情報記録媒体および記録再生装置
【課題】サーボデータの正確な読み出しを可能としつつ高密度記録化を図り得る情報記録媒体を提供する。
【解決手段】半径方向に沿って長い凸部25a(第1の記録領域)が所定のピッチPaで配置されたプリアンブルパターン領域Ap(第1の領域)が設けられると共に、回転方向で隣り合う上記の凸部25aを連結する凸部25a(連結部25c:第2の記録領域)がプリアンブルパターン領域Apに設けられ、かつ、プリアンブルパターン領域Apに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置には、回転方向の長さL3aがプリアンブルパターン領域Ap内の凹部25b(第1の非記録領域)における対応する同一パターン半径位置の回転方向の長さL2aよりも長い凹部25b(第2の非記録領域)が設けられている。
【解決手段】半径方向に沿って長い凸部25a(第1の記録領域)が所定のピッチPaで配置されたプリアンブルパターン領域Ap(第1の領域)が設けられると共に、回転方向で隣り合う上記の凸部25aを連結する凸部25a(連結部25c:第2の記録領域)がプリアンブルパターン領域Apに設けられ、かつ、プリアンブルパターン領域Apに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置には、回転方向の長さL3aがプリアンブルパターン領域Ap内の凹部25b(第1の非記録領域)における対応する同一パターン半径位置の回転方向の長さL2aよりも長い凹部25b(第2の非記録領域)が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成されている情報記録媒体、およびその情報記録媒体を備えた記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の情報記録媒体として、磁性体の有無によってサーボパターン部が物理的に形成されたパターンドディスク媒体(以下、「磁気ディスク」ともいう)、およびその磁気ディスクを備えた磁気ディスクドライブが特開2006−40354号公報に開示されている。この磁気ディスクの製造に際しては、まず、パターン描画処理、現像処理および電鋳処理等をこの順で実行してスタンパーを製作し、次いで、スタンパーを用いたインプリント処理によってエッチング処理用のマスクを形成して、磁気ディスク製造用の中間体をエッチングする。
【0003】
具体的には、まず、レジストが塗布された原盤(スタンパー製作用の基板)を電子線露光装置にセットして、磁気ディスクにおける非磁性化部位に対応する領域(磁気ディスクの磁性層に形成する凹凸パターンにおける凹部に対応する領域)に対して電子ビームを照射する。これにより、原盤上のレジスト層に凹部形成用パターンが描画される。次いで、レジスト層に対する凹部形成用パターンの描画が完了した原盤を現像処理して電子ビームの照射部位のレジスト層を原盤上から除去する。これにより、除去された部位が凹部となって、レジスト層に凹凸パターンが形成される。続いて、形成した凹凸パターンをマスクとして用いたエッチング処理によって原盤に凹凸パターンを形成する。次いで、凹凸パターンの形成が完了した原盤を導電化処理した後に電鋳処理することにより、原盤の凹凸パターンを電鋳材料(ニッケル)に転写する。この後、原盤からニッケルの層を剥離して所定形状に打ち抜く(切断する)ことにより、ディスク状のニッケルスタンパーが完成する。
【0004】
次いで、磁気ディスク製造用の中間体、および製作したスタンパーをインプリント装置にセットして、中間体の上に形成されたレジスト層にスタンパーの凹凸パターンを転写する。続いて、凹凸パターンを転写したレジストをマスク(ガード層)として中間体における磁性層をイオンミリング処理する。この際には、マスクとしてのレジストの層から露出している部位(凹凸パターンにおける凹部の底面)において磁性層が除去されて、所望の凹凸パターンが磁性層に形成される。次いで、マスクとしてのレジストを除去した後に、非磁性材料をスパッタする。次いで、この非磁性材料の層から磁性層の表面が露出するまで非磁性材料の層を逆スパッタする。これにより、磁気ディスクの表面が平坦化される。この後、DLC保護層の形成処理、および潤滑用ルブの塗布処理を順次実行することにより、磁気ディスクが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−40354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、発明者は、従来の磁気ディスクにおいて以下の課題を見出した。具体的には、図23に示すように、従来の磁気ディスク10xでは、複数の凸部25axおよび複数の凹部25bxによってそのサーボパターン領域Asx内にサーボパターンが形成されている。この場合、従来の磁気ディスク10xにおけるサーボパターン領域Asxのプリアンブルパターン領域Apxには、磁気ディスク10xの回転方向(矢印R1xの向き)の長さが互いに等しく、かつ、磁気ディスク10xの半径方向(同図における上下方向)に沿って長い複数の凸部25ax、が凹部25bxを挟んでピッチPxで設けられている。また、従来の磁気ディスク10xにおけるサーボパターン領域Asxのサーボアドレスマーク領域Amxには、磁気ディスク10xの回転方向に沿った長さや半径方向に沿った長さが相違する各種形状の凸部25axおよび凹部25bxが設けられている。
【0007】
一方、情報記録媒体に対する小型化および高密度記録化の要望に応えるべく、今日の磁気ディスクには、上記の凸部25axや凹部25bxの回転方向における形成ピッチ(上記の例におけるピッチPxなど)を一層小さくする必要が生じている。したがって、そのような磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製作時においては、上記の凸部25axや凹部25bxに対応する領域の回転方向におけるピッチを一層小さくする必要が生じる。そこで、図24に示すように、発明者は、磁気ディスクにおけるプリアンブルパターン領域に形成すべき凹部の形成ピッチ(製作するスタンパーにおける凸部の形成ピッチ)に応じた小さなピッチPezで原盤上のレジスト層に電子ビームを照射して、凹部形成用パターンEpzを描画した。以下、発明者が本願発明に想到する際に実験的に製作した磁気ディスクやスタンパーに関連する構成要素について、符号の末尾に「z」を付して説明する。
【0008】
この場合、前述したように、原盤上のレジスト層に形成した凹凸パターンをマスクとして用いて原盤をエッチング処理するときには、原盤だけでなく、マスクとしてのレジスト層(凹凸パターンの凸部)もエッチングされる。したがって、マスクパターンとしての凹凸パターンの凸部がエッチング処理の進行に応じて徐々に細くなる(回転方向に沿った長さや半径方向に沿った長さが短くなる)ため、所望の幅の凹部(所望の開口長の凹部)を原盤に形成するには、原盤上のレジスト層に形成する凹凸パターンの凸部の幅(長さ)をある程度太く(長く)しておく必要がある。また、上記の凹部形成用パターンEpzの描画が完了した後に、前述したように、現像処理によって電子ビームの照射部位を原盤上から除去して原盤上に凹凸パターン(マスクパターン)を形成したときに、その凹凸パターンにおける凸部の幅が狭い(凸部における磁気ディスクの回転方向に対応する向きの長さが短い)ときには、現像処理が完了してから、エッチング処理によって原盤に凹凸パターンを形成するまでの間において、凸部の破損または消失が生じて原盤をエッチング処理するためのマスクとして十分に機能しなくなるおそれもある。したがって、この種の磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時における上記の凹部形成用パターンEpzの描画に際しては、電子ビームの照射領域の長さL4z(磁気ディスクにおける回転方向に対応する向きの長さ)を十分に短くして、現像処理後に形成される凸部の回転方向に沿った長さが過剰に短くなる事態を回避する必要がある。
【0009】
このため、発明者が上記の凹部形成用パターンEpzを描画した際には、同図に矢印Z1zで示すように、磁気ディスク10z(図25参照)のサーボパターン領域Aszにおけるプリアンブルパターン領域Apzの凹部25bzに対応して電子ビームを本来的に照射すべき部位に対する電子ビームの照射量が不足して、この部位においてレジスト層が十分に露光されない事態を招くことがあった。この場合、発明者は、同図に示すように、十分に露光されない部位が存在する凹部形成用パターンEpzを現像処理してマスクパターンとしての凹凸パターンを形成してスタンパーを製作したときには、図25,26において矢印Z2zで示すように、そのスタンパーを用いたインプリント処理によって製造される磁気ディスク10zにおけるプリアンブルパターン領域Apzの一部において、ピッチPzで並ぶ複数の凸部25az(半径方向に沿って長い凸部25az)が、回転方向において凸部25azによって連結された状態となるのを見出した。
【0010】
したがって、スタンパーの製造に際して電子ビームを照射するピッチPezを十分に小さくしつつ、マスクとして十分に機能する十分な長さの凸部を形成しようとしたときには、そのような方法に従って製造したスタンパーを用いて製造した磁気ディスク10zにおいて、凸部25azが回転方向において長さL11zに亘って連続している部位がプリアンブルパターン領域Apz内に生じることとなる。この場合、図25に示すように、プリアンブルパターン領域Apz内の各凸部25azは、その回転方向(矢印R1zの向き)に沿った長さL1zが互いに等しくなっている。これに対して、サーボアドレスマーク領域Amz内の各凸部25azは、その回転方向に沿った長さが長さL1zだけでなく、長さL1zの2倍の長さL3zや、長さL1zの3倍の長さ(図示せず)などの各種長さとなっている。このため、上記のようにプリアンブルパターン領域Apz内に長さL11zの凸部25azが形成された磁気ディスク10zでは、この長さL11zの凸部25azが、サーボアドレスマーク領域Amz内の例えば長さL3zの凸部25azであると誤って検出されて、正確なトラッキングサーボ制御が困難となるおそれがある。
【0011】
具体的には、プリアンブルパターン領域Apz内に回転方向の長さが長さL11zの凸部25azが形成されている上記の磁気ディスク10zでは、記録再生時において、磁気ディスク10zの回転に伴って磁気ヘッドの下方を長さL11zの凸部25azが通過した際に磁気ヘッドから出力される信号に基づき、制御部が、サーボアドレスマーク領域Amzからのサーボデータの読み出しが開始された(プリアンブルパターン領域Apzからのサーボデータの読み出しが終了した)と誤って判別することがある。このような誤判別が生じたときには、長さL11zの凸部25azの隣に形成されている矢印Z3z,Z4zで示す凸部25azが磁気ヘッドの下方を通過した際に出力される信号が、本来はプリアンブルパターン領域Apzから読み出されたプリアンブル信号の一部であるにも拘わらず、サーボアドレスマーク領域Amzから読み出されたサーボアドレスマークの一部と誤って認識され、結果として、サーボデータの読み出しエラーが生じることとなる。
【0012】
このように、発明者は、磁気ディスクを製造する際に、サーボパターン領域Asz内の各サーボパターン(プリアンブルパターン領域Apz内のプリアンブルパターン)を構成する各凸部25azの形成ピッチを十分に小さくしようとしたときに、そのような磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製作時に凹部形成用パターンEpzを描画する際に電子ビームの照射量(すなわち、レジストの露光量)が不十分となる部位が生じることに起因して、別個独立して形成されているべき凸部25azが回転方向において連結された状態となることがあるのを見出した。このため、磁気ディスクの高密度記録化を図るにあたり、サーボパターン領域Aszからのサーボデータの読み出しが困難となって、トラッキングサーボ制御エラーが発生することがあるという問題が生じる。
【0013】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、サーボデータの正確な読み出しを可能としつつ高密度記録化を図り得る情報記録媒体、および、その情報記録媒体を備えた記録再生装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく本発明に係る情報記録媒体は、サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第1の記録領域が第1の非記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第1の領域が設けられると共に、当該第1の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第1の記録領域を連結する第2の記録領域が設けられ、前記第1の領域に前記回転方向で隣接して当該第1の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第2の非記録領域が設けられ、当該第2の非記録領域は、当該回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長くなっている。
【0015】
この場合、本明細書では、情報記録媒体に対する記録データの記録再生時に磁気ヘッドの下方をサーボパターン領域が通過しているときに読み出されるデータ(すなわち、サーボパターン領域内の記録領域および非記録領域に対応するデータ)がすべて「サーボデータ」と定義する。また、本明細書における「記録領域」とは、「記録された磁気的信号を読み出し可能に保持するように構成された領域(つまり磁気的信号を読み出し可能に保持する能力を有するように構成された領域)」を意味する。また、本明細書における「非記録領域」とは、「磁気的信号を読み出し可能に保持する上記の能力が記録領域の能力よりも低くなるように構成された領域、または、その能力を実質的に有しないように構成された領域」を意味する。具体的には、本明細書における「非記録領域」とは、「磁気的信号を記録した状態において、その領域から発生する磁界が上記の記録領域よりも小さい領域、または、その領域から発生する磁界が実質的には存在しない領域」を意味する。さらに、本明細書における「第1の領域」は、プリアンブルパターン領域内に所定のピッチで配置されている各第1の記録領域のうちの回転方向における一方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最初にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第1の記録領域の位置から回転方向における他方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最後にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第1の記録領域の位置までの半径方向に沿って長い領域とする。
【0016】
また、本発明における記録再生装置は、上記の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている。
【0017】
この情報記録媒体および記録再生装置では、情報記録媒体における第1の領域に回転方向で隣接して第1の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置に第2の非記録領域を設けている。したがって、この情報記録媒体および記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域内の各記録領域の形成ピッチを十分に小さくして情報記録媒体を製造するときに、スタンパーを製造するための凹部形成用パターンの描画に際して情報記録媒体における第1の領域内の第1の非記録領域に対応する部位の描画用ビーム(電子ビーム等)の照射量が不足し、これに起因して、第1の領域内の複数の第1の記録領域が第2の記録領域を介して連結された状態となったとしても、この第2の記録領域を介して第1の記録領域が連結されている部位(第1の領域内で回転方向において連続する記録領域の回転方向の長さが1つの第1の記録領域の回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0018】
さらに、本発明における記録再生装置は、上記の記録再生装置において、前記制御部が、前記磁気ヘッドによって前記第2の非記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する。したがって、この記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域内の記録領域の形成ピッチを十分に小さくすることで複数の第1の記録領域が第2の記録領域によって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域から各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。この場合、上記の「第2の非記録領域に対応するサーボデータが読み出されたとき」には、「第2の非記録領域に対応するサーボデータを含む複数のサーボデータが読み出されたとき」がこれに含まれるものとする。具体的には、第2の非記録領域に対応するサーボデータと、第2の非記録領域と並んで形成されている記録領域や非記録領域にそれぞれ対応するサーボデータとが読み出されたときに、第2の非記録領域に対応するサーボデータが読み出された時点の直前にプリアンブルデータの読み出しが終了していたと判別する構成がこれに含まれる。
【0019】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第2の非記録領域が、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている。したがって、この情報記録媒体によれば、プリアンブルパターン領域から遠く離れた位置に第2の非記録領域を設ける構成とは異なり、その製造時に第1の記録領域を連結する第2の記録領域が生じ易いプリアンブルパターン領域と第2の非記録領域との間にサーボデータを記録した記録領域および非記録領域が存在しないため、プリアンブルパターン用の記録領域および非記録領域が配置されている領域(プリアンブルパターン領域)に続いてサーボデータが記録されている領域からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0020】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、前記第2の非記録領域における前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第2の非記録領域の回転方向の長さが第1の非記録領域の回転方向の長さよりも僅かに長い構成の情報記録媒体と比較して、磁気ヘッドの下方を第2の非記録領域が通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第2の非記録領域が磁気ヘッドの下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この情報記録媒体によれば、第2の記録領域を介して第1の記録領域が連結されている部位が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0021】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第2の非記録領域における前記回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第2の非記録領域の回転方向の長さをプリアンブルパターン用の第1の非記録領域の同一パターン半径位置における回転方向の長さに対して自然数以外の倍率(例えば1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域からサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域の全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この情報記録媒体によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データを不要とできる分だけ、この情報記録媒体を搭載する記録再生装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0022】
また、本発明に係る情報記録媒体は、サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第3の非記録領域が第3の記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第2の領域が設けられると共に、当該第2の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第3の非記録領域を連結する第4の非記録領域が設けられ、前記第2の領域に前記回転方向で隣接して当該第2の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第4の記録領域が設けられ、当該第4の記録領域は、当該回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長くなっている。
【0023】
この場合、本明細書における「第2の領域」は、プリアンブルパターン領域内に所定のピッチで配置されている各第3の非記録領域のうちの回転方向における一方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最初にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第3の非記録領域の位置から回転方向における他方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最後にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第3の非記録領域の位置までの半径方向に沿って長い領域とする。
【0024】
また、本発明における記録再生装置は、上記の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている。
【0025】
この情報記録媒体および記録再生装置では、情報記録媒体における第2の領域に回転方向で隣接して第2の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置に第4の記録領域を設けている。したがって、この情報記録媒体および記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域内の各非記録領域の形成ピッチを十分に小さくして情報記録媒体を製造するときに、スタンパーを製造するための凹部形成用パターンの描画に際して情報記録媒体における第2の領域内の第3の記録領域に対応する部位の描画用ビーム(電子ビーム等)の照射量が不足し、これに起因して、第2の領域内の複数の第3の非記録領域が第4の非記録領域を介して連結された状態となったとしても、この第4の非記録領域を介して第3の非記録領域が連結されている部位(第2の領域内で回転方向において連続する非記録領域の回転方向の長さが1つの第3の非記録領域の回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0026】
さらに、本発明における記録再生装置は、上記の記録再生装置において、前記制御部が、前記磁気ヘッドによって前記第4の記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する。したがって、この記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域内の非記録領域の形成ピッチを十分に小さくすることで複数の第3の非記録領域が第4の非記録領域によって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域から各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。この場合、上記の「第4の記録領域に対応するサーボデータが読み出されたとき」には、「第4の記録領域に対応するサーボデータを含む複数のサーボデータが読み出されたとき」がこれに含まれるものとする。具体的には、第4の記録領域に対応するサーボデータと、第4の記録領域と並んで形成されている非記録領域や記録領域にそれぞれ対応するサーボデータとが読み出されたときに、第4の記録領域に対応するサーボデータが読み出された時点の直前にプリアンブルデータの読み出しが終了していたと判別する構成がこれに含まれる。
【0027】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第4の記録領域が、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている。したがって、この情報記録媒体によれば、プリアンブルパターン領域から遠く離れた位置に第4の記録領域を設けた構成とは異なり、その製造時に第3の非記録領域を連結する第4の非記録領域が生じ易いプリアンブルパターン領域と第4の記録領域との間にサーボデータを記録した記録領域および非記録領域が存在しないため、プリアンブルパターン用の記録領域および非記録領域が配置されている領域(プリアンブルパターン領域)に続いてサーボデータが記録されている領域からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0028】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、前記第4の記録領域における前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第4の記録領域の回転方向の長さが第3の記録領域の回転方向の長さよりも僅かに長い構成の情報記録媒体と比較して、磁気ヘッドの下方を第4の記録領域が通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第4の記録領域が磁気ヘッドの下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この情報記録媒体によれば、第4の非記録領域を介して第3の非記録領域が連結されている部位が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0029】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第4の記録領域における前記回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第4の記録領域の回転方向の長さをプリアンブルパターン用の第3の記録領域の同一パターン半径位置における回転方向の長さに対して自然数以外の倍率(例えば、1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域からサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域の全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この情報記録媒体によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データを不要とできる分だけ、この情報記録媒体を搭載する記録再生装置の製造コストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るハードディスクドライブの構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る磁気ディスクの断面図である。
【図3】本発明に係る磁気ディスクの平面図である。
【図4】本発明に係る磁気ディスクにおけるデータトラックパターン領域およびサーボパターン領域の平面図である。
【図5】本発明に係る磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図6】本発明に係る磁気ディスクを製造するための原盤の断面図である。
【図7】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーを製造するための凹部形成用パターンの一例を示すパターン図である。
【図8】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてB1マスク形成層に対する凹部形成用パターンの描画が完了した状態の原盤の断面図である。
【図9】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時において凹部形成用パターンの描画処理を完了したB1マスク形成層を現像処理した原盤の断面図である。
【図10】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてB1マスク形成層をマスクとして用いてA1マスク形成層をエッチング処理した状態の原盤の断面図である。
【図11】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてA1マスク形成層をマスクとして用いてシリコン基板をエッチング処理した状態の原盤の断面図である。
【図12】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時において凹凸パターンを覆うようにしてニッケル層を形成した状態のシリコン基板の断面図である。
【図13】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてニッケル層を電極として用いた電鋳処理によってニッケル層を形成した状態のシリコン基板の断面図である。
【図14】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのマスタースタンパーの断面図である。
【図15】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてマスタースタンパーの凹凸パターンを両スタンパー形成用材料に転写して剥離することでマザースタンパーを製作した状態のスタンパーの断面図である。
【図16】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてマザースタンパーを用いた射出成形処理によってチャイルドスタンパーを製作した状態の両スタンパーの断面図である。
【図17】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのチャイルドスタンパーおよび中間体の断面図である。
【図18】本発明に係る磁気ディスクの製造時においてインプリント処理の完了後に中間体のB2マスク形成層からチャイルドスタンパーを剥離した状態の断面図である。
【図19】本発明に係る磁気ディスクの製造時においてインプリント処理によって形成したB2マスク形成層をマスクとして用いてA2マスク形成層をエッチング処理した状態の断面図である。
【図20】本発明に係る磁気ディスクの製造時において凹凸パターンが形成されたA2マスク形成層をマスクとして用いて磁性層をエッチング処理した状態の断面図である。
【図21】本発明に係る他の磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図22】本発明に係るさらに他の磁気ディスクの平面図である。
【図23】従来の磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図24】発明者が磁気ディスクの製造に際して描画した凹部形成用パターンの一例を示す平面図である。
【図25】発明者が製造した磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図26】発明者が製造した磁気ディスクにおけるサーボパターン領域のプリアンブルパターン領域の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る情報記録媒体および記録再生装置の最良の形態について説明する。
【0032】
最初に、本発明に係る記録再生装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0033】
図1に示すハードディスクドライブ1は、本発明に係る記録再生装置の一例であって、モータ2、コントローラ2a、一組の磁気ヘッド3,3、検出部4a、電源部4b、ドライバ5、制御部6、記憶部7および磁気ディスク10Aを備えて、各種データの記録再生が可能に構成されている。なお、ハードディスクドライブ1は、実際には、複数枚の磁気ディスク10Aを備えると共に、各磁気ディスク10A毎に一組の磁気ヘッド3,3が配設されて構成されているが、本発明についての理解を容易とするために、1枚の磁気ディスク10Aと、この磁気ディスク10Aに対する記録データの記録再生を実行するための一組の磁気ヘッド3,3を備えているものとして、以下に説明する。この場合、磁気ディスク10Aは、本発明に係る情報記録媒体の一例である両面記録型のディスクリートトラック媒体(パターンド媒体の一例)であって、図3に示すように、全体として円板状に形成されて、モータ2の回転軸に取り付けられている。
【0034】
モータ2は、制御部6の制御に従って磁気ディスク10Aを一例として4200rpmの回転数で定速回転させる。また、コントローラ2aは、制御部6から出力された制御信号S4に従ってモータ2を回転させる。磁気ヘッド3,3は、一方の磁気ヘッド3が磁気ディスク10Aの一方の面(同図における上面)に対向配置されてスイングアーム3aを介してアクチュエータ3bに取り付けられると共に、他方の磁気ヘッド3が磁気ディスク10Aの他方の面(同図における下面)に対向配置されてスイングアーム3aを介してアクチュエータ3bに取り付けられている。この場合、両磁気ヘッド3,3は、磁気ディスク10Aに対する記録データの記録再生時においてアクチュエータ3bによってスイングアーム3a,3aが回動させられることで磁気ディスク10A上を移動させられる。また、磁気ヘッド3は、磁気ディスク10Aのサーボパターン領域As(図3,4参照)からのサーボ信号の読み出しと、データトラックパターン領域At(図3,4参照)に対する記録データの磁気的な書き込みと、データトラックパターン領域Atに磁気的に書き込まれている記録データの読み出しとを実行する。
【0035】
なお、磁気ヘッド3は、実際には磁気ディスク10Aに対して磁気ヘッド3を浮上させるためのスライダの底面(エアベアリング面)に記録素子と再生素子とが形成されて構成されているが、スライダ、記録素子および再生素子等についての説明および図示を省略する。アクチュエータ3bは、制御部6の制御下でドライバ5から供給される駆動電流によってスイングアーム3aをスイングさせることにより、磁気ヘッド3を磁気ディスク10A上の任意の記録再生位置に移動させる。検出部4aは、磁気ヘッド3によって出力された出力信号S0(アナログ信号:サーボ信号)からサーボデータを抽出して検出信号S1を生成し、生成した検出信号S1を制御部6に出力する。電源部4bは、磁気ディスク10Aに対する記録データの記録時において、制御部6から出力された制御信号S2に従い、所定の周期で電位を反転させた交流電圧を磁気ヘッド3に供給する。ドライバ5は、制御部6から出力された制御信号S3に従ってアクチュエータ3bを制御することで磁気ヘッド3を所望のデータ記録トラックにオントラックさせる。
【0036】
制御部6は、本発明における制御部の一例であって、ハードディスクドライブ1を総括的に制御する。また、制御部6は、検出部4aから出力された検出信号(サーボデータ)S1と、記憶部7に記憶されている制御用データDとに基づいて、コントローラ2a、電源部4bおよびドライバ5を制御する(トラッキングサーボ制御処理および記録データの記録再生処理の実行)。記憶部7は、上記の制御用データDなどを記憶する。
【0037】
一方、磁気ディスク10Aは、モータ2や磁気ヘッド3などと共にハードディスクドライブ1の筐体内に配設されている。この磁気ディスク10Aは、図2に示すように、軟磁性層12、中間層13および磁性層14がガラス基板11の表裏両面にこの順でそれぞれ形成されて、一例として、垂直記録方式による記録データの記録が可能に構成されている。なお、同図では、ガラス基板11の一方の面側のみを図示している。この場合、磁性層14は、一例として、基端部から突端部側まで磁性材料で形成された複数の凸部25aと、隣り合う凸部25aの間の凹部25bとが形成されて凹凸パターン25を構成する。また、凹凸パターン25の各凹部25b内には、SiO2、C(炭素)、Si、Ge、非磁性金属材料および樹脂材料等の非磁性材料15が埋め込まれ、これにより、磁気ディスク10Aの表面が平坦化されている。
【0038】
この場合、この磁気ディスク10Aでは、凸部25aの形成領域が本発明における記録領域に相当し、凹部25bの形成領域が本発明における非記録領域に相当する。また、この磁気ディスク10Aでは、各凹部25b内に埋め込まれた(隣り合う凸部25a,25aの間に埋め込まれた)非磁性材料15、および磁性層14(凸部25a)の表面を覆うようにして、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等によって厚みが4nm程度の保護層16(DLC膜)がその表裏両面にそれぞれ形成されている。また、両保護層16の表面には、磁気ヘッド3および磁気ディスク10Aの双方の傷付きを回避するための潤滑剤がそれぞれ塗布されている。
【0039】
ガラス基板11は、一例として、ガラス板を表面研磨して厚みが0.6mm程度の円板状に形成されている。なお、磁気ディスク10Aを形成する際に使用する基材は、ガラス基板に限定されず、アルミニウムやセラミックなどの各種非磁性材料で円板状に形成した基材を使用することができる。軟磁性層12は、CoZrNb合金などの軟磁性材料をスパッタリングすることによって厚みが20nm〜200nm程度の薄膜状に形成されている。中間層13は、磁性層14を形成するための下地層として機能する層であって、Ru、CrおよびCoCr非磁性合金などの中間層形成用材料をスパッタリングすることによって厚みが5nm〜40nm程度の薄膜状に形成されている。磁性層14は、前述したように、凹凸パターン25(図4に示すデータトラックパターン25tおよびサーボパターン25s)を構成する層であって、例えばCoCrPt合金をスパッタリングした層に対してエッチング処理することによって各凹部25bが形成されている。
【0040】
この場合、図3,4に示すように、この磁気ディスク10Aでは、各データトラックパターン領域Atの間にサーボパターン領域Asが規定されてデータトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asが磁気ディスク10Aの回転方向(矢印R1の向き)において交互に並ぶように規定されている。なお、本明細書では、回転方向において並ぶ2つのデータトラックパターン領域Atによって挟まれた領域(1つのデータトラックパターン領域Atにおける回転方向に対して下流側の端部から、他の1つのデータトラックパターン領域Atにおける回転方向に対して上流側の端部までの間の領域)をサーボパターン領域Asとする。また、データトラックパターン領域Atにおける回転方向側の端部は、そのデータトラックパターン領域に形成された複数のデータ記録トラック(各凸部25a)における回転方向側の各端部を連結した仮想線分(磁気ディスク10Aの半径方向に沿った直線状または円弧状の線分)と一致しているものとする。
【0041】
また、この磁気ディスク10Aを搭載したハードディスクドライブ1では、前述したように、モータ2が制御部6の制御に従って磁気ディスク10Aを角速度一定で回転させるように構成されている。したがって、図3に示すように、この磁気ディスク10Aでは、単位時間当たりに磁気ヘッド3の下方を通過させられる磁気ディスク10A上の長さに比例して、磁気ディスク10Aの回転方向に沿ったデータトラックパターン領域Atの長さ、および回転方向に沿ったサーボパターン領域Asの長さがデータトラックパターン25tの中心Oから離間するほど長くなるように(データトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asがその内周側領域よりも外周側領域ほど幅広となるように)規定されている。この結果、データトラックパターン領域At内に形成されたデータ記録トラック(凸部25a)における突端面の回転方向に沿った長さや、サーボパターン領域As内に形成されたサーボパターン25s用の各凸部25aにおける突端面の回転方向に沿った基準の長さ、およびサーボパターン25s用の各凹部25bの回転方向に沿った基準の開口長(隣り合う2つの凸部25aにおける両突端面において対向する端部の間の長さ:例えば、単位信号長に対応する長さ)は、磁気ディスク10Aの内周側領域よりも外周側領域ほど長くなっている。
【0042】
また、図4に示すように、データトラックパターン領域Atには、データトラックパターン25tが形成されている。なお、同図では、凹凸パターン25における凸部25aの形成部位(本発明における記録領域)を斜線で塗り潰して図示している。この場合、データトラックパターン領域At内のデータトラックパターン25tは、所定の配列ピッチで互いに分割された同心円状(または、螺旋状)の数多くのデータ記録用トラックを構成する複数の凸部25a(磁気ディスク10Aの回転方向に沿って連続的に形成されて回転方向に長い帯状の凸部25a)と、ガードバンド部を構成する複数の凹部25b(各凸部25aの間の凹部25b:トラック間凹部)とを備えて構成されている。また、データトラックパターン領域At内の各凸部25aおよび各凹部25bは、その形成ピッチ(すなわち、データ記録トラックのトラックピッチ)や、磁気ディスク10Aにおける半径方向の長さ(すなわち、データ記録トラックやガードバンド部の半径方向の長さ)が磁気ディスク10Aの内周部から外周部までの全域において互いにほぼ等しくなるように形成されている。
【0043】
一方、サーボパターン領域Asには、複数の領域が回転方向において並んで規定されて、各領域内にトラッキングサーボ制御用の各種サーボパターンを構成する複数の凸部25aおよび複数の凹部25bを有する凹凸パターン25(サーボパターン25s)が形成されている。具体的には、図4に示すように、サーボパターン領域As内には、サーボパターン25sによってプリアンブルパターンが形成されたプリアンブルパターン領域Apと、サーボパターン25sによってサーボアドレスマーク(サーボアドレスマークパターン)が形成されたサーボアドレスマーク領域Amと、サーボパターン25sによってアドレスパターンが形成されたアドレスパターン領域Aaと、サーボパターン25sによってバーストパターンが形成されたバーストパターン領域Abとが回転方向においてこの順で並んで規定されている。なお、上記のサーボパターン25sでは、実際には、磁気ディスク10Aの内周側領域や外周側領域において各凸部25aや各凹部25bにスキュー角が付与されているが、本発明についての理解を容易とするために、このスキュー角についての説明および図示を省略する。
【0044】
プリアンブルパターン領域Apには、サーボアドレスマーク領域Amやアドレスパターン領域Aaなどから各種制御信号を読み取るための基準クロックを磁気ディスク10Aの回転状態(回転速度)に応じて補正したり、サーボデータやユーザデータ(データ記録用トラックに記録された記録データ)の出力のゲインを調整したりするためのプリアンブルパターンが形成されている。この場合、この磁気ディスク10Aでは、プリアンブルパターン領域Apの全域が本発明における第1の領域で構成されて、プリアンブルパターン領域Apの回転方向における一端部から他端部までの間にサーボデータとしてのプリアンブル信号に対応させて凸部25aおよび凹部25bが交互に配設されている。具体的には、図4,5に示すように、プリアンブルパターン領域Apには、磁気ディスク10Aの半径方向(両図における上下方向:図3に示す矢印Rb1の方向)に沿って長い帯状の複数の凸部25a(本発明における第1の記録領域の一例)が凹部25b(本発明における第1の非記録領域の一例)を挟んでピッチPa(本発明における所定のピッチの一例)で配設されている。なお、プリアンブルパターン領域Ap内の上記の各凸部25a(本発明における第1の記録領域)は、実際には、磁気ディスク10Aの内周および外周間を上記の磁気ヘッド3が移動する際に描く円弧状の軌跡(図3に矢印Rc1で示す円弧状の線分)に沿って長い帯状(本発明における「半径方向に沿って長い」との状態の一例)に形成されている。
【0045】
この場合、図5に示すように、プリアンブルパターンを構成するプリアンブルパターン領域Ap内のサーボパターン25sでは、一例として、データトラックパターン25tの中心O(図3参照)からの距離が15mmの部位(本発明におけるパターン半径位置の一例)において、凸部25aの回転方向のピッチPa(本発明における「所定のピッチ」)が110nmで、凸部25aの回転方向に沿った長さL1aがサーボデータにおける「1」に対応して55nmで、凹部25bの回転方向に沿った長さL2aがサーボデータにおける「0」に対応して55nmとなるように規定されている。なお、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凸部25aの上記のピッチPaは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しく、かつ磁気ディスク10Aの内周側領域よりも磁気ディスク10Aの外周側領域側の方が大きくなるように規定されている。また、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凸部25aの上記の長さL1aは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Aの内周側領域よりも磁気ディスク10Aの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。同様にして、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凹部25bの上記の長さL2aは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Aの内周側領域よりも磁気ディスク10Aの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。
【0046】
また、この磁気ディスク10Aでは、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部まで、上記の長さL1aの凸部25aおよび長さL2aの凹部25bが交互に並んで形成されて、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部には、本発明における第1の記録領域に相当する上記の長さL1aの凸部25aが形成されている。さらに、この磁気ディスク10Aでは、プリアンブルパターン領域Ap内の各凸部25aが上記のように非常に狭いピッチPaで形成されている。このため、この磁気ディスク10Aでは、後述するようにして、その製造時において、プリアンブルパターン領域Ap内の一部において、回転方向で隣り合う凸部25a,25aを回転方向において連結するようにして、凸部25a(本発明における第2の記録領域の一例)によって連結部25cが形成されている。この場合、上記したように、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における凸部25aの長さL1aが55nmで凹部25bの長さL2aが55nmであるため、中心Oからの距離が15mmの部位に上記の連結部25cが形成されている場合には、凸部25aが回転方向に沿って連続する長さL11aが165nmとなる。
【0047】
サーボアドレスマーク領域Amには、アドレスパターンの読み取り開始位置を特定するためのサーボアドレスマークが形成されている。また、この磁気ディスク10Aでは、サーボアドレスマーク領域Amにおける先頭領域(回転方向におけるプリアンブルパターン領域Ap側の端部:本発明における「プリアンブルパターン領域内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置」の一例)に本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bが形成されて、この凹部25bによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと認識させる構成が採用されている。この場合、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bは、一例として、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における長さL3aが上記のピッチPaと等しく、かつ、上記のプリアンブルパターン領域Ap内の凹部25bの長さL2aの2倍である110nm(本発明における「N倍」が「2倍」の構成の例)となるように規定されている。
【0048】
アドレスパターン領域Aaには、図4に示すように、磁気ヘッド3がオントラックしているトラックのトラック番号や、磁気ヘッド3が位置しているセクタのセクタ番号等を示すアドレスデータに対応するアドレスパターンが凸部25aおよび凹部25bを有する凹凸パターン25によって形成されている。また、バーストパターン領域Abには、磁気ディスク10A上における磁気ヘッド3の位置を補正するためのバースト信号を得るためのバーストパターン(位置検出用のサーボパターン)が凸部25aおよび凹部25bを有する凹凸パターン25によって形成されている。
【0049】
次に、磁気ディスク10Aの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0050】
上記の磁気ディスク10Aの製造に際しては、まず、インプリント処理用のスタンパー60(図17参照)を製造する。具体的には、図6に示すように、まず、一例として、シリコン基板31の一面にニッケルをスパッタリングすることにより、厚み7nmのA1マスク形成層32を形成して原盤30を製作する。次いで、ベーク処理後の厚みが60nm程度となるように電子線描画用レジスト(ポジ型レジスト)をスピンコートすることによってA1マスク形成層32の上(原盤30の上)にB1マスク形成層(樹脂層:レジスト層)33を形成した後に、形成したB1マスク形成層33に対してベーク処理を実行する。次いで、B1マスク形成層33の形成面を上向きにして原盤30をパターン描画装置(図示せず)にセットすると共に、図8に示すように、原盤30を回転させつつ、B1マスク形成層33に対して電子ビームEBを照射することにより、凹部形成用パターンEp(図7参照)をB1マスク形成層33に描画する。
【0051】
なお、図7に示す矢印R2は、凹部形成用パターンEpの描画時における原盤30の回転方向を示すと共に、磁気ディスク10Aにおける回転方向に対応する向きを示している。この場合、上記の凹部形成用パターンEpは、図14に示すマスタースタンパーとしてのスタンパー40の凹凸パターン45における各凸部45aの平面パターンであって、上記の磁気ディスク10Aにおけるデータトラックパターンの凹部25bや、サーボパターンにおける各凹部25bに対応する平面パターンとなっている。また、図7に示すように、B1マスク形成層33に凹部形成用パターンEpを描画する際には、磁気ディスク10Aにおけるプリアンブルパターン領域Apに対応するパターン描画領域Aepにおいて、プリアンブルパターンを構成する上記の長さL2aの凹部25bに対応して、後述する現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向(矢印R2の向き)に沿った長さL4aを規定し、かつ、そのピッチPeを磁気ディスク10Aにおける上記のピッチPaに対応させて電子ビームEBを照射する。
【0052】
この場合、磁気ディスク10A等を製造するための凹部形成用パターンEpの描画に際しては、前述したように、電子ビームEBの照射領域の長さL4aを十分に短くして、現像処理後にB1マスク形成層33に形成される凸部の回転方向に沿った長さが過剰に短くなる事態を回避する必要がある。このため、図7に矢印Z1で示すように、サーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Apの各凹部25bに対応して電子ビームを本来的に照射すべき部位に対する電子ビームEBの照射量が不足して、この部位においてB1マスク形成層33が十分に露光されない事態を招くこととなる。なお、発明者らは、上記のピッチPeを150nm以下としたときに、矢印Z1で示すようにパターン描画領域Aep内においてB1マスク形成層33が十分に露光されない部位が生じるのを見出した。一方、磁気ディスク10Aにおけるサーボアドレスマーク領域Amに対応するパターン描画領域Aemにおける上記のパターン描画領域Aepに隣接する部位においては、サーボアドレスマークを構成する長さL3aの凹部25bに対応して、現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向に沿った長さL5aを規定して電子ビームEBを照射する。
【0053】
次いで、凹部形成用パターンEpの描画が完了したB1マスク形成層33に対する現像処理を実行する。これにより、パターン描画装置による凹部形成用パターンEpの描画処理時に電子ビームEBの照射量がレジスト層の消失レベルに達した消失領域においてA1マスク形成層32上からB1マスク形成層33が除去されて、図9に示すように、上記の消失領域に凹部35bが形成されてA1マスク形成層32(原盤30)の上に凹凸パターン35が形成される。この場合、上記の凹部形成用パターンEpの描画時において、磁気ディスク10Aにおけるプリアンブルパターン領域Apに対応するパターン描画領域Aep内に電子ビームEBの照射が不足した部位(図7に矢印Z1で示す部位)は、現像処理時にA1マスク形成層32上から本来的には消失すべきであるが、A1マスク形成層32上に残存した状態(図示せず)となる。したがって、電子ビームEBの照射が不足した部位(本来は凹部35bが形成されるべき部位)に凸部35aが形成される。次いで、現像処理が完了した原盤30に対してリンス処理を実行した後にスピン乾燥処理を実行する。
【0054】
続いて、乾燥処理が完了したB1マスク形成層33(凹凸パターン35の各凸部35a)をマスクとして用いてエッチング処理を実行することにより、各凹部35bの底面においてB1マスク形成層33から露出しているA1マスク形成層32をシリコン基板31上から除去する。これにより、図10に示すように、A1マスク形成層32に凹部36bが形成されてシリコン基板31上に凹凸パターン36が形成される。次いで、A1マスク形成層32(凹凸パターン36の各凸部36a)をマスクとして用いてエッチング処理を実行することにより、各凹部36bの底面においてA1マスク形成層32から露出しているシリコン基板31のA1マスク形成層32側の一部を除去する。これにより、図11に示すように、シリコン基板31に凹部37bが形成されて、シリコン基板31に凹凸パターン37が形成される。なお、同図では、エッチング処理の完了後にシリコン基板31(凹凸パターン37の各凸部37a)上に残存していたA1マスク形成層32を除去した状態を図示している。
【0055】
続いて、図12に示すように、凹凸パターン37の表面に例えば蒸着処理によってニッケル層(導電層)41を形成した後に、図13に示すように、このニッケル層41を電極として用いて電解メッキ処理(電鋳処理)を実行してニッケル層42を形成する。この際には、シリコン基板31に形成された凹凸パターン37がニッケル層41,42を構成するニッケルに転写されて、上記の凹部形成用パターンEpにおける電子ビームEBの照射領域に対応する複数の凸部45aが形成される。次いで、シリコン基板31からニッケル層41,22の積層体を剥離することにより、図14に示すように、マスタースタンパーとしてのスタンパー40が完成する。なお、このスタンパー40を用いたインプリント処理によって磁気ディスク10Aを製造することもできるが、高価なスタンパー40を使用することで磁気ディスク10Aの製造コストが高騰するおそれがある。したがって、以下に説明する手順に従ってスタンパー40の凹凸パターン45を他のスタンパー形成材料に転写することで、1枚のスタンパー40から複数枚のスタンパーを製作する。
【0056】
具体的には、一例として、スタンパー40を電極として用いて電解メッキ処理(電鋳処理)を実行してニッケル層51(図15参照)を形成する。この際には、スタンパー40の凹凸パターン45が金属材料(この例では、ニッケル)に転写されて、凹凸パターン45における各凹部45bに対応する複数の凸部55aと、凹凸パターン45における各凸部45aに対応する複数の凹部55bとが形成される。次いで、スタンパー40からニッケル層51を剥離することにより、図15に示すように、マザースタンパーとしてのスタンパー50が完成する。次いで、スタンパー50を用いた射出成形処理を実行する。この際には、スタンパー50の凹凸パターン55が樹脂材料61(図16参照)に転写されて、凹凸パターン55における各凹部55bに対応する複数の凸部65aと、凹凸パターン55における各凸部55aに対応する複数の凹部65bとが形成される。次いで、スタンパー50から樹脂材料61を剥離することにより、図16に示すように、チャイルドスタンパーとしてのスタンパー60が完成する。この際に、1枚のスタンパー50から複数枚のスタンパー60を製作することにより、このスタンパー60を用いて製造する磁気ディスク10Aの製造コストを十分に低減することができる。
【0057】
次いで、製造したスタンパー60を用いて磁気ディスク10Aを製造する。この際には、一例として、まず、磁気ディスク10Aを製造するための中間体80(図17参照)と、スタンパー60とをインプリント装置にセットする。この場合、図17に示すように、中間体80は、一例として、軟磁性層12、中間層13および磁性層14がガラス基板11の上にこの順で形成されると共に、磁性層14を覆うようにしてA2マスク形成層81(一例として、金属マスク層)およびB2マスク形成層82(一例として、樹脂マスク層)がこの順で形成されている。次いで、中間体80のB2マスク形成層82にスタンパー60の凹凸パターン65を押し付けることによってB2マスク形成層82に凹凸パターン65を転写した後に(インプリント法の実行)、図18に示すように、中間体80からスタンパー60を剥離する。この際には、スタンパー60の凹凸パターン65における各凸部65aに対応して中間体80のB2マスク形成層82に複数の凹部85bが形成されると共に、凹凸パターン65における各凹部65bに対応してB2マスク形成層82に複数の凸部85aが形成されてA2マスク形成層81の上に樹脂マスクパターンとしての凹凸パターン85が形成される。
【0058】
次いで、B2マスク形成層82に転写された凹凸パターン85における各凹部85bの底面に残存している樹脂材料をエッチング処理によって除去した後に、凹凸パターン85をマスクとして用いてA2マスク形成層81に対するエッチング処理を実行する。これにより、図19に示すように、B2マスク形成層82に転写した凹凸パターン85における各凸部85aに対応する複数の凸部86aと、凹凸パターン85における各凹部85bに対応する複数の凹部86bとを有する凹凸パターン86がA2マスク形成層81に形成される。続いて、凹凸パターン86をマスクとして用いて磁性層14に対するエッチング処理を実行する。これにより、図20に示すように、A2マスク形成層81に形成した凹凸パターン86における各凸部86aに対応する複数の凸部25aと、凹凸パターン86における各凹部86bに対応する複数の凹部25bとを有する凹凸パターン25が磁性層14に形成される。なお、同図では、エッチング処理の完了後に磁性層14(凹凸パターン25の各凸部25a)上に残存していたA2マスク形成層81を除去した状態を図示している。
【0059】
この後、凹凸パターン25を覆うようにして十分な厚みの非磁性材料15を形成した後に、非磁性材料15の層に対するエッチング処理を実行することによって非磁性材料15の層から各凸部25aの突端面を露出させる(図示せず)。これにより、中間体80の表面が平坦化される。次いで、各凸部25aの突端面、および各凹部25bに埋め込まれた非磁性材料15の表面を覆うようにして保護層16を形成した後に、保護層16の表面に潤滑剤を塗布する。続いて、一例として、直流磁化装置を用いて磁気ディスク10Aに対して厚み方向で貫通する向きの磁界を印加することにより、各凸部25aを直流磁化する。これにより、図2に示すように、磁気ディスク10Aが完成する。この後、完成した磁気ディスク10Aを磁気ヘッド3などと共に筐体内に配設することにより、ハードディスクドライブ1が完成する。
【0060】
上記の磁気ディスク10Aを搭載したハードディスクドライブ1では、制御部6が、磁気ヘッド3を介して読み出されるサーボデータと、記憶部7内の制御用データDに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する。具体的には、制御部6は、コントローラ2aを制御して磁気ディスク10Aを角速度一定の条件で回転させると共に、ドライバ5を制御してアクチュエータ3bを駆動させて磁気ヘッド3を磁気ディスク10A上の任意の半径位置に移動させる。この際に、検出部4aは、磁気ヘッド3から出力される出力信号S0(サーボ信号)からサーボデータを抽出して検出信号S1を生成し、生成した検出信号S1を制御部6に出力する。また、制御部6は、検出部4aから出力された検出信号S1(サーボデータ)と、記憶部7に記憶されている制御用データDとに基づき、磁気ヘッド3を所定のトラックにオントラックさせるようにトラッキングサーボ制御を実行する。
【0061】
この際に、制御部6は、磁気ヘッド3の下方を磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Ap(本発明における第1の領域)が通過している際に検出部4aから出力される検出信号S1(プリアンブル信号)に基づき、サーボアドレスマーク領域Amやアドレスパターン領域Aaなどから各種制御信号を読み取るための基準クロックを磁気ディスク10Aの回転状態(回転速度)に応じて補正すると共にサーボデータやユーザデータの出力のゲインを調整する。この場合、制御部6は、サーボアドレスマーク領域Amに形成されている上記の長さL3aの凹部25bに対応する検出信号S1が検出部4aから出力されるまでは、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了していないとして検出部4aから出力される検出信号S1に基づいて、上記の基準クロックの補正を継続して実行する。
【0062】
したがって、前述したように、磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Ap内に連結部25cによって回転方向において連結された複数の凸部25aが存在して、結果として、回転方向の長さが例えば長さL11aの凸部25aがプリアンブルパターン領域Ap内に存在したとしても、この部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される信号(この例では、プリアンブルパターン領域Ap内の1つの凸部25aに対応する検出信号S1に対する3倍の長さの検出信号S1)に基づいて、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したとの誤判別が生じる事態が回避される。したがって、連結部25cによって連結された凸部25aよりもサーボアドレスマーク領域Am側に配置されている各凸部25aが磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される検出信号S1が、サーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークであるとの誤った検出が生じる事態が回避される。
【0063】
一方、磁気ディスク10Aの回転に伴い、上記の長さL3aの凹部25bが磁気ヘッド3の下方を通過した際には、制御部6は、この長さL3aの凹部25bの通過時に検出部4aから出力された検出信号S1に基づき、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと判別する。この際に、制御部6は、その検出信号S1以降に検出部4aから出力される検出信号S1が磁気ディスク10Aにおけるサーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークや、その後にアドレスパターン領域Aaから読み出されるアドレスパターンに対応するサーボデータと認識して、制御用データDに基づき、磁気ヘッド3を所望のトラックにオントラックさせるためのトラッキングサーボ制御を実行する。
【0064】
このように、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、磁気ディスク10Aにおける第1の領域(半径方向に沿って長い凸部25aが凹部25bを挟んでピッチPaで配置された領域:この例では、プリアンブルパターン領域Ap)に回転方向で隣接して上記の第1の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に、回転方向の長さがプリアンブルパターン領域Ap内の凹部25b(第1の非記録領域)における対応する同一パターン半径位置の回転方向の長さL2aよりも長い長さL3aの凹部25b(第2の非記録領域)を設けたことにより、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域As内の各凸部25aの形成ピッチを十分に小さくして磁気ディスク10Aを製造するときに、凹部形成用パターンEpの描画に際して磁気ディスク10Aにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の各凹部25bに対応する部位の電子ビームEBの照射量が不足し、これに起因して、プリアンブルパターン領域Ap内の複数の凸部25aが連結部25cを介して連結された状態となったとしても、この連結部25cを介して凸部25aが連結されている部位(回転方向において連続する凸部25aの回転方向の長さが1つの凸部25aの回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0065】
また、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、制御部6が、磁気ヘッド3によって上記の長さL3aの凹部25bに対応するサーボデータが読み出されたときにサーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別することにより、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域Ap内の凸部25aの形成ピッチを十分に小さくすることで複数の凸部25aが連結部25cによって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域Asから各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。
【0066】
さらに、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、プリアンブルパターン領域Apに対して回転方向において隣接し、かつプリアンブルパターン領域Ap内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、プリアンブルパターン領域Apに続いて設けられたサーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に上記の長さL3aの凹部25bを設けたことにより、プリアンブルパターン領域Apから遠く離れた位置に本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bを設ける構成とは異なり、その製造時に連結部25cが生じ易いプリアンブルパターン用の凸部25aおよび凹部25bが回転方向において並んでいる領域(プリアンブルパターン領域Ap)と、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bとの間にサーボデータを記録した凸部25aおよび凹部25bが存在しないため、プリアンブルパターン用の凸部25aが凹部25bを挟んでピッチPaで配置されている領域(プリアンブルパターン領域Ap)に続いてサーボデータが記録されている領域(この例では、サーボアドレスマーク領域Am)からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0067】
また、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さL3aを同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凸部25aの形成ピッチ(ピッチPa)以上の長さ(この例では、長さL3a=ピッチPa)としたことにより、例えば、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さがプリアンブルパターン用の凹部25bの長さL2aよりも僅かに長い構成の磁気ディスクと比較して、磁気ヘッド3の下方を第2の非記録領域に相当する凹部25bが通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第2の非記録領域に相当する凹部25bが磁気ヘッド3の下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この磁気ディスク10Aおよびハードディスクドライブ1によれば、連結部25cを介して凸部25aが連結されている部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0068】
さらに、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さL3aを対応する同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凹部25bの回転方向の長さL2aのN倍(この例では、N=2倍)の長さとしたことにより、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さL3aをプリアンブルパターン用の凹部25bの同一パターン半径位置における回転方向の長さL2aに対して自然数以外の倍率(例えば1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域Asからサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域Asの全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この磁気ディスク10Aおよびハードディスクドライブ1によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データDを不要とできる分だけハードディスクドライブ1の製造コストを十分に低減することができる。
【0069】
次に、本発明に係る情報記録媒体および記録再生装置の他の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、前述した磁気ディスク10Aおよびハードディスクドライブ1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0070】
図1〜4,21に示す磁気ディスク10Bは、本発明に係る情報記録媒体の他の一例であって、前述した磁気ディスク10Aとほぼ同様の製造方法に従って製造されている。この磁気ディスク10Bでは、前述した磁気ディスク10Aと同様にして、凸部25aの形成領域が本発明における記録領域に相当し、凹部25bの形成領域が本発明における非記録領域に相当する。また、この磁気ディスク10Bでは、一例として、サーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amの2つの領域において、各凸部25aの形成位置と、各凹部25bの形成位置とが前述した磁気ディスク10Aとは反転している。具体的には、磁気ディスク10Bでは、前述した磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amにおいて凸部25aが形成されている部位に凹部25bが形成され、磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amにおいて凹部25bが形成されている部位に凸部25aが形成されている。なお、本発明におけるサーボパターンの配列の一例について説明するための図4では、本発明についての理解を容易にするために、磁気ディスク10A,10Bにおける凸部25aおよび凹部25bの上記のような形成位置の相違を考慮せずに図示している。
【0071】
この場合、この磁気ディスク10Bでは、プリアンブルパターン領域Apの全域が本発明における第2の領域で構成されて、プリアンブルパターン領域Apの回転方向における一端部から他端部までの間にサーボデータとしてのプリアンブル信号に対応させて凸部25aおよび凹部25bが交互に配設されている。具体的には、この磁気ディスク10Bにおけるプリアンブルパターン領域Apには、磁気ディスク10Bの半径方向(両図における上下方向:図3に示す矢印Rb1の方向)に沿って長い帯状の複数の凹部25b(本発明における第3の非記録領域の一例)が凸部25a(本発明における第3の記録領域の一例)を挟んでピッチPb(本発明における所定のピッチの一例)で配設されている。なお、プリアンブルパターン領域Ap内の上記の各凹部25b(本発明における第3の非記録領域)は、実際には、磁気ディスク10Bの内周および外周間を前述した磁気ヘッド3が移動する際に描く円弧状の軌跡(図3に矢印Rc1で示す円弧状の線分)に沿って長い帯状(本発明における「半径方向に沿って長い」との状態の一例)に形成されている。
【0072】
この場合、プリアンブルパターンを構成するサーボパターン25sでは、一例として、データトラックパターン25tの中心O(図3参照)からの距離が15mmの部位(本発明におけるパターン半径位置)において、凹部25bの回転方向のピッチPb(本発明における「所定のピッチ」)が110nmで、凹部25bの回転方向に沿った長さL1bがサーボデータにおける「0」に対応して55nmで、凸部25aの回転方向に沿った長さL2bがサーボデータにおける「1」に対応して55nmとなるように規定されている。なお、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凹部25bの上記のピッチPbは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しく、かつ磁気ディスク10Bの内周側領域よりも磁気ディスク10Bの外周側領域側の方が大きくなるように規定されている。また、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凹部25bの上記の長さL1bは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Bの内周側領域よりも磁気ディスク10Bの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。同様にして、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凸部25aの上記の長さL2bは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Bの内周側領域よりも磁気ディスク10Bの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。
【0073】
また、この磁気ディスク10Bでは、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部まで、上記の長さL1bの凹部25bおよび長さL2bの凸部25aが交互に並んで形成されて、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部には、本発明における第3の非記録領域に相当する上記の長さL1bの凹部25bが形成されている。さらに、この磁気ディスク10Bでは、プリアンブルパターン領域Ap内の各凹部25bが上記のように非常に狭いピッチPbで形成されている。このため、この磁気ディスク10Bでは、後述するようにして、その製造時において、プリアンブルパターン領域Ap内の一部において、回転方向で隣り合う凹部25b,25bを回転方向において連結するようにして、凹部25b(本発明における第4の非記録領域の一例)によって連結部25dが形成されている。この場合、上記したように、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における凹部25bの長さL1bが55nmで凸部25aの長さL2bが55nmであるため、中心Oからの距離が15mmの部位に上記の連結部25dが形成されている場合には、凹部25bが回転方向に沿って連続する長さL11bが165nmとなる。
【0074】
また、この磁気ディスク10Bでは、前述したように、磁気ディスク10Aのサーボアドレスマーク領域Am内において凸部25aが形成されている部位に凹部25bが形成され、磁気ディスク10Aのサーボアドレスマーク領域Am内において凹部25bが形成されている部位に凸部25aが形成されている。したがって、この磁気ディスク10Bでは、前述した磁気ディスク10Aにおける長さL3aの凹部25bに代えて、サーボアドレスマーク領域Amにおける先頭領域(回転方向におけるプリアンブルパターン領域Ap側の端部:本発明における「プリアンブルパターン領域内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置」の一例)に本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aが形成されて、この凸部25aによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと認識させる構成が採用されている。なお、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aは、一例として、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における長さL3bが上記のピッチPbと等しく、かつ、上記のプリアンブルパターン領域Ap内の凸部25aの長さL2bの2倍である110nm(本発明における「N倍」が「2倍」の構成の例)となるように規定されている。
【0075】
この磁気ディスク10Bの製造に際しては、一例として、前述した磁気ディスク10Aの製造に際して製作したスタンパー60と同様のチャイルドスタンパー(図示せず)を金属材料(例えばニッケル)で製作し、このチャイルドスタンパーを用いた射出成形によって、原盤30上のB1マスク形成層33にマスクパターンを形成するためのインプリント用のスタンパーを製作する。この場合、上記したように、磁気ディスク10Bでは、そのプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amの2つの領域において凸部25aおよび凹部25bの形成位置が上記の磁気ディスク10Aとは反転している。また、凹凸パターン37が形成された状態のシリコン基板31から数えて、奇数回のパターン転写処理を実行して製造するこの磁気ディスク10Bの製造に際しては、スタンパーの製作時に最初に描画する凹部形成用パターンEp(図示せず)において、凹凸パターン25における凸部25aに対応する領域に電子ビームEBを照射することとなる。したがって、この磁気ディスク10Bを製造するためのスタンパーの製作時に描画する凹部形成用パターンEpでは、プリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amの2つの領域に対応する領域において前述した磁気ディスク10A用の凹部形成用パターンEpと電子ビームEBの照射位置が一致し、プリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Am以外のサーボパターン領域As、並びにデータトラックパターン領域Atに対応する領域において前述した磁気ディスク10A用の凹部形成用パターンEpとは電子ビームEBの照射位置が相違する。
【0076】
この場合、上記したように、磁気ディスク10Bにおける凹部25bの形成ピッチ(ピッチPb)が、磁気ディスク10Aにおける凸部25aの形成ピッチ(ピッチPa)と同様に非常に小さいため、この磁気ディスク10Bを製造するためのスタンパーの製作時に描画する凹部形成用パターンEpにおいても、図7に矢印Z1で示す部位と同様にして、磁気ディスク10Bにおけるプリアンブルパターン用の凸部25aに対応する位置において、電子ビームEBの照射量が不足する事態が生じる。したがって、その凹部形成用パターンEpを用いて製作したインプリント処理用樹脂スタンパーでは、上記の磁気ディスク10Aを製作するためのスタンパー60(インプリント処理用樹脂スタンパー)とは異なり、その樹脂スタンパーにおけるプリアンブルパターン形成用の凸部が回転方向で連結されるといった欠陥が生じることとなる。このため、上記したように、この磁気ディスク10Bには、そのような欠陥が生じたスタンパーを使用してインプリント処理を実行することに起因して、プリアンブルパターン領域Ap内の回転方向において隣り合う複数の凹部25bが連結部25dを介して連結された状態(凸部25aが形成されるべき位置に凹部25bが形成された状態)となる。なお、この磁気ディスク10Bの製造方法については、スタンパーの製造時に描画する凹部形成用パターンEpや、これによって製造されるスタンパーが相違するだけで、前述した磁気ディスク10Aの製造方法と同様のため、図示および詳細な説明を省略する。
【0077】
この磁気ディスク10Bを搭載したハードディスクドライブ1では、制御部6は、磁気ヘッド3の下方を磁気ディスク10Bのプリアンブルパターン領域Ap(本発明における第2の領域)が通過している際に検出部4aから出力される検出信号S1(プリアンブル信号)に基づき、サーボアドレスマーク領域Amやアドレスパターン領域Aaなどから各種制御信号を読み取るための基準クロックを磁気ディスク10Bの回転状態(回転速度)に応じて補正すると共にサーボデータやユーザデータの出力のゲインを調整する。この場合、制御部6は、サーボアドレスマーク領域Amに形成されている上記の長さL3bの凸部25aに対応する検出信号S1が検出部4aから出力されるまでは、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了していないとして検出部4aから出力される検出信号S1に基づいて、上記の基準クロックの補正を継続して実行する。
【0078】
したがって、前述したように、磁気ディスク10Bのプリアンブルパターン領域Ap内に連結部25dによって回転方向において連結された複数の凹部25bが存在して、結果として、回転方向の長さが長さL11bの凹部25bがプリアンブルパターン領域Ap内に存在したとしても、この部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される信号(この例では、プリアンブルパターン領域Ap内の1つの凹部25bに対応する検出信号S1に対する3倍の長さの検出信号S1)に基づいて、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したとの誤判別が生じる事態が回避される。したがって、連結部25dによって連結された凹部25bよりもサーボアドレスマーク領域Am側に配置されている各凹部25bが磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される検出信号S1が、サーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークであるとの誤った検出が生じる事態が回避される。
【0079】
一方、磁気ディスク10Bの回転に伴い、上記の長さL3bの凸部25aが磁気ヘッド3の下方を通過した際には、制御部6は、この長さL3bの凸部25aの通過時に検出部4aから出力された検出信号S1に基づき、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと判別する。この際に、制御部6は、その検出信号S1以降に検出部4aから出力される検出信号S1が磁気ディスク10Bにおけるサーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークや、その後にアドレスパターン領域Aaから読み出されるアドレスパターンに対応するサーボデータと認識して、制御用データDに基づき、磁気ヘッド3を所望のトラックにオントラックさせるためのトラッキングサーボ制御を実行する。
【0080】
このように、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、磁気ディスク10Bにおける第2の領域(半径方向に沿って長い凹部25bが凸部25aを挟んでピッチPbで配置された領域:この例では、プリアンブルパターン領域Ap)に回転方向で隣接して上記の第2の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に、回転方向の長さがプリアンブルパターン領域Ap内の凸部25a(第3の記録領域)における対応する同一パターン半径位置の回転方向の長さL2bよりも長い長さL3bの凸部25a(第4の非記録領域)を設けたことにより、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域As内の各凹部25bの形成ピッチを十分に小さくして磁気ディスク10Bを製造するときに、凹部形成用パターンEpの描画に際して磁気ディスク10Bにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の各凸部25aに対応する部位の電子ビームEBの照射量が不足し、これに起因して、プリアンブルパターン領域Ap内の複数の凹部25bが連結部25dを介して連結された状態となったとしても、この連結部25dを介して凹部25bが連結されている部位(回転方向において連続する凹部25bの回転方向の長さが1つの凹部25bの回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0081】
また、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、制御部6が、磁気ヘッド3によって上記の長さL3bの凸部25aに対応するサーボデータが読み出されたときにサーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別することにより、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域Ap内の凹部25bの形成ピッチを十分に小さくすることで複数の凹部25bが連結部25dによって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域Asから各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。
【0082】
さらに、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、プリアンブルパターン領域Apに対して回転方向において隣接し、かつプリアンブルパターン領域Ap内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、プリアンブルパターン領域Apに続いて設けられたサーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に上記の長さL3bの凸部25aを設けたことにより、プリアンブルパターン領域Apから遠く離れた位置に本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aを設けた構成とは異なり、その製造時に連結部25dが生じ易いプリアンブルパターン用の凸部25aおよび凹部25bが回転方向において並んでいる領域(プリアンブルパターン領域Ap)と、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aとの間にサーボデータを記録した凸部25aおよび凹部25bが存在しないため、プリアンブルパターン用の凹部25bが凸部25aを挟んでピッチPbで配置されている領域(プリアンブルパターン領域Ap)に続いてサーボデータが記録されている領域(この例では、サーボアドレスマーク領域Am)からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0083】
また、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さL3bを同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凹部25bの形成ピッチ(ピッチPb)以上の長さ(この例では、長さL3b=ピッチPb)としたことにより、例えば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さがプリアンブルパターン用の凸部25aの長さL2bよりも僅かに長い構成の磁気ディスクと比較して、磁気ヘッド3の下方を第4の記録領域に相当する凸部25aが通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第4の記録領域に相当する凸部25aが磁気ヘッド3の下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この磁気ディスク10Bおよびハードディスクドライブ1によれば、連結部25dを介して凹部25bが連結されている部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0084】
さらに、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さL3bを対応する同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凸部25aの回転方向の長さL2bのN倍(この例では、N=2倍)の長さとしたことにより、例えば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さL3bをプリアンブルパターン用の凸部25aの同一パターン半径位置における回転方向の長さL2bに対して自然数以外の倍率(例えば、1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域Asからサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域Asの全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この磁気ディスク10Bおよびハードディスクドライブ1によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データDを不要とできる分だけハードディスクドライブ1の製造コストを十分に低減することができる。
【0085】
なお、本発明は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置(プリアンブルパターン領域Apに隣接して設けられたサーボアドレスマーク領域Amにおける最もプリアンブルパターン領域Ap側の位置)に本発明における第2の非記録領域に相当する長さL3aの凹部25bを設けた磁気ディスク10A、および、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置(プリアンブルパターン領域Apに隣接して設けられたサーボアドレスマーク領域Amにおける最もプリアンブルパターン領域Ap側の位置)に本発明における第4の記録領域に相当する長さL3bの凸部25aを設けた磁気ディスク10Bを例に挙げて説明したが、本発明における第2の非記録領域や第4の記録領域を設ける位置はこれに限定されない。例えば、プリアンブルパターン領域においてサーボデータの読み出しが最後に実行される位置に第2の非記録領域や第4の記録領域を設ける位置を規定する構成(第2の非記録領域や第4の記録領域をプリアンブルパターンの一部とする構成)を採用することができる。また、プリアンブルパターン領域と、プリアンブルパターン領域に続いて設けられる他のサーボパターンの領域(例えばサーボアドレスマーク領域)との間に第2の非記録領域や第4の記録領域を設ける位置を規定する構成を採用することもできる。
【0086】
このような構成を採用した場合においても、上記の磁気ディスク10A,10B、および磁気ディスク10A,10Bを備えたハードディスクドライブ1と同様にして、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域内の各凸部の形成ピッチ、または凹部の形成ピッチを十分に小さくして磁気ディスクを製造するときに、凹部形成用パターンの描画に際して磁気ディスクにおけるプリアンブルパターン領域内の各凹部に対応する部位、または、プリアンブルパターン領域内の各凸部に対応する部位に対する電子ビームEBの照射量が不足し、これに起因して、プリアンブルパターン領域内の複数の凸部または複数の凹部が連結部を介して連結された状態となったとしても、この連結部を介して凸部または凹部が連結されている部位が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0087】
また、凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s)における各凸部25aの突端部側から基端部までの全体を磁性層14(磁性材料)で形成した磁気ディスク10A,10Bを例に挙げて説明したが、本発明に係る情報記録媒体の構成はこれに限定されない。具体的には、例えば、突端部側が磁性層14で構成されると共に基端部側が中間層13や軟磁性層12で構成された凸部と、その底面が中間層13や軟磁性層12の厚み内に形成された凹部とを有する凹凸パターン(図示せず)で上記のデータトラックパターン25tおよびサーボパターン25sを構成することもできる。また、各凸部だけでなく、各凹部の底部を含めて磁性層14で形成した凹凸パターン(図示せず)によってデータトラックパターン25tおよびサーボパターン25sを構成することもできる。
【0088】
さらに、例えば、ガラス基板等に形成した凹凸パターン(凹凸パターン25と凹凸の位置関係が同様の凹凸パターン)を覆うようにして薄厚の磁性層14を形成することにより、その表面が磁性材料で形成された複数の凸部と底面が磁性材料で形成された複数の凹部とによって凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s:図示せず)を構成することができる。また、ガラス基板等に形成した凹凸パターンの凸部における突端部だけが磁性層14で形成されて基端部側が非磁性材料または軟磁性材料で形成された複数の凸部を備えて凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s:図示せず)を構成することもできる。さらに、ガラス基板等に形成した凹凸パターンの凸部における突端部だけでなく、凹部の底面にも磁性層14を形成して(凸部の側面を除いて磁性層14を形成して)凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s図示せず)を構成することができる。
【0089】
さらに、非磁性材料の層に形成した凹凸パターンの凹部内に上記の磁性層14を構成する磁性材料を埋め込むことで非磁性材料の層における凸部の部位を非記録領域(磁気ディスク10A等における凹部25bに対応する領域)とし、凹部内に埋め込まれた磁性材料の部位を記録領域(磁気ディスク10A等における凸部25aに対応する領域)として磁気ディスクを構成することもできる(図示せず)。また、電子ビームEBの照射によって描画した凹部形成用パターンEpを使用して製造したスタンパーを用いてインプリント処理を実行し、形成したマスクパターンを使用したエッチング処理によって磁気ディスク10A,10Bを製造する例について説明したが、本発明に係る情報記録媒体は、エッチング処理によって製造したものに限定されない。具体的には、一例として、凹部形成用パターンEpを使用して製造したスタンパーを用いてインプリント処理を実行して磁性層の上にマスクパターンを形成し、そのマスクパターンを使用したイオンの照射処理や反応性ガスによる反応処理等を実行して、磁性層においてマスクパターンから露出している部位を選択的に変質させる。このような処理により、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が周囲よりも低い領域、または、その能力を実質的に有しない領域を形成し、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が高い領域を記録領域とし、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が低い領域を非記録領域として磁気ディスクを構成することもできる(図示せず)。
【0090】
また、単位時間当たりに磁気ヘッド3の下方を通過させられる長さに比例して、回転方向に沿ったデータトラックパターン領域Atの長さ、および回転方向に沿ったサーボパターン領域Asの長さがデータトラックパターン25tの中心Oから離間するほど長くなるように(データトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asがその内周側領域よりも外周側領域ほど幅広となるように)規定した磁気ディスク10A,10Bについて説明したが、本発明に係る情報記録媒体の構成はこれに限定されない。例えば、図22に示す磁気ディスク10Cでは、データトラックパターンの中心Oを中心とする複数(この例では4つ)の環状領域Ac1〜Ac4(以下、区別しないときには、「環状領域Ac」ともいう)に区分けされて、各環状領域Ac毎にサーボパターン領域Asやデータトラックパターン領域Atが規定されている。この磁気ディスク10Cでは、各環状領域Ac2〜Ac4において、その環状領域Acにおける内周側の回転方向に沿った長さがその環状領域Acの内周側の環状領域Acにおける外周側の回転方向に沿った長さよりも短くなっている。また、この磁気ディスク10Cでは、各環状領域Ac内において、単位時間当たりに磁気ヘッド3の下方を通過させられる長さに比例して、回転方向に沿ったサーボパターン領域Asの長さが中心Oから離間するほど長くなるように(内周側から外周側に向かって徐々に長くなるように)規定されている。なお、同図における矢印Rb1は、磁気ディスク10Cの半径方向を示し、矢印Rc1は、磁気ディスク10Cの内周および外周間を前述した磁気ヘッド3が移動する際に描く円弧状の軌跡と一致する線分を示している。
【0091】
この場合、その最内周から最外周に向かってサーボパターン領域Asの回転方向に沿った長さが徐々に長くなっている上記の磁気ディスク10A,10Bでは、プリアンブルパターン領域Ap内の凸部25aや凹部25bの回転方向に沿った長さが外周側ほど徐々に長くなっている。このため、この磁気ディスク10A,10Bを製造するための上記の各スタンパーの製造時に描画する凹部形成用パターンEpでは、現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向に沿った長さが外周側ほど徐々に長くなっている。したがって、磁気ディスク10A,10Bを製造するための凹部形成用パターンEpの描画時には、その外周側においては、上記の連結部25c,25dが形成される原因となっている電子ビームEBの照射不足が生じる事態が回避される可能性がある。
【0092】
これに対して、上記の磁気ディスク10Cでは、環状領域Ac1よりも外周側の環状領域Ac2〜Ac4において、サーボパターン領域Asの回転方向に沿った長さが磁気ディスク10A,10Bのサーボパターン領域Asにおける対応するパターン半径位置よりも短くなっている。このため、この磁気ディスク10Cを製造するためのスタンパーの製造時に描画する凹部形成用パターンでは、現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向に沿った長さが外周側の環状領域Ac2〜Ac4においても短くなる。したがって、この磁気ディスク10Cを製造するための凹部形成用パターンの描画時には、その外周側においても、電子ビームEBの照射不足が生じる部位が発生し、これに起因して、上記の連結部25c,25dと同様の連結部がプリアンブルパターン領域Ap内に形成されるおそれがある。このため、この磁気ディスク10Cに対して本願発明を適用することにより、その外周側において、プリアンブルパターン領域Ap内に連結部が形成されていたとしても、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 ハードディスクドライブ
3 磁気ヘッド
4a 検出部
5 ドライバ
6 制御部
7 記憶部
10A〜10C 磁気ディスク
14 磁性層
15 非磁性材料
25 凹凸パターン
25a 凸部
25b 凹部
25c,25d 連結部
25s サーボパターン
25t データトラックパターン
Ac,Ac1〜Ac4 環状領域
Am サーボアドレスマーク領域
Ap プリアンブルパターン領域
As サーボパターン領域
At データトラックパターン領域
D 制御用データ
L11a,L11b,L1a〜L3a,L1b〜L3b,L4a,L5a 長さ
Pa,Pb,Pe ピッチ
S0 出力信号
S1 検出信号
S2〜S4 制御信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成されている情報記録媒体、およびその情報記録媒体を備えた記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の情報記録媒体として、磁性体の有無によってサーボパターン部が物理的に形成されたパターンドディスク媒体(以下、「磁気ディスク」ともいう)、およびその磁気ディスクを備えた磁気ディスクドライブが特開2006−40354号公報に開示されている。この磁気ディスクの製造に際しては、まず、パターン描画処理、現像処理および電鋳処理等をこの順で実行してスタンパーを製作し、次いで、スタンパーを用いたインプリント処理によってエッチング処理用のマスクを形成して、磁気ディスク製造用の中間体をエッチングする。
【0003】
具体的には、まず、レジストが塗布された原盤(スタンパー製作用の基板)を電子線露光装置にセットして、磁気ディスクにおける非磁性化部位に対応する領域(磁気ディスクの磁性層に形成する凹凸パターンにおける凹部に対応する領域)に対して電子ビームを照射する。これにより、原盤上のレジスト層に凹部形成用パターンが描画される。次いで、レジスト層に対する凹部形成用パターンの描画が完了した原盤を現像処理して電子ビームの照射部位のレジスト層を原盤上から除去する。これにより、除去された部位が凹部となって、レジスト層に凹凸パターンが形成される。続いて、形成した凹凸パターンをマスクとして用いたエッチング処理によって原盤に凹凸パターンを形成する。次いで、凹凸パターンの形成が完了した原盤を導電化処理した後に電鋳処理することにより、原盤の凹凸パターンを電鋳材料(ニッケル)に転写する。この後、原盤からニッケルの層を剥離して所定形状に打ち抜く(切断する)ことにより、ディスク状のニッケルスタンパーが完成する。
【0004】
次いで、磁気ディスク製造用の中間体、および製作したスタンパーをインプリント装置にセットして、中間体の上に形成されたレジスト層にスタンパーの凹凸パターンを転写する。続いて、凹凸パターンを転写したレジストをマスク(ガード層)として中間体における磁性層をイオンミリング処理する。この際には、マスクとしてのレジストの層から露出している部位(凹凸パターンにおける凹部の底面)において磁性層が除去されて、所望の凹凸パターンが磁性層に形成される。次いで、マスクとしてのレジストを除去した後に、非磁性材料をスパッタする。次いで、この非磁性材料の層から磁性層の表面が露出するまで非磁性材料の層を逆スパッタする。これにより、磁気ディスクの表面が平坦化される。この後、DLC保護層の形成処理、および潤滑用ルブの塗布処理を順次実行することにより、磁気ディスクが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−40354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、発明者は、従来の磁気ディスクにおいて以下の課題を見出した。具体的には、図23に示すように、従来の磁気ディスク10xでは、複数の凸部25axおよび複数の凹部25bxによってそのサーボパターン領域Asx内にサーボパターンが形成されている。この場合、従来の磁気ディスク10xにおけるサーボパターン領域Asxのプリアンブルパターン領域Apxには、磁気ディスク10xの回転方向(矢印R1xの向き)の長さが互いに等しく、かつ、磁気ディスク10xの半径方向(同図における上下方向)に沿って長い複数の凸部25ax、が凹部25bxを挟んでピッチPxで設けられている。また、従来の磁気ディスク10xにおけるサーボパターン領域Asxのサーボアドレスマーク領域Amxには、磁気ディスク10xの回転方向に沿った長さや半径方向に沿った長さが相違する各種形状の凸部25axおよび凹部25bxが設けられている。
【0007】
一方、情報記録媒体に対する小型化および高密度記録化の要望に応えるべく、今日の磁気ディスクには、上記の凸部25axや凹部25bxの回転方向における形成ピッチ(上記の例におけるピッチPxなど)を一層小さくする必要が生じている。したがって、そのような磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製作時においては、上記の凸部25axや凹部25bxに対応する領域の回転方向におけるピッチを一層小さくする必要が生じる。そこで、図24に示すように、発明者は、磁気ディスクにおけるプリアンブルパターン領域に形成すべき凹部の形成ピッチ(製作するスタンパーにおける凸部の形成ピッチ)に応じた小さなピッチPezで原盤上のレジスト層に電子ビームを照射して、凹部形成用パターンEpzを描画した。以下、発明者が本願発明に想到する際に実験的に製作した磁気ディスクやスタンパーに関連する構成要素について、符号の末尾に「z」を付して説明する。
【0008】
この場合、前述したように、原盤上のレジスト層に形成した凹凸パターンをマスクとして用いて原盤をエッチング処理するときには、原盤だけでなく、マスクとしてのレジスト層(凹凸パターンの凸部)もエッチングされる。したがって、マスクパターンとしての凹凸パターンの凸部がエッチング処理の進行に応じて徐々に細くなる(回転方向に沿った長さや半径方向に沿った長さが短くなる)ため、所望の幅の凹部(所望の開口長の凹部)を原盤に形成するには、原盤上のレジスト層に形成する凹凸パターンの凸部の幅(長さ)をある程度太く(長く)しておく必要がある。また、上記の凹部形成用パターンEpzの描画が完了した後に、前述したように、現像処理によって電子ビームの照射部位を原盤上から除去して原盤上に凹凸パターン(マスクパターン)を形成したときに、その凹凸パターンにおける凸部の幅が狭い(凸部における磁気ディスクの回転方向に対応する向きの長さが短い)ときには、現像処理が完了してから、エッチング処理によって原盤に凹凸パターンを形成するまでの間において、凸部の破損または消失が生じて原盤をエッチング処理するためのマスクとして十分に機能しなくなるおそれもある。したがって、この種の磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時における上記の凹部形成用パターンEpzの描画に際しては、電子ビームの照射領域の長さL4z(磁気ディスクにおける回転方向に対応する向きの長さ)を十分に短くして、現像処理後に形成される凸部の回転方向に沿った長さが過剰に短くなる事態を回避する必要がある。
【0009】
このため、発明者が上記の凹部形成用パターンEpzを描画した際には、同図に矢印Z1zで示すように、磁気ディスク10z(図25参照)のサーボパターン領域Aszにおけるプリアンブルパターン領域Apzの凹部25bzに対応して電子ビームを本来的に照射すべき部位に対する電子ビームの照射量が不足して、この部位においてレジスト層が十分に露光されない事態を招くことがあった。この場合、発明者は、同図に示すように、十分に露光されない部位が存在する凹部形成用パターンEpzを現像処理してマスクパターンとしての凹凸パターンを形成してスタンパーを製作したときには、図25,26において矢印Z2zで示すように、そのスタンパーを用いたインプリント処理によって製造される磁気ディスク10zにおけるプリアンブルパターン領域Apzの一部において、ピッチPzで並ぶ複数の凸部25az(半径方向に沿って長い凸部25az)が、回転方向において凸部25azによって連結された状態となるのを見出した。
【0010】
したがって、スタンパーの製造に際して電子ビームを照射するピッチPezを十分に小さくしつつ、マスクとして十分に機能する十分な長さの凸部を形成しようとしたときには、そのような方法に従って製造したスタンパーを用いて製造した磁気ディスク10zにおいて、凸部25azが回転方向において長さL11zに亘って連続している部位がプリアンブルパターン領域Apz内に生じることとなる。この場合、図25に示すように、プリアンブルパターン領域Apz内の各凸部25azは、その回転方向(矢印R1zの向き)に沿った長さL1zが互いに等しくなっている。これに対して、サーボアドレスマーク領域Amz内の各凸部25azは、その回転方向に沿った長さが長さL1zだけでなく、長さL1zの2倍の長さL3zや、長さL1zの3倍の長さ(図示せず)などの各種長さとなっている。このため、上記のようにプリアンブルパターン領域Apz内に長さL11zの凸部25azが形成された磁気ディスク10zでは、この長さL11zの凸部25azが、サーボアドレスマーク領域Amz内の例えば長さL3zの凸部25azであると誤って検出されて、正確なトラッキングサーボ制御が困難となるおそれがある。
【0011】
具体的には、プリアンブルパターン領域Apz内に回転方向の長さが長さL11zの凸部25azが形成されている上記の磁気ディスク10zでは、記録再生時において、磁気ディスク10zの回転に伴って磁気ヘッドの下方を長さL11zの凸部25azが通過した際に磁気ヘッドから出力される信号に基づき、制御部が、サーボアドレスマーク領域Amzからのサーボデータの読み出しが開始された(プリアンブルパターン領域Apzからのサーボデータの読み出しが終了した)と誤って判別することがある。このような誤判別が生じたときには、長さL11zの凸部25azの隣に形成されている矢印Z3z,Z4zで示す凸部25azが磁気ヘッドの下方を通過した際に出力される信号が、本来はプリアンブルパターン領域Apzから読み出されたプリアンブル信号の一部であるにも拘わらず、サーボアドレスマーク領域Amzから読み出されたサーボアドレスマークの一部と誤って認識され、結果として、サーボデータの読み出しエラーが生じることとなる。
【0012】
このように、発明者は、磁気ディスクを製造する際に、サーボパターン領域Asz内の各サーボパターン(プリアンブルパターン領域Apz内のプリアンブルパターン)を構成する各凸部25azの形成ピッチを十分に小さくしようとしたときに、そのような磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製作時に凹部形成用パターンEpzを描画する際に電子ビームの照射量(すなわち、レジストの露光量)が不十分となる部位が生じることに起因して、別個独立して形成されているべき凸部25azが回転方向において連結された状態となることがあるのを見出した。このため、磁気ディスクの高密度記録化を図るにあたり、サーボパターン領域Aszからのサーボデータの読み出しが困難となって、トラッキングサーボ制御エラーが発生することがあるという問題が生じる。
【0013】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、サーボデータの正確な読み出しを可能としつつ高密度記録化を図り得る情報記録媒体、および、その情報記録媒体を備えた記録再生装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく本発明に係る情報記録媒体は、サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第1の記録領域が第1の非記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第1の領域が設けられると共に、当該第1の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第1の記録領域を連結する第2の記録領域が設けられ、前記第1の領域に前記回転方向で隣接して当該第1の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第2の非記録領域が設けられ、当該第2の非記録領域は、当該回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長くなっている。
【0015】
この場合、本明細書では、情報記録媒体に対する記録データの記録再生時に磁気ヘッドの下方をサーボパターン領域が通過しているときに読み出されるデータ(すなわち、サーボパターン領域内の記録領域および非記録領域に対応するデータ)がすべて「サーボデータ」と定義する。また、本明細書における「記録領域」とは、「記録された磁気的信号を読み出し可能に保持するように構成された領域(つまり磁気的信号を読み出し可能に保持する能力を有するように構成された領域)」を意味する。また、本明細書における「非記録領域」とは、「磁気的信号を読み出し可能に保持する上記の能力が記録領域の能力よりも低くなるように構成された領域、または、その能力を実質的に有しないように構成された領域」を意味する。具体的には、本明細書における「非記録領域」とは、「磁気的信号を記録した状態において、その領域から発生する磁界が上記の記録領域よりも小さい領域、または、その領域から発生する磁界が実質的には存在しない領域」を意味する。さらに、本明細書における「第1の領域」は、プリアンブルパターン領域内に所定のピッチで配置されている各第1の記録領域のうちの回転方向における一方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最初にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第1の記録領域の位置から回転方向における他方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最後にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第1の記録領域の位置までの半径方向に沿って長い領域とする。
【0016】
また、本発明における記録再生装置は、上記の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている。
【0017】
この情報記録媒体および記録再生装置では、情報記録媒体における第1の領域に回転方向で隣接して第1の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置に第2の非記録領域を設けている。したがって、この情報記録媒体および記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域内の各記録領域の形成ピッチを十分に小さくして情報記録媒体を製造するときに、スタンパーを製造するための凹部形成用パターンの描画に際して情報記録媒体における第1の領域内の第1の非記録領域に対応する部位の描画用ビーム(電子ビーム等)の照射量が不足し、これに起因して、第1の領域内の複数の第1の記録領域が第2の記録領域を介して連結された状態となったとしても、この第2の記録領域を介して第1の記録領域が連結されている部位(第1の領域内で回転方向において連続する記録領域の回転方向の長さが1つの第1の記録領域の回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0018】
さらに、本発明における記録再生装置は、上記の記録再生装置において、前記制御部が、前記磁気ヘッドによって前記第2の非記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する。したがって、この記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域内の記録領域の形成ピッチを十分に小さくすることで複数の第1の記録領域が第2の記録領域によって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域から各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。この場合、上記の「第2の非記録領域に対応するサーボデータが読み出されたとき」には、「第2の非記録領域に対応するサーボデータを含む複数のサーボデータが読み出されたとき」がこれに含まれるものとする。具体的には、第2の非記録領域に対応するサーボデータと、第2の非記録領域と並んで形成されている記録領域や非記録領域にそれぞれ対応するサーボデータとが読み出されたときに、第2の非記録領域に対応するサーボデータが読み出された時点の直前にプリアンブルデータの読み出しが終了していたと判別する構成がこれに含まれる。
【0019】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第2の非記録領域が、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている。したがって、この情報記録媒体によれば、プリアンブルパターン領域から遠く離れた位置に第2の非記録領域を設ける構成とは異なり、その製造時に第1の記録領域を連結する第2の記録領域が生じ易いプリアンブルパターン領域と第2の非記録領域との間にサーボデータを記録した記録領域および非記録領域が存在しないため、プリアンブルパターン用の記録領域および非記録領域が配置されている領域(プリアンブルパターン領域)に続いてサーボデータが記録されている領域からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0020】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、前記第2の非記録領域における前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第2の非記録領域の回転方向の長さが第1の非記録領域の回転方向の長さよりも僅かに長い構成の情報記録媒体と比較して、磁気ヘッドの下方を第2の非記録領域が通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第2の非記録領域が磁気ヘッドの下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この情報記録媒体によれば、第2の記録領域を介して第1の記録領域が連結されている部位が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0021】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第2の非記録領域における前記回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第2の非記録領域の回転方向の長さをプリアンブルパターン用の第1の非記録領域の同一パターン半径位置における回転方向の長さに対して自然数以外の倍率(例えば1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域からサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域の全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この情報記録媒体によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データを不要とできる分だけ、この情報記録媒体を搭載する記録再生装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0022】
また、本発明に係る情報記録媒体は、サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第3の非記録領域が第3の記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第2の領域が設けられると共に、当該第2の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第3の非記録領域を連結する第4の非記録領域が設けられ、前記第2の領域に前記回転方向で隣接して当該第2の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第4の記録領域が設けられ、当該第4の記録領域は、当該回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長くなっている。
【0023】
この場合、本明細書における「第2の領域」は、プリアンブルパターン領域内に所定のピッチで配置されている各第3の非記録領域のうちの回転方向における一方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最初にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第3の非記録領域の位置から回転方向における他方の端部(一例として、プリアンブルパターン領域からのサーボデータの読み出し時に最後にサーボデータが読み出される側の端部)の側の第3の非記録領域の位置までの半径方向に沿って長い領域とする。
【0024】
また、本発明における記録再生装置は、上記の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている。
【0025】
この情報記録媒体および記録再生装置では、情報記録媒体における第2の領域に回転方向で隣接して第2の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置に第4の記録領域を設けている。したがって、この情報記録媒体および記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域内の各非記録領域の形成ピッチを十分に小さくして情報記録媒体を製造するときに、スタンパーを製造するための凹部形成用パターンの描画に際して情報記録媒体における第2の領域内の第3の記録領域に対応する部位の描画用ビーム(電子ビーム等)の照射量が不足し、これに起因して、第2の領域内の複数の第3の非記録領域が第4の非記録領域を介して連結された状態となったとしても、この第4の非記録領域を介して第3の非記録領域が連結されている部位(第2の領域内で回転方向において連続する非記録領域の回転方向の長さが1つの第3の非記録領域の回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0026】
さらに、本発明における記録再生装置は、上記の記録再生装置において、前記制御部が、前記磁気ヘッドによって前記第4の記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する。したがって、この記録再生装置によれば、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域内の非記録領域の形成ピッチを十分に小さくすることで複数の第3の非記録領域が第4の非記録領域によって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域から各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。この場合、上記の「第4の記録領域に対応するサーボデータが読み出されたとき」には、「第4の記録領域に対応するサーボデータを含む複数のサーボデータが読み出されたとき」がこれに含まれるものとする。具体的には、第4の記録領域に対応するサーボデータと、第4の記録領域と並んで形成されている非記録領域や記録領域にそれぞれ対応するサーボデータとが読み出されたときに、第4の記録領域に対応するサーボデータが読み出された時点の直前にプリアンブルデータの読み出しが終了していたと判別する構成がこれに含まれる。
【0027】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第4の記録領域が、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている。したがって、この情報記録媒体によれば、プリアンブルパターン領域から遠く離れた位置に第4の記録領域を設けた構成とは異なり、その製造時に第3の非記録領域を連結する第4の非記録領域が生じ易いプリアンブルパターン領域と第4の記録領域との間にサーボデータを記録した記録領域および非記録領域が存在しないため、プリアンブルパターン用の記録領域および非記録領域が配置されている領域(プリアンブルパターン領域)に続いてサーボデータが記録されている領域からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0028】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、前記第4の記録領域における前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第4の記録領域の回転方向の長さが第3の記録領域の回転方向の長さよりも僅かに長い構成の情報記録媒体と比較して、磁気ヘッドの下方を第4の記録領域が通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第4の記録領域が磁気ヘッドの下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この情報記録媒体によれば、第4の非記録領域を介して第3の非記録領域が連結されている部位が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0029】
また、本発明に係る情報記録媒体は、前記第4の記録領域における前記回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている。したがって、この情報記録媒体によれば、例えば、第4の記録領域の回転方向の長さをプリアンブルパターン用の第3の記録領域の同一パターン半径位置における回転方向の長さに対して自然数以外の倍率(例えば、1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域からサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域の全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この情報記録媒体によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データを不要とできる分だけ、この情報記録媒体を搭載する記録再生装置の製造コストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るハードディスクドライブの構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る磁気ディスクの断面図である。
【図3】本発明に係る磁気ディスクの平面図である。
【図4】本発明に係る磁気ディスクにおけるデータトラックパターン領域およびサーボパターン領域の平面図である。
【図5】本発明に係る磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図6】本発明に係る磁気ディスクを製造するための原盤の断面図である。
【図7】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーを製造するための凹部形成用パターンの一例を示すパターン図である。
【図8】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてB1マスク形成層に対する凹部形成用パターンの描画が完了した状態の原盤の断面図である。
【図9】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時において凹部形成用パターンの描画処理を完了したB1マスク形成層を現像処理した原盤の断面図である。
【図10】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてB1マスク形成層をマスクとして用いてA1マスク形成層をエッチング処理した状態の原盤の断面図である。
【図11】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてA1マスク形成層をマスクとして用いてシリコン基板をエッチング処理した状態の原盤の断面図である。
【図12】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時において凹凸パターンを覆うようにしてニッケル層を形成した状態のシリコン基板の断面図である。
【図13】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてニッケル層を電極として用いた電鋳処理によってニッケル層を形成した状態のシリコン基板の断面図である。
【図14】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのマスタースタンパーの断面図である。
【図15】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてマスタースタンパーの凹凸パターンを両スタンパー形成用材料に転写して剥離することでマザースタンパーを製作した状態のスタンパーの断面図である。
【図16】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのスタンパーの製造時においてマザースタンパーを用いた射出成形処理によってチャイルドスタンパーを製作した状態の両スタンパーの断面図である。
【図17】本発明に係る磁気ディスクを製造するためのチャイルドスタンパーおよび中間体の断面図である。
【図18】本発明に係る磁気ディスクの製造時においてインプリント処理の完了後に中間体のB2マスク形成層からチャイルドスタンパーを剥離した状態の断面図である。
【図19】本発明に係る磁気ディスクの製造時においてインプリント処理によって形成したB2マスク形成層をマスクとして用いてA2マスク形成層をエッチング処理した状態の断面図である。
【図20】本発明に係る磁気ディスクの製造時において凹凸パターンが形成されたA2マスク形成層をマスクとして用いて磁性層をエッチング処理した状態の断面図である。
【図21】本発明に係る他の磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図22】本発明に係るさらに他の磁気ディスクの平面図である。
【図23】従来の磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図24】発明者が磁気ディスクの製造に際して描画した凹部形成用パターンの一例を示す平面図である。
【図25】発明者が製造した磁気ディスクにおけるサーボパターン領域の平面図である。
【図26】発明者が製造した磁気ディスクにおけるサーボパターン領域のプリアンブルパターン領域の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る情報記録媒体および記録再生装置の最良の形態について説明する。
【0032】
最初に、本発明に係る記録再生装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0033】
図1に示すハードディスクドライブ1は、本発明に係る記録再生装置の一例であって、モータ2、コントローラ2a、一組の磁気ヘッド3,3、検出部4a、電源部4b、ドライバ5、制御部6、記憶部7および磁気ディスク10Aを備えて、各種データの記録再生が可能に構成されている。なお、ハードディスクドライブ1は、実際には、複数枚の磁気ディスク10Aを備えると共に、各磁気ディスク10A毎に一組の磁気ヘッド3,3が配設されて構成されているが、本発明についての理解を容易とするために、1枚の磁気ディスク10Aと、この磁気ディスク10Aに対する記録データの記録再生を実行するための一組の磁気ヘッド3,3を備えているものとして、以下に説明する。この場合、磁気ディスク10Aは、本発明に係る情報記録媒体の一例である両面記録型のディスクリートトラック媒体(パターンド媒体の一例)であって、図3に示すように、全体として円板状に形成されて、モータ2の回転軸に取り付けられている。
【0034】
モータ2は、制御部6の制御に従って磁気ディスク10Aを一例として4200rpmの回転数で定速回転させる。また、コントローラ2aは、制御部6から出力された制御信号S4に従ってモータ2を回転させる。磁気ヘッド3,3は、一方の磁気ヘッド3が磁気ディスク10Aの一方の面(同図における上面)に対向配置されてスイングアーム3aを介してアクチュエータ3bに取り付けられると共に、他方の磁気ヘッド3が磁気ディスク10Aの他方の面(同図における下面)に対向配置されてスイングアーム3aを介してアクチュエータ3bに取り付けられている。この場合、両磁気ヘッド3,3は、磁気ディスク10Aに対する記録データの記録再生時においてアクチュエータ3bによってスイングアーム3a,3aが回動させられることで磁気ディスク10A上を移動させられる。また、磁気ヘッド3は、磁気ディスク10Aのサーボパターン領域As(図3,4参照)からのサーボ信号の読み出しと、データトラックパターン領域At(図3,4参照)に対する記録データの磁気的な書き込みと、データトラックパターン領域Atに磁気的に書き込まれている記録データの読み出しとを実行する。
【0035】
なお、磁気ヘッド3は、実際には磁気ディスク10Aに対して磁気ヘッド3を浮上させるためのスライダの底面(エアベアリング面)に記録素子と再生素子とが形成されて構成されているが、スライダ、記録素子および再生素子等についての説明および図示を省略する。アクチュエータ3bは、制御部6の制御下でドライバ5から供給される駆動電流によってスイングアーム3aをスイングさせることにより、磁気ヘッド3を磁気ディスク10A上の任意の記録再生位置に移動させる。検出部4aは、磁気ヘッド3によって出力された出力信号S0(アナログ信号:サーボ信号)からサーボデータを抽出して検出信号S1を生成し、生成した検出信号S1を制御部6に出力する。電源部4bは、磁気ディスク10Aに対する記録データの記録時において、制御部6から出力された制御信号S2に従い、所定の周期で電位を反転させた交流電圧を磁気ヘッド3に供給する。ドライバ5は、制御部6から出力された制御信号S3に従ってアクチュエータ3bを制御することで磁気ヘッド3を所望のデータ記録トラックにオントラックさせる。
【0036】
制御部6は、本発明における制御部の一例であって、ハードディスクドライブ1を総括的に制御する。また、制御部6は、検出部4aから出力された検出信号(サーボデータ)S1と、記憶部7に記憶されている制御用データDとに基づいて、コントローラ2a、電源部4bおよびドライバ5を制御する(トラッキングサーボ制御処理および記録データの記録再生処理の実行)。記憶部7は、上記の制御用データDなどを記憶する。
【0037】
一方、磁気ディスク10Aは、モータ2や磁気ヘッド3などと共にハードディスクドライブ1の筐体内に配設されている。この磁気ディスク10Aは、図2に示すように、軟磁性層12、中間層13および磁性層14がガラス基板11の表裏両面にこの順でそれぞれ形成されて、一例として、垂直記録方式による記録データの記録が可能に構成されている。なお、同図では、ガラス基板11の一方の面側のみを図示している。この場合、磁性層14は、一例として、基端部から突端部側まで磁性材料で形成された複数の凸部25aと、隣り合う凸部25aの間の凹部25bとが形成されて凹凸パターン25を構成する。また、凹凸パターン25の各凹部25b内には、SiO2、C(炭素)、Si、Ge、非磁性金属材料および樹脂材料等の非磁性材料15が埋め込まれ、これにより、磁気ディスク10Aの表面が平坦化されている。
【0038】
この場合、この磁気ディスク10Aでは、凸部25aの形成領域が本発明における記録領域に相当し、凹部25bの形成領域が本発明における非記録領域に相当する。また、この磁気ディスク10Aでは、各凹部25b内に埋め込まれた(隣り合う凸部25a,25aの間に埋め込まれた)非磁性材料15、および磁性層14(凸部25a)の表面を覆うようにして、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等によって厚みが4nm程度の保護層16(DLC膜)がその表裏両面にそれぞれ形成されている。また、両保護層16の表面には、磁気ヘッド3および磁気ディスク10Aの双方の傷付きを回避するための潤滑剤がそれぞれ塗布されている。
【0039】
ガラス基板11は、一例として、ガラス板を表面研磨して厚みが0.6mm程度の円板状に形成されている。なお、磁気ディスク10Aを形成する際に使用する基材は、ガラス基板に限定されず、アルミニウムやセラミックなどの各種非磁性材料で円板状に形成した基材を使用することができる。軟磁性層12は、CoZrNb合金などの軟磁性材料をスパッタリングすることによって厚みが20nm〜200nm程度の薄膜状に形成されている。中間層13は、磁性層14を形成するための下地層として機能する層であって、Ru、CrおよびCoCr非磁性合金などの中間層形成用材料をスパッタリングすることによって厚みが5nm〜40nm程度の薄膜状に形成されている。磁性層14は、前述したように、凹凸パターン25(図4に示すデータトラックパターン25tおよびサーボパターン25s)を構成する層であって、例えばCoCrPt合金をスパッタリングした層に対してエッチング処理することによって各凹部25bが形成されている。
【0040】
この場合、図3,4に示すように、この磁気ディスク10Aでは、各データトラックパターン領域Atの間にサーボパターン領域Asが規定されてデータトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asが磁気ディスク10Aの回転方向(矢印R1の向き)において交互に並ぶように規定されている。なお、本明細書では、回転方向において並ぶ2つのデータトラックパターン領域Atによって挟まれた領域(1つのデータトラックパターン領域Atにおける回転方向に対して下流側の端部から、他の1つのデータトラックパターン領域Atにおける回転方向に対して上流側の端部までの間の領域)をサーボパターン領域Asとする。また、データトラックパターン領域Atにおける回転方向側の端部は、そのデータトラックパターン領域に形成された複数のデータ記録トラック(各凸部25a)における回転方向側の各端部を連結した仮想線分(磁気ディスク10Aの半径方向に沿った直線状または円弧状の線分)と一致しているものとする。
【0041】
また、この磁気ディスク10Aを搭載したハードディスクドライブ1では、前述したように、モータ2が制御部6の制御に従って磁気ディスク10Aを角速度一定で回転させるように構成されている。したがって、図3に示すように、この磁気ディスク10Aでは、単位時間当たりに磁気ヘッド3の下方を通過させられる磁気ディスク10A上の長さに比例して、磁気ディスク10Aの回転方向に沿ったデータトラックパターン領域Atの長さ、および回転方向に沿ったサーボパターン領域Asの長さがデータトラックパターン25tの中心Oから離間するほど長くなるように(データトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asがその内周側領域よりも外周側領域ほど幅広となるように)規定されている。この結果、データトラックパターン領域At内に形成されたデータ記録トラック(凸部25a)における突端面の回転方向に沿った長さや、サーボパターン領域As内に形成されたサーボパターン25s用の各凸部25aにおける突端面の回転方向に沿った基準の長さ、およびサーボパターン25s用の各凹部25bの回転方向に沿った基準の開口長(隣り合う2つの凸部25aにおける両突端面において対向する端部の間の長さ:例えば、単位信号長に対応する長さ)は、磁気ディスク10Aの内周側領域よりも外周側領域ほど長くなっている。
【0042】
また、図4に示すように、データトラックパターン領域Atには、データトラックパターン25tが形成されている。なお、同図では、凹凸パターン25における凸部25aの形成部位(本発明における記録領域)を斜線で塗り潰して図示している。この場合、データトラックパターン領域At内のデータトラックパターン25tは、所定の配列ピッチで互いに分割された同心円状(または、螺旋状)の数多くのデータ記録用トラックを構成する複数の凸部25a(磁気ディスク10Aの回転方向に沿って連続的に形成されて回転方向に長い帯状の凸部25a)と、ガードバンド部を構成する複数の凹部25b(各凸部25aの間の凹部25b:トラック間凹部)とを備えて構成されている。また、データトラックパターン領域At内の各凸部25aおよび各凹部25bは、その形成ピッチ(すなわち、データ記録トラックのトラックピッチ)や、磁気ディスク10Aにおける半径方向の長さ(すなわち、データ記録トラックやガードバンド部の半径方向の長さ)が磁気ディスク10Aの内周部から外周部までの全域において互いにほぼ等しくなるように形成されている。
【0043】
一方、サーボパターン領域Asには、複数の領域が回転方向において並んで規定されて、各領域内にトラッキングサーボ制御用の各種サーボパターンを構成する複数の凸部25aおよび複数の凹部25bを有する凹凸パターン25(サーボパターン25s)が形成されている。具体的には、図4に示すように、サーボパターン領域As内には、サーボパターン25sによってプリアンブルパターンが形成されたプリアンブルパターン領域Apと、サーボパターン25sによってサーボアドレスマーク(サーボアドレスマークパターン)が形成されたサーボアドレスマーク領域Amと、サーボパターン25sによってアドレスパターンが形成されたアドレスパターン領域Aaと、サーボパターン25sによってバーストパターンが形成されたバーストパターン領域Abとが回転方向においてこの順で並んで規定されている。なお、上記のサーボパターン25sでは、実際には、磁気ディスク10Aの内周側領域や外周側領域において各凸部25aや各凹部25bにスキュー角が付与されているが、本発明についての理解を容易とするために、このスキュー角についての説明および図示を省略する。
【0044】
プリアンブルパターン領域Apには、サーボアドレスマーク領域Amやアドレスパターン領域Aaなどから各種制御信号を読み取るための基準クロックを磁気ディスク10Aの回転状態(回転速度)に応じて補正したり、サーボデータやユーザデータ(データ記録用トラックに記録された記録データ)の出力のゲインを調整したりするためのプリアンブルパターンが形成されている。この場合、この磁気ディスク10Aでは、プリアンブルパターン領域Apの全域が本発明における第1の領域で構成されて、プリアンブルパターン領域Apの回転方向における一端部から他端部までの間にサーボデータとしてのプリアンブル信号に対応させて凸部25aおよび凹部25bが交互に配設されている。具体的には、図4,5に示すように、プリアンブルパターン領域Apには、磁気ディスク10Aの半径方向(両図における上下方向:図3に示す矢印Rb1の方向)に沿って長い帯状の複数の凸部25a(本発明における第1の記録領域の一例)が凹部25b(本発明における第1の非記録領域の一例)を挟んでピッチPa(本発明における所定のピッチの一例)で配設されている。なお、プリアンブルパターン領域Ap内の上記の各凸部25a(本発明における第1の記録領域)は、実際には、磁気ディスク10Aの内周および外周間を上記の磁気ヘッド3が移動する際に描く円弧状の軌跡(図3に矢印Rc1で示す円弧状の線分)に沿って長い帯状(本発明における「半径方向に沿って長い」との状態の一例)に形成されている。
【0045】
この場合、図5に示すように、プリアンブルパターンを構成するプリアンブルパターン領域Ap内のサーボパターン25sでは、一例として、データトラックパターン25tの中心O(図3参照)からの距離が15mmの部位(本発明におけるパターン半径位置の一例)において、凸部25aの回転方向のピッチPa(本発明における「所定のピッチ」)が110nmで、凸部25aの回転方向に沿った長さL1aがサーボデータにおける「1」に対応して55nmで、凹部25bの回転方向に沿った長さL2aがサーボデータにおける「0」に対応して55nmとなるように規定されている。なお、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凸部25aの上記のピッチPaは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しく、かつ磁気ディスク10Aの内周側領域よりも磁気ディスク10Aの外周側領域側の方が大きくなるように規定されている。また、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凸部25aの上記の長さL1aは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Aの内周側領域よりも磁気ディスク10Aの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。同様にして、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凹部25bの上記の長さL2aは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Aの内周側領域よりも磁気ディスク10Aの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。
【0046】
また、この磁気ディスク10Aでは、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部まで、上記の長さL1aの凸部25aおよび長さL2aの凹部25bが交互に並んで形成されて、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部には、本発明における第1の記録領域に相当する上記の長さL1aの凸部25aが形成されている。さらに、この磁気ディスク10Aでは、プリアンブルパターン領域Ap内の各凸部25aが上記のように非常に狭いピッチPaで形成されている。このため、この磁気ディスク10Aでは、後述するようにして、その製造時において、プリアンブルパターン領域Ap内の一部において、回転方向で隣り合う凸部25a,25aを回転方向において連結するようにして、凸部25a(本発明における第2の記録領域の一例)によって連結部25cが形成されている。この場合、上記したように、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における凸部25aの長さL1aが55nmで凹部25bの長さL2aが55nmであるため、中心Oからの距離が15mmの部位に上記の連結部25cが形成されている場合には、凸部25aが回転方向に沿って連続する長さL11aが165nmとなる。
【0047】
サーボアドレスマーク領域Amには、アドレスパターンの読み取り開始位置を特定するためのサーボアドレスマークが形成されている。また、この磁気ディスク10Aでは、サーボアドレスマーク領域Amにおける先頭領域(回転方向におけるプリアンブルパターン領域Ap側の端部:本発明における「プリアンブルパターン領域内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置」の一例)に本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bが形成されて、この凹部25bによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと認識させる構成が採用されている。この場合、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bは、一例として、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における長さL3aが上記のピッチPaと等しく、かつ、上記のプリアンブルパターン領域Ap内の凹部25bの長さL2aの2倍である110nm(本発明における「N倍」が「2倍」の構成の例)となるように規定されている。
【0048】
アドレスパターン領域Aaには、図4に示すように、磁気ヘッド3がオントラックしているトラックのトラック番号や、磁気ヘッド3が位置しているセクタのセクタ番号等を示すアドレスデータに対応するアドレスパターンが凸部25aおよび凹部25bを有する凹凸パターン25によって形成されている。また、バーストパターン領域Abには、磁気ディスク10A上における磁気ヘッド3の位置を補正するためのバースト信号を得るためのバーストパターン(位置検出用のサーボパターン)が凸部25aおよび凹部25bを有する凹凸パターン25によって形成されている。
【0049】
次に、磁気ディスク10Aの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0050】
上記の磁気ディスク10Aの製造に際しては、まず、インプリント処理用のスタンパー60(図17参照)を製造する。具体的には、図6に示すように、まず、一例として、シリコン基板31の一面にニッケルをスパッタリングすることにより、厚み7nmのA1マスク形成層32を形成して原盤30を製作する。次いで、ベーク処理後の厚みが60nm程度となるように電子線描画用レジスト(ポジ型レジスト)をスピンコートすることによってA1マスク形成層32の上(原盤30の上)にB1マスク形成層(樹脂層:レジスト層)33を形成した後に、形成したB1マスク形成層33に対してベーク処理を実行する。次いで、B1マスク形成層33の形成面を上向きにして原盤30をパターン描画装置(図示せず)にセットすると共に、図8に示すように、原盤30を回転させつつ、B1マスク形成層33に対して電子ビームEBを照射することにより、凹部形成用パターンEp(図7参照)をB1マスク形成層33に描画する。
【0051】
なお、図7に示す矢印R2は、凹部形成用パターンEpの描画時における原盤30の回転方向を示すと共に、磁気ディスク10Aにおける回転方向に対応する向きを示している。この場合、上記の凹部形成用パターンEpは、図14に示すマスタースタンパーとしてのスタンパー40の凹凸パターン45における各凸部45aの平面パターンであって、上記の磁気ディスク10Aにおけるデータトラックパターンの凹部25bや、サーボパターンにおける各凹部25bに対応する平面パターンとなっている。また、図7に示すように、B1マスク形成層33に凹部形成用パターンEpを描画する際には、磁気ディスク10Aにおけるプリアンブルパターン領域Apに対応するパターン描画領域Aepにおいて、プリアンブルパターンを構成する上記の長さL2aの凹部25bに対応して、後述する現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向(矢印R2の向き)に沿った長さL4aを規定し、かつ、そのピッチPeを磁気ディスク10Aにおける上記のピッチPaに対応させて電子ビームEBを照射する。
【0052】
この場合、磁気ディスク10A等を製造するための凹部形成用パターンEpの描画に際しては、前述したように、電子ビームEBの照射領域の長さL4aを十分に短くして、現像処理後にB1マスク形成層33に形成される凸部の回転方向に沿った長さが過剰に短くなる事態を回避する必要がある。このため、図7に矢印Z1で示すように、サーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Apの各凹部25bに対応して電子ビームを本来的に照射すべき部位に対する電子ビームEBの照射量が不足して、この部位においてB1マスク形成層33が十分に露光されない事態を招くこととなる。なお、発明者らは、上記のピッチPeを150nm以下としたときに、矢印Z1で示すようにパターン描画領域Aep内においてB1マスク形成層33が十分に露光されない部位が生じるのを見出した。一方、磁気ディスク10Aにおけるサーボアドレスマーク領域Amに対応するパターン描画領域Aemにおける上記のパターン描画領域Aepに隣接する部位においては、サーボアドレスマークを構成する長さL3aの凹部25bに対応して、現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向に沿った長さL5aを規定して電子ビームEBを照射する。
【0053】
次いで、凹部形成用パターンEpの描画が完了したB1マスク形成層33に対する現像処理を実行する。これにより、パターン描画装置による凹部形成用パターンEpの描画処理時に電子ビームEBの照射量がレジスト層の消失レベルに達した消失領域においてA1マスク形成層32上からB1マスク形成層33が除去されて、図9に示すように、上記の消失領域に凹部35bが形成されてA1マスク形成層32(原盤30)の上に凹凸パターン35が形成される。この場合、上記の凹部形成用パターンEpの描画時において、磁気ディスク10Aにおけるプリアンブルパターン領域Apに対応するパターン描画領域Aep内に電子ビームEBの照射が不足した部位(図7に矢印Z1で示す部位)は、現像処理時にA1マスク形成層32上から本来的には消失すべきであるが、A1マスク形成層32上に残存した状態(図示せず)となる。したがって、電子ビームEBの照射が不足した部位(本来は凹部35bが形成されるべき部位)に凸部35aが形成される。次いで、現像処理が完了した原盤30に対してリンス処理を実行した後にスピン乾燥処理を実行する。
【0054】
続いて、乾燥処理が完了したB1マスク形成層33(凹凸パターン35の各凸部35a)をマスクとして用いてエッチング処理を実行することにより、各凹部35bの底面においてB1マスク形成層33から露出しているA1マスク形成層32をシリコン基板31上から除去する。これにより、図10に示すように、A1マスク形成層32に凹部36bが形成されてシリコン基板31上に凹凸パターン36が形成される。次いで、A1マスク形成層32(凹凸パターン36の各凸部36a)をマスクとして用いてエッチング処理を実行することにより、各凹部36bの底面においてA1マスク形成層32から露出しているシリコン基板31のA1マスク形成層32側の一部を除去する。これにより、図11に示すように、シリコン基板31に凹部37bが形成されて、シリコン基板31に凹凸パターン37が形成される。なお、同図では、エッチング処理の完了後にシリコン基板31(凹凸パターン37の各凸部37a)上に残存していたA1マスク形成層32を除去した状態を図示している。
【0055】
続いて、図12に示すように、凹凸パターン37の表面に例えば蒸着処理によってニッケル層(導電層)41を形成した後に、図13に示すように、このニッケル層41を電極として用いて電解メッキ処理(電鋳処理)を実行してニッケル層42を形成する。この際には、シリコン基板31に形成された凹凸パターン37がニッケル層41,42を構成するニッケルに転写されて、上記の凹部形成用パターンEpにおける電子ビームEBの照射領域に対応する複数の凸部45aが形成される。次いで、シリコン基板31からニッケル層41,22の積層体を剥離することにより、図14に示すように、マスタースタンパーとしてのスタンパー40が完成する。なお、このスタンパー40を用いたインプリント処理によって磁気ディスク10Aを製造することもできるが、高価なスタンパー40を使用することで磁気ディスク10Aの製造コストが高騰するおそれがある。したがって、以下に説明する手順に従ってスタンパー40の凹凸パターン45を他のスタンパー形成材料に転写することで、1枚のスタンパー40から複数枚のスタンパーを製作する。
【0056】
具体的には、一例として、スタンパー40を電極として用いて電解メッキ処理(電鋳処理)を実行してニッケル層51(図15参照)を形成する。この際には、スタンパー40の凹凸パターン45が金属材料(この例では、ニッケル)に転写されて、凹凸パターン45における各凹部45bに対応する複数の凸部55aと、凹凸パターン45における各凸部45aに対応する複数の凹部55bとが形成される。次いで、スタンパー40からニッケル層51を剥離することにより、図15に示すように、マザースタンパーとしてのスタンパー50が完成する。次いで、スタンパー50を用いた射出成形処理を実行する。この際には、スタンパー50の凹凸パターン55が樹脂材料61(図16参照)に転写されて、凹凸パターン55における各凹部55bに対応する複数の凸部65aと、凹凸パターン55における各凸部55aに対応する複数の凹部65bとが形成される。次いで、スタンパー50から樹脂材料61を剥離することにより、図16に示すように、チャイルドスタンパーとしてのスタンパー60が完成する。この際に、1枚のスタンパー50から複数枚のスタンパー60を製作することにより、このスタンパー60を用いて製造する磁気ディスク10Aの製造コストを十分に低減することができる。
【0057】
次いで、製造したスタンパー60を用いて磁気ディスク10Aを製造する。この際には、一例として、まず、磁気ディスク10Aを製造するための中間体80(図17参照)と、スタンパー60とをインプリント装置にセットする。この場合、図17に示すように、中間体80は、一例として、軟磁性層12、中間層13および磁性層14がガラス基板11の上にこの順で形成されると共に、磁性層14を覆うようにしてA2マスク形成層81(一例として、金属マスク層)およびB2マスク形成層82(一例として、樹脂マスク層)がこの順で形成されている。次いで、中間体80のB2マスク形成層82にスタンパー60の凹凸パターン65を押し付けることによってB2マスク形成層82に凹凸パターン65を転写した後に(インプリント法の実行)、図18に示すように、中間体80からスタンパー60を剥離する。この際には、スタンパー60の凹凸パターン65における各凸部65aに対応して中間体80のB2マスク形成層82に複数の凹部85bが形成されると共に、凹凸パターン65における各凹部65bに対応してB2マスク形成層82に複数の凸部85aが形成されてA2マスク形成層81の上に樹脂マスクパターンとしての凹凸パターン85が形成される。
【0058】
次いで、B2マスク形成層82に転写された凹凸パターン85における各凹部85bの底面に残存している樹脂材料をエッチング処理によって除去した後に、凹凸パターン85をマスクとして用いてA2マスク形成層81に対するエッチング処理を実行する。これにより、図19に示すように、B2マスク形成層82に転写した凹凸パターン85における各凸部85aに対応する複数の凸部86aと、凹凸パターン85における各凹部85bに対応する複数の凹部86bとを有する凹凸パターン86がA2マスク形成層81に形成される。続いて、凹凸パターン86をマスクとして用いて磁性層14に対するエッチング処理を実行する。これにより、図20に示すように、A2マスク形成層81に形成した凹凸パターン86における各凸部86aに対応する複数の凸部25aと、凹凸パターン86における各凹部86bに対応する複数の凹部25bとを有する凹凸パターン25が磁性層14に形成される。なお、同図では、エッチング処理の完了後に磁性層14(凹凸パターン25の各凸部25a)上に残存していたA2マスク形成層81を除去した状態を図示している。
【0059】
この後、凹凸パターン25を覆うようにして十分な厚みの非磁性材料15を形成した後に、非磁性材料15の層に対するエッチング処理を実行することによって非磁性材料15の層から各凸部25aの突端面を露出させる(図示せず)。これにより、中間体80の表面が平坦化される。次いで、各凸部25aの突端面、および各凹部25bに埋め込まれた非磁性材料15の表面を覆うようにして保護層16を形成した後に、保護層16の表面に潤滑剤を塗布する。続いて、一例として、直流磁化装置を用いて磁気ディスク10Aに対して厚み方向で貫通する向きの磁界を印加することにより、各凸部25aを直流磁化する。これにより、図2に示すように、磁気ディスク10Aが完成する。この後、完成した磁気ディスク10Aを磁気ヘッド3などと共に筐体内に配設することにより、ハードディスクドライブ1が完成する。
【0060】
上記の磁気ディスク10Aを搭載したハードディスクドライブ1では、制御部6が、磁気ヘッド3を介して読み出されるサーボデータと、記憶部7内の制御用データDに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する。具体的には、制御部6は、コントローラ2aを制御して磁気ディスク10Aを角速度一定の条件で回転させると共に、ドライバ5を制御してアクチュエータ3bを駆動させて磁気ヘッド3を磁気ディスク10A上の任意の半径位置に移動させる。この際に、検出部4aは、磁気ヘッド3から出力される出力信号S0(サーボ信号)からサーボデータを抽出して検出信号S1を生成し、生成した検出信号S1を制御部6に出力する。また、制御部6は、検出部4aから出力された検出信号S1(サーボデータ)と、記憶部7に記憶されている制御用データDとに基づき、磁気ヘッド3を所定のトラックにオントラックさせるようにトラッキングサーボ制御を実行する。
【0061】
この際に、制御部6は、磁気ヘッド3の下方を磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Ap(本発明における第1の領域)が通過している際に検出部4aから出力される検出信号S1(プリアンブル信号)に基づき、サーボアドレスマーク領域Amやアドレスパターン領域Aaなどから各種制御信号を読み取るための基準クロックを磁気ディスク10Aの回転状態(回転速度)に応じて補正すると共にサーボデータやユーザデータの出力のゲインを調整する。この場合、制御部6は、サーボアドレスマーク領域Amに形成されている上記の長さL3aの凹部25bに対応する検出信号S1が検出部4aから出力されるまでは、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了していないとして検出部4aから出力される検出信号S1に基づいて、上記の基準クロックの補正を継続して実行する。
【0062】
したがって、前述したように、磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Ap内に連結部25cによって回転方向において連結された複数の凸部25aが存在して、結果として、回転方向の長さが例えば長さL11aの凸部25aがプリアンブルパターン領域Ap内に存在したとしても、この部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される信号(この例では、プリアンブルパターン領域Ap内の1つの凸部25aに対応する検出信号S1に対する3倍の長さの検出信号S1)に基づいて、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したとの誤判別が生じる事態が回避される。したがって、連結部25cによって連結された凸部25aよりもサーボアドレスマーク領域Am側に配置されている各凸部25aが磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される検出信号S1が、サーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークであるとの誤った検出が生じる事態が回避される。
【0063】
一方、磁気ディスク10Aの回転に伴い、上記の長さL3aの凹部25bが磁気ヘッド3の下方を通過した際には、制御部6は、この長さL3aの凹部25bの通過時に検出部4aから出力された検出信号S1に基づき、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと判別する。この際に、制御部6は、その検出信号S1以降に検出部4aから出力される検出信号S1が磁気ディスク10Aにおけるサーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークや、その後にアドレスパターン領域Aaから読み出されるアドレスパターンに対応するサーボデータと認識して、制御用データDに基づき、磁気ヘッド3を所望のトラックにオントラックさせるためのトラッキングサーボ制御を実行する。
【0064】
このように、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、磁気ディスク10Aにおける第1の領域(半径方向に沿って長い凸部25aが凹部25bを挟んでピッチPaで配置された領域:この例では、プリアンブルパターン領域Ap)に回転方向で隣接して上記の第1の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に、回転方向の長さがプリアンブルパターン領域Ap内の凹部25b(第1の非記録領域)における対応する同一パターン半径位置の回転方向の長さL2aよりも長い長さL3aの凹部25b(第2の非記録領域)を設けたことにより、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域As内の各凸部25aの形成ピッチを十分に小さくして磁気ディスク10Aを製造するときに、凹部形成用パターンEpの描画に際して磁気ディスク10Aにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の各凹部25bに対応する部位の電子ビームEBの照射量が不足し、これに起因して、プリアンブルパターン領域Ap内の複数の凸部25aが連結部25cを介して連結された状態となったとしても、この連結部25cを介して凸部25aが連結されている部位(回転方向において連続する凸部25aの回転方向の長さが1つの凸部25aの回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0065】
また、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、制御部6が、磁気ヘッド3によって上記の長さL3aの凹部25bに対応するサーボデータが読み出されたときにサーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別することにより、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域Ap内の凸部25aの形成ピッチを十分に小さくすることで複数の凸部25aが連結部25cによって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域Asから各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。
【0066】
さらに、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、プリアンブルパターン領域Apに対して回転方向において隣接し、かつプリアンブルパターン領域Ap内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、プリアンブルパターン領域Apに続いて設けられたサーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に上記の長さL3aの凹部25bを設けたことにより、プリアンブルパターン領域Apから遠く離れた位置に本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bを設ける構成とは異なり、その製造時に連結部25cが生じ易いプリアンブルパターン用の凸部25aおよび凹部25bが回転方向において並んでいる領域(プリアンブルパターン領域Ap)と、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bとの間にサーボデータを記録した凸部25aおよび凹部25bが存在しないため、プリアンブルパターン用の凸部25aが凹部25bを挟んでピッチPaで配置されている領域(プリアンブルパターン領域Ap)に続いてサーボデータが記録されている領域(この例では、サーボアドレスマーク領域Am)からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0067】
また、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さL3aを同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凸部25aの形成ピッチ(ピッチPa)以上の長さ(この例では、長さL3a=ピッチPa)としたことにより、例えば、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さがプリアンブルパターン用の凹部25bの長さL2aよりも僅かに長い構成の磁気ディスクと比較して、磁気ヘッド3の下方を第2の非記録領域に相当する凹部25bが通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第2の非記録領域に相当する凹部25bが磁気ヘッド3の下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この磁気ディスク10Aおよびハードディスクドライブ1によれば、連結部25cを介して凸部25aが連結されている部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0068】
さらに、この磁気ディスク10A、および磁気ディスク10Aを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さL3aを対応する同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凹部25bの回転方向の長さL2aのN倍(この例では、N=2倍)の長さとしたことにより、本発明における第2の非記録領域に相当する凹部25bの回転方向の長さL3aをプリアンブルパターン用の凹部25bの同一パターン半径位置における回転方向の長さL2aに対して自然数以外の倍率(例えば1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域Asからサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域Asの全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この磁気ディスク10Aおよびハードディスクドライブ1によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データDを不要とできる分だけハードディスクドライブ1の製造コストを十分に低減することができる。
【0069】
次に、本発明に係る情報記録媒体および記録再生装置の他の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、前述した磁気ディスク10Aおよびハードディスクドライブ1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0070】
図1〜4,21に示す磁気ディスク10Bは、本発明に係る情報記録媒体の他の一例であって、前述した磁気ディスク10Aとほぼ同様の製造方法に従って製造されている。この磁気ディスク10Bでは、前述した磁気ディスク10Aと同様にして、凸部25aの形成領域が本発明における記録領域に相当し、凹部25bの形成領域が本発明における非記録領域に相当する。また、この磁気ディスク10Bでは、一例として、サーボパターン領域Asにおけるプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amの2つの領域において、各凸部25aの形成位置と、各凹部25bの形成位置とが前述した磁気ディスク10Aとは反転している。具体的には、磁気ディスク10Bでは、前述した磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amにおいて凸部25aが形成されている部位に凹部25bが形成され、磁気ディスク10Aのプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amにおいて凹部25bが形成されている部位に凸部25aが形成されている。なお、本発明におけるサーボパターンの配列の一例について説明するための図4では、本発明についての理解を容易にするために、磁気ディスク10A,10Bにおける凸部25aおよび凹部25bの上記のような形成位置の相違を考慮せずに図示している。
【0071】
この場合、この磁気ディスク10Bでは、プリアンブルパターン領域Apの全域が本発明における第2の領域で構成されて、プリアンブルパターン領域Apの回転方向における一端部から他端部までの間にサーボデータとしてのプリアンブル信号に対応させて凸部25aおよび凹部25bが交互に配設されている。具体的には、この磁気ディスク10Bにおけるプリアンブルパターン領域Apには、磁気ディスク10Bの半径方向(両図における上下方向:図3に示す矢印Rb1の方向)に沿って長い帯状の複数の凹部25b(本発明における第3の非記録領域の一例)が凸部25a(本発明における第3の記録領域の一例)を挟んでピッチPb(本発明における所定のピッチの一例)で配設されている。なお、プリアンブルパターン領域Ap内の上記の各凹部25b(本発明における第3の非記録領域)は、実際には、磁気ディスク10Bの内周および外周間を前述した磁気ヘッド3が移動する際に描く円弧状の軌跡(図3に矢印Rc1で示す円弧状の線分)に沿って長い帯状(本発明における「半径方向に沿って長い」との状態の一例)に形成されている。
【0072】
この場合、プリアンブルパターンを構成するサーボパターン25sでは、一例として、データトラックパターン25tの中心O(図3参照)からの距離が15mmの部位(本発明におけるパターン半径位置)において、凹部25bの回転方向のピッチPb(本発明における「所定のピッチ」)が110nmで、凹部25bの回転方向に沿った長さL1bがサーボデータにおける「0」に対応して55nmで、凸部25aの回転方向に沿った長さL2bがサーボデータにおける「1」に対応して55nmとなるように規定されている。なお、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凹部25bの上記のピッチPbは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しく、かつ磁気ディスク10Bの内周側領域よりも磁気ディスク10Bの外周側領域側の方が大きくなるように規定されている。また、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凹部25bの上記の長さL1bは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Bの内周側領域よりも磁気ディスク10Bの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。同様にして、プリアンブルパターン領域Apに形成された各凸部25aの上記の長さL2bは、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が等しい同一パターン半径位置において互いに等しい長さで、かつ磁気ディスク10Bの内周側領域よりも磁気ディスク10Bの外周側領域側の方が長くなるように規定されている。
【0073】
また、この磁気ディスク10Bでは、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部まで、上記の長さL1bの凹部25bおよび長さL2bの凸部25aが交互に並んで形成されて、プリアンブルパターン領域Apにおけるサーボアドレスマーク領域Am側の端部には、本発明における第3の非記録領域に相当する上記の長さL1bの凹部25bが形成されている。さらに、この磁気ディスク10Bでは、プリアンブルパターン領域Ap内の各凹部25bが上記のように非常に狭いピッチPbで形成されている。このため、この磁気ディスク10Bでは、後述するようにして、その製造時において、プリアンブルパターン領域Ap内の一部において、回転方向で隣り合う凹部25b,25bを回転方向において連結するようにして、凹部25b(本発明における第4の非記録領域の一例)によって連結部25dが形成されている。この場合、上記したように、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における凹部25bの長さL1bが55nmで凸部25aの長さL2bが55nmであるため、中心Oからの距離が15mmの部位に上記の連結部25dが形成されている場合には、凹部25bが回転方向に沿って連続する長さL11bが165nmとなる。
【0074】
また、この磁気ディスク10Bでは、前述したように、磁気ディスク10Aのサーボアドレスマーク領域Am内において凸部25aが形成されている部位に凹部25bが形成され、磁気ディスク10Aのサーボアドレスマーク領域Am内において凹部25bが形成されている部位に凸部25aが形成されている。したがって、この磁気ディスク10Bでは、前述した磁気ディスク10Aにおける長さL3aの凹部25bに代えて、サーボアドレスマーク領域Amにおける先頭領域(回転方向におけるプリアンブルパターン領域Ap側の端部:本発明における「プリアンブルパターン領域内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置」の一例)に本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aが形成されて、この凸部25aによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと認識させる構成が採用されている。なお、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aは、一例として、データトラックパターン25tの中心Oからの距離が15mmの部位における長さL3bが上記のピッチPbと等しく、かつ、上記のプリアンブルパターン領域Ap内の凸部25aの長さL2bの2倍である110nm(本発明における「N倍」が「2倍」の構成の例)となるように規定されている。
【0075】
この磁気ディスク10Bの製造に際しては、一例として、前述した磁気ディスク10Aの製造に際して製作したスタンパー60と同様のチャイルドスタンパー(図示せず)を金属材料(例えばニッケル)で製作し、このチャイルドスタンパーを用いた射出成形によって、原盤30上のB1マスク形成層33にマスクパターンを形成するためのインプリント用のスタンパーを製作する。この場合、上記したように、磁気ディスク10Bでは、そのプリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amの2つの領域において凸部25aおよび凹部25bの形成位置が上記の磁気ディスク10Aとは反転している。また、凹凸パターン37が形成された状態のシリコン基板31から数えて、奇数回のパターン転写処理を実行して製造するこの磁気ディスク10Bの製造に際しては、スタンパーの製作時に最初に描画する凹部形成用パターンEp(図示せず)において、凹凸パターン25における凸部25aに対応する領域に電子ビームEBを照射することとなる。したがって、この磁気ディスク10Bを製造するためのスタンパーの製作時に描画する凹部形成用パターンEpでは、プリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Amの2つの領域に対応する領域において前述した磁気ディスク10A用の凹部形成用パターンEpと電子ビームEBの照射位置が一致し、プリアンブルパターン領域Apおよびサーボアドレスマーク領域Am以外のサーボパターン領域As、並びにデータトラックパターン領域Atに対応する領域において前述した磁気ディスク10A用の凹部形成用パターンEpとは電子ビームEBの照射位置が相違する。
【0076】
この場合、上記したように、磁気ディスク10Bにおける凹部25bの形成ピッチ(ピッチPb)が、磁気ディスク10Aにおける凸部25aの形成ピッチ(ピッチPa)と同様に非常に小さいため、この磁気ディスク10Bを製造するためのスタンパーの製作時に描画する凹部形成用パターンEpにおいても、図7に矢印Z1で示す部位と同様にして、磁気ディスク10Bにおけるプリアンブルパターン用の凸部25aに対応する位置において、電子ビームEBの照射量が不足する事態が生じる。したがって、その凹部形成用パターンEpを用いて製作したインプリント処理用樹脂スタンパーでは、上記の磁気ディスク10Aを製作するためのスタンパー60(インプリント処理用樹脂スタンパー)とは異なり、その樹脂スタンパーにおけるプリアンブルパターン形成用の凸部が回転方向で連結されるといった欠陥が生じることとなる。このため、上記したように、この磁気ディスク10Bには、そのような欠陥が生じたスタンパーを使用してインプリント処理を実行することに起因して、プリアンブルパターン領域Ap内の回転方向において隣り合う複数の凹部25bが連結部25dを介して連結された状態(凸部25aが形成されるべき位置に凹部25bが形成された状態)となる。なお、この磁気ディスク10Bの製造方法については、スタンパーの製造時に描画する凹部形成用パターンEpや、これによって製造されるスタンパーが相違するだけで、前述した磁気ディスク10Aの製造方法と同様のため、図示および詳細な説明を省略する。
【0077】
この磁気ディスク10Bを搭載したハードディスクドライブ1では、制御部6は、磁気ヘッド3の下方を磁気ディスク10Bのプリアンブルパターン領域Ap(本発明における第2の領域)が通過している際に検出部4aから出力される検出信号S1(プリアンブル信号)に基づき、サーボアドレスマーク領域Amやアドレスパターン領域Aaなどから各種制御信号を読み取るための基準クロックを磁気ディスク10Bの回転状態(回転速度)に応じて補正すると共にサーボデータやユーザデータの出力のゲインを調整する。この場合、制御部6は、サーボアドレスマーク領域Amに形成されている上記の長さL3bの凸部25aに対応する検出信号S1が検出部4aから出力されるまでは、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了していないとして検出部4aから出力される検出信号S1に基づいて、上記の基準クロックの補正を継続して実行する。
【0078】
したがって、前述したように、磁気ディスク10Bのプリアンブルパターン領域Ap内に連結部25dによって回転方向において連結された複数の凹部25bが存在して、結果として、回転方向の長さが長さL11bの凹部25bがプリアンブルパターン領域Ap内に存在したとしても、この部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される信号(この例では、プリアンブルパターン領域Ap内の1つの凹部25bに対応する検出信号S1に対する3倍の長さの検出信号S1)に基づいて、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したとの誤判別が生じる事態が回避される。したがって、連結部25dによって連結された凹部25bよりもサーボアドレスマーク領域Am側に配置されている各凹部25bが磁気ヘッド3の下方を通過した際に検出部4aから出力される検出信号S1が、サーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークであるとの誤った検出が生じる事態が回避される。
【0079】
一方、磁気ディスク10Bの回転に伴い、上記の長さL3bの凸部25aが磁気ヘッド3の下方を通過した際には、制御部6は、この長さL3bの凸部25aの通過時に検出部4aから出力された検出信号S1に基づき、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと判別する。この際に、制御部6は、その検出信号S1以降に検出部4aから出力される検出信号S1が磁気ディスク10Bにおけるサーボアドレスマーク領域Amから読み出されたサーボアドレスマークや、その後にアドレスパターン領域Aaから読み出されるアドレスパターンに対応するサーボデータと認識して、制御用データDに基づき、磁気ヘッド3を所望のトラックにオントラックさせるためのトラッキングサーボ制御を実行する。
【0080】
このように、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、磁気ディスク10Bにおける第2の領域(半径方向に沿って長い凹部25bが凸部25aを挟んでピッチPbで配置された領域:この例では、プリアンブルパターン領域Ap)に回転方向で隣接して上記の第2の領域に続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に、回転方向の長さがプリアンブルパターン領域Ap内の凸部25a(第3の記録領域)における対応する同一パターン半径位置の回転方向の長さL2bよりも長い長さL3bの凸部25a(第4の非記録領域)を設けたことにより、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域As内の各凹部25bの形成ピッチを十分に小さくして磁気ディスク10Bを製造するときに、凹部形成用パターンEpの描画に際して磁気ディスク10Bにおけるプリアンブルパターン領域Ap内の各凸部25aに対応する部位の電子ビームEBの照射量が不足し、これに起因して、プリアンブルパターン領域Ap内の複数の凹部25bが連結部25dを介して連結された状態となったとしても、この連結部25dを介して凹部25bが連結されている部位(回転方向において連続する凹部25bの回転方向の長さが1つの凹部25bの回転方向の長さよりも長くなっている部位)が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0081】
また、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、制御部6が、磁気ヘッド3によって上記の長さL3bの凸部25aに対応するサーボデータが読み出されたときにサーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別することにより、高密度記録化を図るべく、プリアンブルパターン領域Ap内の凹部25bの形成ピッチを十分に小さくすることで複数の凹部25bが連結部25dによって連結された状態となったとしても、サーボパターン領域Asから各種サーボデータを正確に読み出すことができる結果、トラッキングサーボ制御エラーが生じる事態を確実に回避することができる。
【0082】
さらに、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、プリアンブルパターン領域Apに対して回転方向において隣接し、かつプリアンブルパターン領域Ap内のサーボデータに続いてサーボデータの読み出しが実行される位置(この例では、プリアンブルパターン領域Apに続いて設けられたサーボアドレスマーク領域Amの先頭位置)に上記の長さL3bの凸部25aを設けたことにより、プリアンブルパターン領域Apから遠く離れた位置に本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aを設けた構成とは異なり、その製造時に連結部25dが生じ易いプリアンブルパターン用の凸部25aおよび凹部25bが回転方向において並んでいる領域(プリアンブルパターン領域Ap)と、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aとの間にサーボデータを記録した凸部25aおよび凹部25bが存在しないため、プリアンブルパターン用の凹部25bが凸部25aを挟んでピッチPbで配置されている領域(プリアンブルパターン領域Ap)に続いてサーボデータが記録されている領域(この例では、サーボアドレスマーク領域Am)からサーボデータを確実に読み出すことができる。
【0083】
また、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さL3bを同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凹部25bの形成ピッチ(ピッチPb)以上の長さ(この例では、長さL3b=ピッチPb)としたことにより、例えば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さがプリアンブルパターン用の凸部25aの長さL2bよりも僅かに長い構成の磁気ディスクと比較して、磁気ヘッド3の下方を第4の記録領域に相当する凸部25aが通過するのに要する時間が十分に長くなるため、第4の記録領域に相当する凸部25aが磁気ヘッド3の下方を通過した際の信号を確実に検出することができる。これにより、この磁気ディスク10Bおよびハードディスクドライブ1によれば、連結部25dを介して凹部25bが連結されている部位が磁気ヘッド3の下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を確実に回避することができる。
【0084】
さらに、この磁気ディスク10B、および磁気ディスク10Bを備えたハードディスクドライブ1によれば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さL3bを対応する同一パターン半径位置におけるプリアンブルパターン用の凸部25aの回転方向の長さL2bのN倍(この例では、N=2倍)の長さとしたことにより、例えば、本発明における第4の記録領域に相当する凸部25aの回転方向の長さL3bをプリアンブルパターン用の凸部25aの同一パターン半径位置における回転方向の長さL2bに対して自然数以外の倍率(例えば、1.5倍)の長さとした構成とは異なり、サーボパターン領域Asからサーボデータを読み出すための基準クロックを複数種類切り替えて使用することなく、サーボパターン領域Asの全域からサーボデータを読み出すことができる。これにより、この磁気ディスク10Bおよびハードディスクドライブ1によれば、トラッキングサーボ制御を容易に実行することができるだけでなく、複雑なデータ構造の制御用データDを不要とできる分だけハードディスクドライブ1の製造コストを十分に低減することができる。
【0085】
なお、本発明は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置(プリアンブルパターン領域Apに隣接して設けられたサーボアドレスマーク領域Amにおける最もプリアンブルパターン領域Ap側の位置)に本発明における第2の非記録領域に相当する長さL3aの凹部25bを設けた磁気ディスク10A、および、サーボアドレスマーク領域Amの先頭位置(プリアンブルパターン領域Apに隣接して設けられたサーボアドレスマーク領域Amにおける最もプリアンブルパターン領域Ap側の位置)に本発明における第4の記録領域に相当する長さL3bの凸部25aを設けた磁気ディスク10Bを例に挙げて説明したが、本発明における第2の非記録領域や第4の記録領域を設ける位置はこれに限定されない。例えば、プリアンブルパターン領域においてサーボデータの読み出しが最後に実行される位置に第2の非記録領域や第4の記録領域を設ける位置を規定する構成(第2の非記録領域や第4の記録領域をプリアンブルパターンの一部とする構成)を採用することができる。また、プリアンブルパターン領域と、プリアンブルパターン領域に続いて設けられる他のサーボパターンの領域(例えばサーボアドレスマーク領域)との間に第2の非記録領域や第4の記録領域を設ける位置を規定する構成を採用することもできる。
【0086】
このような構成を採用した場合においても、上記の磁気ディスク10A,10B、および磁気ディスク10A,10Bを備えたハードディスクドライブ1と同様にして、高密度記録化を図るべく、サーボパターン領域内の各凸部の形成ピッチ、または凹部の形成ピッチを十分に小さくして磁気ディスクを製造するときに、凹部形成用パターンの描画に際して磁気ディスクにおけるプリアンブルパターン領域内の各凹部に対応する部位、または、プリアンブルパターン領域内の各凸部に対応する部位に対する電子ビームEBの照射量が不足し、これに起因して、プリアンブルパターン領域内の複数の凸部または複数の凹部が連結部を介して連結された状態となったとしても、この連結部を介して凸部または凹部が連結されている部位が磁気ヘッドの下方を通過した際に読み出されるサーボデータによってプリアンブルパターン領域からのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【0087】
また、凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s)における各凸部25aの突端部側から基端部までの全体を磁性層14(磁性材料)で形成した磁気ディスク10A,10Bを例に挙げて説明したが、本発明に係る情報記録媒体の構成はこれに限定されない。具体的には、例えば、突端部側が磁性層14で構成されると共に基端部側が中間層13や軟磁性層12で構成された凸部と、その底面が中間層13や軟磁性層12の厚み内に形成された凹部とを有する凹凸パターン(図示せず)で上記のデータトラックパターン25tおよびサーボパターン25sを構成することもできる。また、各凸部だけでなく、各凹部の底部を含めて磁性層14で形成した凹凸パターン(図示せず)によってデータトラックパターン25tおよびサーボパターン25sを構成することもできる。
【0088】
さらに、例えば、ガラス基板等に形成した凹凸パターン(凹凸パターン25と凹凸の位置関係が同様の凹凸パターン)を覆うようにして薄厚の磁性層14を形成することにより、その表面が磁性材料で形成された複数の凸部と底面が磁性材料で形成された複数の凹部とによって凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s:図示せず)を構成することができる。また、ガラス基板等に形成した凹凸パターンの凸部における突端部だけが磁性層14で形成されて基端部側が非磁性材料または軟磁性材料で形成された複数の凸部を備えて凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s:図示せず)を構成することもできる。さらに、ガラス基板等に形成した凹凸パターンの凸部における突端部だけでなく、凹部の底面にも磁性層14を形成して(凸部の側面を除いて磁性層14を形成して)凹凸パターン25(データトラックパターン25tおよびサーボパターン25s図示せず)を構成することができる。
【0089】
さらに、非磁性材料の層に形成した凹凸パターンの凹部内に上記の磁性層14を構成する磁性材料を埋め込むことで非磁性材料の層における凸部の部位を非記録領域(磁気ディスク10A等における凹部25bに対応する領域)とし、凹部内に埋め込まれた磁性材料の部位を記録領域(磁気ディスク10A等における凸部25aに対応する領域)として磁気ディスクを構成することもできる(図示せず)。また、電子ビームEBの照射によって描画した凹部形成用パターンEpを使用して製造したスタンパーを用いてインプリント処理を実行し、形成したマスクパターンを使用したエッチング処理によって磁気ディスク10A,10Bを製造する例について説明したが、本発明に係る情報記録媒体は、エッチング処理によって製造したものに限定されない。具体的には、一例として、凹部形成用パターンEpを使用して製造したスタンパーを用いてインプリント処理を実行して磁性層の上にマスクパターンを形成し、そのマスクパターンを使用したイオンの照射処理や反応性ガスによる反応処理等を実行して、磁性層においてマスクパターンから露出している部位を選択的に変質させる。このような処理により、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が周囲よりも低い領域、または、その能力を実質的に有しない領域を形成し、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が高い領域を記録領域とし、磁気的信号を読み出し可能に保持する能力が低い領域を非記録領域として磁気ディスクを構成することもできる(図示せず)。
【0090】
また、単位時間当たりに磁気ヘッド3の下方を通過させられる長さに比例して、回転方向に沿ったデータトラックパターン領域Atの長さ、および回転方向に沿ったサーボパターン領域Asの長さがデータトラックパターン25tの中心Oから離間するほど長くなるように(データトラックパターン領域Atおよびサーボパターン領域Asがその内周側領域よりも外周側領域ほど幅広となるように)規定した磁気ディスク10A,10Bについて説明したが、本発明に係る情報記録媒体の構成はこれに限定されない。例えば、図22に示す磁気ディスク10Cでは、データトラックパターンの中心Oを中心とする複数(この例では4つ)の環状領域Ac1〜Ac4(以下、区別しないときには、「環状領域Ac」ともいう)に区分けされて、各環状領域Ac毎にサーボパターン領域Asやデータトラックパターン領域Atが規定されている。この磁気ディスク10Cでは、各環状領域Ac2〜Ac4において、その環状領域Acにおける内周側の回転方向に沿った長さがその環状領域Acの内周側の環状領域Acにおける外周側の回転方向に沿った長さよりも短くなっている。また、この磁気ディスク10Cでは、各環状領域Ac内において、単位時間当たりに磁気ヘッド3の下方を通過させられる長さに比例して、回転方向に沿ったサーボパターン領域Asの長さが中心Oから離間するほど長くなるように(内周側から外周側に向かって徐々に長くなるように)規定されている。なお、同図における矢印Rb1は、磁気ディスク10Cの半径方向を示し、矢印Rc1は、磁気ディスク10Cの内周および外周間を前述した磁気ヘッド3が移動する際に描く円弧状の軌跡と一致する線分を示している。
【0091】
この場合、その最内周から最外周に向かってサーボパターン領域Asの回転方向に沿った長さが徐々に長くなっている上記の磁気ディスク10A,10Bでは、プリアンブルパターン領域Ap内の凸部25aや凹部25bの回転方向に沿った長さが外周側ほど徐々に長くなっている。このため、この磁気ディスク10A,10Bを製造するための上記の各スタンパーの製造時に描画する凹部形成用パターンEpでは、現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向に沿った長さが外周側ほど徐々に長くなっている。したがって、磁気ディスク10A,10Bを製造するための凹部形成用パターンEpの描画時には、その外周側においては、上記の連結部25c,25dが形成される原因となっている電子ビームEBの照射不足が生じる事態が回避される可能性がある。
【0092】
これに対して、上記の磁気ディスク10Cでは、環状領域Ac1よりも外周側の環状領域Ac2〜Ac4において、サーボパターン領域Asの回転方向に沿った長さが磁気ディスク10A,10Bのサーボパターン領域Asにおける対応するパターン半径位置よりも短くなっている。このため、この磁気ディスク10Cを製造するためのスタンパーの製造時に描画する凹部形成用パターンでは、現像処理時にレジスト層が消失する程度まで十分に電子ビームEBを照射する領域の回転方向に沿った長さが外周側の環状領域Ac2〜Ac4においても短くなる。したがって、この磁気ディスク10Cを製造するための凹部形成用パターンの描画時には、その外周側においても、電子ビームEBの照射不足が生じる部位が発生し、これに起因して、上記の連結部25c,25dと同様の連結部がプリアンブルパターン領域Ap内に形成されるおそれがある。このため、この磁気ディスク10Cに対して本願発明を適用することにより、その外周側において、プリアンブルパターン領域Ap内に連結部が形成されていたとしても、プリアンブルパターン領域Apからのプリアンブルパターンの読み出しが終了したと誤って認識される事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 ハードディスクドライブ
3 磁気ヘッド
4a 検出部
5 ドライバ
6 制御部
7 記憶部
10A〜10C 磁気ディスク
14 磁性層
15 非磁性材料
25 凹凸パターン
25a 凸部
25b 凹部
25c,25d 連結部
25s サーボパターン
25t データトラックパターン
Ac,Ac1〜Ac4 環状領域
Am サーボアドレスマーク領域
Ap プリアンブルパターン領域
As サーボパターン領域
At データトラックパターン領域
D 制御用データ
L11a,L11b,L1a〜L3a,L1b〜L3b,L4a,L5a 長さ
Pa,Pb,Pe ピッチ
S0 出力信号
S1 検出信号
S2〜S4 制御信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、
前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第1の記録領域が第1の非記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第1の領域が設けられると共に、当該第1の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第1の記録領域を連結する第2の記録領域が設けられ、
前記第1の領域に前記回転方向で隣接して当該第1の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第2の非記録領域が設けられ、当該第2の非記録領域は、当該回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長い情報記録媒体。
【請求項2】
前記第2の非記録領域は、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記第2の非記録領域は、前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている請求項1または2記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記第2の非記録領域は、前記回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている請求項1から3のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項5】
サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、
前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第3の非記録領域が第3の記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第2の領域が設けられると共に、当該第2の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第3の非記録領域を連結する第4の非記録領域が設けられ、
前記第2の領域に前記回転方向で隣接して当該第2の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第4の記録領域が設けられ、当該第4の記録領域は、当該回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長い情報記録媒体。
【請求項6】
前記第4の記録領域は、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている請求項5記載の情報記録媒体。
【請求項7】
前記第4の記録領域は、前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている請求項5または6記載の情報記録媒体。
【請求項8】
前記第4の記録領域は、前記回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている請求項5から7のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている記録再生装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記磁気ヘッドによって前記第2の非記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する請求項9記載の記録再生装置。
【請求項11】
請求項5から8のいずれかに記載の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている記録再生装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記磁気ヘッドによって前記第4の記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する請求項11記載の記録再生装置。
【請求項1】
サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、
前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第1の記録領域が第1の非記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第1の領域が設けられると共に、当該第1の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第1の記録領域を連結する第2の記録領域が設けられ、
前記第1の領域に前記回転方向で隣接して当該第1の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第2の非記録領域が設けられ、当該第2の非記録領域は、当該回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長い情報記録媒体。
【請求項2】
前記第2の非記録領域は、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記第2の非記録領域は、前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている請求項1または2記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記第2の非記録領域は、前記回転方向の長さが前記第1の非記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている請求項1から3のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項5】
サーボデータに対応させて記録領域および非記録領域を配置したサーボパターンがサーボパターン領域に形成された情報記録媒体であって、
前記サーボパターン領域におけるプリアンブルパターン領域には、当該情報記録媒体の半径方向に沿って長い第3の非記録領域が第3の記録領域を挟んで所定のピッチで配置された第2の領域が設けられると共に、当該第2の領域には、当該情報記録媒体の回転方向で隣り合う当該第3の非記録領域を連結する第4の非記録領域が設けられ、
前記第2の領域に前記回転方向で隣接して当該第2の領域に続いて前記サーボデータの読み出しが実行される位置には、第4の記録領域が設けられ、当該第4の記録領域は、当該回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さよりも長い情報記録媒体。
【請求項6】
前記第4の記録領域は、前記プリアンブルパターン領域において前記サーボデータの読み出しが最後に実行される位置と、当該プリアンブルパターン領域に対して前記回転方向において隣接し、かつ当該プリアンブルパターン領域内の当該サーボデータに続いて当該サーボデータの読み出しが実行される位置とのいずれか一方の位置に設けられている請求項5記載の情報記録媒体。
【請求項7】
前記第4の記録領域は、前記回転方向の長さが同一パターン半径位置における前記所定のピッチ以上の長さとなっている請求項5または6記載の情報記録媒体。
【請求項8】
前記第4の記録領域は、前記回転方向の長さが前記第3の記録領域における対応する同一パターン半径位置の当該回転方向の長さのN倍(Nは、2以上の自然数)の長さとなっている請求項5から7のいずれかに記載の情報記録媒体。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている記録再生装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記磁気ヘッドによって前記第2の非記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する請求項9記載の記録再生装置。
【請求項11】
請求項5から8のいずれかに記載の情報記録媒体と、前記サーボパターン領域から前記サーボデータを読み出すための磁気ヘッドと、前記読み出されたサーボデータに基づいてトラッキングサーボ制御を実行する制御部とを備えている記録再生装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記磁気ヘッドによって前記第4の記録領域に対応する前記サーボデータが読み出されたときに当該サーボデータにおけるプリアンブルデータの読み出しが終了したと判別する請求項11記載の記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−266363(P2009−266363A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89826(P2009−89826)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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