトリ構造、20はHDD3の中のディレクトリ構造、21は仮想ファイルシステムのディレクトリ構造を示す。HDD3のプレゼンテーション・ファイル10には、“00001.strm、“00004.strm”、“00005.strm”が存在するが、“00001.strm”に関しては光ディスク1にも同じファイル名が存在する。同じファイルが存在する場合は、HDD1側のファイルを優先させ、仮想ファイルシステムでのプレゼンテーション・ファイル10は、HDD3の中の“00001.strm”、“00004.strm”、“00005.strm”と光ディスク1の中の、“00002.strm”、“00003.strm”の5個のファイルで構成される。ストリーム情報ファイル11はプレゼンテーション・ファイル10と一対一のペアであるため、HDD3の中の“00001.ifo”、“00004.ifo”、“00005.ifo”と光ディスク1の中の、“00002.ifo”、“00003.ifo”の5個のファイルで構成される。タイトル・ファイル12は、HDD3の中の“00001.title”、“00004.title”、“00005.title”と光ディスク1の中の“00002.title”、“00003.title”の5個のファイルで構成される。プログラム・ファイル13はHDD3の中の“Program.cmd”が、仮想ファイルシステムのプログラム・ファイル13として扱われる。以上のように仮想ファイルシステムは構築され、情報再生装置100から、光ディスク1の中のファイルとHDD3の中のファイルは、あたかも一つのディスクの中に存在するかのように扱われる。
【0021】
次に、構築された仮想ファイルシステムの再生方法について説明する。仮想ファイルシステム内のファイルの内、光ディスク1に存在するファイルの再生手順については、既に説明した光ディスク1内のコンテンツの再生の説明と全く同様であるため、説明を省略する。仮想ファイルシステム内の、“00001.title”、“00004.title”、“00005.title”は新たに追加されるタイトル・ファイルである。“00001.title”、“00004.title”、“00005.title”の“num_of_stream”はそれぞれ“1”が設定されており、それぞれの”stream_name“には、”00001.strm“、”00004.strm“、”00005.strm“が割り当てられている。情報再生装置100の再生ソフトウェアは、まず”program.cmd“の中の“menu_title_file_name”に割り当てられた“00001.title”の再生を開始する。“00001.title”に割り当てられた“00001.strm”は、HDD3に存在するファイルであり、HDD3から“00001.strm"の読み出しが開始され、デマルチプレクサ4に送られる。デマルチプレクサ4以降の動作については、光ディスク1からの読み出しと同様であるため、説明を省略する。
【0022】
図12は仮想ファイルシステムの”00001.strm“を再生した時の、メニュー画面である。メニュー画面には、ボタンA22、ボタンB23、ボタンC24およびボタンD25の合計4個のボタンが表示されている。ここで、ボタンA22には、光ディスク1の中の“00002.title”を再生するコマンドが関連付けられ、ボタンB23には、光ディスク1の中の“00003.title”を再生するコマンドが関連付けられ、ボタンC24には、HDD3の中の“00004.title”を再生するコマンドが関連付けられ、ボタンD25には、HDD3の中の“00005.title”を再生するコマンドが関連付けられている。ユーザーがボタンA22を選択すると、光ディスク1の“00002.strm”ファイルが再生され、ボタンD25を選択すると、HDD3の“00005.strm”が再生される。よって、ユーザーは、光ディスク1に再生しているファイルが存在しているのか、HDD3に存在しているのかを意識することなく再生を行うことができる。
【0023】
以上、コンテンツをHDD3に追加記録して再生をする方法について説明をしたが、HDD3の容量には制限があり、新しいコンテンツを記録するために、過去に記録したコンテンツを削除する必要が生じる。ここでは、HDD3に追加記録したデータを削除する方法について説明する。図13は、HDD3の中のタイトルを削除するために必要となる情報が記述された削除情報ファイル15のシンタックスである。“title_txt_info()”は、タイトルを削除する際に、ユーザーがタイトルの内容を確認できるためのテキスト情報を記述する領域である。“char_code”はテキスト情報のキャラクター・コードが記述される。“txt_length”はテキスト情報に使われるデータの総バイト数であり、“text_data()”は“text_length”に記述されたバイト数のテキスト情報が記述される。“num_of_added_title”はHDD3に追加されたタイトルの数を示し、次のループ文は“num_of_added_title”の数だけ繰り返される。ループ内の“title_file_name”には、追加となっているタイトル・ファイル12のファイル名が記述される。“num_of_stream_file”には、タイトル・ファイル12に関連するプレゼンテーション・ファイル10の数が記述され、次のループ文は“num_of_stream_file”の数だけ繰り返される。“stream_file_name“には、プレゼンテーション・ファイル10の名前が記述される。この削除情報ファイルから、情報再生装置100はそれぞれのタイトルに関連するファイルを知ることができ、関連したファイルの削除を行うことでタイトル削除を行う。図14は削除情報ファイル15の一例であるが、例えば”00005.title“の”num_of_stream_file“は”1“であり、そのプレゼンテーション・ファイルは”00005.strm“である。よって”00005.title”を削除するには、“00005.strm”と、このファイルと対にある“00005.ifo”を削除することで、タイトルの削除が行われる。
【0024】
以上、説明した手順でタイトルの削除が行われる訳であるが、タイトルは削除された後においても、メニューを表示するためのタイトルである“00001.title”は、タイトルを削除する以前のファイルのままである。そのため、タイトルを削除した後においても、削除前のメニュー画面18が、削除後においても表示されてしまう。例えば、図11の仮想ファイルシステムにおいてHDD3にある“00005.title”を削除した後に、ユーザーが図12のメニュー画面18において、ボタンA22を選択したとしても、ボタンA22に関連付けられた“00005.title”が存在しないため再生が行われないといった不整合が生じてしまう。ユーザーがタイトルを削除した直後であれば、削除したことを覚えているため問題はないが、削除してから時間が経過した後や、別のユーザーが再生したときには、光ディスク1または情報再生装置100に問題があると、誤解されてしまう恐れがある。このような不整合が生じないようにする方法について、図15、図16を用いて説明をする。
【0025】
図15は、上記不整合を解決するためのHDD3の中のファイル構成を示した図である。追加タイトルの条件は、図11で説明したHDD3のファイル構成と同じである。異なる点はプレゼンテーション・ファイル10に“00001.strm”の代わりに“00001_1.strm”、“00001_2.strm”、“00001_3.strm”の3つのファイルが用意されている点である。 “00001_1.strm”は、追加したタイトルが何一つ削除されていない時に、結合するプレゼンテーション・ファイル10、“00001_2.strm”は“00004.title”が削除された場合に結合するプレゼンテーション・ファイル10、“00001_3.strm”は、“00005.title”が削除された場合に結合するプレゼンテーション・ファイル10である。例えば、“00005.title”が削除されると、“00001_3.strm”が“00001.strm”として結合され、仮想ファイルシステムは図16に示すような構成となる。この仮想ファイルシステムで再生が行われると、メニュー画面18としては、HDD3にある“00001_3.strm”が読み出され再生が行われる。図16は“00001_3.srtm”を再生した画面であり、“00002.title”にリンクしたボタンA26と“00003.title”へリンクしたボタンB27と、“00005.title”へリンクしたボタンC28の3つのボタンが表示される。以上のように、予めタイトルが削除されることを想定したメニュー画面18を複数用意しておき、最適なメニュー画面18を仮想ファイルシステムに結合することで、削除されたタイトルにリンクしたボタンの表示がされないメニュー画面18が再生される。次に、複数存在するメニュー表示用のプレゼンテーション・ファイル10から適切な、ファイルを選択して、仮想ファイルシステムに結合する方法について説明をする。
【0026】
図17は、この仮想ファイルシステムを構築するために必要となる結合情報ファイルのシンタックスの一例である。この結合情報ファイルは、例えばHDD3に存在し、以下に説明するようにHDD3内のファイルの有無の検出に応じて、ファイルの結合の制御を行なう。光ディスク1のファイル構成、HDD3のファイル構成は図16の構成と同じであるとして、シンタックスの説明をする。2行目の、“if(00004.title==1 & 00005.title==1)”は、“00004.title”と“00005.title”の二つのタイトルがHDD3に存在するかしないかによる条件分岐である。両方のファイルが存在する場合は、3行目の“00001_1.strm”を“00001.strm”として結合を行い、どちらかが存在しない場合は5行目の“else if”文を実行する。ここで“00004.title”が存在しなければ、6行目の“00001_2.strm”を“00001.strm”として結合する。“00004.title”が存在する場合は、9行目の“00001_3.strm”を“00001.strm”として結合する。“00004.title”、“00005.title”の両方が削除されている場合は、結合するファイルがHDD3に存在しないため、光ディスク1の“00001.srtrm”が結合される。図18は、図17の結合情報ファイルに従って構成される仮想ファイルシステムのファイル構成である。
【0027】
以上、説明したように、タイトルが削除されることを想定して、予め複数のメニュー画面を表示するプレゼンテーション・ファイル10を用意しておき、それらのプレゼンテーション・ファイル10を結合するためのルールを記述した結合情報ファイルを利用することで、タイトルが削除された後においても、削除されたタイトルにリンクしたボタンが表示されないメニュー画面の表示が可能となる。このように、メニュー画面にリンク先が存在しなくなったボタンを確実に削除することで、ユーザーの誤解等を回避することが可能となる。
【0028】
以上、タイトルを削除後に想定されうるメニュー画面18を持ったプレゼンテーション・ファイル10を複数用意しておき、結合情報ファイルの記述に基づいて、最適なプレゼンテーション・ファイル10を選択後に結合し、仮想ファイルシステムを構築することで、削除されたタイトルにリンクするボタンが表示されないメニュー画面18を提供する方法について説明をした。また、複数のタイトル・ファイル12を用意することでも同様の効果が得られる。タイトル・ファイル12のシンタックスの説明で既に説明したが、シンタックスの中に、プレゼンテーション・ファイル10に重畳された、複数のビデオ、オーディオ、グラフィックの中から、どのストリームを使うかの選択が可能である。また、メニュー画面18のボタンは、グラフィック・ストリームを使って表示される。即ち、プレゼンテーション・ファイル10は1つだけとし、メニュー画面18のボタンを表示するグラフィック・ストリームを複数用意しておき、タイトルの削除状態に応じて、重畳されたグラフィックスデータから、最適なグラフィック・ストリームを選択することで、同様のメニュー画面表示が可能である。
【0029】
図19は、HDD3に記録された“00001.strm”のストリーム構造を示す図である。このファイルには、3種類のIDを持ったグラフィック・ストリームが重畳されており、“ID=101“、”ID=102”、“ID=103”の3つのIDが割り当てられている。図20は、HDD3のファイル構成を示す図であり“00001_1.title”、“00001_2.title”、“00001_3.title”の3つのタイトル・ファイル12が用意されている。それぞれのタイトル・ファイル12の中で指定されたグラフィックのストリームIDはそれぞれ、“101”、“102”、“103”である。“ID=101”で表示されるメニュー画面は、何も削除されたタイトルがない場合のグラフィックス、“ID=102”で表示されるメニュー画面は、“00004.title”が削除された時のグラフィックス、“ID=103”で表示されるメニュー画面は“00005.title”が削除されたときのグラフィクスとなっている。図21は、図20のファイル構成時に最適な仮想ファイルシステムを構成する際の、結合情報ファイルのシンタックスである。“00004.title”、“00005.title”、が共に存在する場合は、“00001_1.title”を結合し、“00004.title”だけが存在しない場合は、“00001_2.title”を結合し、“00005.title”だけが存在しない場合は、“00001_3.title”を結合するように記述されている。以上説明したように、複数のタイトル・ファイル12を用意することでも、複数のプレゼンテーション・ファイル10を複数用意した場合と、同様の効果が得ることが可能である。
【0030】
以上、結合情報ファイルと、削除後のメニュー画面を想定したプレゼンテーション・ファイル10やタイトル・ファイル12を複数用意して、ファイル削除後にリンク先の無いボタンを表示しないメニュー画面の表示方法を具体的な例を挙げて説明を行ったが、本実施の形態は、メニュー画面の表示方法に効果を限定されるものではない。ファイルを削除された後の状況を予め想定し、結合用のファイルを複数用意しておき、結合情報ファイルに従い、ファイルの削除状況に最適な、仮想ファイルシステムを構築することができるものは、すべて本実施の形態に含まれるものである。また、本実施の形態では、結合情報ファイルのシンタックスとして、C言語調の記述をしているが、CPU等で理解しやすい、XML等のスクリプト言語を用いてもよい。
また、光ディスク1は、可換媒体であれば光ディスクに限るものではない。また、この可換媒体は再生可能であれば良く、リライタブル機能は必ずしも必要ではない。さらにHDD3は、追加コンテンツ等の付加データを保存できる容量があれば良く、光ディスクドライブやフラッシュメモリ等の半導体メモリを用いるもの等でも同様の動作が可能である。例えば、HDD3の替わりにフラッシュメモリ・カードのような可換の半導体メモリを用いた場合、別のパソコン等からこの半導体メモリにコンテンツを記録し、本実施の形態1に示す記録情報再生装置100に接続する等の使い方をしても同様の効果が得られる。
【0031】
以上、本実施の形態1においては、ファイルをHDD3から削除された場合でも、リンクが存在しなくなったボタン等がメニュー画面に表示されることなく、ユーザに誤解や不安感を与えることがない。また、削除を行なうコンテンツの内容をユーザに確認することができるので、必要なコンテンツを誤って削除することを防止できる。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、ユーザーがユーザーの意思でファイルを削除することを前提に説明したが、コンテンツ作成側の意図により、HDDの追加コンテンツを結合したくないケースも多々ある。例えば、映画ディスクの追加コンテンツとして、最新作の予告編などが、典型的な使われ方の一つであるが、映画の予告編がコンテンツ作成側にとって有効なのは、通常は映画館での上映が終了するまでの間である。上映が終了した後に、追加コンテンツを視聴できたとしても、宣伝としての効果は無い上、現在も映画が上映中であるかのような誤解をユーザーに与える恐れがある。よって、有効期限の切れた追加コンテンツは、期限が切れてからは仮想ファイルシステムに結合されない方がよい。また別の例として、有償の追加コンテンツで視聴期限をコンテンツ供給側が設定したい時に、視聴期限の期間が過ぎたら、追加コンテンツを仮想ファイルシステムに結合させない仕組みが必要である。
【0033】
図22は、上に述べたような時間によるコンテンツの結合制御を実現する、情報再生装置101の構成図、情報ファイルのシンタックスである。図22において、26は年月日よりも細かい分解能を持つ時計である。それ以外の構成については、図1と同様のため説明を省略する。但し、時計26は、外部(例えばネットワーク)から時間情報を得る手段がある場合、必ずしも必要な構成要素ではない。図23は、時間により、仮想ファイルシステムを最適に構成するための、結合情報ファイルのシンタックスである。図23の“num_of_date_cont_file”は、時間による結合制御を行うファイルの総数を示し、次のループ文は、“num_of_date_cont_file”の数だけ繰り返される。“title_name”は結合制御を行うタイトル情報ファイルのファイル名が記述される。“if(current_time > target_time)”は、時計26の現在時刻と、コンテンツ供給側が定めた時間(target_time)とを比較して、現在時刻が既に過ぎている場合は、“combine = 1“、過ぎていない場合は“combine = 0”とする。ここで“combine = 1”は、仮想ファイルシステムへの結合を行うことを意味し、“combine = 0”は、結合を行わないことを意味する。
【0034】
次に、図24の、具体的な結合情報ファイルの例を使って、実施の形態2の説明を行う。“00004.title”、“00005.title”の二つのタイトルが、時間による結合制御対象のタイトルであるとする。また現在の時刻は“2005/6/16”とし、“00004.title”の“target_date”は“2005/8/15”とし、“00005.title”の“target_date”は“2005/5/10”とする。3行目から“00004.title”を結合するかどうかの判定を行い、9行目からは“00005.title”を結合するかどうかの判定を行っている。現在時刻が“2005/6/16”であるのに対し、“00004.title”の有効期限は“2005/8/15”である。よって、まだ期限を過ぎていないので“combine=1”となり、仮想ファイルシステムに“00004.title”は結合される。一方、“00005.title”の有効期限は“2005/5/10”であり、有効期限を既に過ぎている。よって“combine = 0”となり、“00005.title”は仮想ファイルシステムには結合されない。このように、時間による制御機能を結合情報ファイルに取り入れることで、再生を行う時間に最適な仮想ファイルシステムを構築することが可能となる。
以上説明したように、結合情報ファイルに、時間によるコンテンツの制御機能を入れることで、ユーザーが有効期限切れコンテンツを視聴することにより、誤解が発生する恐れがなくなり、コンテンツ供給側も、思い通りの視聴期間のコントロールが可能となる。また、有効期限が切れたコンテンツは、結合時に有効期限が切れていることが判明した段階で、結合を行わないだけではなく、HDDから削除してもよい。また、結合情報ファイルの記述はC言語ライクな記述をおこなっているが、XML等のスクリプトを利用してもよい。
【0035】
以上、本実施の形態1においては、例えば映画の予告編が追加コンテンツであった場合、既に上映期間が過ぎた予告編を視聴者が見て、現在上映中であると勘違いを起こすことを防止できる。また、同様の機能を利用して、再生期限を設定した有料コンテンツの販売が可能となる。さらに、有効期限が過ぎたファイルを、仮想ファイルシステムに組み込まないだけでなく、自動的にHDD3から削除することで、ユーザーがいちいちファイルを削除する面倒がなくなる。また不要なファイル自動的に削除されることで、HDDの残り容量を有効に使うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1及び実施の形態2に係る情報記録再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における光ディスク及びHDDに記録されたコンテンツのディレクトリ構造図である。
【図3】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるプレゼンテーション・ファイル構造を示すストリームの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるストリーム情報ファイルのシンタックスである。
【図5】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるタイトル・ファイルの構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるタイトル・ファイルのシンタックスである。
【図7】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるプログラム・ファイルのシンタックスである。
【図8】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるHDD内のディレクトリ構造を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における光ディスク内のファイル構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における重畳部から出力されたメニュー画面の一例である。
【図11】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における仮想ファイルシステムの構築方法の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における仮想ファイルシステムのメニュー画面に対応するデータに基くメニュー画面の一例である。
【図13】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における削除情報ファイルのシンタックスである。
【図14】本発明の実施の形態1における削除情報ファイルの一例である。
【図15】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるメニュー画面とファイルとの関連付けの不整合を解決するためのHDDの中のファイルの構成図である。
【図16】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるメニュー画面とファイルとの関連付けの不整合が解決されたメニュー画面の一例である。
【図17】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における結合情報ファイルのシンタックスである。
【図18】本発明の実施の形態1における結合情報ファイルに従って構成される仮想ファイルシステムのファイル構成である。
【図19】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるHDDに記録されたストリーム構造とストリームIDを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態1及び実施の形態2におけるストリームIDに対応するタイトル情報ファイルを有するHDDのファイル構成図である。
【図21】本発明の実施の形態1及び実施の形態2における図20のファイル構成時に最適な仮想ファイルシステムを構成する際の結合情報ファイルのシンタックスである。
【図22】本発明の実施の形態2における情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図23】本発明の実施の形態2における結合情報ファイルのシンタックスである。
【図24】本発明の実施の形態2における具体的な結合情報ファイルの一例である。
【符号の説明】
【0037】
1 光ディスク、 3 ドライブ、 2 HDD、9 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録媒体に記録された第1のデータと、第2の記録媒体に記録された前記第1のデータに付随する第2のデータとを、前記第1のデータおよび前記第2のデータが一つの記録媒体上に存在するかのように扱うための仮想ファイルシステムを構築し、当該仮想ファイルシステムに基づいて前記第1のデータおよび前記第2のデータの再生を行う情報記録再生装置であって、
前記仮想ファイルシステムに基づいて前記第1のデータおよび前記第2のデータを再生する再生手段と、
前記第2のデータをアイテム毎に削除するための情報として第2のデータを構成するタイトルのテキスト情報、当該タイトルのファイル名とを含む削除情報ファイル、前記削除ファイルに基づいて前記第2のデータの一部のアイテムが削除された場合に再生されるプレゼンテーション・ファイル、および前記第2のデータのうち削除されたアイテムに応じて前記プレゼンテーション・ファイルを前記仮想ファイルシステムに結合する結合情報ファイルを格納する格納手段と、を備え、
前記第2のデータの一部のアイテムが削除された場合に、前記結合情報ファイルに基づいて前記プレゼンテーション・ファイルを前記仮想ファイルシステムに結合し、結合された前記プレゼンテーション・ファイルを再生するよう構成された情報記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記録再生装置において、前記プレゼンテーション・ファイルは、前記第2のデータにおいて削除されたアイテムにリンクする表示を除いたインターフェースを表示するものであることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項1】
第1の記録媒体に記録された第1のデータと、第2の記録媒体に記録された前記第1のデータに付随する第2のデータとを、前記第1のデータおよび前記第2のデータが一つの記録媒体上に存在するかのように扱うための仮想ファイルシステムを構築し、当該仮想ファイルシステムに基づいて前記第1のデータおよび前記第2のデータの再生を行う情報記録再生装置であって、
前記仮想ファイルシステムに基づいて前記第1のデータおよび前記第2のデータを再生する再生手段と、
前記第2のデータをアイテム毎に削除するための情報として第2のデータを構成するタイトルのテキスト情報、当該タイトルのファイル名とを含む削除情報ファイル、前記削除ファイルに基づいて前記第2のデータの一部のアイテムが削除された場合に再生されるプレゼンテーション・ファイル、および前記第2のデータのうち削除されたアイテムに応じて前記プレゼンテーション・ファイルを前記仮想ファイルシステムに結合する結合情報ファイルを格納する格納手段と、を備え、
前記第2のデータの一部のアイテムが削除された場合に、前記結合情報ファイルに基づいて前記プレゼンテーション・ファイルを前記仮想ファイルシステムに結合し、結合された前記プレゼンテーション・ファイルを再生するよう構成された情報記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記録再生装置において、前記プレゼンテーション・ファイルは、前記第2のデータにおいて削除されたアイテムにリンクする表示を除いたインターフェースを表示するものであることを特徴とする情報記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
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【図6】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−222033(P2011−222033A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119377(P2011−119377)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2005−198035(P2005−198035)の分割
【原出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2005−198035(P2005−198035)の分割
【原出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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