情報隠蔽性感熱記録紙
【課題】 感熱記録を用いたハガキ用の情報隠蔽性記録紙の提供。
【解決手段】 感熱発色紙と、
該感熱発色紙の上に剥離可能な状態に圧着された透明または半透明の用紙と、からなり、該透明または半透明用紙の非圧着側から熱を印加して感熱発色紙上に情報を記載する感熱記録紙であって、
該透明または半透明用紙の非圧着側に反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷を施し、さらにその上に反射率50%以上の反射性を有するインキで迷彩模様を重ね印刷することを特徴とする情報隠蔽性感熱記録紙。
【解決手段】 感熱発色紙と、
該感熱発色紙の上に剥離可能な状態に圧着された透明または半透明の用紙と、からなり、該透明または半透明用紙の非圧着側から熱を印加して感熱発色紙上に情報を記載する感熱記録紙であって、
該透明または半透明用紙の非圧着側に反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷を施し、さらにその上に反射率50%以上の反射性を有するインキで迷彩模様を重ね印刷することを特徴とする情報隠蔽性感熱記録紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報隠蔽性感熱記録紙、特にハガキなどに秘密情報を記載しその情報を隠蔽することができる情報隠蔽性感熱記録紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各自治体、社会保険庁、国税庁、水道局などやNTTなどの公的および準公的機関からの使用料通知、請求通知、受領書通知またはその他銀行などの利用額案内や残高通知、督促状、さらには学校などの成績通知や合否通知などの個人プライバシーにかかわる書類の郵送が多く、それらは発送者の判断により古くは封書で郵送されていた。封書は、ハガキと比較し、情報の隠蔽化と多量伝達することが可能であるが、輸送料金がハガキ50円に対し封書80円と高いことから、費用がかかる問題がある。
【0003】
そのような問題を情報隠蔽性のハガキを用いて解決する方法が現在多く使用されている。例えば、特開昭64−16691号公報(特許文献1)には、透明フイルムを介した粘着二つ折り接着ハガキが提案されている。また、特開平2−289393号公報(特許文献2)には、結合部のエッジ部分の全領域または一部分が非エッジ部分より大きな剥離力を有することを特徴とする再剥離性の感圧接着ハガキなどが開示されている。
【0004】
しかしながら、このような従来型の情報隠蔽性ハガキでは、いずれも二つの紙基材を接着剤を介して圧着して貼り合わせる構成のものであり、ハガキの厚みが従来のハガキより厚くなり、郵送料は安くなるが、基本的にハガキ自体のコストが高くなる。
【0005】
また、二枚の基材の片方に情報を打ち込んでからもう一方の基材を圧着する必要があり、常に情報の記載が先であることから、利便性における点で劣り、そのための装置も必要となる。最近一般に用いられている感熱記録方式は、機械的にも小型化でき、ハガキ自体に情報を熱ヘッドから記載することができ、極めて有用ではあるが、従来の二重構造の隠蔽ハガキでは、二枚の基材を重ね合わせた状態で熱ヘッドから情報を印字することは、基材の厚みが厚く、熱の伝達が不可能であるので、使用できない。
【特許文献1】特開昭64−16691号公報
【特許文献2】特開平2−289393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感熱記録を用いたハガキ用の情報隠蔽性記録紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は感熱発色紙と、
該感熱発色紙の上に剥離可能な状態に圧着された透明または半透明の用紙と、からなり、該透明または半透明用紙の非圧着側から熱を印加して感熱発色紙上に情報を記載する感熱記録紙であって、
該透明または半透明用紙の非圧着側に反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷を施し、さらにその上に反射率50%以上の反射性を有するインキで迷彩模様を重ね印刷することを特徴とする情報隠蔽性感熱記録紙を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基材の上に薄い透明または半透明の用紙を感熱発色するように被覆し、その透明または半透明の用紙上に、暗色のベタ印刷を行い、さらにその上に特定の迷彩模様を重ね印刷することにより、熱ヘッドで情報を記録しても、暗色のベタ印刷と迷彩模様とが重なって印字した情報の内容が読取れなくなるものである。単なるベタ印刷だけでは、やはり記録した情報が読めるので、その上に迷彩模様を特定のインキで設けることにより、迷彩模様に惑わされてその記録内容が読めなくなるものである。迷彩模様の面積が少ないと記録した情報が読めることもあるのであるいは逆に多すぎてもそういうことが起こるので、迷彩模様の各面積当たりに存在する量が重要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を図1を参照してさらに詳細に説明する。
図1は本発明の情報隠蔽性感熱記録紙の断面を表す模式図である。
図2は本発明の迷彩模様の一例を示す図である。
【0010】
図1において、1は感熱発色紙であり、2は感熱発色紙上に剥離可能な状態に圧着される透明または半透明の用紙であり、1と2は、圧着されて剥離可能にされる。感熱発色紙1と透明または半透明の用紙2の間には感熱発色層3が存在し、必要に応じて両者の間にはさらに接着剤層を設けてもよい。透明または半透明の用紙2のさらに上方には暗色のベタ印刷層4と迷彩模様5が存在する。以下それぞれの層について説明する。
【0011】
感熱発色層
前記感熱発色紙1上に形成される感熱発色層2は、発色剤と顕色剤を含有し、更に必要に応じてバインダー、無機顔料、増感剤などの各種添加剤を適宜含有する。尚、発色剤と顕色剤を2層に分けてもよく、必要に応じて用紙2側に発色剤層を設けて、熱転写可能にしてもよい。
【0012】
使用される発色剤は、トリアリールメタン、ジフェニルメタン、キサンテン、チアジン、およびスピロピラン系化合物、ラクタム系染料およびフルオラン系染料等のロイコ染料が挙げられる。これらは、顕色剤との接触によってそれぞれ黒、赤、赤紫、オレンジ、青、緑、黄色などの固有の発色色相を与えることから、単独で使用するか、あるいは2種以上の異なる色相のものを混合して使用することにより、赤色、青色および黒色から選択される所望の発色色相が得られる。
【0013】
前記発色剤と組み合わせて情報を顕在化する顕色剤は、例えば、活性白土、酸性白土、アタパルジヤイト、ベントナイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質;そしてフェノール、トリフェニルメタン、硫黄含有フェノール、カルボン酸、尿素またはチオ尿素系の化合物、および芳香族カルボン酸の多価金属塩、芳香族カルボン酸と多価アルコールの縮合反応生成物、ジフェニルスルホン系化合物などが適宜使用される。
【0014】
さらに、感熱発色層(発色剤層と顕色剤層との2層に分ける場合はそれぞれの層を意味する。)には、バインダーとして、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が、増感剤として、脂肪酸アミド類、芳香族カルボン酸エステル類、脂肪酸エステル類、芳香族エーテル類等が、そして無機顔料として、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粒子状無水シリカ等が必要に応じて含有されてよい。
【0015】
感熱発色層用塗布溶液は、先ず、発色剤と顕色剤をそれぞれ別個に、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の分散保護ポリマーを含有する水溶液中に、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて数μm以下の微細な粒子に磨細分散する。次いで、両者を混合した後、前記添加剤を必要に応じて適宜添加することにより感熱発色層用塗布溶液が調製される。
【0016】
本発明において、感熱発色層用塗布溶液に使用される各組成およびそれらの配合量は、各感熱発色層に要求される色相、熱エネルギー感度、および記録適性によって決定されるが、通常、発色剤1部に対して、顕色剤3〜12部、増感剤0〜12部、無機顔料1〜20部、およびバインダーは10〜25部(固形分)である。
【0017】
調製後、感熱発色層用塗布溶液を前記感熱発色紙上に塗布する。感熱発色層用塗布溶液は、感熱発色紙表面に連続した層を形成するように塗布されてよい。
各感熱発色層用塗布溶液の塗布は、グラビア、フレキソ、シルクスクリーン、インキジェット等の塗布方法によって、通常、2〜12g/m2、好ましくは3〜7g/m2の塗布量で行われてよく、好ましくは厚さ2〜10μmの感熱発色層を形成する。ここで、塗布量は、各発色層の望ましい発色濃度、すなわち「色調」や、感度等によって適宜決定されてよい。
【0018】
感熱発色紙1上に剥離可能に圧着される透明または半透明の用紙2は、通常グラシン紙から形成されるものが一般的である。その他これに用いられる用紙としてはセロファン紙、模造紙が挙げられる。この透明または半透明の用紙2は、厚さ20〜50μm、好ましくは25〜35μmである。50μmを越える厚さだと、感熱記録が難しくなり、情報の記録が難しくなる。20μmよりも薄いと、圧着工程、印刷工程において製造難度が高くなる欠点を有する。
【0019】
上記透明または半透明の用紙2は、感熱発色紙の全面に存在してもよいが、少なくとも感熱発色層3をカバーできるように形成する必要がある。
【0020】
透明または半透明の用紙2上に形成される、暗色ベタ印刷層4は、反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷である。ベタ印刷とは全面印刷のことを意味し、暗色とは黒、藍色または青色などの色が一般的に用いられる。もちろんこれら以外の色でも、感熱発色した情報を隠蔽するようなものであれば特に限定的ではない。反射率30%以下であるとは、反射濃度0.8以上の状態を現す。また反射率が高いと、感熱発色した情報が読取れる傾向が高い。
【0021】
印刷方法は、特に限定的ではなく、種々の印刷方法が可能である。特に好ましくはオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷であり、中でもオフセット印刷が好適である。
【0022】
ベタ印刷部は少なくとも感熱発色層を覆う範囲に存在すればよい。必要に応じて透明または半透明の用紙の全面に形成されていてもよい。通常ハガキなどでは、送り先の住所やその他必要な情報が記載する部分が存在するので、このベタ印刷部分はそれら以外の部分で隠蔽する情報が記載される部分に形成されるのが通常である。
【0023】
さらにその上に形成される迷彩模様層5は、反射率が50%以上のものであって、白、黄、グレー、銀または金などの彩色を用いて形成される迷彩模様である。迷彩模様とは、ランダムな模様を意味し、ベタ印刷部に好ましくは迷彩模様印刷部の面積比が5m2当たり30〜90%、好ましくは60〜90%、より好ましくは70〜85%を偏りなくある程度均一に模様が施される必要がある。図2に迷彩模様の例を示すが、もちろんこれに限定されるものではない。迷彩模様に偏りがあるとその部分に空白が生じ、感熱発色した文字が読取れる傾向にある。反射率が50%未満であると、やはり感熱記録した情報が読取れる傾向にある。また、上記印刷の面積比が30%以下であってもあるいは90%を越える値であっても、感熱記録した情報が読取れる傾向にある。
【0024】
本発明の、情報隠蔽性感熱記録紙は、基本的にはハガキ大の大きさを考えている。しかしながら、レターの大きさであっても全く不都合はない。レターの場合は通常、本発明の感熱記録紙を封筒の上用紙として、別の下用紙と貼り合わせて封筒を形成する形のものが一番好適であると考えられる。
【実施例】
【0025】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
本発明はこれら実施例に限定されるものと解してはならない。
実施例1
下記の成分を混合することにより、暗色ベタ印刷用インキを作成した。
得られたインキは、反射率5%を有していた。
次に、下記の成分を混合することにより、迷彩模様用インキを作成した。
得られたインキは、反射率80%を有していた。
【0026】
上記ベタ印刷用インキを感熱発色紙に半透明用紙を圧着したもの(王子製紙(株)から市販のDM80B:厚さ80μm)の上にベタ印刷を施した。
【0027】
そのベタ印刷部の上に、迷彩模様インキを用いてベタ部に対して17%、32%、54%、61%および87%になるように迷彩模様を形成した。それぞれは図3,図4,図5,図6および図7に示す。
【0028】
得られた迷彩模様の上から、隠蔽すべき情報を感熱ヘッドを用いて印字した。印字した状態を示す図を図3に対しては図8に、図4に対しては図9、図5には図10、図6には図11および図7には図12に示した。
【0029】
結果から明らかなように、図3および図8に対応する17%の迷彩模様では明らかに情報が読みとれる。その他の図のものでは、情報を読みとることが出来ず、隠蔽性が確保できた。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の情報隠蔽性感熱記録紙の断面を模式的に表す図である。
【図2】本発明の迷彩模様の一例を示す図である。
【図3】17%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図4】32%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図5】54%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図6】61%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図7】87%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図8】図3の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図9】図4の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図10】図5の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図11】図6の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図12】図7の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【符号の説明】
【0031】
1…感熱発色紙、2…透明または半透明の用紙、3…感熱発色層、4…暗色ベタ印刷層、5…迷彩模様層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報隠蔽性感熱記録紙、特にハガキなどに秘密情報を記載しその情報を隠蔽することができる情報隠蔽性感熱記録紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各自治体、社会保険庁、国税庁、水道局などやNTTなどの公的および準公的機関からの使用料通知、請求通知、受領書通知またはその他銀行などの利用額案内や残高通知、督促状、さらには学校などの成績通知や合否通知などの個人プライバシーにかかわる書類の郵送が多く、それらは発送者の判断により古くは封書で郵送されていた。封書は、ハガキと比較し、情報の隠蔽化と多量伝達することが可能であるが、輸送料金がハガキ50円に対し封書80円と高いことから、費用がかかる問題がある。
【0003】
そのような問題を情報隠蔽性のハガキを用いて解決する方法が現在多く使用されている。例えば、特開昭64−16691号公報(特許文献1)には、透明フイルムを介した粘着二つ折り接着ハガキが提案されている。また、特開平2−289393号公報(特許文献2)には、結合部のエッジ部分の全領域または一部分が非エッジ部分より大きな剥離力を有することを特徴とする再剥離性の感圧接着ハガキなどが開示されている。
【0004】
しかしながら、このような従来型の情報隠蔽性ハガキでは、いずれも二つの紙基材を接着剤を介して圧着して貼り合わせる構成のものであり、ハガキの厚みが従来のハガキより厚くなり、郵送料は安くなるが、基本的にハガキ自体のコストが高くなる。
【0005】
また、二枚の基材の片方に情報を打ち込んでからもう一方の基材を圧着する必要があり、常に情報の記載が先であることから、利便性における点で劣り、そのための装置も必要となる。最近一般に用いられている感熱記録方式は、機械的にも小型化でき、ハガキ自体に情報を熱ヘッドから記載することができ、極めて有用ではあるが、従来の二重構造の隠蔽ハガキでは、二枚の基材を重ね合わせた状態で熱ヘッドから情報を印字することは、基材の厚みが厚く、熱の伝達が不可能であるので、使用できない。
【特許文献1】特開昭64−16691号公報
【特許文献2】特開平2−289393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感熱記録を用いたハガキ用の情報隠蔽性記録紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は感熱発色紙と、
該感熱発色紙の上に剥離可能な状態に圧着された透明または半透明の用紙と、からなり、該透明または半透明用紙の非圧着側から熱を印加して感熱発色紙上に情報を記載する感熱記録紙であって、
該透明または半透明用紙の非圧着側に反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷を施し、さらにその上に反射率50%以上の反射性を有するインキで迷彩模様を重ね印刷することを特徴とする情報隠蔽性感熱記録紙を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基材の上に薄い透明または半透明の用紙を感熱発色するように被覆し、その透明または半透明の用紙上に、暗色のベタ印刷を行い、さらにその上に特定の迷彩模様を重ね印刷することにより、熱ヘッドで情報を記録しても、暗色のベタ印刷と迷彩模様とが重なって印字した情報の内容が読取れなくなるものである。単なるベタ印刷だけでは、やはり記録した情報が読めるので、その上に迷彩模様を特定のインキで設けることにより、迷彩模様に惑わされてその記録内容が読めなくなるものである。迷彩模様の面積が少ないと記録した情報が読めることもあるのであるいは逆に多すぎてもそういうことが起こるので、迷彩模様の各面積当たりに存在する量が重要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を図1を参照してさらに詳細に説明する。
図1は本発明の情報隠蔽性感熱記録紙の断面を表す模式図である。
図2は本発明の迷彩模様の一例を示す図である。
【0010】
図1において、1は感熱発色紙であり、2は感熱発色紙上に剥離可能な状態に圧着される透明または半透明の用紙であり、1と2は、圧着されて剥離可能にされる。感熱発色紙1と透明または半透明の用紙2の間には感熱発色層3が存在し、必要に応じて両者の間にはさらに接着剤層を設けてもよい。透明または半透明の用紙2のさらに上方には暗色のベタ印刷層4と迷彩模様5が存在する。以下それぞれの層について説明する。
【0011】
感熱発色層
前記感熱発色紙1上に形成される感熱発色層2は、発色剤と顕色剤を含有し、更に必要に応じてバインダー、無機顔料、増感剤などの各種添加剤を適宜含有する。尚、発色剤と顕色剤を2層に分けてもよく、必要に応じて用紙2側に発色剤層を設けて、熱転写可能にしてもよい。
【0012】
使用される発色剤は、トリアリールメタン、ジフェニルメタン、キサンテン、チアジン、およびスピロピラン系化合物、ラクタム系染料およびフルオラン系染料等のロイコ染料が挙げられる。これらは、顕色剤との接触によってそれぞれ黒、赤、赤紫、オレンジ、青、緑、黄色などの固有の発色色相を与えることから、単独で使用するか、あるいは2種以上の異なる色相のものを混合して使用することにより、赤色、青色および黒色から選択される所望の発色色相が得られる。
【0013】
前記発色剤と組み合わせて情報を顕在化する顕色剤は、例えば、活性白土、酸性白土、アタパルジヤイト、ベントナイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質;そしてフェノール、トリフェニルメタン、硫黄含有フェノール、カルボン酸、尿素またはチオ尿素系の化合物、および芳香族カルボン酸の多価金属塩、芳香族カルボン酸と多価アルコールの縮合反応生成物、ジフェニルスルホン系化合物などが適宜使用される。
【0014】
さらに、感熱発色層(発色剤層と顕色剤層との2層に分ける場合はそれぞれの層を意味する。)には、バインダーとして、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が、増感剤として、脂肪酸アミド類、芳香族カルボン酸エステル類、脂肪酸エステル類、芳香族エーテル類等が、そして無機顔料として、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粒子状無水シリカ等が必要に応じて含有されてよい。
【0015】
感熱発色層用塗布溶液は、先ず、発色剤と顕色剤をそれぞれ別個に、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の分散保護ポリマーを含有する水溶液中に、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて数μm以下の微細な粒子に磨細分散する。次いで、両者を混合した後、前記添加剤を必要に応じて適宜添加することにより感熱発色層用塗布溶液が調製される。
【0016】
本発明において、感熱発色層用塗布溶液に使用される各組成およびそれらの配合量は、各感熱発色層に要求される色相、熱エネルギー感度、および記録適性によって決定されるが、通常、発色剤1部に対して、顕色剤3〜12部、増感剤0〜12部、無機顔料1〜20部、およびバインダーは10〜25部(固形分)である。
【0017】
調製後、感熱発色層用塗布溶液を前記感熱発色紙上に塗布する。感熱発色層用塗布溶液は、感熱発色紙表面に連続した層を形成するように塗布されてよい。
各感熱発色層用塗布溶液の塗布は、グラビア、フレキソ、シルクスクリーン、インキジェット等の塗布方法によって、通常、2〜12g/m2、好ましくは3〜7g/m2の塗布量で行われてよく、好ましくは厚さ2〜10μmの感熱発色層を形成する。ここで、塗布量は、各発色層の望ましい発色濃度、すなわち「色調」や、感度等によって適宜決定されてよい。
【0018】
感熱発色紙1上に剥離可能に圧着される透明または半透明の用紙2は、通常グラシン紙から形成されるものが一般的である。その他これに用いられる用紙としてはセロファン紙、模造紙が挙げられる。この透明または半透明の用紙2は、厚さ20〜50μm、好ましくは25〜35μmである。50μmを越える厚さだと、感熱記録が難しくなり、情報の記録が難しくなる。20μmよりも薄いと、圧着工程、印刷工程において製造難度が高くなる欠点を有する。
【0019】
上記透明または半透明の用紙2は、感熱発色紙の全面に存在してもよいが、少なくとも感熱発色層3をカバーできるように形成する必要がある。
【0020】
透明または半透明の用紙2上に形成される、暗色ベタ印刷層4は、反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷である。ベタ印刷とは全面印刷のことを意味し、暗色とは黒、藍色または青色などの色が一般的に用いられる。もちろんこれら以外の色でも、感熱発色した情報を隠蔽するようなものであれば特に限定的ではない。反射率30%以下であるとは、反射濃度0.8以上の状態を現す。また反射率が高いと、感熱発色した情報が読取れる傾向が高い。
【0021】
印刷方法は、特に限定的ではなく、種々の印刷方法が可能である。特に好ましくはオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷であり、中でもオフセット印刷が好適である。
【0022】
ベタ印刷部は少なくとも感熱発色層を覆う範囲に存在すればよい。必要に応じて透明または半透明の用紙の全面に形成されていてもよい。通常ハガキなどでは、送り先の住所やその他必要な情報が記載する部分が存在するので、このベタ印刷部分はそれら以外の部分で隠蔽する情報が記載される部分に形成されるのが通常である。
【0023】
さらにその上に形成される迷彩模様層5は、反射率が50%以上のものであって、白、黄、グレー、銀または金などの彩色を用いて形成される迷彩模様である。迷彩模様とは、ランダムな模様を意味し、ベタ印刷部に好ましくは迷彩模様印刷部の面積比が5m2当たり30〜90%、好ましくは60〜90%、より好ましくは70〜85%を偏りなくある程度均一に模様が施される必要がある。図2に迷彩模様の例を示すが、もちろんこれに限定されるものではない。迷彩模様に偏りがあるとその部分に空白が生じ、感熱発色した文字が読取れる傾向にある。反射率が50%未満であると、やはり感熱記録した情報が読取れる傾向にある。また、上記印刷の面積比が30%以下であってもあるいは90%を越える値であっても、感熱記録した情報が読取れる傾向にある。
【0024】
本発明の、情報隠蔽性感熱記録紙は、基本的にはハガキ大の大きさを考えている。しかしながら、レターの大きさであっても全く不都合はない。レターの場合は通常、本発明の感熱記録紙を封筒の上用紙として、別の下用紙と貼り合わせて封筒を形成する形のものが一番好適であると考えられる。
【実施例】
【0025】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
本発明はこれら実施例に限定されるものと解してはならない。
実施例1
下記の成分を混合することにより、暗色ベタ印刷用インキを作成した。
得られたインキは、反射率5%を有していた。
次に、下記の成分を混合することにより、迷彩模様用インキを作成した。
得られたインキは、反射率80%を有していた。
【0026】
上記ベタ印刷用インキを感熱発色紙に半透明用紙を圧着したもの(王子製紙(株)から市販のDM80B:厚さ80μm)の上にベタ印刷を施した。
【0027】
そのベタ印刷部の上に、迷彩模様インキを用いてベタ部に対して17%、32%、54%、61%および87%になるように迷彩模様を形成した。それぞれは図3,図4,図5,図6および図7に示す。
【0028】
得られた迷彩模様の上から、隠蔽すべき情報を感熱ヘッドを用いて印字した。印字した状態を示す図を図3に対しては図8に、図4に対しては図9、図5には図10、図6には図11および図7には図12に示した。
【0029】
結果から明らかなように、図3および図8に対応する17%の迷彩模様では明らかに情報が読みとれる。その他の図のものでは、情報を読みとることが出来ず、隠蔽性が確保できた。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の情報隠蔽性感熱記録紙の断面を模式的に表す図である。
【図2】本発明の迷彩模様の一例を示す図である。
【図3】17%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図4】32%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図5】54%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図6】61%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図7】87%の迷彩模様の1例を示す図である。
【図8】図3の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図9】図4の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図10】図5の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図11】図6の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【図12】図7の迷彩模様に隠蔽情報を印字した図である。
【符号の説明】
【0031】
1…感熱発色紙、2…透明または半透明の用紙、3…感熱発色層、4…暗色ベタ印刷層、5…迷彩模様層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱発色紙と、
該感熱発色紙の上に剥離可能な状態に圧着された透明または半透明の用紙と、からなり、該透明または半透明用紙の側から熱を印加して感熱発色紙上に情報を記載する感熱記録紙であって、
該透明または半透明用紙の非圧着側に反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷を施し、さらにその上に反射率50%以上の反射性を有するインキで迷彩模様を重ね印刷することを特徴とする情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項2】
前記迷彩模様が、暗色ベタ印刷部に対して5mm2当たり30〜70%の迷彩模様印刷部面積比有する請求項1記載の情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項3】
情報隠蔽性感熱記録紙が、ハガキ仕様である請求項1または2記載の情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項4】
情報隠蔽性感熱記録紙が、レター仕様である請求項1または2記載の情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項1】
感熱発色紙と、
該感熱発色紙の上に剥離可能な状態に圧着された透明または半透明の用紙と、からなり、該透明または半透明用紙の側から熱を印加して感熱発色紙上に情報を記載する感熱記録紙であって、
該透明または半透明用紙の非圧着側に反射率30%以下の濃度の暗色ベタ印刷を施し、さらにその上に反射率50%以上の反射性を有するインキで迷彩模様を重ね印刷することを特徴とする情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項2】
前記迷彩模様が、暗色ベタ印刷部に対して5mm2当たり30〜70%の迷彩模様印刷部面積比有する請求項1記載の情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項3】
情報隠蔽性感熱記録紙が、ハガキ仕様である請求項1または2記載の情報隠蔽性感熱記録紙。
【請求項4】
情報隠蔽性感熱記録紙が、レター仕様である請求項1または2記載の情報隠蔽性感熱記録紙。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−183723(P2008−183723A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16412(P2007−16412)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000225267)内外カーボンインキ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000225267)内外カーボンインキ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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