説明

情報記録媒体、非接触型IC付データキャリア、および情報記録媒体の製造方法

【課題】インレットやインレイの分離が困難であり、偽変造を抑制することができる情報記録媒体を提供する。
【解決手段】基板と、基板の一方の面にらせん状に形成された線状のアンテナコイルと、を有するアンテナシート1と、アンテナコイルに接続されたICモジュール20と、を有するインレット30と、インレット30を挟持して貼り合わされた基材41,42と、基材41の外面に貼り合わされた装丁用シート51と、を有し、基材41は、ICモジュール20と平面的に重なる領域にICモジュール20を露出する開口部41hが設けられ、装丁用シート51とICモジュール20とは開口部41hを介して接着剤52により貼り合わされており、装丁用シート51とICモジュール20との接着強度は、ICモジュール20とアンテナシート1との接合強度よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICモジュールおよびアンテナコイルを有する非接触情報記録体に装丁用シートが付属した、主として冊子用部材として用いることが可能な情報記録媒体、およびそれを用いた非接触型IC付データキャリア、さらには情報記録媒体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードや非接触ICタグを用いたシステムが普及する中、例えばパスポートや預貯金通帳等の冊子に非接触情報記録体を装着した冊子が開発されている。これらの冊子には各種情報を印刷して表示するだけではなく、個人情報や使用状況等のデータをICモジュールに記録することができる。
【0003】
非接触情報記録体付属冊子を作成する場合にもっとも容易な方法は、非接触ICモジュールとそれに接続されたアンテナからなるICインレットを基材で挟み込んで非接触情報記録体(インレイ)を作成し、この非接触情報記録体を冊子の表紙用部材や冊子の本文ページに貼りあわせるものである。上記非接触情報記録体の製造方法は例えばICカードを製造するのと同じ工程が利用でき、各種材料と方法が公知となっている。
【0004】
特許文献1においては、基材として2枚の樹脂性の薄板を準備し、その間にICインレットを挟みこんで熱圧着して製造する非接触情報記録体が開示されている。また、特許文献2においては、基材として2軸延伸PETシートを使用し、熱圧着可能な接着シートを介してICインレットを挟み込んで非接触情報記録体を製造する方法が提案されている。
【0005】
このようにして製造された非接触情報記録体は、ICモジュールとアンテナが2枚以上の基材の間に挟まれて、全く外部には露出していないのが特徴であり、このためにICカードと同様に高い耐久性を有しているため、上述の冊子に用いると、記録された個人情報や使用状況等のデータが消失することを防ぐことができ、好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3382487号明細書
【特許文献2】特許第4043842号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術によって非接触情報記録体を作製し、これを冊子に接着するなどして取り付けることで簡易に非接触情報記録体を備えた冊子を作成することが出来るが、このようにして冊子を得る方法には以下の問題点があった。
【0008】
すなわち、ICカードと同様の材料や工程を用いて作成した非接触情報記録体は剛度が高いため、冊子に接着して使用すると、非接触情報記録体を取り付けた箇所および冊子全体の剛度が高くなるため、冊子の可撓性が低下し、取り扱い性が悪化していた。また、冊子から非接触情報記録体のみを取り外す事が比較的容易であるため、取り外した非接触情報記録体を別の冊子に取り付けるなどの偽変造が容易であることも、大きな問題としてあげられていた。
【0009】
上記問題のうち非接触情報記録体の剛度に関しては、使用する材料や工程を変更することで解決できる可能性がある。例えば、基材として柔軟性のある樹脂を使用したり、全体の厚みを少なくしたりすることにより、非接触情報記録体の剛度を低下させることが出来る。
【0010】
一方、上記のようにICカードの製造と同じような製造方法によって得られた非接触情報記録体を冊子に装着するという方法によると、得られた冊子から非接触情報記録体を取り外す事が容易であるという問題は解決が困難である。
【0011】
一般にICカードは、使用環境に耐えうるため基材の耐久性が高く設計されている。そのため、冊子の装丁用シートと非接触情報記録体とが接着されている部分を、外力や熱や薬品などを利用して破壊し非接触情報記録体を取り外して得ようとした場合、ICチップの機能を損なうことなく非接触情報記録体のみを取り外す事ができる可能性が高い。
【0012】
このようにして得られた非接触情報記録体は、偽造のために別途容易した冊子に取り付けるなどして不正に利用される可能性がある。そのため、このように非接触情報記録体を破損することなく、非接触情報記録体と装丁用シートとを分離できる可能性があることは大きな問題となっている。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、外部と通信可能な非接触情報記録体と装丁用シートを備えた情報記録媒体において、装丁用シートと非接触情報記録体を非破壊で分離する事が困難であり、分離した非接触情報記録体を用いた偽変造を抑制することができる情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明の情報記録媒体は、基板と、前記基板の一方の面にらせん状に形成された線状のアンテナコイルと、を有するアンテナシートと、前記アンテナコイルに接続されたICモジュールと、を有するインレットと、前記インレットを挟持して貼り合わされた第1の基材および第2の基材と、前記第1の基材の外面に貼り合わされた第3の基材と、を有し、前記第1の基材は、前記ICモジュールと平面的に重なる領域に該ICモジュールを露出する開口部が設けられ、前記第3の基材と前記ICモジュールとは前記開口部を介して接着剤により貼り合わされており、前記第3の基材と前記ICモジュールとの接着強度は、前記ICモジュールと前記アンテナシートとの接合強度よりも大きいことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、インレットや、インレットが第1および第2の基材に挟持されたインレイを取り外すそうと、第3の基材を剥離することを試みた場合、第3の基材とともに第3の基材に接着されているICモジュールも応力が加わる。その際、インレットが第1,第2の基材に挟持されアンテナシートが両基材で係止されているために、第3の基材を剥がそうとするとICモジュールのみに応力が集中する。さらには、第3の基材とICモジュールとの接着強度は、ICモジュールとアンテナシートとの接合強度よりも大きいために、第3の基材とICモジュールとの界面が剥離するよりも先に、ICモジュールがアンテナシートから外れることとなる。
【0016】
結果として、本発明の情報記録媒体から第3の基材を剥がそうとすると、ICモジュールも引き剥がされるため、インレットの機能が破壊される。そのため、インレットやインレイを分離し、偽変造のために流用することを抑制することができる情報記録媒体とすることができる。
【0017】
本発明においては、前記接着剤が、反応硬化型接着剤であることが望ましい。
開口部からICモジュールが突出しない場合、開口部内に接着剤を充填して第3の基材と接着することとなる。このような接着を行う場合に、体積変化のある乾燥硬化型の接着剤を使用すると、開口部内に充填される接着剤の乾燥時の体積減少が大きくなり、第3の基材の表面外側に凹みが生じてしまい、外観不良を起こす。しかし、この構成のように反応硬化型接着剤を用いると、体積変化がなく、体積変化に起因する外観不良を抑制することができる。
【0018】
本発明においては、前記第1の基材と前記第3の基材とが、前記接着剤によって接着されていることが望ましい。
この構成によれば、基材間の接着と、第3の基材とICモジュールとの接着と、を同一の接着剤を用いて行うことができるため、作業効率が向上する。
【0019】
本発明の情報記録媒体の製造方法は、前記第1の基材と前記第2の基材を用いて、前記インレットを挟持した後に、前記第3の基材と前記ICモジュールとを接着することを特徴とする。
この方法によれば、第1の基材と第2の基材を用いて確実にアンテナシートを係止した状態を作り上げた後に、第3の基材とICモジュールとを接着させることができるため、第3の基材を剥離する際にインレットを確実に破損させることができる。
【0020】
本発明においては、前記第1の基材と前記第2の基材の少なくとも一方が、多孔質熱可塑性樹脂を形成材料としており、前記第1の基材と前記第2の基材とを用いて前記インレットを挟持した後に、両側から加圧するラミネート法により、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合わせることが望ましい。
この方法によれば、多孔質熱可塑性樹脂が変形することでインレット表面の凹凸を吸収するため、内部の凸形状が基材表面に反映されず、情報記録媒体の表面の平滑性を得ることができる。ラミネート法は、同時に加熱を行い熱可塑性樹脂で形成されている基材同士を接着する熱ラミネート法でも良く、基材間に接着剤を介在させて接着する接着ラミネート法でも良い。
【0021】
また、本発明の非接触型IC付データキャリアは、上述の情報記録媒体を有し、前記情報記録媒体が有する前記第3の基材を装丁用シートとして用いることを特徴とする。
この構成によれば、偽変造を抑制することができる非接触型IC付きデータキャリアを提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、インレットやインレイの分離が困難であり、偽変造を抑制することができる情報記録媒体を提供することができる。また、この情報記録媒体を備えることによって、偽変造を抑制することができる非接触型IC付きデータキャリアを提供することができる。さらに、このような情報記録媒体の好適な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る冊子用部材の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るアンテナシートを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るICモジュールの説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインレットの説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインレイの説明図である。
【図6】本発明の情報記録媒体の一例である冊子用部材の説明図である。
【図7】本発明の情報記録媒体の効果を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る非接触型IC付データキャリアの説明図である。
【図9】本発明の実施例に係る試験片の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係る試験方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜図10を参照しながら、本発明の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。以下の説明では、情報記録媒体を電子パスポートの冊子用部材として用いることを想定して説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0025】
図1は、本実施形態の冊子用部材(情報記録媒体)50の分解斜視図である。冊子用部材50は、アンテナコイル4を有するアンテナシート1にICモジュール20を実装したインレット30と、インレット30を挟持する基材(第1の基材)41、基材(第2の基材)42と、基材41を挟んでインレット30とは反対側に取り付けられる装丁用シート(第3の基材)51と、を有している。
【0026】
基材41には、アンテナシート1に配置されたICモジュール20と平面的に重なる位置に開口部41hが設けられており、ICモジュール20は、開口部41hを介して装丁用シート51に取り付けられている。以下、各構成について詳述する。
【0027】
(アンテナシート)
図2は、アンテナシート1を示す平面図であり、図2(a)は一方の面を示す平面図、図2(b)は他方の面を示す平面図である。図に示すように、アンテナシート1は、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)により形成された可撓性を有する基板2を備えている。基板2の厚さは、例えば、約0.02mmから約0.10mmの範囲から適宜選択される。基板2の表面には、アンテナ回路3が形成されている。
【0028】
アンテナ回路3は、基板2の形状に対応する略矩形のらせん状に形成されたアンテナコイル4を備えている。アンテナコイル4は、例えば、基板2の表面に形成されたアルミニウムの薄膜をエッチング等によりパターニングすることで、厚さが約0.02mmから0.05mm程度の薄膜状に形成されている。アンテナコイル4の内側の端部は略円形状に面積が拡大され、端子部5が形成されている。また、アンテナコイル4が屈曲される部分(矩形の角部)は、略円弧状に形成されている。
【0029】
アンテナコイル4の外側の端部6は、基板2の一角に向けて引き出されている。基板2の一角のややアンテナコイル4側には、略矩形の開口部7が形成されている。開口部7は後述するICモジュールの一部を収容して露出することができるように設けられている。
【0030】
基板2の一角に向けて引き出されたアンテナコイル4の外側の端部6は、開口部7の一辺7aに向けて引き回され、その一辺7aに沿って形成されたアンテナ接続ランド8(接続部)に接続されている。アンテナ接続ランド8は、アンテナコイル4の幅W1が拡大されて形成された略矩形の端子部である。
【0031】
アンテナ接続ランド8が形成された開口部7の一辺7aに対向する一辺7bには、アンテナ接続ランド9(接続部)が形成されている。アンテナ接続ランド8に対向して形成されたアンテナ接続ランド9には、アンテナコイル4の一部である配線10が接続されている。アンテナ接続ランド9は、この配線10の幅W2が拡大されることにより、対向するアンテナ接続ランド8と同様に開口部7の一辺7bに沿って略矩形に形成されている。一端がアンテナ接続ランド9に接続された配線10の他端側は略円形状に面積が拡大され、端子部11が形成されている。
【0032】
また、基板2のアンテナ回路3が形成された面の反対側の面には、図2(b)に示すように、アンテナ接続ランド8,9の形成領域に対応して、アンテナ接続ランド8,9を補強する補強用パターン12,13(補強部)が形成されている。補強用パターン12,13は、例えば、アンテナ回路3と同様に金属薄膜のエッチング等または同様の方法で形成され、平面視でアンテナ接続ランド8,9の外形線に沿って、アンテナ接続ランド8,9の形状に対応した矩形状に形成されている。
【0033】
また、基板2のアンテナ回路3が形成された面の反対側の面には、アンテナコイル4の端子部5と端子部11とを接続するジャンパー配線14が形成されている。ジャンパー配線14は、例えば、アンテナ回路3と同様の方法で形成されている。ジャンパー配線14の両端は、略円形状に面積が拡大されて端子部15,16が設けられている。ジャンパー配線14の各端子部15,16は、それぞれアンテナコイル4の端子部5と端子部11の形成領域に対応して設けられている。ジャンパー配線14の各端子部15,16と、アンテナコイル4の端子部5および端子部11とは、各端子部15,16の形成領域に形成された導通部17において電気的に接続されている。
【0034】
導通部17は、例えば、ジャンパー配線14の端子部15(端子部16)と、アンテナコイル4の端子部5(端子部11)とを両側から挟むように圧力を加えてかしめるクリンピング加工により、基板2を破って端子部5,15(端子部11,16)同士を物理的に接触させて形成されている。他にも、例えば、基板2に設けられた貫通孔を介して端子部5,15(端子部11,16)同士を物理的に接触させるとともに、レーザー溶接や抵抗溶接を行って両者を溶接し電気的に接続することとしても良い。
【0035】
(ICモジュール)
次に、上述のアンテナシート1のアンテナ回路3に接続されるICモジュール20について説明する。図3は、本実施形態のICモジュール20の説明図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のA−A’線に沿う断面図である。
【0036】
図に示すように、ICモジュール20は、リードフレーム21と、リードフレーム21上に実装されたICチップ22と、ICチップ22を封止する封止樹脂部23とにより形成されている。
【0037】
リードフレーム21は、平面視で角部が円弧状に丸められた略長方形に形成されている。リードフレーム21は、例えば、銅糸を編んでフィルム状に形成し、銀メッキを施した銅糸金属フィルム等により形成されている。
【0038】
リードフレーム21は、ICチップ22を支持固定するダイパッド24と、ICチップ22の入出力パッドに接続されるアンテナランド25,25(端子部)とを備えている。
【0039】
ダイパッド24は、ICチップ22の外形よりも一回り大きく形成され、ICチップ22の底部に固定されている。ダイパッド24とアンテナランド25との間には間隙Sが形成され、電気的に絶縁されている。
【0040】
アンテナランド25は、例えば、金(Au)等のボンディングワイヤ26を介してICチップ22の入出力パッドに接続されている。アンテナランド25は、外部の回路に接続されるICモジュール20の端子部として用いるために、ICモジュール20の長手方向(長さL方向)に延伸して形成されている。
【0041】
封止樹脂部23は平面視で角部が円弧状に丸められた略正方形に形成されている。封止樹脂部23は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂材料により形成され、ICチップ22、ICチップ22の入出力パッド、ボンディングワイヤ26、および、アンテナランド25とボンディングワイヤ26の接続部等を覆うように形成されている。また、封止樹脂部23はダイパッド24とアンテナランド25との間隙Sに充填されると共に、両者に跨って形成されている。ここで、ICモジュール20の厚さT1は、例えば、約0.3mm程度に形成されている。
【0042】
(インレット)
図4は、本実施形態のインレット30の説明図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のB−B’線に沿う断面図である。
【0043】
図に示すように、ICモジュール20のアンテナランド25と、アンテナシート1のアンテナ接続ランド8,9とを電気的に接続して、ICモジュール20をアンテナシート1に固定することで、アンテナシート1とICモジュール20を備えたインレット30が形成される。
【0044】
ここで、アンテナシート1の開口部7は、略正方形に形成されたICモジュール20の封止樹脂部23を収容して露出させることができるように、封止樹脂部23に対応する略正方形に開口され、封止樹脂部23の外形よりも一回り大きく開口されている。
【0045】
また、アンテナシート1の開口部7の両側に対向して設けられた一対のアンテナ接続ランド8,9の幅W3は、ICモジュール20のアンテナランド25,25の幅W4と略同等か、またはやや小さくなるように形成されている。
【0046】
また、アンテナシート1のアンテナ接続ランド8,9の長さL3は、ICモジュール20のアンテナランド25,25とアンテナ接続ランド8,9が重なる部分の長さL4よりも大きく形成されている。本実施形態では、アンテナ接続ランド8,9の長さL3は、アンテナランド25,25とアンテナ接続ランド8,9とが重なった部分の長さL4の略二倍に形成されている。
【0047】
ICモジュール20のアンテナランド25と、アンテナシート1のアンテナ接続ランド8,9との接続部分は、溶接され強固に接続されていると良い。または、導電性接着剤で接着されていても構わない。
【0048】
(インレイ)
図5は、上述のインレット30を備えた本実施形態のインレイ40の説明図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のC−C’線に沿う断面図である。
【0049】
図に示すように、本実施形態のインレイ40は、インレット30と、インレット30を挟持する基材41および基材42を備えている。インレイ40は、一対の基材41,42の間にインレット30を挟みこみ、基材41,42とインレット30をラミネート接合して一体化することで、所望の厚さに形成されている。
【0050】
基材41,42としては、例えば、絶縁性のプラスティックフィルム、あるいは絶縁性の合成紙(PPG社製のポリオレフィン系合成紙 商品名「Teslin」(登録商標)、あるいはユポ・コーポレーション製のポリプロピレン系合成紙 商品名「YUPO」(登録商標))等が用いられる。
【0051】
プラスティックフィルムの形成材料としては、PET−G(非結晶性PETコポリマー)のようなポリエステル樹脂や、PVC(ポリ塩化ビニル)などを例示することができる。さらには、多孔質熱可塑性樹脂を形成材料とするシート基材を用いることとしても良い。
【0052】
多孔質熱可塑性樹脂シートとしては、例えば 、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、 ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、など各種の樹脂を単体もしくは混合してマトリクス樹脂とし、シリカなどの多孔質粒子を混合したり、混練時に空気を加えて発泡させたり、延伸後に穿孔加工したりすることで得ることが出来る。基材41および基材42に多孔質熱可塑性樹脂シートを用いると、ICモジュールやアンテナ等の凸部において多孔質熱可塑性樹脂シートの空隙がつぶされて基材に凹みが生じるため、内部の凸形状が基材表面に反映されず、表面の平滑性を得ることができる。
【0053】
上述のプラスティックフィルムは、可撓性プラスティックフィルムであることが好ましい。例えば、基材41,42は、厚さが約100μmから約1000μm程度のものを用いることができる。また、基材41,42の厚さは、約100μmから約500μmの範囲であることがより好ましい。
【0054】
図5(b)に示すように、基材41には、ICモジュール20と平面的に重なる位置に、ICモジュール20のリードフレーム21を露出させる開口部41hが形成されている。開口部41hの外形は、ICモジュール20を平面視した場合の外形よりも一回り大きく形成されており、ここでは、リードフレーム21の外形よりも一回り大きく形成されている。開口部41h内にリードフレーム21が収容されることにより、リードフレーム21の厚さによる基材41の凹凸を解消できる。
【0055】
また、基材42には、封止樹脂部23を収容してその外表面を露出させる開口部42hが形成されている。開口部42hの外形は、封止樹脂部23の外形よりも一回り大きく形成され、開口部42hの内側面と封止樹脂部23との間には隙間Dが形成されている。開口部42h内には、開口部42hにより露出された封止樹脂部23の外表面を含むICモジュール20の外表面20aを覆うように封止材43が充填されている。そして、開口部42hの内側面と封止樹脂部23との間には封止材43が配置されて、隙間Dが封止材43により埋められている。
【0056】
また、本実施形態の封止材43は、基材42の外表面42aと封止材43の外表面43aとが連続して略平坦になるように形成され、基材42の外表面42aと封止材43の外表面43aとが略面一に形成されている。本実施形態において、略平坦あるいは略面一とは、基材42の外表面42aと封止材43の外表面43aとの段差が20μm以下であることをいう。
【0057】
ここで、封止材43は、例えば、電気絶縁性、耐熱性、耐湿性を有する樹脂材料により形成されている。このような樹脂材料として、ポリエステル系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができ、特に二軸延伸ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0058】
また、封止材43として上述の材料からなるテープ支持体と粘着材とからなる樹脂テープを用いても良い。樹脂テープを用いる場合には、樹脂テープの厚さは、例えば、約25μm〜約100μm程度であることが好ましい。樹脂テープの厚さがこの範囲以下の場合には封止効果が低下し、この範囲以上の場合には段差が発生する虞があるからである。この場合、実質的にインレット30を基材42に係止する役割を果たさない程度に、樹脂テープが有する接着層とICモジュールとの粘着強度が低いものを用いると良い。
【0059】
また、封止材43として樹脂材料を用いる場合には、縦段数係数がICモジュール20の封止樹脂部23の縦弾性係数よりも小さいものを用いることが好ましい。また、封止材43として樹脂テープを用いる場合には、樹脂テープを構成する支持体と粘着材の少なくとも一方の縦弾性係数がICモジュール20の封止樹脂部23の縦弾性係数よりも小さいものを用いることが好ましい。
【0060】
基材41,42として上述の合成紙を用いる場合には、インレット30と基材41,42との接合方法として、接着剤をインレット30のアンテナシート1、あるいは基材41,42のアンテナシート1に接する面に塗布しておき、例えば、約70℃から140℃程度の比較的低温度で接合する接着ラミネート法を用いる。
【0061】
接着剤としては、例えば、EVA(エチレンビニルアセテート樹脂)系、EAA(エチレンアクリル酸共重合樹脂)系、ポリエステル系、ポリウレンタン系等を用いることができる。また、接着剤を塗布する代わりに、上記の接着剤に用いられる樹脂を使用した接着シートをアンテナシート1と基材41,42との間に挟んで使用することもできる。
【0062】
また、基材41,42として上述のプラスティックフィルムを用いる場合には、インレット30と基材41,42との接合方法として、両者を加圧しながら基材41,42の軟化温度を超える温度、例えば、約130℃から170℃程度に加熱することにより溶融接合する熱ラミネート法を用いる。また、熱ラミネート法を用いる場合も、溶融接合を確実にするために上述の接着剤を併用してもよい。
【0063】
ここで、上述のように基材41,42としてプラスティックフィルムを用いる場合、形成材料の軟化温度は、基板2の形成材料の軟化温度よりも低いこととしている。そのため、基材41,42とインレット30とを約130℃〜170℃程度に加熱すると、基材41,42は軟化するが、アンテナシート1の基板2は軟化しない。これにより、アンテナシート1を備えたインレット30と基材41,42とを積層して熱ラミネート法により接合する際に、アンテナシート1の基板2に熱が加わった場合であっても、基板2が可塑化して流動することを防止できる。したがって、基板2の流動によるアンテナコイル4の移動を防止し、データ通信の信頼性を向上させることができる。
【0064】
また、上述のラミネート法による貼り合わせにおいて、基板2の軟化温度を超えて過熱され、基板2が熱により可塑化して流動した場合に、上述のようにアンテナコイル4が帯状(膜状)に形成されているので、従来の巻線アンテナコイルと比較して、アンテナコイル4の基板2との接触面積が増大し、アンテナコイル4の流動抵抗を大きくすることができる。したがって、アンテナコイル4が基板2の流動に伴って移動することを防止し、データ通信の信頼性を向上させることができる。
【0065】
ラミネート法による貼り合わせにおいては、必要に応じて基材41,42の一方または両方からプレスを行い、確実にインレット30と基材41,42とを接合させる。インレット30と基材41,42とが接合された後、一体化された基材41,42とインレット30とを所望の形状に外形加工する。
【0066】
(冊子用部材)
図6は、上述のインレイ40を備えた本実施形態の冊子用部材50の説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のD−D’線に沿う断面図である。
【0067】
図に示すように、本実施形態の冊子用部材50は、インレイ40の基材41側から装丁用シート51が取り付けられて形成されている。図6(b)に示すように、インレイ40と装丁用シート51とは、接着剤52を介して接着されている。接着剤52は、開口部41h内にも充填されており、ICモジュール20のリードフレーム21にも付着している。そのため、ICモジュール20は、接着剤52を介して装丁用シート51と接着している。
【0068】
接着剤52は、反応硬化型接着剤が好適に用いられる。仮に体積変化のある乾燥硬化型の接着剤を使用した場合、開口部41h内に充填される接着剤の乾燥時の体積減少が大きくなり、装丁用シート51の表面外側に凹みが生じてしまい、外観不良を起こす。
【0069】
このような問題を解決するために、体積変化の無い反応硬化型接着剤を使用することが望ましい。例えば、2液混合型エポキシ系接着剤、湿気硬化型シリコン系接着剤、1液硬化型ウレタン系接着剤、ホットメルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着剤などが使用できる。他にも、上述の基材41,42との貼り合わせに用いる接着剤を用いることができる。
【0070】
このような接着剤52によるICモジュール20と装丁用シート51との接着強度は、ICモジュール20とアンテナシート1との接合強度よりも、さらに強いものとなっている。
【0071】
ここで、「ICモジュール20とアンテナシート1との接合強度」とは、ICモジュール20をアンテナシート1から引き剥がすために必要な強度のことであり、ICモジュール20とアンテナシート1上のアンテナとの溶接部分の接合強度と、ICモジュール20と封止材43との接着強度の合計の強度のことである。具体的には、ICモジュール20とアンテナシート1との接続部分での接続が弱ければ、当該接続部分を離間させるために必要な強度であり、また、当該接続部分が強固に接続されている場合には、アンテナシート1が有するアンテナコイル自身を破断させるために必要な強度である。
【0072】
冊子用部材50において、装丁用シート51とICモジュール20とが基材41に設けられた開口部41hを介して接着されており、さらに、装丁用シート51とICモジュール20とを接着する接着剤52が上述のような接着強度を有しているため、次のような効果が得られる。
【0073】
図7は、本実施形態の冊子用部材50の構成から得られる効果を説明する説明図である。図に示すように、冊子用部材50から装丁用シート51を剥がそうとすると、引き剥がす力Fが接着剤52を介してICモジュール20に伝わる。そして、ICモジュール20とアンテナシート1との接合強度を超える力がICモジュール20に伝わると、装丁用シート51と一緒にICモジュール20が引き剥がされる。この際、基材41,42がICインレット30を挟持しているために、基材41,42がアンテナシート1を係止し、開口部41hを介してICモジュール20のみに引き剥がす力Fが加わるために、アンテナシート1からICモジュール20が引き剥がされやすい。
【0074】
したがって、本実施形態の冊子用部材50では、冊子用部材50から装丁用シート51を剥がそうとすると、同時にICモジュール20も引き剥がされ、内部のICインレイ40(またはICインレット30)が破損する。そのため、ICインレイ40のみを取り出すことを防止でき、取り出したICインレイ40を流用する偽変造を抑制することができる。
本実施形態の冊子用部材50は、以上のような構成となっている。
【0075】
以上のような構成の冊子用部材50によれば、ICインレイ40を破損することなく装丁用シート51を剥離することが困難であるため、ICインレイ40のみを取り出すことを防止でき、分離したICインレイ40を用いた偽変造を抑制することができる冊子用部材50を提供することができる。
【0076】
(非接触型IC付データキャリア)
図8は、上述の冊子用部材50を備える非接触型IC付データキャリアの一例である冊子体の説明図である。ここでは、冊子体として電子パスポートを例に挙げて説明する。
【0077】
図に示すように、電子パスポート100は、表紙として上述の冊子用部材50を備えている。冊子用部材50が有する装丁用シート51は、電子パスポート100の表紙として用いることができる。
【0078】
このように、冊子用部材50の装丁用シート51を電子パスポート100の表紙として用いることで、電子パスポート100の外観および質感を従来のパスポートと同等のものとすることができる。また、偽変造を防止する電子パスポート100を提供することができる。
【0079】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、例えば、アンテナコイルの形状は矩形でなくてもよい。また、アンテナコイルの巻き数は上述の実施形態に限定されない。更に、ICモジュール20の配置位置は、アンテナコイルの内側であっても良い。
【0080】
また、上述の実施形態では、ICモジュール20のリードフレーム21と装丁用シート51とを接着することとしたが、ICモジュール20の封止樹脂部23と装丁用シート51とを接着することとしても構わない。
【0081】
また、上述の実施形態では、装丁用シート51と基材41およびリードフレーム21とが接着剤52で接着されていることとしたが、発明の目的のためには、少なくともリードフレーム21(すなわちICモジュール20)と装丁用シート51とが接着剤52により接着されていればよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、開口部41hからICモジュール20が突出せず、接着剤52が充填開口部41h内に充填されることとしたが、これに限らず、ICモジュール20が開口部41hから突出する構成とすることもできる。
【0083】
この場合、ICインレット30と基材41との間に、体積変化の無い反応硬化型の接着剤52を配置することにより、開口部41hから突出するICモジュール20に起因した凸形状を接着剤52の層が吸収するため、基材41および装丁用シート51の表面に外観不良を生じさせない。また、体積変化がないため、体積変化に起因する外観不良も抑制することができる。
【0084】
また、上述の実施形態では、ICモジュール20とアンテナシート1との接続部分が、溶接または導電性接着剤による接着により接続されていることとしたが、装丁用シート51を剥がす際にICインレイ40を破損させるという本発明の目的のため、装丁用シート51を剥がす応力が掛かった場合に当該接続部分の接続が外れやすくなるための構成を採用することができる。
【0085】
たとえば、接続部分を溶接により接続する場合には、接触部分を全て溶接するのではなく、良好な導通を確保しつつ点溶接(スポット溶接)を採用することにより、溶接面積を小さくして、応力により溶接箇所が破損しやすくしてもよい。また、点溶接を採用する場合には、例えば、アンテナランド25とアンテナ接続ランド8(またはアンテナランド25とアンテナ接続ランド9)との接続を4箇所の点溶接で行うよりも、1点あたりの溶接面積を同様の溶接面積とした上で、溶接箇所を2箇所に減らすなど、溶接箇所に応力が集中する構成を採用すると良い。
【0086】
また、上述の実施形態では、情報記録媒体を備える非接触型ICデータキャリアとして電子パスポートを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、電子身分証明書類、各種活動履歴電子確認書類等に用いることができる。
【0087】
更に、本発明の情報記録媒体を、例えば、IC付定期券や電子マネーカード等のカード型の非接触型IC付データキャリアに適用することで、IC付定期券や電子マネーカード等の偽変造を防止させることができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例】
【0089】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、発明の効果を確認するため、上述の情報記録媒体を作成したのち、作成した情報記録媒体から試験片を作成して評価を行った。なお、本発明はこれに限られるものではなく、強度評価の方法は例示にすぎない。
【0090】
(ICインレットの作成)
38μmのポリエチレンナフタレート(PEN)シートを基板とし、両面にアルミニウム蒸着とアンテナ状のマスク層の印刷を行い、パターンエッチングによって一方の面(表面)にアンテナコイルを、他方の面(裏面)にはジャンパー配線を形成した。さらに、基板に設けた貫通孔を介して表裏のアンテナコイルとジャンパー配線を溶接して導通させてアンテナシートを作成した。作成したアンテナシートが有するアンテナコイルの接続端子部にICモジュールを溶接して実装し、ICインレットを作成した。
【0091】
(ICインレイの作成)
一対の基材として、180μmの「TESLINシート」(PPG Industry社)を準備し、このシートの片面にヒートシール剤「アクアテックス」(中央理化工業)を5g/mの厚みで塗工した。ヒートシール剤を乾燥させた後に断裁するとともに、一方の基材にはICモジュールのリードフレームサイズ相当に穴空け加工を行い、開口部を形成した。
【0092】
次いで、一方の基材に設けた開口部にICモジュールのリードフレームが嵌め込まれるようにICインレイを配置し、さらに他方の基材を積層した後、数カ所のスポット加熱により固定した。
【0093】
この積層されたシートを2枚のステンレス板に挟み込み加熱加圧することで接着してICインレイを得た。加熱加圧条件は、加熱部温度100℃以上160℃以下、圧力 5kgf/cm以上30kgf/cm以下、処理時間15秒以上120秒以下の間で調整し、最適なものを選択し、全体として平滑になっていることを確認した。
【0094】
(情報記録媒体の作成)
冊子表紙用クロス「Enviromate H」(ICG/Holliston社)を装丁用シートとして使用し、装丁用シートにヒートロールコータで溶融させた湿気硬化型ホットメルト接着剤「エスダイン」(積水フーラー社)を、50g/mの厚みで塗布した。次いで、接着剤を塗布した面と、ICインレイの開口部の形成されている側とを貼り合わせ、ローラで加圧して接着させ、評価に用いる情報記録媒体を得た。
【0095】
(接着強度の確認)
図9に示すように、作成した情報記録媒体1000において、ICモジュール20を一端側に含んだ15mm幅の短冊状の試験片を作成した。試験片は、情報記録媒体1000において任意の切り出し方(形状・大きさ・切り出し方向)で切削することが可能であり、例えば、図中に符号TP1や符号TP2で示したような形状で試験片TPを切り出すことができる。
【0096】
次いで、図10に示すように、試験片TPのうち、ICモジュール20から遠い他端側で一部ICインレイ40と装丁用シート51とを剥離し、それぞれICインレイ40と装丁用シート51とクランプして180°引っ張り試験を行った。
【0097】
評価の結果、ICインレイ40と装丁用シート51の界面が剥離して、ICモジュール20に到達すると、ICモジュール20は装丁用シート51と共に引き剥がされ、ICインレイ40の機能が破壊されることを確認した。また、ICモジュール20と装丁用シート51との剥離強度(接着強度)は15N以上20N以下の範囲であり、3N以上7N以下の応力が発生した時点でICモジュールとアンテナの溶接部分が破壊されたことを確認した。
【0098】
上記のようにして作成された冊子用部材は平滑かつ柔軟であり、高温高湿環境による保管や、曲げ試験など、各種耐久性評価試験においても良好な結果を示したこのように、外観や耐久性に優れ、変造や改ざんに対するセキュリティ性の高い冊子用部材が得られたため、発明の効果が確認された。
【符号の説明】
【0099】
1…アンテナシート、2…基板、4…アンテナコイル、20…ICモジュール、30…インレット、41…基材(第1の基材)、41h…開口部、42…基材(第2の基材)、50…冊子用部材(情報記録媒体)、51…装丁用シート(第3の基材)、52…接着剤、100…電子パスポート(非接触型IC付データキャリア)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の一方の面にらせん状に形成された線状のアンテナコイルと、を有するアンテナシートと、前記アンテナコイルに接続されたICモジュールと、を有するインレットと、
前記インレットを挟持して貼り合わされた第1の基材および第2の基材と、
前記第1の基材の外面に貼り合わされた第3の基材と、を有し、
前記第1の基材は、前記ICモジュールと平面的に重なる領域に該ICモジュールを露出する開口部が設けられ、
前記第3の基材と前記ICモジュールとは前記開口部を介して接着剤により貼り合わされており、
前記第3の基材と前記ICモジュールとの接着強度は、前記ICモジュールと前記アンテナシートとの接合強度よりも大きいことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記接着剤が、反応硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記第1の基材と前記第3の基材とが、前記接着剤によって接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法であって、
前記第1の基材と前記第2の基材を用いて、前記インレットを挟持した後に、前記第3の基材と前記ICモジュールとを接着することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の基材と前記第2の基材の少なくとも一方が、多孔質熱可塑性樹脂を形成材料としており、
前記第1の基材と前記第2の基材とを用いて前記インレットを挟持した後に、両側から加圧するラミネート法により、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合わせることを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体の製造方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報記録媒体を有し、
前記情報記録媒体が有する前記第3の基材を装丁用シートとして用いることを特徴とする非接触型IC付データキャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−257416(P2010−257416A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109858(P2009−109858)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】