説明

意匠パネル

【課題】所望部位に強固に固定させることができるとともに、表面の意匠の変更を容易に行わせることができる意匠パネルを提供する。
【解決手段】表面に所定意匠が施されるとともに所望部位に固定可能な意匠パネルであって、所定意匠とは異なる意匠が表面に施された脱着パネル2を位置決めさせつつ取付可能な取付部1aが表面に形成されたベースパネル1から成るものであり、ベースパネル1の所定意匠の一部を表面に臨ませつつ脱着パネル2が取付部1aに取付可能とされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に所定意匠が施されるとともに所望部位に固定可能な意匠パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、自動車等の車両内における所望部位にユーザが任意に所定意匠を施す要求が高まっており、当該所定意匠を施すための意匠パネルが提供されるに至っている。かかる意匠パネルは、通常、その表面に種々意匠が施された複数のものが用意されており、ユーザが自分の好みの意匠のものを取り寄せ、所望部位に両面テープ等で貼着して固定させるよう構成されていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の意匠パネルにおいては、その表面の意匠を変更するにはパネル全体を所望部位から剥がして取り外す必要があり、剥がす際に当該所望部位の表面が汚損又は破損してしまう可能性があった。然るに、意匠の変更を容易に行わせるべく、所望部位に対して意匠パネルを脱着自在に取り付ける構成とすることが考えられるが、その場合、意匠の変更を意図しないときに不用意に外れてしまう可能性が高くなってしまうという不具合がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、所望部位に強固に固定させることができるとともに、表面の意匠の変更を容易に行わせることができる意匠パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、表面に所定意匠が施されるとともに所望部位に固定可能な意匠パネルであって、前記所定意匠とは異なる意匠が表面に施された脱着パネルを位置決めさせつつ取付可能な取付部が表面に形成されたベースパネルから成ることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の意匠パネルにおいて、前記ベースパネルの所定意匠の一部を表面に臨ませつつ前記脱着パネルが前記取付部に取付可能とされたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の意匠パネルにおいて、前記取付部は、前記脱着パネルの少なくとも一部の外輪郭形状に倣った凹部から成り、当該凹部に当該脱着パネルの外輪郭形状を合致させて位置決め可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の意匠パネルにおいて、前記脱着パネルは、前記取付部に対して脱着自在に取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、脱着パネルを位置決めさせつつベースパネルに取付可能とされたので、ベースパネルの所定意匠に代え又は当該所定意匠と共に、脱着パネルの意匠を所望部位に施すことができる。従って、ベースパネルを所望部位に強固に固定させることができるとともに、脱着パネルの取り付けによって表面の意匠の変更を容易に行わせることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、ベースパネルの所定意匠の一部を表面に臨ませつつ脱着パネルが取付部に取付可能とされたので、ベースパネルの所定意匠と脱着パネルの意匠とが組み合わされて施されることとなり、ユーザの嗜好に合わせた意匠を施すのが可能となるとともに、表面の意匠の独自性をより強調させることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、取付部は、脱着パネルの少なくとも一部の外輪郭形状に倣った凹部から成り、当該凹部に当該脱着パネルの外輪郭形状を合致させて位置決め可能とされたので、容易且つ確実に脱着パネルをベースパネルの取付部に位置決めしつつ取り付けることができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、脱着パネルは、取付部に対して脱着自在に取り付けられたので、当該脱着パネルの交換をより容易に行わせることができ、ベースパネルを所望部位に固定させた状態でその表面の意匠の変更をよりスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る意匠パネル(ベースパネルに脱着パネルを取り付けた状態)を示す平面図
【図2】図1中II−II線断面図
【図3】同意匠パネル(脱着パネルが取り付けられる前のベースパネル)を示す平面図
【図4】図3中IV−IV線断面図
【図5】同意匠パネルにおける脱着パネルを示す平面図
【図6】図5中VI−VI線断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る意匠パネルは、表面に所定意匠が施されるとともに自動車内部の所望部位に固定可能なもので、図1、2に示すように、ベースパネル1と、脱着パネル2とから主に構成されている。ベースパネル1及び脱着パネル2は、それぞれアクリル樹脂を板状に成形させたアクリル板から成るものであり、例えば真空成形等により得られたものである。尚、これらベースパネル1及び脱着パネル2を他の樹脂材料(熱変形抑制のため例えばポリカーボネイトやABS樹脂等が好ましい)で構成してもよい。
【0015】
ベースパネル1は、図3、4に示すように、その表面Aに所定意匠が施されるとともに裏面B側が自動車内部の所望部位に固定可能なもので、平面視形状が取付対象の形状(所望部位の形状)に合致した外輪郭形状(左端が上方に突出形成された長尺形状)とされている。かかるベースパネル1の表面の意匠として、例えば所望色の塗料が略均一に塗布された形態、まだらに塗布された形態、所望形状やロゴ等が印刷された形態、鏡面仕上げやエンボス加工等が施された形態等が挙げられる。
【0016】
更に、ベースパネル1は、脱着パネル2を位置決めさせつつ取付可能な取付部1aが表面A(所定意匠が施された面)に形成されている。かかる取付部1aは、脱着パネル2の外輪郭形状に倣った凹部から成り、当該凹部に当該脱着パネル2の外輪郭形状を合致させて位置決め可能とされている。即ち、凹部から成る取付部1aに沿って脱着パネル2をベースパネル1の表面Aに当接させれば、当該取付部1aに対して脱着パネル2を位置決めさせることができるのである。
【0017】
また、本実施形態においては、ベースパネル1の一部には、脱着パネル2の一部(図5に示す外側面部L)に倣った段部1aaが形成されており、かかる段部1aaによって取付部1aと他の部位とが隔成されている。この段部1aaに沿ってベースパネル1の外側面部Lを当接させることにより、取付部1aに脱着パネル2を取付可能とされており、ベースパネル1の所定意匠の一部を表面に臨ませつつ脱着パネル2が取付部1aに取り付けられることとなる。尚、本実施形態においては、取付部1aは、脱着パネル2の外輪郭形状全体に倣った凹部とされているが、少なくとも一部の外輪郭形状に倣った凹部で構成してもよい。
【0018】
脱着パネル2は、図5、6に示すように、ベースパネル1の表面Aの所定意匠とは異なる意匠が表面Cに施されるとともに、裏面Dを当該ベースパネル1の取付部1aの表面に密着させて当該脱着パネル2全体を取付可能とされたものである。かかる脱着パネル2の表面の意匠は、ベースパネル1の表面Aの所定意匠と異なるものであれば足り、例えば所望色の塗料が略均一に塗布された形態、まだらに塗布された形態、所望形状やロゴ等が印刷された形態、鏡面仕上げやエンボス加工等が施された形態等が挙げられる。
【0019】
また、脱着パネル2の裏面Dには、当該脱着パネル2をベースパネル1の取付部1aに取り付けるための取付手段3が形成されている。かかる取付手段3は、例えばデュアルロックファスナー(キノコ状に突起したものを対向させ、これらを押し付けることにより両者が貼り付くよう構成されたもの)や面ファスナー(例えば、フック状に起毛された側とループ状に密集して起毛された側とを押し付けることにより両者が貼り付くよう構成されたものであって、貼り付け及び剥がすのが自在とされたファスナー)から成り、図1、2に示すように、脱着パネル2をベースパネル1の取付部1aに脱着自在に結合させるものとされている。本実施形態によれば、脱着パネル2は、取付部1aに対して脱着自在に取り付け可能とされるので、当該脱着パネル2の交換をより容易に行わせることができ、ベースパネル1を所望部位に固定させた状態でその表面の意匠の変更をよりスムーズに行わせることができる。
【0020】
而して、本実施形態においては、図3に示すように、ベースパネル1単体を自動車内の所望部位に取り付け、当該所望部位の意匠をベースパネル1の表面に施された所定意匠に変更する。所望部位に対するベースパネル1の取り付けは、比較的強固に行わせるものとされ、例えば両面テープやネジ或いはビス等で固定される。そして、長期使用或いはユーザの変更により、当該意匠を更に変更するには、図1に示すように、凹部から成る取付部1aに合致させつつ脱着パネル2を取り付ける。このとき、脱着パネル2の取付部1aに対する接合強度は、ベースパネル1の所望部位に対する接合強度より低くなるよう設定するのが好ましい。
【0021】
上記実施形態によれば、脱着パネル2を位置決めさせつつベースパネル1に取付可能とされたので、ベースパネル1の所定意匠に代え又は当該所定意匠と共に、脱着パネルの意匠を所望部位に施すことができる。従って、ベースパネル1を所望部位に強固に固定させることができるとともに、脱着パネル2の取り付けによって表面Aの意匠の変更を容易に行わせることができる。
【0022】
特に、本実施形態によれば、ベースパネル1の所定意匠の一部を表面に臨ませつつ脱着パネル2が取付部1aに取付可能とされたので、ベースパネル1の所定意匠と脱着パネル2の意匠とが組み合わされて施されることとなり、ユーザの嗜好に合わせた意匠を施すのが可能となるとともに、表面(表面A及び表面C)の意匠の独自性をより強調させることができる。即ち、ベースパネル1の所定意匠と脱着パネル2の意匠とは、多くの組み合わせパターンを有することができるので、よりユーザの嗜好に近づけることができるのである。
【0023】
また、取付部1aは、脱着パネル2の少なくとも一部の外輪郭形状に倣った凹部から成り、当該凹部に当該脱着パネル2の外輪郭形状を合致させて位置決め可能とされたので、容易且つ確実に脱着パネル2をベースパネル1の取付部1aに位置決めしつつ取り付けることができる。尚、本実施形態においては、脱着パネル2をベースパネル1に取り付けた状態で、両パネルの表面A、Cが略同一高さ(略面一)となっており、意匠の連続性を維持し得るよう構成されているが、両パネルの表面A、Cの高さが異なるよう設定することにより3次元的な意匠としてもよい。
【0024】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、平面視形状が他の形状のものであってもよく、例えばナビゲーションシステムの外周縁を覆う意匠パネル、コンソールボックス等の装備の表面を覆う意匠パネル等であってもよい。また、本実施形態においては、自動車内の所望部位に取り付けられるものとされているが、自動二輪車等の所望部位(例えばメータパネル周縁部等)に取り付ける意匠パネルとしてもよい。
【0025】
更に、脱着パネル2の取付部1aに対する取付形態又はベースパネル1の所望部位に対する取付形態は、上記のものに限定されず、例えば以下の形態とすることができる。即ち、ゲル状の接着材、両面テープ、マグネットシート等の粘着手段、ボルト、ボタン及びフック、リベット、スナップピン等の締結手段などを用いて脱着パネル2の取付部1aに対する取付或いはベースパネル1の所望部位に対する取付を行うことができる。尚、上述したように、ベースパネル1を所望部位に対して強固に固定させるとともに、脱着パネル2をベースパネル1に対して脱着自在に取り付けるよう構成するのが好ましいが、両方共、強固に固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
所定意匠とは異なる意匠が表面に施された脱着パネルを位置決めさせつつ取付可能な取付部が表面に形成されたベースパネルから成る意匠パネルであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ベースパネル
2 脱着パネル
3 取付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に所定意匠が施されるとともに所望部位に固定可能な意匠パネルであって、
前記所定意匠とは異なる意匠が表面に施された脱着パネルを位置決めさせつつ取付可能な取付部が表面に形成されたベースパネルから成ることを特徴とする意匠パネル。
【請求項2】
前記ベースパネルの所定意匠の一部を表面に臨ませつつ前記脱着パネルが前記取付部に取付可能とされたことを特徴とする請求項1記載の意匠パネル。
【請求項3】
前記取付部は、前記脱着パネルの少なくとも一部の外輪郭形状に倣った凹部から成り、当該凹部に当該脱着パネルの外輪郭形状を合致させて位置決め可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の意匠パネル。
【請求項4】
前記脱着パネルは、前記取付部に対して脱着自在に取り付けられたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の意匠パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235766(P2011−235766A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109083(P2010−109083)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000111616)ハマニ化成株式会社 (8)
【Fターム(参考)】