説明

情報読取装置

【課題】この発明は、しわのある透明フィルムを介して情報を確実に読み取ることができる情報読取装置を提供することを課題とする。
【解決手段】郵便物Pの宛先に関する情報を読み取る読取装置1は、郵便物Pを搬送する搬送ベルト2、郵便物Pを照明するライト4、郵便物Pからの反射光を検出して宛先情報を読み取るカメラ6、撮影した画像を2値化して宛先情報を認識する画像処理部7、および郵便物Pにエアーを吹付けるノズル11を有する。郵便物Pをラッピングした樹脂フィルムFの透明な窓部にエアーを吹き付けることにより、樹脂フィルムFの窓部に生じているしわを伸ばすことができ、ハレーションを抑制して宛先情報の認識エラーを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透明フィルムを介して物品に印刷された文字等の情報を読み取る情報読取装置に係り、特に、包装物の透明フィルムを介して宛先情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明フィルムを介して物品に印刷された文字等の情報を読み取る情報読取装置として、例えば、郵便物の透明フィルムで覆われた窓部を介して宛先情報を読み取る宛先認識装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この装置では、始めに透明フィルムの反射光を検知して郵便物の窓部を検出し、検出した窓部にある宛先情報を認識する。つまり、窓部には郵便物の宛先情報を視認可能なように透明フィルムが設けられており、この透明フィルムの鏡面のような反射特性を利用して窓部を検出する。
【0004】
しかし、窓部に設けられる透明なセロハンや樹脂フィルムにしわがあると、乱反射を起こして反射ムラ(ハレーション)を生じ、窓部を介して検出した画像を2値化したとき、文字認識ができなくなる問題が生じる。
【特許文献1】特開2003−203202号公報(段落[0004])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、しわのある透明フィルムを介して情報を確実に読み取ることができる情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の情報読取装置は、透明フィルムで覆われた物品の表面を該透明フィルムを介して照明する照明部と、上記物品の表面で反射された反射光を上記透明フィルムを介して検出し、上記表面に記載された情報を読み取る読取部と、上記透明フィルムのしわを伸ばすようにエアーを吹き付けるエアー吹付け部と、を有する。
【0007】
上記発明によると、透明フィルムのしわを伸ばすようにエアーを吹き付けるようにしたため、しわのある透明フィルムであっても、ハレーションを抑制でき、物品表面の情報を確実に読み取ることができる。
【0008】
また、本発明の情報読取装置は、宛先に関する情報が記載された表面が透明フィルムで覆われた包装物を搬送する搬送部と、この搬送部で搬送される包装物の上記表面に該透明フィルムを介して光を当てて照明する照明部と、上記包装物の表面で反射された反射光を上記透明フィルムを介して検出し、上記表面に記載された宛先情報を読み取る読取部と、上記透明フィルムのしわを伸ばすように上記搬送部で搬送される包装物の透明フィルムにエアーを吹き付けるエアー吹付け部と、を有する。
【0009】
上記発明によると、搬送される包装物の透明フィルムにエアーを吹き付けて透明フィルムのしわを伸ばすようにしたため、乱反射によるハレーションを略無くすことができ、包装物の宛先情報を確実に読み取ることができる。これにより、透明フィルムで包装された包装物から自動的に宛先情報を読み取ることができ、人手による読取作業を略無くすことができ、作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の情報読取装置は、上記のような構成および作用を有しているので、しわのある透明フィルムを介して情報を確実に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る情報読取装置として、少なくとも一部が透明な樹脂フィルムF(透明フィルム)でラッピングされた郵便物P(物品、包装物)の表面から宛先に関する情報(宛先情報)を光学的に読み取る読取装置1の概略構成を示してある。図2には、この郵便物Pの一例の写真を部分的に拡大して示してある。
【0012】
図2に示すように、この装置1で処理対象となる郵便物Pは、その表面の宛先情報を外側から視認可能な透明な四角い窓部Wを有する樹脂フィルムFによってラッピングされている。ここでは、処理対象となる郵便物Pは、定型の郵便物Pであり、搬送姿勢、向き、窓部Wの通過位置等、全ての条件が同じ郵便物Pを処理するものとする。また、処理対象物として、図2に例示したような郵便物Pを例にとって説明するが、宛先情報が記載された部分を少なくとも覆う透明な窓部を有する樹脂フィルムFによって包装された物品であれば、いかなる包装物にも本発明を適用できる。
【0013】
図1に示すように、読取装置1は、郵便物Pを載置して一定方向(図中矢印方向)に搬送する搬送ベルト2、搬送ベルト2によって搬送される郵便物Pを図中上方から照明するライト4(照明部)、郵便物Pからの反射光を検出するカメラ6(読取部)、カメラ6で撮影した画像を2値化処理して宛先情報を認識する画像処理部7(読取部)、搬送ベルト2によって郵便物Pが読取位置に搬送されたことを検知するセンサ8、および読取位置を通過する郵便物Pにエアーを吹き付けるエアー吹付け部10を有する。
【0014】
郵便物Pを照明するライト4は、郵便物Pの表面に対して30度乃至60度の角度から光を当てるように位置決め配置されている。この角度は、後述するハレーションによる悪影響を少なくする角度に設定される。
【0015】
一方、カメラ6は、ライト4の設置角度に応じて位置決めされ、透明フィルムFのしわにより乱反射を起こしたときにその散乱光が入射し難い角度で設置されている。なお、これらライト4やカメラ6の郵便物Pに対する設置角度は、郵便物Pの樹脂フィルムFの材質などにより調整される。
【0016】
センサ8は、搬送ベルト2によって搬送される郵便物Pにより遮断される光軸8aを有し、この光軸8aを郵便物Pが横切ったとき、郵便物Pが読取位置へ搬送されたことを検知する。つまり、センサ8によって郵便物Pを検知したことをトリガーとして、カメラ6によって郵便物Pを撮影するようになっている。
【0017】
エアー吹付け部10は、郵便物Pの表面に対して45度以上90度以下の角度からエアーを吹き付けるノズル11を有する。つまり、ノズル11は、郵便物Pをラッピングした透明フィルムFの窓部Wに向けてエアーを吹き付け、窓部Wの透明フィルムに生じているしわを伸ばすよう機能する。このとき、エアーの吹き付け角度には、効率良く確実にしわを伸ばすことのできる最適値がある。ノズル11を介して郵便物Pにエアーを吹き付けると、樹脂フィルムFが郵便物Pの表面に密着する。
【0018】
つまり、45度以下の角度から郵便物Pにエアーを吹き付けると、透明フィルムFのしわを上から潰すことができず、しわを消すことができなくなる。従って、エアーの吹き付け角度は、概ね45度以上90度以下に設定することが望ましく、透明フィルムFの材質、静電気の有無、湿度、環境温度等の条件により最適値がある。
【0019】
上記構成の読取装置1によって郵便物Pの宛先情報を読み取る場合、処理対象となる郵便物Pが搬送ベルト2上に載置されて矢印方向に搬送され、郵便物Pの搬送方向先端がセンサ8の光軸8aを横切ったことをトリガーとして、カメラ6を介して郵便物Pの表面の画像が撮影される。このとき、ライト4、カメラ6、およびセンサ8の位置は、カメラ6で郵便物Pの窓部Wの画像を撮影できるよう設定されている。
【0020】
従来装置のように郵便物Pにエアーを吹き付けない場合、例えば、図3に示すように郵便物Pをラッピングした樹脂フィルムFにしわがあると、カメラ4で撮影した画像を画像処理部7で2値化したとき、図4に示すように2値化画像にムラが生じてしまう。この場合、樹脂フィルムFに、しわによる凸凹があり、ライト4の光がこの凸凹によって乱反射してハレーションを生じているため、撮影した画像を2値化したときノイズ成分が多くなっているものと考えられる。
【0021】
これに対し、本実施の形態の装置1では、カメラ6で窓部Wを介して郵便物Pの表面を撮影するとき、エアー吹付け部10のノズル11を介して郵便物Pの上方からエアーを吹き付けるようにした。これにより、樹脂フィルムFに図3に示すようなしわがある場合であっても、図5に示すようにしわを伸ばすことができ、ライト4によるハレーションを略無くすことができる。図5に示すように樹脂フィルムFのしわを伸ばした状態で撮影した画像を2値化すると、図6に示すようにノイズ成分の殆ど無いクリアーな画像データを取得でき、宛先情報を確実に自動認識できる。
【0022】
特に、郵便物Pの画像を撮影する直前のタイミングでエアーを吹き付け、郵便物Pを撮影する前に樹脂フィルムFのしわを伸ばしておくことが望ましい。このとき、エアーは、ノズル11を介して常に吹き付けても良いが、瞬間的且つ一時的に吹き付けることが望ましい。また、よりクリアーな画像を撮影するため、撮影の瞬間もエアーを吹き付けることが望ましい。
【0023】
以上のように、本実施の形態によると、郵便物Pをラッピングした樹脂フィルムFの透明な窓部Wの部位にしわがある場合であっても、窓部Wを介して宛先情報を確実に検出でき、2値化した画像から宛先情報を自動認識できる。これにより、従来、自動認識ができずに手作業によって宛先情報を認識していた郵便物Pに対し、読取装置1による自動認識が可能となり、作業員による手間を低減でき、作業効率を高めることができた。
【0024】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【0025】
例えば、上述した実施の形態では、透明な窓部Wを有する樹脂フィルムFによってラッピングした郵便物Pを処理対象とした場合について説明したが、これに限らず、宅配物など宛先情報を透明フィルムで覆った物品に対して本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態に係る読取装置を示す概略図。
【図2】図1の読取装置で処理対象となる郵便物を撮影した部分拡大写真。
【図3】図2の郵便物に印刷された宛先情報をしわのある透明フィルムを介して撮影した写真。
【図4】図3の写真画像を2値化した図。
【図5】郵便物の透明フィルムにエアーを吹き付けた状態で宛先情報を撮影した写真。
【図6】図5の写真画像を2値化した図。
【符号の説明】
【0027】
1…読取装置、2…搬送ベルト、4…ライト、6…カメラ、7…画像処理部、8…センサ、8a…光軸、10…エアー吹付け部、11…ノズル、F…樹脂フィルム、P…郵便物、W…窓部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルムで覆われた物品の表面を該透明フィルムを介して照明する照明部と、
上記物品の表面で反射された反射光を上記透明フィルムを介して検出し、上記表面に記載された情報を読み取る読取部と、
上記透明フィルムのしわを伸ばすようにエアーを吹き付けるエアー吹付け部と、
を有することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
上記エアー吹付け部は、上記読取部が反射光を検出する直前のタイミングで、上記透明フィルムにエアーを一時的に吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
上記読取部が反射光を検出するときも、上記エアー吹付け部は上記透明フィルムにエアーを吹き付けることを特徴とする請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
上記エアー吹付け部は、上記物品の表面に対して45度以上90度以下の角度からエアーを吹き付けるノズルを有することを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項5】
上記照明部は、上記物品の表面に対して30度乃至60度の角度から光を当てることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項6】
宛先に関する情報が記載された表面が透明フィルムで覆われた包装物を搬送する搬送部と、
この搬送部で搬送される包装物の上記表面に該透明フィルムを介して光を当てて照明する照明部と、
上記包装物の表面で反射された反射光を上記透明フィルムを介して検出し、上記表面に記載された宛先情報を読み取る読取部と、
上記透明フィルムのしわを伸ばすように上記搬送部で搬送される包装物の透明フィルムにエアーを吹き付けるエアー吹付け部と、
を有することを特徴とする情報読取装置。
【請求項7】
上記エアー吹付け部は、上記読取部が反射光を検出する直前のタイミングで、上記透明フィルムにエアーを一時的に吹き付けることを特徴とする請求項6に記載の情報読取装置。
【請求項8】
上記読取部が反射光を検出するときも、上記エアー吹付け部は上記透明フィルムにエアーを吹き付けることを特徴とする請求項7に記載の情報読取装置。
【請求項9】
上記エアー吹付け部は、上記包装物の表面に対して45度以上90度以下の角度からエアーを吹き付けるノズルを有することを特徴とする請求項6に記載の情報読取装置。
【請求項10】
上記照明部は、上記包装物の表面に対して30度乃至60度の角度から光を当てることを特徴とする請求項6に記載の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−58573(P2007−58573A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243122(P2005−243122)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】