説明

情報通知装置および情報取得装置

【課題】どのような通信媒体でも情報を伝達可能にする。
【解決手段】ステップP01にて要求受理部PP3が赤外線通信部PP1を介して上記コマンドを受け付けると、ステップP02にてステータス取得部PP4がシステムバスを介して各部31・・にステータス情報を問い合わせる。収集したステータス情報を記述したステータスファイルSFを電子データ生成部PP5が生成し、RAM31cに記憶する。ステップP03においてはステータス送信部PP6がステータスファイルSFを携帯電話50に送信し、送信後はステータスファイルSFをRAM31cから削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通知装置および情報取得装置に関し、特に所定の通信手段を介して情報を入出力する情報通知装置および情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話には、赤外線通信やBluetooth(Bluetooth SIG社の登録商標)通信を行う通信インターフェイスが備えられており、このような通信インターフェイスを利用して携帯電話からプリンタに印刷データを出力することが行われている。また、印刷データを携帯電話から受信するにあたり、予めプリンタの種類や能力を示すステータスを携帯電話に送信するプリンタが提案されている(特許文献1、段落0031〜0033、参照。)。
かかる構成によれば、携帯電話が印刷データの送信に先立ってプリンタの種類や能力を解析することができるため、印刷データをプリンタの種類や能力に適したものに加工してから送信することができる。従って、プリンタにおいて印刷ができないような印刷データを無駄に送信する不具合を防止することができた。
【特許文献1】特開2001−166896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、通信インターフェイスによってはプリンタのステータス情報を要求したり、送信したりする仕組みが用意されていない場合があり、そのような場合にはステータス情報の伝達をすることができないという問題があった。具体的には、例えば赤外線通信上やBluetooth上でプリンタのステータス情報を要求することが可能な関数(コマンド)が、携帯電話で動作する汎用OS(Operating System)のAPIに用意されていないことが一般的であるため、赤外線通信やBluetoothを介してプリンタにステータス情報を要求する仕組みを用意するのが困難であるという問題があった。
上記課題を解決するために、本発明は、簡易な仕組みによって情報を送信することが可能な情報通知装置およびステータス送信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、電子ファイル生成手段が所定の通信手段にて通信可能な電子ファイルを生成し、当該電子ファイルに上記通信手段にて通信不可能な情報を格納する。そして、情報送信手段が上記電子ファイルを上記通信手段を介して情報取得装置に送信する。上記電子ファイルは上記通信手段によって通信可能(例えば、上記通信手段において上記電子ファイルを通信するためのプロトコルが用意されている。)であるため、上記電子ファイルに格納した上記情報を上記情報取得装置に伝達することができる。
【0005】
上記情報取得装置および上記情報通知装置のOS等において電子データを電子ファイルの単位で扱うことが通常であるため、上記通信手段を介して上記電子ファイルを転送する仕組みが確実に用意されていると考えることができる。従って、上記通信手段や上記情報取得装置や上記情報通知装置の種類に依存することなく、上記情報を伝達することができる。上記電子ファイルは、少なくとも上記情報取得装置および上記情報通知装置にて認識可能なものであればよく、ファイルフォーマットは特に限定されない。例えば、プレーンテキストファイル(TXT)やハイパーテキスト(HTML,XHTML)ファイル等のXMLファイルやCSVファイル等を生成することができるし、これら以外のファイルフォーマットに上記情報を格納することもできる。
【0006】
上記電子ファイルは、上記情報通知装置において必要なときのみ生成すれば足りるため、上記通信手段を介して上記情報取得装置から情報要求を受信したときに上記電子ファイルを生成するようにすればよい。この情報要求は、上記電子ファイルの送信を要求することを意味するため、上記情報取得装置側での上記電子ファイルを取得する関数(コマンド)によって実現することができる。上記電子ファイルを取得する関数(コマンド)に上記電子ファイルやその所在を指定するパラメータを添付することにより、上記情報が格納された上記電子ファイルを取得することができる。
【0007】
さらに、上記電子ファイルを生成する場合、当該電子ファイルをRAMに生成するのが望ましい。上記情報は、上記情報取得装置から情報要求があったときにのみ上記電子ファイルに格納させておけばよく、上記情報を記憶した状態を常に維持する必要性がない。従って、上記電子ファイルをRAMのような揮発性メモリに生成することができる。さらに、上記電子ファイルをRAMに記録しておき、当該電子ファイルを送信した後に、当該電子ファイルを上記RAMから削除するようにすれば、最新の上記情報を格納した上記電子ファイルのみが上記RAM上に存在可能となり、上記情報取得装置に古い上記情報が伝達されることが防止できる。また、上記RAMは各種プログラムのワークエリアとして共用されることが考えられるため、上記電子ファイルが他のプログラムのワークエリアを圧迫しないようにすることができる。
【0008】
なお、上記通信手段は上記電子ファイルが転送可能な通信手段であればよく、各種通信媒体に本発明を適用することができる。例えば、無線信号を通信媒体とすることにより、上記情報取得装置と上記印刷媒体を遠隔にて接続し、上記情報を確実に伝達することができる。さらに、赤外線信号を通信媒体とした遠隔印刷に本発明を適用することも可能である。赤外線信号においては上記電子ファイルに上記情報を格納しておけば、当該情報を上記情報取得装置に伝達することができる。なお、本発明の技術的思想は、上記情報を送信する機能を実行する情報通知装置のみならず、情報通知装置等のハードウェアと協働して上記機能を実現させるプログラムにおいても具体的に実現可能なことは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)印刷課金システムの構成:
(2)印刷課金処理:
(3)変形例:
【0010】
(1)印刷課金システムの構成
図1は本発明の一実施形態にかかる情報通知装置としてのプリンタを有する印刷課金システムの構成を示す模式図を示している。同図において、印刷課金システム100は多数のコンテンツ(画像や文書等)が蓄積されたコンテンツサーバ(以下サーバと略す。)10とプリンタ30(情報通知装置)と携帯電話50(情報取得装置)、およびこれらを接続するインターネットInとゲートウェイGとアンテナAtとから構成される。携帯電話50はアンテナAtと所定の無線周波数帯で無線通信する。アンテナAtはゲートウェイGを介してインターネットInと接続され、同じくインターネットInに接続されたサーバ10と通信可能となっており、携帯電話50とサーバ10が通信可能となっている。携帯電話50とプリンタ30はともに赤外線通信が可能な赤外線インターフェース(I/F)を有し、相互に通信可能となっている。アンテナAtと携帯電話50は例えばCDMA等の無線電話通信規格に準拠した無線信号を介して相互に通信可能となっている。
【0011】
図2はコンテンツサーバの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、サーバ10は制御部11とHDD(Hard Disk Drive)12とから構成されており、WANI/F13が接続されている。WANI/F13はインターネットInに接続されており、サーバ10はWANI/F13を介してインターネットInに接続された外部の機器と通信する。HDD12には印刷課金プログラムSP等のプログラムデータ12bとOS(Operating System)12aと各種のコンテンツ12cが記憶されている。制御部11は、CPU11aとROM11bとRAM11cから構成され、CPU11aがRAM11bをワークエリアとしつつOS上で印刷課金プログラムSPを実行する。
【0012】
印刷課金プログラムSPは、印刷データ配信部SP1と課金部SP2とから構成されており、印刷データ配信部SP1は配信要求されたコンテンツ12cに基づいて印刷データPDを作成送信する。印刷データPDは、コンテンツ12cの自体のデータに、レイアウト情報や印刷条件や著作権管理情報等が添付された電子ファイルである。コンテンツ12cは最終的にプリンタが画素データにレンダリング可能なデータであればよく、ベクターデータとイメージデータのいずれであってもよい。課金部SP2は、配信した印刷データPDの印刷が完了したことを確認すると、当該印刷データPDに見合った対価を取得して、当該対価を清算する処理を実行する。
【0013】
図3は、プリンタ30の概略構成を示している。同図に示すようにプリンタ30は、制御部31と操作部32と赤外線I/F33と不揮発性メモリ34とコントロール回路35aとインクカートリッジ35bと印刷ヘッドユニット35cとASIC36aとヘッド駆動部36bとI/F37aとキャリッジ機構37bと紙送り機構37cとを備えている。制御部31はCPU31aとROM31bとRAM31cとを備えており、ROM31bに記録された図示しないOSおよび制御プログラム(ステータス送信プログラム)PPにしたがってCPU31aがRAM31cをワークエリアとしてプリンタ30全体を制御する。さらに、不揮発性メモリ34にはプリンタ30の機種および個体を一意に特定できるプリンタIDや、一枚の印刷用紙に対する印刷が完了するごとに1がインクリメントされる累積給紙枚数が記憶されている。プリンタ30を構成する各部31,32,33,34,35a,36a,37aはシステムバスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0014】
キャリッジ機構37bにて主走査方向に往復動するキャリッジには、各インクカートリッジ35bを装着したカートリッジホルダが設けられるとともに、印刷ヘッドを備える印刷ヘッドユニット35cが搭載されている。ヘッド駆動部36bは、ASIC36aから印刷データに対応する印加電圧データを入力されてピエゾ素子への印加電圧パターンを生成し、該素子を内蔵する印刷ヘッドに4色のインク滴をドット単位で吐出させる。インターフェイス(I/F)37aに接続されたキャリッジ機構37bや紙送り機構37cは、印刷ヘッドユニット35cを主走査させたり、適宜改ページ動作を行いながらシート状の印刷用紙を順次送り出して副走査を行ったりする。
【0015】
本実施形態のプリンタ30は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の各インクを印刷ヘッドから吐出して印刷媒体にインクのドットを形成して印刷するインクジェットプリンタであるものとする。むろん、他の種類のインクを使用するインクジェットプリンタをプリンタ30として採用してもよいし、各種インク昇華式プリンタやトナーインクを使用するレーザープリンタ等もプリンタ30として採用してもよい。赤外線I/F33は赤外線の送信を行う発光ダイオードと受信を行うフォトダイオードとを有しており、例えばIrDA1.0〜1.4やFIRやUFIRやIr−Simple等の赤外線通信規格が使用可能とされている。これらの通信規格において、赤外線が無線通信の通信媒体として使用され、通信可能な距離が30cmから1m程度となっている。操作部32は、ユーザーからの操作入力を例えば複数の操作ボタンにて受け付ける。各種操作入力を受け付けるための画面等を表示するため、操作部32に液晶パネル等の表示部を設けてもよい。不揮発性メモリ34は制御部31の制御にしたがってデータを記録したり削除したり書換したりすることが可能なメモリであり、例えばフラッシュメモリやEEPROM等を使用することができる。
【0016】
制御部31が実行する制御プログラムPPは、内部モジュールとして赤外線通信部PP1と印刷実行部PP2と要求受理部PP3とステータス取得部PP4と電子データ生成部PP5とステータス送信部PP6を備えている。赤外線通信部PP1は、赤外線I/F33にて受信した赤外線信号から各種の電子ファイルを復調し、各モジュールPP2〜PP4に出力する。反対に、各モジュールPP2〜PP4から入力された電子ファイルを赤外線信号に変調し赤外線I/F33に出力する。上述した赤外線通信においては、上位層のプロトコルとしてオブジェクト転送プロトコル(例えばOBEX(object exchange protocol)等)やファイル転送プロトコル(例えばFTP等)を使用することができ、当該オブジェクト転送プロトコルにおいては交換可能なオブジェクトとして電子ファイルを送受信することができる。
【0017】
印刷実行部PP2は、赤外線通信部PP1から電子ファイルとして印刷データPDを取得するとともに、当該印刷データPDに基づいて印刷を実行するための処理を実行させる。具体的には、印刷データPDに添付された印刷条件に基づいて各部31,32,33,34,35a,36a,37aを制御するとともに、印刷データの本体に基づいてレイアウト処理/レンダリング処理/色変換処理/ハーフトーン処理/マイクロウィーブ処理を順次実行して各部31,32,33,34,35a,36a,37aに印刷画像に応じた駆動信号を出力する処理を行う。印刷実行部PP2は、適宜、各部31,32,33,34,35a,36a,37aからステータス情報を取得しており、当該ステータス情報に応じて各部31,32,33,34,35a,36a,37aの制御を実行する。
【0018】
要求受理部PP3は、赤外線通信部PP1からステータス要求を受け付けるとともに、当該ステータス要求をステータス取得部PP4に送出する。ステータス取得部PP4は、上記システムバスを介して各部31,32,33,34,35a,36a,37aにステータス情報を問い合わせ、ステータス情報を収集する。電子データ生成部PP5は、ステータス取得部PP4が収集したステータス情報を取得するとともに、当該ステータス情報を赤外線通信部PP1が送信可能な電子ファイルに変換する。
【0019】
この電子ファイルはステータスファイルSFとしてRAM31cに記憶され、例えば各ステータス情報がTXT形式やHTML形式やXML形式等のファイルにテキストとして記述される。ステータス送信部PP6は、ステータスファイルSFをRAM31cから取得するとともに、当該ステータスファイルSFを赤外線通信部PP1に送出する。これにより、ステータスファイルSFが赤外線を介して外部に送信されることとなる。ステータスファイルSFが送信されると、ステータス送信部PP6はRAM31cからステータスファイルSFを削除する。
【0020】
図4は、携帯電話50の概略構成を示している。同図において、携帯電話50は不揮発性のメモリ51と制御部52とアンテナが接続された無線I/F53と赤外線I/F54と通話の状態や印刷指示時の各種操作入力を受け付けるための画面等を表示する液晶ディスプレイ55とユーザーからの操作入力を操作キーにて受け付ける操作部56と音声を出力するスピーカ57と音声を入力するマイクロフォン58とから構成されている。無線I/F53は、アンテナから入力される無線信号を音声信号やデータ信号を復調するとともに、マイクロフォン58や制御部52から入力される音声信号やデータ信号を上記無線信号に変調する。赤外線I/F54は赤外線の送信を行う発光ダイオードと受信を行うフォトダイオードを有し、プリンタ30と共通するオブジェクト転送プロトコルおよび赤外線通信規格が使用可能とされている。
【0021】
制御部52は、システムバス52aに接続されたCPU52bやRAM52cを有しており、CPU52bは、ROM52cから読み出した印刷中継プログラムCPをRAM52cをワークエリアとして使用しながら図示しないOS上で実行する。制御部52には、不揮発性のメモリ51が接続されており、当該メモリ51には携帯電話50が一意に特定できる携帯電話ID51aが記憶されている。CPU52bは、ROM52cから読み出した印刷中継プログラムCPをRAM52cをワークエリアとして使用しながら図示しないOS上で実行する。なお、印刷中継プログラムCPはOS上のネイティブアプリケーションに限られず、例えばJava(Sun Microsystems社の登録商標)等のバーチャルマシン上にて実行されるものであってもよい。印刷中継プログラムCPは、コンテンツ指定部CP1と印刷データ受信部CP2と赤外線通信部CP3とステータス要求部CP4とステータス解析部CP5と印刷データ送信部CP6と課金要求部CP7とから構成されている。
【0022】
コンテンツ指定部CP1はブラウザ等を利用して無線I/F53およびインターネットInを介してサーバ10にアクセスするとともに、サーバ10に対して印刷を希望するコンテンツ12cを指定する処理を行う。印刷データ受信部CP2は無線I/F53およびインターネットInを介して指定されたコンテンツ12cを印刷するための印刷データPDをサーバ10から受信し、メモリ51またはRAM52cに記憶する。赤外線通信部CP3は、赤外線I/F54にて受信した赤外線信号から各種の電子ファイルを復調し、各モジュールCP1〜CP7に出力する。反対に、各モジュールCP1〜CP7から入力された電子ファイルを赤外線信号に変調し赤外線I/F54に出力する。ステータス要求部CP4は、プリンタ30に対してステータス情報を要求するコマンドを生成し、ステータス要求として赤外線通信部CP3に出力する。
【0023】
ステータス解析部CP5は、赤外線通信部CP3が復調したステータスファイルSFを取得するとともに、当該ステータスファイルSFに記述されたステータス情報を解析する。上記ステータス情報に問題がないことが確認できると、印刷データ送信部CP6はサーバ10から受信した印刷データPDを赤外線通信部CP3に出力する。これにより、印刷データPDが赤外線によってプリンタ30に受信される。印刷データPDの送信が完了すると、印刷データ送信部CP6はメモリ51またはRAM52cから印刷データPDを削除する。課金要求部CP7は、プリンタ30からファイルとして送信された印刷完了通知を受信すると、無線I/F53およびインターネットInを介してサーバ10に対して課金要求を送信する。
【0024】
(2)印刷課金処理
図5は、印刷課金処理の全体の流れを示している。同図において、印刷課金処理はサーバ10と携帯電話50(情報取得装置)とプリンタ30(情報通知装置)との間で行われ、その際にサーバ10と携帯電話50とプリンタ30が備える制御部11,31,52においては印刷課金プログラムSPと印刷中継プログラムCPと制御プログラムPPがそれぞれ実行されている。ステップS01においてはサーバ10が実行する印刷データ配信部SP1が各コンテンツ12cのサムネイルを生成し、その一覧を無線通信を介して携帯電話20に送信する。一方、携帯電話20においてはコンテンツ指定部CP1が実行されており、コンテンツ指定部CP1が上記サムネイルの一覧を操作部56の操作に応じてブラウジングさせる。コンテンツ指定部CP1は、ステップC02にてユーザーが購入するコンテンツ12cの指定を受け付けており、当該指定が無線通信にてサーバ10に伝達される。
【0025】
サーバ10の印刷データ配信部SP1は、ステップS02にて購入するコンテンツ12cの指定を受理し、当該コンテンツ12cを印刷するための印刷データPDをHDD12上に作成する。ここで、印刷データPDは、コンテンツ12c自体を描画するためのコンテンツデータに、フレームや背景や余白などのレイアウトを指定するレイアウト情報や、印刷用紙サイズや用紙種別や印刷解像度や使用インク種等の印刷条件や、印刷可能なプリンタ30を制限するためのセキュリティ情報等がヘッダやフッタとして添付された電子ファイルである。複数枚数印刷するように指定された場合には、枚数分のコンテンツデータとレイアウト情報を送信することとなる。また、印刷データPDが外部に流出しても不特定の者にコンテンツデータが展開されないように、印刷データPDを専用のファイルフォーマットとし、さらにスクランブルを掛けて生成することが望ましい。
【0026】
ステップS04においては印刷データ配信部SP1が無線通信によってサーバ10から携帯電話50に対して印刷データPDを送信する。一方、携帯電話50においては印刷データ受信部CP2がステップC03にて印刷データPDを受信し、メモリ51に記憶する。印刷データPDの受信が完了すると、ステップC04においてステータス情報を取得する必要があるとして(判断手段)、ステータス要求部CP4がステータス要求(情報要求)を行う。具体的には、プリンタ30のRAM31cに記憶されたステータスファイルSFを赤外線通信を介して取得する(get)コマンドを生成する(要求手段)。
【0027】
プリンタ30におけるRAM31cのパスはプリンタ30が実行するOSによって割り当てられており、当該パスと、ステータスファイルSFのファイル名をコマンドに付記することにより、ステータスファイルSFを取得するコマンドを生成することができる。ステータス要求のコマンドは赤外線通信部CP3にて赤外線信号に変調され、プリンタ30に送信される。なお、ファイル名とパスを指定して電子ファイルを赤外線を介して取得する(get)コマンドは、OBEXの規格にて使用可能なコマンドである。
【0028】
ステップP01おいては、プリンタ30にて実行中の要求受理部PP3が赤外線通信部PP1を介して上記コマンドを受け付ける。すると、ステップP02にてステータス取得部PP4が電子ファイルの取得要求をステータス情報の情報要求とみなして、スタータス情報を格納した電子ファイルを生成する処理を開始させる。具体的には、ステータス取得部PP4がシステムバスを介して各部31,32,33,34,35a,36a,37aにステータス情報を問い合わせる。プリンタ30の機種に応じて問い合わせ可能なステータスは異なるが、例えばROM31bや不揮発性メモリ34からは機種名やシリアルナンバー(プリンタID)や累積給紙枚数を取得することができ、インクカートリッジ35bからはインク搭載の有無やインク残量を取得することができ、また紙送り機構37cからはセットされた印刷用紙サイズや用紙枚数や用紙種別(光沢紙or普通紙等)や紙詰まりの有無等を取得することができる。その他、プリンタ30の実行すべき残りのジョブ数やヘッド温度等を取得するようにしてもよい。
【0029】
以上のようなステータス情報がステータス取得部PP4によって収集されると、さらに収集したステータス情報を記述したステータスファイルSFを電子データ生成部PP5が生成し、RAM31cに記憶する。ここで、電子データ生成部PP5が生成するステータスファイルSFのファイル名およびRAM31c内のパスは常に一定とするように規定されている。この規定は、上述した携帯電話50のステータス要求部CP4にも登録されており、ステップC04においてステータスファイルSFを取得する(get)コマンドを生成するにあたっては、規定されたパスとファイル名を付記することが可能となっている。すなわち、ステップC04においては、ステップP02にてステータスファイルSFが作成されるであろうパスとファイル名が予め指定されていることとなる。
【0030】
図6は、ステータスファイルSFに記述された内容の一例を示している。ステータスとして検知可能な項目は機種等によって大きく異なるため、ここではあくまで一例を挙げて説明する。同図において、ステータスファイルSFをTempStatus.txtというファイル名で作成し、例えばRAMドライブのルートパスに記憶されるように規定されている。ステータス情報として、プリンタ30の機種名やシリアルIDを記述することにより、赤外線で接続されたプリンタ30の特定が可能となり、印刷データPDを正規の送信先のプリンタ30に送信することができ、コンテンツ12cの流出を防止することができる。インク残量をステータス情報として記述することにより、印刷データPDを送信するにあたり、当該印刷データPDの印刷に十分なインク量が残存にしているか否かを判断することができる。また、複数種類のインクセットをセット可能なプリンタ30において、印刷データPDの印刷につき適正なインクセットがセットされているか否かを判定することができる。さらに、紙送りにセットされた印刷用紙サイズや用紙枚数をステータス情報として記述することにより、印刷データPDが印刷可能なサイズの印刷用紙が必要な枚数セットされているか否かを判定することができる。むろん、他のステータス情報をステータスファイルSFに記述することも可能である。
【0031】
ステップP03においてはステータス送信部PP6がステータスファイルSFを携帯電話50に送信する。ここでも赤外線が通信媒体として使用されるが電子ファイルを赤外線を介して送信する(put)コマンドもOBEXの規格にて使用可能である。このように、プリンタのステータスを単体で送受信する仕組みがない赤外線通信等の通信媒体においても、当該通信媒体において交換プロトコルが規定されている汎用的な電子ファイルオブジェクトにステータス情報を格納することにより、ステータス情報の円滑なやりとりを実現することができる。
【0032】
ステップC05においては、携帯電話50におけるステータス解析部CP5が赤外線通信部CP3を介してステータスファイルSFを受信し、例えばTXT形式のステータスファイルSFが携帯電話50のRAM52cに記憶される。ステータスファイルSFの受信が完了すると、プリンタ30においてはステップP04にてステータスファイルSFがRAM31cから削除される。上述したとおりRAM31cは制御プログラムPPを実行する際のワークエリアとして使用されるため、より多くの空き容量を確保するためにRAM31cから削除しておくことが望ましい。さらに、古いステータス情報が記述されたステータスファイルSFがRAM31cに残存することが防止でき、常に最新のステータス情報のみを携帯電話50に送信することができる。
【0033】
一方、RAM52cに受信したステータスファイルSFが記憶された携帯電話50においては、ステータス解析部CP5がステップC06にてステータスファイルSFを展開するとともに、ステータスファイルSFに記述された各ステータス情報を抽出して解析を行う(抽出手段)。携帯電話50においてはメモリ51に印刷データPDが記憶されており、ここではこの印刷データPDに添付された印刷条件と各ステータス情報との比較を行い、現在のステータスにて当該印刷データPDを印刷して問題があるか否かが判定される。例えば、印刷データPDに印刷条件として指定されたサイズの印刷用紙がプリンタ30にセットされていない場合には問題ありと判定される。一方、例えばエラーがある場合やインク残量が0である場合等、印刷自体が不可能である場合には、印刷データPDにて指定された印刷条件のいかんに拘わらず、問題ありと判定される。
【0034】
ステップC07にて、問題があると判定されるとステップC12にてステータス解析部CP5が液晶ディスプレイ55にてエラー表示を表示させる。これにより、ユーザーはプリンタ30やその設定に問題があったこと、および、印刷がされないことを認知することができる。エラー表示を行うと、ステップC13にて印刷データPDを携帯電話50のメモリ51から削除する。この場合も、印刷データPDが携帯電話50に残存することが防止でき、印刷データPDおよびコンテンツ12cの不正な複製を防止することができる。以上の処理において、印刷が実行できなかった場合には課金がされることはない。従って、不当に課金されることが防止できる。
【0035】
一方、ステップC07にて問題がないと判定されるとステップC08にて印刷データ送信部CP6がプリンタ30に印刷データPDを送信する。印刷データPDが携帯電話50から送信されると、ステップP05にてプリンタ30の印刷実行部PP2が印刷データPDを受信し、引き続きステップP06にて当該印刷データPDを展開(スクランブルが掛けられている場合には、スクランブルを解除)する。まず、印刷データPDから印刷条件を抽出し、当該印刷条件にしたがって各部31,32,33,34,35a,36a,37aを制御する。
【0036】
このとき、印刷データの本体に基づいてレイアウト処理/レンダリング処理/色変換処理/ハーフトーン処理/マイクロウィーブ処理を順次実行して各部31,32,33,34,35a,36a,37aに印刷画像に応じた駆動信号を出力する処理を行う。これにより、印刷データPDに基づく印刷画像を印刷データPDにて指定された印刷条件にて印刷させることができる。なお、本実施形態ではプリンタ30が印刷データPDから印刷条件を抽出するようにしたが、予め携帯電話50にて印刷データPDから印刷条件を抽出し、抽出した印刷条件単体をプリンタ30に送信するようにしてもよい。また、レイアウト処理/レンダリング処理/色変換処理/ハーフトーン処理/マイクロウィーブ処理の各段階の処理までを携帯電話50が行うようにしてもよい。
【0037】
一方、印刷データPDの送信が完了した携帯電話50においては、ステップC13にて印刷データPDが携帯電話50のメモリ51から削除される。これにより、印刷データPDが携帯電話50に残存することが防止でき、印刷データPDおよびコンテンツ12cの不正な複製を防止することができる。プリンタ30にて印刷実行部PP2が印刷を完了させると、電子データ生成部PP5が印刷完了を示すステータスファイルSFを生成し、RAM31cに記憶させる。ステップP07においては、ステータス送信部PP6が印刷完了を示すステータスファイルSFを完了通知として、携帯電話50に送信する。
【0038】
携帯電話50においては、ステータス解析部CP5がステップC10にてステータスファイルSFを受信し、印刷の完了を認識する。印刷の完了を認識すると、続くステップC11にて課金要求部CP7が課金要求をサーバ10に送信する。すなわち、本実施形態においてプリンタ30における印刷完了を課金の要件としている。サーバ10において課金部SP2がステップS05にて課金要求を受信し、ステップS06にて課金処理を実行する。例えば、携帯電話50から送信された課金要求に基づいて印刷が完了した印刷データPDに対応するコンテンツ12cを特定し、当該コンテンツ12cに相応する対価を取得する。そして、携帯電話50を所持するユーザーに対して当該対価を請求するための処理を実行する。
【0039】
(3)変形例
以上においては、サーバ10から送信された印刷データPDをプリンタ30にて印刷する実施形態を説明したが、本発明において印刷データPDが必ずしもサーバ10から送信されたものである必要はない。すなわち、情報通知装置(プリンタ30)と、当該情報通知装置に対して所定の通信媒体を介して接続した情報取得装置(携帯電話50)との間において本発明が実現可能であり、プリンタ30にて作成した印刷データPDを携帯電話50にて印刷させる場合においても本発明の手法によってステータス情報を伝達することができる。また、情報通知装置(プリンタ30)と情報取得装置(携帯電話50)とが赤外線によって通信可能とされた例を挙げたが、他の通信媒体上にて本発明の電子ファイルを伝送するようにしてもよい。例えば、Bluetooth等の無線通信上におけるOBEXにてステータスファイルSFを送信させることもできる。むろん、通信媒体は無線に限られず有線であってもよい。
【0040】
さらに、情報取得装置(携帯電話50)からのステータス要求があったときに、ステータスファイルSFを送信するものを上記実施形態では例示したが、ステータスファイルSFを他のタイミングで送信するようにしてもよい。例えば、時間周期的に、情報通知装置(プリンタ30)がステータス情報の収集とステータスファイルSFの生成を行い、ステータスファイルSFを情報取得装置(携帯電話50)に送信(プッシュ)するようにしてもよい。このようにすることにより、情報取得装置(携帯電話50)が常に最新のステータス情報を取得することができる。さらに、携帯電話50の他にもPDAやPC等を本発明の情報取得装置とし、プリンタ30の他にも家電等を本発明の情報通知装置とし、これらの間で情報をやりとりする場合に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷課金システムのブロック図である。
【図2】コンテンツサーバのブロック図である。
【図3】プリンタのブロック図である。
【図4】携帯電話のブロック図である。
【図5】印刷課金処理のフローチャートである。
【図6】ステータスファイルの内容を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10…コンテンツサーバ、11…制御部、11a…CPU、12…HDD、12a…OS,12b…プログラムデータ,12c…コンテンツ,20…携帯電話、30…プリンタ、31…制御部、31a…CPU、32…操作部、33…赤外線I/F、34…不揮発性メモリ、50…携帯電話、51…メモリ、52…制御部、52a…システムバス、52b…CPU、53…無線I/F、54…赤外線I/F、55…液晶ディスプレイ、56…操作部、57…スピーカ、58…マイクロフォン、At…アンテナ、CP…印刷中継プログラム、CP1…コンテンツ指定部、CP2…印刷データ受信部、CP3…赤外線通信部、CP4…ステータス要求部、CP5…ステータス解析部、CP6…印刷データ送信部、CP7…課金要求部、G…ゲートウェイ、In…インターネット、PD…印刷データ、PP…制御プログラム、PP1…赤外線通信部、PP2…印刷実行部、PP3…要求受理部、PP4…ステータス取得部、PP5…電子データ生成部、PP6…ステータス送信部、SF…ステータスファイル、SP…印刷課金プログラム、SP1…印刷データ配信部、SP2…課金部。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信手段にて通信可能な電子ファイルを生成し、当該電子ファイルに上記通信手段にて通信不可能な情報を格納する電子ファイル生成手段と、
上記電子ファイルを上記通信手段を介して情報取得装置に送信する情報送信手段とを具備することを特徴とする情報通知装置。
【請求項2】
上記電子ファイル生成手段は、上記通信手段を介して上記情報取得装置から情報要求を受信した後、上記電子ファイルを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報通知装置。
【請求項3】
上記電子ファイル生成手段は、上記情報取得装置からの所定の電子ファイルの取得要求を上記情報要求とみなして、上記情報を格納した当該電子ファイルを生成することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項4】
上記電子ファイル生成手段は、上記電子ファイルをRAM上に生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報通知装置。
【請求項5】
上記情報送信手段は、上記電子ファイルを送信した後に当該電子ファイルを上記RAMから削除することを特徴とする請求項4に記載のステータス通知装置。
【請求項6】
上記通信手段は、無線信号を通信媒体とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報通知装置。
【請求項7】
上記通信手段は、上記情報を取得するためのコマンドが定義されていない通信手段であることを特徴とする請求項6に記載の情報通知装置。
【請求項8】
所定の通信手段にて通信可能な情報通知装置から、上記通信手段にて通信不可能な情報を取得するか否かを判断する判断手段と、
上記情報を取得すると判断した場合に、上記情報通知装置に対して、所定の情報要求を行う要求手段と、
上記情報通知装置から上記通信手段を介して、電子ファイルを取得する取得手段と、
取得した上記電子ファイルから、上記情報を抽出する抽出手段とを具備することを特徴とする情報取得装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−186240(P2008−186240A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19213(P2007−19213)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】