説明

情報配信センタ及びプログラム

【課題】適切な施設情報を配信可能な情報配信センタを提供する。
【解決手段】対象施設に対応する停止情報の全体数Mを取得し(S310)、対象施設に対応する判定時間を取得し(S330)、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数Nを取得する(S340)。そして、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数Nの全体数Mに対する割合に基づいて、施設が実際に存在しているか否かを判定する(S350)。すなわち、「施設における車両の停止時間が施設に対応して設定される判定時間以下となる停止情報の数に基づいて、施設が実際に存在しているか否かを判定する」構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両へ情報を配信する情報配信センタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刻一刻と変化する交通情報を運転者に報知することなどを目的として、情報配信センタが整備されてきている。交通状況の中には、施設の混雑状況などの施設に関する情報も含まれる。
そして、近年、インフラ整備の行われていない施設の情報は、車両から送信される情報を統計判断して情報配信センタ側で把握し、その後、車両へ配信するという構成が見受けられる。
【0003】
一例として、施設への入庫数、及び、施設からの出庫数に基づき、施設の車両収容能力と比較することで、施設の混雑状況を判断する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−252833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、地図データ上の施設が実際に存在することを前提として施設の混雑状況を判断している。
しかしながら、実際には、施設の閉鎖や移動があるため、地図データ上に存在する施設が、実際には存在していないということもあり得る。そのため、従来技術により混雑状況が判断されている施設へ行ってみたところ、当該施設が存在しないという事態が懸念される。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、適切な施設情報を配信可能な情報配信センタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報配信センタは、施設における車両の停止時間に関する複数の停止情報を蓄積する停止情報蓄積手段と、施設における車両の停止時間が施設に対応して設定される判定時間以下となる停止情報の数に基づいて、施設が実際に存在しているか否かを判定する施設判定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、施設に対応して「判定時間」が設定されていることを前提とする。例えば、判定時間は、施設の利用に最低限必要な時間としておく。車両の停止時間が判定時間以下となれば、施設を利用していない可能性が高い。そこで、このような条件を満たす停止情報の数によって、施設が実際に存在しているか否かを判定する。このようにすれば、地図上には存在しても実際に存在していない施設を適切に判定することができる。その結果、適切な施設情報を配信することが可能となる。
【0009】
上記停止情報は、例えば、施設を目的地として設定した車両から送信されることとしてもよい。このようにすれば、施設を実際に利用しようとした車両の停止情報を蓄積することが可能となるため、より正確に施設が存在しているか否かを判定することが可能となる。
【0010】
また、施設が存在しているか否かは、施設の営業時間帯における停止情報に基づいて判定するようにすることが好ましい。そもそも施設を利用したか否かを停止時間から推測しようとするのが、本発明の思想である。とすれば、営業時間帯以外の停止情報まで含めると判断の正確性を低下させることになりかねない。そこで、営業時間帯における停止情報に基づいて判定するようにすれば、施設が存在しているか否かの判定が確実なものとなる。
【0011】
さらにまた、施設判定手段にて施設が存在していないと判定された場合、更新情報を配信するようにしてもよい。更新情報は、ナビゲーション装置の地図データから当該施設を削除するための情報である。このようにすれば、実際には存在しないと判定された施設が、更新情報を受信した車両の地図データから削除されて適切な地図データとなるため、当該施設が目的地として設定されることや地図上に表示されること等がなくなり、適切な案内が可能となる。
【0012】
以上は、情報配信センタの発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、施設における車両の停止時間に関する複数の停止情報を蓄積させる停止情報蓄積制御処理と、施設における車両の停止時間が施設に対応して設定される判定時間以下となる停止情報の数に基づいて、施設が実際に存在しているか否かを判定する施設判定処理と、施設が存在していないと判定された場合、施設が存在していない旨を示す情報を配信する施設情報配信処理と、を含むプログラムである。
このようなプログラムを実行することで、上記同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の情報配信センタ10を示す概略ブロック図である。
情報配信センタ10は、制御部11と、通信部12と、地図データ記憶部13と、停止情報蓄積部14とを備えている。
【0014】
制御部11は、情報配信センタ10全体の制御を司る。制御部11は、いわゆるCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインを具備するコンピュータシステムとして具現化される。
【0015】
通信部12は、車両90に搭載されるナビゲーション装置91との間で無線ネットワークを介した通信を行うための構成である。図1では、1台のナビゲーション装置91を示したが、情報配信センタ10は、実際は、複数台のナビゲーション装置91との間で通信を行う。また、本実施形態では、情報配信センタ10から情報を配信するだけでなく、ナビゲーション装置91からの情報を受信する。したがって、無線ネットワークは、一例として、双方向通信が可能な携帯電話回線として具現化される。
【0016】
地図データ記憶部13は、例えばハードディスク装置として実現される記憶装置である。もちろんハードディスク装置以外で構成しても差し支えない。地図データには、各種データが含まれるが、その一つとして、施設に関する施設情報が含まれる。本実施形態では、施設情報として、施設の「識別情報(ID)」、「施設名称」、施設の「座標」、施設の「ジャンル」、施設の「営業時間」及び、施設を利用したか否かを判定するために予め施設毎に定められる「判定時間」を含む。
【0017】
ここで判定時間について説明する。判定時間は、施設の利用に最低限必要な時間として設定しておくことが例示される。例えば、ラーメン店であれば10分、レストランであれば20分という具合である。また、判定時間は、本実施形態のごとく施設毎に設定してもよいし、施設の属するジャンル毎に設定してもよい。
【0018】
図1の説明に戻り、停止情報蓄積部14は、地図データ記憶部13と同様、ハードディスク装置として実現される記憶装置である。もちろん、ハードディスク装置以外で構成しても差し支えない。停止情報蓄積部14は、「車両の停止時間に関する停止情報」を蓄積する。この意味で、停止情報蓄積部14が「停止情報蓄積手段」を構成する。本実施形態において、停止情報は、図2に示すような「施設名称」に対応する「停止時間」となっている。
【0019】
この停止情報蓄積部14に蓄積される停止情報は、車両90に搭載されたナビゲーション装置91から送信される。そこで次に、車両90側において実行される処理を説明する。
【0020】
図3は、ナビゲーション装置91にて実行される停止時間送信処理を示すフローチャートである。この処理は、ナビゲーション装置91にて目的地としての施設が設定されると、例えば所定時間間隔で、実行される。なお、この処理は、到着フラグがリセットされるまで繰り返し実行される。
【0021】
最初のステップ100において(以下「ステップ」を単に記号Sで示す)、到着フラグが「1」であるか否かを判断する。設定した目的地へ向かう経路案内において到着判定が行われた場合、後述するように到着フラグがセットされて「1」となる。ここで到着フラグ=1であると判断された場合(S100:YES)、S110〜S130の処理を実行せず、S140へ移行する。一方、到着フラグ≠1であると判断された場合(S100:NO)、S110へ移行する。
【0022】
S110では、経路案内を行う。この処理は、設定された目的地としての施設までの経路に沿って地図表示及び音声出力によって案内を行うものである。
続くS120では、設定された目的地としての施設に到着したか否かを判断する。この到着判断も周知であるため詳しい説明は割愛するが、例えば、自車位置と地図データ(目的地としての施設の施設情報)とに基づいて、目的地までの間に右左折がない場合には目的地の手前100mで到着を判断し、目的地までの間に右左折がある場合には目的地の手前50mで到着を判断するという具合である。ここで目的地に到着したと判断された場合(S120:YES)、S130にて到着フラグをセットして「1」とし、その後、S140へ移行する。一方、目的地に到着していないと判断された場合(S120:NO)、以降の処理を実行せず、本停止時間送信処理を終了する。
【0023】
S100にて到着フラグが「1」であると判断された場合、又は、S130にて到着フラグがセットされて「1」になった場合に移行するS140では、目的地としての施設から所定距離以上離れたか否かを判断する。この判断は、自車位置と地図データ(目的地としての施設の施設情報)とに基づいて行われる。ここで目的地とした施設から所定距離以上離れたと判断された場合(S140:YES)、S150へ移行する。一方、目的地とした施設から所定距離以上離れていないと判断された場合(S140:NO)、S180へ移行する。
S150では、現在時刻が営業時間内か否かを判断する。この判断は、地図データ(目的地としての施設の施設情報に含まれる「営業時間」)に基づいて行われる。ここで営業時間内であると判断された場合(S150:YES)、S160にて「施設名称」及び後述する最大の「停止時間」を送信し、S170にて到着フラグをリセットして「0」とし、その後、本停止時間送信処理を終了する。一方、営業時間内でないと判断された場合(S150:NO)、S160の処理を実行せず、S170にて到着フラグをリセットして「0」とし、その後、本停止時間送信処理を終了する。到着フラグがリセットされると、次に新たな目的地としての施設が設定されるまで、本停止時間送信処理は実行されなくなる。なお、S160における「停止時間」の送信については後述する。
【0024】
S180では、車両90が停止したか否かを判断する。車両90が停止したか否かは、例えば、車速が「0」になったことで判断する。ここで車両90が停止したと判断された場合(S180:YES)、S190にてタイマフラグをセットして「1」とし、本停止時間送信処理を終了する。ここでタイマフラグをセットするのに伴って、停止時間を算出するためのカウント処理(不図示)を開始する。このようなカウント処理には、制御部11内部のCPUが具備するフリーランカウンタを用いることが例示される。一方、車両90が停止していないと判断された場合(S180:NO)、S190の処理を実行せず、本停止時間送信処理を終了する。
【0025】
このような停止時間送信処理が繰り返されることよって、最初は経路案内を行いながら到着判断が繰り返され(図3中のS110、S120)、一度到着判断が行われて到着フラグがセットされると(S120:YES、130)、その後は、停止判断が繰り返されることになる(S100:YES、S180)。
【0026】
図4は、停止時間記憶処理を示すフローチャートである。この処理は、停止時間送信処理にてタイマフラグがセットされることで(図3中のS190)、タイマフラグがセットされている間は、上記停止時間送信処理に代えて繰り返し実行される。
最初のS200では、車両90が発進したか否かを判断する。この処理は、車速が一定速度以上になったことを判断するものである。ここで車両90が発進したと判断された場合(S200:YES)、S210へ移行する。一方、発進していないと判断された場合(S200:NO)、以降の処理を実行せず、本停止時間記憶処理を終了する。
【0027】
S210では、タイマフラグをリセットして「0」にする。これに伴いカウント処理を停止する。このときのカウント処理におけるカウント値に基づいて車両が停止してから発進するまでの停止時間が分かるため、次のS220では、車両90の停止時間を記憶する。そして、本停止時間記憶処理を終了する。
【0028】
この停止時間記憶処理において、車両90の停止時間が記憶されることになる。したがって、車両が停止と発進を繰り返した場合には、複数の停止時間が記憶される。そこで、上述の停止時間送信処理では、目的地の施設から所定距離以上離れたときに(図3中のS140:YES)、「施設名称」及びS220で記憶された停止時間のうち最大の「停止時間」を送信する(S160)。なお、S180にて一度も車両90の停止が判断されないうちにS140にて肯定判断された場合には、停止時間「0」を送信するものとする。
【0029】
以上説明したように、車両90に搭載されたナビゲーション装置91は、停止時間送信処理(図3参照)及び停止時間記憶処理(図4参照)を実行することで、目的地の「施設名称」及び車両90の「停止時間」を送信する。
【0030】
このような構成のナビゲーション装置91に対し、情報配信センタ10は、通信部12を介してこれらの情報を受信し、停止情報蓄積部14に蓄積する。停止情報蓄積部14への蓄積は、制御部11によって行われる。この意味で、制御部11にて実行される蓄積処理が「停止情報蓄積制御処理」に相当する。具体的には、上述したように「施設名称」及び「停止時間」をワンセットにして記憶していく(図2参照)。詳しくは、上から一段目に示すように、「施設名称」が施設A、施設Aでの「停止時間」が30分、という具合である。同様に、「施設名称」が施設B、施設Bでの「停止時間」が50分、「施設名称」が施設Z、施設Zでの「停止時間」が60分、となっている。
【0031】
本実施形態では、「停止情報」を30分、50分、・・・、60分というような停止時間で示しているが、車両90が停止した時刻である停止時刻及び車両90が発進した時刻である発進時刻をナビゲーション装置91が送信する構成とし、これら停止時刻及び発進時刻のペアを蓄積するようにしてもよい。この場合、図3中のS190にてタイマフラグをセットするときに停止時刻を記憶し、図4中のS210にてタイマフラグをリセットするときに発進時刻を記憶するようにすればよい。
【0032】
図5は、情報配信センタ10における施設存在判定処理を示すフローチャートである。 最初のS300は、ループ始端であり、S360のループ終端と対応している。これにより、S300〜S360の処理が、施設毎に繰り返される。以下では、ループ処理の中で処理対象となる施設を「対象施設」と適宜記述する。なお、S360にて、すべての施設を処理したと判断すると、本施設存在判定処理を終了する。
【0033】
S310では、対象施設の停止情報の全体数Mを取得する。この処理は、停止情報蓄積部14に蓄積された停止情報の中の対象施設(例えば施設A)に関する停止情報の数を取得するものである。続くS320では、対象施設の停止情報の全体数Mが所定数α以上であるか否かを判断する。ここで所定数αは、対象施設の判定に十分な停止情報の数である。ここでM≧αであると判断された場合(S320:YES)S330へ移行する。一方、M<αであると判断された場合(S320:NO)、S330〜S350の処理を実行せず、S360へ移行する。S330では、対象施設に対応する判定時間を取得する。この処理は、地図データ記憶部13に記憶されている施設情報としての「判定時間」を取得するものである。次のS340では、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数Nを取得する。この処理は、上述したM個の停止情報のうち、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数を取得するものである。つまり、数Nは、対象施設に関し、当該施設を利用したとは考えられないような短時間の停止回数(以下「施設非利用回数」という)である。
【0034】
続くS350では、施設判定処理を実行し、S360へ移行する。施設判定処理については後述する。S360では、上述したように全ての施設について処理したか否かが判断され、全ての施設について処理したと判断された場合、本施設存在判定処理を終了する。一方、すべての施設について処理していないと判断された場合には、S300からの処理を繰り返す。
【0035】
ここで、図6に基づき、S350の施設判定処理について説明する。この施設判定処理が特許請求の範囲の「施設判定処理」に相当し、この処理を実行する制御部11が「施設判定手段」を構成する。
【0036】
最初のS400では、(N/M)が閾値P1以上か否かを判断する。上述したように数Nは、車両90の施設非利用回数である。したがって、ここでは全体数Mに対する施設非利用回数Nの割合が閾値P1以上であるか否かを判断している。具体的に閾値P1は「0.9」などとして設定することが例示される。ここで、(N/M)≧P1である場合(S400:YES)、S420にて施設が「存在しない」と判定し、その後、本施設判定処理を終了する。一方、(N/M)<P1である場合(S400:NO)、S410へ移行する。
【0037】
S410では、(N/M)が閾値P2以下であるか否かを判断する。ここでは全体数Mに対する施設非利用回数Nの割合が閾値P2以下であるか否かを判断している。具体的に閾値P2は、「0.1」などとして設定することが例示される。ここで(N/M)≦P2である場合(S410:YES)、S430にて「空いている施設」と判定し、その後、本施設判定処理を終了する。一方、(N/M)>P2である場合(S410:NO)、S440にて「混雑している施設」と判定し、その後、本施設判定処理を終了する。
【0038】
次に、本実施形態の情報配信センタ10が有する効果について説明する。
本実施形態では、対象施設に対応する停止情報の全体数Mを取得し(図5中のS310)、対象施設に対応する判定時間を取得し(S330)、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数Nを取得する(S340)。そして、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数Nの全体数Mに対する割合に基づいて、施設が実際に存在しているか否かを判定する(S350)。すなわち、「前記施設における車両の停止時間が前記施設に対応して設定される判定時間以下となる前記停止情報の数に基づいて、前記施設が実際に存在しているか否かを判定する」のである。これにより、地図データ上に存在しても実際には存在していない施設を適切に判定することができる。その結果、適切な施設情報を配信することが可能となる。
【0039】
ここでは全体数Mに対する停止情報の数Nの割合で判定しているため、全体数Mに十分に大きな数を採用すれば、妥当な判定が可能となる。この意味で、「前記施設判定手段は、前記施設に対応する停止情報の数に対する、前記施設における車両の停止時間が前記施設に対応して設定される判定時間以下となる前記停止情報の数の割合に基づいて、前記施設が実際に存在しているか否かを判定すること」としてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、停止情報蓄積部14に蓄積される停止情報は、施設を目的地として設定したナビゲーション装置91から送信される。すなわち、「前記停止情報蓄積手段に蓄積される前記停止情報は、前記施設を目的地として設定した車両から送信される」ようになっている。これにより、実際に施設を利用しようとした車両の停止情報を蓄積することが可能となるため、より正確に施設が存在しているか否かを判定することが可能となる。
【0041】
さらにまた、本実施形態では、ナビゲーション装置91から送信される「停止時間」は、施設の営業時間帯における車両90の停止情報となっている(図3中のS150:YES、S160)。つまり、停止情報蓄積部14に蓄積される停止情報は、施設の営業時間帯における情報となっている。すなわち、「前記施設判定手段は、前記施設の営業時間帯における停止情報の数に基づいて、前記施設が存在しているか否かを判定する」ようになっている。これにより、施設が存在しているか否かの判定が確実なものとなる。
【0042】
また、本実施形態では、(N/M)が閾値P1よりも小さいと判断された場合(S400:NO)、さらに、閾値P2以下となっているか否かを判断し(S410)、閾値P2以下ならば「空いている施設」と判断し、閾値P2を上回っていれば「混んでいる施設」と判断する。すなわち、「前記施設判定手段は、前記施設における車両の停止時間が前記施設に対応して設定される判定時間以下となる前記停止情報の数に基づいて、前記施設が空いている施設かあるいは混んでいる施設かを判定可能であること」を特徴としている。
【0043】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施することができる。
【0044】
(イ)例えば、情報配信センタ10は、図6に示す施設判定処理の結果、当該施設が存在しないと判定した場合(S420)、更新情報を配信するようにしてもよい。すなわち、「前記施設判定手段にて前記施設が存在していないと判定された場合、ナビゲーション装置の地図データから当該施設を削除するための更新情報を配信する」構成としてもよい。この場合、制御部11が「施設情報配信手段」を構成し、制御部11の実行する処理が「施設情報配信処理」に相当する。ここで更新情報は、指定した施設をナビゲーション装置側で地図データから削除させるためのコマンド情報であることが例示される。また、更新情報は、施設データの一部又は全部を上書きするための上書き情報であってもよい。このようにすれば、実際には存在しないと判定された施設がナビゲーション装置91の地図データから削除されて適切な地図データとなるため、当該施設が目的地として設定されることや地図上に表示されること等がなくなり、適切な案内が可能となる。
もちろん、「空いている施設」との判定結果(S430)や「混んでいる施設」との判定結果(S440)を施設情報として配信する構成を採用してもよい。
【0045】
(ロ)上記実施形態では、現在時刻が営業時間内であるか否かを判断し(図3中のS150)、営業時間内であるときに、施設名称及び最大停止時間を送信するようにしていた(S160)。これに対し、ナビゲーション装置91からは施設の営業時間帯であるか否かにかかわらず目的地とした施設での停止時間に関する停止情報が送信されるものとし、情報配信センタ10にて、施設の営業時間帯における車両90の停止情報のみを選別して停止情報蓄積部14に蓄積するようにしてもよい。この構成としては、センタは、判定の対象となる施設の施設情報を参照して当該施設の営業時間を取得し、受信した停止情報の受信時刻が前記営業時間に含まれるか否かを判定し、受信時刻が営業時間に含まれる停止情報のみを停止情報蓄積部14に蓄積するような構成が挙げられる。いずれの場合も結果的に、停止情報蓄積部14に蓄積される車両90の停止情報は、施設の営業時間帯における停止情報となっている。この意味で、「停止情報蓄積手段に蓄積される前記停止情報は、施設の営業時間帯におけるものであること」としてもよい。
【0046】
(ハ)上記実施形態では、停止情報が十分に蓄積された段階(停止情報数M≧所定数αとなった段階)で、停止時間が判定時間以下となる停止情報の数Nの割合(N/M)に基づき、施設が存在しているか否かを判定していた。
これに対し、「停止時間が判定時間以下となる停止情報の数」に基づいて判定すればよいため、例えば停止時間が判定時間以下となる停止情報を連続して所定回数受信した場合に、施設が存在していないと判定してもよい。すなわち、「前記施設判定手段は、前記施設における車両の停止時間が前記施設に対応して設定される判定時間以下となる前記停止情報が所定回数連続して受信されたことに基づき、前記施設が実際に存在しているか否かを判定すること」としてもよい。このようにすれば、施設についての判定を迅速に行うことができる。
【0047】
(ニ)上記施設存在判定処理を、停止情報蓄積部14に十分な数の停止情報が蓄積されたときに実行するようにしてもよい。一例として、蓄積された停止情報の数が一定数を上回ったときに実行されるようにしてもよい。また、一ヶ月おきというように定期的に実行するようにしてもよい。
【0048】
(ホ)上記実施形態では、「停止時間に関する停止情報」を時間あるいは停止時刻と発進時刻とのペアで記憶する構成について言及した。これに対し、ナビゲーション装置91側に各施設に対応する判定時間を有する構成とした場合、ナビゲーション装置91にて、停止時間が判定時間以下となるか否かを判断し、当該判断結果を施設名称と共に情報配信センタ10へ送信する構成としてもよい。
【0049】
(へ)上記実施形態は施設を特定するために「施設名称」を採用しているが、施設の「識別情報(ID)」を「施設名称」の代わりに用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態の情報配信センタの概略構成を示すブロック図である。
【図2】停止情報蓄積部に蓄積される停止情報を示す説明図である。
【図3】ナビゲーション装置にて実行される停止時間送信処理を示すフローチャートである。
【図4】ナビゲーション装置にて実行される停止時間記憶処理を示すフローチャートである。
【図5】情報配信センタにて実行される施設存在判定処理を示すフローチャートである。
【図6】施設存在判定処理における施設判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
10…情報配信センタ、11…制御部(施設判定手段、情報配信手段)、12…通信部、13…地図データ記憶部、14…停止情報蓄積部(停止情報蓄積手段)、90…車両、91…ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設における車両の停止時間に関する複数の停止情報を蓄積する停止情報蓄積手段と、
前記施設における車両の停止時間が前記施設に対応して設定される判定時間以下となる前記停止情報の数に基づいて、前記施設が実際に存在しているか否かを判定する施設判定手段と、
前記施設が存在していないと判定された場合、前記施設が存在していない旨を示す情報を配信する施設情報配信手段と、
を備えていることを特徴とする情報配信センタ。
【請求項2】
請求項1に記載の情報配信センタにおいて、
前記停止情報蓄積手段に蓄積される前記停止情報は、前記施設を目的地として設定した車両から送信されることを特徴とする情報配信センタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報配信センタにおいて、
前記施設判定手段は、前記施設の営業時間帯における停止情報に基づいて判定することを特徴とする情報配信センタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報配信センタにおいて、
前記施設情報配信手段は、
前記施設判定手段にて前記施設が存在していないと判定された場合、ナビゲーション装置の地図データから当該施設を削除するための更新情報を配信することを特徴とする情報配信センタ。
【請求項5】
施設における車両の停止時間に関する複数の停止情報を蓄積させる停止情報蓄積制御処理と、
前記施設における車両の停止時間が前記施設に対応して設定される判定時間以下となる前記停止情報の数に基づいて、前記施設が実際に存在しているか否かを判定する施設判定処理と、
前記施設が存在していないと判定された場合、前記施設が存在していない旨を示す情報を配信する施設情報配信処理と、
を含むプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−55502(P2010−55502A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221792(P2008−221792)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】