説明

情報隠蔽伝票用複写シート及び情報隠蔽伝票類及び情報読取装置及び情報読取方法

【課題】赤外光照明方式と短波長光照明方式(例えばブラックライト照明方式)との2種類の照明方式により読み取ることにより、その書類に記載された機密を要する機密情報、又は、その機密情報と、機密を要しない通常情報のそれぞれ記載事項の全体を、良好に解読できるようにすることにある。
【解決手段】基材シート1の片面に、赤外光を吸収する赤外光吸収性カーボンインクを用いて形成された透明な不可視の赤外光吸収性複写用薄膜層2による第1の複写領域と、紫外光及び短波長光域の可視光を吸収して蛍光発色する蛍光発色性カーボンインクを用いて形成された透明な不可視の蛍光発色性複写用薄膜層3による第2の複写領域とを設けた情報隠蔽伝票用複写シートを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵送用申込み用紙等の伝票類や葉書類等の書類に記録(記載)した情報の機密性を保持するための情報隠蔽伝票用複写シート及び情報隠蔽伝票類及び情報読取装置及び情報読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、申し込み者が、申込み受付者に対して、郵送用申込み用紙等の伝票類や葉書類等の書類を用いて所定の申込みを行う際に、申込み受付者への書類送達時まで、その書類に記載した情報の機密性を保持してその情報を隠蔽して見ることができないようにするセキュリティ技術がある。
【0003】
このセキュリティ技術によれば、まず申し込み者が赤外光吸収性材料による複写用カーボンシートとポールペン等とを用いて、あるいは赤外光吸収性インキ(カーボンインキ等)による筆記ペン等の筆記用具、あるいは鉛筆、シャープペンシルの芯等を用いて、当該書類の機密情報記載領域に隠蔽情報を記載する。そして、この機密情報記載領域に隠蔽シールを、その裏面の粘着性接着剤層(剥離可能であって再接着不可)を介して貼着する。
【0004】
この隠蔽シールは、紙基材シートに、可視光不透過性であって赤外光透過性の隠蔽性インキを塗布または印刷して構成されたもので、この隠蔽シールを貼着された機密情報記載領域においては、赤外光(赤外光照明方式の自動読取装置)によって、その機密情報を読み取ることはできるが、肉眼によっては読み取ることはできない。
【0005】
しかしながら、上記の申込み用紙における隠蔽シールが貼着されない機密を要しない記載領域に記載された記載事項(通常情報)を筆記した赤外光吸収性の記録材料や、インキや、捺印用の朱肉などでは、赤外光を吸収しないものが有り、可視光照明方式の自動読取装置や、肉眼等では、読み取りや解読ができるものの、赤外光照明方式の自動読取装置では、記載事項の一部に、赤外光を吸収しない部分があるために、全体の記載事項のうちの一部が読み取れないという問題があった。
【0006】
また、機密情報が含まれる郵送用申込み用紙等の伝票類や葉書類等の書類においては、他人に見られたくない情報の部分を隠蔽する手法として、上記隠蔽シールの代替として、可視光不透過性インク(隠蔽性インク)を用いたものがある。
【0007】
これは、書類の記載領域に赤外光吸収性インクを用いて機密情報を記載し、記載した機密情報を含む記載事項を、可視光不透過性インクによって隠蔽するものであるが、この手法は市販の赤外線カメラ等にて、その機密情報が読み取られてしまう可能性があった。
【0008】
以下に、本発明に関連する赤外光吸収性材料やインキを構成する赤外光吸収性組成物、及び赤外光透過性材料やインキを構成する赤外光透過性組成物に関する公知の特許文献を記載する。
【特許文献1】特開平6−107985号公報
【特許文献2】特開平7−070496号公報
【特許文献3】特開平8−172517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、赤外線カメラや赤外光照明方式の自動読取装置だけでは、書類の記載領域に記載した機密情報を読み取ることを不可能とすることにあり、赤外光照明方式と短波長光照明方式(例えばブラックライト照明方式)との2種類の照明方式により読み取ることにより、その書類に記載された機密を要する機密情報、又は、その機密情報と、機密を要しない通常情報のそれぞれ記載事項の全体を、良好に解読できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、基材シート1の片面に、赤外光を吸収する赤外光吸収性インクを用いて形成された不可視の赤外光吸収性複写用薄膜層2による第1の複写領域と、少なくとも紫外光を吸収して蛍光発色する蛍光発色性インクを用いて形成された不可視の蛍光発色性複写用薄膜層3による第2の複写領域とを隣接して設けたことを特徴とする情報隠蔽伝票用複写シートである。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る情報隠蔽伝票用複写シートにおいて、前記第1の複写領域と第2の複写領域と、着色インクを用いて形成された可視の複写用薄膜層4による第3の複写領域とを設けたことを特徴とする情報隠蔽伝票用複写シートである。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2に係る情報隠蔽伝票用複写シートにおいて、前記蛍光発色性インクが、紫外光及び短波長光域の可視光を吸収して蛍光発色するものであって、前記短波長光域の可視光が、波長400nm〜580nm未満又は波長400nm未満〜580nm未満の可視光であることを特徴とする情報隠蔽伝票用複写シートである。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に係る情報隠蔽伝票用複写シートにおいて、前記第1の複写領域と第2の複写領域とは、互いに連続していることを特徴とする情報隠蔽伝票用複写シートである。
【0014】
本発明の請求項5に係る発明は、上記請求項1乃至4のいずれか1項に係る情報隠蔽伝票用複写シートが、その複写用薄膜層側を内面にして被複写シートに1対乃至複数対として重ね合わされ、それらシートが一端部にて綴じ付けされていることを特徴とする情報隠蔽伝票類である。
【0015】
本発明の請求項6に係る発明は、上記請求項1乃至4のいずれか1項に係る情報隠蔽伝票用複写シートが、その複写用薄膜層側を内面にして被複写シートに重ね合わせられ、前記複写シート面上より硬質筆記具にて記載した機密事項が、前記第1の複写領域の赤外光吸収性複写用薄膜層2と、前記第2の複写領域の蛍光発色性複写用薄膜層3を介して被複写シートに複写記載されていることを特徴とする情報隠蔽伝票類である。
【0016】
本発明の請求項7に係る発明は、赤外光域の光源と短波長可視光域の光源の2種類の光源を持つイメージセンサーを搭載したことを特徴とする機密情報読取装置である。
【0017】
本発明の請求項8に係る発明は、上記請求項7に係る機密情報読取装置において、前記赤外光域の光源と短波長可視光域の光源の2種類の光源を持つイメージセンサーと、可視光域の光源を持つイメージセンサーとを搭載したことを特徴とする機密情報読取装置である。
【0018】
本発明の請求項9に係る発明は、上記請求項7又は8に係る機密情報読取装置において前記短波長光域の光源が、波長400nm〜580nm未満又は波長400nm未満〜580nm未満の光源であることを特徴とする機密情報読取装置である。
【0019】
本発明の請求項10に係る発明は、赤外光域の光源と紫外光域の光源の2種類の光源を持つイメージセンサーを搭載した請求項7乃至9のいずれか1項に係る機密情報読取装置を用いて、機密情報書類を赤外光域と短波長可視光域の両方でイメージ読み込みし、それらを一つのイメージデータにデータ論理和(OR)にて合成して取り扱うことを特徴とする機密情報読取方法である。
【0020】
本発明の請求項11に係る発明は、赤外光域の光源と紫外光域の光源と可視光域の光源の3種類の光源を持つイメージセンサーを搭載した請求項8又は9のいずれか1項に係る機密情報読取装置を用いて、機密情報書類を赤外光域と短波長可視光域と可視光域との3種類にてイメージ読み込みし、それらを一つのイメージデータにデータ論理和(OR)にて合成して取り扱うことを特徴とする機密情報読取方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の情報隠蔽伝票用複写シートは、基材シート1の片面に、赤外光を吸収する赤外光吸収インクを用いて形成された赤外光吸収性複写用薄膜層2による第1の複写領域と、紫外光及び短波長光域の可視光を吸収して蛍光発色する蛍光発色性インクを用いて形成された蛍光発色性複写用薄膜層3による第2の複写領域とを設けたものである。
【0022】
また、本発明の情報隠蔽伝票類は、この本発明の情報隠蔽伝票用複写シート(複写用紙)と被複写シート(機密情報記載用紙)とを1対として、その1対乃至複数対を綴じ付けしたものである。
【0023】
このような本発明の前記情報隠蔽伝票用複写シート及び情報隠蔽伝票類によれば、その伝票用複写シートを、複写用薄膜層側を内面にして、機密情報記載用紙である被複写シート面上に重ね合わせた後、前記伝票用複写シート面上より、ボールペン等の硬質筆記具にて記載した機密事項が、第1の複写領域の赤外光吸収性複写用薄膜層2と、第2の複写領域の蛍光発色性複写用薄膜層3を介して、赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aとが、被複写シート(機密情報記載用紙)面に複写記載される。
【0024】
この被複写シートに記載された赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aから構成される機密情報は、赤外線カメラや赤外光照明方式の自動読取装置だけでは、この機密情報を読み取ることが不可能である。
【0025】
この被複写シートに記載された赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aから構成される機密情報を読み取る場合には、本発明の機密情報読取装置及び機密情報読取方法である赤外光照明方式と短波長光照明方式(例えばブラックライト照明方式)との2種類の照明方式により、はじめて読み取ることが可能となるものであり、機密情報記載用紙の不用意な読み取り操作が困難となって、その機密情報記載用紙に記載された機密情報に対して、第三者に対して確実に隠蔽することができ、セキュリティ性能を付与することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の情報隠蔽伝票用複写シートを、図1〜図5に示す実施の形態に沿って、以下に詳細に説明する。
【0027】
図1(a)は、本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAの平面図、(b)は、その側断面図であり、紙、プラスチックフィルム(シート)等の基材シート1の片面に、赤外光を吸収する赤外光吸収性インク(赤外光吸収性材料を混入した不乾性油とワックス等からなるホットメルト型インク、ソルベント型インク)を用いて形成された肉眼では不可視の赤外光吸収性複写用薄膜層2による第1の複写領域が設けられている。なお、赤外光吸収性材料の具体例としては、赤外光域若しくは近赤外光域の光を吸収する白色系、淡色系の無機酸化物や金属酸化物等があり、特開平6−107985号公報(特許文献1)又は特開平7−070496号公報(特許文献2)に記載するような赤外光吸収性材料があり、例えば、五二酸化リンを主成分とするリン酸塩系白色結晶粉末等が使用される。
【0028】
また、該複写シートAの第1の複写領域に隣接して、紫外光を吸収して蛍光発色する、あるいは材料によっては、さらに短波長光域の可視光を吸収して蛍光発色する蛍光発色性インク(蛍光発色性顔料を混入した不乾性油とワックス等からなるホットメルト型インク、ソルベント型インク)を用いて形成された肉眼では不可視の蛍光発色性複写用薄膜層3による第2の複写領域が、第1の複写領域と同じパターン形状にて、又は適宜なるパターン形状にて設けられている。
【0029】
なお、本発明で云う「不可視」とは、記載された情報(記載情報)の色が、白色系又は淡色系のために肉眼で見ても目立ち難いこと、あるいは記載情報の色が、その記載情報の背景(バック)にある色と同様の色に着色されているために肉眼で見ても目立ち難いことを意味するものである。
【0030】
上記情報隠蔽伝票用複写シートAの蛍光発色性複写用薄膜層3を形成する前記蛍光発色性インクは、インク溶質及び溶媒中、又はインクビヒクル中に、蛍光顔料(蛍光染料の合成樹脂固溶体型又は顔料色素型)を混合したものである。
【0031】
この蛍光発色性インクは、紫外光及び短波長光域の可視光を吸収して蛍光発色(長波長側の発色波長;580nm〜700nm)するもので、短波長可視光域の400nm〜580nm未満、又は400nm未満〜580nm未満の可視光を吸収して蛍光発色するように調整されている。
【0032】
図1(a)、(b)、(c)に示すように、本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAにおける赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と、蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域との境界部分(境界線5)は、空白領域を設けずに互いに連続した領域となっている。
【0033】
図1(b)に示すように、本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAは、その複写用薄膜層2、3側を内面にして、被複写シート9に対して1対として重ね合わされ、それら一対の複写シートAと被複写シート9が一端部8にて、シート切り離し用ミシン目を介して、糊付け綴じ、金具綴じ、糸綴じ等にて綴じ付けされていてもよいし、あるいは易剥離可能な粘着剤層を介して剥離可能に綴じ付けされていてもよい。
【0034】
また、図1(c)に示すように、本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAは、その複写用薄膜層2、3側を内面にして、被複写シート9に対して複数対として重ね合わされ、それら複数対の複写シートAと被複写シート9が一端部8にて、シート切り離し用ミシン目を介して綴じ付けされていてもよい。
【0035】
本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAにおいて、各々複写用薄膜層による各複写領域の区画形態や配置形態について以下に説明する。図2〜図5は、そのうちのいくつかの形態を説明するものである。なお、本発明における各複写領域の区画形態や配置形態は下記の
実施の形態に限定されるものではない。
【0036】
例えば、図2に示すように、赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域とによる二つの領域と、赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域とによる二つの領域とを順に横方向に配置したものである。赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と、蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域とは、互いに交互に配置されており、各々領域の境界部分(境界線5)には空白領域を備えず、互いに連続した領域となっている。なお、それぞれ第1、第2の複写領域のパターン形状は同じ形状パターンに形成されていてもよいし、各々が適宜な形状パターンに設けられていてもよい。
【0037】
また、図3に示すように、赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域は、縦方向に交互に配置されており、各々領域の境界部分(境界線5)には空白領域を備えず、互いに連続した領域となっている。
【0038】
また、図4に示すように、赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域とを、この順に縦方向に交互に配置した配置群と、蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域と赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域とを、この順に縦方向に交互に配置した配置群とを、横方向に順に、交互に配置したものである。各々領域の境界部分(境界線5)には空白領域を備えず、互いに連続した領域となっている。
【0039】
上記図2〜図4に示すように、各々第1の複写領域同士及び各々第2の複写領域同士は互いに隣接させずに配置し、互いに異なる領域が隣接するように配置されていることが情報の機密性の保持のためにも適当である。
【0040】
また、図5に示すように、本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAにおける赤外光吸収性複写用薄膜層2からなる前記第1の複写領域と、蛍光発色性複写用薄膜層3からなる第2の複写領域の他に、肉眼にて目視可能(可視)の着色インク(カーボンブラック、青色顔料、赤色顔料などの着色剤を混入したワックス、不乾性油等からなるホットメルト型インク、ソルベント型インク)を用いて形成された複写用薄膜層4による第3の複写領域を設けてもよい。この場合にも、第1の複写領域同士及び第2の複写領域同士及び第3の複写領域同士は互いに隣接させずに配置し、互いに異なる領域が隣接するように配置されていることが情報の機密性の保持のためにも適当である。
【0041】
そして、前記第1の複写領域と、第2の複写領域と、可視の第3の複写領域とは、その境界部分に空白領域を備えず、互いに連続した領域となっている。それぞれ第1、第2、第3の複写領域のパターン形状は、同じ形状パターンに形成されていてもよいし、各々が適宜な形状パターンに設けられていてもよい。
【0042】
本発明の情報隠蔽伝票用複写シートAは、図6(a)に示すように、その複写用薄膜層2、3側を内面にして、被複写シート9(機密情報記載用シート)に重ね合わせられる。そして該複写シートA面上より、ボールペン等の硬質筆記具にて、所定の記載事項(機密を要する機密情報、又は機密情報と機密を要しない通常情報等)を記載情報として記載する。
【0043】
なお、記載情報は、複写シートAの第1、第2の各々複写領域、あるいは第1、第2、第3の各々複写領域に、それぞれの記載情報が区分されて記載されてもよいし、複写シー
トAの第1、第2の複写領域、あるいは第1、第2、第3の複写領域にそれぞれの記載情報が跨がって記載されてもよい。
【0044】
このようにして記載事項を記載した際に、上記被複写シート9には、図6(b)に示すように、前記第1の複写領域の赤外光吸収性複写用薄膜層2(透明層)を介して、肉眼では不可視の(透明な)赤外光吸収性記載情報2aと、前記第2の複写領域の蛍光発色性複写用薄膜層3(透明層)を介して、肉眼では不可視の(透明な)蛍光発色性記載情報3aとが複写記載されている。
【0045】
また、前記第3の複写領域の着色複写用薄膜層4を介して、肉眼では可視の着色された記載情報4a(機密性を必要としない通常情報)が複写記載されるものである。なお、情報隠蔽伝票用複写シートAの各々第1、第2、第3の複写領域の形成位置と被複写シート9の機密情報を記載する機密情報記載欄の形成位置とは、互いに両シートA、9を重ね合わせた際に整合するように設けられていることが適当である。
【0046】
このようにして情報隠蔽伝票用複写シートAを用いて赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aとから構成される機密情報が記載された被複写シート9は、該情報隠蔽伝票用複写シートAを切り離して取り外した後に、赤外線カメラや赤外光照明方式の読取装置によって、該被複写シート9の赤外光の透過しない赤外光吸収性記載情報2aだけを読み取ることが可能である。
【0047】
また、短波長光照明方式(例えばブラックライト照明方式)の読取装置によって、蛍光発色する蛍光発色性記載情報3aだけを読み取ることが可能であり、赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aの両方から構成される機密情報は読み取ることが不可能である。
【0048】
次に、上記の被複写シート9(機密情報記載用シート)に記載された赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aの両方の記載情報から構成される機密情報を読み取るための本発明の機密情報読取装置及び機密情報読取方法を、図7に示す機密情報読取装置の概要側面図に基づいて以下に詳細に説明する。
【0049】
本発明の機密情報読取装置は、図7の概要側面図に示すように、赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aの両方の記載情報から構成される機密情報が記載された読み取り対象の被複写シート9(機密情報記載用シート、機密情報記載書類)を搬送するシート搬送手段10を備える。
【0050】
該シート搬送手段10の搬送路に沿って、シート通過検出用フォトセンサー12a付きの管理番号印字手段12と、赤外光域照明光源により読み取り可能な赤外光読取方式イメージセンサー13(赤外光投光部13a、赤外光受光部13b)を搭載している。
【0051】
また、赤外光読取方式イメージセンサー13の後段には、蛍光発色用光源としての短波長光照明光源(例えばブラックライト光源)により蛍光発色させて読み取り可能な蛍光発色用光源としての短波長光照明光源と、該短波長光照明光源の波長より長波長側に蛍光発色したイメージを読み取るために照明する長波長側可視光域照明光源とを搭載した蛍光読取方式イメージセンサー14を搭載している。
【0052】
このように、上記の赤外光読取方式イメージセンサー13と蛍光読取方式イメージセンサー14の2種類のイメージセンサーを搭載している。なお、本発明の機密情報読取装置においては、シート搬送手段10の搬送路に沿って、必要に応じて可視光域の照明光源による可視光読取方式のイメージセンサー15を搭載してもよい。
【0053】
シート搬送手段10の搬送方式については、被複写シート9を、図面右側のシート導入部の方向から図面左側のシート搬出部の方向に、図示するように水平直線状又は垂直直線状に、あるいは円形状乃至曲線状に搬送する方式であれば、本発明においては特に限定されるものではない。
【0054】
例えば、図示するように、シート搬送手段10は、上下に対向して上記被複写シート9を挟み付けて駆動回転する対向搬送ローラ11、11を、2対〜複数対にて設置したものである。
【0055】
本発明装置にて情報を読み取る対象の上記被複写シート9の表面、あるいは表面乃至裏面の所定の領域には、図7に示すように、機密を要する情報(機密情報)を記載するための記入欄など機密情報記載領域Sが設けられていて、その領域S内には、住所、氏名、年齢、職業、性別、電話番号等の所定の情報のうち、機密を必要とする機密情報として、赤外光吸収性記載情報2aと、蛍光発色性記載情報3aの両方の情報が記載されている。
【0056】
また、本発明装置にて情報を読み取る対象の上記被複写シート9には、図1に示すように、少なくとも、その表面あるいは表面乃至裏面にも、必要に応じて、通常の記録材料(肉眼にて可視となる通常の印刷インキ、ボールペンインキ、シャープペンシルの芯など)を用いて、機密を要しない肉眼にて可視の通常情報4a(可視情報)が、印刷又は印字され、又は手書き等にて記載されていてもよい。
【0057】
本発明の機密情報読取装置及び機密情報読取方法について以下に説明すれば、図7に示すように、シート搬送手段10にて矢印方向に搬送される被複写シート9(機密情報記載用シート)が、管理番号印字手段12を通過すると、そのシート通過をフォトセンサー12aが検出して、その検出信号に基づいてシリアルナンバーとしての固有の管理番号が通常情報2として管理番号印字手段12(例えば、インキジェット方式、静電印刷方式等)により被複写シート9面に印字される。
【0058】
続いて、シート搬送手段10にて矢印方向に搬送される前記被複写シート9は、赤外光域の照明光源による赤外光読取方式のイメージセンサー13を通過する。その際に、該シート9の機密情報記載領域Sの表面が、赤外光読取方式のイメージセンサー13の赤外光域照明光源である赤外投光部13aにて照明されて、該領域Sに記載された赤外光吸収性記載情報2aにて吸収された赤外光以外の該シート9を透過した赤外光が、赤外光受光部13bにて、赤外光読み取り電子データとして読み取られる。
【0059】
続いて、シート搬送手段10にて矢印方向に搬送される前記被複写シート9は、蛍光発色用光源としての短波長光照明光源(例えばブラックライト光源)により蛍光発色させて読み取り可能な蛍光発色用光源としての短波長光照明光源と、該短波長光照明光源の波長より長波長側に蛍光発色したイメージを読み取るために照明する長波長側可視光域照明光源を搭載した蛍光読取方式イメージセンサー14を通過する。
【0060】
その際に、該シート9の機密情報記載領域Sの表面が、蛍光読取方式のイメージセンサー14の短波長光域の蛍光発色用の照明光源((例えばブラックライト光源)にて照明されて、該領域Sに記載された蛍光発色性記載情報3aが、可視光として長波長側に蛍光発色し、その蛍光発色した蛍光発色性記載情報3aは、蛍光発色用の照明光源より長波長側の可視光域の照明光源により照明されて、蛍光読取方式イメージセンサー14にて、蛍光読み取り電子データとして読み取られる。
【0061】
また、シート搬送手段10にて矢印方向に搬送される前記被複写シート9が、必要に応
じて設けた可視光域の照明光源による可視光読取方式のイメージセンサー15を通過すると、該シート9の外面(表面)に管理番号印字手段12により印字された管理番号及び予め印刷あるいは手書きにて記載された文字、記号、絵柄等の肉眼にて可視の着色の通常情報4a(通常の着色インキによる可視情報)が、該センサー15により可視光域の照明光源にて照明されて、可視光読み取り電子データとして読み取られる。
【0062】
このようにして、赤外光吸収性記載情報2aと蛍光発色性記載情報3aとにより構成される機密情報が(必要に応じて通常情報4aと共に)読み取られ、シート搬送手段10にて搬送された前記被複写シート9は矢印方向に搬出されて、読み取りが終了する。
【0063】
図8は、本発明の機密情報読取装置のブロック図であり、赤外光読取方式のイメージセンサー13と、蛍光読取方式のイメージセンサー14と、必要に応じて設けた可視光読取方式のイメージセンサー15を備え、赤外光読取方式のイメージセンサー13にて読み取られた赤外光読み取り電子データと、蛍光読取方式のイメージセンサー14にて読み取られた蛍光読み取り電子データとを、又は可視光読取方式のイメージセンサー15にて必要に応じて読み取られた可視光読み取り電子データとを論理和してデータ合成するOR回路からなるデータ合成手段21と、該データ合成手段21にてデータ合成された合成データを記憶するデータメモリ部22とを備える。
【0064】
また、パソコン、データサーバ等のデータ演算制御部23(CPU)を備え、前記データメモリ部22に接続されていて、該メモリ部22に記憶された合成データを読み出し、機密情報(又は機密情報と通常情報)が読み取られた被複写シート9(機密情報記載用シート)のシート管理データ処理、集計用として使用され、また、データ演算制御部23に接続したデバイス制御部24を備え、データ演算制御部23にてデータ処理、集計された前記シート9による商品の調達、箱詰め、積込み、移送、保管等の作業の指示用データ、管理用データ作成のためのシート読み取り用ラインセンサー等のデバイス制御を行う。
【0065】
本発明の機密情報読取装置を用いた機密情報読取方法について、上記の被複写シート9(機密情報記載用シート)を案内書の申込み用葉書として利用する場合について、その一実施の形態を、以下に詳細に説明する。
【0066】
図9に示すように、まず、(a)申込み受付者が発送した案内書(本発明の複写シートAと申込み用葉書としての被複写シート9とを同封)が申込み者に配達されて、(b)申込み者は、その案内書を開封して、(c)同封されている申込み用葉書9の機密事項記載領域S(記載欄)に複写シートA(申込み用葉書9の機密事項記載領域Sの位置に整合して第1の複写領域、第2の複写領域を設けた複写シートA)を重ね合わせ、ボールペン等の硬質筆記具を用いて、住所、氏名、生年月日、職業、電話番号、捺印の他に、申込み事項(希望事項、選択事項)等の情報(全てが機密情報、又はその一部が機密情報、他部が通常情報)を記載する。
【0067】
そして、(c)その葉書9を郵便物として投函して申込み受付者に送付し、(d)その葉書9は申込み受付者に配達される。(e)申込み受付者は、本発明の機密情報読取装置に申込み用葉書9を導入して、該葉書9の外面(表面)に、管理番号印字手段12により管理番号を印字する。続いて、赤外光照明方式のイメージセンサー13にて、機密情報記載領域Sの機密記載事項としての赤外光吸収性記載情報2aを赤外光読み取り電子データとして読み取り、続いて、蛍光読取方式イメージセンサー14にて、機密情報記載領域Sの機密記載事項としての蛍光発色性記載情報3aを蛍光読み取り電子データとして読み取る。
【0068】
さらに、必要に応じて、可視光照明方式のイメージセンサー15にて、葉書9の外面(
表面)に印字された管理番号、及び、予め印刷、記載された文字、記号、絵柄等の通常情報4a(可視情報)を、該センサー15により可視光域の照明光源にて照明して可視光読み取り電子データとして読み取る。
【0069】
次に、(f)その赤外光読み取り電子データ(機密情報)と、蛍光読み取り電子データ(機密情報)の両電子データを、必要に応じて可視光読み取り電子データ(通常情報)と共に、データ合成手段21にてデータ合成し、データメモリ22に記憶すると共に、パソコン、データサーバ等のCPU23(データ演算制御手段)にて管理番号と共にデータ集計し、(g)申込み情報データベースとして記録、登録する。
【0070】
一方、申込み受付者は、(h)その申込み情報データベースからの申込み情報に基づいて、(i)各々申込み者毎の申込み事項に基づく商品の調達、発送用の箱詰め、(j)輸送車両への積み込み、(k)保管施設への移送、配送を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】(a)は本発明の情報隠蔽伝票用複写シートの一例を説明する平面図、(b)はその側断面図。
【図2】本発明の情報隠蔽伝票用複写シートの領域区分の一例を説明する平面図。
【図3】本発明の情報隠蔽伝票用複写シートの領域区分の他の例を説明する平面図。
【図4】本発明の情報隠蔽伝票用複写シートの領域区分の他の例を説明する平面図。
【図5】本発明の情報隠蔽伝票用複写シートの領域区分の他の例を説明する平面図。
【図6】(a)は本発明の情報隠蔽伝票類の情報隠蔽伝票用複写シートと被複写シートとの重ね合わせを説明する側断面図、(b)はその情報隠蔽伝票類の被複写シートに情報隠蔽伝票用複写シートを用いて情報を複写記載した状態を説明する側断面図。
【図7】本発明の情報読取装置の一例を説明する装置の概要側面図。
【図8】本発明の情報読取装置の一例を説明する装置の動作ブロック図。
【図9】本発明の情報読取装置及び情報読取方法の一例を説明する工程図。
【符号の説明】
【0072】
A…情報隠蔽伝票用複写シート
1…基材シート
2…赤外光吸収性複写用薄膜層2(第1の複写領域)
2a…赤外光吸収性記載情報
3…蛍光発色性複写用薄膜層(第2の複写領域)
3a…蛍光発色性記載情報
4…着色複写用薄膜層(第3の複写領域)
4a…着色記載情報(可視情報)
5…境界線
6…周囲空白部
7…記載情報
9…被複写シート
10…シート搬送手段
11…対向搬送ロール
12…管理番号印字手段
12a…シート通過検出用フォトセンサー
13…赤外光読取方式のイメージセンサー
13a…赤外投光部
13b…赤外受光部
14…蛍光読取方式のイメージセンサー
15…可視光読取方式のイメージセンサー
21…データ合成手段
22…データメモリ
23…CPU(データ演算制御部) 24…デバイス制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート1の片面に、赤外光を吸収する赤外光吸収性インクを用いて形成された不可視の赤外光吸収性複写用薄膜層2による第1の複写領域と、少なくとも紫外光を吸収して蛍光発色する蛍光発色性インクを用いて形成された不可視の蛍光発色性複写用薄膜層3による第2の複写領域とを隣接して設けたことを特徴とする情報隠蔽伝票用複写シート。
【請求項2】
請求項1記載の情報隠蔽伝票用複写シートにおいて、前記第1の複写領域と第2の複写領域と、着色インクを用いて形成された可視の複写用薄膜層4による第3の複写領域とを設けたことを特徴とする情報隠蔽伝票用複写シート。
【請求項3】
前記蛍光発色性インクが、紫外光及び短波長光域の可視光を吸収して蛍光発色するものであって、前記短波長光域の可視光が、波長400nm〜580nm未満又は波長400nm未満〜580nm未満の可視光であることを特徴とする請求項1又は2記載の情報隠蔽伝票用複写シート。
【請求項4】
前記第1の複写領域と第2の複写領域とは、互いに連続していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の情報隠蔽伝票用複写シート。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の情報隠蔽伝票用複写シートが、その複写用薄膜層側を内面にして被複写シートに1対乃至複数対として重ね合わされ、それらシートが一端部にて綴じ付けされていることを特徴とする情報隠蔽伝票類。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の情報隠蔽伝票用複写シートが、その複写用薄膜層側を内面にして被複写シートに重ね合わせられ、前記複写シート面上より硬質筆記具にて記載した機密事項が、前記第1の複写領域の赤外光吸収性複写用薄膜層2と、前記第2の複写領域の蛍光発色性複写用薄膜層3を介して被複写シートに複写記載されていることを特徴とする情報隠蔽伝票類。
【請求項7】
赤外光域の光源と短波長可視光域の光源の2種類の光源を持つイメージセンサーを搭載したことを特徴とする機密情報読取装置。
【請求項8】
請求項7記載の機密情報読取装置において、前記赤外光域の光源と短波長可視光域の光源の2種類の光源を持つイメージセンサーと、可視光域の光源を持つイメージセンサーを搭載したことを特徴とする機密情報読取装置。
【請求項9】
前記短波長光域の光源が、波長400nm〜580nm未満又は波長400nm未満〜580nm未満の光源である請求項7又は8記載の機密情報読取装置。
【請求項10】
赤外光域の光源と紫外光域の光源の2種類の光源を持つイメージセンサーを搭載した請求項7乃至9のいずれか1項記載の機密情報読取装置を用いて、機密情報書類を赤外光域と短波長可視光域の両方でイメージ読み込みし、それらを一つのイメージデータにデータ論理和(OR)にて合成して取り扱うことを特徴とする機密情報読取方法。
【請求項11】
赤外光域の光源と紫外光域の光源と可視光域の光源の3種類の光源を持つイメージセンサーを搭載した請求項8又は9のいずれか1項記載の機密情報読取装置を用いて、機密情報書類を赤外光域と短波長可視光域と可視光域との3種類にてイメージ読み込みし、それらを一つのイメージデータにデータ論理和(OR)にて合成して取り扱うことを特徴とする機密情報読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−69552(P2007−69552A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261756(P2005−261756)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】