情報記録媒体、情報読み取り方法、情報読み取り装置、遊技機およびプログラム。
【課題】単純な構成の媒体により価格も安く、複数の媒体の同時読取を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】領域111aにホログラム情報が書き込まれた記憶媒体111と、領域112aにホログラム情報が書き込まれた記憶媒体112と、領域113aにホログラム情報が書き込まれた記憶媒体113とを重ねた状態で、再生照明光を照射し、各記録媒体からの回折光を得る。領域111a〜113aの位置がずれているので、各回折光からホログラム情報を同時に個別に得ることができ、それらを組み合わせること、各記録媒体に記録された情報を組み合わせた2次情報を得ることができる。
【解決手段】領域111aにホログラム情報が書き込まれた記憶媒体111と、領域112aにホログラム情報が書き込まれた記憶媒体112と、領域113aにホログラム情報が書き込まれた記憶媒体113とを重ねた状態で、再生照明光を照射し、各記録媒体からの回折光を得る。領域111a〜113aの位置がずれているので、各回折光からホログラム情報を同時に個別に得ることができ、それらを組み合わせること、各記録媒体に記録された情報を組み合わせた2次情報を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムを利用した情報記録技術に係り、特に複数の記録媒体を重ねた状態で情報の読み取りを行う技術およびそれを利用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体としては、磁気記録式の磁気カードや光カード、最近では接触式、非接触式のICカード等が知られている。何れの記録媒体も、基本的には、同時に読み取る事が出来る媒体の数は1つであり、重なり合った状態等で複数の記録媒体を読む事はできない。
【0003】
このような課題を解決する為の技術として、非接触式の情報記録媒体における工夫が知られている(例えば公知文献1を参照)。この技術では、電磁誘導を利用した情報の読み取り技術を基礎としたもので、一般の非接触情報媒体で読取不良の原因となる、重なり合った相互の非接触情報記録媒体の干渉の影響を、コイルパターンの工夫等によって抑えている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−56118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電磁誘導を利用した記録媒体は、媒体内にコイルやチップ等を配置した電子回路が必要になり、磁気カード等の媒体に比べてカードの構成や製造工程が複雑になり、価格も高くならざるを得なかった。そこで本発明は、単純な構成の媒体により価格も安く、複数の媒体の同時読取を行うことができる技術を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を備えた情報記録媒体であって、前記ホログラム情報は、前記記録層と同様な記録層を有する他の記録媒体を重ねた状態で再生照明光を照射した際に、当該記録媒体と前記他の記録媒体からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数の記録媒体を重ねた状態に再生照明光が照射されるので、各媒体で発生する回折光は、回折光の発生方向から見てずれた位置から発生する。つまり、複数の記録媒体から同時にホログラム情報を読み取る際、複枚の記録媒体は重ねられて位置的に上下にずれているので、各媒体で発生する回折光のそれぞれは、回折光の光軸方向から見て、位置的にずれた位置から発生する。このため、記録媒体を重ねた状態から各媒体に記録された情報を同時に読み出すことができる。
【0008】
本明細書において、ホログラム情報は、書き込む情報に基づいて変調された記録光と参照光とを異なる角度から感光材料に照射し、両光の干渉の状態を感光材料に干渉縞の状態として固定化することで記録(書き込み)される。この記録の読み出しは、記録が行われた場所に参照光と同じ光を同じ角度で再生照明光として照射した際に生じる回折光(この回折光は、さきの干渉縞で再生照明光が回折されることで生じる)を検出することで行われる。この回折光は、記録光と参照光との干渉の状態を反映したものであり、記録光に含まれる情報がそこに含まれている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す方法であって、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射するステップと、前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出するステップとを有することを特徴とする情報読み取り方法である。
【0010】
請求項2に記載の発明において、重ねる識別媒体の数は2つに限定されず、3以上であってもよい。また重ねた面に斜めの方向からというのは、2つの識別媒体の重ねた面に垂直な方向との間でなす角度が0度を超え、90度に満たない角度のことをいう。この再生照明光の光軸は、情報の書き込みに利用した参照光の光軸に一致または略一致させればよい。略一致の許容範囲は、記録層の厚みに依存するが、数度以下の範囲で精度が確保されていればよい。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、重ねた状態の複数枚の記録媒体それぞれからの回折光の発生場所が位置的にずれるので、各記録媒体に書き込まれている情報を光学的に同時に読み出すことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、第1の回折光と第2の回折光とに基づいて、第1の記録媒体に書き込まれた情報と第2の記録媒体に書き込まれた情報とに基づいた2次情報を得るステップを更に備えることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、2つの識別媒体それぞれから読み出された情報に基づいて、各識別媒体のみからでは得られない2次情報を得ることができる。ここで2次情報というのは、複数の記録媒体のそれぞれに記録された情報を1次情報とし、この1次情報を複数組み合わすことで得られる情報のことをいう。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す装置であって、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射手段と、前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出手段とを備えることを特徴とする情報読み取り装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報読み取り装置と、遊戯の進行を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機である。請求項5に記載の遊技機として、情報記録媒体をゲームカードとして、このゲームカードの選択により遊戯を進めて行く対戦型カードゲーム機の例を挙げることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す処理を実行するためのプログラムであって、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射ステップと、前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を多層に重ねた情報記録媒体であって、前記多層に重ねられた記録層のそれぞれに記録された前記ホログラム情報は、再生照明光を照射した際に、各記録層からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単純な構成の媒体により価格も安く、複数の媒体の同時読取を行うことができる技術が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(1)第1の実施の形態
(記録媒体の構成)
まず、本発明を利用した記録媒体の物理的な構成の一例を説明する。図1に記録媒体の構成を示す斜視図を、図2に図1のX−Yの断面図を示す。図1には、記録媒体100が概念的に示されている。図2には、記録媒体100の断面構造が示されている。この例では、記録媒体100の形状は、カード状としている。記録媒体100は、基材101の中間部にホログラフィーを記録する記録層102が位置した断面構造を有している。具体的な構造としては、基材を構成するフィルム状の部材2枚で記録層102を挟んだ構造やフィルム状の基材の上に記録層を形成し、その上を透明保護膜で覆って、図2に示す断面構造と等価な構造とする例を挙げることができる。記録層102は、基材101の表面部分あるいはその近くに配置されていてもよい。
【0019】
この例では、記録光、参照光、および再生照明光として可視光を用いるので、基材101として、可視光を高効率で透過するポリカーボネートを利用している。また、記録層として可視光により感光するポリマー(フォトポリマー:感光性樹脂)を利用している。感光性樹脂としては、モノマーとしてジフェニールフルオン骨格を有するジアクリルモノマー(FDA)を用い、ポリマーとしてジアリルフタレートプレポリマー(DAPP)を用い、可塑剤としてジエチルセバケート(DES)を用い、光重合開始剤として光開始剤(BTTB)を用い、増感色素としてシアニン系色素(CY)、メロシアニン(MR)系色素等を組成材料とて用いたものが利用できる。例えば各材料の配合量をFDA:10〜40重量%、DAPP:10〜40重量%、DES:20〜40重量%、BTTB:9〜18重量%、CY:0.05〜0.1重量%、MR:0.05〜0.1重量%としたものが感光性樹脂として用いることができる。
【0020】
可視光を利用する場合、基材としては、ポリカーボネート以外に同等な光透過性を有した樹脂材料を用いることができる。記録層としては、利用する波長に感光するように調整したものを利用することができる。また、記録光、参照光、および再生照明光として赤外光を用いる場合には、基材として赤外光を透過する可視光遮断樹脂や紙等を利用することができ、記録層として当該波長に感光するように調製したものを利用することができる。また紫外光を用いる場合は、基材として紫外光を高効率で透過する材質を利用し、記録層として、紫外光で感光し画像が形成される材質を利用すればよい。
【0021】
(記録媒体の製造方法)
図1および2に示す記録媒体100の製造方法の一例を説明する。まず厚さ100μmのポリカーボネートフィルムを用意する。また、溶剤に上記の感光性樹脂の組成物を溶かした調製物を作製し、それを先のポリカーボネートフィルムの上に塗布し、試料を作成する。この試料を常温で100〜300Pa程度の減圧雰囲気に放置し、溶剤を飛ばし、さらに50℃、5分の加熱を行うことで、層状に形成された感光性樹脂により構成される記録層102を形成する。記録層102の厚さは、利用する記録光や参照光の強度、読み取り時の光検出センサの感度によって好適な値が異なる。一般的には、数十〜数百μmとなるが、具体的な厚さは、実験的に求められた値が利用される。次に、記録層102を覆って光透過性を有する樹脂材料の層を保護層として形成し、基材101と一体化させる。こうして、図2に示す断面構造を有する記録媒体100を得る。
【0022】
(記録の基本原理)
次に記録媒体100が情報を記録する原理を簡単に説明する。図3は、図2に示す記録媒体100へのホログラム情報の記録の原理を示す概念図である。位相型ホログラム(以下ホログラムと称する)を記録するには、記録光と参照光を記録層102の同じ部分に別角度から照射する。記録光と参照光は、同じ波長のコヒーレント光であり、例えば同じコヒーレント光源からの光をビームスプリッターで分け、一方を記録光、他方を参照光とすることで得られる。
【0023】
記録光は、出発光をSLM(Spatial Light Modulator)と呼ばれる空間光変調器103に通し、そこで光学的に変調することで、所望の情報を含んだ光線として得られる。記録光と参照光が照射された記録層102の部分は、相互の光の干渉による干渉縞が形成される。記録層を構成する感光性の材料は、この干渉縞によって感光され、この干渉縞の状態を光学的に変質した状態として固定化する。これにより、空間光変調器103によって記録光に乗せた情報が記録層に光学的に記録される。干渉縞の間隔は光の波長程度の大きさであり、干渉縞は回折格子のような役割を果たす事になる。
【0024】
ホログラム情報の書き込みは、空間光変調器(SLM)103で変調した記録光(具体的には、部分的に記録光の有り無しの状態を作り)、それを参照光と共に別角度から記録媒体100に照射することで行われる。記録層102には、空間変調器(SLM)103で作られた部分的な明暗に応じた情報が書き込まれる(図3参照)。この情報は、上述した記録層102に形成される干渉縞の状態として記録される。
【0025】
記録媒体100に書き込まれた情報の読み取りは、記録した時と同条件の参照光(再生照明光と呼ぶ)を記録層102に照射し、その際に発生する回折光を検出することで行われる(図4参照)。すなわち、記録した時と同条件の参照光(再生照明光と呼ぶ)を記録層102に照射すると、記録層102に形成されている干渉縞で回折が発生する。この際発生する回折光は、図3の記録光と同じ状態の光となる。
【0026】
仮に記録光が、ある物体からの反射光であるとすると、再生される回折光は物体の各点からの光強度と、各点から記録層までの距離の情報(位相情報)を含んだ光(再生光)となる。このように再生光は、2次元的ではなく3次元的に見える為、まるで、物体がそこにあるように見える。回折効率は、ホログラムの種類、記録層102の厚さに依存するが、フォトポリマーに記録した位相形のホログラムでは80%以上の回折効率を実現することができる。一般に記録層を薄くすると回折効率は下がり、透過光の比率が大きくなってくる。このように記録層の厚みにより、回折光と透過光の割合を調節する事は可能である。
【0027】
(情報の書き込み)
ここでは、空間光変調器(SLM)103として液晶を用いたものを説明する。液晶を用いた空間光変調器(SLM)103は、透過型の液晶パネルであり、マトリクス状に並んだ2次元配置された各画素が光シャッターとして機能する。この液晶を用いた空間光変調器103に記録光の出発光を通過させると、1次元または2次元に展開された明暗の情報を含んだ記録光が生成される。例えば、明暗を0と1に対応させた情報が1次元に展開されたデータ列、または2次元的に展開されたマトリクスデータを含んだ記録光が生成される。図5に空間光変調器103で変調された情報の一例を示す。図5に示す例では、記録光は、透過または非透過の組み合わせにより決まる2次元のマトリクスデータを含んだものとなる。
【0028】
ここでは、透過型の液晶パネルを利用した空間光変調器の例を説明したが、空間光変調器を機械的な機構のシャッターを利用して構成することもできる。また、物体に光を当て、その反射光を記録光として用いることもできる。この場合、物体の凹凸により書き込む情報が構成される。
【0029】
記録層102への情報の記録例を図6に示す。この例において、記録光は平行光とし、空間光変調器103の光シャッター部分を通過することで、明暗をもつ帯状の光が記録媒体100の表面に記録光として結像する。この記録光とは別の光を違う角度から参照光として照射すると、バーコードのように明暗の記録光が図3に示す原理によりホログラムの情報として記録層102に記録される。図では、カード全面に同じ参照光を照射している。この情報の読み取りでは、面に斜めから再生照明光を照射することが重要であるので、参照光は図示するように記録媒体100の面に斜めの方向から照射する。なお、記録光は、参照光と干渉を起こさせるために、参照光と異なる角度で記録媒体100に照射する。また、図では、記録光を記録媒体100の面に垂直な方向から照射する例が示されているが、参照光と異なる角度であれば、図示する角度に限定されない。また、記録媒体100に対する参照光を様々な角度から照射し記録を行うと、読み取り時における再生照明光の照射角度の許容条件が広くなる。
【0030】
(情報の読み取り)
図6に示す方法で情報を書き込んだ記録媒体100から、書き込んだ(記録した)情報を読み出す方法の一例を説明する。図6に示す方法でホログラム情報を書き込んだ記録媒体100に、帯状の再生照明光を照射した際の様子を図7に示す。この例では、図6で記録媒体全面に照射した参照光を、適当なシャッター機構や光学系を利用して帯状としたものを再生照明光として用いる。再生照明光は、図6の参照光と同じ方向から照射される。この帯状のビームを作るためのシャッター機構は、空間光変調器103と同じ物を用いることができる。
【0031】
図7に示すように、記録媒体100に照射された再生照明光は、その一部が記録層102のホログラム情報が書き込まれた領域で回折され回折光となり、他部は透過光として記録媒体100を透過する。この際、回折光は図6の記録光と同じ方向に再生される。再生された回折光は、記録光の明暗の情報を再生する事になる。したがって、この明暗の組合せを変える事により記録媒体各々に固有な情報を記録する事が可能になる。図7は斜視図であるが、図8は、横から見た断面図である。通常、再生光は、記録層102からシャッター機構と記録層102の距離との間の距離と同じ距離だけ離れた位置に結像する。しかし、この例では、記録光が平行光であり、再生光も平行光で再生される為、結像する範囲は極めて広い。つまり、再生光を検出可能な位置の許容範囲は極めて広い。
【0032】
(情報の多重読み取り)
図6と同じ条件の参照光で情報を記録した3枚の記録媒体111〜113を、ズレがないように重ね、情報の書き込みを行った際の参照光と同じ角度から再生照明光を照射した際の様子を図9に示す。この場合、再生照明光は、斜めの方向から照射される。再生照明光は、まず一番上の媒体である記録媒体111に入射する。大部分の光はそのまま透過するが、一部の光が回折光として再生される。回折光は、記録光と同じ方向に再生されるので、この場合は、記録媒体111の面に垂直な下方向に進む。この回折光は、そのまま記録媒体112および113を透過する。なお、記録媒体111からの回折光が透過する記録媒体112および113の領域に、別のホログラム情報が書き込まれていたとしても、この回折光は、再生照明光として機能する条件を満たしていない(参照光とは入射角度が異なる)ので、この記録媒体111からの回折光は、記録媒体112および113を透過時に回折されず透過する。これは、再生照明光には角度依存性があり、記録された入力角度以外では回折せず透過する性質があることに起因する。
【0033】
一方、記録媒体111を透過した光は、その下の記録媒体112に入射する。強度こそ少々低下しているが、記録媒体111に入射した時と同じ条件を保っているため、記録媒体112においても再生照明光として機能し、一部の光が回折光として再生される。記録媒体112を透過した光は、また更に強度が低下するが、記録媒体111および112に入射した時と同条件で記録媒体113に入射し、さらに回折光が再生される。
【0034】
帯状の再生照明光は、斜めから照射され、各記録媒体の異なる面上の位置に照射され、さらに回折光は、面に垂直な方向に進むので、各記録媒体からの再生光は、受光装置における受光面の異なる位置で検出される。この原理により、各回折光を独立に検出し、各記録媒体から読み出された情報を独立に、且つ、同時に得ることができる。
【0035】
図10に図9の受光装置を上から見た様子を示す。図10には、各回折光によるバーコード状の明暗が照射された状態が示されている。図9のように斜めから再生照明光を照射すると、再生される各回折光は、水平方向にシフトしたずれた状態で発生する。仮に媒体の厚さが0.2mmとし、再生照明光と記録媒体とのなす角度を30度とすると、記録媒体111と記録媒体112との回折光のシフト量の長さは約0.35mmとなる。この程度であれば、高解像度化された受光装置(CCDやフォトダイオードアレイ)によって充分な分解能で検出することが可能となる。
【0036】
このように、再生照明光は、斜めから入射するので、記録媒体111の領域111a(図では誇張して広く表示している)からの第1の回折光と、記録媒体112の領域112aからの第2の回折光と、記録媒体113の領域113aからの第3の回折光とが得られる。これら回折光は、位置的にずれた領域から発生するので、重ならずに位置的にずれた状態で同時に検出される。以上のような原理から、一枚の状態でも、複数枚が重なり合った状態でも同時に情報を読み取る事が可能なシステムが実現される。
【0037】
この原理による記録媒体111〜113を重ねた状態から読み出される情報は、図10に示すような各記録媒体に記録された情報が2次元平面上に展開されて並べられたものとなる。このような形で得られた複数の記録媒体からの情報を合成し、2次情報を得る場合、情報が記録され、且つ読み取り時に再生照明光が照射される各記録媒体における領域は、図9の領域111a〜111cに示すように、各記録媒体を重ねた際に位置的にずれている必要がある。
【0038】
例えば、記録媒体111について説明すると、記録媒体111では、情報の読み取り時に再生照明光が照射される領域111aに所定の情報が記録されている。この所定の情報は、記録層114と同様な記録層を有する他の記録媒体112および113から読み出されるホログラム情報と合成されて図10に示す回折光の明暗から構成される所定の2次情報となる情報である。そしてこの所定の領域111aは、記録媒体111と他の記録媒体112および113とを重ねてホログラム情報を読み取る際に、記録媒体112の再生照明光が当たる部分、および記録媒体113の再生照明光が当たる部分とは、情報の読み取りのために、各記録媒体を重ねた状態において、互いに重ならない位置関係とされている。この条件は、他の2枚の記録媒体112および113にも同様に言える事であり、この条件を満足した情報の記録が行われることで、図9に示す原理による情報の読み取りを行うことができる。
【0039】
この例では、3枚の記録媒体を重ね、情報の読み出しを行う例を示したが、重ねる記録媒体の枚数は、任意である。ただし、一番下の記録媒体に、回折光が生じる程度の再生照明光が当たり、また一番上の記録媒体からの回折光が一番下の記録媒体を透過する条件を満たすことが必要である。言い替えれば、この条件を満たす範囲で記録媒体を複数重ね、図9に示す原理による情報の読み取りを行うことができる。
【0040】
(遊技カードへの応用:システムおよび構成)
図9に示す原理を遊技カードに利用した例を説明する。この例では、トレーディングカードゲームに使用するカードに本発明の記録媒体を適用する。この例では、対戦をコンピュータゲーム機器で行う事を想定しており、カードに記録されたホログラム情報をコンピュータゲーム機器に読み込み、対戦を行う。
【0041】
この例において、カードは大別して数種類のカードに分けられている。具体的には、それぞれのキャラクターが描かれたキャラクターカードと、キャラクターが使用する武器や防具等が描かれた武器防具カード、攻撃や防御、魔法等のコマンドカード、使用するアイテムが描かれたアイテムカード等に分けられている。例えば、カード読取機にキャラクターカードを置くと、画面上にキャラクターが登場し、そのカードの上に武器と防具のカードを置くとキャラクターが武器と防具を装備する。さらに戦闘で使用するコマンドカードとアイテムカードを選び対戦の準備が完了となる。その後、対戦をスタートする。
【0042】
カードの製造は、ポリカーボネート基板に、ホログラフィー記録層となるフォトポリマーをオフセット印刷等の汎用的な印刷方法で印刷し、その上に記録層を保護する紫外線硬化型の保護層を一層印刷する。その上にキャラクターやアイテム等のグラフィックを印刷し、カード状に打ち抜く事でカードの完成となる。記録の読み取りに赤外線を使用する場合は、赤外を透過するインクで印刷を行い、記録層を隠蔽する事が出来る。
【0043】
以下に読取装置の一例を図11に示す。図11は、カード121〜124を簡単に積層しやすいように斜めに傾斜したカードの置き場125を設け、順々にカード121〜124を積層し読み込むタイプのリーダー120が示されている。リーダー120は、回折光群128を検出する受光装置129を備えている。受光装置129は、CCDやフォトダイオードアレイにより構成される光を電気信号に変換する光電変換装置である。
【0044】
受光装置129には、受光データ処理装置130が接続されている。受光データ処理装置130は、受光装置129から出力される信号を所定のデータ形式に変換し、それを情報取得装置131に送る。情報取得装置131は、回折光群128に含まれる情報(つまりカード121〜124から読み出された情報)に基づいて2次情報を取得する。この際、メモリ132に記録されたデータ等が参照される。この2次情報が、上述したキャラクターカード、武器防具カード、コマンドカード、アイテムカードの設定情報の組み合わせによって得られるゲーム上のファイターの設定内容となる。
【0045】
なお、メモリ132には、カード121〜124から情報を読み出す動作を制御する動作プログラムが記録されている。また情報取得装置131は、CPUを内蔵しており、リーダー120の動作全体を制御する。情報取得装置131で取得された2次情報は、ゲームの動作を制御するゲーム制御装置133に送られる。ゲーム制御装置133は、情報取得装置131から送られてきた2次情報に基づいてゲームの進行を制御する。
【0046】
(遊技カードへの応用:動作)
この例における情報の読み取りは、以下のようにして行われる。まず、図1および2に示す構造を有し、図6に示す原理で情報が記録され、さらにその情報の書き込みが、図9に示す読み取り原理が利用できるように行われているカード121〜124が、図11のカード置き場125に重ねて置かれる。次に光源126からの再生照明光127が各カードの面に対して斜めの方向から当てられる。再生照明光127は、細長い帯状(線状)の断面形状を有するビームとされたものが用いられる。この結果、回折光128群が生成される。回折光群128は、各カードで回折された4つの回折光を含み、それらはカード面に垂直な方向から見て、互いにずれた位置から生成される。
【0047】
受光装置129では、各カードからの帯状の回折光が4本並んだ状態で検出される。ここで例えば、カード124からの回折光がキャラクターに関する情報を含み、カード123からの回折光が武器および防具に関する情報を含み、カード122からの回折光が攻撃や防御、魔法の使用等の決定に関する情報を含み、カード121からの回折光がその他アイテムの使用に関する情報を含むものとされる。プレイヤー(ゲームを行う遊戯者)は、各種類のカードをキャラクターの違いや武器の違い等に応じて複数枚ずつ持っている。プレイヤーは、ゲームの進行に合わせて、状況に応じてその中から適宜適切と思われるカードを選択し、カード置き場125に重ね、コンピューター(ゲーム機)との対戦を行う。
【0048】
この際、情報取得装置131は、重ねられた4枚のカード121〜124からの情報を同時に読み取り、それらの情報を組み合わせて、プレイヤーが選択した設定(2次情報)を取得する。例えば、情報取得装置131は、カード124から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択したキャラクター情報を得、さらにカード123から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択した武器と防具に関する情報を得、さらにカード122から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択した攻撃や防御、魔法の使用等に関する決定に関する情報を得、さらにカード121から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択したその他アイテムの使用に関する情報を得る。そしてこれらの情報を組み合わせてプレイヤーが選択したゲーム中で仮想の戦闘を行うファイターに関する設定を2次情報として得る。この2次情報がゲーム制御装置133に送られる。ゲーム制御装置133は、当該ファイターに設定された諸条件(使用する武器等に関する情報)を認識し、この設定に基づいてゲームを進行させる。
【0049】
このゲームの遊技方法によれば、重ねるカードを選択することで、プレイヤーは、遊戯を進めていく。この際、選択したカードを重ねてカード置き場125に置くだけでよいので、操作が簡単となる。また簡単な操作でありながら、複雑な情報をゲーム機側に認識させることができる。
【0050】
以上説明した情報の読み取り手順は、メモリ132に記録された動作プログラムに従って実行される。このプログラムは、外部に接続された記録媒体や回線から提供することもできる。
【0051】
(変形例)
図12は、カードボックス141を用意し、キャラクターカード142はキャラクター部143に挿入し、図示しない武器カードは武器部144に挿入する等、各カード入れにカードをセットする。その後、図示しないリーダーにカードボックス141をセットすることで情報の読み取りを行う。この態様によれば、各自でボックスを持つ形にすれば、対戦前の準備が楽となる。
【0052】
図9または図11に示す例では、再生照明光としてビームの断面形状が帯状のものを用いているが、点状のレーザ光を帯状の領域で走査しつつ照射するようにしてもよい。また、この例では、図10に示すように、一つのドットで明暗の2種類の状態を設定し、情報を構成する例を説明したが、明と暗の間の階調に対応させて情報を構成することもできる。
【0053】
上記の例では、コンピュータを相手にゲームを行う場合を説明したが、同様な読み取り手段を用意し、対戦相手のプレイヤーも同様の操作(カードを選択する操作)を行うことで、対戦を行う構成とすることもできる。また、図4に示すリーダー120を備えたゲーム機をインターネット等の回線に接続し、回線を介して、サーバコンピュータと対戦を行う構成、あるいは回線に接続した他のユーザとの対戦を行う構成とすることもできる。
【0054】
(実施形態の優位性)
この例によれば、複数の記録媒体が複数重なり合った状態でも、全ての記録媒体の同時読取が可能となる。またデータの書込みには大掛かりな光学機構を必要し、さらに記録されたデータの解析が難しく、その解析には高度な光学的な知識と、高精度の光学読取系を必要とするので、偽造、改ざん防止効果が高くすることができる。また、記録層をカード内部に設ける事が出来る為、バーコードのように摩擦でデータが消えてしまう事も無い。また、磁気カードのように磁石を近づけたりしてもデータが消失する事もない。またリーダーに駆動機構が無い為、低価格化と小型化が図れ、メンテナンスの大幅な省力化が可能となる。また、カードを全くの静止状態で読み取る事が出来る為、常時読取が可能となる。また、赤外読取式の場合、記録層の存在を隠す事が出来る。また、カード全面に印刷が可能になり、デザイン性の向上を図ることができる。
【0055】
(2)第2の実施形態
本実施形態は、複数の記録媒体を重ねた状態において、帯状の再生照明光を走査して照射することで、より多くの情報を読み出す例に関する。図13には、記録層151aを備えた記録媒体151、記録層152aを備えた記録媒体152、および記録層153aを備えた記録媒体153が重ねられた状態が示されている、ここで、記録媒体151〜153は、第1の実施形態で説明した記録媒体100と同様の物理構造を備えているものとする。
【0056】
まず、記録媒体151〜153が重ねられた状態において、図13(A)に示す位置に図13(A)に示す角度(面に垂直な線との間でなす角度が45度)で、且つ、図の奥行き方向に延在する帯状の再生照明光154を照射する場合を説明する。この場合、記録媒体151における記録層151aの帯状の領域11の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体152における記録層152aの帯状の領域12の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体153における記録層153aの帯状の領域13の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。つまり、受光面155では、各記録媒体の3つの線状の領域11〜13からの回折光が同時に受光され、図示省略した情報取得装置において、これら3つの回折光に基づいた情報が得られる。この場合、記録媒体151の領域11に記録されていた情報と、記録媒体152の領域12に記録されていた情報と、記録媒体153の領域13に記録されていた情報とに基づいた2次情報が読み取られる。
【0057】
図13(A)に示す状態での情報の読み取りが終了したら、次に再生照明光を(A)の位置から図の右方向に所定の距離シフトした位置に照射する。この様子が図13(B)に示されている。この場合、記録媒体151における記録層151aの帯状の領域21の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体152における記録層152aの帯状の領域22の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体153における記録層153aの帯状の領域23の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。つまり、受光面155では、各記録媒体の3つの帯状の領域21〜23からの回折光が同時に受光され、図示省略した情報取得装置において、これら3つの回折光に基づいた情報が得られる。この場合、記録媒体151の領域21に記録されていた情報と、記録媒体152の領域22に記録されていた情報と、記録媒体153の領域23に記録されていた情報とに基づいた2次情報が読み取られる。この2次情報は、図13(A)において読み取られた情報とは、記録された位置が異なるので、それとは異なる内容とすることができる。
【0058】
図13(C)に受光面155上で検出される回折光の明暗で構成される光学パターンの一例を示す。図13(C)には、(A)の読み出しにおいて検出された各識別媒体の領域11〜13からの回折光の受光面155上における明暗のパターンと、(B)の読み出しにおいて検出された各識別媒体の領域21〜23からの回折光の受光面155上における明暗のパターンとが同時に示されている。
【0059】
各記録媒体への情報の書き込みは、符号11〜13や符号21〜23で示される各記録媒体の各領域に、図3に示す方法でホログラム情報の書き込みを行うことで行われる。ここでは、図13(A)と(B)の2段階にわたって情報の読み取りを行う例を説明したが、さらに多段階にわって情報の読み取りを行うことができることはいうまでもない。
【0060】
(3)第3の実施形態
本実施形態では、記録媒体に情報を書き込む情報書き込み装置の一例を説明する。図14は、情報書き込み装置の一例を示す概念図である。図14に示す情報書き込み装置は、記録層161aを備えた記録媒体161にホログラム情報を記録する。この装置において、記録媒体161は、移動ステージ162上に載せられる。移動ステージ162は、矢印163の方向に移動させることが可能とされている。
【0061】
この情報書き込み装置は、レーザ照射装置164を備えている。レーザ照射装置164は、光学系を内蔵しており、図の奥行き方向に延在する断面が帯状のビームを出力する。レーザ光の波長は任意であるが、ここでは可視光を利用する。レーザ照射装置164から出力されたレーザ光は、ビームスプリッター165aによって直交する2方向に分けられ、その一方は、ミラー165bで反射されて参照光として記録媒体161に照射される。また、ビームスプリッター165aで分けられた他方のビームは、ミラー165cで反射され、さらに空間変調器166を通過することで、記録光となり、記録媒体161に照射される。空間光変調器166は、液晶パネルを用いた光シャッターであり、帯状のレーザビームの延在方向に沿って、複数の画素が配列された構造を備えている。参照光と記録光とは、記録層161aの厚み中央の部分でビームが交差する位置関係とされている。
【0062】
次に制御システムについて説明する。この装置は、書き込み情報生成装置167を備えている。書き込み情報生成装置167は、メモリ168に記録された情報を読み出し、記録媒体161に書き込むべき情報に基づいたデータ信号を生成し、それを空間光変調器駆動装置169に出力する。このデータ信号に基づいて、空間光変調器駆動装置169は、空間光変調器166におけるレーザ光の変調作用を制御する。また同時に、書き込み情報生成装置167は、書き込む情報に基づいてステージ駆動装置170に制御信号を出力する。ステージ駆動装置170は、この制御信号に基づき、ステージ162の位置を制御する。この仕組みによれば、空間変調器166により変調された記録光の照射タイミングとステージ162の位置調整のタイミングとが調整され、記録層161aの帯状の領域への情報の書き込みが、この帯状の領域に直交する方向(図の左右方向)に走査されつつ順次行われる。
【0063】
この情報書き込み装置は、例えば図9に示す読み取りが行われる各記録媒体への情報の書き込みや、図13に示した読み取りが行われる各記録媒体への情報の書き込みに用いるができる。なお、空間光変調器166の状態を固定した状態で、ステージ162を走査させつ参照光と記録光とを照射すると、図7の場合と同様な情報の書き込み形態を得ることができる。
【0064】
以下、図9に示す読み取りが行われる各記録媒体への情報の書き込みの一例を説明する。この場合、前提として図14の情報書き込み装置のメモリ168に以下のデータを記録されている。すなわち、図9に示すように識別媒体111〜113が重ねられた状態で読み出される情報が所定の有意な情報となるように、記録媒体111の領域111aに書き込むべき情報(情報その1)、記録媒体112の領域112aに書き込むべき情報(情報その2)、および記録媒体113の領域113aに書き込むべき情報(情報その3)が、図14のメモリ168に記録されている。
【0065】
より詳細にいうと、(情報その1)が記録媒体111に書き込むべき情報であること、そして(情報その1)の書き込む位置(符号111aの領域)に関する情報が、(情報その1)に関連付けられてメモリ168に記録されている。また同様に、(情報その2)が記録媒体112に書き込むべき情報であること、そして(情報その2)の書き込む位置(符号112aの領域)に関する情報が、(情報その2)に関連付けられてメモリ108に記録されている。また同様に、(情報その3)が記録媒体113に書き込むべき情報であること、そして(情報その3)の書き込む位置(符号113aの領域)に関する情報が、(情報その3)に関連付けられてメモリ108に記録されている。なお、これらのデータは、外部の記録媒体や適当な回線を経由して提供することもできる。
【0066】
以下、各記録媒体への情報の書き込みの手順を説明する。まず記録媒体111への情報の書き込みの一例を説明する。まず記録媒体111を移動ステージ162の上に載せる。すなわち、図14の記録媒体161の代わりに、図9の記録媒体111を移動ステージ162の上に載せる。次に図9の記録層114の帯状の領域111aの部分に参照光と記録光とが当たるように、ステージ162を移動させ、当該領域の位置を調整する。その後、レーザ光照射装置164からレーザ光を出力し、参照光と記録光を当該領域に照射する。この際、当該領域に書き込むべき情報に基づいた光変調が行われるように空間光変調器166が制御される。こうして、図9の記録媒体111の領域111aの部分に記録媒体111に書き込むべき情報がホログラムの記録の原理を利用して書き込まれる。
【0067】
記録媒体112および記録媒体113に対しても、同様の手順により情報の書き込みが行われる。すなわち、記録媒体112の領域112aの部分に記録媒体112に記録するべき情報が書き込まれ、記録媒体113の領域113aの部分に記録媒体113に記録するべき情報が書き込まれる。
【0068】
こうして情報の書き込みが行われた記録媒体111〜113を図9に示すように3枚重ね、その状態で情報書き込み時の参照光と同じものを同じ角度で再性照明光として照射すると、各記録媒体からの回折光が、図9および図10に示すように位置がずれ、2次元的に並んだ状態で検出される。この回折光の行列パターンから記録媒体111〜113のそれぞれに記録された情報に基づく2次情報が得られる(例えば、図11に関連した説明を参照)。
【0069】
図14に示す情報書き込み装置は、図示省略した制御コンピュータにより制御されて動作する。このコンピュータのメモリには、上述した動作を行うための動作プログラムが記録されており、それが読み出されてその内容が上記制御コンピュータにより実行される。この動作プログラムは、外部に接続された記録媒体や回線から提供することもできる。
【0070】
(4)第4の実施形態
重ねた複数の記録媒体から読み取られる2次情報に基づいて、真贋の判定や認証を行うこともできる。例えば、本発明の記録媒体を身分証(身分証明カード)に適用した場合を説明する。この場合、身分証が図9に示される3枚の記録媒体111〜113によって構成され、この身分証の携帯者は、それらを認識装置の再生照明光が当たる部分に決められた順に重ねる。この際、所定の認証データが記録されていない識別媒体を用いれば、データ照合が行えず、認証エラーとなる。また、重ねる順番が異なると、得られる2次情報が予め決められたものと異なることになるので、やはりデータ照合が行えず認証エラーとなる。
【0071】
例えば、この認証を行うためのハードウェアとして、図11に示す装置を改良した物を利用することができる。この場合、図11に示す装置のゲーム制御装置133を認証判定装置として、その結果に基づいて、図示しない認証結果報知装置やゲートの制御装置等が制御されるようにすればよい。
【0072】
(5)第5の実施形態
図9や図11では、記録層を一層備えた記録媒体を重ね、多重に情報を読み取る例が記載されている。この原理を利用して、はじめから多層に記録層を備えた記録媒体を提供し、図9や図11と同様な原理により、複数の層に書き込まれた情報を読み出すこともできる。
【0073】
以下この例を説明する。図15は、記録層を多層に備えた記録媒体の一例である。この例では、記録媒体171は、3層の記録層171a、171bおよび171cを備えている。記録媒体171は、図1および図2に示す記録媒体を光透過性の接着剤を介して3枚重ねた構造を有している。
【0074】
以下、記録媒体171への情報の書き込み方の一例を説明する。ここでは、図14に示した情報書き込み装置を改良したものを用いて記録媒体171に情報を書き込む場合の一例を説明する。この例では、図14に示す情報記録装置において、移動ステージ162が左右に加えて上下に移動可能である構造とする。
【0075】
まず、記録媒体171を移動ステージ162の上に載せる。次ぎに移動ステージ162を左右(矢印163の方向)に動かし、情報を書き込む平面上の位置を決める。この例では、符号31の部分に情報の書き込みが行われるように図14における矢印163の方向の位置を決める。次ぎに移動ステージ162を上下に動かし、参照光と記録光との焦点の位置に図15の記録層171aが位置するように調整する。あとは第3の実施形態に関連して説明した手順により、記録層171aに情報の書き込みを行う。
【0076】
次ぎに移動ステージ162を左右に動かし、符号32の部分に情報の書き込みが行われるようにステージ162の位置が調整される。そして、参照光と記録光との焦点の位置に図15の記録層171bが位置するようにステージ162の高さを調整し、第3の実施形態に関連して説明した手順により、記録層171bに情報の書き込みを行う。
【0077】
次ぎに移動ステージ162を左右に動かし、符号23の部分に情報の書き込みが行われるようにステージ162の位置が調整される。そして、参照光と記録光との焦点の位置に図15の記録層171cが位置するようにステージ162の高さを調整し、第3の実施形態に関連して説明した手順により、記録層171cに情報の書き込みを行う。
【0078】
こうして、3層ある記録層への情報の書き込みが行われる。書き込まれた情報の読み取りに関しては、図9、図11または図13に関連して説明したのと同じであるので、説明は省略する。なお記録媒体171を得る方法としては、記録層を1層備えた記録媒体片を個別に製造し、それらに個別に情報の書き込みを行い、その後にそれらを積層し、一体化する方法を採用することもできる。
【0079】
(6)他の実施形態
再生照明光を識別媒体に対して垂直に照射し、書き込まれた情報を読み出すこともできる。この場合、情報の書き込みの際に、識別媒体の面に垂直な方向から参照光を照射し、記録光をそれとは異なる方向から照射する。読み出しの際は、重ねた複数の記録媒体に垂直な方向から再生照明光を照射する。この際、回折光(再生光)が、再生照明光に対してある角度を有した方向(所定の方向)に出力される。この回折光は、各記録媒体の積層方向の異なる位置から上記所定の方向に出力されるので、それぞれを分離して検出することができる。つまり、図9、図11、図12、図13または図15に示す場合と同様な原理により、情報を読み出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、情報を記録する媒体およびそれに関連する技術に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】記録媒体の概要を示す斜視図である。
【図2】記録媒体の断面構造を示す断面図である。
【図3】ホログラム情報を書き込む原理を示す概念図である。
【図4】書き込まれたホログラム情報を読み出す原理を示す概念図である。
【図5】空間光変調器の機能を示す概念図である。
【図6】記録媒体へのホログラム情報の書き込みを行う状態を示す概念図である。
【図7】記録媒体からのホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図8】記録媒体からのホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図9】積層した記録媒体からホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図10】受光面で検出される回折光の状態を示す概念図である。
【図11】情報の読み取り装置の一例を示す概念図である。
【図12】情報の読み取り装置の一例を示す概念図である。
【図13】積層した記録媒体からホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図14】記録媒体へのホログラム情報の書き込みを行う装置の一例を示す概念図である。
【図15】記録媒体の他の一例の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
100…記録媒体、101…基材、102…記録層、103…空間光変調器、111…記録媒体、112…記録媒体、113…記録媒体、111a…ホログラム情報が記憶され、再生照明光が当てられ回折光が生じる領域、112a…ホログラム情報が記憶され、再生照明光が当てられ回折光が生じる領域、113a…ホログラム情報が記憶され、再生照明光が当てられ回折光が生じる領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムを利用した情報記録技術に係り、特に複数の記録媒体を重ねた状態で情報の読み取りを行う技術およびそれを利用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体としては、磁気記録式の磁気カードや光カード、最近では接触式、非接触式のICカード等が知られている。何れの記録媒体も、基本的には、同時に読み取る事が出来る媒体の数は1つであり、重なり合った状態等で複数の記録媒体を読む事はできない。
【0003】
このような課題を解決する為の技術として、非接触式の情報記録媒体における工夫が知られている(例えば公知文献1を参照)。この技術では、電磁誘導を利用した情報の読み取り技術を基礎としたもので、一般の非接触情報媒体で読取不良の原因となる、重なり合った相互の非接触情報記録媒体の干渉の影響を、コイルパターンの工夫等によって抑えている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−56118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電磁誘導を利用した記録媒体は、媒体内にコイルやチップ等を配置した電子回路が必要になり、磁気カード等の媒体に比べてカードの構成や製造工程が複雑になり、価格も高くならざるを得なかった。そこで本発明は、単純な構成の媒体により価格も安く、複数の媒体の同時読取を行うことができる技術を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を備えた情報記録媒体であって、前記ホログラム情報は、前記記録層と同様な記録層を有する他の記録媒体を重ねた状態で再生照明光を照射した際に、当該記録媒体と前記他の記録媒体からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数の記録媒体を重ねた状態に再生照明光が照射されるので、各媒体で発生する回折光は、回折光の発生方向から見てずれた位置から発生する。つまり、複数の記録媒体から同時にホログラム情報を読み取る際、複枚の記録媒体は重ねられて位置的に上下にずれているので、各媒体で発生する回折光のそれぞれは、回折光の光軸方向から見て、位置的にずれた位置から発生する。このため、記録媒体を重ねた状態から各媒体に記録された情報を同時に読み出すことができる。
【0008】
本明細書において、ホログラム情報は、書き込む情報に基づいて変調された記録光と参照光とを異なる角度から感光材料に照射し、両光の干渉の状態を感光材料に干渉縞の状態として固定化することで記録(書き込み)される。この記録の読み出しは、記録が行われた場所に参照光と同じ光を同じ角度で再生照明光として照射した際に生じる回折光(この回折光は、さきの干渉縞で再生照明光が回折されることで生じる)を検出することで行われる。この回折光は、記録光と参照光との干渉の状態を反映したものであり、記録光に含まれる情報がそこに含まれている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す方法であって、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射するステップと、前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出するステップとを有することを特徴とする情報読み取り方法である。
【0010】
請求項2に記載の発明において、重ねる識別媒体の数は2つに限定されず、3以上であってもよい。また重ねた面に斜めの方向からというのは、2つの識別媒体の重ねた面に垂直な方向との間でなす角度が0度を超え、90度に満たない角度のことをいう。この再生照明光の光軸は、情報の書き込みに利用した参照光の光軸に一致または略一致させればよい。略一致の許容範囲は、記録層の厚みに依存するが、数度以下の範囲で精度が確保されていればよい。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、重ねた状態の複数枚の記録媒体それぞれからの回折光の発生場所が位置的にずれるので、各記録媒体に書き込まれている情報を光学的に同時に読み出すことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、第1の回折光と第2の回折光とに基づいて、第1の記録媒体に書き込まれた情報と第2の記録媒体に書き込まれた情報とに基づいた2次情報を得るステップを更に備えることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、2つの識別媒体それぞれから読み出された情報に基づいて、各識別媒体のみからでは得られない2次情報を得ることができる。ここで2次情報というのは、複数の記録媒体のそれぞれに記録された情報を1次情報とし、この1次情報を複数組み合わすことで得られる情報のことをいう。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す装置であって、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射手段と、前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出手段とを備えることを特徴とする情報読み取り装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報読み取り装置と、遊戯の進行を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機である。請求項5に記載の遊技機として、情報記録媒体をゲームカードとして、このゲームカードの選択により遊戯を進めて行く対戦型カードゲーム機の例を挙げることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す処理を実行するためのプログラムであって、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射ステップと、前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を多層に重ねた情報記録媒体であって、前記多層に重ねられた記録層のそれぞれに記録された前記ホログラム情報は、再生照明光を照射した際に、各記録層からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単純な構成の媒体により価格も安く、複数の媒体の同時読取を行うことができる技術が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(1)第1の実施の形態
(記録媒体の構成)
まず、本発明を利用した記録媒体の物理的な構成の一例を説明する。図1に記録媒体の構成を示す斜視図を、図2に図1のX−Yの断面図を示す。図1には、記録媒体100が概念的に示されている。図2には、記録媒体100の断面構造が示されている。この例では、記録媒体100の形状は、カード状としている。記録媒体100は、基材101の中間部にホログラフィーを記録する記録層102が位置した断面構造を有している。具体的な構造としては、基材を構成するフィルム状の部材2枚で記録層102を挟んだ構造やフィルム状の基材の上に記録層を形成し、その上を透明保護膜で覆って、図2に示す断面構造と等価な構造とする例を挙げることができる。記録層102は、基材101の表面部分あるいはその近くに配置されていてもよい。
【0019】
この例では、記録光、参照光、および再生照明光として可視光を用いるので、基材101として、可視光を高効率で透過するポリカーボネートを利用している。また、記録層として可視光により感光するポリマー(フォトポリマー:感光性樹脂)を利用している。感光性樹脂としては、モノマーとしてジフェニールフルオン骨格を有するジアクリルモノマー(FDA)を用い、ポリマーとしてジアリルフタレートプレポリマー(DAPP)を用い、可塑剤としてジエチルセバケート(DES)を用い、光重合開始剤として光開始剤(BTTB)を用い、増感色素としてシアニン系色素(CY)、メロシアニン(MR)系色素等を組成材料とて用いたものが利用できる。例えば各材料の配合量をFDA:10〜40重量%、DAPP:10〜40重量%、DES:20〜40重量%、BTTB:9〜18重量%、CY:0.05〜0.1重量%、MR:0.05〜0.1重量%としたものが感光性樹脂として用いることができる。
【0020】
可視光を利用する場合、基材としては、ポリカーボネート以外に同等な光透過性を有した樹脂材料を用いることができる。記録層としては、利用する波長に感光するように調整したものを利用することができる。また、記録光、参照光、および再生照明光として赤外光を用いる場合には、基材として赤外光を透過する可視光遮断樹脂や紙等を利用することができ、記録層として当該波長に感光するように調製したものを利用することができる。また紫外光を用いる場合は、基材として紫外光を高効率で透過する材質を利用し、記録層として、紫外光で感光し画像が形成される材質を利用すればよい。
【0021】
(記録媒体の製造方法)
図1および2に示す記録媒体100の製造方法の一例を説明する。まず厚さ100μmのポリカーボネートフィルムを用意する。また、溶剤に上記の感光性樹脂の組成物を溶かした調製物を作製し、それを先のポリカーボネートフィルムの上に塗布し、試料を作成する。この試料を常温で100〜300Pa程度の減圧雰囲気に放置し、溶剤を飛ばし、さらに50℃、5分の加熱を行うことで、層状に形成された感光性樹脂により構成される記録層102を形成する。記録層102の厚さは、利用する記録光や参照光の強度、読み取り時の光検出センサの感度によって好適な値が異なる。一般的には、数十〜数百μmとなるが、具体的な厚さは、実験的に求められた値が利用される。次に、記録層102を覆って光透過性を有する樹脂材料の層を保護層として形成し、基材101と一体化させる。こうして、図2に示す断面構造を有する記録媒体100を得る。
【0022】
(記録の基本原理)
次に記録媒体100が情報を記録する原理を簡単に説明する。図3は、図2に示す記録媒体100へのホログラム情報の記録の原理を示す概念図である。位相型ホログラム(以下ホログラムと称する)を記録するには、記録光と参照光を記録層102の同じ部分に別角度から照射する。記録光と参照光は、同じ波長のコヒーレント光であり、例えば同じコヒーレント光源からの光をビームスプリッターで分け、一方を記録光、他方を参照光とすることで得られる。
【0023】
記録光は、出発光をSLM(Spatial Light Modulator)と呼ばれる空間光変調器103に通し、そこで光学的に変調することで、所望の情報を含んだ光線として得られる。記録光と参照光が照射された記録層102の部分は、相互の光の干渉による干渉縞が形成される。記録層を構成する感光性の材料は、この干渉縞によって感光され、この干渉縞の状態を光学的に変質した状態として固定化する。これにより、空間光変調器103によって記録光に乗せた情報が記録層に光学的に記録される。干渉縞の間隔は光の波長程度の大きさであり、干渉縞は回折格子のような役割を果たす事になる。
【0024】
ホログラム情報の書き込みは、空間光変調器(SLM)103で変調した記録光(具体的には、部分的に記録光の有り無しの状態を作り)、それを参照光と共に別角度から記録媒体100に照射することで行われる。記録層102には、空間変調器(SLM)103で作られた部分的な明暗に応じた情報が書き込まれる(図3参照)。この情報は、上述した記録層102に形成される干渉縞の状態として記録される。
【0025】
記録媒体100に書き込まれた情報の読み取りは、記録した時と同条件の参照光(再生照明光と呼ぶ)を記録層102に照射し、その際に発生する回折光を検出することで行われる(図4参照)。すなわち、記録した時と同条件の参照光(再生照明光と呼ぶ)を記録層102に照射すると、記録層102に形成されている干渉縞で回折が発生する。この際発生する回折光は、図3の記録光と同じ状態の光となる。
【0026】
仮に記録光が、ある物体からの反射光であるとすると、再生される回折光は物体の各点からの光強度と、各点から記録層までの距離の情報(位相情報)を含んだ光(再生光)となる。このように再生光は、2次元的ではなく3次元的に見える為、まるで、物体がそこにあるように見える。回折効率は、ホログラムの種類、記録層102の厚さに依存するが、フォトポリマーに記録した位相形のホログラムでは80%以上の回折効率を実現することができる。一般に記録層を薄くすると回折効率は下がり、透過光の比率が大きくなってくる。このように記録層の厚みにより、回折光と透過光の割合を調節する事は可能である。
【0027】
(情報の書き込み)
ここでは、空間光変調器(SLM)103として液晶を用いたものを説明する。液晶を用いた空間光変調器(SLM)103は、透過型の液晶パネルであり、マトリクス状に並んだ2次元配置された各画素が光シャッターとして機能する。この液晶を用いた空間光変調器103に記録光の出発光を通過させると、1次元または2次元に展開された明暗の情報を含んだ記録光が生成される。例えば、明暗を0と1に対応させた情報が1次元に展開されたデータ列、または2次元的に展開されたマトリクスデータを含んだ記録光が生成される。図5に空間光変調器103で変調された情報の一例を示す。図5に示す例では、記録光は、透過または非透過の組み合わせにより決まる2次元のマトリクスデータを含んだものとなる。
【0028】
ここでは、透過型の液晶パネルを利用した空間光変調器の例を説明したが、空間光変調器を機械的な機構のシャッターを利用して構成することもできる。また、物体に光を当て、その反射光を記録光として用いることもできる。この場合、物体の凹凸により書き込む情報が構成される。
【0029】
記録層102への情報の記録例を図6に示す。この例において、記録光は平行光とし、空間光変調器103の光シャッター部分を通過することで、明暗をもつ帯状の光が記録媒体100の表面に記録光として結像する。この記録光とは別の光を違う角度から参照光として照射すると、バーコードのように明暗の記録光が図3に示す原理によりホログラムの情報として記録層102に記録される。図では、カード全面に同じ参照光を照射している。この情報の読み取りでは、面に斜めから再生照明光を照射することが重要であるので、参照光は図示するように記録媒体100の面に斜めの方向から照射する。なお、記録光は、参照光と干渉を起こさせるために、参照光と異なる角度で記録媒体100に照射する。また、図では、記録光を記録媒体100の面に垂直な方向から照射する例が示されているが、参照光と異なる角度であれば、図示する角度に限定されない。また、記録媒体100に対する参照光を様々な角度から照射し記録を行うと、読み取り時における再生照明光の照射角度の許容条件が広くなる。
【0030】
(情報の読み取り)
図6に示す方法で情報を書き込んだ記録媒体100から、書き込んだ(記録した)情報を読み出す方法の一例を説明する。図6に示す方法でホログラム情報を書き込んだ記録媒体100に、帯状の再生照明光を照射した際の様子を図7に示す。この例では、図6で記録媒体全面に照射した参照光を、適当なシャッター機構や光学系を利用して帯状としたものを再生照明光として用いる。再生照明光は、図6の参照光と同じ方向から照射される。この帯状のビームを作るためのシャッター機構は、空間光変調器103と同じ物を用いることができる。
【0031】
図7に示すように、記録媒体100に照射された再生照明光は、その一部が記録層102のホログラム情報が書き込まれた領域で回折され回折光となり、他部は透過光として記録媒体100を透過する。この際、回折光は図6の記録光と同じ方向に再生される。再生された回折光は、記録光の明暗の情報を再生する事になる。したがって、この明暗の組合せを変える事により記録媒体各々に固有な情報を記録する事が可能になる。図7は斜視図であるが、図8は、横から見た断面図である。通常、再生光は、記録層102からシャッター機構と記録層102の距離との間の距離と同じ距離だけ離れた位置に結像する。しかし、この例では、記録光が平行光であり、再生光も平行光で再生される為、結像する範囲は極めて広い。つまり、再生光を検出可能な位置の許容範囲は極めて広い。
【0032】
(情報の多重読み取り)
図6と同じ条件の参照光で情報を記録した3枚の記録媒体111〜113を、ズレがないように重ね、情報の書き込みを行った際の参照光と同じ角度から再生照明光を照射した際の様子を図9に示す。この場合、再生照明光は、斜めの方向から照射される。再生照明光は、まず一番上の媒体である記録媒体111に入射する。大部分の光はそのまま透過するが、一部の光が回折光として再生される。回折光は、記録光と同じ方向に再生されるので、この場合は、記録媒体111の面に垂直な下方向に進む。この回折光は、そのまま記録媒体112および113を透過する。なお、記録媒体111からの回折光が透過する記録媒体112および113の領域に、別のホログラム情報が書き込まれていたとしても、この回折光は、再生照明光として機能する条件を満たしていない(参照光とは入射角度が異なる)ので、この記録媒体111からの回折光は、記録媒体112および113を透過時に回折されず透過する。これは、再生照明光には角度依存性があり、記録された入力角度以外では回折せず透過する性質があることに起因する。
【0033】
一方、記録媒体111を透過した光は、その下の記録媒体112に入射する。強度こそ少々低下しているが、記録媒体111に入射した時と同じ条件を保っているため、記録媒体112においても再生照明光として機能し、一部の光が回折光として再生される。記録媒体112を透過した光は、また更に強度が低下するが、記録媒体111および112に入射した時と同条件で記録媒体113に入射し、さらに回折光が再生される。
【0034】
帯状の再生照明光は、斜めから照射され、各記録媒体の異なる面上の位置に照射され、さらに回折光は、面に垂直な方向に進むので、各記録媒体からの再生光は、受光装置における受光面の異なる位置で検出される。この原理により、各回折光を独立に検出し、各記録媒体から読み出された情報を独立に、且つ、同時に得ることができる。
【0035】
図10に図9の受光装置を上から見た様子を示す。図10には、各回折光によるバーコード状の明暗が照射された状態が示されている。図9のように斜めから再生照明光を照射すると、再生される各回折光は、水平方向にシフトしたずれた状態で発生する。仮に媒体の厚さが0.2mmとし、再生照明光と記録媒体とのなす角度を30度とすると、記録媒体111と記録媒体112との回折光のシフト量の長さは約0.35mmとなる。この程度であれば、高解像度化された受光装置(CCDやフォトダイオードアレイ)によって充分な分解能で検出することが可能となる。
【0036】
このように、再生照明光は、斜めから入射するので、記録媒体111の領域111a(図では誇張して広く表示している)からの第1の回折光と、記録媒体112の領域112aからの第2の回折光と、記録媒体113の領域113aからの第3の回折光とが得られる。これら回折光は、位置的にずれた領域から発生するので、重ならずに位置的にずれた状態で同時に検出される。以上のような原理から、一枚の状態でも、複数枚が重なり合った状態でも同時に情報を読み取る事が可能なシステムが実現される。
【0037】
この原理による記録媒体111〜113を重ねた状態から読み出される情報は、図10に示すような各記録媒体に記録された情報が2次元平面上に展開されて並べられたものとなる。このような形で得られた複数の記録媒体からの情報を合成し、2次情報を得る場合、情報が記録され、且つ読み取り時に再生照明光が照射される各記録媒体における領域は、図9の領域111a〜111cに示すように、各記録媒体を重ねた際に位置的にずれている必要がある。
【0038】
例えば、記録媒体111について説明すると、記録媒体111では、情報の読み取り時に再生照明光が照射される領域111aに所定の情報が記録されている。この所定の情報は、記録層114と同様な記録層を有する他の記録媒体112および113から読み出されるホログラム情報と合成されて図10に示す回折光の明暗から構成される所定の2次情報となる情報である。そしてこの所定の領域111aは、記録媒体111と他の記録媒体112および113とを重ねてホログラム情報を読み取る際に、記録媒体112の再生照明光が当たる部分、および記録媒体113の再生照明光が当たる部分とは、情報の読み取りのために、各記録媒体を重ねた状態において、互いに重ならない位置関係とされている。この条件は、他の2枚の記録媒体112および113にも同様に言える事であり、この条件を満足した情報の記録が行われることで、図9に示す原理による情報の読み取りを行うことができる。
【0039】
この例では、3枚の記録媒体を重ね、情報の読み出しを行う例を示したが、重ねる記録媒体の枚数は、任意である。ただし、一番下の記録媒体に、回折光が生じる程度の再生照明光が当たり、また一番上の記録媒体からの回折光が一番下の記録媒体を透過する条件を満たすことが必要である。言い替えれば、この条件を満たす範囲で記録媒体を複数重ね、図9に示す原理による情報の読み取りを行うことができる。
【0040】
(遊技カードへの応用:システムおよび構成)
図9に示す原理を遊技カードに利用した例を説明する。この例では、トレーディングカードゲームに使用するカードに本発明の記録媒体を適用する。この例では、対戦をコンピュータゲーム機器で行う事を想定しており、カードに記録されたホログラム情報をコンピュータゲーム機器に読み込み、対戦を行う。
【0041】
この例において、カードは大別して数種類のカードに分けられている。具体的には、それぞれのキャラクターが描かれたキャラクターカードと、キャラクターが使用する武器や防具等が描かれた武器防具カード、攻撃や防御、魔法等のコマンドカード、使用するアイテムが描かれたアイテムカード等に分けられている。例えば、カード読取機にキャラクターカードを置くと、画面上にキャラクターが登場し、そのカードの上に武器と防具のカードを置くとキャラクターが武器と防具を装備する。さらに戦闘で使用するコマンドカードとアイテムカードを選び対戦の準備が完了となる。その後、対戦をスタートする。
【0042】
カードの製造は、ポリカーボネート基板に、ホログラフィー記録層となるフォトポリマーをオフセット印刷等の汎用的な印刷方法で印刷し、その上に記録層を保護する紫外線硬化型の保護層を一層印刷する。その上にキャラクターやアイテム等のグラフィックを印刷し、カード状に打ち抜く事でカードの完成となる。記録の読み取りに赤外線を使用する場合は、赤外を透過するインクで印刷を行い、記録層を隠蔽する事が出来る。
【0043】
以下に読取装置の一例を図11に示す。図11は、カード121〜124を簡単に積層しやすいように斜めに傾斜したカードの置き場125を設け、順々にカード121〜124を積層し読み込むタイプのリーダー120が示されている。リーダー120は、回折光群128を検出する受光装置129を備えている。受光装置129は、CCDやフォトダイオードアレイにより構成される光を電気信号に変換する光電変換装置である。
【0044】
受光装置129には、受光データ処理装置130が接続されている。受光データ処理装置130は、受光装置129から出力される信号を所定のデータ形式に変換し、それを情報取得装置131に送る。情報取得装置131は、回折光群128に含まれる情報(つまりカード121〜124から読み出された情報)に基づいて2次情報を取得する。この際、メモリ132に記録されたデータ等が参照される。この2次情報が、上述したキャラクターカード、武器防具カード、コマンドカード、アイテムカードの設定情報の組み合わせによって得られるゲーム上のファイターの設定内容となる。
【0045】
なお、メモリ132には、カード121〜124から情報を読み出す動作を制御する動作プログラムが記録されている。また情報取得装置131は、CPUを内蔵しており、リーダー120の動作全体を制御する。情報取得装置131で取得された2次情報は、ゲームの動作を制御するゲーム制御装置133に送られる。ゲーム制御装置133は、情報取得装置131から送られてきた2次情報に基づいてゲームの進行を制御する。
【0046】
(遊技カードへの応用:動作)
この例における情報の読み取りは、以下のようにして行われる。まず、図1および2に示す構造を有し、図6に示す原理で情報が記録され、さらにその情報の書き込みが、図9に示す読み取り原理が利用できるように行われているカード121〜124が、図11のカード置き場125に重ねて置かれる。次に光源126からの再生照明光127が各カードの面に対して斜めの方向から当てられる。再生照明光127は、細長い帯状(線状)の断面形状を有するビームとされたものが用いられる。この結果、回折光128群が生成される。回折光群128は、各カードで回折された4つの回折光を含み、それらはカード面に垂直な方向から見て、互いにずれた位置から生成される。
【0047】
受光装置129では、各カードからの帯状の回折光が4本並んだ状態で検出される。ここで例えば、カード124からの回折光がキャラクターに関する情報を含み、カード123からの回折光が武器および防具に関する情報を含み、カード122からの回折光が攻撃や防御、魔法の使用等の決定に関する情報を含み、カード121からの回折光がその他アイテムの使用に関する情報を含むものとされる。プレイヤー(ゲームを行う遊戯者)は、各種類のカードをキャラクターの違いや武器の違い等に応じて複数枚ずつ持っている。プレイヤーは、ゲームの進行に合わせて、状況に応じてその中から適宜適切と思われるカードを選択し、カード置き場125に重ね、コンピューター(ゲーム機)との対戦を行う。
【0048】
この際、情報取得装置131は、重ねられた4枚のカード121〜124からの情報を同時に読み取り、それらの情報を組み合わせて、プレイヤーが選択した設定(2次情報)を取得する。例えば、情報取得装置131は、カード124から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択したキャラクター情報を得、さらにカード123から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択した武器と防具に関する情報を得、さらにカード122から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択した攻撃や防御、魔法の使用等に関する決定に関する情報を得、さらにカード121から読み取られた情報に基づき、プレイヤーが選択したその他アイテムの使用に関する情報を得る。そしてこれらの情報を組み合わせてプレイヤーが選択したゲーム中で仮想の戦闘を行うファイターに関する設定を2次情報として得る。この2次情報がゲーム制御装置133に送られる。ゲーム制御装置133は、当該ファイターに設定された諸条件(使用する武器等に関する情報)を認識し、この設定に基づいてゲームを進行させる。
【0049】
このゲームの遊技方法によれば、重ねるカードを選択することで、プレイヤーは、遊戯を進めていく。この際、選択したカードを重ねてカード置き場125に置くだけでよいので、操作が簡単となる。また簡単な操作でありながら、複雑な情報をゲーム機側に認識させることができる。
【0050】
以上説明した情報の読み取り手順は、メモリ132に記録された動作プログラムに従って実行される。このプログラムは、外部に接続された記録媒体や回線から提供することもできる。
【0051】
(変形例)
図12は、カードボックス141を用意し、キャラクターカード142はキャラクター部143に挿入し、図示しない武器カードは武器部144に挿入する等、各カード入れにカードをセットする。その後、図示しないリーダーにカードボックス141をセットすることで情報の読み取りを行う。この態様によれば、各自でボックスを持つ形にすれば、対戦前の準備が楽となる。
【0052】
図9または図11に示す例では、再生照明光としてビームの断面形状が帯状のものを用いているが、点状のレーザ光を帯状の領域で走査しつつ照射するようにしてもよい。また、この例では、図10に示すように、一つのドットで明暗の2種類の状態を設定し、情報を構成する例を説明したが、明と暗の間の階調に対応させて情報を構成することもできる。
【0053】
上記の例では、コンピュータを相手にゲームを行う場合を説明したが、同様な読み取り手段を用意し、対戦相手のプレイヤーも同様の操作(カードを選択する操作)を行うことで、対戦を行う構成とすることもできる。また、図4に示すリーダー120を備えたゲーム機をインターネット等の回線に接続し、回線を介して、サーバコンピュータと対戦を行う構成、あるいは回線に接続した他のユーザとの対戦を行う構成とすることもできる。
【0054】
(実施形態の優位性)
この例によれば、複数の記録媒体が複数重なり合った状態でも、全ての記録媒体の同時読取が可能となる。またデータの書込みには大掛かりな光学機構を必要し、さらに記録されたデータの解析が難しく、その解析には高度な光学的な知識と、高精度の光学読取系を必要とするので、偽造、改ざん防止効果が高くすることができる。また、記録層をカード内部に設ける事が出来る為、バーコードのように摩擦でデータが消えてしまう事も無い。また、磁気カードのように磁石を近づけたりしてもデータが消失する事もない。またリーダーに駆動機構が無い為、低価格化と小型化が図れ、メンテナンスの大幅な省力化が可能となる。また、カードを全くの静止状態で読み取る事が出来る為、常時読取が可能となる。また、赤外読取式の場合、記録層の存在を隠す事が出来る。また、カード全面に印刷が可能になり、デザイン性の向上を図ることができる。
【0055】
(2)第2の実施形態
本実施形態は、複数の記録媒体を重ねた状態において、帯状の再生照明光を走査して照射することで、より多くの情報を読み出す例に関する。図13には、記録層151aを備えた記録媒体151、記録層152aを備えた記録媒体152、および記録層153aを備えた記録媒体153が重ねられた状態が示されている、ここで、記録媒体151〜153は、第1の実施形態で説明した記録媒体100と同様の物理構造を備えているものとする。
【0056】
まず、記録媒体151〜153が重ねられた状態において、図13(A)に示す位置に図13(A)に示す角度(面に垂直な線との間でなす角度が45度)で、且つ、図の奥行き方向に延在する帯状の再生照明光154を照射する場合を説明する。この場合、記録媒体151における記録層151aの帯状の領域11の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体152における記録層152aの帯状の領域12の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体153における記録層153aの帯状の領域13の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。つまり、受光面155では、各記録媒体の3つの線状の領域11〜13からの回折光が同時に受光され、図示省略した情報取得装置において、これら3つの回折光に基づいた情報が得られる。この場合、記録媒体151の領域11に記録されていた情報と、記録媒体152の領域12に記録されていた情報と、記録媒体153の領域13に記録されていた情報とに基づいた2次情報が読み取られる。
【0057】
図13(A)に示す状態での情報の読み取りが終了したら、次に再生照明光を(A)の位置から図の右方向に所定の距離シフトした位置に照射する。この様子が図13(B)に示されている。この場合、記録媒体151における記録層151aの帯状の領域21の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体152における記録層152aの帯状の領域22の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。また、記録媒体153における記録層153aの帯状の領域23の部分から、回折光が発生し、それが受光装置の受光面155で受光される。つまり、受光面155では、各記録媒体の3つの帯状の領域21〜23からの回折光が同時に受光され、図示省略した情報取得装置において、これら3つの回折光に基づいた情報が得られる。この場合、記録媒体151の領域21に記録されていた情報と、記録媒体152の領域22に記録されていた情報と、記録媒体153の領域23に記録されていた情報とに基づいた2次情報が読み取られる。この2次情報は、図13(A)において読み取られた情報とは、記録された位置が異なるので、それとは異なる内容とすることができる。
【0058】
図13(C)に受光面155上で検出される回折光の明暗で構成される光学パターンの一例を示す。図13(C)には、(A)の読み出しにおいて検出された各識別媒体の領域11〜13からの回折光の受光面155上における明暗のパターンと、(B)の読み出しにおいて検出された各識別媒体の領域21〜23からの回折光の受光面155上における明暗のパターンとが同時に示されている。
【0059】
各記録媒体への情報の書き込みは、符号11〜13や符号21〜23で示される各記録媒体の各領域に、図3に示す方法でホログラム情報の書き込みを行うことで行われる。ここでは、図13(A)と(B)の2段階にわたって情報の読み取りを行う例を説明したが、さらに多段階にわって情報の読み取りを行うことができることはいうまでもない。
【0060】
(3)第3の実施形態
本実施形態では、記録媒体に情報を書き込む情報書き込み装置の一例を説明する。図14は、情報書き込み装置の一例を示す概念図である。図14に示す情報書き込み装置は、記録層161aを備えた記録媒体161にホログラム情報を記録する。この装置において、記録媒体161は、移動ステージ162上に載せられる。移動ステージ162は、矢印163の方向に移動させることが可能とされている。
【0061】
この情報書き込み装置は、レーザ照射装置164を備えている。レーザ照射装置164は、光学系を内蔵しており、図の奥行き方向に延在する断面が帯状のビームを出力する。レーザ光の波長は任意であるが、ここでは可視光を利用する。レーザ照射装置164から出力されたレーザ光は、ビームスプリッター165aによって直交する2方向に分けられ、その一方は、ミラー165bで反射されて参照光として記録媒体161に照射される。また、ビームスプリッター165aで分けられた他方のビームは、ミラー165cで反射され、さらに空間変調器166を通過することで、記録光となり、記録媒体161に照射される。空間光変調器166は、液晶パネルを用いた光シャッターであり、帯状のレーザビームの延在方向に沿って、複数の画素が配列された構造を備えている。参照光と記録光とは、記録層161aの厚み中央の部分でビームが交差する位置関係とされている。
【0062】
次に制御システムについて説明する。この装置は、書き込み情報生成装置167を備えている。書き込み情報生成装置167は、メモリ168に記録された情報を読み出し、記録媒体161に書き込むべき情報に基づいたデータ信号を生成し、それを空間光変調器駆動装置169に出力する。このデータ信号に基づいて、空間光変調器駆動装置169は、空間光変調器166におけるレーザ光の変調作用を制御する。また同時に、書き込み情報生成装置167は、書き込む情報に基づいてステージ駆動装置170に制御信号を出力する。ステージ駆動装置170は、この制御信号に基づき、ステージ162の位置を制御する。この仕組みによれば、空間変調器166により変調された記録光の照射タイミングとステージ162の位置調整のタイミングとが調整され、記録層161aの帯状の領域への情報の書き込みが、この帯状の領域に直交する方向(図の左右方向)に走査されつつ順次行われる。
【0063】
この情報書き込み装置は、例えば図9に示す読み取りが行われる各記録媒体への情報の書き込みや、図13に示した読み取りが行われる各記録媒体への情報の書き込みに用いるができる。なお、空間光変調器166の状態を固定した状態で、ステージ162を走査させつ参照光と記録光とを照射すると、図7の場合と同様な情報の書き込み形態を得ることができる。
【0064】
以下、図9に示す読み取りが行われる各記録媒体への情報の書き込みの一例を説明する。この場合、前提として図14の情報書き込み装置のメモリ168に以下のデータを記録されている。すなわち、図9に示すように識別媒体111〜113が重ねられた状態で読み出される情報が所定の有意な情報となるように、記録媒体111の領域111aに書き込むべき情報(情報その1)、記録媒体112の領域112aに書き込むべき情報(情報その2)、および記録媒体113の領域113aに書き込むべき情報(情報その3)が、図14のメモリ168に記録されている。
【0065】
より詳細にいうと、(情報その1)が記録媒体111に書き込むべき情報であること、そして(情報その1)の書き込む位置(符号111aの領域)に関する情報が、(情報その1)に関連付けられてメモリ168に記録されている。また同様に、(情報その2)が記録媒体112に書き込むべき情報であること、そして(情報その2)の書き込む位置(符号112aの領域)に関する情報が、(情報その2)に関連付けられてメモリ108に記録されている。また同様に、(情報その3)が記録媒体113に書き込むべき情報であること、そして(情報その3)の書き込む位置(符号113aの領域)に関する情報が、(情報その3)に関連付けられてメモリ108に記録されている。なお、これらのデータは、外部の記録媒体や適当な回線を経由して提供することもできる。
【0066】
以下、各記録媒体への情報の書き込みの手順を説明する。まず記録媒体111への情報の書き込みの一例を説明する。まず記録媒体111を移動ステージ162の上に載せる。すなわち、図14の記録媒体161の代わりに、図9の記録媒体111を移動ステージ162の上に載せる。次に図9の記録層114の帯状の領域111aの部分に参照光と記録光とが当たるように、ステージ162を移動させ、当該領域の位置を調整する。その後、レーザ光照射装置164からレーザ光を出力し、参照光と記録光を当該領域に照射する。この際、当該領域に書き込むべき情報に基づいた光変調が行われるように空間光変調器166が制御される。こうして、図9の記録媒体111の領域111aの部分に記録媒体111に書き込むべき情報がホログラムの記録の原理を利用して書き込まれる。
【0067】
記録媒体112および記録媒体113に対しても、同様の手順により情報の書き込みが行われる。すなわち、記録媒体112の領域112aの部分に記録媒体112に記録するべき情報が書き込まれ、記録媒体113の領域113aの部分に記録媒体113に記録するべき情報が書き込まれる。
【0068】
こうして情報の書き込みが行われた記録媒体111〜113を図9に示すように3枚重ね、その状態で情報書き込み時の参照光と同じものを同じ角度で再性照明光として照射すると、各記録媒体からの回折光が、図9および図10に示すように位置がずれ、2次元的に並んだ状態で検出される。この回折光の行列パターンから記録媒体111〜113のそれぞれに記録された情報に基づく2次情報が得られる(例えば、図11に関連した説明を参照)。
【0069】
図14に示す情報書き込み装置は、図示省略した制御コンピュータにより制御されて動作する。このコンピュータのメモリには、上述した動作を行うための動作プログラムが記録されており、それが読み出されてその内容が上記制御コンピュータにより実行される。この動作プログラムは、外部に接続された記録媒体や回線から提供することもできる。
【0070】
(4)第4の実施形態
重ねた複数の記録媒体から読み取られる2次情報に基づいて、真贋の判定や認証を行うこともできる。例えば、本発明の記録媒体を身分証(身分証明カード)に適用した場合を説明する。この場合、身分証が図9に示される3枚の記録媒体111〜113によって構成され、この身分証の携帯者は、それらを認識装置の再生照明光が当たる部分に決められた順に重ねる。この際、所定の認証データが記録されていない識別媒体を用いれば、データ照合が行えず、認証エラーとなる。また、重ねる順番が異なると、得られる2次情報が予め決められたものと異なることになるので、やはりデータ照合が行えず認証エラーとなる。
【0071】
例えば、この認証を行うためのハードウェアとして、図11に示す装置を改良した物を利用することができる。この場合、図11に示す装置のゲーム制御装置133を認証判定装置として、その結果に基づいて、図示しない認証結果報知装置やゲートの制御装置等が制御されるようにすればよい。
【0072】
(5)第5の実施形態
図9や図11では、記録層を一層備えた記録媒体を重ね、多重に情報を読み取る例が記載されている。この原理を利用して、はじめから多層に記録層を備えた記録媒体を提供し、図9や図11と同様な原理により、複数の層に書き込まれた情報を読み出すこともできる。
【0073】
以下この例を説明する。図15は、記録層を多層に備えた記録媒体の一例である。この例では、記録媒体171は、3層の記録層171a、171bおよび171cを備えている。記録媒体171は、図1および図2に示す記録媒体を光透過性の接着剤を介して3枚重ねた構造を有している。
【0074】
以下、記録媒体171への情報の書き込み方の一例を説明する。ここでは、図14に示した情報書き込み装置を改良したものを用いて記録媒体171に情報を書き込む場合の一例を説明する。この例では、図14に示す情報記録装置において、移動ステージ162が左右に加えて上下に移動可能である構造とする。
【0075】
まず、記録媒体171を移動ステージ162の上に載せる。次ぎに移動ステージ162を左右(矢印163の方向)に動かし、情報を書き込む平面上の位置を決める。この例では、符号31の部分に情報の書き込みが行われるように図14における矢印163の方向の位置を決める。次ぎに移動ステージ162を上下に動かし、参照光と記録光との焦点の位置に図15の記録層171aが位置するように調整する。あとは第3の実施形態に関連して説明した手順により、記録層171aに情報の書き込みを行う。
【0076】
次ぎに移動ステージ162を左右に動かし、符号32の部分に情報の書き込みが行われるようにステージ162の位置が調整される。そして、参照光と記録光との焦点の位置に図15の記録層171bが位置するようにステージ162の高さを調整し、第3の実施形態に関連して説明した手順により、記録層171bに情報の書き込みを行う。
【0077】
次ぎに移動ステージ162を左右に動かし、符号23の部分に情報の書き込みが行われるようにステージ162の位置が調整される。そして、参照光と記録光との焦点の位置に図15の記録層171cが位置するようにステージ162の高さを調整し、第3の実施形態に関連して説明した手順により、記録層171cに情報の書き込みを行う。
【0078】
こうして、3層ある記録層への情報の書き込みが行われる。書き込まれた情報の読み取りに関しては、図9、図11または図13に関連して説明したのと同じであるので、説明は省略する。なお記録媒体171を得る方法としては、記録層を1層備えた記録媒体片を個別に製造し、それらに個別に情報の書き込みを行い、その後にそれらを積層し、一体化する方法を採用することもできる。
【0079】
(6)他の実施形態
再生照明光を識別媒体に対して垂直に照射し、書き込まれた情報を読み出すこともできる。この場合、情報の書き込みの際に、識別媒体の面に垂直な方向から参照光を照射し、記録光をそれとは異なる方向から照射する。読み出しの際は、重ねた複数の記録媒体に垂直な方向から再生照明光を照射する。この際、回折光(再生光)が、再生照明光に対してある角度を有した方向(所定の方向)に出力される。この回折光は、各記録媒体の積層方向の異なる位置から上記所定の方向に出力されるので、それぞれを分離して検出することができる。つまり、図9、図11、図12、図13または図15に示す場合と同様な原理により、情報を読み出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、情報を記録する媒体およびそれに関連する技術に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】記録媒体の概要を示す斜視図である。
【図2】記録媒体の断面構造を示す断面図である。
【図3】ホログラム情報を書き込む原理を示す概念図である。
【図4】書き込まれたホログラム情報を読み出す原理を示す概念図である。
【図5】空間光変調器の機能を示す概念図である。
【図6】記録媒体へのホログラム情報の書き込みを行う状態を示す概念図である。
【図7】記録媒体からのホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図8】記録媒体からのホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図9】積層した記録媒体からホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図10】受光面で検出される回折光の状態を示す概念図である。
【図11】情報の読み取り装置の一例を示す概念図である。
【図12】情報の読み取り装置の一例を示す概念図である。
【図13】積層した記録媒体からホログラム情報の読み出しを行う原理を示す概念図である。
【図14】記録媒体へのホログラム情報の書き込みを行う装置の一例を示す概念図である。
【図15】記録媒体の他の一例の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
100…記録媒体、101…基材、102…記録層、103…空間光変調器、111…記録媒体、112…記録媒体、113…記録媒体、111a…ホログラム情報が記憶され、再生照明光が当てられ回折光が生じる領域、112a…ホログラム情報が記憶され、再生照明光が当てられ回折光が生じる領域、113a…ホログラム情報が記憶され、再生照明光が当てられ回折光が生じる領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を備えた情報記録媒体であって、
前記ホログラム情報は、前記記録層と同様な記録層を有する他の記録媒体を重ねた状態で再生照明光を照射した際に、当該記録媒体と前記他の記録媒体からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す方法であって、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射するステップと、
前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出するステップと
を有することを特徴とする情報読み取り方法。
【請求項3】
前記第1の回折光と前記第2の回折光とに基づいて、前記第1の記録媒体に書き込まれた情報と前記第2の記録媒体に書き込まれた情報とに基づいた2次情報を得るステップを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報読み取り方法。
【請求項4】
ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す装置であって、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射手段と、
前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出手段と
を備えることを特徴とする情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報読み取り装置と、
遊戯の進行を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項6】
ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す処理を実行するためのプログラムであって、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射ステップと、
前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を多層に重ねた情報記録媒体であって、
前記多層に重ねられた記録層のそれぞれに記録された前記ホログラム情報は、再生照明光を照射した際に、各記録層からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項1】
ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を備えた情報記録媒体であって、
前記ホログラム情報は、前記記録層と同様な記録層を有する他の記録媒体を重ねた状態で再生照明光を照射した際に、当該記録媒体と前記他の記録媒体からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す方法であって、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射するステップと、
前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出するステップと
を有することを特徴とする情報読み取り方法。
【請求項3】
前記第1の回折光と前記第2の回折光とに基づいて、前記第1の記録媒体に書き込まれた情報と前記第2の記録媒体に書き込まれた情報とに基づいた2次情報を得るステップを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報読み取り方法。
【請求項4】
ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す装置であって、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射手段と、
前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出手段と
を備えることを特徴とする情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報読み取り装置と、
遊戯の進行を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項6】
ホログラム情報を記録する記録層を備えた第1の記録媒体と第2の記録媒体とを重ねた状態で、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体に記録されたホログラム情報を読み出す処理を実行するためのプログラムであって、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体を重ねた状態に再生照明光を前記重ねた面に斜め、もしくは垂直の方向から照射する再生照明光照射ステップと、
前記再生照明光が照射されることで発生する前記第1の記録媒体からの第1の回折光と前記第2の記録媒体からの第2の回折光とを分離した状態で検出する再生光検出ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ホログラム情報を記録し、読み出し時に再生照明光が照射される所定の領域を有する記録層を多層に重ねた情報記録媒体であって、
前記多層に重ねられた記録層のそれぞれに記録された前記ホログラム情報は、再生照明光を照射した際に、各記録層からの回折光を分離した状態で読み取ることが可能なことを特徴とする情報記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−176345(P2009−176345A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11891(P2008−11891)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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