情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラム
【課題】動きを正確に認識できる比較用データを作成可能な情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムを提供する。
【解決手段】所定時点113から第一時間Aの間の第一ウィンドウ123と、所定時点114から第二時間Bの間の第二ウィンドウ124とが定義される。キーが打鍵されたか否かを示す動作情報が第一ウィンドウによって切り出され、手に取り付けられたセンサにおいて検出された検出データ93が第二ウィンドウによって切り出される。キーが打鍵されたことを示す情報が動作情報に含まれているかが判断される。動作情報にHiレベルからLowレベルへの変位95が含まれている場合、打鍵動作がされたことを示しているので、切り出された検出データが、手の動作を認識する場合に使用される比較用データ(パターンデータ96)として記憶手段に記憶される。
【解決手段】所定時点113から第一時間Aの間の第一ウィンドウ123と、所定時点114から第二時間Bの間の第二ウィンドウ124とが定義される。キーが打鍵されたか否かを示す動作情報が第一ウィンドウによって切り出され、手に取り付けられたセンサにおいて検出された検出データ93が第二ウィンドウによって切り出される。キーが打鍵されたことを示す情報が動作情報に含まれているかが判断される。動作情報にHiレベルからLowレベルへの変位95が含まれている場合、打鍵動作がされたことを示しているので、切り出された検出データが、手の動作を認識する場合に使用される比較用データ(パターンデータ96)として記憶手段に記憶される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムに関する。より詳細には、人の手に取り付けられたセンサの情報に基づいて、入力情報を認識する情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キーボードの代わりに情報の入力を行うための情報入力装置が開発されている。例えば特許文献1では、手の仕草で情報入力を行うことが可能な情報入力装置が提案されている。この入力装置では、ユーザの指に取り付けられたセンサからの信号が、所定の周期でスキャンされる。所定時間内にスキャンされた信号のデータ(スキャンデータ)が取得されて解析され、指の動きが認識される。その結果、認識された指の動きに対応する情報が入力されたと判断される。
【0003】
指の動きの認識は、特定の指の動きに対応付けられて予め準備された比較用データに基づいて実行される。スキャンデータが比較用データに該当する場合、該当するとされた比較用データに対応付けられている特定の指の動きが、実際の指の動きであると認識される。比較用データは、較正ルーチンにおいて、指が特定の動きを行った時点(「動作時点」という。)を含む所定時間(「ウィンドウ」という。)内に取得されたスキャンデータに基づいて作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−503350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の装置では、指の動きの認識精度は、比較用データの作成時における動作時点とウィンドウとに大きく依存する。例えば、作成される比較用データの動作時点がウィンドウ内のどの時点に設定されるかによって、指の動きの認識精度は大きく変化する。このため、動作時点とウィンドウとが適当でない比較データを用いて指の動きの認識が行われた場合、認識精度が大きく低下してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、動きを正確に認識できる比較用データを作成可能な情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するために、請求項1に係る発明の情報認識システムは、センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置と、前記検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置とを備えた情報認識システムであって、前記検出装置は、人の手に取り付けられるセンサと、前記センサにおいて検出される信号であって、前記手の動きを示す信号を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記信号のデータである検出データを、前記情報認識装置に対して送信する送信手段とを備え、前記情報認識装置は、前記検出装置から送信された前記検出データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明の情報認識システムは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記判断手段は、前記所定時点から前記第一時間よりも短い第三時間経過後の時点を新たな前記所定時点として、前記手が前記所定動作を行ったか否かを繰り返し判断することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明の情報認識システムは、請求項1または2に記載の発明の構成に加えて、前記第二時間は、前記手が前記所定動作を連続して実行可能な最小の時間である限界時間以下であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明の情報認識システムは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記第一時間における開始時点と終了時点との間の中点である第一中点の位置が、前記第二時間における開始時点と終了時点との間の中点である第二中点の位置と比較して、前記第二時間の前記終了時点側に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明の情報認識システムは、請求項4に記載の発明の構成に加えて、前記第一中点の位置が、前記第二中点の位置から前記第二時間の前記終了時点側に、前記第二時間の終了時点と前記第二中点との間の時間よりも短い第四時間移動した位置に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明の情報認識システムは、請求項1から5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記情報認識装置は、前記動作情報を取得するキーボードを備えており、前記判断手段は、前記キーボードが操作されることによって前記動作情報を取得した場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明の情報認識システムは、請求項6に記載の発明の構成に加えて、前記判断手段は、前記所定動作として、前記キーボードの押し下げと押し上げとの少なくともいずれかの操作がなされた場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る発明の情報認識装置は、センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置であって、前記検出装置の前記センサにおいて検出された信号のデータである検出データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えている。
【0015】
また、請求項9に係る発明の情報認識プログラムは、請求項8に記載の情報認識装置の各処理手段としてコンピュータを駆動させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明の情報認識システムでは、所定時点から第一時間内に、手が所定動作を行ったかが判断される。所定動作を行った場合、第二時間内に検出された検出データが、手が所定動作を行った場合に検出される検出データのパターンとして記憶される。記憶された検出データのパターンは、手の動作を認識する場合の比較用データとして使用される。第一時間と第二時間とが別々に設定可能であるので、動作時点とウィンドウとの関係を適切に設定した状態で比較データを取得することができる。取得された比較データを使用することによって、動作認識の精度を高めることができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明の情報認識システムでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、第三時間が第一時間より短いので、手が所定動作を行ったことを示す動作情報を漏れなく抽出して所定動作の有無を判断することができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明の情報認識システムでは、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、第二時間は限界時間以下であるので、所定動作が連続して繰り返し行われた場合であっても、複数の動作に基づく検出データが、一の検出データのパターンに含まれてしまうことを防止できる。
【0019】
また、請求項4に係る発明の情報認識システムでは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第二記憶手段に記憶される検出データのパターンに基づいて動作認識が実行される場合に、動作認識に要する時間を短縮することができる。
【0020】
また、請求項5に係る発明の情報認識システムでは、請求項4に記載の発明の効果に加えて、所定動作を顕著に示す比較データを確実に取得することができる。取得された比較データに基づいて動作認識を実行することによって、動作認識の精度をさらに高めることができる。
【0021】
また、請求項6に係る発明の情報認識システムでは、請求項1から5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、キーボードを打鍵する動作に基づいた比較データを取得することができる。取得された比較データを用いることによって、打鍵されたキーの種別を認識することができる。
【0022】
また、請求項7に係る発明の情報認識システムでは、請求項6に記載の発明の効果に加えて、キーボードの押し下げ操作と押し上げ操作とのうち、打鍵動作がより顕著に表れる操作を選択して比較データを取得することができる。取得された比較データを用いることによって、キー種別の認識精度をより高めることができる。また、押下されたキーの種別の認識だけでなく、キーの押下状態が解除された場合のキーの種別の認識も可能となるので、多様なキー操作を認識することができる。
【0023】
また、請求項8に係る発明の情報認識装置では、所定時点から第一時間内に、手が所定動作を行ったかが判断される。所定動作を行った場合、第二時間内に検出された検出データが、手が所定動作を行った場合に検出される検出データのパターンとして記憶される。記憶された検出データのパターンは、手の動作を認識する場合の比較用データとして使用される。第一時間と第二時間とが別々に設定可能であるので、動作時点とウィンドウとの関係を適切に設定した状態で比較データを取得することができる。取得された比較データを使用することによって、動作認識の精度を高めることができる。
【0024】
また、請求項9に係る発明の情報認識プログラムでは、請求項8に記載の情報認識装置の各処理手段としてコンピュータを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】情報認識システム1の概要を示す模式図である。
【図2】検出データからパターンデータを抽出する処理の概要を示す図である。
【図3】検出データからパターンデータを抽出する処理の概要を示す図である。
【図4】検出データからパターンデータを抽出する処理の概要を示す図である。
【図5】打鍵動作を認識する処理の概要を示す図である。
【図6】検出装置2の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】情報認識装置3の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】パターンデータ3831を示す模式図である。
【図9】学習処理を示すフローチャートである。
【図10】動作認識処理を示すフローチャートである。
【図11】動作情報受信処理を示すフローチャートである。
【図12】送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態における情報認識システム1について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0027】
はじめに、図1を参照し、情報認識システム1の概要について説明する。情報認識システム1は、検出装置2と情報認識装置3とを少なくとも備えている。検出装置2は、手袋の形状を有しており、ユーザの手に装着される。図1では、右手用の検出装置2と左手用の検出装置2とが準備されている。検出装置2の電源が投入された状態で、検出装置2において手の動きを示す信号が検出される。検出された信号のデータが、情報認識装置3に対して送信される。情報認識装置3においてデータが解析される。ユーザによって行われた手の動作の内容が、情報認識装置3において特定される。
【0028】
例えば、ユーザがキーボードのうち特定のキーを打鍵する動作を行った場合、検出装置2において打鍵動作を示す信号が検出され、データが情報認識装置3に送信される。情報認識装置3においてデータが受信され、解析される。解析の結果、打鍵動作によって選択されたキーの種別が特定される。選択されたキーの種別が手の動きから特定可能となるので、ユーザはキーボードを用いることなく情報を入力することが可能となる。なお以下では、情報認識システム1において、ユーザの打鍵動作からキーの種別が特定される場合を例示して説明する。しかしながら本発明はこれに限定されない。例えば情報認識システム1は、他の手の動き(手話動作など)から入力情報を特定してもよい。
【0029】
情報認識装置3におけるデータの解析方法の概要について説明する。情報認識装置3には、キーの打鍵動作を示すデータ(以下「パターンデータ」という。)が、キーの種別毎に予め記憶されている。情報認識装置3では、検出装置2から受信したデータとパターンデータとが比較される。受信したデータがパターンデータに該当すると判断された場合に、パターンデータに対応付けられた種別のキーが打鍵されたと判断される。
【0030】
情報認識装置3は、パターンデータを取得する為の動作モード(以下「学習モード」という。)にて動作可能である。情報認識装置3は、学習モード動作時において検出装置2から受信したデータを、パターンデータとしてキー種別に対応付けて記憶する。記憶したパターンデータは、通常動作時において、検出装置2から受信したデータの解析に使用される。本実施の形態は、情報認識装置3が最適なパターンデータを取得することによって、認識精度の高いデータ解析を可能とするものである。
【0031】
検出装置2及び情報認識装置3について詳説する。検出装置2は、手袋形状を有する手袋部13を備えている。手袋部13のうちそれぞれの指先部分に、手の動きを検出する加速度センサ(以下、「センサ21」という。)が取り付けられている。なおセンサ21としては、加速度センサの他に例えばジャイロセンサなどが使用可能である。検出装置2は、手袋部13の手首部分に制御部22を備えている。センサ21と制御部22とはハーネス14によって接続されている。センサ21において検出された信号は、ハーネス14を介して制御部22に伝送される。制御部22は、図示外のアンテナ28(図6参照)を備えている。制御部22は、センサ21によって検出された信号を受け、データ化して情報認識装置3に対して無線送信する(データ化された信号を「検出データ」という。)。制御部22は、LEDで構成された表示部29を備えている。表示部29は、検出装置2の状態等をユーザに通知する為に設けられている。なお表示部29としては、LEDの他に例えばLCDなどが使用可能である。
【0032】
情報認識装置3は、図示外のアンテナ35及びアンテナ37(図7参照)を備えている。情報認識装置3は、検出装置2の制御部22から無線送信された検出データを、アンテナ35を介して受信する。受信された検出データが解析され、打鍵動作によって選択されたキー種別が特定される。特定されたキー種別の情報は、アンテナ37を介して他の機器(PCなど)に無線送信される。
【0033】
情報認識装置3には、キーボード15が接続される。キーボード15は、学習モード動作時において使用される。情報認識装置3は、LEDで構成された表示部39を備えている。表示部39は、情報認識装置3の状態等をユーザに通知するために設けられている。なお表示部39としては、LEDの他に例えばLCDなどが使用可能である。情報認識装置3は、入力部40を備えている。入力部40は、情報認識装置3の動作モード(通常モード、学習モード、詳細後述)を切り替える場合に使用される。入力部40としては、例えばタッチセンサやボタン等が使用される。
【0034】
なお、図1に示す情報認識システム1では、右手用の検出装置2と左手用の検出装置2とが準備されている。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。情報認識システム1は、片方の手に装着される検出装置2のみ備えた構成であってもよい。センサ21は、手袋部13のうち指先部分に取り付けられていたが、本発明はこの構成に限定されず、他の部位(指の関節部分、掌、手の甲など)に取り付けられていてもよい。センサ21と制御部22との間の通信は、ハーネス14を介した有線通信に限定されず、無線通信であってもよい。検出装置2と情報認識装置3との間の通信、情報認識装置3と他の機器(PCなど)との間の通信は無線通信に限定されず、有線通信であってもよい。情報認識システム1は、情報認識装置3が手袋部13に取り付けられた構成であってもよい。
【0035】
検出装置2のセンサ21は、検出される信号として、3軸(x軸、y軸、z軸)の其々の方向の加速度信号(G(x),G(y),G(z))を常時出力している。加速度信号(G(x),G(y),G(z))は、制御部22に内蔵されるCPU23(図6参照)によって所定周期(5ms)で検出され、データ化されて検出データとされる。検出データは、検出装置2から情報認識装置3に対して送信される。情報認識装置3において、検出装置2から送信された検出データが受信される。検出データは、手袋部13の各指に取り付けられたセンサ21毎に、検出データ記憶領域382(図7参照)に記憶される。
【0036】
キーボード15(図1参照)は、キーの打鍵の有無を示す情報(以下「動作情報」という。)と、打鍵されたキーの種別を示す情報(以下「キー情報」という。)とを、情報認識装置3に対して常時送信している。動作情報とは、キーボードが押下されない状態でHiレベル(例えば3.0V)を示し、キーボードが押下された場合にLowレベル(例えば0V)を示す情報である。情報認識装置3において、キーボード15から送信された動作情報とキー情報とが受信される。受信された動作情報とキー情報とは、対応付けられて動作情報記憶領域381(図7参照)に記憶される。
【0037】
なお本実施の形態では、キーボード15は動作情報とキー情報とを情報認識装置3に対して常時送信する構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、動作情報が変位した(Hiレベル→Lowレベル、Lowレベル→Hiレベル)場合にのみ、キーボード15が動作情報とキー情報とを情報認識装置3に対して送信する構成としてもよい。
【0038】
情報認識システム1において、学習モード動作時にパターンデータが取得される場合の概要について、図2〜図4を参照して説明する。なお本実施の形態では、右手用の検出装置2のセンサ21において検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))の検出データと、左手用の検出装置2のセンサ21において検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))の検出データとは、それぞれ別々に情報認識装置3にて受信され、パターンデータとして記憶される。従って以下においては、右手用の検出装置2のセンサ21において検出された信号のデータがパターンデータとして情報認識装置3に記憶される場合について説明する。左手用の検出装置2において検出された信号のデータがパターンデータとして記憶される場合については、説明を省略する。図2中の点90は、人差し指に取り付けられたセンサ21からの加速度信号(G(x),G(y),G(z))のうちz軸成分の信号(G(z))に基づく検出データを示している。図2中の点90の検出データにおいて、図面左右方向は時間軸(t)を示しており、図面上下方向はz軸方向の加速度(G(z))を示している。図2中の線91は動作情報を示している。図2中の線91の動作情報において、図面左右方向は時間軸を示しており、図面上下方向はキーの押下状態(Hiレベル:押下状態、Lowレベル:押下していない状態)を示している。図2では、動作情報はHiレベルが維持されているので、キーボードは押下されていない。検出データは、キーボードが押下されていないので、小さな振幅で推移している。
【0039】
図2に示すように、動作情報記憶領域381に記憶された動作情報(線91)のうち、所定時点101から第一時間Aの間(図中点線121)に受信された動作情報が抽出される。第一時間Aは15msに設定される。また、検出データ記憶領域382に記憶された検出データのうち、所定時点102から第二時間Bの間(図中点線122)に検出された検出データが抽出される。第二時間Bは500msに設定される。
【0040】
なお以下、第一時間Aの間を模式的に示す図中点線121の領域を第一ウィンドウと呼ぶ。第二時間Bの間を模式的に示す図中点線122の領域を第二ウィンドウと呼ぶ。第一時間Aの間に受信された動作情報を抽出することを、「第一ウィンドウによって動作情報を切り出す。」という。第二時間Bの間に受信された検出データを抽出することを「第二ウィンドウによって検出データを切り出す。」という。第一ウィンドウによって切り出された動作情報のうち最も早く受信された動作情報の受信時点を、第一時間Aの開始時点と呼ぶ。図中の所定時点101が、第一時間Aの開始時点に該当する。第一ウィンドウによって切り出された動作情報のうち最も遅く受信された動作情報の受信時点を、第一時間Aの終了時点と呼ぶ。図中の所定時点103が、第一時間Aの終了時点に該当する。第二ウィンドウによって切り出された検出データのうち最も早く受信された検出データの受信時点を、第二時間Bの開始時点と呼ぶ。図中の所定時点102が、第二時間Bの開始時点に該当する。第二ウィンドウによって切り出された検出データのうち最も遅く受信された検出データの受信時点を、第二時点Bの終了時点と呼ぶ。図中の所定時点105が、第二時間Bの終了時点に該当する。
【0041】
ここで第一ウィンドウと第二ウィンドウとが所定の位置関係を示すように、第一時間Aと第二時間Bと所定時点101と所定時点102とが其々設定される。具体的には、第一時間Aの開始時点101と終了時点103との間の中点104の位置が、第二時間Bの開始時点102と終了時点105との間の中点106の位置と比較して、第二時間Bの終了時点105側に配置されるように、第一ウィンドウと第二ウィンドウとが配置される。具体的には、中点104は、中点106と比較して第四時間だけ第二時間Bの終了時点105側に配置されている。本実施の形態では、第四時間は100msに設定されている。以上の条件を満たす第一時間Aと第二時間Bと所定時点101と所定時点102とが其々設定される。
【0042】
第一ウィンドウによって動作情報が切り出され、且つ、第二ウィンドウによって検出データが切り出された後、次いで、打鍵の有無が判断される。第一ウィンドウによって切り出された動作情報の中に、HiレベルからLowレベルに変位する部分が含まれているか否かが判断されることによって、打鍵(キーの押し下げ)の有無が判断される。変位する部分が含まれていない場合、キーが打鍵されていないと判断される。この場合、図3に示すように、所定時点101から第三時間C経過後の時点が、新たな第一時間Aの所定時点111とされる。第三時間Cは10msに設定される。そして、新たな所定時点111から第一時間Aの間の第一ウィンドウによって、動作情報が切り出される。また、所定時点102から第三時間C経過後の時点が、新たな第二時間Bの所定時点112とされる。そして、新たな所定時点112から第二時間Bの間の第二ウィンドウによって、検出データが切り出される。このように、所定時点を第三時間Cずつ移動させながら第一ウィンドウ及び第二ウィンドウが繰り返し設定される。設定された第一ウィンドウ及び第二ウィンドウによって、動作情報と検出データとが繰り返し切り出される。そして切り出された動作情報に基づいて、キーボードの打鍵の有無が繰り返し判断される。
【0043】
ここで図3に示すように、ユーザが「J」のキーを打鍵する動作を行っていたとする(図中矢印94)。動作情報は、図中92に示すように、「J」のキーが押下されている間Lowレベルとなる。加速度情報(G(z))の経時変化の軌跡は、図中93に示すように、「J」の打鍵動作によって、振幅の大きい特有のパターンを描く。
【0044】
所定時点が第三時間Cずつ順次更新され、第一ウィンドウと第二ウィンドウとによって動作情報と検出データとが繰り返し切り出された結果、図4に示すように、所定時点113から第一時間Aの間の第一ウィンドウ(図中点線123)よって動作情報が切り出されたとする。また、所定時点114から第二時間Bの間の第二ウィンドウ(図中点線124)によって検出データが切り出されたとする。
【0045】
第一ウィンドウによって切り出された動作情報には、HiレベルからLowレベルへの変位95が含まれる。またこの場合、「J」が打鍵されたことを示すキー情報が、動作情報と同時に受信されている。これらから、「J」のキーが打鍵されたと判断される。第二ウィンドウによって切り出された検出データ(図中96)が、「J」のキーが押下されたことを示すパターンデータとされる。パターンデータは、「J」を示すキー情報に対応付けられ、パターンデータ記憶領域383に記憶される。
【0046】
パターンデータ記憶領域383に記憶されたパターンデータは、通常モード動作時において、打鍵動作からキー種別を判断する処理を行う場合に使用される。通常モード動作時において検出装置2から受信された検出データは、パターンデータと比較される。受信された検出データがパターンデータと良好に一致すると判断された場合に、パターンデータに対応付けられたキー情報にて特定されるキーが打鍵されたと判断される。このように、学習モード時において取得されたパターンデータに基づいて、ユーザが選択したキー種別を特定することができる。
【0047】
通常モード動作時において、記憶したパターンデータに基づいてキー種別が特定される場合の処理概要について、図5を参照して説明する。検出データ記憶領域382に記憶された検出データのうち、所定時点115から第二時間Bの間に検出された検出データが第二ウィンドウによって切り出される(切り出された検出データを「解析対象データ」という。)。切り出された解析対象データと、学習モードにおいてパターンデータ記憶領域383に記憶されたパターンデータとが比較される。解析対象データと良好に一致するパターンデータがパターンデータ記憶領域383に記憶されておらず、キーの種別が特定できない場合、打鍵動作が行われていないと判断される。この場合、所定時点115から所定時間(例えば10ms)経過後の時点が新たな所定時点116とされる。そして新たな所定時点116から第二時間Bの間の第二ウィンドウによって解析対象データが切り出され、繰り返しキーの種別の特定が試みられる。このように、所定時点を所定時間ずつ移動させ、第二ウィンドウを移動させながら、解析対象データが切り出される。
【0048】
ここで、ユーザが「J」のキーを打鍵する動作を行っていたとする(図中矢印97)。加速度信号(G(z))の経時変化の軌跡は、図中98に示すように、「J」の打鍵動作によって特有のパターンを描く。
【0049】
所定時点が所定時間ずつ順次更新されながら、繰り返し解析対象データが切り出された結果、所定時点117を所定時点とし、解析対象データ99が切り出されたとする。図5に示すように、切り出された解析対象データ99は、「J」に対応付けられたパターンデータ96と良好に一致するので、解析対象データ99はパターンデータ96に該当すると判断される。ユーザがキー「J」の打鍵動作を行ったものと判断される。
【0050】
ここで本実施の形態では、第一ウィンドウと第二ウィンドウとの位置関係は、既述のように、図2に示す位置関係となっている。このため、学習モードにおいて切り出されるパターンデータのうち打鍵瞬間の動作を顕著に示す部分、即ち振幅の最も大きい部分は、図4及び図5に示すように、第二ウィンドウの幅の中心(第二時間Bの中点)に対して右側寄り(第二時間Bの終了時点寄り)に配置される。このため、振幅の最も大きい部分以降のデータをパターンデータとして多く含ませないようにすることができる。また、このようなパターンデータを用いることによって、通常モード時において、パターンデータと良好に一致する解析対象データを迅速に切り出すことができる。理由は以下の通りである。切り出される解析対象データのうち振幅の最も大きい部分の位置は、第二ウィンドウが順次移動するに従い、第二ウィンドウの右側(第二時間Bの終了時点)から左側(第二時間Bの開始時点)に移動する。このため、解析対象データとパターンデータとは、早い段階で良好に一致する。このようにして、打鍵動作から認識完了までの時間を短縮することができる。
【0051】
また本実施の形態では、図2に示すように、第一ウィンドウの幅の中心(第一時間Aの中点)が、第二ウィンドウの幅の中心(第二時間Bの中点)から第四時間(100ms)だけ右端(第二時間Bの終了時点)側に配置される。第四時間(100ms)は、第二ウィンドウの幅の中心から右端までの時間(250ms)と比較して短い。第一ウィンドウの右端(第一時間Aの終了時点)は、第二ウィンドウの右端(第二時間Bの終了時点)よりも中心側に配置される。これによって、打鍵動作からキーの種別を認識する場合の認識精度を高めている。打鍵瞬間の動作を顕著に示す部分(振幅の最も大きい部分)が確実にパターンデータに含まれることとなり、この部分を解析対象データと比較することができるためである。また、打鍵動作が認識される迄の時間は、第四時間の調整によって変更可能である。このため、ユーザにとって最適な認識時間に調整することができる。認識までの時間が長すぎたり短すぎたりする場合、ユーザは認識処理に違和感を持ってしまうためである。本実施の形態における第四時間は、打鍵動作が認識される迄の時間としてユーザが違和感を持たない程度の時間として設定されている。
【0052】
なお、第一時間A、第二時間B、第三時間Cは、上述した値に限定されず、他の値であってもかまわない。また、第一ウィンドウと第二ウィンドウとの位置関係は上述の関係に限定されず、他の位置関係であってもかまわない。
【0053】
但し、第一時間Aと第二時間Bとは、第一時間Aと比較して第二時間Bが長くなるように設定される。これによって、打鍵の前後で検出された検出データを切り出し、パターンデータとすることができる。また第三時間Cが第一時間Aと比較して短くなるように、第三時間Cが設定される。これによって、動作情報の全てを切り出して打鍵動作の有無を判断することができる。実際には打鍵動作がなされているにもかかわらず、打鍵動作が認識されない不具合の発生を防止できる。また第二時間Bは、指が連続して打鍵可能な最小の時間(限界時間)よりも短くなるように設定される。これによって、学習モード時において連続して打鍵動作が実行された場合であっても、打鍵動作に対応する信号部分がパターンデータの中に複数含まれてしまうことを防止できる。パターンデータに複数の打鍵動作に対応する部分が含まれてしまって、解析対象データの認識精度が劣化してしまうことを防止できる。
【0054】
上述では、一つのセンサ21において検出された信号に基づく検出データのみをパターンデータとして取得し、記憶していた。しかしながら実際は、すべてのセンサ、すべての方向の検出データがパターンデータとして抽出される。また図5では、説明のため、解析対象データとパターンデータとのz軸成分同士のみを比較する例を挙げて説明した。しかしながら実際には、3軸(x軸、y軸、z軸)のデータ全てが比較され、解析対象データがパターンデータと良好に一致するかが判断される。なお図5では、人差し指に取り付けられたセンサ21から検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))のみに基づいて、キー種別を特定していた。しかしながら本発明はこの方法に限定されない。他の複数のセンサ21から同時に検出される加速度信号(G(x),G(y),G(z))を総合的に解析することによって、キー種別を特定してもよい。
【0055】
検出装置2の電気的構成について、図6を参照して説明する。検出装置2は、センサ21から出力される加速度信号(G(x),G(y),G(z))の検出処理や、検出データの送信処理を司るCPU23を備えている。検出装置2は、CPU23が駆動する場合に必要なプログラム、初期設定情報、及びパラメータが少なくとも記憶されるROM24を備えている。検出装置2は、タイマやカウンタ等が記憶されるRAM25を備えている。CPU23は、ROM24とRAM25とバス30を介して電気的に接続している。CPU23は、ROM24及びRAM25の記憶領域にアクセスすることができる。
【0056】
検出装置2は、既述のセンサ21と、センサ21から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ26とを備えている。センサ21はA/Dコンバータ26と電気的に接続している。A/Dコンバータ26はCPU23と電気的に接続している。CPU23は、センサ21からの出力信号を検出することができる。
【0057】
検出装置2は、変調制御を司るRFモジュール27と、無線の送受信が行われるアンテナ28とを備えている。CPU23はRFモジュール27と電気的に接続している。RFモジュール27はアンテナ28と電気的に接続している。CPU23は、アンテナ28を介して情報認識装置3と無線通信を行うことができる。
【0058】
検出装置2は、検出装置2の状態等をユーザに対して通知することが可能な表示部29を備えている。CPU23は表示部29と電気的に接続している。CPU23は、所望の情報を表示部29に表示させることができる。
【0059】
情報認識装置3の電気的構成について、図7を参照して説明する。情報認識装置3は、解析対象データの解析制御や検出データの通信制御を司るCPU31を備えている。情報認識装置3は、初期設定情報やパラメータ情報等が記憶されるROM32を備えている。情報認識装置3は、タイマやカウンタ等が記憶されるRAM33を備えている。情報認識装置3は、後述する変数やテーブルが記憶されるフラッシュメモリ38を備えている。CPU31は、ROM32とRAM33とフラッシュメモリ38とバス41を介して接続している。CPU31は、ROM32、RAM33、及びフラッシュメモリ38の記憶領域にアクセスすることができる。
【0060】
情報認識装置3は、変復調制御を司るRFモジュール34と、検出装置2との間で無線の送受信が行われるアンテナ35とを備えている。CPU31はRFモジュール34と電気的に接続している。RFモジュール34はアンテナ35と電気的に接続している。CPU31は、アンテナ35を介して検出装置2と無線通信を行うことができる。
【0061】
情報認識装置3は、変復調制御を司るRFモジュール36と、他の機器(PCなど)との間で無線の送受信が行われるアンテナ37とを備えている。CPU31はRFモジュール36と電気的に接続している。RFモジュール36はアンテナ37と電気的に接続している。CPU31は、アンテナ37を介して検出装置2と無線通信を行うことができる。
【0062】
情報認識装置3は、情報認識装置3の状態等をユーザに対して通知することが可能な表示部39を備えている。CPU31は表示部39と電気的に接続している。CPU31は、所望の情報を表示部39に表示させることができる。情報認識装置3は、ユーザが入力操作可能な入力部40を備えている。CPU31は入力部40と電気的に接続している。CPU31は、入力内容を認識できる。
【0063】
情報認識装置3は、キーボード15が接続されるキーボードインタフェース(以下「キーボードI/F」という。)42を備えている。CPU31はキーボードI/F42と電気的に接続している。CPU31は、キーボードI/F42に接続されたキーボード15から、動作情報とキー種別とを受信することができる。
【0064】
フラッシュメモリ38に設けられる記憶領域について説明する。フラッシュメモリ38は、動作情報記憶領域381と検出データ記憶領域382とパターンデータ記憶領域383とプログラム記憶領域384とその他の情報記憶領域385とを少なくとも備えている。
【0065】
動作情報記憶領域381には、学習モード動作時においてキーボード15から受信した動作情報とキー情報とが少なくとも記憶される。検出データ記憶領域382には、検出装置2から受信した検出データが記憶される。パターンデータ記憶領域383には、学習モード動作時において取得されたパターンデータが記憶される。プログラム記憶領域384には、CPU31が駆動する場合に必要なプログラムが記憶される。その他の情報記憶領域385には、上述した情報以外の情報が記憶される。
【0066】
フラッシュメモリ38のパターンデータ記憶領域383に記憶されるパターンデータの一例(パターンデータ3831)について、図8を参照して説明する。パターンデータ3831には、打鍵動作が行われた場合の手の動きを示す加速度信号(G(x),G(y),G(z))に基づくデータ(x軸方向、y軸方向、z軸方向)として学習モード時に取得されたパターンデータが記憶される。パターンデータは、キー種別に対応付けてセンサ21毎(親指、人差し指・・・)に記憶される。
【0067】
パターンデータとして、打鍵動作が行われた場合にセンサ21から検出される加速度信号(G(x),G(y),G(z))のデータが100ms周期で合計5つずつ、500ms分記憶されている。図8に示す例では、キー種別「Q」「W」「E」に対応するパターンデータが、センサ21毎(親指、人差し指・・・)に、x軸方向、y軸方向、z軸方向についてそれぞれ記憶されている。なお、第二時間Bの間の第二ウィンドウによって切り出された検出データが、パターンデータとしてパターンデータ記憶領域383に記憶される場合、所定のデータ操作を行うことによって検出データが圧縮される。詳細は後述する。
【0068】
情報認識装置3のCPU31において実行される各種処理(学習処理、動作認識処理、動作情報受信処理)について、図9〜図11を参照して説明する。学習処理は、学習モードで動作する指示が入力部40を介してユーザによってなされた場合に、CPU31によって起動され実行される。動作認識処理は、通常モードで動作する指示が入力部40を介してユーザによってなされた場合に、CPU31によって起動され実行される。動作情報受信処理は、CPU31電源が投入された場合に起動され実行される。なお、検出装置2から検出データを受信する処理(検出データ受信処理、図示外)が常にCPU31によって実行されている。
【0069】
CPU31は、学習モード動作時において、学習処理、動作情報受信処理、及び検出データ受信処理のうち何れの処理を実行させるかを、所定の周期で切り替える。またCPU31は、通常モード動作時において、動作認識処理、動作情報受信処理、及び検出データ受信処理のうち何れの処理を実行させるかを、所定の周期で切り替える。一の処理から他の処理に実行処理が切り替わる場合、実行中であった処理は一旦中断される。そして他の処理が代わりに実行される。中断された処理は、次の実行タイミングで中断時点から処理を再開する。このようにしてCPU31では、異なる処理が並列して実行される。
【0070】
学習処理について、図9を参照して説明する。学習処理では、学習モード動作時に検出される検出データに基づいて、パターンデータが取得される。学習処理が起動されると、はじめに、初期設定処理が実行される(S11)。初期設定処理では、学習処理において必要なパラメータの初期値がRAM33に記憶される。具体的には、第一時間(15ms)と第二時間(500ms)と第三時間(10ms)と第四時間(100ms)がRAM33に記憶される。
【0071】
動作情報記憶領域381に記憶されている動作情報のうち、所定時点から第一時間(15ms)の間の動作情報が、第一ウィンドウによって切り出される(S13)。動作情報記憶領域381には、受信処理(図11参照、後述)においてキーボード15から受信した動作情報とキー情報とが記憶されている。切り出された動作情報は、RAM33に記憶される。
【0072】
検出データ記憶領域382に記憶されている検出データのうち、所定時点から第二時間(500ms)の間の検出デーが、第二ウィンドウによって切り出される(S15)。検出データ記憶領域382には、受信処理(図11参照、後述)において検出装置2から受信した検出データが記憶されている。検出データは5ms周期で3軸(x軸、y軸、z軸)分取得されているので、第一ウィンドウによって切り出される検出データの総数は、第一時間が500msであることから、300(=(500/5)×3)ということになる。切り出された検出データは、RAM33に記憶される。
【0073】
次いで、RAM33に記憶された動作情報が参照される。打鍵動作を示すHiレベルからLowレベルへの変位が、動作情報に含まれているかが判断される(S17)。HiレベルからLowレベルへの変位が含まれている場合(S17:YES)、打鍵動作が行われているということになる。この場合、打鍵情報に対応付けられたキー情報に基づいて、打鍵されたキーの種別が特定される(S19)。S15において切り出され、RAM33に記憶された検出データにキー情報が対応付けられ、パターンデータとしてパターンデータ記憶領域383に記憶される(S21)。そしてS23に移行される。
【0074】
なお、切り出された検出データは、以下のようにして圧縮され、パターンデータ記憶領域383に記憶される。検出データ(総数300)が、3軸成分(x軸、y軸、z軸)毎に20ずつに分割される。分割された其々の検出データの平均値が算出される。算出の結果、合計15つの平均値(x軸:5つ(=(300/3/20))、y軸:5つ(=(300/3/20))、z軸:5つ(=(300/3/20)))が得られる。得られた平均値が、パターンデータとされ、パターンデータ記憶領域383に記憶される。
【0075】
一方、切り出された動作情報に、打鍵動作を示すHiレベルからLowレベルへの変位が含まれていない場合(S17:NO)、ユーザはキーを打鍵していないので、そのままS23に移行される。
【0076】
S23では、学習モードを終了させる操作がユーザによって入力部40を介してなされたかが判断される(S23)。学習モードを終了させるための操作がなされた場合(S23:YES)、学習処理は終了する。一方、学習モードを終了させるための操作がなされていない場合(S23:NO)、第一時間Aの開始時点から第三時間C経過後の時点を新たな第一時間Aの開始時点に設定する。同様に、第二時間Bの開始時点から第三時間C経過後の時点を新たな第二時間Bの開始時点に設定する(S25)。そして、続いて行われる打鍵動作を検出して繰り返しパターンデータを取得するために、S13に戻り、上述の処理が繰り返される。
【0077】
動作確認処理について、図10を参照して説明する。動作確認処理では、通常モード動作時に検出される検出データとパターンデータとが比較される。これによって、打鍵動作によって打鍵されたキーの種別が特定される。動作確認処理が起動されると、はじめに、初期設定処理が実行される(S31)。初期設定処理では、動作確認処理において必要なパラメータの初期値がRAM33に記憶される。
【0078】
次いで、検出データ記憶領域382に記憶されている検出データのうち、所定時点から第二時間Bの間の検出データが、解析対象データとして第二ウィンドウによって切り出される(S33)。検出データ記憶領域385には、受信処理(図11参照、後述)において検出装置2から受信した検出データが記憶されている。検出データは5ms周期で3軸(x軸、y軸、z軸)分取得されているので、第二時間B(500ms)内に解析対象データとして切り出される検出データの総数は300(=(500/5)×3)ということになる。
【0079】
次いで、切り出された解析対象データと、パターンデータ記憶領域383に記憶したパターンデータとが比較され、打鍵動作によって選択されたキーの種別の特定が試みられる(S35)。比較は、例えば以下のようにして行われる。解析対象データとして抽出された検出データ(総数300)が、3軸成分(x軸、y軸、z軸)毎に20ずつに分割される。分割された其々の検出データの平均値が算出される。算出の結果、合計15つの平均値(x軸:5つ(=(300/3/20))、y軸:5つ(=(300/3/20))、z軸:5つ(=(300/3/20)))が得られる。得られた平均値が、パターンデータ記憶領域383に記憶されているパターンデータと比較される。平均値とパターンデータとを比較する方法としては特に限定されない。例えば、平均値とパターンデータとの相違の度合いが予め設定されている閾値未満となっているか否かを判断することによって実行することができる。また例えば、一般的なパターンマッチングの手法を用いることができる。
【0080】
比較の結果、解析対象データとパターンデータとが良好に一致した場合、パターンデータに対応付けられているキー情報のキーが打鍵されたと判断される(S37:YES)。この場合、特定されたキーを示す情報がRFモジュール36によって変調され、アンテナ37を介して他の機器(PCなど)に送信される(S39)。他の機器(PCなど)において、キーの種別が認識される。そしてS41に移行する。一方、解析対象データとパターンデータとが一致せず、打鍵されたキーが特定できなかった場合(S37:NO)、特段処理を行うことなくS41に移行する。
【0081】
S41の処理では、第二時間Bの開始時点から所定時間経過後の時点が新たな第二時間Bの開始時点に設定される(S41)。そしてS33に戻り、継続して打鍵動作の認識処理を実行するために上述の処理が繰り返される。
【0082】
動作情報受信処理について、図11を参照して説明する。動作情報受信処理では、はじめに検出装置2から受信した検出データ(全てのセンサ21における3軸分のデータ)がフラッシュメモリ38の検出データ記憶領域382に記憶される(S53)。そしてS55に移行する。
【0083】
S55では、キーボード15から送信される動作情報とキー情報とを受信しているかが判断される(S55)。動作情報とキー情報とを受信している場合(S55:YES)、受信した動作情報とキー情報とが対応付けられ、フラッシュメモリ38の動作情報記憶領域381に記憶される(S57)。そしてS53に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。一方、動作情報とキー情報とを受信していない場合(S55:NO)、特段処理を行うことなくS53に戻る。そして上述の処理が繰り返し実行される。
【0084】
検出装置2のCPU23において実行される送信処理について、図12を参照して説明する。送信処理は、検出装置2の電源が投入された場合において、CPU23により起動され実行される。
【0085】
送信処理が実行されると、はじめに、所定の短い周期(例えば100ns)で更新されるタイマが初期化される(S60)。次いで、センサ21から出力される加速度信号(G(x),G(y),G(z))を検出する周期(5ms。以下「検出周期」という。)が到来したかが、タイマによって判断される(S61)。検出周期が到来していない場合(S61:NO)、S61に戻り、継続して検出周期の到来が監視される。検出周期が到来した場合(S61:YES)、センサ21から出力される加速度信号(G(x),G(y),G(z))が取得される(S63)。全てのセンサ21について、3軸(x軸、y軸、z軸)分の加速度信号(G(x),G(y),G(z))が取得される。検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))はデータ化され、検出データとして情報認識装置3に対して無線送信される(S65)。そしてS60に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。無線送信された検出データは、情報認識装置3において上述のように解析処理が実行される。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態では、打鍵動作によって選択されたキーの種別を認識する場合に使用されるパターンデータを取得することができる。取得されたパターンデータを使用することによって、キーの種別を認識するために要する時間を短縮することができる。また認識の精度を高めることができる。
【0087】
なお、上述における各打鍵動作が本発明の「所定動作」に相当し、打鍵動作をしたと判断することが本発明の「所定動作をおこなったと判断すること」に相当し、パターンデータにおけるキー種別が本発明の「所定動作を示す情報」に相当する。図12のS63の処理を行うCPU23が本発明の「取得手段」に相当し、S65の処理を行うCPU23が本発明の「送信手段」に相当する。図7のRFモジュール34、及びアンテナ35が本発明の「受信手段」に相当する。図9のS17の処理を行うCPU31が本発明の「判断手段」に相当し、動作情報のHiレベルからLowレベルへの変位が「所定動作」に該当する。図9のS15の処理を行うCPU31が本発明の「抽出手段」に相当し、S21の処理を行うCPU31が本発明の「記憶制御手段」に相当する。図7において、検出データが記憶される検出データ記憶領域382を備えたフラッシュメモリ38が本発明の「第一記憶手段」に相当し、パターンデータが記憶されるパターンデータ記憶領域383を備えたフラッシュメモリ38が本発明の「第二記憶手段」に相当する。
【0088】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、キーが押し下げられ、動作情報がHiレベルからLowレベルに変位した場合に、打鍵されたと判断されていた。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。従って、キーが押し上げられ、動作情報がLowレベルからHiレベルに変位した場合に、キーが押し上げられ、打鍵されたと判断してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 情報認識システム
2 検出装置
3 情報認識装置
15 キーボード
21 センサ
23 CPU
31 CPU
38 フラッシュメモリ
382 検出データ記憶領域
383 パターンデータ記憶領域
【技術分野】
【0001】
本発明は情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムに関する。より詳細には、人の手に取り付けられたセンサの情報に基づいて、入力情報を認識する情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キーボードの代わりに情報の入力を行うための情報入力装置が開発されている。例えば特許文献1では、手の仕草で情報入力を行うことが可能な情報入力装置が提案されている。この入力装置では、ユーザの指に取り付けられたセンサからの信号が、所定の周期でスキャンされる。所定時間内にスキャンされた信号のデータ(スキャンデータ)が取得されて解析され、指の動きが認識される。その結果、認識された指の動きに対応する情報が入力されたと判断される。
【0003】
指の動きの認識は、特定の指の動きに対応付けられて予め準備された比較用データに基づいて実行される。スキャンデータが比較用データに該当する場合、該当するとされた比較用データに対応付けられている特定の指の動きが、実際の指の動きであると認識される。比較用データは、較正ルーチンにおいて、指が特定の動きを行った時点(「動作時点」という。)を含む所定時間(「ウィンドウ」という。)内に取得されたスキャンデータに基づいて作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−503350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の装置では、指の動きの認識精度は、比較用データの作成時における動作時点とウィンドウとに大きく依存する。例えば、作成される比較用データの動作時点がウィンドウ内のどの時点に設定されるかによって、指の動きの認識精度は大きく変化する。このため、動作時点とウィンドウとが適当でない比較データを用いて指の動きの認識が行われた場合、認識精度が大きく低下してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、動きを正確に認識できる比較用データを作成可能な情報認識システム、情報認識装置、及び情報認識プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するために、請求項1に係る発明の情報認識システムは、センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置と、前記検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置とを備えた情報認識システムであって、前記検出装置は、人の手に取り付けられるセンサと、前記センサにおいて検出される信号であって、前記手の動きを示す信号を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記信号のデータである検出データを、前記情報認識装置に対して送信する送信手段とを備え、前記情報認識装置は、前記検出装置から送信された前記検出データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明の情報認識システムは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記判断手段は、前記所定時点から前記第一時間よりも短い第三時間経過後の時点を新たな前記所定時点として、前記手が前記所定動作を行ったか否かを繰り返し判断することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明の情報認識システムは、請求項1または2に記載の発明の構成に加えて、前記第二時間は、前記手が前記所定動作を連続して実行可能な最小の時間である限界時間以下であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明の情報認識システムは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記第一時間における開始時点と終了時点との間の中点である第一中点の位置が、前記第二時間における開始時点と終了時点との間の中点である第二中点の位置と比較して、前記第二時間の前記終了時点側に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明の情報認識システムは、請求項4に記載の発明の構成に加えて、前記第一中点の位置が、前記第二中点の位置から前記第二時間の前記終了時点側に、前記第二時間の終了時点と前記第二中点との間の時間よりも短い第四時間移動した位置に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明の情報認識システムは、請求項1から5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記情報認識装置は、前記動作情報を取得するキーボードを備えており、前記判断手段は、前記キーボードが操作されることによって前記動作情報を取得した場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明の情報認識システムは、請求項6に記載の発明の構成に加えて、前記判断手段は、前記所定動作として、前記キーボードの押し下げと押し上げとの少なくともいずれかの操作がなされた場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る発明の情報認識装置は、センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置であって、前記検出装置の前記センサにおいて検出された信号のデータである検出データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えている。
【0015】
また、請求項9に係る発明の情報認識プログラムは、請求項8に記載の情報認識装置の各処理手段としてコンピュータを駆動させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明の情報認識システムでは、所定時点から第一時間内に、手が所定動作を行ったかが判断される。所定動作を行った場合、第二時間内に検出された検出データが、手が所定動作を行った場合に検出される検出データのパターンとして記憶される。記憶された検出データのパターンは、手の動作を認識する場合の比較用データとして使用される。第一時間と第二時間とが別々に設定可能であるので、動作時点とウィンドウとの関係を適切に設定した状態で比較データを取得することができる。取得された比較データを使用することによって、動作認識の精度を高めることができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明の情報認識システムでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、第三時間が第一時間より短いので、手が所定動作を行ったことを示す動作情報を漏れなく抽出して所定動作の有無を判断することができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明の情報認識システムでは、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、第二時間は限界時間以下であるので、所定動作が連続して繰り返し行われた場合であっても、複数の動作に基づく検出データが、一の検出データのパターンに含まれてしまうことを防止できる。
【0019】
また、請求項4に係る発明の情報認識システムでは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第二記憶手段に記憶される検出データのパターンに基づいて動作認識が実行される場合に、動作認識に要する時間を短縮することができる。
【0020】
また、請求項5に係る発明の情報認識システムでは、請求項4に記載の発明の効果に加えて、所定動作を顕著に示す比較データを確実に取得することができる。取得された比較データに基づいて動作認識を実行することによって、動作認識の精度をさらに高めることができる。
【0021】
また、請求項6に係る発明の情報認識システムでは、請求項1から5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、キーボードを打鍵する動作に基づいた比較データを取得することができる。取得された比較データを用いることによって、打鍵されたキーの種別を認識することができる。
【0022】
また、請求項7に係る発明の情報認識システムでは、請求項6に記載の発明の効果に加えて、キーボードの押し下げ操作と押し上げ操作とのうち、打鍵動作がより顕著に表れる操作を選択して比較データを取得することができる。取得された比較データを用いることによって、キー種別の認識精度をより高めることができる。また、押下されたキーの種別の認識だけでなく、キーの押下状態が解除された場合のキーの種別の認識も可能となるので、多様なキー操作を認識することができる。
【0023】
また、請求項8に係る発明の情報認識装置では、所定時点から第一時間内に、手が所定動作を行ったかが判断される。所定動作を行った場合、第二時間内に検出された検出データが、手が所定動作を行った場合に検出される検出データのパターンとして記憶される。記憶された検出データのパターンは、手の動作を認識する場合の比較用データとして使用される。第一時間と第二時間とが別々に設定可能であるので、動作時点とウィンドウとの関係を適切に設定した状態で比較データを取得することができる。取得された比較データを使用することによって、動作認識の精度を高めることができる。
【0024】
また、請求項9に係る発明の情報認識プログラムでは、請求項8に記載の情報認識装置の各処理手段としてコンピュータを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】情報認識システム1の概要を示す模式図である。
【図2】検出データからパターンデータを抽出する処理の概要を示す図である。
【図3】検出データからパターンデータを抽出する処理の概要を示す図である。
【図4】検出データからパターンデータを抽出する処理の概要を示す図である。
【図5】打鍵動作を認識する処理の概要を示す図である。
【図6】検出装置2の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】情報認識装置3の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】パターンデータ3831を示す模式図である。
【図9】学習処理を示すフローチャートである。
【図10】動作認識処理を示すフローチャートである。
【図11】動作情報受信処理を示すフローチャートである。
【図12】送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態における情報認識システム1について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0027】
はじめに、図1を参照し、情報認識システム1の概要について説明する。情報認識システム1は、検出装置2と情報認識装置3とを少なくとも備えている。検出装置2は、手袋の形状を有しており、ユーザの手に装着される。図1では、右手用の検出装置2と左手用の検出装置2とが準備されている。検出装置2の電源が投入された状態で、検出装置2において手の動きを示す信号が検出される。検出された信号のデータが、情報認識装置3に対して送信される。情報認識装置3においてデータが解析される。ユーザによって行われた手の動作の内容が、情報認識装置3において特定される。
【0028】
例えば、ユーザがキーボードのうち特定のキーを打鍵する動作を行った場合、検出装置2において打鍵動作を示す信号が検出され、データが情報認識装置3に送信される。情報認識装置3においてデータが受信され、解析される。解析の結果、打鍵動作によって選択されたキーの種別が特定される。選択されたキーの種別が手の動きから特定可能となるので、ユーザはキーボードを用いることなく情報を入力することが可能となる。なお以下では、情報認識システム1において、ユーザの打鍵動作からキーの種別が特定される場合を例示して説明する。しかしながら本発明はこれに限定されない。例えば情報認識システム1は、他の手の動き(手話動作など)から入力情報を特定してもよい。
【0029】
情報認識装置3におけるデータの解析方法の概要について説明する。情報認識装置3には、キーの打鍵動作を示すデータ(以下「パターンデータ」という。)が、キーの種別毎に予め記憶されている。情報認識装置3では、検出装置2から受信したデータとパターンデータとが比較される。受信したデータがパターンデータに該当すると判断された場合に、パターンデータに対応付けられた種別のキーが打鍵されたと判断される。
【0030】
情報認識装置3は、パターンデータを取得する為の動作モード(以下「学習モード」という。)にて動作可能である。情報認識装置3は、学習モード動作時において検出装置2から受信したデータを、パターンデータとしてキー種別に対応付けて記憶する。記憶したパターンデータは、通常動作時において、検出装置2から受信したデータの解析に使用される。本実施の形態は、情報認識装置3が最適なパターンデータを取得することによって、認識精度の高いデータ解析を可能とするものである。
【0031】
検出装置2及び情報認識装置3について詳説する。検出装置2は、手袋形状を有する手袋部13を備えている。手袋部13のうちそれぞれの指先部分に、手の動きを検出する加速度センサ(以下、「センサ21」という。)が取り付けられている。なおセンサ21としては、加速度センサの他に例えばジャイロセンサなどが使用可能である。検出装置2は、手袋部13の手首部分に制御部22を備えている。センサ21と制御部22とはハーネス14によって接続されている。センサ21において検出された信号は、ハーネス14を介して制御部22に伝送される。制御部22は、図示外のアンテナ28(図6参照)を備えている。制御部22は、センサ21によって検出された信号を受け、データ化して情報認識装置3に対して無線送信する(データ化された信号を「検出データ」という。)。制御部22は、LEDで構成された表示部29を備えている。表示部29は、検出装置2の状態等をユーザに通知する為に設けられている。なお表示部29としては、LEDの他に例えばLCDなどが使用可能である。
【0032】
情報認識装置3は、図示外のアンテナ35及びアンテナ37(図7参照)を備えている。情報認識装置3は、検出装置2の制御部22から無線送信された検出データを、アンテナ35を介して受信する。受信された検出データが解析され、打鍵動作によって選択されたキー種別が特定される。特定されたキー種別の情報は、アンテナ37を介して他の機器(PCなど)に無線送信される。
【0033】
情報認識装置3には、キーボード15が接続される。キーボード15は、学習モード動作時において使用される。情報認識装置3は、LEDで構成された表示部39を備えている。表示部39は、情報認識装置3の状態等をユーザに通知するために設けられている。なお表示部39としては、LEDの他に例えばLCDなどが使用可能である。情報認識装置3は、入力部40を備えている。入力部40は、情報認識装置3の動作モード(通常モード、学習モード、詳細後述)を切り替える場合に使用される。入力部40としては、例えばタッチセンサやボタン等が使用される。
【0034】
なお、図1に示す情報認識システム1では、右手用の検出装置2と左手用の検出装置2とが準備されている。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。情報認識システム1は、片方の手に装着される検出装置2のみ備えた構成であってもよい。センサ21は、手袋部13のうち指先部分に取り付けられていたが、本発明はこの構成に限定されず、他の部位(指の関節部分、掌、手の甲など)に取り付けられていてもよい。センサ21と制御部22との間の通信は、ハーネス14を介した有線通信に限定されず、無線通信であってもよい。検出装置2と情報認識装置3との間の通信、情報認識装置3と他の機器(PCなど)との間の通信は無線通信に限定されず、有線通信であってもよい。情報認識システム1は、情報認識装置3が手袋部13に取り付けられた構成であってもよい。
【0035】
検出装置2のセンサ21は、検出される信号として、3軸(x軸、y軸、z軸)の其々の方向の加速度信号(G(x),G(y),G(z))を常時出力している。加速度信号(G(x),G(y),G(z))は、制御部22に内蔵されるCPU23(図6参照)によって所定周期(5ms)で検出され、データ化されて検出データとされる。検出データは、検出装置2から情報認識装置3に対して送信される。情報認識装置3において、検出装置2から送信された検出データが受信される。検出データは、手袋部13の各指に取り付けられたセンサ21毎に、検出データ記憶領域382(図7参照)に記憶される。
【0036】
キーボード15(図1参照)は、キーの打鍵の有無を示す情報(以下「動作情報」という。)と、打鍵されたキーの種別を示す情報(以下「キー情報」という。)とを、情報認識装置3に対して常時送信している。動作情報とは、キーボードが押下されない状態でHiレベル(例えば3.0V)を示し、キーボードが押下された場合にLowレベル(例えば0V)を示す情報である。情報認識装置3において、キーボード15から送信された動作情報とキー情報とが受信される。受信された動作情報とキー情報とは、対応付けられて動作情報記憶領域381(図7参照)に記憶される。
【0037】
なお本実施の形態では、キーボード15は動作情報とキー情報とを情報認識装置3に対して常時送信する構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、動作情報が変位した(Hiレベル→Lowレベル、Lowレベル→Hiレベル)場合にのみ、キーボード15が動作情報とキー情報とを情報認識装置3に対して送信する構成としてもよい。
【0038】
情報認識システム1において、学習モード動作時にパターンデータが取得される場合の概要について、図2〜図4を参照して説明する。なお本実施の形態では、右手用の検出装置2のセンサ21において検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))の検出データと、左手用の検出装置2のセンサ21において検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))の検出データとは、それぞれ別々に情報認識装置3にて受信され、パターンデータとして記憶される。従って以下においては、右手用の検出装置2のセンサ21において検出された信号のデータがパターンデータとして情報認識装置3に記憶される場合について説明する。左手用の検出装置2において検出された信号のデータがパターンデータとして記憶される場合については、説明を省略する。図2中の点90は、人差し指に取り付けられたセンサ21からの加速度信号(G(x),G(y),G(z))のうちz軸成分の信号(G(z))に基づく検出データを示している。図2中の点90の検出データにおいて、図面左右方向は時間軸(t)を示しており、図面上下方向はz軸方向の加速度(G(z))を示している。図2中の線91は動作情報を示している。図2中の線91の動作情報において、図面左右方向は時間軸を示しており、図面上下方向はキーの押下状態(Hiレベル:押下状態、Lowレベル:押下していない状態)を示している。図2では、動作情報はHiレベルが維持されているので、キーボードは押下されていない。検出データは、キーボードが押下されていないので、小さな振幅で推移している。
【0039】
図2に示すように、動作情報記憶領域381に記憶された動作情報(線91)のうち、所定時点101から第一時間Aの間(図中点線121)に受信された動作情報が抽出される。第一時間Aは15msに設定される。また、検出データ記憶領域382に記憶された検出データのうち、所定時点102から第二時間Bの間(図中点線122)に検出された検出データが抽出される。第二時間Bは500msに設定される。
【0040】
なお以下、第一時間Aの間を模式的に示す図中点線121の領域を第一ウィンドウと呼ぶ。第二時間Bの間を模式的に示す図中点線122の領域を第二ウィンドウと呼ぶ。第一時間Aの間に受信された動作情報を抽出することを、「第一ウィンドウによって動作情報を切り出す。」という。第二時間Bの間に受信された検出データを抽出することを「第二ウィンドウによって検出データを切り出す。」という。第一ウィンドウによって切り出された動作情報のうち最も早く受信された動作情報の受信時点を、第一時間Aの開始時点と呼ぶ。図中の所定時点101が、第一時間Aの開始時点に該当する。第一ウィンドウによって切り出された動作情報のうち最も遅く受信された動作情報の受信時点を、第一時間Aの終了時点と呼ぶ。図中の所定時点103が、第一時間Aの終了時点に該当する。第二ウィンドウによって切り出された検出データのうち最も早く受信された検出データの受信時点を、第二時間Bの開始時点と呼ぶ。図中の所定時点102が、第二時間Bの開始時点に該当する。第二ウィンドウによって切り出された検出データのうち最も遅く受信された検出データの受信時点を、第二時点Bの終了時点と呼ぶ。図中の所定時点105が、第二時間Bの終了時点に該当する。
【0041】
ここで第一ウィンドウと第二ウィンドウとが所定の位置関係を示すように、第一時間Aと第二時間Bと所定時点101と所定時点102とが其々設定される。具体的には、第一時間Aの開始時点101と終了時点103との間の中点104の位置が、第二時間Bの開始時点102と終了時点105との間の中点106の位置と比較して、第二時間Bの終了時点105側に配置されるように、第一ウィンドウと第二ウィンドウとが配置される。具体的には、中点104は、中点106と比較して第四時間だけ第二時間Bの終了時点105側に配置されている。本実施の形態では、第四時間は100msに設定されている。以上の条件を満たす第一時間Aと第二時間Bと所定時点101と所定時点102とが其々設定される。
【0042】
第一ウィンドウによって動作情報が切り出され、且つ、第二ウィンドウによって検出データが切り出された後、次いで、打鍵の有無が判断される。第一ウィンドウによって切り出された動作情報の中に、HiレベルからLowレベルに変位する部分が含まれているか否かが判断されることによって、打鍵(キーの押し下げ)の有無が判断される。変位する部分が含まれていない場合、キーが打鍵されていないと判断される。この場合、図3に示すように、所定時点101から第三時間C経過後の時点が、新たな第一時間Aの所定時点111とされる。第三時間Cは10msに設定される。そして、新たな所定時点111から第一時間Aの間の第一ウィンドウによって、動作情報が切り出される。また、所定時点102から第三時間C経過後の時点が、新たな第二時間Bの所定時点112とされる。そして、新たな所定時点112から第二時間Bの間の第二ウィンドウによって、検出データが切り出される。このように、所定時点を第三時間Cずつ移動させながら第一ウィンドウ及び第二ウィンドウが繰り返し設定される。設定された第一ウィンドウ及び第二ウィンドウによって、動作情報と検出データとが繰り返し切り出される。そして切り出された動作情報に基づいて、キーボードの打鍵の有無が繰り返し判断される。
【0043】
ここで図3に示すように、ユーザが「J」のキーを打鍵する動作を行っていたとする(図中矢印94)。動作情報は、図中92に示すように、「J」のキーが押下されている間Lowレベルとなる。加速度情報(G(z))の経時変化の軌跡は、図中93に示すように、「J」の打鍵動作によって、振幅の大きい特有のパターンを描く。
【0044】
所定時点が第三時間Cずつ順次更新され、第一ウィンドウと第二ウィンドウとによって動作情報と検出データとが繰り返し切り出された結果、図4に示すように、所定時点113から第一時間Aの間の第一ウィンドウ(図中点線123)よって動作情報が切り出されたとする。また、所定時点114から第二時間Bの間の第二ウィンドウ(図中点線124)によって検出データが切り出されたとする。
【0045】
第一ウィンドウによって切り出された動作情報には、HiレベルからLowレベルへの変位95が含まれる。またこの場合、「J」が打鍵されたことを示すキー情報が、動作情報と同時に受信されている。これらから、「J」のキーが打鍵されたと判断される。第二ウィンドウによって切り出された検出データ(図中96)が、「J」のキーが押下されたことを示すパターンデータとされる。パターンデータは、「J」を示すキー情報に対応付けられ、パターンデータ記憶領域383に記憶される。
【0046】
パターンデータ記憶領域383に記憶されたパターンデータは、通常モード動作時において、打鍵動作からキー種別を判断する処理を行う場合に使用される。通常モード動作時において検出装置2から受信された検出データは、パターンデータと比較される。受信された検出データがパターンデータと良好に一致すると判断された場合に、パターンデータに対応付けられたキー情報にて特定されるキーが打鍵されたと判断される。このように、学習モード時において取得されたパターンデータに基づいて、ユーザが選択したキー種別を特定することができる。
【0047】
通常モード動作時において、記憶したパターンデータに基づいてキー種別が特定される場合の処理概要について、図5を参照して説明する。検出データ記憶領域382に記憶された検出データのうち、所定時点115から第二時間Bの間に検出された検出データが第二ウィンドウによって切り出される(切り出された検出データを「解析対象データ」という。)。切り出された解析対象データと、学習モードにおいてパターンデータ記憶領域383に記憶されたパターンデータとが比較される。解析対象データと良好に一致するパターンデータがパターンデータ記憶領域383に記憶されておらず、キーの種別が特定できない場合、打鍵動作が行われていないと判断される。この場合、所定時点115から所定時間(例えば10ms)経過後の時点が新たな所定時点116とされる。そして新たな所定時点116から第二時間Bの間の第二ウィンドウによって解析対象データが切り出され、繰り返しキーの種別の特定が試みられる。このように、所定時点を所定時間ずつ移動させ、第二ウィンドウを移動させながら、解析対象データが切り出される。
【0048】
ここで、ユーザが「J」のキーを打鍵する動作を行っていたとする(図中矢印97)。加速度信号(G(z))の経時変化の軌跡は、図中98に示すように、「J」の打鍵動作によって特有のパターンを描く。
【0049】
所定時点が所定時間ずつ順次更新されながら、繰り返し解析対象データが切り出された結果、所定時点117を所定時点とし、解析対象データ99が切り出されたとする。図5に示すように、切り出された解析対象データ99は、「J」に対応付けられたパターンデータ96と良好に一致するので、解析対象データ99はパターンデータ96に該当すると判断される。ユーザがキー「J」の打鍵動作を行ったものと判断される。
【0050】
ここで本実施の形態では、第一ウィンドウと第二ウィンドウとの位置関係は、既述のように、図2に示す位置関係となっている。このため、学習モードにおいて切り出されるパターンデータのうち打鍵瞬間の動作を顕著に示す部分、即ち振幅の最も大きい部分は、図4及び図5に示すように、第二ウィンドウの幅の中心(第二時間Bの中点)に対して右側寄り(第二時間Bの終了時点寄り)に配置される。このため、振幅の最も大きい部分以降のデータをパターンデータとして多く含ませないようにすることができる。また、このようなパターンデータを用いることによって、通常モード時において、パターンデータと良好に一致する解析対象データを迅速に切り出すことができる。理由は以下の通りである。切り出される解析対象データのうち振幅の最も大きい部分の位置は、第二ウィンドウが順次移動するに従い、第二ウィンドウの右側(第二時間Bの終了時点)から左側(第二時間Bの開始時点)に移動する。このため、解析対象データとパターンデータとは、早い段階で良好に一致する。このようにして、打鍵動作から認識完了までの時間を短縮することができる。
【0051】
また本実施の形態では、図2に示すように、第一ウィンドウの幅の中心(第一時間Aの中点)が、第二ウィンドウの幅の中心(第二時間Bの中点)から第四時間(100ms)だけ右端(第二時間Bの終了時点)側に配置される。第四時間(100ms)は、第二ウィンドウの幅の中心から右端までの時間(250ms)と比較して短い。第一ウィンドウの右端(第一時間Aの終了時点)は、第二ウィンドウの右端(第二時間Bの終了時点)よりも中心側に配置される。これによって、打鍵動作からキーの種別を認識する場合の認識精度を高めている。打鍵瞬間の動作を顕著に示す部分(振幅の最も大きい部分)が確実にパターンデータに含まれることとなり、この部分を解析対象データと比較することができるためである。また、打鍵動作が認識される迄の時間は、第四時間の調整によって変更可能である。このため、ユーザにとって最適な認識時間に調整することができる。認識までの時間が長すぎたり短すぎたりする場合、ユーザは認識処理に違和感を持ってしまうためである。本実施の形態における第四時間は、打鍵動作が認識される迄の時間としてユーザが違和感を持たない程度の時間として設定されている。
【0052】
なお、第一時間A、第二時間B、第三時間Cは、上述した値に限定されず、他の値であってもかまわない。また、第一ウィンドウと第二ウィンドウとの位置関係は上述の関係に限定されず、他の位置関係であってもかまわない。
【0053】
但し、第一時間Aと第二時間Bとは、第一時間Aと比較して第二時間Bが長くなるように設定される。これによって、打鍵の前後で検出された検出データを切り出し、パターンデータとすることができる。また第三時間Cが第一時間Aと比較して短くなるように、第三時間Cが設定される。これによって、動作情報の全てを切り出して打鍵動作の有無を判断することができる。実際には打鍵動作がなされているにもかかわらず、打鍵動作が認識されない不具合の発生を防止できる。また第二時間Bは、指が連続して打鍵可能な最小の時間(限界時間)よりも短くなるように設定される。これによって、学習モード時において連続して打鍵動作が実行された場合であっても、打鍵動作に対応する信号部分がパターンデータの中に複数含まれてしまうことを防止できる。パターンデータに複数の打鍵動作に対応する部分が含まれてしまって、解析対象データの認識精度が劣化してしまうことを防止できる。
【0054】
上述では、一つのセンサ21において検出された信号に基づく検出データのみをパターンデータとして取得し、記憶していた。しかしながら実際は、すべてのセンサ、すべての方向の検出データがパターンデータとして抽出される。また図5では、説明のため、解析対象データとパターンデータとのz軸成分同士のみを比較する例を挙げて説明した。しかしながら実際には、3軸(x軸、y軸、z軸)のデータ全てが比較され、解析対象データがパターンデータと良好に一致するかが判断される。なお図5では、人差し指に取り付けられたセンサ21から検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))のみに基づいて、キー種別を特定していた。しかしながら本発明はこの方法に限定されない。他の複数のセンサ21から同時に検出される加速度信号(G(x),G(y),G(z))を総合的に解析することによって、キー種別を特定してもよい。
【0055】
検出装置2の電気的構成について、図6を参照して説明する。検出装置2は、センサ21から出力される加速度信号(G(x),G(y),G(z))の検出処理や、検出データの送信処理を司るCPU23を備えている。検出装置2は、CPU23が駆動する場合に必要なプログラム、初期設定情報、及びパラメータが少なくとも記憶されるROM24を備えている。検出装置2は、タイマやカウンタ等が記憶されるRAM25を備えている。CPU23は、ROM24とRAM25とバス30を介して電気的に接続している。CPU23は、ROM24及びRAM25の記憶領域にアクセスすることができる。
【0056】
検出装置2は、既述のセンサ21と、センサ21から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ26とを備えている。センサ21はA/Dコンバータ26と電気的に接続している。A/Dコンバータ26はCPU23と電気的に接続している。CPU23は、センサ21からの出力信号を検出することができる。
【0057】
検出装置2は、変調制御を司るRFモジュール27と、無線の送受信が行われるアンテナ28とを備えている。CPU23はRFモジュール27と電気的に接続している。RFモジュール27はアンテナ28と電気的に接続している。CPU23は、アンテナ28を介して情報認識装置3と無線通信を行うことができる。
【0058】
検出装置2は、検出装置2の状態等をユーザに対して通知することが可能な表示部29を備えている。CPU23は表示部29と電気的に接続している。CPU23は、所望の情報を表示部29に表示させることができる。
【0059】
情報認識装置3の電気的構成について、図7を参照して説明する。情報認識装置3は、解析対象データの解析制御や検出データの通信制御を司るCPU31を備えている。情報認識装置3は、初期設定情報やパラメータ情報等が記憶されるROM32を備えている。情報認識装置3は、タイマやカウンタ等が記憶されるRAM33を備えている。情報認識装置3は、後述する変数やテーブルが記憶されるフラッシュメモリ38を備えている。CPU31は、ROM32とRAM33とフラッシュメモリ38とバス41を介して接続している。CPU31は、ROM32、RAM33、及びフラッシュメモリ38の記憶領域にアクセスすることができる。
【0060】
情報認識装置3は、変復調制御を司るRFモジュール34と、検出装置2との間で無線の送受信が行われるアンテナ35とを備えている。CPU31はRFモジュール34と電気的に接続している。RFモジュール34はアンテナ35と電気的に接続している。CPU31は、アンテナ35を介して検出装置2と無線通信を行うことができる。
【0061】
情報認識装置3は、変復調制御を司るRFモジュール36と、他の機器(PCなど)との間で無線の送受信が行われるアンテナ37とを備えている。CPU31はRFモジュール36と電気的に接続している。RFモジュール36はアンテナ37と電気的に接続している。CPU31は、アンテナ37を介して検出装置2と無線通信を行うことができる。
【0062】
情報認識装置3は、情報認識装置3の状態等をユーザに対して通知することが可能な表示部39を備えている。CPU31は表示部39と電気的に接続している。CPU31は、所望の情報を表示部39に表示させることができる。情報認識装置3は、ユーザが入力操作可能な入力部40を備えている。CPU31は入力部40と電気的に接続している。CPU31は、入力内容を認識できる。
【0063】
情報認識装置3は、キーボード15が接続されるキーボードインタフェース(以下「キーボードI/F」という。)42を備えている。CPU31はキーボードI/F42と電気的に接続している。CPU31は、キーボードI/F42に接続されたキーボード15から、動作情報とキー種別とを受信することができる。
【0064】
フラッシュメモリ38に設けられる記憶領域について説明する。フラッシュメモリ38は、動作情報記憶領域381と検出データ記憶領域382とパターンデータ記憶領域383とプログラム記憶領域384とその他の情報記憶領域385とを少なくとも備えている。
【0065】
動作情報記憶領域381には、学習モード動作時においてキーボード15から受信した動作情報とキー情報とが少なくとも記憶される。検出データ記憶領域382には、検出装置2から受信した検出データが記憶される。パターンデータ記憶領域383には、学習モード動作時において取得されたパターンデータが記憶される。プログラム記憶領域384には、CPU31が駆動する場合に必要なプログラムが記憶される。その他の情報記憶領域385には、上述した情報以外の情報が記憶される。
【0066】
フラッシュメモリ38のパターンデータ記憶領域383に記憶されるパターンデータの一例(パターンデータ3831)について、図8を参照して説明する。パターンデータ3831には、打鍵動作が行われた場合の手の動きを示す加速度信号(G(x),G(y),G(z))に基づくデータ(x軸方向、y軸方向、z軸方向)として学習モード時に取得されたパターンデータが記憶される。パターンデータは、キー種別に対応付けてセンサ21毎(親指、人差し指・・・)に記憶される。
【0067】
パターンデータとして、打鍵動作が行われた場合にセンサ21から検出される加速度信号(G(x),G(y),G(z))のデータが100ms周期で合計5つずつ、500ms分記憶されている。図8に示す例では、キー種別「Q」「W」「E」に対応するパターンデータが、センサ21毎(親指、人差し指・・・)に、x軸方向、y軸方向、z軸方向についてそれぞれ記憶されている。なお、第二時間Bの間の第二ウィンドウによって切り出された検出データが、パターンデータとしてパターンデータ記憶領域383に記憶される場合、所定のデータ操作を行うことによって検出データが圧縮される。詳細は後述する。
【0068】
情報認識装置3のCPU31において実行される各種処理(学習処理、動作認識処理、動作情報受信処理)について、図9〜図11を参照して説明する。学習処理は、学習モードで動作する指示が入力部40を介してユーザによってなされた場合に、CPU31によって起動され実行される。動作認識処理は、通常モードで動作する指示が入力部40を介してユーザによってなされた場合に、CPU31によって起動され実行される。動作情報受信処理は、CPU31電源が投入された場合に起動され実行される。なお、検出装置2から検出データを受信する処理(検出データ受信処理、図示外)が常にCPU31によって実行されている。
【0069】
CPU31は、学習モード動作時において、学習処理、動作情報受信処理、及び検出データ受信処理のうち何れの処理を実行させるかを、所定の周期で切り替える。またCPU31は、通常モード動作時において、動作認識処理、動作情報受信処理、及び検出データ受信処理のうち何れの処理を実行させるかを、所定の周期で切り替える。一の処理から他の処理に実行処理が切り替わる場合、実行中であった処理は一旦中断される。そして他の処理が代わりに実行される。中断された処理は、次の実行タイミングで中断時点から処理を再開する。このようにしてCPU31では、異なる処理が並列して実行される。
【0070】
学習処理について、図9を参照して説明する。学習処理では、学習モード動作時に検出される検出データに基づいて、パターンデータが取得される。学習処理が起動されると、はじめに、初期設定処理が実行される(S11)。初期設定処理では、学習処理において必要なパラメータの初期値がRAM33に記憶される。具体的には、第一時間(15ms)と第二時間(500ms)と第三時間(10ms)と第四時間(100ms)がRAM33に記憶される。
【0071】
動作情報記憶領域381に記憶されている動作情報のうち、所定時点から第一時間(15ms)の間の動作情報が、第一ウィンドウによって切り出される(S13)。動作情報記憶領域381には、受信処理(図11参照、後述)においてキーボード15から受信した動作情報とキー情報とが記憶されている。切り出された動作情報は、RAM33に記憶される。
【0072】
検出データ記憶領域382に記憶されている検出データのうち、所定時点から第二時間(500ms)の間の検出デーが、第二ウィンドウによって切り出される(S15)。検出データ記憶領域382には、受信処理(図11参照、後述)において検出装置2から受信した検出データが記憶されている。検出データは5ms周期で3軸(x軸、y軸、z軸)分取得されているので、第一ウィンドウによって切り出される検出データの総数は、第一時間が500msであることから、300(=(500/5)×3)ということになる。切り出された検出データは、RAM33に記憶される。
【0073】
次いで、RAM33に記憶された動作情報が参照される。打鍵動作を示すHiレベルからLowレベルへの変位が、動作情報に含まれているかが判断される(S17)。HiレベルからLowレベルへの変位が含まれている場合(S17:YES)、打鍵動作が行われているということになる。この場合、打鍵情報に対応付けられたキー情報に基づいて、打鍵されたキーの種別が特定される(S19)。S15において切り出され、RAM33に記憶された検出データにキー情報が対応付けられ、パターンデータとしてパターンデータ記憶領域383に記憶される(S21)。そしてS23に移行される。
【0074】
なお、切り出された検出データは、以下のようにして圧縮され、パターンデータ記憶領域383に記憶される。検出データ(総数300)が、3軸成分(x軸、y軸、z軸)毎に20ずつに分割される。分割された其々の検出データの平均値が算出される。算出の結果、合計15つの平均値(x軸:5つ(=(300/3/20))、y軸:5つ(=(300/3/20))、z軸:5つ(=(300/3/20)))が得られる。得られた平均値が、パターンデータとされ、パターンデータ記憶領域383に記憶される。
【0075】
一方、切り出された動作情報に、打鍵動作を示すHiレベルからLowレベルへの変位が含まれていない場合(S17:NO)、ユーザはキーを打鍵していないので、そのままS23に移行される。
【0076】
S23では、学習モードを終了させる操作がユーザによって入力部40を介してなされたかが判断される(S23)。学習モードを終了させるための操作がなされた場合(S23:YES)、学習処理は終了する。一方、学習モードを終了させるための操作がなされていない場合(S23:NO)、第一時間Aの開始時点から第三時間C経過後の時点を新たな第一時間Aの開始時点に設定する。同様に、第二時間Bの開始時点から第三時間C経過後の時点を新たな第二時間Bの開始時点に設定する(S25)。そして、続いて行われる打鍵動作を検出して繰り返しパターンデータを取得するために、S13に戻り、上述の処理が繰り返される。
【0077】
動作確認処理について、図10を参照して説明する。動作確認処理では、通常モード動作時に検出される検出データとパターンデータとが比較される。これによって、打鍵動作によって打鍵されたキーの種別が特定される。動作確認処理が起動されると、はじめに、初期設定処理が実行される(S31)。初期設定処理では、動作確認処理において必要なパラメータの初期値がRAM33に記憶される。
【0078】
次いで、検出データ記憶領域382に記憶されている検出データのうち、所定時点から第二時間Bの間の検出データが、解析対象データとして第二ウィンドウによって切り出される(S33)。検出データ記憶領域385には、受信処理(図11参照、後述)において検出装置2から受信した検出データが記憶されている。検出データは5ms周期で3軸(x軸、y軸、z軸)分取得されているので、第二時間B(500ms)内に解析対象データとして切り出される検出データの総数は300(=(500/5)×3)ということになる。
【0079】
次いで、切り出された解析対象データと、パターンデータ記憶領域383に記憶したパターンデータとが比較され、打鍵動作によって選択されたキーの種別の特定が試みられる(S35)。比較は、例えば以下のようにして行われる。解析対象データとして抽出された検出データ(総数300)が、3軸成分(x軸、y軸、z軸)毎に20ずつに分割される。分割された其々の検出データの平均値が算出される。算出の結果、合計15つの平均値(x軸:5つ(=(300/3/20))、y軸:5つ(=(300/3/20))、z軸:5つ(=(300/3/20)))が得られる。得られた平均値が、パターンデータ記憶領域383に記憶されているパターンデータと比較される。平均値とパターンデータとを比較する方法としては特に限定されない。例えば、平均値とパターンデータとの相違の度合いが予め設定されている閾値未満となっているか否かを判断することによって実行することができる。また例えば、一般的なパターンマッチングの手法を用いることができる。
【0080】
比較の結果、解析対象データとパターンデータとが良好に一致した場合、パターンデータに対応付けられているキー情報のキーが打鍵されたと判断される(S37:YES)。この場合、特定されたキーを示す情報がRFモジュール36によって変調され、アンテナ37を介して他の機器(PCなど)に送信される(S39)。他の機器(PCなど)において、キーの種別が認識される。そしてS41に移行する。一方、解析対象データとパターンデータとが一致せず、打鍵されたキーが特定できなかった場合(S37:NO)、特段処理を行うことなくS41に移行する。
【0081】
S41の処理では、第二時間Bの開始時点から所定時間経過後の時点が新たな第二時間Bの開始時点に設定される(S41)。そしてS33に戻り、継続して打鍵動作の認識処理を実行するために上述の処理が繰り返される。
【0082】
動作情報受信処理について、図11を参照して説明する。動作情報受信処理では、はじめに検出装置2から受信した検出データ(全てのセンサ21における3軸分のデータ)がフラッシュメモリ38の検出データ記憶領域382に記憶される(S53)。そしてS55に移行する。
【0083】
S55では、キーボード15から送信される動作情報とキー情報とを受信しているかが判断される(S55)。動作情報とキー情報とを受信している場合(S55:YES)、受信した動作情報とキー情報とが対応付けられ、フラッシュメモリ38の動作情報記憶領域381に記憶される(S57)。そしてS53に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。一方、動作情報とキー情報とを受信していない場合(S55:NO)、特段処理を行うことなくS53に戻る。そして上述の処理が繰り返し実行される。
【0084】
検出装置2のCPU23において実行される送信処理について、図12を参照して説明する。送信処理は、検出装置2の電源が投入された場合において、CPU23により起動され実行される。
【0085】
送信処理が実行されると、はじめに、所定の短い周期(例えば100ns)で更新されるタイマが初期化される(S60)。次いで、センサ21から出力される加速度信号(G(x),G(y),G(z))を検出する周期(5ms。以下「検出周期」という。)が到来したかが、タイマによって判断される(S61)。検出周期が到来していない場合(S61:NO)、S61に戻り、継続して検出周期の到来が監視される。検出周期が到来した場合(S61:YES)、センサ21から出力される加速度信号(G(x),G(y),G(z))が取得される(S63)。全てのセンサ21について、3軸(x軸、y軸、z軸)分の加速度信号(G(x),G(y),G(z))が取得される。検出された加速度信号(G(x),G(y),G(z))はデータ化され、検出データとして情報認識装置3に対して無線送信される(S65)。そしてS60に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。無線送信された検出データは、情報認識装置3において上述のように解析処理が実行される。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態では、打鍵動作によって選択されたキーの種別を認識する場合に使用されるパターンデータを取得することができる。取得されたパターンデータを使用することによって、キーの種別を認識するために要する時間を短縮することができる。また認識の精度を高めることができる。
【0087】
なお、上述における各打鍵動作が本発明の「所定動作」に相当し、打鍵動作をしたと判断することが本発明の「所定動作をおこなったと判断すること」に相当し、パターンデータにおけるキー種別が本発明の「所定動作を示す情報」に相当する。図12のS63の処理を行うCPU23が本発明の「取得手段」に相当し、S65の処理を行うCPU23が本発明の「送信手段」に相当する。図7のRFモジュール34、及びアンテナ35が本発明の「受信手段」に相当する。図9のS17の処理を行うCPU31が本発明の「判断手段」に相当し、動作情報のHiレベルからLowレベルへの変位が「所定動作」に該当する。図9のS15の処理を行うCPU31が本発明の「抽出手段」に相当し、S21の処理を行うCPU31が本発明の「記憶制御手段」に相当する。図7において、検出データが記憶される検出データ記憶領域382を備えたフラッシュメモリ38が本発明の「第一記憶手段」に相当し、パターンデータが記憶されるパターンデータ記憶領域383を備えたフラッシュメモリ38が本発明の「第二記憶手段」に相当する。
【0088】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、キーが押し下げられ、動作情報がHiレベルからLowレベルに変位した場合に、打鍵されたと判断されていた。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。従って、キーが押し上げられ、動作情報がLowレベルからHiレベルに変位した場合に、キーが押し上げられ、打鍵されたと判断してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 情報認識システム
2 検出装置
3 情報認識装置
15 キーボード
21 センサ
23 CPU
31 CPU
38 フラッシュメモリ
382 検出データ記憶領域
383 パターンデータ記憶領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置と、前記検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置とを備えた情報認識システムであって、
前記検出装置は、
人の手に取り付けられるセンサと、
前記センサにおいて検出される信号であって、前記手の動きを示す信号を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記信号のデータである検出データを、前記情報認識装置に対して送信する送信手段と
を備え、
前記情報認識装置は、
前記検出装置から送信された前記検出データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、
所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、
前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、
前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする情報認識システム。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記所定時点から前記第一時間よりも短い第三時間経過後の時点を新たな前記所定時点として、前記手が前記所定動作を行ったか否かを繰り返し判断することを特徴とする請求項1に記載の情報認識システム。
【請求項3】
前記第二時間は、前記手が前記所定動作を連続して実行可能な最小の時間である限界時間以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報認識システム。
【請求項4】
前記第一時間における開始時点と終了時点との間の中点である第一中点の位置が、前記第二時間における開始時点と終了時点との間の中点である第二中点の位置と比較して、前記第二時間の前記終了時点側に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報認識システム。
【請求項5】
前記第一中点の位置が、前記第二中点の位置から前記第二時間の前記終了時点側に、前記第二時間の終了時点と前記第二中点との間の時間よりも短い第四時間移動した位置に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする請求項4に記載の情報認識システム。
【請求項6】
前記情報認識装置は、前記動作情報を取得するキーボードを備えており、
前記判断手段は、
前記キーボードが操作されることによって前記動作情報を取得した場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報認識システム。
【請求項7】
前記判断手段は、
前記所定動作として、前記キーボードの押し下げと押し上げとの少なくともいずれかの操作がなされた場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする請求項6に記載の情報認識システム。
【請求項8】
センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置であって、
前記検出装置の前記センサにおいて検出された信号のデータである検出データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、
所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、
前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、
前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする情報認識装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報認識装置の各処理手段としてコンピュータを駆動させるための情報認識プログラム。
【請求項1】
センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置と、前記検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置とを備えた情報認識システムであって、
前記検出装置は、
人の手に取り付けられるセンサと、
前記センサにおいて検出される信号であって、前記手の動きを示す信号を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記信号のデータである検出データを、前記情報認識装置に対して送信する送信手段と
を備え、
前記情報認識装置は、
前記検出装置から送信された前記検出データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、
所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、
前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、
前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする情報認識システム。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記所定時点から前記第一時間よりも短い第三時間経過後の時点を新たな前記所定時点として、前記手が前記所定動作を行ったか否かを繰り返し判断することを特徴とする請求項1に記載の情報認識システム。
【請求項3】
前記第二時間は、前記手が前記所定動作を連続して実行可能な最小の時間である限界時間以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報認識システム。
【請求項4】
前記第一時間における開始時点と終了時点との間の中点である第一中点の位置が、前記第二時間における開始時点と終了時点との間の中点である第二中点の位置と比較して、前記第二時間の前記終了時点側に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報認識システム。
【請求項5】
前記第一中点の位置が、前記第二中点の位置から前記第二時間の前記終了時点側に、前記第二時間の終了時点と前記第二中点との間の時間よりも短い第四時間移動した位置に配置されるように、前記第一時間の開始時点と前記第二時間の開始時点とが設定されることを特徴とする請求項4に記載の情報認識システム。
【請求項6】
前記情報認識装置は、前記動作情報を取得するキーボードを備えており、
前記判断手段は、
前記キーボードが操作されることによって前記動作情報を取得した場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報認識システム。
【請求項7】
前記判断手段は、
前記所定動作として、前記キーボードの押し下げと押し上げとの少なくともいずれかの操作がなされた場合に、前記手が前記所定動作を行ったと判断することを特徴とする請求項6に記載の情報認識システム。
【請求項8】
センサと送信手段とを少なくとも備えた検出装置において検出された信号に基づいて、入力情報を認識する情報認識装置であって、
前記検出装置の前記センサにおいて検出された信号のデータである検出データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記検出データを記憶する第一記憶手段と、
所定時点から第一時間内の動作情報から、前記手が所定動作を行ったか否かを判断する判断手段と、
前記所定動作が行われたと判断された時点が少なくとも含まれる時間であって前記第一時間よりも長い第二時間内に検出された前記検出データを、前記第一記憶手段に記憶されている複数の前記検出データから抽出する抽出手段と、
前記判断手段において、前記手が所定動作を行ったと判断された場合に、前記抽出手段によって抽出された前記検出データを、前記手が前記所定動作を行った場合に検出される前記検出データのパターンとして、前記所定動作を示す情報に対応付けて第二記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする情報認識装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報認識装置の各処理手段としてコンピュータを駆動させるための情報認識プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−48518(P2011−48518A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194957(P2009−194957)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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