説明

情報読み取り装置、および情報読み取り方法

【課題】光ディスクの非接触型ICチップと容易に通信でき、条件に一致した対象物を容易に特定でき、しかも光ディスクの記録内容などの非接触型ICチップの内容を容易に把握できる情報読み取り装置、および情報読み取り方法を提供する。
【解決手段】外形の1つの面に平板状に設けられた第1のアンテナ部11と、1つの面に対する側面に平板状に設けられて、その短軸方向の大きさが第1のアンテナ部11の短軸方向の大きさより小さく形成された第2のアンテナ部13と、第1のアンテナ部11または第2のアンテナ部13のいずれか一方を選択的に用いて非接触型ICチップ32と通信し、非接触型ICチップ32に記録された情報を取得する主回路10と、を有し、主回路10は、第1のアンテナ部11または第2のアンテナ部13を通じて非接触型ICチップ32から情報を取得した場合に振動通知部18を振動させて情報取得を通知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICチップに記録された情報を読み取る情報読み取り装置、および情報読み取り方法に関し、特に、非接触型ICチップに記録された情報を読み取る、携帯型の情報読み取り装置、および情報読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像などの大容量データを記録可能な記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、HD−DVD、Blu−ray Disc(登録商標)などの光ディスクが広く普及している。また、光ディスクとしては、ROM(Read Only Memory)型と呼ばれる再生専用ディスクだけでなく、“Recordable”と呼ばれる追記型ディスクや“ReWritable”と呼ばれる書き換え型ディスクも一般的となっている。
【0003】
この光ディスクは、非常に大量のデータを安価に記録可能であることから、プログラムやデータの記録や頒布の他、音楽ソフトおよび映像ソフトの頒布や、放送内容の録音や録画などの音声データおよび映像データの記録に広く用いられている。
【0004】
一方、端末側のリーダ/ライタとの間において、非接触で情報の受け渡しが可能な非接触型IC(Integrated Circuit)チップは、端末装置との通信時に物理的接触が不要という要因などによって接続開始から接続終了までの処理時間を短くでき、また、高度な相互認証および暗号処理による高いセキュリティを持つといった特徴を有している。このため、電子マネーや交通乗車券、入館証などの用途で普及が進んでいる。
【0005】
そして、このような優れた特徴を持つ非接触型ICチップを、光ディスクの基板上に搭載することが考えられている。
たとえば、2枚のディスク基板のそれぞれに凹部を形成したうえで、ディスク基板を貼り合わせたときにそれぞれの凹部の間に形成される間隙に、ICチップやその送受信用のアンテナを一体のモジュールとして配置した光ディスクが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
これにより、光ディスクプレーヤにセットして光ディスクの光学的情報記録層にアクセスすることなく、光ディスクに搭載された非接触型ICチップを読み書きすることで光ディスクの記録内容を確認することができる。
【0006】
また、多数配置された物品に付されたタグに記録された情報を読み取って、物品を管理する技術が知られている。
たとえば、物品に添設された情報タグに記録されている物品の情報を読み取って物品の配置を検査する情報検査装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
ところで、非接触型ICチップとリーダ/ライタとの間では、それぞれが備えているアンテナによって電磁波を用いて通信を行っている。しかし、それぞれのアンテナの形状によっては、電磁波の特性上、送受信の際に指向性が生じる場合があるため、各アンテナが発生する電磁波の強度や互いのアンテナの位置関係によっては、通信できない事態が生じる。
【0008】
特に、通信周波数13.56MHzの場合に代表される電磁誘導方式の非接触型ICカードやRFID(Radio Frequency Identification)では、非接触型ICチップのアンテナコイルとリーダ/ライタ側のアンテナコイルとが対向しているときに、通信状態が良好になるようにされており、各アンテナコイルの方向が直交しているとき(すなわち、アンテナコイルのアンテナ面の法線が直交しているとき)には通信できない場合がある。
【0009】
これに対して、アンテナ同士の位置関係の問題から良好な通信ができない場合に、ブースタアンテナと呼ばれる中継用のアンテナを用いて、通信状態を改善する技術が知られている。
たとえば、記録媒体の収納ケースにブースタアンテナを設けることで、記録媒体に搭載された非接触型ICチップと、収納棚に設けられたリーダ/ライタとの間で通信できるようにした情報記憶媒体管理システムが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−245381号公報
【特許文献2】特開2001−247209号公報
【特許文献3】特開2005−339170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、光ディスクは通常、専用の収納ケースに入れられて保管されることが多く、収納ケースに入れられた光ディスクが多数、収納棚に載置されることも多い。
したがって、上述したような非接触型ICチップが搭載された光ディスクについても、同様に収納ケースに入れられた状態で収納棚に載置される事態が当然考えられる。
【0011】
これに対して、上記の特許文献2では、収納ケースに入れられて複数が横に並べられた光ディスクや、収納ケースごと収納棚に入れられた複数の光ディスクは、互いに記録面が近接して対向した状態となるので、記録面に平行にリーダ/ライタのアンテナ面を近づけることはできず、非接触型ICチップと通信することは非常に困難である。
【0012】
たとえば、収納ケースにおいて光ディスクの記録面と平行をなす面(以下、ケース主面と呼ぶ)が互いに近接して並べられた場合において、通信を良好に行うためにリーダ/ライタのアンテナ面と光ディスク上のアンテナとを対向状態に近づけるためには、隣接する収納ケース同士の間隔を空けたり、個々の収納ケースを引き出したりといった動作を行わなければならない。
このため、収納ケース内の複数の光ディスクの非接触型ICチップに対して順次連続して通信しようとすると、上記のような煩雑な動作が必要となり、時間がかかってしまう。
【0013】
ここで、上記の特許文献3では、光ディスクが収納ケースに入れられて収納棚に載置された状態で、光ディスクの非接触型ICチップと通信するための方法として、非接触型ICチップのための読取コイル、またはその読取コイルが複数配置されたアンテナボードを、仕切り板や棚板と一体となるように配置した収納棚を用い、その所定の位置に収納ケースを載置したときにケース内の非接触型ICチップと通信可能になるよう、収納ケースにブースタを設けている。
しかし、この構成では読取装置に対応する専用の収納棚が必要であるので、すでにユーザが使用している収納棚では対応できず、また、持ち運び可能な汎用の読取装置を使用することもできない。
【0014】
また、上述した特許文献3の技術では、検索条件に一致する検索対象物を発見した場合に、ユーザが条件に一致した対象物を特定するには、収納棚に内蔵されたLEDの点灯滅灯を見なければならないため、専用の収納棚を使用することしか考えられていない。
したがって、ユーザがリーダライタを手で保持しながら、次々と検索対象となる非接触型ICとの通信を行った場合に、たとえ検索条件に一致する検索対象物を発見した場合であっても、ユーザは条件に一致した対象物を容易に特定することは困難である。また、特許文献3の収納棚に内蔵されたLEDのように光や画像で表示することも容易に考えられるが、ユーザは常にリーダライタにおける光や画像による表示に眼を向けていなければならず、リーダライタを保持していた手の場所と光や画像によって表示された場所の両方に意識を働かせる必要があり、ユーザが行う作業への負担が大きい。
【0015】
このように、光ディスクが収納ケースに入れられて収納棚に載置された状態でも、ケース主面に対して垂直なケース側面からリーダ/ライタをかざすことで、光ディスク上の非接触型ICチップとの間で容易に通信でき、条件に一致した対象物を容易に特定することができるようにすることが望まれている。
特に、光ディスクの収納ケースとしては、ジュエルケース、トールケースなどに代表される、いくつかの特定の構造を持つものが広く普及しており、これらの収納ケースの構造を大きく変えることなく、たとえば、非接触型ICチップが設けられた光ディスクについて、収納ケースに収納された光ディスクが並べられた状態、および収納ケースに収納されていない光ディスク単体の状態のいずれの状態でも、非接触型ICチップと容易に通信できることが要望されている。
【0016】
本発明は、光ディスクの非接触型ICチップと容易に通信でき、条件に一致した対象物を容易に特定でき、しかも光ディスクの記録内容などの非接触型ICチップの内容を容易に把握できる情報読み取り装置、および情報読み取り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の観点は、非接触型ICチップに記録された情報を読み取る携帯型の情報読み取り装置であって、外形の1つの面に平板状に設けられた第1のアンテナと、前記1つの面に対する側面に平板状に設けられて、その短軸方向の大きさが前記第1のアンテナの短軸方向の大きさより小さく形成された第2のアンテナと、前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナのいずれか一方を選択的に用いて前記非接触型ICチップと通信し、当該非接触型ICチップに記録された情報を取得可能な制御部と、振動通知を行うための振動通知部と、を有し、前記制御部は、前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得した場合に、前記振動通知部を振動させて情報取得を通知させる。
【0018】
好適には、前記検索条件の入力を受け付ける検索条件入力部を有し、前記制御部は、前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得する場合には、取得した情報が、前記検索条件入力部によって受け付けられた前記検索条件に該当するか否かを判定し、検索条件に該当する場合に、前記振動通知部を振動させて情報取得を通知させる。
【0019】
好適には、第1の入力部と、第2の入力部と、を有し、前記制御部は、前記第1の入力部の操作を受け付けると、前記第1のアンテナを通じて前記非接触型ICチップに記録された情報を取得し、前記第2の入力部の操作を受け付けると、前記第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得し、前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて取得した情報が、前記検索条件に該当するか否かを判定し、検索条件に該当する場合に、前記振動通知部を振動させて情報取得を通知させる。
【0020】
好適には、前記制御部は、前記第1のアンテナを通じて取得した情報が前記検索条件に該当する場合と、前記第2のアンテナを通じて取得した前記検索条件に該当する場合とで、前記振動通知部の振動状態を異ならせる。
【0021】
好適には、前記制御部は、検索条件に対する一致度に応じて、前記振動通知部の振動状態を異ならせる。
【0022】
好適には、前記第1のアンテナの形成面の法線と前記第2のアンテナのループ面の法線とが直交する。
【0023】
好適には、前記第1のアンテナの形成面の法線は、当該情報読み取り装置を把持したときに当該装置の上下方向を向き、前記第2のアンテナの形成面の法線は、当該情報読み取り装置を把持したときに、前側を向いている。
【0024】
好適には、前記第1のアンテナは、光ディスクの光ディスク基板上にその円周方向に沿って形成されたアンテナコイルと電磁結合して、当該光ディスクに設けられた非接触型ICチップと通信できるように形成され、前記第2のアンテナは、前記光ディスクを収容する光ディスクケースに設けられたブースタアンテナの2つのアンテナコイルのうち、当該光ディスクケース内の前記光ディスクの記録面と垂直な側面に当接または近接して設けられた側面側アンテナコイルと電磁結合できるように形成され、前記ブースタアンテナは、前記側面側アンテナコイルと、前記光ディスクケース内の前記光ディスクに設けられたアンテナコイルと電磁結合するディスク側アンテナコイルとが接続されて、それぞれが送受信する信号を中継するように形成され、前記制御部は、前記光ディスクケース上の前記側面側アンテナコイルに前記第2のアンテナが近接して配置されたとき、当該光ディスクケース内の前記光ディスク上に設けられた前記非接触型ICチップから、前記ブースタアンテナを通じて情報を取得可能である。
【0025】
好適には、当該情報読み取り装置の移動速度を検出する速度検出部と、当該情報読み取り装置の状態を通知する通知部と、を有し、前記制御部は、前記第2のアンテナによる読み取り動作中に、前記速度検出部によって検出された移動速度が、所定の速度より速いか否かを判定し、当該移動速度が所定の速度より速い場合には、前記通知部によってユーザに対して異常を通知させる。
【0026】
本発明の第2の観点は、非接触型ICチップに記録された情報を携帯型の情報読み取り装置によって読み取る情報読み取り方法であって、前記情報読み取り装置に備えられた制御部が、第1のアンテナ、および短軸方向の大きさが前記第1のアンテナの短軸方向の大きさより小さく形成された第2のアンテナのいずれか一方を選択し、選択したアンテナを通じて前記非接触型ICチップと通信し、当該非接触型ICチップに記録された情報を取得し、前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得した場合に検索を行うための検索条件に該当するか否かを判定し、検索条件に該当する場合に、振動通知部を振動させて情報取得を通知する。
【0027】
本発明によれば、制御部において、第1のアンテナ、および第2のアンテナのいずれか一方が選択される。
そして、選択したアンテナを通じて非接触型ICチップと通信が行われ、非接触型ICチップに記録された情報が取得される。
制御部においては、第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて非接触型ICチップから情報を取得した場合に検索を行うための検索条件に該当するか否かが判定される。
そして、検索条件に該当する場合に、振動通知部を振動させて情報取得が通知される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、光ディスクの非接触型ICチップと容易に通信でき、条件に一致した対象物を容易に特定でき、しかも光ディスクの記録内容などの非接触型ICチップの内容を容易に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて詳細に説明する。
【0030】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態で用いられるICリーダの基本的な構造と、このICリーダと非接触型ICチップとの間の通信方法について説明する。
【0031】
図1は、本実施形態に係るICリーダの構成例を示す斜視図である。
【0032】
図1に示すICリーダ1は、光ディスクの再生・記録機器のためのリモートコントローラに非接触型ICのリーダ機能を設け、その上面および先端部にアンテナコイルを配置して構成されている。
ICリーダ1は、主に、ユーザが片手で持った状態で使用され、光ディスクに設けられた非接触型ICチップに記憶されている情報を読み取るために、以下のような基本的構造を有している。
すなわち、ICリーダ1は、非接触型ICチップに記録された情報を読み取るために、第1のアンテナ部11および第2のアンテナ部13を備えている。また、ICリーダ1は、外部通信部17、入力ボタン151、表示ボタン152、検索ボタン153、表示ディスプレイ161、アンテナ発光部162、投光部163、後述する音声出力部164(図3)、および振動通知部18(図2、図3)を備えている。
【0033】
第1のアンテナ部11は、ICリーダ1の上面に平板状に設けられたループ状またはスパイラル状の第1のアンテナコイル111を備えている。第1のアンテナコイル111のループ面の法線は、ユーザがICリーダ1を通常把持した状態で上下方向を向いている。
第1のアンテナコイル111によって、非接触型ICチップを有する光ディスクを上方から近接させた状態で、光ディスクの非接触型ICチップと通信することにより、たとえば、光ディスクの記録内容などが、非接触型ICチップに記録された情報を表示するために取得可能である。
【0034】
第2のアンテナ部13は、ICリーダ1の側面のうちユーザが通常手に持ったときの前方となる前面に、平板状に設けられたループ状またはスパイラル状の第2のアンテナコイル131を備えている。第2のアンテナコイル131は、そのアンテナ面の法線方向が、第1のアンテナコイル111のアンテナ面の法線方向と直交するように設けられている。
第2のアンテナコイル131を、光ディスクを収容した光ディスクケースのブースタアンテナに向けて近接させた状態で、光ディスクケースのブースタアンテナを介して光ディスクの非接触型ICチップと通信することによって、たとえば、光ディスクの記録内容が、非接触型ICチップに記録された情報の検索を行うために取得可能である。
【0035】
ここで、第2のアンテナコイル131は、その短軸方向の大きさが、第1のアンテナコイル111の短軸方向の大きさより小さくなるように形成されている。
したがって、第2のアンテナコイル131が通信対象とする外部のアンテナコイルは、第1のアンテナコイル111の通信対象となる外部のアンテナコイルよりも小さいものとなる。
具体的には、後述するように、第1のアンテナコイル111の大きさや形状は、光ディスク上に搭載された非接触型ICチップのアンテナコイルと電磁結合可能なように最適化され、第2のアンテナコイル131の大きさや形状は、その光ディスクが収容された光ディスクケースの側面に沿って設けられたアンテナコイルと電磁結合可能なように最適化されている。
【0036】
外部通信部17は、IrDA(登録商標)などの赤外線通信、またはBluetooth(登録商標)などの無線通信などにより、携帯電話や情報通信端末などの外部の電子機器と通信が可能である。
【0037】
入力ボタン151は、ユーザによる検索条件などの情報の入力を受け付けるための検索情報入力部として機能するボタン(スイッチ)である。
【0038】
表示ボタン152は、第1のアンテナ部11を動作させることによって非接触型ICチップに記録された情報を取得するためのボタン(スイッチ)である。表示ボタン152は、第1のアンテナ部11の近傍に設けられている。
【0039】
検索ボタン153は、第2のアンテナ部13を動作させることによって非接触型ICチップに記録された情報を検索するためのボタン(スイッチ)である。検索ボタン153は、第2のアンテナ部13の近傍に設けられている。
【0040】
表示ディスプレイ161は、第1のアンテナ部11を通じて取得された非接触型ICチップに記録された情報や、第2のアンテナ部13を通じて検索された結果などを表示する。
表示ディスプレイ161には、液晶モニタを使用するが、たとえば有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイなどの他の薄型表示デバイスを用いてもよい。
【0041】
アンテナ発光部162は、第1のアンテナ部11または第2のアンテナ部13によって非接触型ICチップと通信するときに発光する。
【0042】
投光部163は、第2のアンテナ部13によって取得した情報が検索条件に該当する場合には、第2のアンテナ部13のさらに前方に向けて発光する。
【0043】
音声出力部164は、非接触型ICチップに記録された情報の検索結果などの、ICリーダ1の状態を示す音声メッセージを出力する。
【0044】
振動通知部18は、非接触型ICチップ検索モードにおいて、検索情報入力部としての入力ボタン151により入力された検索情報、すなわち複数の非接触型ICチップの中から指定された情報を記録している非接触型ICを検索するための検索情報に該当する非接触型ICチップを発見したことを振動でユーザに通知する。
【0045】
図2は、ICリーダと光ディスクに搭載された非接触型ICチップとの通信に必要な回路の構成を概略的に示す図である。
【0046】
本実施の形態のICリーダ1は、主回路10、第1のアンテナ部11、第2のアンテナ部13、操作部15、通知部16、外部通信部17、および振動通知部18を有している。
【0047】
ICリーダ1は、第1のアンテナ部11を通じて直接的に、光ディスク3上の非接触型ICチップ32と通信可能であるとともに、ブースタアンテナ20を介することによって第2のアンテナ部13を通じて、光ディスクケース2に収容された状態の光ディスク3上の非接触型ICチップと通信可能である。
なお、ブースタアンテナ20は、光ディスクケース2の内部に設けられて、この内部に収容された光ディスク3上の非接触型ICチップ32と、ICリーダ1の第2のアンテナコイル131などの外部のアンテナとの間で、送受信信号を中継する機能を有する。
【0048】
ICリーダ1の主回路10は、たとえば、ICリーダ1の動作を制御する制御回路、光ディスク3に設けられる非接触型ICチップ32との間で送受信する信号や電源供給用電磁波の変復調回路などから構成される。
主回路10は、光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されている情報を取得するための第1のアンテナ部11および第2のアンテナ部13と接続される。
主回路10は、第1のアンテナ部11または第2のアンテナ部13のいずれか一方を選択的に用いて光ディスク3に搭載されている非接触型ICチップ32と通信し、非接触型ICチップ32に記録された情報を取得する。
【0049】
第1のアンテナ部11は、光ディスクケース2に収容されていない状態の光ディスク3の非接触型ICチップ32と電磁波を送受信するためのスパイラル状の第1のアンテナコイル111、および同調回路112を有している。
【0050】
第2のアンテナ部13は、主に複数が並べられた光ディスクケースに収容されている状態の光ディスク3の非接触型ICチップ32と電磁波を送受信するためのスパイラル状の第2のアンテナコイル131、および同調回路132を有している。
【0051】
主回路10は、同調回路112を介して第1のアンテナコイル111と接続され、同調回路132を介して第2のアンテナコイル131と接続される。
【0052】
同調回路112,132は、たとえばコイル、キャパシタ、抵抗などの回路部品により構成される。
同調回路112内の回路部品のパラメータは、第1のアンテナコイル111と同調回路112とを含む回路が通信周波数に対するインピーダンス整合を調整するように選択される。
同様に、同調回路132内の回路部品のパラメータは、第2のアンテナコイル131と同調回路132とを含む回路が通信周波数に対するインピーダンス整合を調整するように選択される。
【0053】
操作部15は、ユーザによって行われたICリーダ1への操作入力を受け付ける。
通知部16は、ユーザにICリーダ1の状態を通知する。
外部通信部17は、ICリーダ1と外部の情報機器との通信を行う。
振動通知部18は、検索情報に該当する非接触型ICチップを発見したことを振動でユーザに通知する。
これらの操作部15、通知部16、外部通信部17、および振動通知部18についての詳細は、図3等に関連付けて後述する。
【0054】
光ディスク3に設けられる非接触型ICチップ32は、ICリーダ1との間で送受信する信号の変復調回路や制御回路、不揮発性記憶媒体などから構成される。
ここでは一例として、非接触型ICチップ32はICリーダ1との間で電磁波を使用して通信する。
この非接触型ICチップ32はバッテリを持たず、ICリーダ1側から供給される電磁波から電磁誘導によって動作電力を得るものとする。
また、ICリーダ1側と電磁波を送受信するためのスパイラル状のアンテナコイル31は、同調回路33を介して非接触型ICチップ32と接続される。
同調回路33は、ICリーダ1の同調回路112,132と同様に通信周波数に対するインピーダンス整合を調整する機能を有する。
【0055】
ブースタアンテナ20は、上述したように、非接触型ICチップ32側およびICリーダ1側にそれぞれ対応するスパイラル状のアンテナコイル21および22と、それらを接続する同調回路23とから構成される。
同調回路23は、同調回路112,132、および33と同様に通信周波数に対するインピーダンス整合を調整する機能を有する。
【0056】
なお、各アンテナコイル21および22のインピーダンスが通信周波数と整合している場合には特に同調回路23は不要であり、この場合にはアンテナコイル21および22を直接接続することができる。また、ICリーダ1の同調回路112,132、および非接触型ICチップ32の同調回路33も、同様に必要に応じて設けられればよい。
【0057】
なお、アンテナコイル21,22,31、ならびに第1のアンテナコイル111および第2のアンテナコイル131は、スパイラル状以外にたとえば1ターンのループ状アンテナを用いてもよい。
【0058】
図3は、第1の実施の形態のICリーダの回路の構成を示す図である。
【0059】
前述したように、本実施の形態のICリーダ1は、主回路10、第1のアンテナ部11、第2のアンテナ部13、操作部15、通知部16、外部通信部17、および振動通知部18を有している。
【0060】
主回路10は、リーダ制御部101、リーダ通信部102、およびアンテナ切替回路103を備えている。
リーダ制御部101は、このICリーダ1全体を統括的に制御する。
このリーダ制御部101には、図示しないCPU(Central Processing Unit)、図示しないROMや図示しないRAM(Random Access Memory)などのメモリが備えられている。そして、このCPUが、メモリから読み出したプログラムを実行することで、ICリーダ1の各部に対する制御処理を行う。
【0061】
リーダ通信部102は、光ディスク3に設けられた非接触型ICチップ32との間で、非接触で通信するためのRF(Radio Frequency)回路である。
リーダ通信部102は、送信データを変調する図示しない変調回路、および受信データを復調する図示しない復調回路などを備えている。
【0062】
アンテナ切替回路103は、光ディスクに設けられた非接触型ICチップ32と通信するための第1のアンテナ部11および第2のアンテナ部13に接続されている。
アンテナ切替回路103は、リーダ制御部101からの命令に応じて、第1のアンテナコイル111および同調回路112を備える第1のアンテナ部11、または、第2のアンテナコイル131および同調回路132を備える第2のアンテナ部13のうちの一方のみを選択して導通状態とする。
【0063】
操作部15は、入力ボタン151、表示ボタン152、検索ボタン153などの各種の入力スイッチを備えており、ユーザによる操作入力に応じた制御信号をリーダ制御部101に出力する。
入力ボタン151は、ユーザによる検索条件などの情報の入力を受け付けるためのボタンである。
表示ボタン152は、第1のアンテナ部11を動作させることによって非接触型ICチップ32に記録された情報を取得するためのボタンである。
検索ボタン153は、第2のアンテナ部13を動作させることによって非接触型ICチップ32に記録された情報を検索するためのボタンである。
【0064】
通知部16は、表示ディスプレイ161、アンテナ発光部162、投光部163、および音声出力部164を備えており、リーダ制御部101からの指令に応じてユーザにICリーダ1の状態を通知する。
表示ディスプレイ161は、第1のアンテナ部11を通じて取得された非接触型ICチップ32に記録された情報や、第2のアンテナ部13を通じて検索された結果などを表示する。
アンテナ発光部162は、第1のアンテナ部11または第2のアンテナ部13によって非接触型ICチップ32と通信するときに発光する。投光部163は、たとえば、第2のアンテナ部13によって取得した情報が検索条件に該当する場合に、第2のアンテナ部13近傍から前方に向けて発光する。
音声出力部164は、非接触型ICチップ32に記録された情報の検索結果などの、ICリーダ1の状態を示す音声メッセージを出力する。
【0065】
外部通信部17は、リーダ制御部101の指令に従い、外部の情報機器との通信を行ってデータを送受信する。外部通信部17によって、IrDA(登録商標)などの赤外線通信や、Bluetooth(登録商標)などの無線通信により外部の電子機器と通信が可能である。
【0066】
振動通知部18は、非接触型ICチップ検索モードにおいて、検索情報入力部としての入力ボタン151により入力された検索情報、すなわち複数の非接触型ICチップの中から指定された情報を記録している非接触型ICを検索するための検索情報に該当する非接触型ICチップを発見したことを振動でユーザに通知する。
振動通知部18は、たとえばモータと、モータにより駆動される偏心振動部とを有するバイブレータ等により構成される。
振動通知部18は、主回路10のリーダ制御部101により、入力した検索条件と一致した時に、振動するように制御される。
【0067】
本第1の実施の形態においては、図4(A)および(B)に示すように、「ディスク表示」ボタンである表示ボタン15と「ケース検索」ボタンである検索ボタン153を設け、いずれかのボタンを押した時に、アンテナ切り替えと送受信を行う。
「ディスク表示」機能では、第1のアンテナ部11によって通信を行う。
「ケース検索」機能では、第2のアンテナ部13によって通信を行う。
【0068】
「ケース検索」機能では、検索キーワードを入力ボタン151で入力しておいて、主回路10においてサーチする。サーチして検索対象物を発見した場合、音や光や画像で発見したことを通知し、また、振動通知部18の振動により通知する。
振動通知部18により発見したことを通知する場合、たとえば検索キーワードの一致度で、振動の強弱を変化させる。
【0069】
「ケース検索」機能、すなわち、「ケース検索通信処理」においては、
(1)ディスクを検出したことを示す、
(2)検索キーワードに該当するディスク情報を発見したことを示す、
の2つの事象に関して、検出および発見したことを振動通知部18による振動でユーザに通知処理を行う。
【0070】
(1)ディスクを検出した場合
並べられている光ディスクケース2の1つ1つを確実に読み取ったことを通知するために、まず、ケース内の光ディスク(非接触型ICチップ)と通信できた時点でユーザ通知処理を行う。
このときの通知処理は、図5(A)に示すように、振動通知部18により振動で行われる。
光ディスクの検出に関する通知処理における振動の状態は、たとえば、振動の周波数を低く、振動の強弱は弱くする。または、振動の持続時間を検出直後の短時間のみとする。 もちろん通知処理は、通知部16における表示ディスプレイ161、アンテナ発光部162、投光部163、音声出力部164による画像や光や音を併用しても良い。
【0071】
(2)検索キーワードに該当するディスク情報を発見した場合
光ディスクケース2内の光ディスク(非接触型ICチップ)と通信して、光ディスク3を検出した後に、通信したディスク情報の中から検索キーワードを探す。その結果、該当する情報を発見した時点でユーザ通知処理を行う。
このときの通知処理においても、図5(B)に示すように、振動通知部18により振動で行われる。
この場合、たとえば検索キーワードの一致度に応じて、発見通知の振動の周波数や強弱や持続時間を変化させる。
たとえば、キーワードに対する一致度が低い場合は、周波数が低い成分を多く含む振動で通知し、キーワードに対する一致度が高い場合は、周波数が高い成分を多く含む振動で通知する。
またたとえば、キーワードに対する一致度が低い場合は、振動のオンオフを交互に行う断続的な振動で通知し、キーワードに対する一致度が高い場合は、連続的な振動で通知する。
または、振動に音楽のような音階を付ける方法などで、一致度を通知しても良い。
もちろん通知処理は、通知部16における表示ディスプレイ161、アンテナ発光部162、投光部163、音声出力部164による画像や光や音を併用しても良い。
【0072】
このように、本実施の形態においては、ユーザは携帯型のICリーダ1(リーダライタ)を手で保持しながら、次々と検索対象となる非接触型ICチップとの通信を行う。
本実施の形態のICリーダ1は振動通知部18を有することから、その状態の中で、検索条件に一致する物を発見した場所で手に振動を感じるため、ユーザは条件に一致した対象物を特定しやすい。
この検索動作については、後でフローチャートに関連付けて詳述する。
ここで、光ディスクケース2等の構成について説明する。
【0073】
図6は、ICリーダが光ディスクケースに収容された光ディスクの非接触型ICチップと通信する際の様子を示す図である。
【0074】
図6において、光ディスクケース2は、光ディスク3がその内部に装着される樹脂製の収納ケースであり、その外形は、ディスク面に対して垂直な方向が薄くされた直方体をなしている。
また、ディスク面に平行な面(ケース主面)の一辺に接続する側面には、これに近接して、ICリーダ1との間で信号を受け渡すためのブースタアンテナ20(図2)を構成するアンテナコイル22が設けられている。
図6の例では、光ディスクケース2のベース部に対してカバー部が回転可能に連結する連結部側の側面に、ICリーダ1と通信するためのアンテナコイル22が設けられている。また、ブースタアンテナ20を構成する他方のアンテナコイル21は、装着された光ディスク3上のアンテナコイル31に近接して対向するように、光ディスクケース2の内部に設けられている。
なお、光ディスクケース2およびブースタアンテナ20の詳細な構成については後述する。
【0075】
前述したように、ICリーダ1の前面には、平板状の第2のアンテナコイル131が設けられている。
ICリーダ1は、光ディスク3を収容した光ディスクケース2のブースタアンテナ20のICリーダ側のアンテナコイル22に対して、互いの長軸方向および短軸方向を一致させた状態で第2のアンテナコイル131を対向させて近接させることで、光ディスクケース2のブースタアンテナ20を介して光ディスク3の非接触型ICチップ32と通信することができる。
これによって、光ディスク3の記録内容など、非接触型ICチップ32に記録された情報の検索を行うことができるようになる。
【0076】
特に、このような光ディスクケース2を多数、収納棚に収容した場合には、光ディスクケース2同士はディスク面に平行な面(ケース主面)で互いに接触(または近接)するので、このケース主面にICリーダ1をかざして非接触型ICチップ32と通信させることは困難になる。
しかし、収納棚に収容した状態でも、光ディスクケース2の少なくとも1つの側面は外部に露出しているので、この側面に図6のようにブースタアンテナ20のアンテナコイル22を設けておけば、この側面にICリーダ1をかざすことで非接触型ICチップ32との通信が可能となる。
【0077】
そして、本実施の形態のICリーダ1によれば、収納棚に収容した状態で光ディスク3上の非接触型ICチップ32と通信することにより、たとえば、非接触型ICチップ32に楽曲などの情報を記録しておき、この情報をICリーダ1で読み出して表示装置に表示することや、指定したキーワードに合致する情報が非接触型ICチップ32に記録されていたときに、振動、および、または、音声や光などで知らせるなど、所望の楽曲やデータが収録された光ディスク3の検索を容易にすることが可能になる。
【0078】
一方、ICリーダ1の他方の第1のアンテナコイル111は、光ディスク3に設けられたアンテナコイル31に対向させて近接されることで、このアンテナコイル31と電磁結合できるようにしたものである。
したがって、光ディスクケース2から取り出された光ディスク3、あるいは、光ディスクケース2に収容された光ディスク3に対して、そのディスク面に対向させてICリーダ1の第1のアンテナコイル111を近接させることで、光ディスク3上の非接触型ICチップ32から情報を直接読み取ることが可能である。
【0079】
なお、本実施の形態では、リモートコントローラ型のICリーダ1の例を示したが、このICリーダ1の形状や構成はあくまで一例である。
ICリーダの他の構成としては、たとえば、ICリーダ専用に構成されてもよく、携帯電話やその他の携帯用情報通信端末に組み込まれてもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、ICリーダ1を非接触型ICチップからの読み取りのみ行うものとするが、これに限らず、非接触型ICチップに対する書き込みも可能なものとしてもよい。
【0081】
また、表示ディスプレイ161は、表示面に対するユーザの接触操作を検出することでリーダ制御部101に対して制御信号を出力する、いわゆるタッチパネルとして形成されてもよい。
【0082】
図7は、非接触型ICチップが搭載された光ディスクの構成例を示す平面図である。
【0083】
図7に示す光ディスク3は、CDやDVD、HD−DVD(High Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc,ソニー株式会社の登録商標)などの一般的な光ディスク媒体に共通する、以下のような基本的構造を有している。
すなわち、この光ディスク3には、中央部に中心孔36が設けられており、この光ディスク3がディスクドライブに挿入されたときに、この中心孔36を中心に回転され、信号記録面にレーザ光が照射されて、その反射光の光量に応じて信号が読み取られる。
【0084】
光ディスク3の中心孔36から所定距離分だけ外側の領域は、銀(Ag)あるいはアルミニウム(Al)などの導電性材料からなる反射膜が成膜された信号記録領域30となっている。なお、書き込み可能な光ディスクの場合には、この信号記録領域30には反射膜の他、記録膜や誘電体膜などがさらに成膜される。
【0085】
信号記録領域30と中心孔36との間は、ディスクドライブ内でこの光ディスク3をチャッキングするための領域であり、チャッキング領域34などと呼ばれる。そして、このチャッキング領域34には、非接触型ICチップ32と、この非接触型ICチップ32が外部のICリーダとの間で、非接触で通信するためのアンテナコイル31とが設けられている。
図7の例では、アンテナコイル31を3ターンのスパイラル状のものとしている。このような形状のアンテナコイル31は、たとえば、通信周波数として13.56MHzに代表される短波帯を用いた場合に好適である。
【0086】
なお、非接触型ICチップ32の非接触通信のためのアンテナは、光ディスク3の回転時における重量バランスを保つために、中心孔36の周囲領域に、回転軸を中心としたスパイラル状(あるいはループ状)に設けられることが望ましい。
また、このようなアンテナは、図5のようなチャッキング領域34に限らず、たとえば、反射膜が成膜された領域の裏面や、その領域よりさらに外側のディスク縁部のディスク基板に設けられてもよい。
ただし、チャッキング領域34およびその近傍にアンテナを配置した場合には、光ディスク3に対する加工領域を小さくできるというメリットがある。また、反射膜の成膜領域を避けてアンテナを配置することで、ディスク両面に信号を記録できることや、反射膜による電磁効果を軽減できることなどのメリットも生まれる。
【0087】
図8は、ブースタアンテナを搭載した光ディスクケースの構成例の分解斜視図である。
【0088】
図8に示すように、本実施の形態の光ディスクケース2は、基本的に、外部筐体を構成するベース部231およびカバー部232と、それらの内部に収容されるディスクトレイ233とから構成される。
ベース部231とカバー部232とは連結部234において回転可能な状態で連結され、ベース部231に対してカバー部232が連結部234を中心として開閉するようになっている。また、カバー部232が閉じられた状態では、カバー部232がベース部231に対して嵌合して箱形の外形が形成され、その内部が密閉される。
【0089】
ディスクトレイ233は、光ディスク3が装着される部材であり、ベース部231の内側に嵌着される。このディスクトレイ233には、光ディスク3が載置される円形凹状のディスク載置面235が形成され、その中心部には凸状のディスク保持部236が形成されている。ディスク保持部236の周囲は弾性を有し、このディスク保持部236に光ディスク3の中心孔36が嵌合されて、光ディスク3が保持される。
【0090】
このようなベース部231、カバー部232、およびディスクトレイ233の3つの部材から構成される光ディスクケース2は、主にCD用の収納ケースとして最も一般的に流通されているものであり、“ジュエルケース”などと呼ばれる。
なお、ベース部231、カバー部232、およびディスクトレイ233は、たとえばポリスチレン樹脂材料によって形成され、一般には、少なくともベース部231およびカバー部232が透明樹脂材料により形成される。また、ベース部231およびカバー部232と、内部のディスクトレイ233とがそれぞれ別のメーカによって製造され、別々に流通される場合もある。
【0091】
そして、本実施の形態では、この光ディスクケース2に収容された光ディスク3上の非接触型ICチップ32と通信するためのブースタアンテナ20が、ディスクトレイ233に設けられる。
図9に示すように、本実施の形態において、ブースタアンテナ20は、アンテナコイル21および22が基板と一体化されたブースタアンテナユニット20aとして構成される。
【0092】
図9は、光ディスクケースを構成するディスクトレイおよびブースタアンテナユニットの分解斜視図である。
【0093】
図9に示すように、ブースタアンテナユニット20aは、非接触型ICチップ32との通信用のアンテナコイル21と、ICリーダ1との通信用のアンテナコイル22と、各アンテナコイル21および22を接続する接続配線24とからなるブースタアンテナ20が、フレキシブル基板25の上に形成された構成を有している。
各アンテナコイル21および22、接続配線24は、たとえば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属材料をフレキシブル基板25上に印刷などによって薄板状(または薄膜状)に形成したもの、またはたとえば、薄板平板状の金属材料とフレキシブル基板25との貼り合せ材料から接続配線24を残すようにエッチングしたものである。
【0094】
また、非接触型ICチップ32側のアンテナコイル21の中心領域には、フレキシブル基板25にディスクトレイ233のディスク保持部236を貫通させるための中心孔26が形成されている。
さらに、この例では、フレキシブル基板25におけるアンテナコイル21および22の間の領域に、ディスクトレイ233の表面形状に合わせるための折り曲げ部27a〜27cが形成されている。
【0095】
なお、アンテナコイル21および22のアンテナ径や巻き数などは、それぞれ非接触型ICチップ32のアンテナコイル31およびICリーダ1の第2のアンテナ部13の第2のアンテナコイル131のアンテナ径や巻き数などに応じて、良好な通信ができるように適切に決められればよい。
【0096】
また、このブースタアンテナユニット20aに形成されるブースタアンテナ20の回路構成は、図2に示した通りである。
図9では、同調回路23が形成されていないブースタアンテナユニット20aの例を示している。同調回路23が必要な場合には、図9において、たとえば、フレキシブル基板25における接続配線24が形成された領域に同調回路23が設けられればよい。
前述のように同調回路23は、たとえばコイル、キャパシタ、抵抗などから構成される。同調回路23の具体的な実施例としては、たとえば、キャパシタ(チップキャパシタ、図示せず)の一対の電極を接続配線24の一対の配線にそれぞれ接続することで、アンテナコイル21および22に対して並列にキャパシタを接続することができる。
このとき、キャパシタの容量を調節することで、インピーダンスを変化させることができ、結果として通信周波数に対するインピーダンス整合を調整することができる。
【0097】
本実施の形態の光ディスクケース2は、たとえば、以下のような工程により製造される。まず、上述したように、フレキシブル基板25上に、アンテナコイル21および22と接続配線24とが印刷などにより形成されたブースタアンテナユニット20aが、平坦な状態で作製される。一方、射出成型などによりディスクトレイ233が形成される。
【0098】
次に、ブースタアンテナユニット20aの折り曲げ部27a〜27cが、所定の方向に折り曲げ加工された後、そのブースタアンテナユニット20aが、中心孔26をディスクトレイ233のディスク保持部236に位置合わせした状態で、ディスクトレイ233の上面(ディスク載置面235側の面)に固着される。
この例では、フレキシブル基板25のうち、アンテナコイル21および接続配線24の形成面の裏面が、ディスクトレイ233に対して固着される。この結果、ディスク保持部236の周囲を囲むようにアンテナコイル21が配置され、ディスク保持部236に光ディスク3が嵌合されたときに、光ディスク3側のアンテナコイル31とトレイ側のアンテナコイル21との間で確実に電磁結合し、信号を送受信できるようになる。
【0099】
このようなブースタアンテナユニット20aがディスクトレイ233に取り付けられる一方で、ベース部231とカバー部232とが射出成型により形成されて、それらが連結部234において回転可能に連結される。
そして、カバー部232を開いた状態で、ベース部231の内部に、ブースタアンテナユニット20aが固着されたディスクトレイ233が嵌め込まれて固定される。このとき、ブースタアンテナユニット20aのアンテナコイル22は、ディスクトレイ233の凸部237の端部の下部において、ベース部231の回転中心側の側面238(図8参照)の内側に密着するように配置される。
【0100】
なお、ブースタアンテナユニット20aのアンテナコイル22は、基本的に、ベース部231のトレイ取り付け面の4辺にそれぞれ接続する側面のいずれかに当接(または近接)するように配設されればよい。すなわち、アンテナコイル22が当接された側面にICリーダ1をかざすことで、光ディスク3上の非接触型ICチップ32と通信できるようになる。
【0101】
ただし、上記構成の光ディスクケース2では、一般的に、カバー部232の回転中心側の側面238の内部に紙部材が配設されて、この側面238を通して光ディスク3に記録されたコンテンツのタイトルなどが表示されることが多い。
このため、この光ディスクケース2を収納棚に収納した際には、側面238が収納棚の外部に露出する状態となることが多い。
また、側面238の側にアンテナコイル22を配設することで、他の側面に配設した場合と比較して、光ディスク3の着脱の際にユーザがアンテナコイル22に接触してこれを破損する事態を防止できる。
このような点から、アンテナコイル22は側面238に当接するように配設されることが最も好ましい。
【0102】
図10は、非接触型ICチップ側およびICリーダ側のアンテナ配置について説明するための図である。
【0103】
光ディスク3上の非接触型ICチップ32と良好な通信を行う場合、ICリーダ1側の第1のアンテナ部11の第1のアンテナコイル111は、図10(A)に示すように光ディスク3側のアンテナコイル31と近接して対向し、かつ互いに同軸上にあることが望ましい。
しかし、光ディスク3側のアンテナコイル31とICリーダ1側の第1のアンテナコイル111との位置関係が上記の状態からずれるに従って、これらの間の通信状態は悪化する。
そして、図10(B)に示すように、ICリーダ1側の第1のアンテナ部11の第1のアンテナコイル111が光ディスク3の外縁のさらに外側にあり、かつ、この第1のアンテナコイル111と光ディスク3側のアンテナコイル31のそれぞれの軸が直交するような状態のときには、ほぼ通信が困難であることが多い。
【0104】
このように、各アンテナの位置関係によって良好な通信が困難な場合でも、各アンテナの間の通信を仲介するブースタアンテナを用いることで、良好な通信が可能になる。
図10(B)に示すブースタアンテナは、光ディスク3側のアンテナコイル31と対向するアンテナコイル21と、ICリーダ1側の第2のアンテナ部13の第2のアンテナコイル131と対向するアンテナコイル22とが、同調回路23を介して互いに接続されて構成される。このようなブースタアンテナを用いることで、光ディスク3側のアンテナコイル31とICリーダ1側の第2のアンテナコイル131との間の通信を確保することができる。
【0105】
図11は、光ディスクケースの別の構成例を示す正面図である。
【0106】
図11の光ディスクケース50は、基本的に、表面カバー部51aと裏面カバー部51bとを備えた2つ折りの箱形形状を有している。表面カバー部51aと裏面カバー部51bとはケース側面部51cを介して折り曲げ可能に接続されており、これらはたとえばポリプロピレンなどの樹脂材料によって一体に形成されている。
すなわち、表面カバー部51aおよび裏面カバー部51bは、それぞれケース側面部51cとの境界部である折り曲げ部52aおよび52bにおいて90度折り曲げられ、このとき、表面カバー部51aと裏面カバー部51bとが対向する状態となって内部が密閉される。また、このときケース側面部51cは、表面カバー部51aおよび裏面カバー部51bに対して垂直な状態となって、光ディスクケース50の1つの側面を構成するようになる。
【0107】
裏面カバー部51bの内面には、光ディスク3が載置されるディスク載置面53aと、光ディスク3を保持するための凸状のディスク保持部53bが一体に形成されている。
前述した各実施の形態と同様に、ディスク保持部53bの周囲は弾性を有し、このディスク保持部53bに光ディスク3の中心孔36が嵌合されることで、光ディスク3が保持される。
一方、表面カバー部51aの内面は、たとえば光ディスク3に収録されたコンテンツを説明するための冊子などを収容するための冊子収容面54aとなっており、この面には冊子を保持し、かつ係止するための凸状の係止部54bが形成されている。
【0108】
さらに、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cの外面(すなわち、ディスク載置面53aおよび冊子収容面54aの反対面)は、1枚の図示しない透明シートによって覆われている。この透明シートは、その4辺のうち3辺において、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cの端部と固着されているが、残る一辺は固着されずに開放されている。
なお、ここでは例として、図11における上側を開放端部とする。そして、この開放端部から透明シートの内部に、たとえばジャケット写真などが印刷されたパッケージ表示用のカード部材(図示せず)を挿入することが可能になっている。
【0109】
以上のような基本構成を有する光ディスクケース50は、主にDVD用の収納ケースとして最も一般的に流通されているものであり、“トールケース”などと呼ばれる。そして、本実施の形態では、このような既存の光ディスクケース50に対して、ブースタアンテナ20が形成されたブースタアンテナユニット20bが搭載される。
【0110】
ブースタアンテナユニット20bの基本的な構成は上述した光ディスクケースの構成例と同様であり、アンテナコイル21および22と接続配線24とがフレキシブル基板25上に形成された構成となっている。このブースタアンテナユニット20bは、裏面カバー部51bの内面に、アンテナコイル21の中心領域に設けた中心孔56にディスク保持部53bを貫通させた状態で固着される。このとき、アンテナコイル22は、光ディスクケース50を閉じた状態でケース側面部51cの内面に当接するように配設される。
【0111】
ここで、ブースタアンテナユニット20bは、たとえば、平坦な状態のままでそのフレキシブル基板25の裏面全体が光ディスクケース50の内面に固着される。そして、光ディスクケース50が閉じられるときには、折り曲げ部52aおよび52bが折り曲げられるのに連動して、アンテナコイル22の形成領域と接続配線24の形成領域との境界の折り曲げ部27aも折り曲げられる。この結果、ケース側面部51cの外側にICリーダ1をかざしたときに、ICリーダ1の第2のアンテナ部13の第2のアンテナコイル131とアンテナコイル22とが電磁結合されるようになる。
【0112】
また、ブースタアンテナユニット20bは、あらかじめ折り曲げ部27aを境界とした90度の折り曲げ加工が施された後、裏面カバー部51bの内面に固着されてもよい。この場合、フレキシブル基板25の裏面では、アンテナコイル21および接続配線24の形成領域のみが裏面カバー部51bに固着されればよい。
【0113】
なお、上記のトールケース型と同じ基本構成を有する光ディスクケースの例として、ケース内面に光ディスク3の載置面に隣接して、フラッシュメモリなどを備えるメモリカードを脱着可能な脱着部が設けられた光ディスクケースも存在する。このような光ディスクケースに対しても、前述した手法によってブースタアンテナを搭載させることが可能である。
【0114】
次に、第1の実施の形態のICリーダの動作について説明する。
図12は、第1の実施の形態のICリーダで実行されるメイン処理を説明するフローチャートである。
【0115】
まず、ユーザによって操作部15が操作されると、ICリーダ1のリーダ制御部101は、ユーザによる操作部15の操作を検出する(ステップS11)。
次に、リーダ制御部101は、ステップS11でユーザによる表示ボタン152の操作を検出したか否かを判定する(ステップS12)。
この判定処理において、表示ボタン152の操作を検出していない場合には、ステップS14の処理に進む一方、表示ボタン152の操作を検出した場合には、ディスク表示通信処理を実行し(ステップS13)、その後、ステップS18の処理に進む。
このディスク表示通信処理は、光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されている情報を表示する処理であり、詳しくは図13に関連付けて後述する。
【0116】
次に、リーダ制御部101は、ステップS11でユーザによる検索ボタン153の長押し操作(たとえば、検索ボタン153を1秒以上押し続ける操作)を検出したか否かを判定する(ステップS14)。
この判定処理において、検索ボタン153の長押し操作を検出していない場合には、ステップS16の処理に進む一方、検索ボタン153の長押し操作を検出した場合には、ケース検索通信処理を実行し(ステップS15)、その後、ステップS18の処理に進む。
このケース検索通信処理は、光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されている情報の検索結果を表示する処理であり、詳しくは図14に関連付けて後述する。
【0117】
次に、リーダ制御部101は、ステップS11でユーザによる検索ボタン153の二度押し操作(たとえば、検索ボタン153を1秒間に2回以上押す操作)を検出したか否かを判定する(ステップS16)。
この判定処理において、検索ボタン153の二度押し操作を検出していない場合には、ステップS18の処理に進む一方、検索ボタン153の二度押し操作を検出した場合には、検索条件取得処理(検索キーワードの入力処理)を実行し(ステップS17)、その後、ステップS18の処理に進む。
この検索キーワード入力処理(検索条件取得処理)は、光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されている情報を検索する検索条件を取得する処理であり、詳しくは図15に関連付けて後述する。
【0118】
そして、リーダ制御部101は、ユーザによる操作が検出されている場合には、上記の処理を繰り返し(ステップS18)、ユーザによる操作の検出が終了した場合には、処理を終了する。
【0119】
次に、メイン処理のステップS13で実行されるディスク表示通信処理について説明する。
【0120】
図13は、ICリーダで実行されるディスク表示通信処理を説明するフローチャートである。
メイン処理において表示ボタン152のユーザによる操作が検出されると、リーダ制御部101によって図13に示すディスク表示通信処理が実行される。
【0121】
まず、リーダ制御部101は、アンテナ切替回路103に対して、接続先を第1のアンテナ部11に切り替える指令を送信し(ステップS21)、接続された第1のアンテナ部11によって、光ディスク3の非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りを試みる(ステップS22)。
そして、リーダ制御部101は、この非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功したか否かを判定する(ステップS23)。
この判定処理において、検出および読み取りに失敗した場合には、ステップS27の処理に進む一方、検出および読み取りに成功した場合には、ステップS24の処理に進む。
【0122】
非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功した場合、リーダ制御部101は、非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りに成功したことを通知するために振動通知部18が振動制御される(ステップS24)。また、このとき、情報の読み取りに成功したことを示す検出メッセージを通知部16に出力させる。
次に、非接触型ICチップ32との通信によって非接触型ICチップ32に記録されている必要な情報を取得し(ステップS25)、取得した情報を通知部16に設けられた表示ディスプレイ161に表示させ(ステップS26)、その後、メイン処理に復帰する。
【0123】
非接触型ICチップ32の検出または読み取りに失敗した場合、リーダ制御部101は、ステップS22からステップS23の処理を予め定められた規定回数(たとえば、10回)だけ繰り返す。
そして、リーダ制御部101は、この繰り返しが規定回数を超えたか否かを判定し(ステップS27)、繰り返しが規定回数を超えていない場合には、ステップS22の処理に進む一方、繰り返しが規定回数を超えた場合には、非接触型ICチップの検出または記録されている情報の読み取りに失敗したことを示す、「ディスクが見つかりません。」等の検出失敗メッセージを通知部16に出力させ、その後、メイン処理に復帰する。
【0124】
ここで、検出メッセージおよび検出失敗メッセージは、たとえば、音声出力部164に所定の電子音や、合成音によるメッセージを出力させてもよい。また、アンテナ発光部162や投光部163による所定の発光パターンで、ユーザに対して非接触型ICチップの検出または読み取りの成功または失敗を通知してもよい。
【0125】
なお、上記のステップS26では、非接触型ICチップ32から取得した情報をそのまま表示ディスプレイ161に表示する他に、たとえば、取得した情報にあらかじめ対応付けられていた情報を表示してもよい。たとえば、識別番号と楽曲名とを対応付けたテーブルをあらかじめ保持しておき、非接触型ICチップ32から識別番号を取得すると、テーブルを参照して対応する楽曲名を抽出し、表示ディスプレイ161に表示してもよい。
【0126】
次に、メイン処理のステップS15で実行されるケース検索通信処理について説明する。
【0127】
図14は、第1の実施の形態のICリーダで実行されるケース検索通信処理を説明するフローチャートである。
【0128】
メイン処理において検索ボタン153のユーザによる長押し操作が検出されると、リーダ制御部101によって図14に示すケース検索通信処理が実行される。
まず、リーダ制御部101は、アンテナ切替回路103に対して、接続先を第2のアンテナ部13に切り替える指令を送信し(ステップS31)、接続された第2のアンテナ部13によって、光ディスク3の非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りを試みる(ステップS32)。
そして、リーダ制御部101は、この非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功したか否かを判定し(ステップS33)、検出および読み取りに失敗した場合には、ステップS39の処理に進む一方、検出および読み取りに成功した場合には、ステップS34の処理に進む。
【0129】
非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功した場合、リーダ制御部101は非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りに成功したことを通知するために振動通知部18が振動制御される(ステップS34)。また、このとき、情報の読み取りに成功したことを示す検出メッセージを通知部16に出力させる。
そして、非接触型ICチップ32との通信によって非接触型ICチップ32に記録されている必要な情報を取得する(ステップS35)。
【0130】
次に、リーダ制御部101は、取得した情報を、図15の検索条件取得処理によって取得した検索条件によって検索して、検索条件に該当する情報を発見したか否かを判定する(ステップS36)。
検索条件に該当する情報を発見しない場合、リーダ制御部101は、ステップS39に処理を進める一方、検索条件に該当する情報を発見した場合、非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りに成功したことを通知するために振動通知部18が振動制御される(ステップS37)。
そして、取得した情報を通知部16に設けられた表示ディスプレイ161に表示させ(ステップS38)、その後、メイン処理に復帰する。
【0131】
ステップS33において非接触型ICチップ32の検出もしくは読み取りに失敗した場合、またはステップS36において非接触型ICチップ32から検索条件に該当する情報を発見しなかった場合、リーダ制御部101は、ユーザによる検索ボタン153の長押しが解除されたか否かを判定し(ステップS39)、長押しが解除されていない場合には、ステップS32の処理に進む。これにより、ユーザにより検索ボタン153が長押しされている間、ステップS32からステップS36の処理が繰り返される。
一方、長押しが解除されている場合には、非接触型ICチップの検出または記録されている情報の読み取りに失敗したことを示す、「ディスクが見つかりません。」等の検出失敗メッセージを通知部16に出力させ(ステップS40)、その後、メイン処理に復帰する。
【0132】
ここで、検出メッセージ、検出失敗メッセージ、および検索該当メッセージは、表示通信処理(図13)のステップS24の検出メッセージなどと同様に、たとえば、音声出力部164に所定の電子音や、合成音によるメッセージを出力させてもよい。また、アンテナ発光部162や投光部163による所定の発光パターンで、ユーザに対して非接触型ICチップの検出および読み取りの成功もしくは失敗、または検索条件に該当する情報の発見を通知してもよい。
【0133】
次に、メイン処理のステップS17で実行される検索条件取得処理(検索キーワードの入力処理)について説明する。
【0134】
図15は、ICリーダで実行される検索条件取得処理(検索キーワードの入力処理)を説明するフローチャートである。
【0135】
メイン処理において検索ボタン153のユーザによる二度押し操作が検出されると、リーダ制御部101によって図15に示す検索条件取得処理が実行される。
まず、リーダ制御部101は、アンテナ切替回路103に対して、接続先を第2のアンテナ部13に切り替える指令を送信する(ステップS41)。なお、この検索条件取得処理では、第2のアンテナ部13ではなく、第1のアンテナ部11に切り替えて、検索条件を第1のアンテナ部11を通じて取得するようにしてもよい。
この場合、たとえば「キーワードを入力するか、関連するディスクを読み取ってください。」とのメッセージが表示ディスプレイ161に表示される。
【0136】
次に、ユーザによって操作部15が操作されると、リーダ制御部101は、ユーザによる操作部15の操作を検出する(ステップS42)。
次に、リーダ制御部101は、ステップS42でユーザによる入力ボタン151の操作を検出したか否かを判定する(ステップS43)。
この判定処理において、入力ボタン151の操作を検出していない場合には、接続された第2のアンテナ部13によって、光ディスク3の非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りを試み(ステップS46)、ステップS47の処理に進む一方、入力ボタン151の操作を検出した場合には、ユーザによる入力ボタン151の操作を検出することによって検索条件の入力(ボタンによるキーワードの入力)を受け付けて検索条件を取得し(ステップS44)、取得した検索条件をリーダ制御部101内のRAMに記憶し(ステップS45)、ステップS51の処理に進む。
【0137】
次に、ステップS47では、リーダ制御部101は、ステップS46における非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功したか否かを判定する(ステップS47)。
この判定処理において、検出および読み取りに失敗した場合には、ステップS50の処理に進む一方、検出および読み取りに成功した場合には、第2のアンテナ部13を通じて非接触型ICチップ32に記憶されている情報から検索条件を取得し(ステップS48)、取得した検索条件をリーダ制御部101内のRAMに記憶し(ステップS49)、ステップS51の処理に進む。
【0138】
次に、ステップS51では、検索条件の取得に成功したことを示す、「キーワードが入力されました。」等の検索条件取得メッセージを通知部16に出力させ(ステップS51)、その後、メイン処理に復帰する。
ステップS47において検出および読み取りに失敗した場合、リーダ制御部101は、ステップS42からステップS47の処理を予め定められた規定回数(たとえば、10回)だけ繰り返す。
そして、リーダ制御部101は、この繰り返しが規定回数を超えたか否かを判定し(ステップS50)、繰り返しが規定回数を超えていない場合には、ステップS42の処理に進む一方、繰り返しが規定回数を超えた場合には、検索条件の取得に失敗したことを示す、「キーワードが入力されませんでした。」等の検索条件取得失敗メッセージを通知部16に出力させ、その後、メイン処理に復帰する。
【0139】
ここで、検索条件取得メッセージおよび検索条件取得失敗メッセージは、ディスク表示通信処理(図13)のステップS24の検出メッセージなどと同様に、たとえば、音声出力部164に所定の電子音や、合成音によるメッセージを出力させてもよい。また、アンテナ発光部162や投光部163による所定の発光パターンで、検索条件の取得または取得の失敗を通知してもよい。
【0140】
次に、本実施の形態のICリーダによる光ディスクに搭載された非接触型ICチップに記憶されている情報の検索時の様子について説明する。
まず、ICリーダによって、前述した光ディスクケースに収容されている光ディスクの非接触型ICチップを検出する際の様子を説明する。
【0141】
図16は、ICリーダで光ディスクケースに収容された非接触型ICチップが搭載された光ディスクを検出する際の様子を示す図である。
【0142】
たとえば、通常、図16のように非接触型ICチップを搭載した光ディスクを収容する光ディスクケースが、立てられた状態で横に多数並べられているような場合に、光ディスクの非接触型ICチップに記録されている情報を読み取るときには、通信を成立させるために、光ディスクケースを一々手に取って、または収容されている光ディスクを取り出して、光ディスクのディスク面に配置された非接触型ICチップのアンテナコイルをICリーダにかざさす必要がある。
【0143】
これに対して、前述したブースタアンテナ20を搭載した光ディスクケース2を上記と同様に多数並べた場合には、これらの光ディスクケース2の側面に配設された、ブースタアンテナ20のアンテナコイル22に対して、ICリーダ1の前面の第2のアンテナコイル131を順次近接させていくことで、光ディスク3の非接触型ICチップ32から記録されている情報を読み取っていくことができる。従って、光ディスク3や光ディスクケース2に手を触れることなく、非接触型ICチップ32に記録されている情報を読み取ることができる。
【0144】
以下に、本実施の形態のICリーダ1を、前述した光ディスク3および光ディスクケース2と組み合わせて、非接触型ICチップ32に記録されている情報の検索に用いた場合の様子について説明する。
【0145】
光ディスクケース2には、それぞれ前述したブースタアンテナユニットが備えられており、光ディスクケース2の側面側(図16の手前側)には、ブースタアンテナユニットのICリーダ側のアンテナコイル22が設けられている。
【0146】
図14において説明したように、ユーザがICリーダ1の検索ボタン153を長押ししながら前面に設けられた第2のアンテナ部13を、それぞれの光ディスクケース2のアンテナコイル22に対して(図16の例では左から右に)順次かざしていくことによって、それぞれの光ディスク3に搭載された非接触型ICチップ32に記録された情報を読み取ることができる。
このとき、ICリーダ1の通知部16から、光ディスクの非接触型ICチップ32を検出し、通信に成功した旨を通知する検出メッセージ(振動による検出通知を含む)が出力される。検出メッセージは、具体的には、図5(A)に示すように、振動通知部18による振動通知、あるいは、ICリーダ1の投光部163から照射される照射光163aや、図16に示すように、音声出力部164から出力される音声メッセージ164a〜164cなどである。
【0147】
ICリーダ1は、照射光163aの特定の発光パターン(たとえば、ICリーダ1が非接触型ICチップ32を検出し、通信に成功する都度発光して照射光163aを出力)や、音声メッセージ164a〜164cの特定の音(たとえば、ICリーダ1が非接触型ICチップ32を検出し、通信に成功する都度「ピッ!」という電子音)などを出力する。これらによって、ユーザに非接触型ICチップ32の検出および通信の成功を通知することができる。
また、このとき照射光163aは、ICリーダ1の検出対象の光ディスクケース2に向けて投光されるので、ユーザにICリーダ1が現在どの光ディスクケース2と通信を試みているかを簡単に認識させることができる。
【0148】
また、光ディスクケース2の構造や配置などによって、光ディスクケース2の外から内部の光ディスクの有無を視認し難い場合であっても、ユーザに通知部16による検出メッセージによって、当該光ディスクケース2の内部に非接触型ICチップ32を搭載した光ディスク3が収容されていることを通知することができる。
【0149】
このとき、光ディスクケース2に、非接触型ICチップ32を搭載した光ディスク3が収容されていなければ、検出メッセージは出力されない。
これにより、ユーザに当該光ディスクケース2は空であるか、当該光ディスクケースに収容されている光ディスクは非接触型ICチップ32を搭載していないかのいずれかであることを認識させることができる。
【0150】
なお、ICリーダ1の検出メッセージを出力する投光部163を、紫外線を発光する紫外線LEDなどで構成するとともに、光ディスクケース2の背面側のアンテナコイル22が配置されている部分に、ルミノーバ(登録商標)などの、紫外線の照射を受けると蓄光する蓄光塗料を塗布しておいてもよい。
これにより、ICリーダ1の投光部163から検出メッセージとして出力される紫外線の照射光163aを受光すると、図16の受光部分29a〜29cのように、しばらくの間発光し続けるので、ユーザに、ICリーダ1によって検出され、通信に成功した非接触型ICチップ32を搭載した光ディスクが収容されている光ディスクケース2を、より明確に認識させることができる。
【0151】
そして、図14のケース検索通信処理の実行時において、非接触型ICチップ32の検出および通信に成功したICリーダ1は、その非接触型ICチップ32に記憶されている情報について検索を行う。
【0152】
なお、光ディスクケース2が、横に寝かされて縦に積み上げられているような場合には、ユーザは、ICリーダ1を、前後方向を軸にして右または左に90度回転させた状態で用いることにより、同様の効果を発揮させることができる。
【0153】
次に、ICリーダによって、前述した光ディスクの非接触型ICチップに記憶されている情報について検索する際の様子を説明する。
【0154】
図17は、光ディスクケースに収容された光ディスクの非接触型ICチップに記録された情報の検索に成功した際の様子を示す図である。
【0155】
ICリーダ1は、図16において前述したように、検索時において光ディスクケース2に収容された光ディスク3に搭載された非接触型ICチップ32の検出および通信に成功すると、非接触型ICチップ32に記憶されている情報に対して、検索条件に該当する情報があるか否かについて検索を行う。
【0156】
そして、この検索の結果、非接触型ICチップ32に記憶されている検索条件に該当する情報がない場合には、ICリーダ1から音声メッセージ164a,164bや照射光163aなどの前述した検出メッセージが出力されるのみであり、当該非接触型ICチップ32の検索の実行に応じては、ICリーダ1の通知部16から検索に関するメッセージは出力されない。
【0157】
一方、検索の結果、非接触型ICチップ32に記憶されている検索条件に該当する情報がある場合には、ICリーダ1の通知部16から、検出メッセージと異なり、ユーザに検索に成功したことを通知する検索成功メッセージが出力される。検索成功メッセージは、具体的には、図5(B)に示すように、振動通知部18による振動通知、あるいは、ICリーダ1の投光部163から照射される、照射光163aとは異なるパターンの照射光163bや、図17に示すように、音声出力部164から出力される音声メッセージ164a〜164cとは異なる音声メッセージ164dなどである。
【0158】
このように、ICリーダ1は、検出メッセージとは異なる照射光163aの特定の発光パターン(たとえば、ICリーダ1が非接触型ICチップ32に記憶されている情報の検索に成功した場合に、検出メッセージと異なる色で発光する別の発光部が発光して照射光163bを出力)や、音声メッセージ164a〜164cとは異なる特定の音声メッセージ164d(たとえば、ICリーダ1が非接触型ICチップ32に記憶されている情報から「運動会」というキーワードを含む情報の検索に成功した場合に、「運動会のディスクを見つけました」という合成音声)などによって、ユーザに非接触型ICチップ32に記憶されている情報の検索の成功を通知することができる。
【0159】
これにより、ユーザは、複数並べられた光ディスクケース2に触れることなく、検索条件に従って、光ディスク3が搭載している非接触型ICチップ32に記録されている情報を検索することができるとともに、検索結果を容易に認識することができる。
【0160】
なお、ICリーダ1の投光部163の照射光163aによる発光パターンの他の例として、まず常時発光させておき、非接触型ICチップ32の検出および通信の成功時に所定の発光パターン(たとえば、長い周期の点滅)で投光し、さらに非接触型ICチップ32に記憶されている情報の検索の成功時にさらに異なる発光パターン(たとえば、短い周期の点滅)で投光するようにしてもよい。
【0161】
また、検出メッセージと同様に、検索成功メッセージを出力するICリーダ1の投光部163を、紫外線を発光する紫外線LEDなどで構成するとともに、光ディスクケース2の背面側のアンテナコイル22が配置されている部分に、ルミノーバ(登録商標)などの、紫外線の照射を受けると蓄光する蓄光塗料を塗布しておいてもよい。
これにより、ICリーダ1の投光部163から検索成功メッセージとして出力される紫外線の照射光163bを受光すると、図17の受光部分29dのように、照射光163bが照射されなくなっても、しばらくの間発光し続けるので、ユーザに、ICリーダ1による情報の検索に成功した非接触型ICチップ32を搭載した光ディスク3が収容されている光ディスクケース2を、より明確に認識させることができる。
【0162】
次に、光ディスクに搭載された非接触型ICチップに記録されている情報について説明する。
【0163】
図18〜図21は、非接触型ICチップに記録されているディスク主情報およびディスク補助情報を示す図である。
【0164】
本実施の形態のICリーダ1は、ユーザが、動画ファイル、データファイル、プログラムファイル、音楽ファイルなどの、光ディスク3に記録されている内容の検索を行うために、非接触型ICチップ32に記録されている情報から検索条件に該当する情報の有無を判定する機能を備えている。ここで、ICリーダ1による検索に用いられる、非接触型ICチップ32に記録される情報について説明する。
【0165】
光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されている情報は、図18〜図21に示すように、ディスク主情報411〜414と、ディスク補助情報421〜424とにより構成されている。
【0166】
ディスク主情報411〜414は、たとえば、図18に示すように、「要素番号」、「情報種別」、および「内容」の3つの情報から構成され、横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、非接触型ICチップ32に格納されているディスク主情報テーブルに格納されている。
【0167】
要素番号は、ディスク主情報テーブルに格納されている各ディスク主情報を識別するために割り当てられた番号である。要素番号は、関連付けられた各ディスク主情報に対して、各非接触型ICチップ32内でユニークに割り当てられる。
【0168】
情報種別は、そのディスク主情報がどのような種類の情報であるかを示す情報である。情報種別には、たとえば、その非接触型ICチップ32を識別するための記号である「チップID」、その非接触型ICチップ32を搭載している光ディスクを識別するための記号である「ディスクID」、そのディスク主情報が、テレビ番組を録画した動画データに対応付けられているものであることを示す「TV番組」、そのディスク主情報が、音楽曲を録音した音楽データに対応付けられているものであることを示す「音楽曲」などがある。なお、情報種別の種類は、これに限られず、必要に応じて定めることができる。
【0169】
内容は、そのディスク主情報が示す情報である。この内容は、情報種別に応じたものが格納される。
たとえば、情報種別が「ディスクID」や「チップID」の場合には、それぞれディスクIDまたはチップIDを示す記号が格納される。情報種別が「TV番組」や「音楽曲」の場合には、それぞれテレビ番組または音楽曲のタイトルが格納される。
【0170】
ディスク補助情報421〜424は、たとえば、図18に示すように、「要素番号」、「主情報番号」、「情報種別」、および「内容」の4つの情報から構成され、横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、非接触型ICチップ32に格納されているディスク主情報テーブルに格納されている。
ディスク補助情報421〜424は、光ディスク3に記録されている内容の検索に用いるための情報であり、本実施の形態では、ディスク主情報の前述したTV番組および音楽曲に従属して設けられている。
【0171】
要素番号は、ディスク補助情報テーブルに格納されている各ディスク補助情報を識別するために割り当てられた番号である。
要素番号は、関連付けられた各ディスク補助情報に対して、各非接触型ICチップ32内でユニークに割り当てられる。
主情報番号は、そのディスク補助情報が従属しているディスク主情報を特定するための番号である。主番号情報は、ディスク主情報の要素番号が用いられる。この主情報番号によって、1つのディスク主情報に対して1つ以上のディスク補助情報が対応付けられる。
【0172】
情報種別は、そのディスク補助情報がどのような種類の情報であるかを示す情報である。情報種別には、たとえば、そのディスク補助情報がテレビ番組に関するものである場合には、「番組録画時間」、「番組副タイトル」、「番組種別」、「番組出演者」などがあり、そのディスク補助情報が音楽曲に関するものである場合には、「音楽演奏時間」、「音楽歌手」、「音楽作詞作曲」などがある。なお、情報種別の種類は、これに限られず、必要に応じて定めることができる。
【0173】
内容は、そのディスク補助情報が示す情報である。この内容は、情報種別に応じたものが格納される。
たとえば、情報種別が「番組録画時間」の場合には、テレビ番組の録画開始時間および録画終了時間が格納される。
情報種別が「番組副タイトル」の場合には、テレビ番組の副タイトルが格納される。
情報種別が「番組種別」の場合には、「ニュース」や「スポーツ」などのテレビ番組の種別が格納される。
情報種別が「番組出演者」の場合には、テレビ番組の出演者名が格納される。情報種別が「音楽演奏時間」の場合には、音楽曲の演奏の録音時間が格納される。
情報種別が「音楽歌手」の場合には、音楽曲の歌手名が格納される。
情報種別が「音楽作詞作曲」の場合には、音楽曲の作詞者名および作曲者名が格納される。
【0174】
本実施の形態のICリーダ1は、光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されているこれらのディスク主情報およびディスク補助情報に基づいて、光ディスク3に記録されている内容を検索することができる。
【0175】
次に、本実施の形態のICリーダ1で行われる検索および検索時にICリーダ1の表示ディスプレイ161に表示される検索表示画面について説明する。
図22〜図27は、表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す図である。
【0176】
検索表示画面431〜436は、大別すると、「検出情報欄」、「検索キーワード欄」、および「履歴欄」から構成されている。
検出情報欄は、「チップID欄」、「検索結果欄」、および「一致度表示欄」から構成されている。
【0177】
チップID欄は、ICリーダ1が非接触型ICチップ32を検出した場合に、その非接触型ICチップ32と通信して取得したディスク主情報(図18〜図21参照)のチップIDが表示される欄である。
【0178】
検索結果欄は、ICリーダ1が検索条件に基づき非接触型ICチップ32に記録されている情報を検索した結果、検索条件に該当する情報を発見した場合に、その発見された情報および発見された情報に関連する情報が表示される欄である。
【0179】
一致度表示欄は、ICリーダ1が検索条件に基づき非接触型ICチップ32に記録されている情報を検索して検索条件に該当した情報について、検索キーワードに基づく検索結果の一致の程度を評価した値である一致度を表示する欄である。
この一致度は、たとえば、検索条件に該当した情報の、検索対象のディスク主情報およびディスク補助情報の項目数に対する、検索キーワードと一致した項目数の比によって算出するが、これに限らず、他の尺度を用いることができる。
【0180】
本実施の形態においては、この一致度に関連して、たとえば検索キーワードの一致度に応じて、振動通知部18による発見通知の振動の周波数や強弱や持続時間を変化させる。
たとえば、キーワードに対する一致度が低い場合は、周波数が低い成分を多く含む振動で通知し、キーワードに対する一致度が高い場合は、周波数が高い成分を多く含む振動で通知する。
またたとえば、キーワードに対する一致度が低い場合は、振動のオンオフを交互に行う断続的な振動で通知し、キーワードに対する一致度が高い場合は、連続的な振動で通知する。
【0181】
検索キーワード欄は、「キーワード欄」および「検索項目選択ボタン」から構成されている。
キーワード欄は、検索条件を構成するキーワードを入力する欄である。検索項目選択ボタンは、検索条件を構成する検索対象の指定を入力する選択ボタンである。
【0182】
なお、検索条件は、外部通信部17を通じて、たとえば携帯電話などの外部の情報端末装置から取得してもよい。
履歴欄は、「検索履歴タブ」および「検出履歴タブ」を備えている。
検索履歴タブを選択すると、過去に検索したキーワードが表示される。検出履歴タブを選択すると、過去に検出された情報が表示される。
これらの検索履歴タブおよび検出履歴タブによって表示された語句を選択してコピーすることによって、検索のためのキーワードとして用いることができる。
【0183】
図22は、キーワードを「北野一郎」として「人物」について検索するように設定されている場合であって、光ディスク3が検出できない状態における検索表示画面431を示している。
ここでたとえば、「人物」について検索するように設定した場合、図18〜図21で示した非接触型ICチップに記録されているディスク主情報411〜414およびディスク補助情報421〜424の中から、情報種別として「番組出演者」「音楽歌手」「音楽作詞作曲」などの人物に関する情報として格納されている中から、キーワード検索をするように設定したことに相当する。
【0184】
図23は、キーワードを「北野一郎」として「人物」について検索するように設定されている場合であって、チップIDが「9E8F2D64AC35B702」である光ディスク3(図19参照)を検出したが、検索条件に該当する情報を発見できなかった状態における検索表示画面432を示している。
すなわち、図19で例示した情報の格納状態に対して、情報種別として「番組出演者」「音楽歌手」「音楽作詞作曲」などの人物に関する情報の中に、「北野一郎」が格納されていなかったことに相当する。
【0185】
図24は、キーワードを「北野一郎」として「人物」について検索するように設定されている場合であって、チップIDが「9E8F2D64AC35B701」である光ディスク3(図18参照)を検出し、検索条件に該当する情報を発見した状態における検索表示画面433を示している。
すなわち、図18で例示した情報の格納状態に対して、ディスク補助情報421の中の情報種別として「番組出演者」である要素番号B3に検索条件に該当する情報を発見し、ディスク主情報411の中の要素番号A3の「TV番組」「おはよう朝です」が検索結果であることを表示している。
【0186】
図25は、キーワードを「北野一郎」として「人物」について検索するように設定されている場合であって、チップIDが「9E8F2D64AC35B703」である光ディスク3(図20参照)を検出し、検索条件に該当する情報を発見した状態における検索表示画面434を示している。
この場合、図20で例示した情報の格納状態に対して、ディスク補助情報423の中の情報種別として「番組出演者」である要素番号B3に検索条件に類似した「北野二郎」という情報(「北野一郎」と1文字違いの情報)を発見し、検索結果の一致度が「25」という低い状態ではあるものの、ディスク主情報413の中の要素番号A3の「TV番組」「野球中継」が類似した検索結果であることを表示している。
【0187】
図26は、キーワードを「空上健一」として「全て」について検索するように設定されている場合であって、チップIDが「9E8F2D64AC35B702」である光ディスク3(図17参照)を検出し、検索条件に該当する情報を発見した状態における検索表示画面435を示している。
この場合、図19で例示した情報の格納状態に対して、情報種別として全てに検索を行った結果、ディスク補助情報422の中の要素番号B9に検索条件に該当する情報を発見し、ディスク主情報412の中の要素番号A5の「音楽曲」「明日は天気」の中の作曲者として一致度が低い状態で検索結果に該当したことを表示している。
【0188】
図27は、キーワードを「空上健一」として「全て」について検索するように設定されている場合であって、チップIDが「9E8F2D64AC35B704」である光ディスク3(図19参照)を検出し、検索条件に該当する情報を発見した状態における検索表示画面436を示している。
すなわち、図20で例示した情報の格納状態に対して、情報種別として全てに検索を行った結果、ディスク補助情報424の中の要素番号B2、B3、B5、B6、B8、B9に検索条件に該当する情報を発見し、ディスク主情報414の中の要素番号A3、A4、A5の3つの「音楽曲」が検索結果であることを表示している。
【0189】
以上説明した第1の実施の形態のICリーダ1によれば、非接触型ICチップ32と光ディスク3の回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナコイル31とが設けられた光ディスク3を内部に収容する光ディスクケース2であって、光ディスクの非接触型ICチップ32との通信を補助するブースタアンテナ20を側面に備える光ディスクケース2に対し、その光ディスクケース2を閉じた状態で、情報読み取り装置の第2のアンテナを、ブースタアンテナ20が設けられているケース側面に近接させることで、ICリーダ1と光ディスク3上の非接触型ICチップ32との間で確実に通信できるようになる。
【0190】
この結果、非接触型ICチップ32が設けられた光ディスク3について、光ディスクケース2に収納された光ディスク3が並べられた状態、ならびに、光ディスク3を収納した光ディスクケース2単体、および光ディスクケース2に収納されていない光ディスク3単体の状態のいずれの状態でも、光ディスク3の非接触型ICチップ32と容易に通信でき、光ディスク3の記録内容などの、非接触型ICチップ32に記録されている情報を容易に把握することが可能になる。
【0191】
さらに、第2のアンテナで非接触型ICチップ32から情報を取得する場合には、非接触型ICチップ32からの、検索条件に該当する情報の検索が可能になる。これにより、たとえば、光ディスクケース2が多数並べられている場合でも、その状態のままで、所望のデータを記憶した光ディスク3が収容されている光ディスクケース2を簡単に探し出すことができる。
【0192】
また、ユーザは携帯型のICリーダ1(リーダライタ)を手で保持しながら、次々と検索対象となる非接触型ICチップとの通信を行うことが可能であるが、本実施の形態のICリーダ1は振動通知部18を有することから、その状態の中で、検索条件に一致する物を発見した場所で手に振動を感じるため、ユーザは条件に一致した対象物を容易に特定することができるという利点がある。
検索条件の一致を通知する方法としては、光や画像や音声による方法も考えられるが、光や画像や音声による方法では、眼や耳など頭部の意識をリーダライタに向ける必要がある。すなわち、リーダライタを保持していた手の場所と光や画像によって表示された場所の両方に意識を働かせる必要があり、ユーザが行う作業への負担が大きい。一方、本発明による方法によれば、手に振動を感じた場所がそのまま検索条件に一致する物を発見した場所であるから、ユーザは手に意識を集中していれば良く、人間工学的にも負担が少ないと言える。
【0193】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0194】
横に複数並べられた光ディスクケース2に収納された光ディスク3の非接触型ICチップ32の記録内容を、ICリーダによって検索する際、移動速度が速過ぎる場合には、読み取りエラーが発生したり、非接触型ICチップ32の読み飛ばしが発生したりする可能性がある。
このため、第2の実施の形態のICリーダ7は、ICリーダ7自身の移動速度を検出する移動速度検出部78によって検索中の移動速度を検出する。
そして、本実施の形態のICリーダ7は、検出された移動速度が所定の範囲内であれば、速度が適正であることを通知し、検出された移動速度が速過ぎるなど、所定の範囲外である場合には、ユーザに対して移動速度が異常であることを通知する点で第1の実施の形態と異なる。なお、他の構成要素については同一符号としており、説明を省略する。
【0195】
図28は、第2の実施の形態のICリーダの回路の構成を示す図である。
本実施の形態のICリーダ7は、第1の実施の形態と同様に、主回路10、第1のアンテナ部11、第2のアンテナ部13、操作部15、通知部16、外部通信部17、および振動通知部18を有している。
また、本実施の形態のICリーダ7は、これに加えて、移動速度検出部78を備えている。なお、このICリーダ7の外観や、アンテナコイルの配置などは、第1の実施の形態と同様である。
【0196】
主回路10は、第1の実施の形態と同様に、リーダ制御部101、リーダ通信部102、およびアンテナ切替回路103を備えている。
第1の実施の形態と同様に、リーダ制御部101は、このICリーダ7全体を統括的に制御する制御部である。リーダ通信部102は、光ディスク3に設けられた非接触型ICチップ32との間で、非接触で通信するためのRF回路である。アンテナ切替回路103は、光ディスクに設けられた非接触型ICチップと通信するための第1のアンテナ部11および第2のアンテナ部13と接続されている。
【0197】
第1の実施の形態と同様に、操作部15は、入力ボタン151、表示ボタン152、検索ボタン153などの各種の入力スイッチが設けられており、ユーザによる操作入力に応じた制御信号をリーダ制御部101に出力する。
通知部16は、表示ディスプレイ161、アンテナ発光部162、投光部163、および音声出力部164を備えており、リーダ制御部101からの指令に応じてユーザにICリーダ7の状態を通知する。外部通信部17は、リーダ制御部101の指令に従い、外部の情報機器との通信を行ってデータを送受信する。
【0198】
また、振動通知部18は、非接触型ICチップ検索モードにおいて、検索情報入力部としての入力ボタン151により入力された検索情報、すなわち複数の非接触型ICチップの中から指定された情報を記録している非接触型ICを検索するための検索情報に該当する非接触型ICチップを発見したことを振動でユーザに通知する。
振動通知部18は、たとえばモータと、モータにより駆動される偏心振動部とを有するバイブレータ等により構成される。
振動通知部18は、主回路10のリーダ制御部101により、入力した検索条件と一致した時に、振動するように制御される。
【0199】
移動速度検出部78は、ICリーダ7の移動速度を検出する。この移動速度検出部78は、加速度センサを備えており、ICリーダ7の厚さ方向、すなわちアンテナコイル131の短軸方向(1次元方向)の移動速度を検出することができる。
移動速度検出部78によって検出された移動速度に基づき、リーダ制御部101によって、第2のアンテナ部13による読み取り動作中のICリーダ7の移動速度が、所定の速度より速いか否かについて判定される。
そして、この移動速度が、所定の速度以下である場合には、検索が実行されるとともに、リーダ制御部101の指令に基づいて、通知部16より速度が適正であることを示す速度適正メッセージ、および検索が正常に実行されていることを示す検出メッセージが通知される一方、この移動速度が所定の速度より速い場合には、リーダ制御部101の指令に基づいて、通知部16より速度異常メッセージが出力されることにより、ユーザに対して異常が通知される。
【0200】
なお、本実施の形態のICリーダ7が備える移動速度検出部78は、1次元方向の移動速度を検出するが、これに限らず、2次元方向(たとえば、ICリーダ7の厚さ方向に加えて、さらにICリーダ7の幅方向)の移動を検出可能にしてもよく、さらに3次元方向(すなわち、全方向)の移動を検出可能にしてもよい。
【0201】
次に、第2の実施の形態のICリーダの動作について説明する。
まず、第2の実施の形態において、メイン処理のステップS15で実行されるケース検索通信処理について説明する。本実施の形態のケース検索通信処理では、本処理の実行時において、ICリーダ7の移動速度を検出する移動速度検出処理が実行される点が、第1の実施の形態と異なる。
【0202】
図29は、第2の実施の形態のICリーダで実行される検索通信処理を説明するフローチャートである。
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、メイン処理において検索ボタン153のユーザによる長押し操作が検出されると、リーダ制御部101によって図29に示すケース検索通信処理が実行される。
【0203】
まず、リーダ制御部101は、アンテナ切替回路103に対して、接続先を第2のアンテナ部13に切り替える指令を送信し(ステップS61)、移動速度検出処理を実行し(ステップS62)する。
この移動速度検出処理は、移動速度検出部78によってICリーダ7の移動速度を検出し、検出された移動速度が正常であるか否かを判定する処理であり、詳しくは図30において後述する。
【0204】
次に、リーダ制御部101は、接続された第2のアンテナ部13によって、光ディスク3の非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りを試みる(ステップS63)。
そして、リーダ制御部101は、この非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功したか否かを判定し(ステップS64)、検出および読み取りに失敗した場合には、ステップS70の処理に進む一方、検出および読み取りに成功した場合には、ステップS65の処理に進む。
【0205】
非接触型ICチップ32の検出および読み取りに失敗した場合、リーダ制御部101は、ステップS70に処理を進める一方、非接触型ICチップ32の検出および読み取りに成功した場合、非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りに成功したことを通知するために振動通知部18が振動制御される(ステップS65)。また、このとき、情報の読み取りに成功したことを示す検出メッセージを通知部16に出力させる。
そして、非接触型ICチップ32との通信によって非接触型ICチップ32に記録されている必要な情報を取得する(ステップS66)。
非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りに成功したことを示す検出メッセージを通知部16に出力させ(ステップS65)、非接触型ICチップ32との通信によって非接触型ICチップ32に記録されている必要な情報を取得する(ステップS66)。
【0206】
次に、リーダ制御部101は、取得した情報を、図13の検索条件取得処理によって取得した検索条件によって検索して、検索条件に該当する情報を発見したか否かを判定する(ステップS67)。
検索条件に該当する情報を発見しない場合、リーダ制御部101は、ステップS70に処理を進める一方、検索条件に該当する情報を発見した場合、非接触型ICチップ32の検出および記録されている情報の読み取りに成功したことを通知するために振動通知部18が振動制御される(ステップS68)。また、ステップST68においては、非接触型ICチップ32に検索条件に該当する情報が記録されていることを示す検索該当メッセージを通知部16に通知させる。
そして、取得した情報を通知部16に設けられた表示ディスプレイ161に表示させ(ステップS69)、その後、メイン処理に復帰する。
【0207】
ステップS64において非接触型ICチップ32の検出または読み取りに失敗した場合、またはステップS67において非接触型ICチップ32から検索条件に該当する情報を発見しなかった場合、リーダ制御部101は、ユーザによる検索ボタン153の長押しが解除されたか否かを判定する(ステップS70)。
この判定処理において、長押しが解除されていない場合には、ステップS62の処理に進む(これにより、ユーザにより検索ボタン153が長押しされている間、ステップS62からステップS67の処理が繰り返される)一方、長押しが解除されている場合には、非接触型ICチップの検出または記録されている情報の読み取りに失敗したことを示す検出失敗メッセージを通知部16に出力させ(ステップS71)、その後、メイン処理に復帰する。
【0208】
ここで、検出メッセージ、検出失敗メッセージ、および検索該当メッセージは、第1の実施の形態のディスク表示通信処理(図13)のステップS24の振動通知以外の検出メッセージなどと同様に、たとえば、音声出力部164に所定の電子音や、合成音によるメッセージを出力させてもよい。また、アンテナ発光部162や投光部163による所定の発光パターンで、ユーザに対して非接触型ICチップの検出および読み取りの成功または失敗、もしくは検索条件に該当する情報の発見を通知してもよい。
【0209】
次に、第2の実施の形態の検索通信処理のステップS62で実行される移動速度検出処理について説明する。
図30は、第2の実施の形態のICリーダで実行される移動速度検出処理を説明するフローチャートである。
【0210】
図29に示す第2の実施の形態の検索通信処理の実行中には、ステップS62において、リーダ制御部101により図30に示す移動速度検出処理が実行される。
まず、リーダ制御部101は、移動速度検出部78が備える加速度センサによって、ICリーダ7の移動速度を検出する(ステップS81)。
【0211】
次に、リーダ制御部101は、ステップS81において検出したICリーダ7の移動速度が、所定の速度より速いか否かを判定する(ステップS82)。
ICリーダ7の移動速度が所定の速度より速い場合、リーダ制御部101は、ICリーダ7の移動速度が異常であることを示す速度異常メッセージを通知部16に出力させ(ステップS83)、その後、検索通信処理に復帰する。
一方、ICリーダ7の移動速度が所定の速度以下である場合、ICリーダ7の移動速度が適正であることを示す速度適正メッセージを通知部16に出力させ(ステップS84)、その後、検索通信処理に復帰する。
【0212】
次に、第2の実施の形態のICリーダによる非接触型ICチップに記憶されている情報の検索時における移動速度の検出の様子について説明する。ここでは、本実施の形態のICリーダ7を、前述した光ディスク3および光ディスクケース2と組み合わせて、非接触型ICチップ32に記録されている情報の検索に用いた場合の様子について説明する。
【0213】
図31は、第2の実施の形態のICリーダによる移動速度の検出の際の様子を示す図である。
【0214】
図31のように非接触型ICチップ32を搭載した光ディスク3を収容する、ブースタアンテナを搭載した光ディスクケース2が、立てられた状態で横に多数並べられているような場合に、第2の実施の形態のICリーダ7を移動させながら、ブースタアンテナ20のアンテナコイル22が設けられたケース側面に順次向けていくことで、非接触型ICチップ32に記録されている情報を順次読み取っていくことができる。
これによって、各光ディスク3に搭載されている非接触型ICチップ32から、情報を検索することができる。
【0215】
すなわち、図16と同様に、光ディスクケース2には、それぞれ前述したブースタアンテナユニットが備えられており、光ディスクケース2の側面側(図31の手前側)には、ブースタアンテナユニットのICリーダ側のアンテナコイル22が設けられている。
【0216】
第1の実施の形態と同様に、ユーザがICリーダ7の検索ボタン153を長押ししながら、前面に設けられた第2のアンテナ部13を、それぞれの光ディスクケース2のアンテナコイル22に対して(図31の例では左から右に)順次かざしていくことによって、それぞれの光ディスク3に搭載された非接触型ICチップ32に記録された情報を読み取ることができる。
このとき、本実施の形態のICリーダ7が備える移動速度検出部78によって、ICリーダ7の移動速度が検出される。そして、検出された移動速度が所定の速度(たとえば、20mm/s)より速い場合には、ICリーダ7の通知部16から、移動速度が異常である旨を通知する速度異常メッセージが出力される。
一方、検出された移動速度が所定の速度以下の場合には、ICリーダ7の通知部16から、移動速度が適正である旨を通知する速度適正メッセージが出力される。また、検索通信処理(図29)における非接触型ICチップ32の検出が正常に行われていれば、ICリーダ7の通知部16から、光ディスク3の非接触型ICチップ32を検出し、通信に成功した旨を通知する検出メッセージが出力される。
【0217】
速度異常メッセージ、速度適正メッセージ、および検出メッセージは、具体的には、ICリーダ7の投光部163から照射される照射光163aや、音声出力部164から出力される音声メッセージ164e、表示ディスプレイ161に表示される文字メッセージなどによって示される。
【0218】
そして、図31の検索通信処理の実行時において、非接触型ICチップ32の検出および通信に成功したICリーダ7は、その非接触型ICチップ32に記憶されている情報について検索を行う。
【0219】
ここで、ICリーダ7の移動速度が速過ぎるか否かの基準となる所定の速度は、ICリーダ7と非接触型ICチップ32との間の通信における1回の通信シーケンスの時間やポーリング時間と、アンテナで通信可能な距離で決定される。
【0220】
たとえば、第2のアンテナ部13の第2のアンテナコイル131を、短軸方向と長軸方向とで外径が異なるように構成した場合において、ICリーダ7を短軸方向に移動させながら非接触型ICチップ32を検出すれば、短軸方向での通信可能距離が短くなる。従って、ポーリング時間が一定の場合は、第2のアンテナ部13のアンテナコイルの外径の狭さに応じて、その方向での移動速度を制限する必要がある。具体的には、第2のアンテナ部13の第2のアンテナコイル131の短軸方向で通信可能となる変位距離を±2mm(すなわちアンテナコイル131の中心を基準とした通信可能範囲で4mm)とし、ICリーダ7と非接触型ICチップ32との間の通信におけるポーリング時間間隔を0.2秒とすると、通信可能範囲である4mmを移動する間に少なくともポーリングが1回行われなければならないため、4/0.2=[20mm/s]未満の速度で移動させなければ、通信に失敗する可能性がある。
【0221】
なお、移動速度が速過ぎる場合は、並べられている光ディスクケース2を読み飛ばしている可能性もあることから、「移動が速すぎます!」との音声メッセージの出力の他にも、「2,3枚分戻って、読み取り直してください」との音声メッセージを出力してもよい。またさらに、何枚分戻って読み取り直すかどうかは、所定の速度の超えた状態での移動距離(移動速度の積分値)から、その移動距離が何枚分に相当するかを計算した上で、その枚数を音声メッセージとして出力してもよい。もちろん、その移動距離を「何mm戻ってください」と距離値で音声メッセージとして出力してもよい。
【0222】
以上説明した第2の実施の形態のICリーダ7によれば、速度異常メッセージとして、照射光163aの特定の発光パターン(たとえば、ICリーダ7の移動速度が速過ぎる場合に点滅して照射光163aを出力)や、合成音声による音声メッセージ(たとえば、ICリーダ7の移動速度が速過ぎる場合に、「移動が速過ぎます!」という音声メッセージ164e)などを出力することによって、ユーザにICリーダ7の移動速度が異常であることを通知することができる。
【0223】
また、ICリーダ7の移動速度が所定の速度以下である場合など、移動速度が適正である場合には、速度異常メッセージとは異なる照射光163aの特定の発光パターンや、合成音声による速度が適正である旨を示す音声メッセージなどによる、速度適正メッセージを出力することによって、ユーザにICリーダ7の移動速度が適正であることを通知することができる。
【0224】
以上の結果、ユーザがICリーダ7を移動させながら多数の光ディスクケース2に収容されている光ディスク3の非接触型ICチップ32に記録されている情報を検索する場合に、ユーザに対してICリーダ7の移動速度が適正であるか否かを通知することによって、検索時におけるユーザの適正な移動速度でICリーダ7を容易に移動させることができるので、検出エラーや読み飛ばしなどによる非接触型ICチップ32の検出漏れを防止することができる。
【0225】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
ICリーダによって検出した非接触型ICチップ32に記憶されている情報は、たとえば、パーソナルコンピュータに移動して光ディスクの記録内容を管理したり、楽曲のタイトルやアーチスト名など、興味のあるコンテンツを特定する情報を知人に電子メールなどで送信したりするなどに活用し得るものである。そこで、取得した情報をそのまま他の用途に活用することができれば、大変便利である。
このため、第3の実施の形態のICリーダ1は、外部通信部17によって、たとえば携帯電話などの外部の情報端末機器に対して、ICリーダ1が検出した非接触型ICチップ32に記憶されている情報が転送可能である点で第1の実施の形態と異なる。なお、ICリーダ1や他の構成要素について、同一の構成要素については同一符号としており、説明を省略する。
【0226】
次に、第3の実施の形態のICリーダの動作について説明する。
まず、第3の実施の形態におけるメイン処理について説明する。本実施の形態のメイン処理では、本処理の実行時において、ユーザによる操作部15の操作により、情報転送メニューが選択された場合には、外部通信部17を介して外部の情報端末装置に光ディスク3の非接触型ICチップ32から取得した情報を転送する情報転送処理が実行される点が、第1の実施の形態と異なる。
【0227】
図32は、第3の実施の形態のICリーダで実行されるメイン処理を説明するフローチャートである。
【0228】
まず、ユーザによって操作部15が操作されると、ICリーダ1のリーダ制御部101は、ユーザによる操作部15の操作を検出する(ステップS91)。
【0229】
次に、リーダ制御部101は、ステップS91でユーザによる表示ボタン152の操作を検出したか否かを判定する(ステップS92)。
この判定処理において、表示ボタン152の操作を検出していない場合には、ステップS94の処理に進む一方、表示ボタン152の操作を検出した場合には、表示通信処理を実行し(ステップS93)、その後、ステップS100の処理に進む。
【0230】
次に、リーダ制御部101は、ステップS91でユーザによる検索ボタン153の長押し操作(たとえば、検索ボタン153を1秒以上押し続ける操作)を検出したか否かを判定する(ステップS94)。
この判定処理において、検索ボタン153の長押し操作を検出していない場合には、ステップS96の処理に進む一方、検索ボタン153の長押し操作を検出した場合には、検索通信処理を実行し(ステップS95)、その後、ステップS100の処理に進む。
【0231】
次に、リーダ制御部101は、ステップS91でユーザによる検索ボタン153の二度押し操作(たとえば、検索ボタン153を1秒間に2回以上押す操作)を検出したか否かを判定する(ステップS96)。
この判定処理において、検索ボタン153の二度押し操作を検出していない場合には、ステップS100の処理に進む一方、検索ボタン153の二度押し操作を検出した場合には、検索条件取得処理を実行し(ステップS97)、その後、ステップS100の処理に進む。
【0232】
次に、リーダ制御部101は、ステップS91でユーザによる操作部15の入力ボタン151の操作による情報転送メニュー(図示省略)の選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS98)。
この判定処理において、入力ボタン151による情報転送メニューの選択を受け付けていない場合には、ステップS100の処理に進む一方、入力ボタン151による情報転送メニューの選択を受け付けた場合には、情報転送処理を実行し(ステップS99)、その後、ステップS100の処理に進む。
この情報転送処理は、光ディスク3の非接触型ICチップ32から取得した情報を、外部通信部17を通じて外部の情報端末装置に送信する処理であり、詳しくは図33に関連付けて後述する。
【0233】
そして、リーダ制御部101は、ユーザによる操作が検出されている場合には、上記の処理を繰り返し(ステップS100)、ユーザによる操作の検出が終了した場合には、処理を終了する。
【0234】
次に、第3の実施の形態のメイン処理のステップS99で実行される情報転送処理について説明する。
【0235】
図33は、第3の実施の形態のICリーダで実行される情報転送処理を説明するフローチャートである。
【0236】
第3の実施の形態のメイン処理においてユーザの入力ボタン151の操作による情報転送メニューの選択が受け付けられると、リーダ制御部101によって図33に示す情報転送処理が実行される。
【0237】
まず、リーダ制御部101は、入力ボタン151に対するユーザの操作による転送する情報の指定を受け付ける(ステップS101)。
ユーザは、図示しない情報転送メニューにおいて、以前非接触型ICチップ32から取得した、図18〜図21に示すディスク主情報やディスク補助情報を指定することができる。
【0238】
次に、リーダ制御部101は、入力ボタン151に対するユーザの操作による転送方法の指定を受け付ける(ステップS102)。ユーザは、図示しない情報転送メニューにおいて、QRコードの表示ディスプレイ161への表示やIrDAによる赤外線通信など、予め定められた転送方法を指定することができる。
【0239】
次に、リーダ制御部101は、ステップS102でユーザの入力ボタン151の操作によって指定された転送方法がQRコードであるか否かを判定する(ステップS103)。
指定された転送方法がQRコードである場合には、ステップS101で指定された転送する情報からQRコードを生成し(ステップS104)、生成したQRコードを表示ディスプレイ161に表示し(ステップS105)、ユーザによって転送の完了が確認されたことを示す転送完了確認の入力を受け付け(ステップS106)、その後、メイン処理に復帰する。
【0240】
一方、指定された転送方法がQRコードでない場合には、リーダ制御部101は、ステップS102でユーザの入力ボタン151の操作によって指定された転送方法がIrDAであるか否かを判定する(ステップS107)。
【0241】
指定された転送方法がIrDAである場合には、送信先の情報端末装置の受信準備をユーザに促す受信準備メッセージを通知部16に出力し(ステップS108)、情報の転送の開始の指示である転送開始指示のユーザによる入力を受け付け(ステップS109)、ステップS101で指定された転送する情報をIrDAによって送信し(ステップS110)、ユーザによって転送の完了が確認されたことを示す転送完了確認の入力を受け付け(ステップS111)、その後、メイン処理に復帰する。
【0242】
一方、指定された転送方法がIrDAでない場合には、情報の転送を中止することを示す転送中止メッセージを通知部16に出力し(ステップS112)、その後、メイン処理に復帰する。
【0243】
受信準備メッセージ、および転送中止メッセージは、具体的には、ICリーダ7の投光部163から照射される照射光163aや、音声出力部164から出力される音声メッセージ、表示ディスプレイ161に表示される文字メッセージ、などによって示される。
【0244】
以上説明した第3の実施の形態のICリーダ1によれば、QRコードやIrDA通信によって、光ディスク3の非接触型ICチップ32から取得した情報を他の情報端末装置に送信することができる。この結果、光ディスク3の記録内容などの、検索によって取得した非接触型ICチップ32に記録されている情報を、そのまま活用することが可能になり、ユーザの利便性が向上するとともに、ICリーダと他の情報端末装置との相互利用による、音楽データや動画データなどの利用の促進が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】ICリーダの構成例を示す斜視図である。
【図2】ICリーダと光ディスクに搭載された非接触型ICチップとの通信に必要な回路の構成を概略的に示す図である。
【図3】第1の実施の形態のICリーダの回路の構成を示す図である。
【図4】「ディスク表示」ボタンと「ケース検索」ボタンのいずれかのボタンを押した時に、アンテナ切り替えと送受信を行うことを説明するための図である。
【図5】「ケース検索」機能における振動通知の状態を模式的に示す図である。
【図6】ICリーダが光ディスクケースに収容された光ディスクの非接触型ICチップと通信する際の様子を示す図である。
【図7】非接触型ICチップが搭載された光ディスクの構成例を示す平面図である。
【図8】ブースタアンテナを搭載した光ディスクケースの構成例の分解斜視図である。
【図9】光ディスクケースを構成するディスクトレイおよびブースタアンテナユニットの分解斜視図である。
【図10】非接触型ICチップ側およびICリーダ側のアンテナ配置について説明するための図である。
【図11】光ディスクケースの別の構成例を示す正面図である。
【図12】第1の実施の形態のICリーダで実行されるメイン処理を説明するフローチャートである。
【図13】ICリーダで実行される表示通信処理を説明するフローチャートである。
【図14】第1の実施の形態のICリーダで実行される検索通信処理を説明するフローチャートである。
【図15】ICリーダで実行される検索条件取得処理を説明するフローチャートである。
【図16】ICリーダで光ディスクケースに収容された非接触型ICチップが搭載された光ディスクを検出する際の様子を示す図である。
【図17】光ディスクケースに収容された光ディスクの非接触型ICチップに記録された情報の検索に成功した際の様子を示す図である。
【図18】非接触型ICチップに記録されているディスク主情報およびディスク補助情報を示す第1図である。
【図19】非接触型ICチップに記録されているディスク主情報およびディスク補助情報を示す第2図である。
【図20】非接触型ICチップに記録されているディスク主情報およびディスク補助情報を示す第3図である。
【図21】非接触型ICチップに記録されているディスク主情報およびディスク補助情報を示す第4図である。
【図22】表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す第1図である。
【図23】表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す第2図である。
【図24】表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す第3図である。
【図25】表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す第4図である。
【図26】表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す第5図である。
【図27】表示ディスプレイに表示される検索表示画面を示す第6図である。
【図28】第2の実施の形態のICリーダの回路の構成を示す図である。
【図29】第2の実施の形態のICリーダで実行される検索通信処理を説明するフローチャートである。
【図30】第2の実施の形態のICリーダで実行される移動速度検出処理を説明するフローチャートである。
【図31】第2の実施の形態のICリーダによる移動速度の検出の際の様子を示す図である。
【図32】第3の実施の形態のICリーダで実行されるメイン処理を説明するフローチャートである。
【図33】第3の実施の形態のICリーダで実行される情報転送処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0246】
1,7・・・ICリーダ、2,50・・・光ディスクケース、3・・・光ディスク、10・・・主回路、11・・・第1のアンテナ部、13・・・第2のアンテナ部、15・・・操作部、16・・・通知部、17・・・外部通信部、18・・・振動通知部、20・・・ブースタアンテナ、20a・・・ブースタアンテナユニット、21,22,31・・・アンテナコイル、23,33,112,132・・・同調回路、26,36,56・・・中心孔、29a〜29d・・・受光部分、30・・・信号記録領域、32・・・非接触型ICチップ、34・・・チャッキング領域、51a・・・表面カバー部、51b・・・裏面カバー部、51c・・・ケース側面部、52a,52b・・・折り曲げ部、53a,235・・・ディスク載置面、53b,236・・・ディスク保持部、54a・・・冊子収容面、54b・・・係止部、78・・・移動速度検出部、101・・・リーダ制御部、111・・・第1のアンテナコイル、131・・・第2のアンテナコイル、151・・・入力ボタン、152・・・表示ボタン、153・・・検索ボタン、161・・・表示ディスプレイ、162・・・アンテナ発光部、163・・・投光部、163a,163b・・・照射光、164・・・音声出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICチップに記録された情報を読み取る携帯型の情報読み取り装置であって、
外形の1つの面に平板状に設けられた第1のアンテナと、
前記1つの面に対する側面に平板状に設けられて、その短軸方向の大きさが前記第1のアンテナの短軸方向の大きさより小さく形成された第2のアンテナと、
前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナのいずれか一方を選択的に用いて前記非接触型ICチップと通信し、当該非接触型ICチップに記録された情報を取得可能な制御部と、
振動通知を行うための振動通知部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得した場合に、前記振動通知部を振動させて情報取得を通知させる
情報読み取り装置。
【請求項2】
検索条件の入力を受け付ける検索条件入力部を有し、
前記制御部は、
前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得する場合には、取得した情報が、前記検索条件入力部によって受け付けられた前記検索条件に該当するか否かを判定し、検索条件に該当する場合に、前記振動通知部を振動させて情報取得を通知させる
請求項1記載の情報読み取り装置。
【請求項3】
第1の入力部と、
第2の入力部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1の入力部の操作を受け付けると、前記第1のアンテナを通じて前記非接触型ICチップに記録された情報を取得し、前記第2の入力部の操作を受け付けると、前記第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得し、前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて取得した情報が、前記検索条件に該当するか否かを判定し、検索条件に該当する場合に、前記振動通知部を振動させて情報取得を通知させる
請求項1記載の情報読み取り装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1のアンテナを通じて取得した情報が前記検索条件に該当する場合と、前記第2のアンテナを通じて取得した前記検索条件に該当する場合とで、前記振動通知部の振動状態を異ならせる
請求項3記載の情報読み取り装置。
【請求項5】
前記制御部は、
検索条件に対する一致度に応じて、前記振動通知部の振動状態を異ならせる
請求項3記載の情報読み取り装置。
【請求項6】
前記第1のアンテナの形成面の法線と前記第2のアンテナのループ面の法線とが直交する
請求項1記載の情報読み取り装置。
【請求項7】
前記第1のアンテナの形成面の法線は、当該情報読み取り装置を把持したときに当該装置の上下方向を向き、
前記第2のアンテナの形成面の法線は、当該情報読み取り装置を把持したときに、前側を向いている
請求項6記載の情報読み取り装置。
【請求項8】
前記第1のアンテナは、
光ディスクの光ディスク基板上にその円周方向に沿って形成されたアンテナコイルと電磁結合して、当該光ディスクに設けられた非接触型ICチップと通信できるように形成され、
前記第2のアンテナは、
前記光ディスクを収容する光ディスクケースに設けられたブースタアンテナの2つのアンテナコイルのうち、当該光ディスクケース内の前記光ディスクの記録面と垂直な側面に当接または近接して設けられた側面側アンテナコイルと電磁結合できるように形成され、
前記ブースタアンテナは、
前記側面側アンテナコイルと、前記光ディスクケース内の前記光ディスクに設けられたアンテナコイルと電磁結合するディスク側アンテナコイルとが接続されて、それぞれが送受信する信号を中継するように形成され、
前記制御部は、
前記光ディスクケース上の前記側面側アンテナコイルに前記第2のアンテナが近接して配置されたとき、当該光ディスクケース内の前記光ディスク上に設けられた前記非接触型ICチップから、前記ブースタアンテナを通じて情報を取得可能である
請求項1記載の情報読み取り装置。
【請求項9】
当該情報読み取り装置の移動速度を検出する速度検出部と、
当該情報読み取り装置の状態を通知する通知部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第2のアンテナによる読み取り動作中に、前記速度検出部によって検出された移動速度が、所定の速度より速いか否かを判定し、当該移動速度が所定の速度より速い場合には、前記通知部によってユーザに対して異常を通知させる
請求項1記載の情報読み取り装置。
【請求項10】
非接触型ICチップに記録された情報を携帯型の情報読み取り装置によって読み取る情報読み取り方法であって、
前記情報読み取り装置に備えられた制御部が、
第1のアンテナ、および短軸方向の大きさが前記第1のアンテナの短軸方向の大きさより小さく形成された第2のアンテナのいずれか一方を選択し、
選択したアンテナを通じて前記非接触型ICチップと通信し、当該非接触型ICチップに記録された情報を取得し、
前記第1のアンテナまたは第2のアンテナを通じて前記非接触型ICチップから情報を取得した場合に検索を行うための検索条件に該当するか否かを判定し、
検索条件に該当する場合に、振動通知部を振動させて情報取得を通知する
情報読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−230707(P2009−230707A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78677(P2008−78677)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】